(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相対的に大きい負荷を被施療者に加える強負荷動作、及び、相対的に小さい負荷を被施療者に加え又は負荷を被施療者に加えない弱負荷動作、を繰り返すことで施療を行う施療部と、
予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、
前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を被施療者に言語による音声で伝え、
前記施療部は、被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出す押出動作を備え、
前記施療部は、前記基準呼吸の呼気時に前記強負荷動作を行うとともに、前記基準呼吸の吸気時に前記弱負荷動作と、前記押出動作を行うように構成されている、施療装置。
相対的に大きい負荷を被施療者に加える強負荷動作、及び、相対的に小さい負荷を被施療者に加え又は負荷を被施療者に加えない弱負荷動作、を繰り返すことで施療を行う施療部と、
予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、
前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を被施療者に言語による音声で伝え、
前記施療部は、被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出す押出動作を備え、
前記施療部は、前記基準呼吸の呼気時に前記弱負荷動作を行うとともに、前記基準呼吸の吸気時に前記強負荷動作と、前記押出動作を行うように構成されている、施療装置。
前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を被施療者に音、光、又は振動で伝える、請求項1乃至12のうちいずれか一の項に記載の施療装置。
前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を前記施療部の動作、前記ストレッチ機構の動作、又は前記駆動部の動作によって被施療者に伝える、請求項1乃至13のうちいずれか一の項に記載の施療装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1の請求項1の記載によれば、呼吸に合せて施療を行うことが開示されているようにも思えるが、実際には特許文献1では施療子を用いて被施療者の呼吸を補助することが開示されているに過ぎない。これに対し、本発明は「呼吸」と真の意味での「施療」との関係に着目してなされたものであって、呼吸との関係において、効果的な施療を行うことができる施療装置を提供することを目的としている。
【0005】
また、特許文献1の施療子の動作では、呼吸法に合わせた呼吸による肋骨の動きを十分に補助できない恐れがある。これに対し、他の側面からみた本発明は、予め設定された基準呼吸に同期して適切に呼吸できるように被施療者を補助する施療装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る施療装置は、相対的に大きい負荷を被施療者に加える強負荷動作、及び、相対的に小さい負荷を被施療者に加え又は負荷を被施療者に加えない弱負荷動作、を繰り返すことで施療を行う施療部と、予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、
前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を被施療者に言語による音声で伝え、前記施療部は、被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出す押出動作を備え、前記施療部は、前記基準呼吸の呼気時に
前記強負荷動作を行うとともに、前記基準呼吸の吸気時に
前記弱負荷動作
と、前記押出動作を行うように構成されている。
【0007】
呼気時は吸気時に比べて身体の緊張が和らぐ。そのため、呼気時に比較的大きい負荷を被施療者に加えると、効果的な施療を行うことができる。上記の施療装置によれば、呼吸誘導部によって被施療者が基準呼吸に合せて呼吸するように誘導することで、被施療者の呼気時に比較的大きい負荷で施療を行うことができる。そのため、呼吸との関係において、効果的な施療を行うことができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る施療装置は、相対的に大きい負荷を被施療者に加える強負荷動作、及び、相対的に小さい負荷を被施療者に加え又は負荷を被施療者に加えない弱負荷動作、を繰り返すことで施療を行う施療部と、予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、
前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を被施療者に言語による音声で伝え、前記施療部は、被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出す押出動作を備え、前記施療部は、前記基準呼吸の呼気時に
前記弱負荷動作を行うとともに、前記基準呼吸の吸気時に
前記強負荷動作
と、前記押出動作を行うように構成されている。
【0009】
かかる構成によれば、吸気による緊張状態において強負荷動作により被施療者をさらに緊張させ、呼気による弛緩状態において弱負荷動作により被施療者をさらに弛緩させることで、緊張状態から弛緩状態へと一気に移行させることができ、また、弛緩状態から緊張状態へと一気に移行させることができる。その結果、緊張と弛緩のメリハリをつけた施療を被施療者に対して行うことができる。よって、上記の構成においても、呼吸との関係において、効果的な施療を行うことができる。
