(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663670
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】バスバー位置決め部材
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20200302BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-182954(P2015-182954)
(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公開番号】特開2016-111914(P2016-111914A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2018年9月10日
(31)【優先権主張番号】14/557,398
(32)【優先日】2014年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラム,ロバート,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ササリディス,ディノ
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,コリン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェンジュン
【審査官】
栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−050118(JP,A)
【文献】
特開2013−027203(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/069308(WO,A1)
【文献】
特開平03−278596(JP,A)
【文献】
特開2011−155838(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0308362(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバー層をバスバー位置決め部材に取り付けるように構成された、1つ以上の第1取付け部と、
接続のために前記バスバー層に対して実質的に垂直にトランジスタ組立体を収容及び配置するようにそれぞれ構成された1つ以上の区画部と、
接続のために前記バスバー層に対してバスバーを収容及び配置するようにそれぞれ構成された複数のスロットと、を備えるバスバー位置決め部材。
【請求項2】
前記スロットの各々は、前記スロット内に対応する前記バスバーをそれぞれ保持するように構成された、少なくとも1つの係合解除可能な留め金を有することを特徴とする、請求項1に記載のバスバー位置決め部材。
【請求項3】
前記バスバー位置決め部材は、DCからACへの変換を実行するインバータ内に設けられ、
DCバスバーが前記バスバー位置決め部材の片側の隣接スロット内に配置され、
前記区画部のそれぞれで、ACバスバーが対応するACバスバースロットに配置されることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー位置決め部材。
【請求項4】
少なくとも2つのACバスバースロットが設けられ、それぞれが、対応する前記区画部の端部の先に拡大部を有し、前記バスバー位置決め部材は、前記拡大部の各端部同士をつなげる支持構造をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のバスバー位置決め部材。
【請求項5】
前記区画部よりも前記バスバー層の反対側に配置された少なくとも1つの回路基板を前記バスバー位置決め部材に取り付けるように構成された、1つ以上の第2取付け部をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のバスバー位置決め部材。
【請求項6】
前記区画部の各々は、該区画部の前記対応するACバスバースロットの反対側に位置する端子通過部をさらに備え、少なくとも1つのコンデンサ端子が、前記バスバー位置決め部材の下側から前記端子通過部を通過して前記バスバー層まで延びるように前記端子通過部が構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のバスバー位置決め部材。
