特許第6663585号(P6663585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663585
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】ゲーム装置及びゲームプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/00 20060101AFI20200302BHJP
   A63F 13/45 20140101ALI20200302BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20200302BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20200302BHJP
【FI】
   A63F9/00 513
   A63F13/45
   A63F13/69 510
   A63F13/80 H
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-16084(P2016-16084)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-131537(P2017-131537A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年9月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ロケテストにて公開(A)平成27年12月10日、セガ川口(埼玉県川口市東領家2−2−10)、(B)平成27年12月15日、セガ幕張(千葉県千葉市美浜区ひび野1−8)、(C)平成27年12月16日、クラブセガ稲毛オーツーパーク(千葉県千葉市稲毛区園生町380−1)、(D)平成27年12月16日、セガワールドトレッサ横浜(神奈川県横浜市港北区師岡町700 トレッサ横浜南棟1F)、(E)平成27年12月17日、セガあべのキューズモール(大阪市阿倍野区阿倍野筋1−6−1あべのキューズモール)
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 勉
(72)【発明者】
【氏名】村上 喜郎
(72)【発明者】
【氏名】大金 義規
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/067676(WO,A1)
【文献】 特開2008−067758(JP,A)
【文献】 特開2010−046330(JP,A)
【文献】 特開2012−005766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00−13/98
A63F 1/00− 5/04
A63F 7/02
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームを進行させると共に、前記ゲームの進行中にイベント処理の実行指示を出力するゲーム進行部と、
前記実行指示に応答して前記イベント処理を実行するイベント実行部と、
前記ゲームがプレイヤにより遊戯されているか否かを判定する判定部と、
記憶部とを備え、
前記イベント処理は、当選及び落選の何れか一方を抽選により判定する抽選処理と、抽選結果を示す演出処理として選択的に実行される通常演出処理と短縮演出処理とを含み、前記短縮演出処理の演出時間は、前記通常演出処理の演出時間に比べて短く設定されており、
前記ゲーム進行部は、前記イベント処理が実行されている間に前記ゲームの進行に係る条件を満たした場合に新たなイベント処理の実行指示を前記記憶部に保留し、
前記イベント実行部は、前記記憶部に保留された前記実行指示がある場合、少なくとも前記保留された前記実行指示に関して、前記判定部が肯定判定した場合は前記通常演出処理を行い、前記判定部が否定判定した場合は前記短縮演出処理を行う
ゲーム装置。
【請求項2】
プレイヤによる前記ゲームの操作を検出する検出部を更に備え、
前記ゲーム進行部は、前記検出部で検出された前記操作に基づいて前記ゲームを進行させ、
前記判定部は、前記検出部が前記操作を最後に検出してから所定時間が経過した場合に前記否定判定する、
請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記ゲームは、遊戯媒体を使用するゲームであり、
前記検出部は、プレイヤによるゲーム装置への前記遊戯媒体の投入操作を検出する、
請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
コンピュータを、
ゲームを進行させると共に、前記ゲームの進行中にイベント処理の実行指示を出力するゲーム進行部
前記実行指示に応答して前記イベント処理を実行するイベント実行部
前記ゲームがプレイヤにより遊戯されているか否かを判定する判定部、及び
記憶部
として機能させ、
前記イベント処理は、当選及び落選の何れか一方を抽選により判定する抽選処理と、抽選結果を示す演出処理として選択的に実行される通常演出処理と短縮演出処理とを含み、前記短縮演出処理の演出時間は、前記通常演出処理の演出時間に比べて短く設定されており、
前記ゲーム進行部は、前記イベント処理が実行されている間に前記ゲームの進行に係る条件を満たした場合に新たなイベント処理の実行指示を前記記憶部に保留し、
前記イベント実行部は、前記記憶部に保留された前記実行指示がある場合、少なくとも前記保留された前記実行指示に関して、前記判定部が肯定判定した場合は前記通常演出処理を行い、前記判定部が否定判定した場合は前記短縮演出処理を行う
ゲームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置及びゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲームの進行中においてゲームの進行に関する条件を満たした場合にイベント処理を実行するゲーム装置が知られている。この一例として、特許文献1には、メダルが入賞口を通過したという条件を満たした場合にイベント処理として抽選処理を実行するゲーム装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−223594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記イベント処理が一旦実行されると、現在ゲームを遊戯中のプレイヤがその遊戯を最後にゲームの遊戯を止める予定である場合でも、イベント処理の結果を得るために、当該イベント処理が終了するまで待たなければならない。