特許第6663615号(P6663615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6663615加圧下の液体の分配のための補償された小型の圧力調整器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663615
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】加圧下の液体の分配のための補償された小型の圧力調整器
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/196 20060101AFI20200302BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20200302BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20200302BHJP
   G05D 16/10 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   F16K17/196 A
   F16K27/02
   F16K31/44 D
   G05D16/10 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-564327(P2017-564327)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公表番号】特表2018-521274(P2018-521274A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】FR2015000117
(87)【国際公開番号】WO2016198752
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2018年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】517427026
【氏名又は名称】エーディー ヴェンタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】ミュッソ ジャン−リュック
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第00536796(GB,A)
【文献】 実開昭59−058260(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/196
F16K 27/02
F16K 31/44
G05D 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下の液体のための補償された圧力調整器であって、
中空本体部(1)と、
高圧力下の液体のための少なくとも一つの流入口(17)と、
下流の膨張チャンバ(13)からの低圧力下の液体のための少なくとも一つの出口(18)と、
前記中空本体部(1)の円筒形の孔内をスライドする移動可能な調整部品(23)と、を備え、
前記調整部品(23)は、一方側に低圧力がかかり、他方側に膨張ばね要素(5、20)を有するピストンを形成し、高圧力の液体の流入を停止させることができ、
−この補償された圧力調整器は、二つのヘッド(12)を有する略円筒形状の部品(2)を含み、その二つの部分的な内側の面及び対向する面(28、28)は、略等しい表面であり、これらの二つの部分的な内側の面(28、28)、前記部品(2)を気密に囲む周囲の孔(22)の一部、及びこの孔(22)と一体のシール(9)は、高圧力チャンバ(14)を規定し、そして前記二つのヘッドを有する前記部品(2)及びこの孔(22)は、互いに対して移動可能であり、
−高圧力の液体のための流入口(17)は、この高圧力チャンバ(14)内部を横方向に現れ、液体は、移動可能な調整部品(23)に、互いに打ち消し合う負荷を伝達し、そして前記移動可能な調整部品(23)の変位は、高圧力の変化によっては変更されず、
−前記移動可能な調整部品(23)は、高圧力の液体の前記流入口(17)を停止させ、前記下流の膨張チャンバ(13)内の圧力が、前記移動可能な調整部品(23)上の前記ばね要素(5、20)によって付与される対向する力よりも大きな力を伝達するときに、前記下流の膨張チャンバ(13)の前記低圧力側の上に位置する前記ヘッド(12)の気密な前記シール(9)を保持することにより、気密な方法で、前記高圧力チャンバ(14)を前記下流の膨張チャンバ(13)から隔離して、