【0010】
また、上記の施療装置において、前記施療部は、稼動及び停止の切り換えが可能な施療機器を有し、前記強負荷動作及び前記弱負荷動作の切り換えは、前記施療機器の稼動及び停止の切り換えによって行ってもよい。このように制御すれば、稼動及び停止の切り換えが可能な施療機器を用いて効果的な施療を行うことができる。
【0011】
また、上記の施療装置において、前記施療部は、強度設定の変更が可能な施療機器を有し、前記強負荷動作及び前記弱負荷動作の切り換えは、前記施療機器の強度設定を変更することによって行ってもよい。このように制御すれば、強度設定の変更が可能な施療機器を用いて効果的な施療を行うことができる。
【0012】
また、上記の施療装置において、前記施療部は、複数種類の施療機器を有し、前記強負荷動作及び前記弱負荷動作の切り換えは、稼動する施療機器の種類を変更することによって行ってもよい。このように制御すれば、施療機器単独で強負荷動作及び弱負荷動作の切り換えができない場合であっても、複数種類の施療機器を用いることで効果的な施療を行うことができる。
【0013】
また、上記の施療装置において、前記施療部は、前記基準呼吸に同期して一連の施療動作を行う施療機器を有し、前記強負荷動作及び前記弱負荷動作は、前記施療機器による一連の施療動作内で行ってもよい。このように制御すれば、基準呼吸に同期して一連の施療動作を行うことができる施療機器を用いて効果的な施療を行うことができる。
【0014】
また、上記の施療装置において、前記施療部は、複数種類の施療動作を行う施療機器を有し、前記強負荷動作及び前記弱負荷動作の切り換えは、前記施療機器の施療動作の種類を変更することによって行ってもよい。このように制御すれば、複数種類の施療を行える施療機器を用いて効果的な施療を行うことができる。
【0015】
また、上記の施療装置において、被施療者に負荷を加えるストレッチ動作を行うストレッチ機構と、予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、
施療を行う施療部と、を備え、
前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を被施療者に言語による音声で伝え、前記施療部は、被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出す押出動作を備え、前記基準呼吸の吸気時に、前記押出動作を行い、前記ストレッチ機構は前記基準呼吸に同期してストレッチ動作を行ってもよい。このように制御すれば、ストレッチ機構を用いて効果的な施療を行うことができる。
【0016】
また、上記の施療装置において、背凭れと、前記背凭れを起倒する起倒部と、を備え、前記起倒部は、前記ストレッチ機構を構成し、前記背凭れを起こす又は倒すことで前記ストレッチ動作を行ってもよい。かかる構成によれば、椅子型マッサージ機が備える背凭れを用いてストレッチによる効果的な施療を行うことができる。
【0017】
また、上記の施療装置において、被施療者の胸部を肩に対して後方へ押し込む押込動作、及び、被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出す押出動作、を行う施療部と、予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、前記施療部は、前記基準呼吸の呼気時に前記押込動作を行うとともに、前記基準呼吸の吸気時に前記押出動作を行ってもよい。かかる構成によれば、押出動作及び押込動作により、被施療者の呼吸を補助することができる。そのため、被施療者の呼吸をより確実に基準呼吸に合うように誘導でき、また、呼吸動作が大きくなることで、より効果的な施療を行うことができる。
【0018】
本発明の一態様に係る
施療装置は、揺動可能な身体支持部と、前記身体支持部を揺らす駆動部と、予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、前記駆動部は、前記基準呼吸に同期して前記身体支持部を揺らすように構成されている。かかる構成によれば、呼吸誘導部によって被施療者が基準呼吸に合せて呼吸するように誘導し、被施療者を呼吸に同期して揺動するため、被施療者をリラックスさせることができる。なお、
本明細書でいう「椅子」には、施療部を備えていない椅子の他、施療部を有する椅子型マッサージ機等も含まれる。
【0019】
また、上記の施療装
置において、前記基準呼吸の周期は時間の経過に伴って次第に長くなるように設定されている。かかる構成によれば、被施療者の呼吸が次第に深くなるように誘導できるため、より効果的に施療を行うことができる。
【0020】
また、上記の施療装
置において、前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を被施療者に音声、音、光、又は振動で伝えてもよい。かかる構成によれば、被施療者の呼吸を音声、音、光、又は振動で誘導するため、被施療者は呼吸誘導部による呼吸の誘導を明確に認識することができる。
【0021】
また、上記の施療装
置において、前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を前記施療部の動作、前記ストレッチ機構の動作、又は前記駆動部の動作によって被施療者に伝えてもよい。かかる構成によれば、音声を用いずに被施療者の呼吸を誘導することができるため、被施療者が音声を耳障りに感じるような場合には有効である。
【0022】