これは、プレイヤにとって不便でありストレス(以下、「待機ストレス」という。)を受けてしまう。また、他のプレイヤにとっても、入れ替わりでそのゲーム装置で遊戯するためには、やはりイベント処理が終了するまで待たなければならず、不便であり待機ストレスを受けてしまう。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゲーム中に実行するイベント処理を適応的に制御し、プレイヤが受ける待機ストレスを低減することができるゲーム装置及びゲームプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るゲーム装置は、ゲームを進行させると共に、前記ゲームの進行中にイベント処理の実行指示を出力するゲーム進行部と、前記実行指示に応答して前記イベント処理を実行するイベント実行部と、前記ゲームがプレイヤにより遊戯されているか否かを判定する判定部と、を備え、前記イベント実行部は、前記判定部が否定判定した場合の前記イベント処理に要する時間が、前記判定部が肯定判定した場合の前記イベント処理に要する時間よりも短くなるように前記イベント処理を実行する。
【0007】
この構成によれば、イベント処理の終了を望んでいるプレイヤはゲームを遊戯しないようにすれば、判定部がプレイヤは遊戯していないと否定判定し、イベント実行部が実行するイベント処理に要する時間が肯定判定の場合に比べて短くなる。これにより、イベント処理が早く終了するので早期にイベント処理の結果を得ることができ、その結果ゲームの遊戯を止めることが可能となり、プレイヤが受ける待機ストレスを低減することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ゲーム中に実行するイベント処理を適応的に制御し、プレイヤが受ける待機ストレスを低減することができるゲーム装置及びゲームプログラムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置の外観斜視図である。
図2図1に示すゲーム装置におけるゲーム台の拡大図である。
図3図2に示すゲーム台の機能構成を説明するためのブロック図である。
図4】ゲーム台のゲーム進行部の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】イベント実行部によるスロット抽選処理の流れを示すフローチャートである。
図6】(A)は、スロット抽選処理により表示されるスロット抽選の抽選開始前を示す演出画像である。(B)は、(A)の演出画像に続いて表示されるスロット抽選の抽選過程を示す演出画像である。(C)は、(B)の演出画像に続いて表示されるスロット抽選の抽選結果を示す演出画像である。
図7】判定部による判定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
本発明の実施形態に係るゲーム装置は、その種類は特に限定されないが、例えば最大四人までが遊べるプッシャー式の業務用メダルゲーム装置を一例として説明する。この業務用メダルゲーム装置で使用されるメダルは管理上、プレイヤが実際に手に取れる実メダルと、ゲーム装置の筐体内でのみ循環する循環メダルに分かれている。プレイヤが実メダルを投入すると、フィールドには内メダルが払い出される。実メダルが投入されたことを検出し、実メダルホッパーに収納され、実メダルの検出を受けてそれに対応する循環メダルが循環メダルホッパーからフィールド内に排出される。逆に循環メダルが取得された場合には、落下口に落下した循環メダルを検出し、循環メダル用ホッパーに収納し、循環メダルの検出を受けてそれに対応する実メダルを実メダルホッパーからメダル溜めに排出する仕組みである。
以下の実施形態では、プレイヤが投入したメダルがフィールドに直接払い出されてもよいので、説明上で区別する必要がない場合は、いずれもメダルMとしている。
また本実施形態に係るゲーム装置におけるメダル投入方式は、メダルプレイ方式と、クレジット方式の二通りが用意されている。メダルプレイ方式では、プレイヤが実際に手にした実メダルを投入してプレイフィールドにメダルを投入し、獲得したメダルは実際に払い出される方式である。
一方、クレジット方式は、プレイヤが実際にメダルを手にすることなく、メダル貸出預入機との間でメダル数を通信により相互転送して(貸出・預入)、プレイヤが転送されたメダル数を示すクレジットから、投入ボタンを押してプレイフィールドにメダルを投入、獲得したメダルは全てクレジットに蓄積されるクレジット方式の2通りある。
以下の説明ではメダルプレイ方式を中心に説明する。
【0012】
<概略構成の一例とゲームの概要>
まず、図1を用いてゲーム装置10の概略構成の一例とゲームの概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置10の外観斜視図である。
【0013】
ゲーム装置10は、遊戯媒体として例えば同一形状の円盤状のメダルM(内メダル)を用いたメダルプッシャーゲーム(以下、単に「メダルゲーム」と称す。)を実行するものである。このメダルゲームには、例えばスロット抽選によりメダルM等をフィールドFに払い出すスロット抽選イベントと、クルーン抽選によりメダルタワーMTをフィールドF上に作成する所謂タワーチャレンジイベント等の様々なイベントが取り入れられている。なお、メダルタワーMTとは、複数枚のメダルMを平面視で円環状に配置し、数段に渡り平面方向にずらしレンガ状に交互に積んだ円筒状の塊である。
【0014】
このゲーム装置10は、複数のプレイヤが同時にメダルゲームを遊戯することが可能なように、それぞれ同じメダルゲームを実行する複数のゲーム台で構成されている。これら複数のゲーム台は、例えばゲーム台10A,10Bを含む。なお、本実施形態では上記のように遊戯媒体がメダルMである場合を説明するが、遊戯媒体は、ボールBやコイン、硬貨、チップ、駒やトレーディングカード等であってもよい。
【0015】
ゲーム装置10は、直方体の筐体12を備える。筐体12の天井には、例えばメダルゲームの一つの特徴を表現するメダルタワーMTの装飾12Aや当該メダルタワーMTが空高くまで積み上がることを表現する雲の装飾12Bが取り付けられている。また、筐体12の天井には、ゲーム音を外部に出力するメインスピーカ14やサブスピーカ16も取り付けられている。
【0016】
筐体12の正面側には、上述の二つのゲーム台10A,10Bが互いに隣接して設けられている。同様に、筐体12の背面側には、例えば二つのゲーム台が設けられている。これらのゲーム台はそれぞれ構成が同一でありゲーム台にて実行されるメダルゲームも同一であるため、以下では、ゲーム台10Aを例に挙げて説明する。
【0017】
