(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたカップホルダは、上記したとおり、単一のラック・ピニオンで稼働するため、カップトレイと規制体とが水平に昇降しない場合がある。一方で、特許文献2に記載された容器ホルダ装置は、上記したとおり、回転軸が棒状であり、下部枠体の両端に渡って直線的に配置されているため、回転軸やラック・ピニオンのレイアウトが限られる。そのため、レイアウトを柔軟に設計することができない。
【0007】
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、レイアウトを柔軟に設計することができ、二つの部材を素早く、かつ、安定して連動させることができる連動機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る連動機構は、第一部材または第二部材の少なくとも一方を、前記第一部材と前記第二部材とが離れる方向または近づく方向に移動させる連動部材が備えられた連動機構であって、前記連動部材が、前記第一部材と前記第二部材とを連結する複数の連結伝達部材と、前記連結伝達部材同士を連結すると共に自在に非線状に変形する変形伝達部材とから構成され、前記第一部材または前記第二部材の少なくとも一方が移動すると共に、この移動方向に回転する前記変形伝達部材を介して複数の前記連結伝達部材が連動する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る連動機構は、前記第一部材は、移動方向に向けて複数の第一ラックが備えられ、前記第二部材は、移動方向に向けて複数の第二ラックが備えられ、前記連結伝達部材は、前記第一ラックと前記第二ラックとを噛み合わせるギヤである、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る連動機構は、前記変形伝達部材が密着コイルバネであり、前記第一部材または前記第二部材の少なくとも一方が移動すると共に前記密着コイルバネが圧縮する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る連動機構は、前記変形伝達部材がワイヤであり、前記第一部材または前記第二部材の少なくとも一方が移動すると共に前記ワイヤが圧縮する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る連動機構は、前記連結伝達部材の中心に孔が形成され、この孔に通された前記変形伝達部材を介して前記連結伝達部材同士が連結された、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る連動機構は、前記第一部材に、収容物の側面を支持する収容物支持部が備えられ、
前記第二部材に、収容物が載置される座面部が備えられ、前記第一部材または前記第二部材が移動する前において前記収容物支持部の内周側に前記第二ラックが配置され、前記第一部材または前記第二部材が移動した後において前記座面部の周囲に前記第一ラックが配置され、前記連動部材が、前記第一部材と前記第二部材との間に配置された、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る連動機構は、前記収容物支持部および前記座面部が、移動方向を軸とした円形である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る連動機構は上記した構成である。すなわち、変形伝達部材が、自在に湾曲し、または屈曲することで、非線状に変形する。したがって、連動部材のレイアウトが自由であり、レイアウトを柔軟に設計することができる。また、第一部材または第二部材が移動する方向に変形伝達部材が回転することで、各連結伝達部材がほぼ同時に連動するため、素早く、かつ、安定して第一部材または第二部材を移動させることができる。
【0016】
本発明に係る連動機構によれば、第一部材は、移動方向に向けて複数の第一ラックが備えられ、第二部材は、移動方向に向けて複数の第二ラックが備えられ、連結伝達部材は、第一ラックと第二ラックとを噛み合わせるギヤである。この構成により、第一部材または第二部材が移動することで、第一部材または第二部材が移動する方向に、ラックを介してギヤが回転すると共に変形伝達部材が回転し、変形伝達部材を介して各ギヤがほぼ同時に回転する。同時に、各ラックを介して第一部材および第二部材が相対的に移動する。したがって、素早く、かつ、安定して第一部材および第二部材を相対的に移動させることができる。
【0017】