他の側面からみた本発明の一態様に係る施療装置は、被施療者に施療を行う施療部と、予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を前記施療部の動作によって被施療者に伝え、前記施療部は、前記基準呼吸の吸気時に上半身背面側を押圧することにより被施療者の胸部を開かせるように構成されている。かかる構成によれば、胸部が突き出されて開くため、吸気を促すことができる。従って、被施療者は基準呼吸に同期して呼吸することができる。
【0023】
また、上記の施療装置において、前記施療部は被施療者の身長方向に移動可能であり、前記施療部は、前記基準呼吸の吸気時に上昇しながら上半身背面側を押圧することにより被施療者の胸部を開かせることが好ましい。かかる構成によれば、上半身を反らせながら胸部を開かせることができるため、被施療者の気道を広げてより吸気を促すことができる。
【0024】
また、上記の施療装置において、前記施療部は揉み玉を有し、前記施療部は、前記基準呼吸の吸気時に前記揉み玉を押し出すことにより被施療者の胸部を開かせることが好ましい。かかる構成によれば、マッサージを行う揉み玉を利用して被施療者の胸部を開かせることができる。
【0025】
また、上記の施療装置において、前記施療部は左右で対をなす揉み玉を有し、前記施療部は、前記基準呼吸の吸気時に前記対の揉み玉を離反させることにより被施療者の胸部を開かせることが好ましい。かかる構成によれば、マッサージを行う揉み玉を利用して被施療者の胸部を開かせることができる。
【0026】
他の側面からみた本発明の他の態様に係る施療装置は、被施療者に施療を行う施療部と、予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を前記施療部の動作によって被施療者に伝え、前記施療部は、前記基準呼吸の呼気時に頭部又は首の背面側を押圧することにより被施療者を前傾姿勢とさせるように構成されている。かかる構成によれば、前傾姿勢となるため、呼気を促すことができる。従って、被施療者は基準呼吸に同期して呼吸することができる。
【0027】
他の側面からみた本発明の他の態様に係る施療装置は、被施療者の身長方向に沿って複数設けられ被施療者に施療を行う施療部と、予め設定された基準呼吸に同期して呼吸するよう被施療者を誘導する呼吸誘導部と、を備え、前記呼吸誘導部は、前記基準呼吸の呼気時及び吸気時の少なくとも一方を前記施療部の動作によって被施療者に伝え、相対的に下側に位置する前記施療部は、前記基準呼吸の吸気時に上半身背面側を押圧することにより被施療者の胸部を開かせ、相対的に上側に位置する前記施療部は、前記基準呼吸の呼気時に頭部又は首の背面側を押圧することにより被施療者を前傾姿勢とさせるように構成されている。
【0028】
かかる構成によれば、下側の施療部により胸部が突き出されて開くため、吸気を促すことができる。また、上側の施療部により前傾姿勢となるため、呼気を促すことができる。しかも、胸部を開かせる動作と前傾姿勢をとらせる動作を別個の施療部によって行うため、吸気と呼気の切り替えをスムーズに行わせることができる。従って、被施療者は基準呼吸に同期して呼吸することができる。
【0029】
また、上記の施療装置において、下側に位置する前記施療部は被施療者の身長方向に移動可能であり、下側に位置する前記施療部は、前記基準呼吸の呼気時に下降することが好ましい。かかる構成によれば、下側の施療部が被施療者の前傾姿勢を阻害しないため、より呼気を促すことができる。従って、被施療者は基準呼吸に同期して呼吸することができる。
【発明の効果】
【0030】
上記の施療装置によれば、呼吸との関係において、効果的な施療を行うことができる。また、上記の他の態様に係る施療装置によれば、予め設定された基準呼吸に同期して適切に呼吸できるように被施療者を補助することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<施療装置の全体構成>
以下、実施形態に係る施療装置100について説明する。まず、施療装置100の全体構成を説明する。
図1は施療装置100の斜視図であり、
図2は施療装置100の正面図であり、
図3は施療装置100の平面図である。
【0033】
本実施形態に係る施療装置100は、いわゆる椅子型マッサージ機であって、被施療者を支持する身体支持部10と、身体支持部10を揺動可能に保持する土台部11と、土台部11に対して身体支持部10を所定の周期で揺動する揺動部12(
図7参照)と、を備えている。また、身体支持部10は、座部13と、背凭れ14と、アームレスト15と、フットレスト16と、施療部17と、を有している。
【0034】
座部13は、被施療者が着座する部分である。以下で説明する方向の概念は、座部13に被施療者が着座したときに被施療者から見た方向の概念と一致するものとする。
【0035】
背凭れ14は、座部13の後方に設けられており、座部13に対して起倒できるように構成されている。
図4は、施療装置100の側面図であって、背凭れ14を起こした状態を示している。また、
図5は、施療装置100の側面図であって、背凭れ14を倒した状態を示している。背凭れ14の起倒は、起倒部18(
図7参照)によって行われる。また、背凭れ14には、被施療者の背中に当接する背パット19と、被施療者の頭部を支持するヘッドレスト20が設けられている。なお、起倒部18によって背凭れ14を起こすことで被施療者の上半身背面側を伸ばすことができ、背凭れ14を倒すことで被施療者の上半身前面側を伸ばすことができる。このように、背凭れ14及び起倒部18は、施療部位を伸ばすストレッチ機構を構成している。
【0036】
アームレスト15は、被施療者の腕部を載置する部分であり、座部13の前縁部の上方から背凭れ14の上下方向中央付近にまで延在している。アームレスト15は、略円筒状の肘置き部21を有しており、肘置き部21には被施療者の腕部を内部に挿入するための開口部が形成されている。
