特許第6663656号(P6663656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6663656液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置のための液圧ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663656
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置のための液圧ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/42 20060101AFI20200302BHJP
【FI】
   B60T8/42
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-115466(P2015-115466)
(22)【出願日】2015年6月8日
(65)【公開番号】特開2016-3007(P2016-3007A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2018年5月21日
(31)【優先権主張番号】10 2014 211 382.2
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ライナー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】フルスト,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シュナルツェガー,ギュンター
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−244014(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0319334(US,A1)
【文献】 特許第2904915(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置のための液圧ユニットであって、液圧ブロック(2)を備えており、該液圧ブロック(2)が圧力変動減衰器(6)のための収容部(4)を有していて、該収容部(4)内に前記圧力変動減衰器(6)が配置されており、前記圧力変動減衰器(6)のための、前記収容部(4)の底部(19)に開口する接続部(18)が設けられており、前記接続部(18)に前記圧力変動減衰器(6)が当接していて、それによって減衰器内室が前記接続部(18)に連通している形式のものにおいて、
前記圧力変動減衰器(6)の外側で第2の接続部(17)が、前記圧力変動減衰器(6)のための前記収容部(4)内に開口していて、前記第2の接続部(17)も前記減衰器内室に連通していて、
前記圧力変動減衰器(6)が、前記接続部(18)に液密に当接していることを特徴とする、液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置のための液圧ユニット。
【請求項2】
前記圧力変動減衰器(6)が、前記接続部(18)内に突入していて、周面に当接していることを特徴とする、請求項1に記載の液圧ユニット。
【請求項3】
前記圧力変動減衰器(6)が、前記2つの接続部(17,18)の間に液圧的に配置された少なくとも1つの逆止弁(23,26)および/または絞り(28)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の液圧ユニット。
【請求項4】
液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置のための液圧ユニットであって、液圧ブロック(2)を備えており、該液圧ブロック(2)が圧力変動減衰器(6)のための収容部(4)を有していて、該収容部(4)内に前記圧力変動減衰器(6)が配置されており、前記圧力変動減衰器(6)のための、前記収容部(4)の底部(19)に開口する接続部(18)が設けられており、前記接続部(18)に前記圧力変動減衰器(6)が当接していて、それによって減衰器内室が前記接続部(18)に連通している形式のものにおいて、
前記圧力変動減衰器(6)の外側で第2の接続部(17)が、前記圧力変動減衰器(6)のための前記収容部(4)内に開口していて、前記第2の接続部(17)も前記減衰器内室に連通していて、
前記圧力変動減衰器(6)が、前記2つの接続部(17,18)の間に液圧的に配置された少なくとも1つの逆止弁(23,26)を有していて、