本発明に係る連動機構は、変形伝達部材が密着コイルバネであり、第一部材または第二部材の少なくとも一方が移動すると共に密着コイルバネが圧縮する。すなわち、密着コイルバネが自在に湾曲するため、連動部材のレイアウトを柔軟に設計することができる。また、第一部材または第二部材が移動する方向に密着コイルバネが捩られることで、密着コイルバネが圧縮して剛性が高まり、各連結伝達部材がほぼ同時に連動する。したがって、素早く、かつ、安定して第一部材または第二部材を移動させることができる。
【0018】
本発明に係る連動機構は、変形伝達部材がワイヤであり、第一部材または第二部材の少なくとも一方が移動すると共にワイヤが圧縮する。すなわち、ワイヤが自在に湾曲するため、連動部材のレイアウトを柔軟に設計することができる。また、第一部材または第二部材が移動する方向にワイヤが捩られることで、ワイヤの剛性が高まり、各連結伝達部材がほぼ同時に連動する。したがって、素早く、かつ、安定して第一部材または第二部材を移動させることができる。
【0019】
本発明に係る連動機構は、連結伝達部材の中心に孔が形成され、この孔に通された変形伝達部材を介して連結伝達部材同士が連結されている。したがって、少ない部品で連動部材を構成することができる。
【0020】
本発明に係る連動機構は、第一部材に、収容物の側面を支持する収容物支持部が備えられ、第二部材に、収容物が載置される座面部が備えられ、第一部材または第二部材が移動する前において収容物支持部の内周側に第二ラックが配置され、第一部材または第二部材が移動した後において座面部の周囲に第一ラックが配置され、連動部材が、第一部材と第二部材との間に配置されている。すなわち、各ラックを介して収容物支持部が上昇すると共に座面部が下降し、第一部材と第二部材とが離れる方向に移動する。したがって、収容物を座面部に載置して収容物支持部に支持させることができる。
【0021】
本発明に係る連動機構は、収容物支持部および座面部が、移動方向を軸とした円形である。したがって、例えば飲料容器などの収容物を適切に支持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る連動機構は、二つの部材の少なくとも一方を、各部材が離れる方向または近づく方向に移動させるものであり、様々な機構に利用される。その一例である本実施形態は、連動機構が、例えば自動車(図示省略)のコンソールに備えられたカップホルダに組み込まれた場合の構成である。以下に、本発明の実施形態に係る連動機構をカップホルダと共に図面に基づいて説明する。
【0024】
図1および
図2は、連動機構が組み込まれたカップホルダ1がコンソール2に取り付けられた状態が示され、
図1は、カップホルダ1が使用される前の状態であり、
図2は、カップホルダ1が使用されている状態である。
図3は、連動機構が組み込まれたカップホルダ1の構成部材の外観が示されている。
図4は、カップホルダ1と共に連動機構が分解されて示されている。
【0025】
図1および
図2に示されているとおり、カップホルダ1は、互いが相対的に昇降する第一部材10および第二部材20が支持体40に支持され、各部材10,20が、互いに近づく方向または離れる方向に移動可能な構成である。
図1に示されているとおり、カップホルダ1は、不使用の場合、各部材10,20がコンソール2の表面と同一平面上において平坦に配置され、コンソール2の内側に収容されている。一方、
図2に示されているとおり、使用中の場合、コンソール2の表面から第一部材10が突出すると共に、第二部材20がコンソール2の内側に引き込まれる。なお、以下の説明では、各部材10,20の移動方向において、上昇する方向を上方とし、下降する方向を下方とし、上下方向と直交する方向を側方とする。また、不使用の状態における各部材10,20の位置を、第一位置としての不使用位置とし(
図12(b)の符号Y
1参照)、使用中の状態における各部材10,20の位置を、第二位置としての使用位置Y
2とする(
図16(b)の符号Y
2参照)。
【0026】
図3および
図4に示されているとおり、カップホルダ1は、第一部材10および第二部材20と、各部材10,20を不使用位置Y
1と使用位置Y
2との間で移動可能に支持する支持体40と、この支持体40に第二部材20と共に支持されて第二部材20を不使用位置Y
1でロックするロック部材60と、第一部材10と第二部材20とを連動させる連動部材70とから構成されている。
【0027】
ここで、支持体40を
図4および
図5に基づいて説明する。
図5は、支持体40の平面および断面が示されている。
【0028】
<支持体40>
図4および
図5に示されているとおり、支持体40は、円筒状に形成された下筒部41と、この下筒部41の上端の周縁に連接されて側方に向けて広がった円環状の支持体底部44と、この支持体底部44の上面に形成されて同心円上に配置された円筒状の外側上筒部45および内側上筒部47とから構成されている。支持体底部44は、上面から上方に向けて突出した係止棒部48が形成されている。