−そして、前記低圧力が、前記膨張チャンバ(13)内に、前記移動可能な調整部品(23)の上に前記ばね要素(5,20)によって付与される前記対向する力よりも小さな力を伝達するとき、相互に、この移動可能な調整部品は、前記高圧力チャンバ(14)から前記膨張チャンバ(13)への前記高圧力の液体のための前記流入口を開き、
前記二つのヘッド(12)を有する前記略円筒形状の部品(2)は、移動可能な調整部品(23)と呼ばれる前記移動可能な調整部品(23)であり、その端部は前記高圧力チャンバ(14)を規定する前記ヘッド(12)の領域よりも大きな領域のヘッド(26)を形成し、その外面の上にそれぞれ、一方に、前記膨張ばね要素(5、20)を、他方に低圧力の液体を有し、そしてこの部品(223)は、前記中空本体部(1)と一体の前記孔(22)の内部をスライドし、
前記二つのヘッド(12)を有する前記移動可能な調整部品(23)又は前記部品(2)が、前記高圧力の流入口(17)を開くときに、前記高圧力の流入口(17)から前記液体を受け入れる第1の下流膨張チャンバ(13)と、前記移動可能な調整部品(23)の大きな領域の前記ヘッド(26)の他方に位置する第2の膨張チャンバ(13)と、の間に接続ダクト(24)が配置されることを特徴とする、補償された圧力調整器。
【請求項2】
前記膨張ばね要素(5,20)の推力を調整するための装置(4)を含み、該調整装置(4)は、前記移動可能な調整部品(23、23)の移動と同軸であり、その調整により、前記膨張ばね要素(5,20)の最大圧縮圧力を、前記高圧力の液体の前記流入口(7)の停止位置で決定し、前記低圧力の値を決定することを特徴とする、請求項1に記載の補償された圧力調整器。
【請求項3】
前記調整装置(4)は、前記中空本体部(1)の前記軸の内部にねじ留めされたボルトであり、孔(20)内で機械的な膨張ばね(5)を受け入れ、その孔(22、29)が延びる中にねじ込まれ、その中を前記移動可能な調整部品(23、23)がスライドすることを特徴とする、請求項2に記載の補償された圧力調整器。
【請求項4】
前記膨張ばね要素(5,20)及びチャンバ(20)からなる前記調整装置(4)は、前記孔(22,29)の延伸部にねじ込まれ、そこで前記移動可能な調整部品(23、23)はスライドし、所与の調整可能な基準圧力の液体は、所望の低圧力がかかる前記移動可能な調整部品(23、23)の反対側の前記移動可能な調整部品(23、23)のヘッド(12、26、30)の表面に推力をかけるように維持することを特徴とする、請求項2に記載の補償された圧力調整器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧力調整器を含むヘッドタンクであって、該圧力調整器はタンクのヘッドに組み込まれ、前記圧力調整器の前記本体部(1)に対応する前記ヘッドの本体部(1)は、加圧下の液体を貯留するためのタンク(27)の首部の上に固定されることができ、前記高圧力の液体のための前記流入口のオリフィス(7)は、前記タンク(27)内に位置し、前記出口のオリフィス(8)は、前記タンク(27)の外側に位置することを特徴とする、ヘッドタンク。
【請求項6】
注入ダクト(25)を含み、該注入ダクト(25)は前記本体部(1)を通り、前記高圧力下の前記液体で前記タンク(27)を満たすことが可能であることを特徴とする、請求項5に記載のヘッドタンク。
【請求項7】
前記膨張ばね要素(5,20)の圧縮力を解放することができる緊急停止装置(41)を含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載のヘッドタンク。
【請求項8】
加圧下の液体のための補償された圧力調整器であって、
中空本体部(1)と、
高圧力下の液体のための少なくとも一つの流入口(17)と、
下流の膨張チャンバ(13)からの低圧力下の液体のための少なくとも一つの出口(18)と、
前記中空本体部(1)の円筒形の孔内をスライドする移動可能な調整部品(23)と、を備え、
前記調整部品(23)は、一方側に低圧力がかかり、他方側に膨張ばね要素(5、20)を有するピストンを形成し、高圧力の液体の流入を停止させることができ、
−この補償された圧力調整器は、二つのヘッド(12)を有する略円筒形状の部品(2)を含み、その二つの部分的な内側及び対向する面(28、28)は、略等しい表面であり、これらの二つの部分的な内側の面(28、28)、前記部品(2)を気密に囲む周囲の孔(22)の一部、及びこの孔(22)と一体のシール(9)は、高圧力チャンバ(14)を規定し、そして前記二つのヘッドを有する前記部品(2)及びこの孔(22)は、互いに対して移動可能であり、