【請求項7】
前記区画部の各々は、側壁と、底壁と、隣接するスロットの外側により定義されることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー位置決め部材。
【請求項8】
前記各区画部内の前記トランジスタ組立体は、実質的に前記区画部の両端にわたって延びるヒートシンクを有し、前記区画部の各々は、対応する前記ヒートシンクを収容及び配置するようにさらに構成され、前記トランジスタ組立体は、前記ヒートシンクの少なくとも片側に対して位置決めされることを特徴とする、請求項1に記載のバスバー位置決め部材。
【請求項9】
前記第1取付け部は、前記バスバー位置決め部材の上部にわたって前記バスバー層を位置決めするように構成され、前記トランジスタ組立体のトランジスタは、前記バスバー層から実質的に垂直方向下方に延びることを特徴とする、請求項8に記載のバスバー位置決め部材。
【請求項10】
バスバー位置決め部材の複数のスロットの各々に対応するバスバーを挿入する工程であって、前記各スロットは、接続のためにバスバー層に対して前記対応するバスバーを収容及び配置するように構成された、工程と、
前記バスバー位置決め部材の1以上の区画部の各々にトランジスタ組立体を挿入する工程であって、前記各区画部は、接続のために前記バスバー層に対して実質的に垂直に前記トランジスタ組立体を収容及び配置するように構成された、工程と、
前記バスバー位置決め部材の1つ以上の第1取付け部により、前記バスバー層を前記バスバー位置決め部材に取り付ける工程と、
前記バスバー層の取り付け後、前記トランジスタ組立体のトランジスタと前記バスバーとを前記バスバー層に溶接する工程と、を含む電子装置を組み立てる方法。
【請求項11】
前記バスバー層の取り付け後に、前記バスバー位置決め部材上の1つ以上の第2取付け部により、少なくとも1つの回路基板を前記バスバー位置決め部材に取り付ける工程をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記回路基板の取り付け後、前記トランジスタの各々のリード線を前記回路基板にはんだ付けする工程をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バスバー位置決め部材とコンデンサ部品とを互いに取り付ける工程をさらに含み、
前記区画部の各々は端子通過部を有し、少なくとも1つの前記コンデンサ部品の端子は、前記バスバー位置決め部材の下方から該端子通過部を通過して前記バスバー層まで延びるように前記端子通過部が構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上のバスバー層と、
トランジスタ組立体と、
バスバーと、
接続のために前記バスバー層に対して実質的に垂直に前記トランジスタ組立体を収容及び配置し、接続のためにバスバー層に対して前記バスバーを収容及び配置し、且つ、前記1つ以上のバスバー層を取り付けるための手段と、を備えるインバータ。
【請求項15】
前記手段は、前記トランジスタ組立体を収容及び配置するための1つ以上の区画部を含み、
前記バスバーは、
前記手段の片側に隣接するスロット内に配置される第1および第2DCバスバーと、
前記1つ以上の区画部の対応するACバスバースロット内のACバスバーと、を備え、
前記バスバー層は、
前記第1DCバスバーに接続される第1DCバスバー層と、
前記第2DCバスバーに接続される第2DCバスバー層と、
前記ACバスバーに接続されるACバスバー層と、を備えることを特徴とする、請求項14に記載のインバータ。
【請求項16】
前記区画部の各々は、当該区画部の前記対応するACバスバースロットの反対側に位置する端子通過部をさらに備え、少なくとも1つのコンデンサ端子が、前記手段の下方から、前記端子通過部を通過して前記バスバー層まで延びるように前記端子通過部が構成されていることを特徴とする、請求項15に記載のインバータ。
【請求項17】
前記各端子通過部は、前記対応する区画部の長さ方向の実質的に全体にわたって延びることを特徴とする、請求項16に記載のインバータ。
【請求項18】
前記手段は、
(i)前記ACバスバースロットと、前記第1および第2DCバスバーの前記隣接するスロットが隣接する第1区画部と、
(ii)互いに隣接するとともに前記第1区画部と平行に延びる複数の第2区画部であって、前記第2区画部の各々が、対応するACバスバーが対応するACバスバースロットに設けられた、前記複数の第2区画部と、を含むことを特徴とする、請求項15に記載のインバータ。