【0037】
フットレスト16は、被施療者の脚部を支持する部分である。フットレスト16は、被施療者の膝から足首に至る部分に対応する上側フットレスト23と、足首から足先に至る部分に対応する下側フットレスト24と、を有している。上側フットレスト23は、前方に開口する溝状に形成されており、下側フットレスト24は、上方に開口する溝状に形成されている。また、
図4及び
図5に示すように、フットレスト16は上下に移動することができるとともに、下側フットレスト24と上側フットレスト23の距離を変動させることができる。そして、フットレスト16が上下することにより、被施療者の脚部の表面部(太ももの表面)を伸ばすことができる。このように、フットレスト16は、施療部位を伸ばすストレッチ機構を構成している。
【0038】
施療部17は、被施療者に施療を行う部分であって、各種エアセル30〜41、揉み玉ユニット50、座振動部60、背振動部61、及びローラユニット70などの施療機器が含まれる。以下、各施療機器について順に説明する。
【0039】
臀部エアセル30は、座部13に設けられたエアセルであり、被施療者の臀部を下から押圧するように構成されている。なお、臀部エアセル30を含む各種エアセル30〜41は、エアポンプ及びエアバルブを含む給排気部25(
図7参照)による空気の給排によって膨縮するように構成されている。大腿部エアセル31は、座部13の両側部の上方に設けられたエアセルであり、被施療者の臀部の側部から大腿部に至る部位を幅方向外側から押圧するように構成されている。腰部エアセル32は、背凭れ14の下方部分に設けられたエアセルであり、被施療者の腰部を後方から押圧するように構成されている。腕部エアセル33は、肘置き部21の内側に設けられたエアセルであり、被施療者の腕部を挟むようにして押圧するよう構成されている。
【0040】
上腕部エアセル34は、アームレスト15の後方部分に設けられたエアセルである。
図6は、上腕部エアセル34の平面図であって、上腕部エアセル34を構成するセルを示している。
図6に示すように、上腕部エアセル34は、被施療者の上腕部の前面及び胸部の左右端部前面に当接するように配置されている。上腕部エアセル34は、複数のセルが重なって形成されており、各セルが膨らむと、幅方向内側が大きく膨らむ。これにより、被施療者の上腕部を施療することができるとともに、被施療者の胸部を肩に対して後方へ押し込む「押込動作」を行うことができる。
【0041】
脇部エアセル35は、上腕部エアセル34から連なって設けられたエアセルであり、被施療者の上腕の内側を押圧するように構成されている。脚部エアセル36は、上側フットレスト23及び下側フットレスト24の内面に設けられたエアセルであり、被施療者の脚部を挟むようにして押圧するよう構成されている。
【0042】
頭部エアセル37は、ヘッドレスト20の前面の3カ所に設けられたエアセルであり、左右の頭部エアセル37は被施療者の首及び後頭部を挟むように押圧し、中央の頭部エアセル37は被施療者の首及び後頭部を後方から押圧するよう構成されている。上肩部エアセル38は、ヘッドレスト20の下面に設けられたエアセルであり、被施療者の肩の上面を上方から押圧するように構成されている。後肩部エアセル39は、ヘッドレスト20から吊下げられた垂下帯26に設けられたエアセルであり、被施療者の肩の後面を後方から押圧するように構成されている。
【0043】
揉み玉ユニット50は、背凭れ14に設けられた施療機器であり、上下左右に配置された4つの揉み玉51と、これらの揉み玉51を三次元的に駆動する揉み玉駆動部52(
図7参照)と、これらの揉み玉51を前方へ押し出す押出エアセル40と、これら全体を被施療者の腰部に対応する位置から首に対応する位置にまで昇降する昇降部53(
図7参照)と、を有している。揉み玉駆動部52は、円を描くようにして揉み玉51同士を近づけて離す「揉み動作」、揉み玉51を施療部位に対してゆっくり押し込む「指圧動作」、揉み玉51で施療部位をリズミカルに叩く「叩き動作」などを行うことができる。また、押出エアセル40は、給排気部25(
図7参照)から供給される空気によって揉み玉ユニット50を施療部位に向かって押し出すことで、胸部を肩に対して前方へ押し出す「押出動作」を行うことができる。昇降部53は、揉み玉51を昇降することで、被施療者の腰部と首の間の部分を上下に移動しながら押圧する「ローリング動作」を行うことができる。さらに、揉み玉ユニット50は、押出エアセル40によって揉み玉51を前方へ押し出すことで、被施療者の上半身の前面を伸ばすこができるとともに、昇降部53により揉み玉51を昇降することで、施療者の背筋を伸ばすことができる。このように、揉み玉ユニット50は、施療部位を伸ばすストレッチ機構を構成している。
【0044】
座振動部60は、座部13に設けられた施療機器であり、使用者の臀部に振動刺激を与えることができるように構成されている。背振動部61(
図7参照)は、揉み玉ユニット50に設けられた施療機器であり、揉み玉51を介して、被施療者の腰部、背中、肩、及び首に振動刺激を与えることができるように構成されている。
【0045】
ローラユニット70は、下側フットレスト24の内側下面に設けられている施療機器である。ローラユニット70は、左右方向を回転軸方向として回転する足裏ローラ71と、足裏ローラ71を回転させるローラ駆動部72(
図7参照)と、足裏ローラ71の突出量を変化させる進退エアセル41(
図7参照)を有している。足裏ローラ71の外周部分には、複数の突起部が設けられており、この足裏ローラ71を回転させることにより、被施療者の足裏に刺激を与えることができる。進退エアセル41は、給排気部25(
図7参照)から供給される空気によって駆動させることができる。
【0046】
<制御系の構成>