【0029】
下筒部41は、上端の周縁の内側に留部42が形成されている。この留部42は、内側に向けて突出して環状に形成されている。下筒部41の内側である収容孔43は、上下に貫通している。外側上筒部45は、支持体底部44の円周縁から上方に向けて立ち上げられ、上端の円周縁から側方に向けて伸びた複数の取付部46が形成されている。取付部46は、支持体40の中心軸に対して互いに約90度の間隔が空けられて四方に配置されている。内側上筒部47は、外側上筒部45よりも直径が小さく形成されると共に外側上筒部45よりも内側に配置され、かつ、下筒部41よりも直径が大きく形成されている。
【0030】
支持体底部44は、下面において下筒部41の側方に連動部材収容部49が形成されている。この連動部材収容部49は、一対であり、支持体40の中心軸に対して互いに約180度の間隔が空けられて配置されている。また、連動部材収容部49は、下方に向けて突出し、連動部支持部50とラック収容孔52とが内側に形成されている。連動部支持部50は、上下方向と直交する方向に貫通した連動部支持孔51が形成されている。ラック収容孔52は、支持体底部44を上下に貫通している。ラック収容孔52は、内側上筒部47と外側上筒部45との間に配置された外側収容孔53と、内側上筒部47と下筒部41との間に配置された内側収容孔54とから構成されている。
【0031】
次に、第一部材10および第二部材20を
図3および
図4に基づいて説明する。
【0032】
<第一部材10>
図3および
図4に示されているとおり、第一部材10は、第一部材本体部11と収容物支持部15とから構成されている。第一部材本体部11は、円板状に形成された第一部材底部12と、この第一部材底部12の周縁から上方に向けて立ち上げられた第一ラック13a,bとから構成されている。第一部材底部12は、中央に第二部材20が通る通過孔14が形成されている。第一ラック13a,bは、一対であり、支持体40の中心軸に対して互いに約180度の間隔が空けられて配置されている。第一ラック13a,bは、互いに対面し、互いが対面する側に歯が形成されている。収容物支持部15は、円筒状に形成され、第一ラック13a,bの上端に接続されている。収容物支持部15は、例えば飲料の容器などの収容物(図示省略)が収容される大きさであり、容器の側面が支持される。
【0033】
<第二部材20>
図3および
図4に示されているとおり、第二部材20は、第二部材本体部21と第二部材駆動部33とから構成されている。第二部材本体部21は、円板状に形成された座面部22と、この座面部22の中央に形成された操作部23と、円筒状に形成されて操作部23の下面に操作用コイルバネ24(
図12参照)を介して連結された解除部材25と、座面部22の周縁から下方に向けて伸びた第二ラック32a,bとから構成されている。一方、第二部材駆動部33は、解除部材25が通される第二付勢部材としての駆動用コイルバネ34と、この駆動用コイルバネ34の下端に取り付けられると共に解除部材25の下端に接続される円筒状または円柱状の第二部材底部35とから構成されている。
【0034】
解除部材25は、上下に伸びた円柱または円筒状の支柱部26の側面に係止張出し部27および当接張出し部29が形成されている。係止張出し部27は一対であり、支柱部26の中心軸に対して互いに約180度の間隔が空けられて配置されている。係止張出し部27は、支柱部26の側面において、上下に伸びた棒状であると共に側方に向けて張り出し、一部に係止部28が形成されている。係止部28は切欠きである。当接張出し部29は、一対であり、支柱部26の中心軸に対して互いに約180度の間隔が空けられて配置されている。当接張出し部29は、支柱部26の側面において、上下に伸びた棒状であると共に側方に向けて張り出し、一部に空隙30が形成されて上下に分断されている。空隙30における当接張出し部29の下端面に、当接部31が形成されている。係止張出し部27および当接張出し部29は、支柱部26の中心軸に対して互いに約90度の間隔が空けられて配置されている。また、係止部28と当接部31とは、上下においてほぼ同じ位置に配置されている。各張出し部27,29は、支柱部26の中心軸に対して互いに約90度の間隔が空けられ、円周方向に互い違いに配置されている。
【0035】
第二ラック32a,bは一対であり、支持体40の中心軸に対して互いに約180度の間隔が空けられて配置されている。第二ラック32a,bは互いに対面し、互いが対面する側と反対側の側面に歯が形成されている。座面部22は、容器が載置される大きさである。
【0036】
次に、ロック部材60を
図6に基づいて説明する。
図6は、ロック部材60の外観が示されている。
【0037】