−高圧力の液体のための流入口(17)は、この高圧力チャンバ(14)内部を横方向に現れ、液体は、移動可能な調整部品(23)に、互いに打ち消し合う負荷を伝達し、そして前記移動可能な調整部品(23)の変位は、高圧力の変化によっては変更されず、
−前記移動可能な調整部品(23)は、高圧力の液体の前記流入口(17)を停止させ、前記下流の膨張チャンバ(13)内の圧力が、前記移動可能な調整部品(23)上の前記ばね要素(5、20)によって付与される対向する力よりも大きな力を伝達するときに、前記ヘッド(12)の気密な前記シール(9)を保持することにより、気密な方法で、前記高圧力チャンバ(14)を前記下流の膨張チャンバ(13)から隔離して、
−そして、前記低圧力が、前記膨張チャンバ(13)内に、前記移動可能な調整部品(23)の上に前記ばね要素(5,20)によって付与される前記対向する力よりも小さな力を伝達するとき、相互に、この移動可能な調整部品は、前記高圧力チャンバ(14)から前記膨張チャンバ(13)への前記高圧力の液体のための前記流入口を開き、
前記二つのヘッド(12)を有する略円筒形状の部品(2)は、前記中空本体部(1)に対して固定されており、前記移動可能な調整部品(23)は、前記孔(22)及び前記二つのヘッド(12)を有する略円筒形状の部品(2)の周囲をスライドする前記シール(9)を有し、この移動可能な調整部品(23)自体は、前記中空本体部(1)の他の孔(29)内をスライドすることを特徴とする、補償された圧力調整器。
【請求項9】
加圧下の液体のための補償された圧力調整器を含むヘッドタンクであって、
前記圧力調整器は、
中空本体部(1)と、
高圧力下の液体のための少なくとも一つの流入口(17)と、
下流の膨張チャンバ(13)からの低圧力下の液体のための少なくとも一つの出口(18)と、
前記中空本体部(1)の円筒形の孔内をスライドする移動可能な調整部品(23)と、を備え、
前記調整部品(23)は、一方側に低圧力がかかり、他方側に膨張ばね要素(5、20)を有するピストンを形成し、高圧力の液体の流入を停止させることができ、
−この補償された圧力調整器は、二つのヘッド(12)を有する略円筒形状の部品(2)を含み、前記部品(2)は前記移動可能な調整部品(23)であり、その二つの部分的な内側の面及び対向する面(28、28)は、略等しい表面であり、これらの二つの部分的な内側の面(28、28)、前記部品(2)を気密に囲む周囲の孔(22)の一部、及びこの孔(22)と一体のシール(9)は、高圧力チャンバ(14)を規定し、そして前記二つのヘッドを有する前記部品(2)及びこの孔(22)は、互いに対して移動可能であり、
−高圧力の液体のための流入口(17)は、この高圧力チャンバ(14)内部を横方向に現れ、液体は、移動可能な調整部品(23)に、互いに打ち消し合う負荷を伝達し、そして前記移動可能な調整部品(23)の変位は、高圧力の変化によっては変更されず、
−前記移動可能な調整部品(23)は、高圧力の液体の前記流入口(17)を停止させ、前記下流の膨張チャンバ(13)内の圧力が、前記移動可能な調整部品(23)上の前記ばね要素(5、20)によって付与される対向する力よりも大きな力を伝達するときに、前記下流の膨張チャンバ(13)の前記低圧力側の上に位置する前記ヘッド(12)の気密な前記シール(9)を保持することにより、気密な方法で、前記高圧力チャンバ(14)を前記下流の膨張チャンバ(13)から隔離して、
−そして、前記低圧力が、前記膨張チャンバ(13)内に、前記移動可能な調整部品(23)の上に前記ばね要素(5,20)によって付与される前記対向する力よりも小さな力を伝達するとき、相互に、この移動可能な調整部品は、前記高圧力チャンバ(14)から前記膨張チャンバ(13)への前記高圧力の液体のための前記流入口を開き、
該圧力調整器はタンクのヘッドに組み込まれ、前記圧力調整器の前記本体部(1)に対応する前記ヘッドの本体部(1)は、加圧下の液体を貯留するためのタンク(27)の首部の上に固定されることができ、前記高圧力の液体のための前記流入口のオリフィス(7)は、前記タンク(27)内に位置し、前記出口のオリフィス(8)は、前記タンク(27)の外側に位置し、
注入ダクト(25)を含み、該注入ダクト(25)は前記本体部(1)を通り、前記高圧力下の前記液体で前記タンク(27)を満たすことが可能であることを特徴とする、ヘッドタンク。