ゲーム台10Aで実行されるメダルゲームの概要は、プレイヤがコントロールパネル18を適宜操作しつつメダルMをフィールドFに投入することにより、当該フィールドFに既に載置されているメダルMをプッシャー20により押し出して落下口22に落としてプレイヤに取得させるといったものである。また、メダルゲームでは、モニタ24を用いた上記スロット抽選イベントや、モニタ24やクルーン抽選機26、タイミング検出機28を用いた上記タワーチャレンジイベントも行われる。なお、図1では、ゲーム台10Bのモニタ24を透明なモニタマスクで覆った状態を示している。
【0018】
<ハードウェア構成>
次に、図2を用いてゲーム台10Aのハードウェア構成について具体的に説明する。図2は、図1に示すゲーム台10Aの拡大図である。
【0019】
ゲーム台10Aは、上述したように、フィールドFと、コントロールパネル18と、プッシャー20と、落下口22と、モニタ24と、クルーン抽選機26と、タイミング検出機28と、を備える。また、ゲーム台10Aは、フィールドメダル払出口30と、プレイヤメダル払出口32と、メダル溜34と、を備える。
【0020】
フィールドFは、ゲーム台10Aの正面(図2の紙面手前側)をプレイヤの手前側となる前方部としたとき、ゲーム台10Aの前方部から後方部に向かう途中の中央部に設けられている。このフィールドFは、メダルMやボールBが載置される載置領域である。本実施形態では、フィールドF上には、ゲームが実行される前から予め一又は複数のメダルMが載置されている。また、ボールBは、後述する入賞によりフィールドF上に払い出される。
【0021】
コントロールパネル18は、ゲーム台10Aにおいて最も手前側に設けられている。このコントロールパネル18は、プレイヤがゲームを開始及びその進行をするために操作するものである。なお、コントロールパネル18とフィールドFとの間には、コントロールパネル18を操作するプレイヤとフィールドFを区画する透明ガラスが設けられている。透明ガラスは筐体側面上部にも設けられており、フィールドF内部が目視可能となっており、プレイヤはコントロールパネル18の操作を通してゲームをプレイする。
【0022】
プッシャー20は、フィールドF上において後方部に配置されている。このプッシャー20は、フィールドF上を通常、ゲーム台10Aの中央部と後方部との間を往復動、すなわち前後方向に往復動している。このプッシャー20の通常の往復動により、フィールドF上に載置されたメダルMやボールBを手前側にスライド移動させ、落下口22に落下させることが可能となっている。また本実施形態では、このプッシャー20の通常の往復動の範囲からさらに奥側にスライドさせメダルタワーMTを作成した後、プッシャー20を元の位置に戻し、通常の往復動により、フィールドF上に作成された(積み上げられた)メダルタワーMTも手前側にスライド移動させ、落下口22に落下させることが可能となっている。そのためプッシャー20の先端中央はメダルタワーMTを後方から押せるようにメダルタワーMTの形状に合わせ半円筒状の凹み部20aを形成している。
【0023】
落下口22は、フィールドFよりも手前側で、当該フィールドFに隣接して設けられている。この落下口22には、上述のようにメダルMやボールBが落下する。本実施形態では、落下口22にボールBが落下すると入賞とされるため(実際には落下数が所定数を超えると入賞)、この落下口22はボール入賞口としての機能も兼ねている。
【0024】
モニタ24は、フィールドFを挟んで落下口22と反対側、すなわちフィールドFよりも奥側に立設されている。このモニタ24には、例えば後述のクルーン抽選機26とは異なりモニタ24上で抽選(画面抽選)するための抽選画像等、様々なゲーム画像が表示される。
【0025】
クルーン抽選機26は、皿状で周囲に複数ポケット穴を有したルーレットを回転させ、ボールBを遠心力で外方へ転がし、回転が停止した際にいずれかのポケット穴に入る物理抽選を行う装置であり、モニタ24よりも図2中右側であって、ゲーム装置10の中央部に設けられている。
このクルーン抽選機26は、クルーン抽選を行う装置である。なお、クルーン抽選機26は、ゲーム台10Aだけでなく、ゲーム装置10が備える他のゲーム台と共通して使用される。クルーン抽選機26におけるクルーン(ルーレット)の各ポケットには、異なる数字が記載された複数の当たりポケットと、1つの外れポケットとが設けられている。本実施形態では、クルーン抽選機26は、本抽選を開始すると、所定の物体、例えばボールBをクルーンで転がして、所定時間経過後に、当該ボールBが入ったポケットを特定する。すなわち、クルーン抽選機26は、複数のポケットの中から一つのポケットを抽選により決定する。
【0026】
タイミング検出機28は、モニタ24の下方で、当該モニタ24に隣接して設けられている。タイミング検出機28は、予め定められた落下口28Aを2つ備え、所定の物体を落下口28Aまで移動させる移動機構の一部である。具体的には、タイミング検出機28は、モニタ24の下方に波状の通路を有し物体としてボールBを落とすことで、通路を行き来して、モニタ24の左右縁の下方にある2つの落下口28Aの何れか一つにボールBが物理的に落ちるタイミングを検出するものである。このボールBが落ちるタイミングは毎回ランダムとなるため、プレイヤにとってはタイミングが偶然に検出(決定)されるのである。
【0027】
フィールドメダル払出口30は、フィールドFの上方に例えば2つ設けられている。このフィールドメダル払出口30は、プレイヤがコントロールパネル18のメダル投入口18BからメダルMを投入することによってフィールドF上にメダルMを送出するものである。なお、以下では、フィールドF上にメダルMやボールBを送出することも「払い出す」と称すことがある。
【0028】
プレイヤメダル払出口32は、フィールドFよりも手前側であって、メダル溜34の上方に設けられている。このプレイヤメダル払出口32は、落下口22に落下したメダルMをプレイヤに払い出すものである。なお、落下口22に落下したボールBは、プレイヤに払い出すことなく、ゲーム台10Aの内部に収納され、モニタ24には落下ボール数の累積が表示される。
【0029】
メダル溜34は、コントロールパネル18の中央部に設けられている。このメダル溜34は、プレイヤメダル払出口32から払い出されたメダルMが溜められる部材である。尚、クレジットプレイ方式ではメダルは払い出されずに全てクレジットに蓄積される。
【0030】
次に、フィールドFの具体的な構成について説明する。フィールドFは、積上げ領域36とメダル入賞口38を備える。プッシャー20が前後に往復移動している通常の状態では、積上げ領域36はプッシャーの奥側の隠れた位置にある。
【0031】