前記圧力変動減衰器(6)が、液圧的に並列接続された2つの逆止弁(23,26)を有しており、これらの2つの逆止弁のうちの一方の逆止弁(23)がばね無しであって、他方の逆止弁(26)がばね付勢されていることを特徴とする、液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置のための液圧ユニット。
【請求項5】
前記圧力変動減衰器(6)が、前記2つの接続部(17,18)の間に液圧的に配置された絞り(28)を有していることを特徴とする、請求項4に記載の液圧ユニット。
【請求項6】
少なくとも1つの前記逆止弁(23,26)が、前記圧力変動減衰器(6)の出口に液圧的に配置されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の液圧ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文の特徴を有する、液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置のための液圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置は、スリップ制御装置の液圧構成要素を備えた液圧ユニットを有している。このような液圧構成要素は、電磁弁、逆止弁、液圧ポンプ、液圧蓄圧器、減衰室および絞りである。液圧構成要素を機械的に固定および液圧的に接続するために、このような液圧ユニットは液圧ブロックを有している。これらの液圧ブロックは、一般的に、金属例えばアルミニウム合金より成る直方体状の偏平なブロックである。液圧ブロック内に、液圧構成要素のための収容部が形成されており、この収容部は典型的には段付けされた直径を有する盲孔として構成されていて、この盲孔内に、液圧構成要素が差し込まれ、押し込まれまたはその他の形式で組み込まれていて、例えばかしめ加工によって固定されている。液圧ブロックに穿孔を施すことによって管路が形成され、これらの管路は、概ね液圧ブロックの縁部に対して平行に、つまりデカルト座標的に延在していて、収容部若しくは、この収容部内に組み込まれた液圧的な構成要素は、互いに流体接続されている。スリップ制御装置の液圧構成要素を備えた液圧ブロックは、液圧ユニットと解釈される。液圧ブロック若しくは液圧ユニットはブレーキ管路を介してマスタブレーキシリンダに接続されていて、液圧式のホイールブレーキはブレーキ管路を介して液圧ユニット若しくは液圧ブロックに接続されている。
【0003】
特許文献1には、このような形式の、圧力変動減衰器を備えた液圧式の車両ブレーキ装置のアンチロック制御装置の液圧ブロックが開示されており、圧力変動減衰器は液圧ブロックの収容部内に配置されていて、孔として製作された接続管路を介してピストンポンプの1つの出口と連通しており、このピストンポンプはやはり液圧ブロックの収容部内に配置されている。同時に、圧力変動減衰器は、ピストンポンプの出口を介して分離弁と連通しており、この分離弁によって、液圧ユニットはマスタブレーキシリンダに接続されていて、ブレーキ圧上昇弁を備えており、このブレーキ圧上昇弁によってホイールブレーキが液圧ユニットに接続されている。圧力変動減衰器は、ピストンポンプの出口におけるブレーキ液の衝撃、圧力脈動および圧力振動を減衰するために用いられる。公知の液圧ユニットの圧力変動減衰器は、1つの出口だけを有していて、別個の入口および出口を有してはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1623118号明細書
【発明の概要】
【0005】
請求項1の特徴を有する本発明による液圧ユニットの圧力変動減衰器は、2つの接続部を有しており、これらの2つの接続部のうちの一方の接続部が圧力変動減衰器の入口を形成していて、液圧ユニットのピストンポンプの出口に連通しており、他方の接続部が圧力変動減衰器の出口を形成していて、分離弁を備えており、この分離弁によって、液圧ユニットは液圧式の車両ブレーキ装置のマスタブレーキシリンダに接続可能若しくは接続されていて、単数または複数のブレーキ圧上昇弁を備えており、このブレーキ圧上昇弁によって、単数または複数のホイールブレーキが液圧ユニットに接続可能若しくは接続されている。本発明によれば、液圧ブロックは、圧力変動減衰器のための2つの接続部を有しており、これら2つの接続部は例えば穿孔されていて、液圧ブロック内の管路または接続管路とも解釈され、これら2つの接続部のうちの一方が、圧力変動減衰器のための入口を形成し、他方が出口を形成する。2つの接続部のうちの一方は、液圧ブロック内の圧力変動減衰器のための収容部の底部に開口し、他方の接続部は、やはり圧力変動減衰器のための収容部の底部の、一方の接続部とは別の個所に開口しているか、または他方の接続部が底部にではなく、例えば液圧ブロック内の圧力変動減衰器のための収容部の周面に開口していていよい。