【請求項10】
前記膨張ばね要素(5,20)の圧縮力を解放することができる緊急停止装置(41)を含むことを特徴とする、請求項9に記載のヘッドタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の課題は、加圧下の液体の分配のための補償された小型の圧力調整器と、この圧力調整器を組み込んだヘッドタンクである。
【0002】
本発明の技術領域は、例えばガスのような加圧下の液体のための膨張装置の生産及び使用の分野である。その目的は、決められた圧力まで膨張させられた加圧された液体を、注入口の加圧された液体と独立して運搬するためのものである。
【背景技術】
【0003】
第1のいわゆる高圧力から、高圧力よりも低い第2のいわゆる低圧力まで、加圧された液体を膨張させるために、膨張装置、より単純には圧力調整器と呼ばれているものを使用することが実務上知られている。
【0004】
圧力調整器の動作原理は、完全に公知である。それは、直接的又は間接的に働く二つの力が均等であることに基づいている。膜又はピストンのような移動可能な調整部品のいずれかの側に、一方で、高圧力及び低圧力の液体を通して、また他方で、いわゆる膨張又は補正ばね効果の要素とともに、力が働く。このように、もっともありふれた場合、ばね要素の関連する力が、低圧力及び高圧力の液体によって伝達される力と反対側に働き、この液体は、二つのチャンバを二つの異なる圧力で満たす。チャンバは、ダクトが設けられた隔壁で分離される。ダクトの中で、移動可能な調整部品と一体のロッドがスライドする。また、移動可能な調整部品は、高圧力から低圧力への方向にダクトを閉鎖するバルブ(弁)を含む。低圧力、及び高圧力の液体によって伝達された力が、ばねによって伝達される対向する力よりも弱いとき、ばねによって伝達される力は、そのバルブがロッドの上に配置されている移動可能な調整部品を押し、高圧力下の液体のための流入口を開く。ばねによって伝達される力は、ばねによって伝達される力が、ばね要素の対向する力と均等か、それよりも大きい、移動可能な調整部品の上の力を作用させることができるようになるまで、増加することで、このようにチャンバに低圧力で供給される。この大きな方の力は、高圧力下の液体のための流入口が閉じられるまで移動可能な調整部品を押す等する。これらの力のバランスにより、決定されたばね要素のスラストバルブのために、ある程度一定で所望の低圧力で、液体が確実に運搬され、それは調整可能である。
【0005】
しかしながら、公知の圧力調整器のほとんどでは、膨張する液体の高い圧力が大きな変動を受けると、対応する移動可能な調整部品上の力は変動し、バルブはもはや同時に開けられることはなくなる。これによって、このバルブを通って膨張した液体の低圧力が変動し、操作性及び効率が悪くなる。そして、圧力調整器の下流に位置し、圧力調整器から低圧力の液体を直接的に受け入れる使用者の機器に乱れが生じる。
【0006】
それぞれの圧力調整器は、したがって、非常に有害なこの特性を表す「ダイナミック膨張曲線」を有する。この欠点を緩和させるため、いくつかの公知の圧力調整器の種類は、入口の圧力が異なるときに、入口の圧力と独立して出口に圧力をもたらすという目的を持って開発され、多かれ少なかれ達成されている。例えば、
−二つの段階があり、
−従来のタイプでは、高い圧力の影響を消すが、圧力調整器の単純化や小型化を損なう、いわゆる「補償された」バルブを追加的に有する。
−EP362166、FR2879721、FR2050407の特許出願に記載されているように、これらは転倒型と呼ばれ、循環し、変位の方向に直角な面にかかる高い圧力により、ばね要素によって、バルブを開く方向にかかる力及び調整部品の表面に低い圧力で液体によってかかる、バルブを閉じようとする傾向がある力との両方と比較して、ほぼゼロの力を移動可能な調整部品上に生じさせるように設計される。
【0007】
上記のすべての公知の圧力調整器の種類は、入口の圧力が異なるときに、入口の圧力と独立して出口の圧力をもたらす傾向がある。しかしながら、開発された解決方法は、はるかに複雑で、常に期待する結果を得られるものではなく、小型で単純な圧力調整器を生産するようになされたものではない。このため、本発明の目的は、生産及び組み立ての簡易化の両方に関するこれらの主な欠点を緩和し、これによるコスト、製品の小型化及びその信頼性に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、新規で進歩的な方法で補償され、小型で製造が単純な圧力調整器に関する。