<ロック部材60>
図6に示されているとおり、ロック部材60は円環であり、内周面に、一対の通過溝部61と一対の係止溝部62とが形成され、外周面に複数の突起部63が形成され、上面に係止突部64が形成されている。通過溝部61は一対であり、ロック部材60の中心軸に対して互いに約180度の間隔が空けられて形成されている。一方、係止溝部62も一対であり、ロック部材60の中心軸に対して互いに約180度の間隔が空けられて形成されている。各溝部61,62は、ロック部材60の中心軸に対して互いに約90度の間隔が空けられ、円周方向に互い違いに配置されている。ロック部材60は、上面において、通過溝部61と係止溝部62との間に、平面部としての第一平面部65および第二平面部69が形成されている。換言すれば、各平面部65,69は、各溝部61,62同士の間において、ロック部材60の中心に向けて突出している。
【0038】
通過溝部61は、第一平面部65との境界に、減速部としての減速傾斜面部66が形成されている。減速傾斜面部66は、通過溝部61において、ロック部材60の上面から下面に向かうにしたがって、徐々に円周方向に張り出すことで傾斜している。換言すれば、円周方向において、減速傾斜面部66の両側に平面部65と通過溝部61とがそれぞれ形成されている。また、減速傾斜面部66は、所定の摺動抵抗を生じさせる摩擦力を有する部材である。
【0039】
係止溝部62は、第二平面部69との境界に、係止傾斜面部67が形成されている。係止傾斜面部67は、係止溝部62において、ロック部材60の上面から下面に向かうにしたがって、徐々に円周方向に張り出すことで傾斜している。換言すれば、円周方向において、係止傾斜面部67の両側に第二平面部69と係止溝部62とがそれぞれ形成されている。
【0040】
突起部63は、側方に向けて突出し、ロック部材60の中心軸に対して互いに約120度の間隔が空けられて三か所に形成されている。係止突部64は、上方に向けて突出すると共に、上端が円周方向に屈折している。係止突部64は、第一付勢部材としてのトーションバネ68が接続されている。
【0041】
次に、連動部材70を
図7に基づいて説明する。
図7は、連動部材70の外観が示されている。
【0042】
<連動部材70>
図7に示されているとおり、連動部材70は、第一部材10と第二部材20とを連結する複数の連結伝達部材71a,bと、この連結伝達部材71a,b同士を連結する変形伝達部材72とから構成されている。連結伝達部材71a,bは、例えばギヤであり、中心に孔が形成されている。このギヤ71a,bの孔に通された変形伝達部材72を介してギヤ71a,b同士が連結されて連動部材70が構成されている。なお、ギヤ71a,bは、回転式ダンパーが備えられていてもよい。
【0043】
変形伝達部材72は、例えば、密着コイルバネや捩りワイヤなどであり、自在に非線状に変形する。ここで、非線状とは、直線ではないことをいう。すなわち、変形伝達部材72は、自在に湾曲し、または屈曲する。変形伝達部材72は、ギヤ71a,bが回転することで圧縮する。密着コイルバネを例にして詳説すれば、密着コイルバネは、ギヤ71aが矢印Lの方向に回転した場合に、圧縮する方向に巻かれている。このことから、ギヤ71aが回転すると、密着コイルバネの一端部73が矢印Lの方向に捩れる。密着コイルバネは、圧縮すると共に剛性が高まり、一端部73に追随して他端部74が矢印Rの方向に捩れる。同時に、ギヤ71bが矢印Rの方向に回転する。なお、この作用は、変形伝達部材72が捩りワイヤであっても同様である。
【0044】
上記したとおり、各部材10,20,40,60,70が構成されている。次に、各部材10,20,40,60,70の組立て手順を
図4、
図6、
図7および
図8に基づいて説明する。
図8は、カップホルダ1の外観が示されている。
【0045】
図4および
図8において、支持体40の連動部材収容部49に連動部材70が収容される。詳説すれば、連動部材70のギヤ71a,bが連動部材収容部49の連動部支持孔51に収容され、連動部材70の変形伝達部材72が湾曲して支持体40の下筒部41を半周した状態で下筒部41の外周に配置される。
【0046】
図4および
図6において、第二部材20の第二部材本体部21にロック部材60が取り付けられる。詳説すれば、ロック部材60が第二部材本体部21の解除部材25に通され、ロック部材60の係止傾斜面部67が、解除部材25における係止張出し部27の係止部28に係止され、ロック部材60の第一平面部65に解除部材25における当接張出し部29の当接部31が当接される。
【0047】
この状態で、