圧力変動減衰器は、これがこの圧力変動減衰器のための一方の接続部に当接し、それによって2つの接続部を液圧的に分離させることで、一方の接続部を通って流入するブレーキ液を強制的に圧力変動減衰器を通して流入させ、他方の接続を通って流出させることができるように、液圧ブロックの収容部内に配置されている。圧力変動減衰器に沿って一方の接続部から他方の接続部へ直接的に流れるブレーキ液の流れは、場合によっては発生する漏れを除いて、阻止される。このような圧力変動減衰器の強制的な貫流は、ブレーキ液の衝撃、圧力脈動、圧力振動の減衰を保証するか、またはいずれにしても減衰を改善する。圧力変動減衰器は、例えば一方の接続部の内周面に、一方の接続部の円筒形または円錐形の座繰りの内周面に、或いは接続部を包囲する、圧力変動減衰器のための収容部の底部に当接してよい。収容部内で圧力変動減衰器を密に当接させて、液圧ブロック内で圧力変動減衰器のための2つの接続部を液圧的に密に互いに分離することは、好適ではあるが、減衰のために必ずしも必要なものではない。場合によっては発生する漏れにおいて、一方の接続部から直接的に他方の接続部に向かって圧力変動減衰器に沿って流れるブレーキ液流は、圧力変動減衰器を通って流れるブレーキ液流と比べて少量であって、圧力変動減衰器に沿って流れるブレーキ液流は著しく絞られる。何故ならば、ブレーキ液流は、液圧ブロックの収容部内に当接する圧力変動減衰器と収容部との間の狭い横断面を通って流れなければならないからである。強い絞りは、同様に減衰を生ぜしめる。圧力変動減衰器が逆止弁を有していて、この逆止弁が、分離弁が開放しているときに分離弁を通って、また圧力変動減衰器の出口を形成する接続部を通って、マスタブレーキシリンダからブレーキ液が圧力変動減衰器内に流入するのを阻止する場合に、圧力変動減衰器の2つの接続部を密に液圧的に分離するために絶対に必要なことは、液圧ブロックの収容部内で圧力変動減衰器を密にシールすることである。本発明の実施例によれば、少なくとも1つのこのような逆止弁が設けられており、従って、マスタブレーキシリンダによるブレーキ操作の際に、ブレーキ液がマスタブレーキシリンダから圧力変動減衰器内に流入することはない。ブレーキ液が圧力変動減衰器内に流入すると、マスタブレーキシリンダの操作ストローク、つまりブレーキペダルストロークまたはブレーキレバーストロークが延長され、圧力変動減衰器の弾性に基づいて、不都合な「柔軟な」ブレーキペダル感覚またはハンドブレーキレバー感覚が生ぜしめられる。
【0006】
従属請求項は、請求項1に記載した本発明の好適な実施態様および変化実施例を対象としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明による液圧ユニットの液圧ブロックの半部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のその他の特徴は、請求項および図面と共に、本発明の以下の説明により明らかである。個別の特徴は、単独でもまたは任意の複数の組合せでも、本発明の実施例において実現可能である。
【0009】
図面に示した本発明による液圧ユニット1は、液圧式の車両ブレーキ装置の、その他は図示されていないスリップ制御装置の部分である。このようなスリップ制御装置は公知であり、アンチロック制御、トラクションスリップ制御および/またはビーグルダイナミックコントロール若しくは超過速度防止制御に使用される。このような制御のために、略語ABS,ASR,FDRおよびESPが一般に使用されている。液圧ユニット1は、直方体状の液圧ブロック2を有しており、この液圧ブロック2は例えばアルミニウム合金より成っていて、切削加工により製作されている。図面では、液圧ブロック2は、矩形、ほぼ正方形であって、偏平、つまり厚みが長さまたは幅の約1/4〜1/3である。図面には、液圧ブロック2の半部、つまり液圧ブロック2の左右対称基準平面である縦中心平面3の一方側の断面図が示されている。液圧ブロック2は、スリップ制御装置の液圧構成要素のための収容部4を有している。このような構成要素は、例えば図面には吸入弁5が示されている電磁弁、逆止弁、液圧蓄圧器、および液圧ポンプとしてのピストンポンプ(図示せず)並びに本発明による圧力変動減衰器6である。内部に液圧構成要素が挿入されているか若しくは配置されている収容部4は、段付けされた直径を有する盲孔または貫通孔として構成されている。収容部4、若しくはこの収容部4に配置された液圧構成要素は、管路7によって互いに流体接続されており、この管路7は、収容部4と同様に液圧ブロック2を穿孔することによって製作される。液圧ブロック2は、スリップ制御装置の液圧構成要素を機械的に固定するために、および流体接続するために用いられる。液圧ブロック2の穿孔および液圧構成要素の配置はデカルト座標的である、つまり液圧構成要素のための収容部4、液圧構成要素の流体接続のための管路7、および液圧構成要素は、デカルト座標的、即ち互いに、かつ液圧ブロック2の面および縁部に対して平行にまたは直角に配置されている。これは、1つまたは若干の、場合によっては斜めの孔を除外するものではない。