積上げ領域36は、フィールドFにおいて、例えばプッシャー20が通常の往復移動領域から更に後ろに移動した場合にそのプッシャー20の手前に露出する個所に設けられている。この積上げ領域36は、メダルMを積み上げてメダルタワーMTを作成する領域である。当該積上げ領域36には、例えば一段六枚のメダルMを数段毎に交互に円筒形に積み上げる装置が内蔵されている。なお、このメダルタワーMTの作成の際、プッシャー20の先端中央の半円筒の凹み部20aは、当該メダルタワーMTの後端部に摺接することで、メダルタワーMTを真上に立てることを補助している。
【0032】
メダル入賞口38は、フィールドFにおいて例えば二つ設けられている。二つのメダル入賞口38は、通常動作するプッシャー20の前方両側のフィールドFにそれぞれ配置されている。これらのメダル入賞口38は、フィールドF上でスライド移動されるメダルMが内部に入るように構成されている。実際に、これらのメダル入賞口38の少なくとも何れか一方にメダルMが入るとチャッカー入賞とされる。チャッカー入賞が検出されると、モニタ24にて映像による3リールのスロット抽選(所謂仮想スロット抽選)が行われる。
【0033】
次に、コントロールパネル18の具体的な構成について説明する。コントロールパネル18は、硬貨投入口18Aと、メダル投入口18Bと、操作レバー18Cと、押しボタン18Dと、押しボタン18Eと、を備える。
【0034】
硬貨投入口18Aは、コントロールパネル18の図2中左側に設けられている。この硬貨投入口18Aは、プレイヤが硬貨を投入する部材である。実際に、硬貨投入口18Aに硬貨が投入されると、メダルの両替や、ゲーム中の所定のイベント(例えば後述のコンティニューチャンス)が開始される。
【0035】
メダル投入口18Bは、コントロールパネル18に例えば二つ設けられている。二つのメダル投入口18Bは、メダル溜34を挟んで左右両側にそれぞれ配置されている。これらのメダル投入口18Bは、ゲームを進行するためにプレイヤがメダルMを投入する部材である。実際に、メダル投入口18BにメダルMが投入されると、投入した側にあるフィールドメダル払出口30からメダルMがフィールドFに払い出されて、ゲームが進行する。すなわち、メダルMがフィールドFに払い出されると、当該メダルMがプッシャー20により押し出されて、既にフィールドFに載置されているメダルMの均衡が崩され、当該メダルMが落下口28Aに向かってスライド移動されることでゲームが進行する。
【0036】
操作レバー18Cは、コントロールパネル18に例えば二つ設けられている。二つの操作レバー18Cは、メダル溜34を挟んで両側であってメダル投入口18Bの近傍にそれぞれ配置されている。この操作レバー18Cは、プレイヤの操作に応じて、対応するフィールドメダル払出口30からメダルMを払い出すフィールドF上での払出位置を調整する部材である。
【0037】
押しボタン18Dは、コントロールパネル18の左側、中央、右側に三つ設けられている。三つの押しボタン18Dのうち二つの押しボタンは、メダル溜34を挟んで左右両側にメダル投入口18Bに対応してそれぞれ配置されている。三つの押しボタン18Dのうち残り一つの中央の押しボタンは、メダル溜34の奥側に設けられている。これらの押しボタン18Dは、モニタ24で行われるゲームの進行を操作する部材である。クレジット方式でのプレイの際では、左右の押しボタンはメダル投入に用いる。
【0038】
押しボタン18Eは、コントロールパネル18に例えば二つ設けられている。二つの押しボタン18Eは、コントロールパネル18の図2中右側に設けられている。これらの押しボタン18Eは、例えばプレイヤがプレイヤメダル払出口32からのメダルMの払い出しを操作したり、その他のオプションの操作をしたりする部材である。
【0039】
<機能構成>
次に、図3を用いてゲーム台10Aの機能構成について説明する。図3は、図1に示すゲーム台10Aの機能構成を説明するためのブロック図である。
【0040】
ゲーム台10Aは、検出部100と、メダル積上げ部130と、記憶部140と、表示部150と、音出力部160と、動力部170と、制御部200と、を備える。
【0041】
検出部100は、プレイヤによる操作や硬貨、メダルM、ボールB等を検出する機能を有する。この検出部100は、スイッチや光学センサ、ICタグリーダ等により実現される。
【0042】
メダル積上げ部130は、フィールドFの積上げ領域36にメダルMを積み上げてメダルタワーMTを作成する機能を有する。このメダル積上げ部130は、制御部200とは独立して動作する制御部132を備えた、積上げ領域36の下部に設けられているメダル積み上げ装置により実現される。
【0043】
記憶部140は、各種プログラムやオペレーティングシステムを記憶する機能を有する。また、記憶部140は、制御部200が処理の途中で各種データを一時的に記憶するワークエリアとしての機能や後述する実行指示の保留数等の変数を記憶する機能も有する。この記憶部140は、RAMやROM等により実現される。
【0044】
表示部150は、ゲーム画像を表示したり、ゲーム得点やゲーム条件などの文字を表示したりする機能を有する。この表示部150は、モニタ24により実現される。
【0045】
音出力部160は、ゲーム音を出力する機能を有する。この音出力部160は、メインスピーカ14やサブスピーカ16により実現される。
【0046】
動力部170は、クルーン抽選機26やプッシャー20等を動作させる機能を有する。この動力部170は、その機能に応じてホッパーやモータ等により実現される。
【0047】
制御部200は、検出部100やメダル積上げ部130、記憶部140、表示部150、音出力部160、動力部170に電気的に接続される。制御部200は、検出部100からの検出データ等に基づいて、各種ゲーム処理を行ったり接続先を制御したりする機能を有する。この制御部200は、ゲーム台10Aのプロセッサが記憶部140に格納されたゲームプログラムを実行することにより実現される。
【0048】
次に、検出部100の具体的な構成について説明する。
【0049】
検出部100は、操作検出部112と、メダル投入検出部114と、積上げ検出部116と、入賞検出部118と、硬貨投入検出部120と、クルーンボール検出部122と、落下口ボール検出部124と、ボール留エンプティ検出部126と、を備える。
【0050】
操作検出部112は、ゲーム台10Aにおいて操作レバー18Cや押しボタン18D,18Eの内側に設けられている。この操作検出部112は、プレイヤによる操作レバー18Cや押しボタン18D,18Eの操作を検出する機能を有する。
【0051】