次に、施療装置100の制御系の構成について説明する。
図7は、施療装置100の制御系のブロック図である。
図7に示すように、施療装置100は、施療装置100全体を制御する制御部80を備えている。制御部80は、例えばCPU、ROM、RAM等によって構成されている。制御部80は、リモートコントローラ81と電気的に接続されており、リモートコントローラ81から送信される信号に基づいて、施療装置100の各部を制御する。
【0047】
制御部80は、揺動部12、起倒部18、給排気部25、揉み玉駆動部52、昇降部53、座振動部60、背振動部61、ローラ駆動部72、及び音声出力部82と電気的に接続されており、これらの機器へ制御信号を送信する。上記の機器のうち、音声出力部82はいわゆるスピーカであって、呼吸誘導部を構成している。音声出力部82はリモートコントローラ81に設けられていてもよく、ヘッドレスト20に設けられていてもよく、これら以外の部分に設けられていてもよい。
【0048】
ここで、
図7中の破線は空気のラインを示している。
図7の破線で示すように、給排気部25は、各種エアセル30〜41に空気を給排することができる。給排気部25は、各エアセル30〜41に対応するエアバルブを有しており、各エアセル30〜41に対して個別に空気を給排することができる。
【0049】
<呼吸施療制御>
続いて、制御部80が行う種々の制御のうち、呼吸施療制御について説明する。呼吸施療制御は、呼吸に合せて施療を行う制御である。
図8は、呼吸施療制御のタイムチャートである。
図8のうち、1段目は基準呼吸を示している。ここでいう「基準呼吸」とは周期(呼気の時間及び吸気の時間)が予め設定された仮想の呼吸をいう。基準呼吸の周期等の基本情報は制御部80に記憶されている。なお、呼気の時間と吸気の時間は同じでなくてもよく、例えば呼気の時間が吸気の時間よりも長くてもよい。本実施形態では、基準呼吸の周期は、呼吸施療制御を開始した後、時間の経過に伴って次第に長くなるように設定されている。
【0050】
図8のうち、2段目は呼吸誘導を示している。呼気誘導は、呼吸誘導部である音声出力部82によって行われる。音声出力部82は、基準呼吸に同期して音声を出力し、基準呼吸に合せて呼吸するよう被施療者を誘導する。具体的には、基準呼吸の吸気が始まると同時に音声出力部82から「吸って」という吸気音声を出力し、呼気が始まると同時に音声出力部82から「吐いて」という呼気音声を出力する。なお、本実施形態では、吸気音声及び呼気音声の両方が出力されるが、一方のみを出力してもよい。また、呼吸誘導(吸気音声及び呼気音声の出力)は、基準呼吸の吸気及び呼気が始まると同時に行わなくても良く、例えば基準呼吸の吸気及び呼気が始まるよりも若干早いタイミングで行ってもよく、若干遅いタイミングで行ってもよい。被施療者がこの呼吸誘導に従って呼吸を行うことで、被施療者による実際の呼吸と基準呼吸の周期が一致する。
【0051】
図8のうち、3段目は呼吸補助を示している。呼吸補助は、揉み玉ユニット50及び上腕部エアセル34によって行うことができる。本実施形態では、基準呼吸の呼気時に上腕部エアセル34によって被施療者の胸部を肩に対して後方へ押し込む押込動作を行う。また、基準呼吸の吸気時に揉み玉ユニット50によって被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出す押出動作を行う。このように、呼気時に押込動作を行うことで被施療者の胸部を閉じて呼気を促すとともに、吸気時に押出動作を行うことで被施療者の胸部を開いて吸気を促すことができる。これにより、被施療者による実際の呼吸をより確実に基準呼吸に合うように誘導できるとともに、被施療者の呼吸動作を大きくすることができる。
【0052】
図8のうち、4段目は施療強度を示している。施療強度は施療部17によって調整することができる。施療部17は、基準呼吸の呼気時に強負荷動作を行い、吸気時に弱負荷動作を行う。ここでいう「強負荷動作」とは、相対的に大きい負荷(弱負荷動作による負荷よりも大きい負荷)を被施療者に加える動作である。また、「弱負荷動作」とは、相対的に小さい負荷(強負荷動作による負荷よりも小さい負荷)を被施療者に加える又は負荷を被施療者に加えない動作をいう。呼気時は、吸気時に比べ身体の緊張が和らぐ。そのため、本実施形態のように、呼気時に比較的大きい負荷を被施療者に加えることで、効果的な施療を行うことができる。つまり、本実施形態によれば、呼吸との関係において、効果的な施療を行うことができる。
【0053】
強負荷動作及び弱負荷動作の切り換えは、以下のようにして行うことができる。まず、稼動及び停止の切り換えが可能な施療機器の場合、強負荷動作及び弱負荷動作の切り換えは、施療機器の稼動及び停止の切り換えによって行うことができる。具体的には、呼気時には施療機器を稼働させ、吸気時には施療機器を停止させる。稼動及び停止の切り換えが可能な施療機器としては、各種エアセル30〜41、揉み動作を行うときの揉み玉ユニット50、叩き動作を行うときの揉み玉ユニット50、座振動部60、背振動部61、及びローラユニット70などがある。
【0054】
また、強度設定の変更が可能な施療機器の場合、強負荷動作及び弱負荷動作の切り換えは、強度設定を変更することによって行うことができる。具体的には、呼気時には施療機器の強度を大きくし、吸気時には強度を小さくする。強度設定の変更が可能な施療機器としては、各種エアセル30〜41、揉み動作を行うときの揉み玉ユニット50、叩き動作を行うときの揉み玉ユニット50、座振動部60、背振動部61、及びローラユニット70などがある。各種エアセル30〜41の場合、供給する空気の圧力を大きくすれば強度を大きくすることができる。揉み動作を行うときの揉み玉ユニット50の場合、押出エアセル40によって揉み玉51を施療部位に向かって押し出せば強度を大きくすることができる。叩き動作を行う揉み玉ユニット50の場合、時間当たりの叩く回数を増やせば強度を大きくすることができる。座振動部60及び背振動部61の場合、振動の周波数を大きくすることで強度を大きくすることができる。ローラユニット70の場合、進退エアセル41によって足裏ローラ71の突出量を大きくしたり回転を速くしたりすることで強度を大きくすることができる。