【0010】
圧力変動減衰器6は、一端部が半球形に閉じられた、ドーム形つまりシリンダチューブ形の減衰器ハウジング8を有している。圧力変動減衰器6の減衰器ハウジング8はその、液圧ブロック2の収容部4内に位置する開放した端部に、直径の拡大された拡径部9を有しており、この拡径部9内に、逆向きに配置された弁ハウジング10が挿入されている。弁ハウジング10の直径は、円錐台形の直径段部により段付けされており、この場合、半径方向段部を設けることもできる。直径段部のうちの1つは、円周方向に亘って分配配置された、圧力変動減衰器6の入口開口11としての複数の孔を有している。出口開口12は、圧力変動減衰器6の減衰器ハウジング8とは反対側の、弁ハウジング10の端壁に同軸に設けられている。減衰器ハウジング8内で、圧力変動減衰器6は、エラストマーより成るコルゲートホース状の減衰体13を有しており、この減衰体13の一方の端部は閉鎖されていて、減衰体13の、弁ハウジング10側の端部は開放されている。保持リング14は、圧力変動減衰器6の減衰器ハウジング8内で減衰体13の開放した端部を保持する。保持リング14は環状の隆起部15を有しており、この環状の隆起部15は、減衰体13の開放した端部の溝内に係合し、このような形式で減衰体13の開放した端部を保持する。さらに、保持リング14はフランジ16を有しており、このフランジ16は、減衰器ハウジング8の拡径部9と弁ハウジング10との間に固定されている。
【0011】
圧力変動減衰器6のための収容部4内に、2つの接続部17,18が開口しており、これらの接続部17,18のうちの一方の接続部17が入口を形成し、他方の接続部18が出口を形成する。入口を形成する接続部17は、圧力変動減衰器6のための収容部4の周面の近くで収容部4の底部19に偏心的に開口する。この接続部17は、斜めに延在しており、それによって収容部4の開口を通して穿孔できるように、配向されている。出口を形成する他方の接続部18は、軸平行に、かつ中心近くに延在していて、同軸的な円筒形の座繰り20で以って圧力変動減衰器6のための収容部4の底部19内に開口している。圧力変動減衰器6の弁ハウジング10の、中空円筒形の端部は、出口を形成する接続部18の座繰り20内に押し込まれていて、座繰り20の周面に当接して密にシールされている。このような形式で、圧力変動減衰器6のための2つの接続部17,18は液圧ブロック2内で互いに液圧的に分離されており、従ってブレーキ液は、一方の接続部17から他方の接続部18に直接的に流入するのではなく、入口開口11および出口開口12を通って、弁ハウジング10内におよびひいては圧力変動減衰器6内に強制的に流入し、またここから流出して、一方の接続部17から他方の接続部18へ達するようになっている。
【0012】
弁ハウジング10内には、弁座部分21が押し込まれており、この弁座部分21は、ばね無しの逆止弁23のための弁座22を形成する中央孔を有している。逆止弁23は遮断体24としての球を有しているが、これは本発明にとって必ずしも必要なものではない。ばね無しの逆止弁23の遮断体24は、ばね付勢形逆止弁26の円筒形の遮断体25の同軸的な座繰り内に配置されている。内部にばね無しの逆止弁23の遮断体24が収容されている座繰りから、軸方向の貫通孔27がばね付勢形逆止弁26の遮断体25を通って延在している。貫通孔27は、直径の縮小された区分を有しており、この区分が絞り28を形成する。貫通孔27は、直径の拡大された区分内に、半径方向内方に突き出す複数の長手方向リブ29を有しており、これらの長手方向リブ29は、貫通孔27の、座繰り内に通じる開口まで達していて、この座繰り内にばね無しの逆止弁23の遮断体24が配置されている。長手方向リブ29は、ばね無しの逆止弁23の遮断体24が貫通孔27を遮断するのを阻止する。ばね付勢形逆止弁26の円筒形の遮断体25は、その外側に、外方に突き出す複数の長手方向リブ30を有しており、これらの長手方向リブ30は、遮断体25を軸方向摺動可動に弁座部分21内で案内し、遮断体25の周囲における貫流を可能にする。ばね付勢形逆止弁26は、弁ばね31として圧縮コイルばねを有しており、この圧縮コイルばねは、弁ハウジング10の端壁で支持されていて、遮断体25を、ばね付勢形逆止弁26の弁座を形成する、弁座部分21の端壁に向かって付勢する。
【0013】