メダル投入検出部114は、メダル投入口18Bの内部に設けられている。このメダル投入検出部114は、プレイヤがメダル投入口18Bに投入したメダルMを検出する機能を有する。なお、このメダル投入検出部114も、操作検出部112と同様にメダルMの投入操作というプレイヤの操作を検出するものである。
【0052】
積上げ検出部116は、ゲーム台10Aの内部に設けられている。この積上げ検出部116は、積上げ領域36に積み上げられたメダルタワーMTのメダルMの段数が所定の段数となったことを検出する機能を有する。
【0053】
入賞検出部118は、メダル入賞口38の内部に設けられている。この入賞検出部118は、メダル入賞口38を通過したメダルMを検出する機能を有する。
【0054】
硬貨投入検出部120は、硬貨投入口18Aの内部に設けられている。この硬貨投入検出部120は、プレイヤが硬貨投入口18Aに投入した硬貨を検出する機能を有する。
【0055】
クルーンボール検出部122は、クルーン抽選機26の内部に設けられている。このクルーンボール検出部122は、クルーン抽選機26のクルーンのどのポケットにボールBが停止したかを検出する機能を有する。
【0056】
落下口ボール検出部124は、落下口22の内部に設けられている。この落下口ボール検出部124は、落下口22に落下したボールBを検出する機能を有する。
【0057】
ボール留エンプティ検出部126は、落下し回収されたボールをボールリフトで拾い上げる際にボールが拾い上げられなかったことを検出している。このボール留エンプティ検出部126は、ゲーム台10Aの内部に留められているボールBが空となることを検出する機能を有する。
【0058】
次に、動力部170の具体的な構成について説明する。動力部170は、メダル送出部172と、回動動力部174と、往復駆動部176と、ボール送出部178と、クルーン回転部180と、を備える。
【0059】
メダル送出部172は、ゲーム台10Aの内部に設けられている。このメダル送出部172は、フィールドメダル払出口30からフィールドF上にメダルMを送出する機能を有する。
【0060】
回動動力部174は、メダルタワーの積上げ領域36の下部に設けられている。この回動動力部174は、メダル積上げ部130により積み上げられた複数のメダルMを回転させ、数段毎にずらしながらメダルを押し上げてメダルタワーMTを構築する機能を有する。
【0061】
往復駆動部176は、プッシャー20の下部に設けられている。この往復駆動部176は、プッシャー20を動作させる機能を有する。
【0062】
ボール送出部178は、ゲーム台10Aの内部に設けられていて、フィールドF上やクルーン抽選機26、タイミング検出機28等にボールBを送出する機能を有する。ボールBの送出は、入賞検出部118がメダルMを検出して後述のスロット抽選で当選した場合に、あるいは硬貨投入検出部120が硬貨を検出した場合にボールBを送出する。
【0063】
クルーン回転部180は、クルーン抽選機26の下部に設けられている。このクルーン回転部180は、クルーン抽選機26のクルーンを回転させる機能を有する。クルーンの回転は、落下口ボール検出部124が所定数(例えば10個)のボールBを検出した場合に、回転を開始し、所定時間後に停止し、ボールBがクルーンのいずれかのポケットに入ったかでクルーン抽選を行う。
【0064】
次に、制御部200の具体的な構成について説明する。
【0065】
制御部200は、ゲーム進行部202と、イベント実行部204と、判定部206と、を備える。
【0066】
ゲーム進行部202は、検出部100で検出された操作等に基づいてメダルゲームを進行させる機能を有する。この機能として例えばゲーム進行部202は、メダル投入検出部114でメダルMが検出された、すなわちプレイヤがメダルMを投入(使用)した場合にメダル送出部172を制御してフィールドメダル払出口30からフィールドF上にメダルMを送出させたり、操作検出部112で操作レバー18C等の操作が検出された場合に上記スロット抽選イベントや上記タワーチャレンジイベントを進行させたりする。
【0067】
また、ゲーム進行部202は、ゲームの進行中に各種のイベントを実現するイベント処理の実行指示をイベント実行部204に対して出力する。この機能として例えばゲーム進行部202は、入賞検出部118がメダルMを検出してチャッカー入賞したという条件を満たした場合にスロット抽選イベントを実現するスロット抽選処理の実行指示をイベント実行部204に対して出力する。また、例えばゲーム進行部202は、落下口ボール検出部124が所定数(例えば10個)のボールBを検出したという条件を満たした場合に、タワーチャレンジイベントを実現するタワーチャレンジ処理の実行指示をイベント実行部204に対して出力する。
【0068】
なお、本実施形態では、スロット抽選処理が実行されている間にもプッシャー20によりメダルMが押し出されてメダル入賞口38を通過する、すなわち、入賞検出部118がメダルMを検出してチャッカー入賞となる場合がある。このような場合、ゲーム進行部202は、新たなスロット抽選処理の実行指示を記憶部140に保留する。
【0069】
イベント実行部204は、ゲーム進行部202により出力された実行指示に応答してスロット抽選処理やタワーチャレンジ処理等のイベント処理を実行する機能を有する。また、イベント実行部204は、記憶部140に保留された一又は複数の実行指示がある場合、現在実行しているスロット抽選処理の終了後に次回以降のスロット抽選処理を順次実行する。
【0070】
上記スロット抽選処理では、イベント実行部204は、当選及び落選の何れか一方を乱数に基づいた乱数抽選により判定する乱数抽選処理と、スロット抽選を演出する演出処理と、乱数抽選処理により当選と判定された場合に、当選の種類に応じた数のメダルM又はボールBをフィールドF上に払い出す払い出し処理を行う。
【0071】
上記演出処理では、イベント実行部204は、表示部150を制御してスロット抽選の抽選過程及び抽選結果を示す演出画像を表示させる。演出画像としては例えば、複数の図柄がロール状に配置されて縦回転する仮想リールが横三列に表示され、抽選開始とともに三つのリールをそれぞれ回転させ、所定時間経過後に乱数抽選処理の結果に適合する図柄で停止するように、いわば「仮想スロット抽選」の画像が表示される。
【0072】
上記タワーチャレンジ処理では、イベント実行部204は、クルーン抽選機26でのクルーン抽選を繰り返し、当該クルーン抽選の当選の度にメダル積み上げ部130を介して当選の種類に応じた数のメダルMをフィールドF上にタワー状に積み上げる。
【0073】
判定部206は、例えば、メダル投入検出部114がプレイヤによるゲーム装置10へのメダルMの投入操作を最後に検出してから所定時間が経過したか否かを判定することにより、メダルゲームがプレイヤにより遊戯されているか否かを判定する。
【0074】