図4において、第二部材本体部21と第二部材駆動部33とが上下から支持体40に取り付けられる。詳説すれば、解除部材25が、上方から支持体40の収容孔43に通されると共に、ロック部材60の突起部63が支持体40の留部42に配置され、第二部材本体部21の第二ラック32a,bの先端部が、連動部材収容部49の内側収容孔54に通される。ロック部材60は、留部42において円周方向に回転可能である。第二ラック32a,bは、ギヤ71a,bと噛み合わされる。トーションバネ68は、支持体40の支持底部44の係止棒部48に接続される。さらに、第二部材駆動部33が、下方から収容孔43に通され、駆動用コイルバネ34が留部42の下に当接して圧縮した状態で、第二部材底部35が解除部材25の下端に接続される。
【0048】
次に、
図4および
図8において、収容物支持部15と第一部材本体部11とが上下から支持体40に取り付けられる。詳説すれば、第一部材本体部11の第一ラック13a,bの先端部が、下方から連動部材収容部49の外側収容孔53に通され、第一部材底部12の通過孔14に第二部材底部35が配置される。第一ラック13a,bは、ギヤ71a,bと噛み合わされる。さらに、収容物支持部15が、上方から外側上筒部45と内側上筒部47との間に通され、第一ラック13a,bの上端に接続される。
【0049】
上記のとおり構成されたカップホルダ1では、連動部材70が、収容物支持部15の内側、かつ、解除部材25の外側に配置されている(
図12(b)参照)。
【0050】
このようなカップホルダ1において、本実施形態の連動機構は、連動部材70と、第一ラック
13a,bと、第二ラック32a,bとで実現される。また、解除部材25と、ロック部材60と、第二部材駆動部33とからロック装置が実現される。以下、連動機構およびロック装置の作用を、カップホルダ1の動作と共に図面に基づいて説明する。
図9から
図11は、カップホルダ1において第二部材20が不使用位置Y
1から使用位置Y
2に移動する際のロック装置の状態が示されている。
図9は、不使用位置Y
1においてロック装置が作動して第二部材20がロックされている状態が示され、
図10は、ロックが解除される途中の状態が示され、
図11は、ロックが解除された直後の状態が示されている。
【0051】
図9に示されているとおり、不使用位置Y
1では、ロック部材60における係止傾斜面部67が、解除部材25における係止張出し部27の係止部28に係止し、ロック部材60の第一平面部65に、解除部材25における当接張出し部29の当接部31が当接されている。第二部材20は、圧縮した駆動用コイルバネ34によって使用位置Y
2に向けて下方に付勢されている。その際、トーションバネ68は外力が加わっていない状態である。なお、解除部材25の中心軸と交差する方向であって、解除部材25の中心軸を中心として周回する方向であるロック部材60の円周方向において、減速傾斜面部66と当接部31とが離れる方向にトーションバネ68が付勢されていてもよい。すなわち、
図9(c)において、ロック部材60が左回りに付勢されていてもよい。
【0052】
この状態で、操作用コイルバネ24(
図12参照)に抗して操作部23が下方に押されると、ロックが解除され、
図10に示されているとおり、解除部材25が下降すると共に、ロック部材60が円周方向に回転する。詳説すれば、ロック部材60は、係止傾斜面部67が解除部材25の係止部28によって下方に押されることで、トーションバネ68に抗して円周方向に回転する。ロック部材60が回転すると、第一平面部65が当接部31に対して摺動し、更にロック部材60が回転し続けて減速傾斜面部66が当接部31に対して摺動する。
【0053】
減速傾斜面部66が当接部31に対して摺動した後、
図11に示されているとおり、駆動用コイルバネ34の復元力が作用することで第二部材底部35が下方に押され、当接部31が減速傾斜面部66に沿って徐々に摺動しながら通過溝部61を通過する。同時に、解除部材25がロック部材60を通って下降し、第二部材20が使用位置Y
2に移動する。
【0054】
上記したとおり、ロック部材60は、円周方向に回転する際にトーションバネ68による復元力が作用するため、さらに、減速傾斜面部66と当接部31との摺動による摩擦力が作用するため、ロック部材60は、第二部材20が使用位置Y
2に移動する過程の一部において、ロックが解除される直前から直後に至って減速する。
【0055】
次に、連動機構を図面に基づいて説明する。
図12から
図18は、カップホルダ1において第二部材20が不使用位置Y
1から使用位置Y
2に移動する際の連動機構の状態が示されている。
図12および
図13は、不使用位置Y
1において連動機構が作動する前の状態が示され、
図14および
図15は、連動機構が作動している途中の状態が示され、
図16および
図17は、連動機構が作動した後の状態が示されている。
【0056】
図12および
図13に示されているとおり、不使用位置Y