圧力調整器は、加圧下の液体のための流入ダクトがどのようなタイプであっても、取り付けることができ、高い圧力の液体の源を、低い圧力で作動させている使用者の機器に最も直接的に繋げるか、又は当該源と使用者の機器を直接的に繋げるか、又は分配ヘッダーを構成するタンクに直接的に繋げて、入口の圧力と異なるときに、入口の圧力と独立して、一定した低い出口の圧力を確実に分配し、そしてこの低い圧力の分配を容易に調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、加圧下の液体のための補償された圧力調整器を通して達成される。本発明における圧力調整器は、知られているように中空の本体部と、いわゆる高い圧力の液体のための少なくとも一つの流入口と、下流の膨張チャンバからのいわゆる低い圧力の液体のための少なくとも一つの出口と、中空の本体部における円筒状の孔内をスライド移動する移動可能な調整部品であって、ピストンを形成し、一方に低い圧力を、他方にいわゆる膨張ばね要素を有し、高圧力下の液体の流入を停止させることができる調整部品と、を含む。
−圧力調整器は、好ましくは回転し、ロッド(軸部)を形成する小さな領域の円筒形の部分によって離間され、繋げられる二つのヘッドを有する略円筒形状の部品を含む。ロッドの二つの部分的な内側の対向する面は、ほぼ均等な表面である。これらの二つのいわゆる部分的な内面、部品を気密に取り巻く孔の一部、及びこの孔と一体のシールは、高圧チャンバを規定する。この二つのヘッドを有する部材とこの穴は、互いに対して移動可能である。
−高圧力の液体の流入は、高圧力チャンバ内を横方向に現れる。液体は、互いに打ち消しあう負荷を移動可能な調整部品に伝達し、移動可能な調整部品の変位は、高圧力の変化によって変更されない。
−移動可能な調整部品は、高圧力の液体の流入を停止させ、移動可能な調整部品の上のばね要素によって付与される対向する力よりも大きな力を、圧力が下流の膨張チャンバ内に伝達するときに、下流の膨張チャンバの低圧力の側に位置するヘッドを密封することで、下流の膨張チャンバから高圧力チャンバを、密封して隔離する。
−そして、相互に、この移動可能な調整部品は、移動可能な調整部品の上にばね要素によって付与される対向する力よりも小さい力を、低圧力が膨張チャンバに伝達するとき、高圧力チャンバから、膨張チャンバに向かって高圧力の液体のための流入口を開く。
【0010】
第1実施形態によれば、二つのヘッドを有する略円筒形状の部品は、当該移動可能な調整部品であり、その外面上に、一方に膨張ばね要素を、他方に低圧力の液体をそれぞれ担う。この部品は、中空本体部と一体の孔の内部をスライドする。
【0011】
第2の実施形態によれば、二つのヘッドを有する略円筒形状の部品は、中空本体部に対して固定されており、移動可能な調整部品は、孔とシールを有する独立した第2の部品である。この移動可能な調整部品は、二つのヘッドを有する略円筒形状の部品の周りをスライドし、またそれ自体が中空本体部の別の孔の内部をスライドする。
【0012】
課題はヘッドタンクによっても達成される。ヘッドタンク内には高圧力下の液体が貯留され、上記の圧力調整器を含み、圧力調整器は、上記のヘッドに組み込まれ、ヘッドの本体部は、圧力調整器の本体部に対応している。圧力調整器は、タンクの首部分の上に固定されることができ、圧力調整器内の高圧力での液体のための流入オリフィスが、タンク内部に配置されており、出口オリフィスは、タンクの外に配置されている。
【0013】
その結果は、上記課題を満たす新規なヘッドタンクとともに、加圧下の液体のための新規な補償された圧力調整器であり、効果は、移動可能な圧力調整器が高圧力の効果に曝されない。なぜなら、本発明によれば、高圧力は、一方ではこの移動可能な部品の変位に直角でのみかかり、及び/又は他方では高圧力の液体によって伝達される力と反対の及び等しい表面にかかるからである。そのような圧力調整器は、完璧に補正され、出口で、信頼できる方法で、高圧力が変化したときでも、高い入口の圧力の値と独立して、一定した低圧力の液体を分配する。加えて、この低い圧力の分配は、以下に説明するように、容易に調整できる。
【0014】
さらに、構成部品の配置及び主な部品は、すべて同軸であり、互いに入れ子にされるか、及び/又はねじ止めされることができる。これにより単純に製造及び取付ができるようになり、以下に示され述べられる実施例のように、得られる圧力調整器は非常に小型である。
【0015】
本発明の他の効果が述べられるが、しかし、上記は新規性及びその利益を証明するために、すでに十分示している。
【0016】