【請求項19】
前記手段は、前記第1および第2DCバスバーに対する前記隣接するスロットの寸法から、前記第2区画部それぞれに対するACバスバースロットの寸法が導き出されるようになっており、これにより前記各ACバスバースロットよりも前記隣接するスロットの寸法公差が小さくなっていることを特徴とする、請求項18に記載のインバータ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子装置は異なるいくつかの種類の部品を使用可能である。あくまで数例であるが、そのような部品として、トランジスタまたはその他アクティブスイッチ装置、ダイオード、コンデンサが挙げられる。電力インバータは、電子装置の1分野であり、(例えば電気自動車内で)電気モーターを駆動するために高圧DCのACへの変換を実行するものである。
【0002】
電子装置は、通常いくつかの相容れない要求と制限とを考慮して設計される。第1に、装置は所望の性能特性(例えば十分に強力かつ高効率であること)を持つよう設計する必要がある。第2に、用途によっては利用可能な空間が限られる。そのような場合は適切に温度管理され、且つコンパクトで電力密度の高い装置の作成が重視される。第3に、大量生産される装置に関しては、製造し易さが重要となる。組立工程がオートメーションで迅速に実行できるかが、成果品としての装置の価値を直接左右するのである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様では、バスバー位置決め部材は、バスバー層をバスバー位置決め部材に取り付けるための1つ以上の第1取付け部と、それぞれ、トランジスタ組立体を接続される前記バスバー層に対して実質的に垂直に位置決めして収容する1つ以上の区画部と、それぞれ、バスバーを接続される前記バスバー層に対して位置決めして収容する複数のスロットと、を有する。
【0004】
実施形態は、以下の特徴のいずれかまたは全部を含んでもよい。前記スロットはそれぞれ、前記スロット内に対応する前記バスバーをそれぞれ保持する、少なくとも1つの係合解除可能な留め金(デテント)を有する。前記バスバー位置決め部材は、DCからACへの変換を実行するインバータ内に設けられ、DCバスバーが前記バスバー位置決め部材の片側の隣接するスロット内に配置され、前記区画部のそれぞれで、ACバスバーが対応するACバスバースロットに配置される。少なくとも2つのACバスバースロットが設けられ、それぞれ対応する前記区画部の端部の先に拡大部を有し、前記バスバー位置決め部材は、各拡大部の端部同士をつなげる支持構造をさらに有する。前記バスバー位置決め部材は、前記バスバー層の前記区画部の反対側に配置された少なくとも1つの回路基板を前記バスバー位置決め部材に取り付けるよう構成された、1つ以上の第2取付け部をさらに有する。前記区画部はそれぞれ、前記区画部の対応するACバスバースロットの反対側に設けられた端子通過部(terminal pass−through、開口部)をさらに有し、少なくとも1つコンデンサ端子が、前記バスバー位置決め部材の下側から前記端子開口を通過して延びて前記バスバー層に達する。前記区画部はそれぞれ、側壁と、底壁と、隣接するスロットの外側により定義される。前記区画部内の前記トランジスタ組立体は、実質的に前記区画部の両端にわたって延びるヒートシンクを有し、前記区画部はさらに対応する前記ヒートシンクを位置決めして収容するものであり、前記トランジスタ組立体は、前記ヒートシンクの少なくとも片側に対して位置決めされる。前記第1取付け部は、前記バスバー層を前記バスバー位置決め部材の上部全体にわたって位置決めし、前記トランジスタは、前記バスバー層から実質的に垂直方向下方に延びる。
【0005】
第2の態様では、電子装置の組立方法は、バスバー位置決め部材の、接続されるバスバー層に対して対応する前記バスバーを位置決めして収容する複数のスロット内に、対応するバスバーを挿入する工程と、前記バスバー位置決め部材の、接続される前記バスバー層に対して前記トランジスタを実質的に垂直に位置決めして収容する1つ以上の区画部のそれぞれに、トランジスタ組立体を挿入する工程と、前記バスバー位置決め部材の1つ以上の第1取付け部により、前記バスバー層を前記バスバー位置決め部材に取り付ける工程と、前記バスバー層の取り付け後、前記回路基板の取り付け後に、前記トランジスタと前記バスバーとを前記バスバー層に溶接する工程と、と含む。
【0006】