【0055】
また、強負荷動作及び弱負荷動作の切り換えは、稼動する施療機器の種類を変更することによっても行うことができる。具体的には、呼気時には比較的負荷の大きい施療機器を駆動し、吸気時には比較的負荷の小さい施療機器を駆動してもよい。また、呼気時には複数種類の施療機器を同時に駆動し、吸気時には駆動していた施療機器の一部を停止させてもよい。本実施形態では、被施療者の臀部は、臀部エアセル30によって施療できる他、座振動部60によっても施療することができる。そのため、呼気時には臀部エアセル30と座振動部60のうち負荷の大きい方を用いて被施療者の臀部を施療し、吸気時には負荷の小さい方を用いて臀部を施療してもよい。あるいは、呼気時には臀部エアセル30と座振動部60の両方で被施療者の臀部を施療し、吸気時には一方の施療機器で臀部を施療してもよい。これにより、被施療者の臀部に対する強負荷動作及び弱負荷動作の切り換えを行うことができる。
【0056】
同様に、被施療者の腰部は、腰部エアセル32によって施療できる他、揉み玉ユニット50によっても施療することができる。そのため、呼気時には腰部エアセル32と揉み玉ユニット50のうち負荷の大きい方を用いて被施療者の腰部を施療し、吸気時には負荷の小さい方を用いて腰部を施療してもよい。あるいは、呼気時には腰部エアセル32と揉み玉ユニット50の両方で被施療者の腰部を施療し、吸気時には一方の施療機器で腰部を施療してもよい。また、被施療者の肩の後面は、後肩部エアセル39によって施療できる他、揉み玉ユニット50によっても施療することができる。そのため、呼気時には後肩部エアセル39と揉み玉ユニット50のうち負荷の大きい方を用いて被施療者の肩の後面を施療し、吸気時には負荷の小さい方を用いて肩の後面を施療してもよい。あるいは、呼気時には後肩部エアセル39と揉み玉ユニット50の両方で被施療者の肩の後面を施療し、吸気時には一方の施療機器で肩の後面を施療してもよい。
【0057】
また、基準呼吸に同期して一連の施療動作を行うことができる施療機器の場合、強負荷動作及び弱負荷動作の切り換えは、その施療機器による一連の施療動作内で行うことができる。基準呼吸に同期して一連の施療動作を行うことができる施療機器としては、揉み動作を行うときの揉み玉ユニット50、及び指圧動作を行うときの揉み玉ユニット50がある。揉み作業を行うときの揉み玉ユニット50の場合、呼気時に揉み玉51が互いに近づくように移動させ、吸気時に揉み玉51が互いに離れる方向に移動させる。また、指圧動作を行うときの揉み玉ユニット50の場合、呼気時に揉み玉51を施療部位に近づく方向に移動させ、吸気時に施療部位から揉み玉51を離す方向に移動させる。このように制御することで、呼気時には強負荷動作が行われ、吸気時に弱負荷動作が行われることになる。
【0058】
また、複数種類の施療動作を行うことができる施療機器の場合、強負荷動作及び弱負荷動作の切り換えは、施療機器の施療動作の種類を変更することによって行うことができる。複数種類の施療を行える施療機器としては、揉み玉ユニット50がある。例えば、揉み玉ユニット50は、揉み動作、叩き動作、指圧動作、及びローリング動作の施療動作を行うことができるが、基準呼吸の呼気時にいずれかの施療動作を行い、吸気時には呼気時で行った施療動作よりも負荷の小さい施療動作を行う。これにより、呼気時には強負荷動作が行われ、吸気時に弱負荷動作が行われることになる。
【0059】
以上が、本実施形態における呼吸施療制御の説明である。なお、以上では、施療部17が、基準呼吸の呼気時に強負荷動作を行うとともに、基準呼吸の吸気時に弱負荷動作を行う場合について説明したが、これとは逆の動作を行ってもよい。つまり、施療部17は、基準呼吸の呼気時に弱負荷動作を行うとともに、基準呼吸の吸気時に強負荷動作を行ってもよい。この場合、吸気による緊張状態において強負荷動作により被施療者をさらに緊張させ、呼気による弛緩状態において弱負荷動作により被施療者をさらに弛緩させることで、緊張状態から弛緩状態へと一気に移行させることができ、また、弛緩状態から緊張状態へと一気に移行させることができる。その結果、緊張と弛緩のメリハリをつけた施療を被施療者に対して行うことができる。よって、上記の構成においても、呼吸との関係において、効果的な施療を行うことができる。
【0060】
<呼吸ストレッチ制御>
続いて、制御部80が行う種々の制御のうち、呼吸ストレッチ制御について説明する。呼吸ストレッチ制御は、呼吸に合せて被施療者の身体をストレッチする制御である。
図9は、呼吸ストレッチ制御のタイムチャートである。
図9の1〜4段目は、それぞれ基準呼吸、呼吸誘導、呼吸補助、ストレッチ動作を示している。
【0061】
図9に示すように、呼吸ストレッチ制御においても、基準呼吸に同期して前述の呼吸誘導及び呼吸補助を行う。その上で基準呼吸に同期してストレッチ機構によるストレッチ動作を行う。具体的には、基準呼吸の呼気時にストレッチ動作を行い、吸気時にはストレッチ動作を停止する。ストレッチ機構としては、上述したとおり、背凭れ14及び起倒部18によって構成されるもの、フットレスト16によって構成さるもの、揉み玉ユニット50によって構成されるものがある。なお、背凭れ14の起倒によるストレッチを行う際、事前に上腕部エアセル34を膨張させて被施療者の上半身を固定するとストレッチ効果が向上する。また、フットレスト16の上下によるストレッチを行う際、事前に脚部エアセル36を膨張させて被施療者の脚部を固定するとストレッチ効果が向上する。