1では、第一部材10と第二部材20とが上下に離れる方向において配置されている。すなわち、第一部材10が最下端に配置され、第二部材20が最上端に配置されている。また、収容物支持部15の内周面と対面して第二ラック32a,bが配置されている。この状態で、
図14および
図15に示されているとおり、操作用コイルバネ24に抗して操作部23が下方に押されると、ロック装置によるロックが解除され、連動部材70を介して、各部材10,20が上下に相対的に移動する。詳説すれば、第二部材20が下降する際、第二ラック32a,bが下降することで、この第二ラック32a,bが下降する方向に各ギヤ71a,bが回転(
図14(b)においてギヤ71aが矢印Rに回転、ギヤ71bが矢印Lに回転)すると共に、変形伝達部材72も同じ方向に回転する。換言すれば、各ギヤ71a,bは、変形伝達部材72を介して連動する。各ギヤ71a,bが回転することで、
図16および
図17に示されているとおり、第一ラック13a,bと共に第一部材10が上昇する。
【0057】
上記のとおり各部材10,20が上下に相対的に移動することで、収容物支持部15が上昇してコンソール2の表面から突出すると共に、座面部22がコンソール2の内側に引き込まれ、各部材10,20が使用位置Y
2に移動する。この状態では、座面部22の外周面と対面して第一ラック13a,bが配置されている。
【0058】
使用位置Y
2におけるカップホルダ1を再び不使用位置Y
1に戻す場合、収容物支持部15を下方に押し込むことで、連動部材70を介して各ラック13a,b、32a,b、と共に各部材10,20が昇降する。その際、
図16および
図17において、押下位置X
1,X
2が同時に押されて収容物支持部15が押し込まれた場合、第一部材10がほぼ水平に下降すると共に第二部材20が上昇する。一方、例えば、押下位置X
1のみが押されて収容物支持部15が押し込まれた場合、第一部材10は、第一ラック13aが、第一ラック13bよりも僅かに先に下降するが、瞬時に追随して第一ラック13bも下降する。詳説すれば、第一ラック13aが下降することに伴い、ギヤ71aが矢印Lの方向に回転することで、変形伝達部材72の一端部73が矢印Lの方向に捩れる。変形伝達部材72は、圧縮すると共に剛性が高まり、一端部73に追随して他端部74が矢印Rの方向に捩れ、同時に、ギヤ71bが矢印Rの方向に回転する。第一部材10は、ほぼ水平に下降し、同時に第二部材20が上昇して、各部材10,20が不使用位置Y
1に戻る。なお、この作用は、押下位置X
2のみが押されて収容物支持部15が押し込まれた場合であっても同様である。
【0059】
上記のとおり、連動機構およびロック装置が、カップホルダ1と共に作動する。
【0060】
次に、本実施形態に係る連動機構の効果を説明する。
【0061】
上記したとおり、連動機構によれば、
図8に示されているとおり、連動部材70は、複数のギヤ71a,bと、このギヤ71a,b同士を連結する変形伝達部材72とから構成され、ギヤ71a,bの孔に通された変形伝達部材72を介してギヤ同士71a,bが連結されている。変形伝達部材72は、密着コイルバネや捩りワイヤなどであり、自在に湾曲し、または屈曲する。したがって、連動部材70のレイアウトが自由であり、レイアウトを柔軟に設計することができる。さらに、少ない部品で連動部材70を構成することができる。
【0062】
また、
図16および
図17に示されているとおり、使用位置Y
2において、仮に、押下位置X
1のみが押されて収容物支持部15が押し込まれた場合、第一部材10は、第一ラック13aが、第一ラック13bよりも僅かに先に下降するが、瞬時に追随して第一ラック13bも下降する。詳説すれば、第一ラック13aが下降することに伴い、ギヤ71aが矢印Lの方向に回転することで、変形伝達部材72の一端部73が矢印Lの方向に捩れる。変形伝達部材72は、圧縮すると共に剛性が高まり、一端部73に追随して他端部74が矢印Rの方向に捩れ、同時に、ギヤ71bが矢印Rの方向に回転する。このことから、第一部材10は、ほぼ水平に下降する。すなわち、各ラック13a,32aを介してギヤ71aが回転すると共に変形伝達部材72が捩れてギヤ71bが回転するため、各ギヤ71a,bが、ほぼ同時に連動し、各ラック13b,32bも連動する。したがって、素早く、かつ、安定して第一部材10または第二部材20を昇降させることができる。
【0063】
連動機構によれば、変形伝達部材72が、密着コイルバネまたは捩りワイヤであり、自在に湾曲し、または屈曲するため、連動部材70のレイアウトを柔軟に設計することができる。
【0064】
連動機構によれば、
図12および
図16に示されているとおり、円筒状に形成された収容物支持部15が第一部材10に備えられ、円板状に形成された座面部22が第二部材20に備えられている。また、不使用位置Y