実施例は、以下の特徴のいずれかまたは全部を含んでもよい。前記方法は、前記バスバー層の取り付け後に、前記バスバー位置決め部材上の1つ以上の第2取付け部により少なくとも1つの回路基板を前記バスバー位置決め部材に取り付ける工程をさらに含む。前記方法は、前記回路基板の取り付け後、前記各トランジスタのリード線を前記回路基板にはんだ付けする工程をさらに含む。前記方法は、前記バスバー位置決め部材とコンデンサ部品とを互いに取り付ける工程をさらに含み、前記区画部はそれぞれ端子通過部を有し、前記コンデンサ部品の少なくとも1つの端子が、前記バスバー位置決め部材の下方から、前記端子通過部を通過して前記バスバー層まで延びる。
【0007】
第3の態様では、インバータは、1つ以上のバスバー層と、トランジスタ組立体と、バスバーと、接続される前記バスバー層に対して前記トランジスタ組立体を実質的に垂直に位置決めしながら収容し、前記バスバーをそれぞれ接続されるバスバー層に対して位置決めして収容し、前記1つ以上のバスバー層を取り付ける手段と、を有する。
【0008】
実施例は、以下の特徴のいずれかまたは全部を含んでもよい。前記手段は、前記トランジスタ組立体を位置決めして収容する1つ以上の区画部を有し、前記バスバーは、前記手段の片側に隣接するスロット内に配置される第1および第2DCバスバーと、前記1つ以上の区画部それぞれの対応するACバスバースロット内のACバスバーと、を有し、前記バスバー層は、前記第1DCバスバーに接続される第1DCバスバー層と、前記第2DCバスバーに接続される第2DCバスバー層と、前記ACバスバーに接続されるACバスバー層と、を有する。前記区画部はそれぞれさらに、当該区画部の、前記対応するACバスバースロットの反対側に位置する端子通過部を有し、少なくとも1つコンデンサ端子が、前記バスバー位置決め部材の下方から、前記端子通過部を通過して前記バスバー層まで延びる。各端子通過部は、前記対応する区画部の長さ方向の実質的に全体にわたって延びる。前記手段は、(i)前記ACバスバースロットと、前記第1および第2DCバスバーの前記隣接するスロットが隣接する第1区画部と、(ii)互いに隣接し前記第1区画部と平行に延びる複数の第2区画部であって、それぞれ対応するACバスバーが対応するACバスバースロットに設けられた前記複数の第2区画部と、を有する。前記手段は、前記第1および第2DCバスバーに対する前記隣接するスロットの寸法から、前記第2区画部それぞれに対するACバスバースロットの寸法が導き出されるようになっており、これにより前記各ACバスバースロットよりも前記隣接するスロットの寸法公差が小さくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】バスバー位置決め部材とコンデンサの組立体の一例を示す。
【
図3】バスバー位置決め部材の一例をトランジスタ組立体とバスバーと共に示す。
【
図4】バスバー位置決め部材の一例をトランジスタ、積層バスバー構造、回路基板と共に示す。
【
図5】電子装置の組立方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本稿では、電子装置内でバスバー層、トランジスタ、バスバーの相互位置決めに適したバスバー位置決め部材を例に説明する。例えば、バスバー位置決め部材は、トランジスタとコンデンサ端子をバスバー層と回路基板に対し実質的に垂直に位置決めするのに使用可能である。これにより、溶接やはんだ付けによる電気的接続の確立を容易にできる。他の例として、バスバー位置決め部材により、電子装置全体で、部品位置の公差が予測可能となる。さらに他の例として、電力インバータ内の高圧部品に適用できる要件を満たす電気的絶縁が確立される。
【0011】
図1は、バスバー位置決め部材100の一例を示す。バスバー位置決め部材100は、電子部品が位置決めされる1〜N(N=2、3、…)の任意の数の区画部(ベイ,bay)を有してもよい。ここでは、第1および第N区画部のみが図示され、その他中間の区画部(0以上)は点線により省略して示す。
【0012】
本部品は、電子装置用のバスバーを保持するスロット102を有する。例えば、スロット102A〜Bは、DC電源(例えばバッテリーパック)に接続されるDCバスバーをそれぞれ保持可能である。さらに、1つ以上のスロット102Cは電子装置の出力を伝送するACバスバーを保持可能である。例えば、装置がDCを三相AC(例えば電気モーター駆動用)に変換する電力インバータであれば、バスバー位置決め部材はそれぞれ1相に対応するACバスバーを保持する3つのスロット102Cを有する。即ち、各区画部1〜Nは、対応するスロット102Cを有してもよい。