以下の記述及び添付の図面は、本発明の四つの実施形態を示す。しかし、これらに限定されるものではない。他の実施形態が、本発明の範囲及び広がりの文脈の中で可能である。
【0017】
実際、発明が特定の例示的な実施形態に関連して述べられたとしても、これに限定されたものではないことは明らかであり、反対に、当業者によって明らかな変更や変形に対して開かれており、述べられる手段の全ての技術的要素及びその組み合わせを、組み合わせが本発明の範囲内である限り、ともに含むことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態による圧力調整器の軸方向断面図である。
図2】本発明の圧力調整器の軸方向の断面図である。
図3】本発明の第2実施形態による圧力調整器の軸方向断面図である。
図4】本発明の高圧力の液体を含むヘッドタンクの軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態による圧力調整器の軸方向断面図である。圧力調整器は、移動可能な調整部品でもある、二つのヘッドを有する略円筒形状の部品のヘッドにかかる膨張ばね要素によって、低圧力を調節する。ヘッドの膨張ばね要素との接触面は、下流の膨張チャンバに対応する面と等しい面である。
【0020】
図2は、図1と同様に、本発明の圧力調整器の軸方向の断面図である。圧力調整器は、同じ移動可能な部品のヘッドの上にかかる膨張ばね要素によって低圧力を調節し、しかし、その接触面は、下流の膨張チャンバの対応する面よりも大きく、このために調節感度が縮小され、入口の高圧力の値が何であろうと、所望の低圧力のよりよい制御が可能になる。
【0021】
図3は、図1及び2と同様に、本発明の第2実施形態による圧力調整器の軸方向断面図である。圧力調整器は、移動可能な調整部品のヘッドにかかる膨張ばね要素によって低圧力を調整する。移動可能な調整部品は、固定される二つのヘッドを有する略円筒形状の部品に対してスライドする。
【0022】
図4は、これ以前の図と同様に、高圧力の液体を含むヘッドタンクの軸方向断面図である。ヘッドは、図1に示されるタイプの圧力調整器を組み込んでおり、圧力調整器は、低圧力の加圧下の液体の出口を有し、タンク及び非常停止装置の外側に配置されていることが明らかである。
【0023】
本発明の圧力調整器は、軸XX’の実質的に管状で円筒形の中空本体部1を含み、圧力下の液体に対して相性がよく気密になる物質で製造され、いくつかの部品のうち、主なものは同じ軸XX’を有し、互いに入れ子にされるか、ねじで留められる。それは、
−高い圧力下の液体のための流入口17、下流の膨張チャンバ13からの低い圧力下の液体のための少なくとも一つの出口18と、
−中空本体部1の円筒形の孔内をスライドし、ピストンを形成する移動可能な調整部品23と、を含み、この移動可能な調整部品23は、一方側ではこの孔の軸に沿って一方向に低圧力にさらされ、他方側では反対側に、いわゆる膨張ばね要素5、20の力にさらされる。
−略円筒形の部品2は、好ましくは回転し、ロッドと呼ばれる小さな領域の円筒形の部分によって繋げられるとともに離間される二つのヘッド12を有する。二つの部分的で内側にある、対向する面28、28の軸XX’に沿うロッドの突起は、ほぼ等しい表面である。これらの二つのいわゆる部分的な内側の面28、28、部品2を気密に囲む孔22の一部、及びこの孔22と一体のシール9は、高圧力のチャンバ14を規定する。高圧力のチャンバ14、二つのヘッドを有する部品2によって自由体積に対応し、二つのヘッドと孔22は、互いに対して移動可能である。
【0024】
高圧力の液体のための流入口17は、一以上のオリフィス7を通して、この高圧力チャンバ14に横方向に現れる。液体は、移動可能な調整部品23に半径方向か、又は軸XX’に沿って、負荷を伝達するが、負荷が等しく、そして面28、28の反対の面にかかるため、消去される。そして、移動可能な調整部品23の変位は、高圧力の変形によっては修正されない。
【0025】
このチャンバ13におけるいわゆる低圧力が、高圧力の液体の流入によって増加することにより、追加的な可能な戻りばね6の助力を得て、ばね要素5、20の対向する力と釣合をとるときに、移動可能な部品23は、膨張チャンバ13への高圧力の液体の流入口17を停止する。低圧力が増加することで、移動可能な調整部品23は、高圧力の流入が停止するまで戻り、高圧力のチャンバ14は、下流の膨張チャンバ13から気密に隔離される。
【0026】