【0062】
<呼吸揺動制御>
続いて、制御部80が行う種々の制御のうち、呼吸揺動制御について説明する。呼吸揺動制御は、呼吸に合せて身体支持部10を揺動する制御である。
図10は、呼吸揺動制御のタイムチャートである。
図10の1〜4段目は、それぞれ基準呼吸、呼吸誘導、呼吸補助、身体支持部10の振幅を示している。なお、
図10の4段目において、波形の頂部にあるとき身体支持部10は土台部11に対して最も後方に傾斜しており、波形の底部にあるとき身体支持部10は土台部11に対して最も前方に傾斜している。
【0063】
図10に示すように、呼吸揺動制御においても、基準呼吸に同期して前述の呼吸誘導及び呼吸補助を行う。その上で、基準呼吸に同期して揺動部12によって身体支持部10を揺動する。本実施形態では、身体支持部10の揺動の周期は、基準呼吸の周期と一致しているが、呼気と吸気のそれぞれの周期と一致させてもよい。つまり、基準呼吸を1回行う間に身体支持部を2回揺動させてもよい。なお、
図10では、基準呼吸の吸気と呼気の切り換わる時に揺動の振幅(絶対値)が最も小さくなっているが、このようなタイミングで身体支持部10を揺動しなくてもよい。例えば基準呼吸の吸気と呼気の切り換わる時に揺動の振幅(絶対値)が最も大きくなるようにしてもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明した。以上では、音声出力部82が呼吸誘導部を構成し、音声で呼吸を誘導する場合について説明したが、呼吸誘導部はこのような構成に限られない。例えば、施療部17、ストレッチ機構、又は揺動部12が、呼吸誘導部を構成し、これらの動作によって基準呼吸の周期を被施療者に伝えてもよい。具体例として、基準呼吸の呼気時に各エアセルに空気が供給され、基準呼吸の吸気時に各エアセルから空気が排出される場合、被施療者が各エアセルから受ける押圧力によって基準呼吸を認識し、押圧力が大きいときには呼気するととともに、押圧力が小さいときには吸気するようにしてもよい。この場合、音声による呼吸の誘導を省くことができるため、音声が耳障りな場合には有効である。また、呼吸誘導部は、音声を発するものに限らず、コンピュータ等で作成した機械音又は光を発し、これらによって被施療者の呼吸を誘導するものであってもよい。
【0065】
以下、施療部17が呼吸誘導部として機能し、施療部17の動作によって基準呼吸の周期を被施療者に伝える場合について説明する。
図11は、呼吸施療制御のタイムチャートである。
図12は、吸気時における被施療者を示しており、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
図13は、呼気時における被施療者の側面図である。
【0066】
図11及び
図12に示すとおり、施療部17は、基準呼吸の吸気時に被施療者の身長方向に沿って上昇する。また、基準呼吸の吸気時に上半身背面側である背中を押圧する。本実施例では、施療部17として揉み玉ユニット50を動作させて、基準呼吸の周期を被施療者に伝えている。具体的には、制御部80は、基準呼吸の吸気時に昇降部53を制御して、揉み玉ユニット50を例えば腰部から背中の位置まで上昇させる上昇動作を行う。また、制御部80は、基準呼吸の吸気時に押出エアセル40に給気して、揉み玉51で背中を前方へ押し出す第1押出動作を行う。上昇動作と第1押出動作は、並行して行ってもよいし、一方の動作が完了してから他方の動作を開始してもよい。
【0067】
このように揉み玉ユニット50に押出動作を行わせることにより、被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出すことができる。すなわち、吸気時に第1押出動作を行うことで被施療者の胸部を開いて吸気を促すことができる。また、揉み玉ユニット50に上昇動作を行わせることにより、上半身を後方に反らすことができる。すなわち、吸気時に上昇動作を行うことで被施療者の気道を広げて吸気を促すことができる。
【0068】
なお、
図1〜
図3に示すとおり、基準呼吸の呼気時に、揉み玉ユニット50に代えて又は加えて、施療部17として背凭れ14に設けたエアセル(腰部エアセル32又は後肩部エアセル39)によって、背中を押圧して被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出してもよい。また、上腕部エアセル34を上腕部又は肩の側面又は前面を押圧する構成とし、背中の押圧に加えて上腕部エアセル34により上腕部又は肩を背凭れ14に保持してもよい。そうすれば、上半身全体が前方へ移動することを阻止して、被施療者の胸部を確実に開くことができる。
【0069】
一方、
図11及び
図13に示すとおり、施療部17は、基準呼吸の呼気時に頭部又は首の背面側を押圧する。本実施例では、施療部17として揉み玉ユニット50を動作させて、基準呼吸の周期を被施療者に伝えている。具体的には、制御部80は、基準呼吸の呼気時に押出エアセル40に給気して、揉み玉51で頭部又は首を前方へ押し出す第2押出動作を行う。
【0070】
このように揉み玉ユニット50に第2押出動作を行わせることにより、被施療者の頭部又は首部を前方へ押し出すことができる。すなわち、呼気時に第2押出動作を行うことで被施療者を前傾姿勢として呼気を促すことができる。
【0071】