【0013】
バスバー位置決め部材100は、1つ以上のバスバー層(図示せず)を取り付けるための取付け部104A〜Bを有する。例えば、取付け部104Aはバスバー層の開口に対応するテーパ状のピンである。他の例として、取付け部104Bはバスバー層の開口に挿入される締結部(例えば、ねじ)を収容する開口を含む。
【0014】
各スロットは、対応するバスバーをスロット内に保持する係合解除可能な戻り止めを有してもよい。例えば、ここでのスロット102A〜Cはそれぞれ留め金106A〜Cを有する。その他の種類の戻り止めを使用してもよい。
【0015】
即ち、区画部1〜Nと取付け部104A〜Bを設けることで、バスバー位置決め部材100はトランジスタ組立体を接続されるバスバー層に対して実質的に垂直に位置決めされた状態で収容可能となる。さらにバスバー位置決め部材100は接続されるバスバー層に対して(スロット102内の)各バスバーを位置決めし、収容する。
【0016】
1つ以上の区画部1〜Nは一方の端に延長部を有してもよい。延長部は区画部と実質的に平行な拡大部108Aおよび108Bと、拡大部の端同士をつなげる支持構造108Cを含んでもよい。いくつかの実施形態では、拡大部は区画部のヒートシンクの端部周辺の構造強度を増すものである。例えば、ヒートシンクには(入口と出口を通じて)冷媒が流れてもよく、拡大部により入口と出口を機械的損傷から保護してもよい。
【0017】
バスバー位置決め部材100は回路基板(図示せず)を取り付けるための取付け部110A〜Bを有する。ここで、スロット102Aに隣接した取付け部110A同士は、区画部Nに隣接した取付け部110B同士よりも互いに大きく離間している。例えば、取付け部110A〜Bは、取付け部104A〜Bよりも高く位置決めされる。これにより回路基板をバスバー層よりも高く位置決めすることができる。
【0018】
各区画部1〜Nはさらに、区画部のACバスバースロットの反対側に設けられた端子通過部112を有する。少なくとも1つの端子(図示せず)が、バスバー位置決め部材の下から端子通過部を通過して延びる。これにより、端子はバスバー層に達することができ、例えば、コンデンサがバスバー層に接続される。
【0019】
バスバー位置決め部材100は、電子装置全体で、部品の位置の公差を予測可能とする。部品を良好に位置決めするには、組立体の主要部品に対してその他全部品が位置決めされるよう、単一の平行公差スタックが設計されるとよい。ここで、バスバー位置決め部材は、単一の部材で(例えば射出成形で)製造された一体型部品(例えばポリマー製)であり、これにより組立体内のその他部品の公差が予測可能となる。
【0020】
いくつかの実施形態では、区画部1近傍のスロットが、その他区画部2〜Nのスロットのスロットよりも公差が小さくなるようバスバー位置決め部材が設計される。例えば、これによりDCバスバースロットの寸法公差から、バスバー位置決め部材のより離れたACバスバースロットの公差を求めることができる。
【0021】
図2は、バスバー位置決め部材202とコンデンサ204との組立体200の一例を示す。ここでコンデンサはコンデンサ導電体(例えばフォイルまたはフィルム)を収容する筐体204Aと、筐体から延びる支持構造204Bと、リード線が上縁に形成された比較的大きな平板端子204Cとを有する。バスバー位置決め部材には支持構造と平板端子を収容する端子通過部205が形成される。いくつかの実施形態では、コンデンサは電力インバータ内のDCリンクコンデンサである。
【0022】
バスバー位置決め部材は、トランジスタ組立体(図示せず)を位置決めするための区画部206を形成する。ここで、区画部206は側壁206A、底壁206B、表面206Cにより定義される。例えば、表面206Cは区画部206に隣接したスロット208の外面であってもよい。
【0023】
図3は、バスバー位置決め部材300の一例を、トランジスタ組立体302とバスバー304と共に示す。ここで、トランジスタ組立体はヒートシンク302B上で挟まれたトランジスタ302A(例えばIGBT)を有する。ここで、バスバーはDCバスバー304A〜Bと、負荷(例えば電気モーター)に電力を供給するためのワイヤ306に接続されたACバスバー304Cとを有する。別の実施形態では、バスバーの数は異なっていてもよい。即ち電子装置から三相ACを出力するため3つのACバスバーを設けてもよいが、これに限られない。バスバーは銅のような導電性材料でできている。