膨張チャンバ13の圧力が移動可能な調整部品23の上のばね要素5、20によって付与される対向する力よりも大きな力を伝達するとき、下流の膨張チャンバ13の低圧力側に位置するヘッド12の気密シール9を有することにより、このように停止し、気密性が得られる。そして、相互に、膨張チャンバ13内の液体が、出口18を通ってこの膨張チャンバ13から加圧下の液体が出ることで、移動可能な調整部品23の上のばね要素5、20から付与される対向する力よりも小さな力を伝達するときに、移動可能な調整部品23は、高圧力チャンバ14から膨張チャンバ13への高圧力の液体のための流入口を開く。ばね要素5、20は再び、しかし反対の方向に、この移動可能な部品23を移動させることで開口させる等を行う。
【0027】
図1、2及び4の実施形態によれば、二つのヘッド12を有する略円筒形状の部品2は、また、移動可能な調整部品23と呼ばれ、それぞれの外表面において、一方に膨張するばね要素5、20を、他方に低圧力の液体を担い、そして、この部品2、23は、中空本体部1と一体の孔22内をスライドする。
【0028】
ロッドによって繋げられる二つのヘッド12を有する略円筒形状のこの移動可能な部品2、23はピストンであり、それぞれのヘッドが端部を形成し、そのそれぞれの外表面には、直接的又は間接的に、
−第1の12、26にとって、膨張ばね要素は、らせんばね5であってよく、又は密閉されたチャンバ20内に位置する基準圧力における圧力下の液体であるか、又はばね及び圧力下の液体の両方であり、
−第2の12にとって、低圧力の圧力下の液体、及び戻りばね6であってよい。移動可能な部品2の第1のヘッド12は、スリーブ内のピストン機関のように、周囲のO−リングシール10及びはみだし防止リング15よって気密にされた孔22内をスライドする。第2のヘッド12は、下流の膨張チャンバ13を気密でない方法でスライドする。下流の膨張チャンバ13は、実際には、好ましくは少し半径が大きな孔22の延長部である。
【0029】
これらの二つのヘッド12の外径は等しく、第1のヘッド12に軸方向XX’に向き合うように配置されている第2のヘッド12の内側の周囲の縁21は、平たくて厚い、又はO−リングのシール9に向かって気密に支持している。低圧力チャンバ13及び高圧力チャンバ14の間に配置されるこのシール9は、孔22の端部に作られる肩部と、いわゆる底部部品3の端部との間に保持されている。
【0030】
底部部品3は、22よりも径が大きく形成された孔内にねじ込まれ、横方向の針11により所望の位置に固定される。孔では、移動可能な部品2が、同じ軸XX’に沿ってスライドする。この底部部品3は中空で、ヘッド12の径よりも大きく、膨張チャンバ13を形成して、戻りばね6を含む部分と、図1及び図2に示すモードによれば、外側に向かって開口しており、低圧力の出口オリフィス18を構成する他の部分と、を有する。この出口オリフィス18を囲む外側の部分は、接続端部−取付18を構成する。
【0031】
この低圧力出口8は、図1及び図2で圧力調整器の軸方向XX’に、これらの図で下方に方向づけられて示される(もし図が反対の方向に示されれば、他の方向となるが)。しかし、この底部部品3の開口した部分、及び/又は中空本体部1自体は、図4に示されるように閉じられることができ、低圧力出口8は、低圧力膨張チャンバ13と出口オリフィスを繋げる接続ダクトか何かによって、例えば圧力調整器の中空本体部1の壁を通して横にして配置されてもよい。
【0032】
シール9は、ヘッド12の外径よりも大きな外径を有する。また、シール9は、ヘッド12の外径よりも小さいが、ヘッド12の狭い領域の中央部よりも大きいか、又は、二つのヘッドを繋いで、高圧チャンバ14を規定するピストン2のロッドよりも大きな径の内径を有する。
【0033】
第2のヘッド12の内側の周縁21は、わずかに内側にカーブして、シール9に対してその端部が気密になることを確実にする。そして、この位置で、この第2のヘッド12の部分的な内側面の表面を、孔22の壁とピストン2のロッドの間に規定される第1のヘッド12の部分的な内側面に対応する反対の内面と等しく、よく規定する。
【0034】
図2によれば、移動可能な調整部品23の端部又は二つのヘッドを有する部品2は、ばね要素5、20を支持するように受け入れ、高圧力チャンバ14を規定するヘッド12の領域よりも大きな領域のヘッド26を形成する。接続ダクト24は、二つのヘッド12を有する移動可能な調整部品2が高圧力の流入口17を開いたときに、高圧力の流入口17から液体を受け入れる第1の下流膨張チャンバ13と、移動可能な要素23の大きい領域におけるヘッド26の他の側に位置する第2の膨張チャンバ13と、を繋げる。