1において、収容物支持部15の内周面と対面して第二ラック32a,bが配置され、使用位置Y
2において、座面部22の外周に第一ラック13a,bが配置されている。連動部材70は、収容物支持部15の内側、かつ、解除部材25の外側に配置されている。この構成により、各ラック13a,b、32a,bを介して収容物支持部15が上昇すると共に座面部22が下降し、第一部材10と第二部材20とが使用位置Y
2に移動する。したがって、収容物を座面部22に載置して収容物支持部15に適切に支持することができる。
【0065】
なお、本発明は、上記した本実施形態の他、以下の実施形態であってもよい。
【0066】
本実施形態は、第一部材10が下降する際に、変形伝達部材72が捩れて圧縮する構成であるが、本発明は、他の実施形態として、第二部材が下降する際に、変形伝達部材が捩れて圧縮する構成であってもよい。
図12(b)を参照すれば、この構成では、第二ラック32aが下降することに伴い、ギヤ71aが右回りに回転することで、変形伝達部材72も同じ方向に捩れる。変形伝達部材72は、圧縮すると共に剛性が高まり、一端部に追随して他端部が左回りの方向に捩れ、同時に、ギヤ71bが左回りに回転する。第二部材20は、ほぼ水平に下降し、同時に第一部材10が上昇して、各部材10,20が使用位置Y
2に配置される。すなわち、ギヤ71aが回転すると共に変形伝達部材72が捩れてギヤ71bが回転するため、各ギヤ71a,bが、ほぼ同時に連動する。
【0067】
本実施形態は、第一部材10と第二部材20とが不使用位置Y
1または使用位置Y
2に移動する構成であるが、本発明は、他の実施形態として、第二部材が固定されて第一部材のみが上昇して使用位置に移動する構成、または、第一部材が固定されて第二部材のみが下降して使用位置に移動する構成であってもよい。この構成では、第一部材または第二部材の片方にのみラックが備えられている。
【0068】
本実施形態は、連結伝達部材が二つのギヤ71a,bで構成されているが、本発明は、他の実施形態として、三つ以上のギヤで構成されていてもよい。この構成では、ギヤの数に応じて複数のラックが第一部材および第二部材に備えられている。
【0069】
本実施形態では、連結伝達部材が各ギヤ71a,bであるが、本発明は、他の実施形態として、リンク機構で連結伝達部材が構成されていてもよい。この構成では、リンク機構を介して連動部材と第二部材とが連結されている。
【0071】
上記したとおり、ロック装置によれば、
図6に示されているとおり、ロック部材60は円環であり、内周面に、一対の通過溝部61と一対の係止溝部62とが形成されている。通過溝部61は、第一平面部65との境界に、減速傾斜面部66が形成されている。また、ロック部材60は上面に係止突部64が形成され、トーションバネ68が接続されている。一方、
図4に示されているとおり、第二部材20の解除部材25は、支柱部26の側面に当接張出し部29が形成されている。当接張出し部29は、支柱部26の側面において、上下に伸びた棒状であると共に側方に向けて張り出し、空隙30における下端面に当接部31が形成されている。
【0072】
図9に示されているとおり、ロック部材60が解除部材25に通され、ロック部材60の第一平面部65に解除部材25の当接部31が当接される。この構成により、解除部材25が下降すると、
図9および
図10に示されているとおり、トーションバネ68に抗してロック部材60が円周方向に回転する。ロック部材60が回転すると、第一平面部65が当接部31に対して摺動し、更にロック部材60が回転し続けて減速傾斜面部66が当接部31に対して摺動する。その後、
図11に示されているとおり、駆動用コイルバネ34の復元力が作用することで第二部材底部35が下方に押され、当接部31が減速傾斜面部66に沿って徐々に摺動しながら通過溝部61を通過する。同時に、解除部材25がロック部材60を通って下降し、第二部材20が使用位置Y
2に移動する。
【0073】
すなわち、ロック部材60は、円周方向に回転する際にトーションバネ68による復元力が作用するため、さらに、減速傾斜面部66と当接部31との摺動による摩擦力が作用するため、ロック部材60は、第二部材20が使用位置Y
2に移動する過程の一部において、ロックが解除される直前から直後に至って減速する。
【0074】
したがって、滑らかな動作を実現することができ、乗員に対して高級な印象を与えることができるカップホルダ1を実現することができる。また、例えばエアダンパなどを用いて第二部材20の動作を緩衝することを必要としないため、コンパクトな構成を実現することができる。
【0075】
特に、
図6に示されているとおり、減速傾斜面部66は、通過溝部61において、ロック部材60の上面から下面に向かうにしたがって、徐々に円周方向に張り出すことで傾斜している。そのため、