ここで、本実施形態では、イベント実行部204は、判定部206が否定判定した場合のイベント処理に要する時間が、判定部206が肯定判定した場合のイベント処理に要する時間よりも短くなるようにイベント処理を実行する。なお、この「短くなるように」とは、イベント処理の時間がゼロになるようにすることも含む。また、イベント実行部204は、記憶部140に保留された実行指示がある場合、少なくとも保留された実行指示に係る新たなイベント処理に要する時間が短くなるように新たなイベント処理を実行する。また、以下では、処理に要する時間が短くなるイベント処理として、スロット抽選処理の演出処理を例に挙げて説明する。
【0075】
<ゲーム台の処理の流れ>
次に、図4を用いてゲーム台10Aのゲーム進行部202の処理について説明する。図4は、ゲーム台10Aのゲーム進行部202の処理の流れを示すフローチャートである。なお、初期設定処理として、検出部100の検出回数や後述する実行指示の保留数i、ボールBの落下数j等を初期値として例えばゼロに設定する処理を行う。また、フィールドF上には予め複数枚のメダルMが載置され、プッシャー20はフィールドF上を前後方向に往復動している。また、以下のゲーム進行部202の処理は、例えばゲーム台10Aの電源がオフにされるまで繰り返し行われる。
【0076】
(ステップSP10)
ゲーム進行部202は、プレイヤがメダル投入口18Bを通してメダルMを投入したか否かを判定する。具体的には、ゲーム進行部202は、メダル投入検出部114がメダルMを検出したか否かを判定する。そして、ゲーム進行部202は、肯定判定した場合にステップSP12の処理に移行し、否定判定した場合にステップSP14の処理に移行する。
【0077】
(ステップSP12)
ゲーム進行部202は、メダル送出部172を制御し、フィールドメダル払出口30を通してゲーム台10Aの内部に貯留されている例えば一枚の貯留メダル(循環メダル)を循環メダルホッパーからフィールドF上に払い出させる。なお、この払い出させるメダルは、貯留メダル(循環メダル)ではなく、プレイヤがメダル投入口18Bを通して投入したメダルMそのものであってもよい。これにより、フィールドF上に払い出されたメダルMや予めフィールドF上に載置されたメダルMは、フィールドF上を往復動するプッシャー20により押されて移動する。そして、ゲーム進行部202は、ステップSP14の処理に移行する。
【0078】
(ステップSP14)
ゲーム進行部202は、プッシャー20によりメダルMが押し出されてメダル入賞口38を通過してチャッカー入賞したか否かを判定する。具体的には、ゲーム進行部202は、入賞検出部118がメダルMを検出したか否かを判定する。そして、ゲーム進行部202は、肯定判定した場合にステップSP16の処理に移行し、否定判定した場合にステップSP22の処理に移行する。
【0079】
(ステップSP16)
ゲーム進行部202は、後述するステップSP100〜ステップSP110のスロット抽選処理がイベント実行部204により実行中であるか否かを判定する。そして、ゲーム進行部202は、肯定判定した場合にステップSP20の処理に移行し、否定判定した場合にステップSP18の処理に移行する。
【0080】
(ステップSP18)
ゲーム進行部202は、イベント実行部204に対してスロット抽選処理の実行指示を出力する。これに応答して、イベント実行部204は、スロット抽選処理の実行を開始する。このスロット抽選処理の詳細は、後述する。そして、ゲーム進行部202は、実行指示を出力した後は、スロット抽選処理が終了することを待つことなく、ステップSP22の処理に移行する。
【0081】
(ステップSP20)
ゲーム進行部202は、次回以降となるスロット抽選処理の実行指示を記憶部140に保留する。具体的には、ゲーム進行部202は、記憶部140に記憶されている保留数iをインクリメントする(i=i+1)。そして、ゲーム進行部202は、ステップSP22の処理に移行する。
【0082】
(ステップSP22)
ゲーム進行部202は、プッシャー20によりボールBが押し出されて落下口22に落下したか否かを判定する。具体的には、ゲーム進行部202は、落下口ボール検出部124がボールBを検出したか否かを判定する。そして、ゲーム進行部202は、肯定判定した場合にステップSP24の処理に移行し、否定判定した場合に図4に示す一連の処理を終了する。
【0083】
(ステップSP24)
ゲーム進行部202は、落下したボールBをカウントする。具体的には、ゲーム進行部202は、ボールBの落下数jをインクリメントする(j=j+1)。そして、ゲーム進行部202は、ステップSP26の処理に移行する。
【0084】
(ステップSP26)
ゲーム進行部202は、ボールBの落下数、すなわちボールBの落下数mが所定値cであるか否かを判定する。なお、この所定値cは例えば10である。そして、ゲーム進行部202は、肯定判定した場合にステップSP28の処理に移行し、否定判定した場合に図4に示す一連の処理を終了する。
【0085】
(ステップSP28)
ゲーム進行部202は、イベント実行部204に対してタワーチャレンジ処理の実行指示を出力する。これに応答して、イベント実行部204は、タワーチャレンジ処理の実行を開始する。
【0086】
このタワーチャレンジ処理では、まずイベント実行部204がクルーン抽選機26によるクルーン(ルーレット)抽選処理を開始する。クルーン抽選処理では、イベント実行部204がボール送出部178を制御してボールBをクルーン抽選機26に送出することで、実際にクルーン抽選を開始する。当該クルーン抽選機26に送出されたボールBは、所定時間経過後に、ルーレットの当たりポケット又は外れポケットのいずれかに停止する。例えば当たりポケットにボールBが停止した場合には、イベント実行部204は当選と判定して、当該抽選結果をメダル積上げ部130の制御部132に送信し、当該制御部132はメダル積上げ部130を制御して、当該当たりポケットに記載された数に所定の倍率を掛けた数のメダルMを積み上げていく。そして、クルーン抽選に当選した場合には、引き続きクルーン抽選が実行され、クルーン抽選に当選する度に、イベント実行部204は、メダルMを積み上げるようにメダル積上げ部130を制御する。このようにしてクルーン抽選に当選する度に、メダルMが積み上げられていき、メダルタワーMTの高さが上昇していく。一方、クルーン抽選により、外れポケットにボールBが停止した場合には、メダル積上げは行われず、クルーン抽選が終了して、メダルタワーMTのフィールドFへの払い出しが行われる。以上のように、イベント実行部204によるクルーン抽選処理は、抽選にはずれるまで複数回連続的に行われる。
【0087】