【0024】
図4は、バスバー位置決め部材400の一例を、トランジスタ402、積層バスバー構造404、回路基板406と共に示す。これらにより、電子装置の一部が形成される。本例のトランジスタは、構造404のバスバー層から実質的に垂直下方向に延び、熱管理用のヒートシンクの対向する両側に設けられている。バスバー層は、銅などの導電性材料でできている。
【0025】
トランジスタは、回路基板406と接続するおよび/またはタブ410を介して構造404内のバスバー層の1つと接続するリード線を有する。トランジスタは、基板まで延びるタブ410または基板まで延びているリード線そのものを通じて回路基板に接続可能である。あくまで例示の2方法であるが、溶接(高圧接続用)やはんだ付けにより電気的接続は確立できる。
【0026】
電子装置はさらに、各端子414Aおよび414Bを持つコンデンサ412(その筐体を図示する)を有する。例えば、電子装置がDCからACへの変換を行う電力インバータであれば、コンデンサはDCリンクコンデンサであってもよい。端子414A〜Bはその端部にリード線またはタブを有してもよい。例えば、これによりコンデンサを構造404内のバスバー層に接続しやすくできる。
【0027】
最後に、バスバー位置決め部材400は効率的に熱管理ができるよう、これら部品およびその他部品を互いに位置決めし、配置するものであり、信頼性の高い製造のため、寸法公差を許容し、部品を互いに電気的に絶縁する。例えば、バスバー位置決め部材はヒートシンクとトランジスタ402との組立体を設置する区画部を定義する。他の例として、バスバー位置決め部材は、コンデンサとバスバー位置決め部材とが互いに位置決めされるよう、端子414A〜Bの端子通過部416を定義する。さらに別の例として、バスバー位置決め部材は、バスバー420(例えばACまたはDCバスバー)の電子装置のその他部品に対する位置決めに寄与するよう、1つ以上のスロット418を定義する。
【0028】
図5は、電子装置を組み立てる方法500の一例を示すフローチャートである。当該方法は任意の様々な状況に適用可能だが、ここでは電力インバータの製造を説明する。ここで本稿において説明したいくつかの例(例えば
図1〜4)を参照するが、方法は別の種類の電子装置用に実行されてもよい。工程は手動で(即ち人間が)実行してもよいし、ロボットが実行してもよいし、両者の組合せにより実行してもよい。特別な記載のない限り、工程は異なる順序で実行されてもよい。
【0029】
510において、コンデンサとバスバー位置決め部材とを組み付ける。例えば、端子414A〜Bを端子通過部416に挿入してもよい。複数の区画部が存在する存在する実施形態では、この動作は全区画部に同時に実行されてもよい。
【0030】
520において、バスバーを対応するスロットに挿入する。いくつかの実施形態では、DCバスバー304A〜Bをそれぞれ対応するスロットに挿入し、1つ以上のACバスバー304Cを対応するスロットに挿入される。例えば、1つ以上の留め金により、各バスバーを所定のバスバーに保持してもよい。
【0031】
530において、トランジスタ組立体を各区画部に挿入する。例えば、トランジスタをヒートシンクに設置し、その組立体を区画部に設置する。
【0032】
540において、1つ以上のバスバー層を取り付ける。例えば、構造404バスバー層を1つずつ設置してもよいし、あるいは構造404をあらかじめ(絶縁分離層を使用して)組み立てておき、バスバー位置決め部材に設置してもよい。
【0033】
550において、溶接が行われる。バスバー位置決め部材が、溶接対象のワークを互いに接触させて、または近接させて位置決めする。例えば、1つ以上のリード線408を対応するタブ(例えばタブ410)に溶接してもよい。他の例として、端子414A〜Bからのリード線を対応するバスバー層に溶接してもよい。
【0034】
560において、回路基板を取り付ける。例えば、回路基板を取付け部110Aおよび110Bに設置してもよい。
【0035】
570において、はんだ付けが行われる。例えば、回路基板に達するトランジスタ402の制御リード線を基板の回路または部品にはんだ付けする。他の例として、リード線408との溶接接合部から延びるタブ410自体を回路基板にはんだ付けしてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、工程の数はより多く、または少なくともよい。
【0037】
いくつかの実施形態が例示されたが、その他の実施形態も以下の特許請求の範囲では網羅される。