前述した施療部17による呼吸誘導は、吸気と呼気を交互に繰り返す基準呼吸の周期において、吸気時及び呼気時の両方で行ってもよいし、いずれか一方のみで行ってもよい。また、呼吸誘導部として追加的に、音声出力部82による音声案内や、その他の呼吸誘導部(例えば、コンピュータ等で作成した機械音又は光を発生する機器)によって、被施療者の呼吸を基準呼吸に一致するよう誘導してもよい。この場合、施療部17は、被施療者が呼吸誘導部である音声出力部82等に従って呼吸できるよう呼吸補助の役割を担っているともいえる。また、吸気時に揉み玉51で背中を前方へ押し出す第1押出動作、又は呼気時に揉み玉51で頭部又は首を前方へ押し出す第2押出動作には、揉み玉駆動部52の駆動により三次元的に動作する揉み玉51の前方移動も含まれる。また、吸気時に左右対の揉み玉51,51を離反させることで、被施療者の胸部を開いて吸気を促してもよい。
【0072】
<他の実施形態に係る施療装置の構成>
以下、他の実施形態に係る施療装置200について説明する。
図14は、施療装置200の斜視図である。
図14に示すとおり、施療装置200は、施療装置100と異なり、背凭れ14に施療部17として前述した揉み玉ユニット50が被施療者の身長方向に沿って複数設けられている。その他の構成については、施療装置100と同様であるため、同一符号を付してその説明を省略する。
【0073】
具体的には、相対的に上側に位置する揉み玉ユニット50(以下、上揉み玉ユニット50aと呼ぶ)と、相対的に下側に位置する揉み玉ユニット50(以下、下揉み玉ユニット50bと呼ぶ)と、が背凭れ14に設けられている。これら揉み玉ユニット50a,50bは、昇降部53によりそれぞれ独立して身長方向へ移動可能である。なお、揉み玉ユニット50は、2つである必要はなく3つ以上であってもよい。
【0074】
以下、上揉み玉ユニット50a及び下揉み玉ユニット50bが呼吸誘導部として機能し、各揉み玉ユニット50a,50bの動作によって基準呼吸の周期を被施療者に伝える場合について説明する。
図15は、呼吸施療制御のタイムチャートである。
図16は、吸気時における被施療者の側面図である。
図17は、呼気時における被施療者の側面図である。
【0075】
図15及び
図16に示すとおり、下揉み玉ユニット50bは、基準呼吸の吸気時に下方から被施療者の身長方向に沿って上昇する。また、基準呼吸の吸気時に上半身背面側である背中を押圧する。具体的には、制御部80は、基準呼吸の吸気時に昇降部53を制御して、下揉み玉ユニット50bを例えば腰部から背中の位置まで上昇させる上昇動作を行う。また、制御部80は、基準呼吸の吸気時に押出エアセル40に給気して、下揉み玉ユニット50bの揉み玉51で背中を前方へ押し出す第1押出動作を行う。このとき、上揉み玉ユニット50aは、頭部又は首付近に位置しており、押出エアセル40は収縮し揉み玉51が後退した状態にある。上昇動作と第1押出動作は、並行して行ってもよいし、一方の動作が完了してから他方の動作を開始してもよい。
【0076】
このように下揉み玉ユニット50bに第1押出動作を行わせることにより、被施療者の胸部を肩に対して前方へ押し出すことができる。すなわち、吸気時に第1押出動作を行うことで被施療者の胸部を開いて吸気を促すことができる。また、下揉み玉ユニット50bに上昇動作を行わせることにより、上半身を後方に反らすことができる。すなわち、吸気時に上昇動作を行うことで被施療者の気道を広げて吸気を促すことができる。しかも、上揉み玉ユニット50aは後退しているため、上昇動作による上半身の反りを阻害しない。
【0077】
一方、
図15及び
図17に示すとおり、上揉み玉ユニット50aは、基準呼吸の呼気時に頭部又は首の背面側を押圧する。具体的には、制御部80は、基準呼吸の呼気時に押出エアセル40に給気して、上揉み玉ユニット50aの揉み玉51で頭部又は首を前方へ押し出す第2押出動作を行う。また、制御部80は、下揉み玉ユニット50bを例えば背中から腰部の位置まで下降させる下降動作を行う。
【0078】
このように上揉み玉ユニット50aに第2押出動作を行わせることにより、被施療者の頭部又は首部を前方へ押し出すことができる。すなわち、呼気時に第2押出動作を行うことで被施療者を前傾姿勢として呼気を促すことができる。しかも、下揉み玉ユニット50bは腰部の位置まで下降するため、第2押出動作による前傾姿勢を阻害しない。なお、下揉み玉ユニットを下降させる位置は、腰部である必要はなく、上半身における後方へ突出した範囲Rを避けることができる位置であればよい。例えば、施療装置200が、下揉み玉ユニット50bを座部13又はフットレスト16まで昇降できる構成であれば、座部13又はフットレスト16まで下降させてもよい。
【0079】
このように本実実施形態の施療装置200は、吸気を促す動作と呼気を促す動作を別個の施療部17によって行う。すなわち、下揉み玉ユニット50bによって上半身を反らすとともに胸部を開いて吸気を促し、上揉み玉ユニット50aによって前傾姿勢として呼気を促すよう構成されている。単一の施療部17によって、吸気と呼気を交互に繰り返す基準呼吸に同期して呼吸するように被施療者を誘導するためには、施療部17を背中から頭部又は首までの間を昇降させる必要があるが、この施療装置200は被施療者に対して吸気と呼気の切り替えをスムーズに誘導することができる。
【0080】
また、以上では、施療装置100が椅子型マッサージ機である場合について説明したが、施療装置100は椅子型マッサージ機以外のものであってもよい。例えば、足専用のマッサージ機などある施療部専用のマッサージ機であってもよい。また、施療装置100は、施療部位を押圧するようなものに限られず、施療部位に電気的な刺激や熱の刺激を与えるようなものであってもよい。
【0081】
また、以上では、呼吸施療制御、呼吸ストレッチ制御、及び呼吸揺動制御の全てを行える施療装置100について説明したが、これらの制御のうち1又は2つの制御のみが行える施療装置100であってもよい。特に、呼吸揺動制御のみを行う場合は、施療を行うことができる施療装置でなくてもよい。つまり、施療部17を備えておらず施療を行わない椅子であってもよい。