ゲーム進行部202は、このようなイベント実行部204によるタワーチャレンジ処理が終了した後に、図4に示す一連の処理を終了する。
なお、イベント実行部204は、タワーチャレンジ処理が一旦終了した場合にプレイヤによる硬貨等の価値媒体の消費を条件として所定の抽選を実行し、そして当該所定の抽選で当選と判定した場合に、前回のタワーチャレンジイベントが終了したときの状態を維持して当該タワーチャレンジイベントを継続するようにしてもよい。また、この所定の抽選では、タイミング検出機28で検出されるタイミングに基づいて、所定の抽選の結果を判定するタイミングを決定するようにしてもよい。
【0088】
<スロット抽選処理>
次に、図5図6を用いてイベント実行部204によるスロット抽選処理について説明する。図5は、イベント実行部204によるスロット抽選処理の流れを示すフローチャートである。図6(A)は、スロット抽選処理により表示されるスロット抽選の抽選開始前を示す演出画像である。図6(B)は、図6(A)の演出画像に続いて表示されるスロット抽選の抽選過程を示す演出画像である。図6(C)は、図6(B)の演出画像に続いて表示されるスロット抽選の抽選結果を示す演出画像である。
【0089】
(ステップSP100〜ステップSP110)
イベント実行部204は、乱数抽選処理と演出処理と払い出し処理とを含むスロット抽選処理を実行する。各ステップの詳細は後述する。イベント実行部204は、ステップSP110の後、ステップSP112の処理に移行する。
【0090】
(ステップSP112)
イベント実行部204は、スロット抽選処理の実行指示の保留が有るか否かを判定する。具体的には、イベント実行部204は、記憶部140に記憶されている保留数iがゼロ超であるか否かを判定する(i>0?)。そして、イベント実行部204は、肯定判定した場合にステップSP114の処理に移行し、否定判定した場合に図5に示す一連の処理を終了する。
【0091】
(ステップSP114)
イベント実行部204は、保留数iをデクリメントする(i=i-1)。そして、イベント実行部204は、ステップSP100の処理に戻る。すなわち、イベント実行部204は、ステップSP100〜ステップSP110のスロット抽選処理を保留数iがゼロになるまで繰り返す。
【0092】
次に、スロット抽選処理の各ステップSP100〜ステップSP110の詳細について説明する。
【0093】
(ステップSP100)
イベント実行部204は、まずスロット抽選処理の一環として乱数抽選処理を実行する。乱数抽選処理を実行すると、イベント実行部204は、当選及び落選の何れか一方を乱数抽選により判定する。
【0094】
具体的には、イベント実行部204は、乱数を生成する。そして、イベント実行部204は、記憶部140に記憶され、予め定められた複数の乱数の範囲毎に当選又は落選が記述された当落判定テーブル等を参照して、生成した乱数が当選の範囲内にあるか、又は落選の範囲内にあるかを決定する。次に、イベント実行部204は、生成した乱数が当選の範囲内であれば当選と判定し、生成した乱数が落選の範囲内であれば落選と判定する。また、当選と判定した場合には、イベント実行部204は、記憶部140に記憶され、予め定められた複数の乱数の範囲毎に当選の種類(例えばボールBの払い出しやメダルBの払い出し等)が記述された当落判定テーブル等を参照して、生成した乱数に応じた当選の種類を判定する。そして、イベント実行部204は、ステップSP102の処理に移行する。
【0095】
(ステップSP102)
イベント実行部204は、後述する判定処理により演出処理が短い短縮演出処理の実行指示が有るか否かを判定する。具体的には、イベント実行部204は、上記実行指示を示すフラグFGが立っているか否かを判定する(FG=1?)。そして、イベント実行部204は、肯定判定した場合にステップSP106の処理に移行し、否定判定した場合にステップSP104の処理に移行する。
【0096】
(ステップSP104)
イベント実行部204は、演出処理として、スロット抽選の通常演出処理を実行する。
【0097】
具体的には、図6(A)に示すように、イベント実行部204は、表示部150を制御して複数の図柄300がロール状に配置されて縦回転する仮想リール302を横三列に表示することで、スロット抽選の抽選開始前の演出画像を表示させる。なお、この演出画像には、保留数iをプレイヤに把握させるためのマーク304が含まれていてもよい。そして、図6(B)に示すように、イベント実行部204は、表示部150を制御して三つの仮想リール302をそれぞれ回転させることで、スロット抽選の開始とスロット抽選の抽選過程の演出画像を表示させる。その後、図6(C)に示すように、イベント実行部204は、表示部150を制御して三つの仮想リール302をスロット抽選の開始から所定時間経過後に乱数抽選処理の結果に適合する図柄300で停止することで、スロット抽選の抽選結果の演出画像を表示させる。なお、通常演出処理では、上記所定時間、すなわち演出時間が、後述する短縮演出処理での演出時間に比べて長く設定されており、例えば5秒に設定されている。そして、イベント実行部204は、ステップSP108の処理に移行する。
【0098】
(ステップSP106)
イベント実行部204は、演出処理として、スロット抽選の短縮演出処理を実行する。この際、イベント実行部204は、短縮演出処理に要する時間が、通常演出処理に要する時間よりも短くなるように演出処理を実行する。
【0099】
具体的には、ステップSP104と同様に、イベント実行部204は、表示部150を制御して図6(A)〜(C)に示すような演出画像を順次表示させる。ここで、短縮演出処理では、演出時間が、通常演出処理での演出時間に比べて短く設定されており、例えば2秒に設定されている。この演出時間を短くするには、例えば仮想リール302の回転スピードを上げたり、仮想リール302の回転数を少なくしたりすることが挙げられる。そして、イベント実行部204は、ステップSP108の処理に移行する。
【0100】
(ステップSP108)
イベント実行部204は、ステップSP100にて当選と判定した場合(Yes)にステップSP110の処理に移行し、ステップSP100にて落選と判定した場合(No)にステップSP112の処理に移行する。
【0101】
(ステップSP110)
イベント実行部204は、ボール送出部178を制御して、当選の種類に応じた数のボールB又はメダルMをフィールドF上に払い出させる払い出し処理を実行する。なお、このボールBは、例えばタイミング検出機28の落下口28AからフィールドF上へ払い出される。また、他の払出口をゲーム台10Aに設けて、当該他の払出口からボールBをフィールドF上へ払い出させるように構成してもよい。そして、ゲーム進行部202は、ステップSP22の処理に移行する。そして、イベント実行部204は、ステップSP112の処理に移行する。