図9から
図11に示されているとおり、第二部材20は、当接部31が減速傾斜面部66に沿って徐々に摺動することで、減速されてゆっくりと移動する。したがって、滑らかな動作を実現することがきる。
【0076】
ロック装置によれば、減速傾斜面部66は、所定の摺動抵抗を生じさせる摩擦力を有する部材である。すなわち、減速傾斜面部66と当接部31との摺動による摩擦抵抗により、第二部材20が減速されてゆっくりと移動する。したがって、滑らかな動作を実現することがきる。
【0077】
ロック装置によれば、
図4に示されているとおり、第二部材20の第二部材駆動部33に駆動用コイルバネ34が備えられ、
図12および
図16に示されているとおり、第二部材20は、圧縮した駆動用コイルバネ34によって使用位置Y
2に向けて下方に付勢されている。したがって、第二部材20を確実に使用位置Y
2に移動させることができる。
【0078】
なお、ロック装置は、以下の構成であってもよい。
【0079】
ロック部材60では、減速傾斜面部66が、所定の摺動抵抗を生じさせる摩擦力を有する部材であるが、ロック装置は、他の構成として、当接部が、所定の摺動抵抗を生じさせる摩擦力を有する部材であってもよい。
【0080】
ロック部材60では、第二部材20に対してロック部材60が円周方向に回転する構成であるが、ロック装置は、他の構成として、ロック部材に対して第二部材が回転する構成であってもよい。この構成では、第一付勢部材が解除部材に備えられ、第一付勢部材によって、減速傾斜面部と当接部とを離す方向に解除部材が付勢されている。
【0081】
ロック部材60では、第一付勢部材がトーションバネ68、第二付勢部材および操作用コイルバネがコイルバネ24,34であるが、ロック装置は、他の構成として、同じ作用を実現することができれば、それぞれコイルバネ、トーションバネ、板バネなどであってもよい。
【0082】
ロック部材60では、圧縮した駆動用コイルバネ34によって第二部材20が使用位置Y
2に向けて下方に付勢されているが、ロック装置は、他の構成として、伸長した駆動用コイルバネによって第二部材が使用位置に向けて下方に引っ張られていてもよい。
【0083】
ロック部材60では、駆動用コイルバネ34が備えられているが、ロック装置は、他の構成として、駆動用コイルバネが備えられておらず、自重で第二部材が下降する構成であってもよい。
【0084】
ロック部材60では、第二部材20の解除部材25は、係止部28に単一の当接部31が形成されているが、ロック装置は、他の構成として、複数の当接部が形成されていてもよい。詳説すれば、
図18に示されているとおり、解除部材125において、当接張出し部129は、下端が支柱部126の円周方向に張り出した第一当接部181が形成されている。また、当接張出し部129は、第一当接部181よりもロック部材160から上方に離れた位置に、隆起部180が形成されている。この隆起部180は円周方向に張り出し、下端面に第二当接部182が形成されている。なお、他の構成はロック部材60と同じであるため、説明を省略する。
【0085】
このロック装置によれば、
図18(b)に示されているとおり、ロック部材160の第一平面部165に、解除部材125における当接張出し部129の第一当接部181が当接されている。操作部123が下方に押されてロックが解除されると、
図18(c)に示されているとおり、解除部材125が下降すると共に、トーションバネに抗してロック部材160が円周方向に回転し、平面部165が第一当接部181に対して摺動し、更にロック部材160が回転し続けて減速傾斜面部166が第一当接部181に対して摺動する。第一当接部181が通過溝部161を通過した後、
図18(d)に示されているとおり、解除部材125が更に下降すると共に、トーションバネに抗して減速傾斜面部166が第二当接部182に対して摺動する。
【0086】
すなわち、ロック部材160は、円周方向に回転する際にトーションバネによる復元力が作用するため、さらに、減速傾斜面部166と第一当接部181との摺動による摩擦力が作用するため、さらに、減速傾斜面部166と第二当接部182との摺動による摩擦力が作用するため、ロック部材160は、第二部材20が使用位置Y
2に移動する過程の一部において、ロックが解除される直前から直後に至って減速する。したがって、滑らかな動作を実現することがきる。
【0087】
なお、ロック部材に対して第二部材が回転する構成であってもよい。この構成では、第一付勢部材が解除部材に備えられ、第一付勢部材によって、減速傾斜面部と当接部とを離す方向に解除部材が付勢されている。
【0088】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。