【0035】
ヘッド26の表面の大きな領域は、それから、高圧力の入力にも関わらす、所望の低圧力の値をよりよく制御できるように感度調整を縮小する。
【0036】
図3に示す実施形態では、活性化している要素の配置は反対である。二つのヘッド12を有する略円筒形状の部品2は、中空本体部1に対して固定され、移動可能な調整部品23は、孔22及び二つのヘッド12を有する略円筒形状の部品2の周囲をスライドするシール9を有し、移動可能な調整部品23は、それ自体が中空本体部1の他の孔29内をスライドする。
【0037】
この構成で、部品2が固定されていた場合でも、部品2が高圧力の届く円筒形状であり、孔22の周りを部品2が気密にスライドするため、高圧力の効果は移動可能な調整部品23の変位に対して直角にのみかかる。そして、穴22がシール9のような非円筒形の表面を有していたとしても、ヘッド12の内側の面28のように、これらは対向して等しい表面を有する。そしてそのために、高圧力下の液体によって非円筒形の表面に伝えられた力は、消える。
【0038】
作動原理は図1及び2の他の実施形態と同じであるが、高圧力の液体の流入が異なり、高圧力の液体は、二つのヘッド2を有する固定された部品の内部を通って7、17に到着し、二つのヘッド12の間のチャンバ14に現れる。シール9を保持するのは部品3であり、ヘッド12の周りの気密性を確実にし、膨張チャンバ13には接続されない。膨張チャンバ13は、ここで調整部品23の下部を囲み、そして、図2と同様に、ばね要素5、20を支持するように受け止めるそのヘッドは、高圧力チャンバを規定する部品2のヘッド12の領域よりも大きな領域である。ここでもまた、感度調整を縮小して、高圧力の値の入力にもかかわらず、所望の低圧力の値のよりよい制御が可能になる。
【0039】
上記述べた全ての実施形態において、圧力調整器は、いわゆる膨張ばね要素5、20の推進力(スラスト)を調整する装置4を含んでいる。調整する装置4は、移動可能な調整部品23、23の動きに対して同軸で、これを調整することにより、いわゆる膨張ばね要素5、20の最大圧縮力を、高圧力の液体の流入口7の停止位置に位置決めすることができ、低圧力の値を決定する。
【0040】
図1及び2に示されるように、調整装置4は、中空本体部1の軸の中に締結されるボルトであり、孔20の中で機械的ないわゆる膨張ばね5を受け入れ、そして移動可能な調整部品23、23がスライドする22、29の延伸部の中にねじ込まれる。
【0041】
どの実施形態であっても、特に図3によれば、いわゆる膨張ばね要素5、20及び調整装置4は、孔22、29の延伸部の中に開けられたチャンバ20により構成される。チャンバ20では、移動可能な調整部品23、23がスライドする。そして、調整可能な基準圧力が付与された液体は、その反対側に所望の低圧力がかかる移動可能な調整部品23、23のヘッド12、26、30の表面にスラスト軸受けを維持する。
【0042】
図4は、高圧力下の液体を貯留するタンク27のヘッドを示す。このヘッドは、これまでに述べた特徴の、より詳細には図1の実施形態による、圧力調整器を有する。この圧力調整器は、ヘッドに組み込まれ、圧力調整器の本体部1に対応する本体部1は、タンク27の壁27の首部の上に固定される。
【0043】
圧力調整器の軸XX’は、タンクの壁27の接線方向であり、高圧力の液体のための流入口オリフィス7は、タンク27内に配置され、出口オリフィス8は、タンク27の外に配置される。
【0044】
圧力調整器又はヘッドタンクはまた、注入ダクト25を含む。注入ダクト25は、本体部1を通り、高圧チャンバ14に現れる。このようにして、タンク27は、ヘッドタンク又はタンク自体のシェルを通る他の通り道を必要とせずに、高圧力下の液体で満たされる。
【0045】
ここで示されない実施形態では、圧力調整器の軸XX’が、タンクの首部の軸にあり、高圧力のダクトは、高圧チャンバ14をタンクの内部及び注入のために外部の両方に繋ぎ、そして他の低圧力ダクトが低圧力チャンバ13を外側に繋げる。
【0046】
圧力調整器又はヘッドタンクはまた、非常用停止装置4を低圧力液体出口のために含む。この装置4は、いわゆる膨張ばね要素5、20の圧縮力を解放することができ、例えばハンドル4のように、圧力調整器又はヘッドタンクの本体部1の近位端に接合され、その遠位側の後ろ側に曲がった自由端を手動で引くことで、ばね要素5を保持する調整装置4を変位させる。ばね要素5はするともはや調整部品2を保持せず、これにより閉鎖位置に残り、低圧力出口にはもはや供給されない。
図1
図2
図3
図4