【0102】
<判定処理>
次に、図7を用いて判定部206による判定処理について説明する。図7は、判定部206による判定処理の流れを示すフローチャートである。なお、この判定処理は、ゲーム進行部202が処理を行っている間、繰り返し行われる。
【0103】
(ステップSP200)
判定部206は、メダルゲームがプレイヤにより遊戯されているか否かを判定する。具体的には、判定部206は、プレイヤがメダル投入口18Bを通してメダルMを投入操作することでメダル投入検出部114がメダルMを検出した、すなわちメダルゲームの操作を検出したか否かを判定する。そして、判定部206は、肯定判定した場合にステップSP202の処理に移行し、否定判定した場合にステップSP204の処理に移行する。
【0104】
(ステップSP202)
判定部206は、メダルゲームの操作が検出されてからの時間tのカウントを開始する。なお、既にカウントしている場合には、判定部206は、一旦その時間tをリセットして、再度カウントを開始する。そして、判定部206は、ステップSP204の処理に移行する。
【0105】
(ステップSP204)
判定部206は、最後のメダルゲームの操作が検出されてから所定時間が経過したか否かを判定する。具体的には、判定部206は、カウントしている時間tが所定時間(例えば2分)を経過したか否かを判定する。そして、判定部206は、肯定判定した場合にステップSP208の処理に移行し、否定判定した場合にステップSP206の処理に移行する。
【0106】
(ステップSP206)
判定部206は、イベント実行部204に対して上述の通常演出処理の実行指示を出力する。具体的には、判定部206は、記憶部140に記憶されているフラグFGを倒す(FG=0)。そして、判定部206は、図7に示す一連の処理を終了する。
【0107】
(ステップSP208)
判定部206は、イベント実行部204に対して上述の短縮演出処理の実行指示を出力する。具体的には、判定部206は、記憶部140に記憶されているフラグFGを立てる(FG=1)。そして、判定部206は、図7に示す一連の処理を終了する。
これにより、上述したようにイベント実行部204は、ステップSP102で否定判定し、ステップSP106で演出処理に要する時間が、ステップSP104で演出処理に要する時間よりも短くなるように演出処理(短縮演出処理)を実行する。なお、このフラグFGを立てたとき、イベント実行部204が通常演出処理を実行している最中であれば、判定部206は、イベント実行部204に対して次回以降に新たに実行する演出処理に要する時間(演出時間)を短くすることになる。
【0108】
以上述べてきた通り、本実施形態によれば、イベント処理の終了を望んでいるプレイヤはゲームを遊戯しないようにすれば、判定部206がプレイヤは遊戯していないと否定判定し、イベント実行部204が実行するイベント処理に要する時間が肯定判定の場合に比べて短くなる。これにより、イベント処理が早く終了するので早期にイベント処理の結果(本実施形態ではメダルM等のフィールドFへの払い出し)を得ることができ、その結果ゲームの遊戯を止めることが可能となり、プレイヤが受ける待機ストレスを低減することができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、現在のイベント処理が終了しても、次回以降の新たなイベント処理の実行指示が保留されていれば、保留された実行指示に係る新たなイベント処理も順次実行される。このような場合でも、イベント実行部204は、少なくとも保留された実行指示に関して、判定部206が否定判定した場合のイベント処理に要する時間が、判定部206が肯定判定した場合のイベント処理に要する時間よりも短くなるようにイベント処理を実行する。これにより、少なくとも保留された実行指示に関する(新たな)イベント処理が早く終了するので、早期にイベント処理の結果を得ることができ、その結果ゲームの遊戯を止めることが可能となり、プレイヤが受ける待機ストレスを低減することができる。
【0110】
また、本実施形態によれば、イベント実行部204は、スロット抽選の演出処理に要する時間を短くするので、演出処理により実現される演出を通してその短縮をプレイヤに対して把握させ、より待機ストレスを低減することができる。
【0111】
また、本実施形態によれば、イベント処理の終了を望んでいるプレイヤは所定時間メダルゲームの操作をしないようにすることで、判定部206に対してプレイヤは遊戯していないと否定判定させることができるので、イベント処理に要する時間を短くするためのプレイヤによる手間を低減することができる。具体的には、本実施形態によれば、プレイヤは所定時間メダルMをゲーム装置10、すなわちフィールドFに投入操作しないようにすることで、判定部206に対してプレイヤは遊戯していないと否定判定させる。メダルゲームはメダルMを使用したゲームであり、それがゲーム装置10に投入されていないということは、プレイヤが遊戯していないことが明確であるため、判定部206はプレイヤが遊戯していないという判定を適切に行うことができる。
【0112】
<変形例>
本発明は上記の具体例に限定されるものではない。すなわち、上記の具体例に、当業者が適宜設計決定を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ、処理等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜決定することができる。また、前述した実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0113】
例えば、上記実施形態では業務用のメダルゲーム装置を例にして説明したが、イベント実行部204が実行するスロット抽選の演出処理は、ゲーム装置として携帯電話機等のモバイル端末で行われるゲームのスロット抽選の演出処理にも適用できる。
【0114】
また、上記実施形態では処理に要する時間が短くなるイベント処理がスロット抽選処理の演出処理である場合を説明したが、タワーチャレンジ処理等、他のイベント処理であってもよい。
【0115】
また、イベント実行部204は、スロット抽選の他に、他の抽選処理を実行することも可能である。他の抽選処理としては例えば、ルーレットであったり、籤、ビデオゲーム等の映像演出による抽選が挙げられる。
【符号の説明】
【0116】
10:ゲーム装置
114:メダル投入検出部(検出部)
140:記憶部
202:ゲーム進行部
204:イベント実行部
206:判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7