圧力変動減衰器6は、液圧ブロック2の収容部4内にいわゆるセルフクリンチ技術によって固定されており、このために、かしめスリーブ32が収容部4内の開口の近傍で減衰器ハウジング8に配置されていて、このかしめスリーブ32は、その外側に環状の溝33を有しており、この環状の溝33内に、収容部4内への押し込み時に液圧ブロック2の材料が可塑的に変形侵入して、この材料が、かしめスリーブ32を保持し、収容部4の開口内で気密にシールする。かしめスリーブ32は減衰器ハウジング8の拡径部9に当接し、このような形式で、圧力変動減衰器6を収容部4内で保持し、かつ弁ハウジング10の端部を収容部4の底部における接続部18の座繰り20内で保持する。
【0014】
2つの接続部17,18は、スリップ制御装置の図示していないピストンポンプのための収容部4内に開口している。接続部17,18は、圧力変動減衰器6の入口を形成する接続部17がピストンポンプ出口と連通し、また、圧力変動減衰器6の出口を形成する接続部18が、管路7を通して液圧ブロック2を図示していないマスタブレーキシリンダに接続する、やはり図示してない分離弁に連通し、さらに、図示していないホイールブレーキを液圧ブロック2に接続する、図示していないブレーキ圧上昇弁に連通するように、配置されている。図示していないピストンポンプによって圧送されたブレーキ液は、入口を形成する接続部17、収容部4および入口開口11を通って圧力変動減衰器6内に流入する。減衰体13および、その絞り作用に基づいて逆止弁23,26および絞り28は、ピストンポンプから圧送されるブレーキ液の衝撃、圧力脈動および圧力変動を減衰する。ブレーキ液は、圧力変動減衰器6からばね無しの逆止弁23によって、出口を形成する接続部18内に流入する。この際に、ブレーキ液は絞り28を貫流し、それによって減衰作用が改善される。圧力変動減衰器6内で上昇された圧力は、ばね付勢形逆止弁26を開放し、それによって、ピストンポンプからブレーキ液をさらに貫流させるための追加的な流過横断面が提供される。2つの逆止弁23,26は液圧的に互いに並列接続されていて、絞り28はばね無しの逆止弁23に液圧的に後置接続されている。さらに、2つの逆止弁23,26および絞り28は、圧力変動減衰器6に液圧的に後置接続されている。
【0015】
図示していないマスタブレーキシリンダによってブレーキ操作されると、図示していないピストンポンプのための収容部4を貫通する管路7内にブレーキ圧が形成され、逆止弁23,26を遮断するので、マスタブレーキシリンダから圧力変動減衰器6内へブレーキ液が流入することはない。従って、マスタブレーキシリンダがブレーキ液体積を圧力変動減衰器6内に押しやることはない。ブレーキ液体積が圧力変動減衰器6内に押しやられると、マスタブレーキシリンダの操作ストロークが長くなり、減衰体13の弾性に基づいて、不都合な柔軟な「ペダル感覚」が生ぜしめられる。
【0016】
圧力変動減衰器6は、液圧ブロック2内の図示していないピストンポンプのための収容部4の軸方向平面内に配置されている。減衰器ハウジング8は、ここでは弁側34と呼ばれる、液圧ブロック2の偏平側から直角に突き出している。弁側34から、液圧ユニット1の電磁弁も突き出しており、これらの電磁弁のうちの吸入弁5が図示されている。吸込み弁5は、液圧ブロック2の長手方向中心平面3と圧力変動減衰器6との間の、液圧ブロック2内のピストンポンプのための収容部4と同じ軸方向平面内で、圧力変動減衰器7に対して平行に配置されている。吸入弁5は、圧力変動減衰器6と同様に、セルフクリンチ技術により収容部4内に固定されていて、気密にシールされている。ピストンポンプのための収容部4は、偏心体用スペース35内に半径方向で開口しており、この偏心体用スペース35は、段付けされた直径を有する盲孔として液圧ブロック2の長手方向平面3内に設けられている。偏心体用スペース35は、図示していないピストンを駆動するための、電動機により駆動可能な図示していない偏心体を収容するために用いられる。
【0017】
液圧構成要素が装着されると、液圧ブロック2は、それ以外は図示されていない液圧式の車両ブレーキ装置のスリップ制御装置の液圧ユニット1を形成する。
【符号の説明】
【0018】
1 液圧ユニット
2 液圧ブロック
3 縦中心平面
4 収容部
5 吸入弁
6 圧力変動減衰器
7 管路
8 減衰器ハウジング
9 拡径部
10 弁ハウジング
11 入口開口
12 出口開口
13 コルゲートホース状の減衰体
14 保持リング
15 隆起部
16 フランジ
17,18 接続部
19 底部
20 座繰り
21 弁座部分
22 弁座
23 逆止弁
24,25 遮断体
26 ばね付勢形逆止弁
27 貫通孔
28 絞り
29,30 長手方向リブ
31 弁ばね
32 かしめスリーブ
33 環状の溝
34 弁側
35 偏心体用スペース
図1