(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら慣用のグリースに代わる潤滑剤としては、潤滑性(低摩擦係数)、耐熱性、長期間にわたって蒸発量の少ない耐久性、回転摩擦により部品間で発生する静電気を逃がしてやることができる導電性、カーボンや金属粉等を含まないことによる清潔な外観などの特性において改善が不十分であった。
【0007】
そこで本発明は、導電性を有し、広い温度範囲において有効であり、かつ、長期間にわたって蒸発量の少ない潤滑剤並びにそのような潤滑剤を構成する化合物を簡易な方法で製造することのできる方法を提供することを目的とする。
【0008】
具体的には、耐熱性については、140℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上、更に好ましくは250℃以上、最も好ましくは300℃以上の温度において安定であることが望ましい。また、導電性については、少なくとも回転摩擦により部品間で発生する静電気を逃がしてやることができる程度が必要であり、例えば、電極面積1cm
2、電極間距離5μmのセルに注入し、電極間に5Vの電圧を印加したとき、30℃〜300℃の範囲において0.001μA以上、より好ましくは0.01μA以上の導電性を有することが望ましい。更に、導電性を付与するためにカーボンや金属を加える必要がないことにより、経済合理性を満たすと共に、清潔な外観による用途の拡大が期待できる。言うまでもなく、本来の潤滑性能を満たす必要があり、動摩擦係数が0.26以下であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、一分子中に、導電性を担う特定のπ電子共役系コア構造と、コア構造に連結した潤滑性を担う特定の鎖状基とを適切に配した化合物が上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0010】
すなわち本発明は、以下を包含する。
[1]
式(1):
【化1】
[式中、
Aは、π電子が6乃至38個の共役系を含む、N、O又はSを含んでもよい炭化水素基であり、
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は同一又は異なり、水素原子、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又はアルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)である]
で表される化合物(1−1)を少なくとも一種含む耐熱導電性潤滑剤。
[2]
Aが、単結合、−CH=CH−、−CH≡CH−、−N=N−、−COO−、又は−CH=N−によって連結されていてもよいベンゼン環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環、カルバゾール環、キナゾリン環、プリン環、インドリジン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、又はアクリジン環を表す、[1]に記載の耐熱導電性潤滑剤。
[3]
Aが
【化2】
である式(1)の化合物(1−2)を少なくとも一種と、
Aが
【化3】
である式(1)の化合物(1−3)を少なくとも一種と
を含む、[1]又は[2]の耐熱導電性潤滑剤。
[4]
Aが
【化4】
である式(1)の化合物(1−3)の少なくとも一種からなる、[1]又は[2]の耐熱導電性潤滑剤。
[5]
電極面積1cm
2、電極間距離5μmのセルに注入し、電極間に5Vの電圧を印加したとき、30℃〜300℃の温度範囲において0.001μA以上の導電性を有する、[1]乃至[4]の耐熱導電性潤滑剤。
[6]
動摩擦係数が0.26以下である、[5]の耐熱導電性潤滑剤。
[7]
カーボン及び金属のいずれも含まない、[5]又は[6]の耐熱導電性潤滑剤。
[8]
式(1):
【化5】
[式中、
Aは、π電子が6乃至38個の共役系を含む、N、O又はSを含んでもよい炭化水素基であり、
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は同一又は異なり、水素原子、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又はアルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)である]
で表される化合物の耐熱導電性潤滑剤の製造のための使用。
[9]
式
【化6】
[式中、
R
1は、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
3及びR
4は同一又は異なり、水素原子、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又はアルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)である]
で表される化合物を少なくとも一種、
式
【化7】
[式中、
R
2は、R
1と同一又は異なり、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
5及びR
6は、R
3及びR
4と同一又は異なり、水素原子、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又はアルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)である]
で表される化合物を少なくとも一種、及び
式
【化8】
で表される化合物を反応させて、下記化合物
【化9】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は上に定義したとおりである]
の混合物を製造する方法。
[10]
互いに接触して相対運動する複数の機械要素と、該機械要素の接触面の少なくとも一部に配置された[1]乃至[7]の耐熱導電性潤滑剤とを有する機械装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低摩擦係数を示し、耐熱性に優れ、広い温度範囲(少なくとも−50℃から+350℃まで)で潤滑効果を有し、長期間にわたって損失が少なく、カーボン粉や金属粉等を混入しなくても導電性を有する、増ちょう剤を用いることなく慣用のグリースに代替可能な、新規な潤滑剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によれば、
式(1):
【化10】
[式中、
Aは、π電子が6乃至38個の共役系を含む、N、O又はSを含んでもよい炭化水素基であり、
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6は同一又は異なり、水素原子、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)、又はアルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)である]
で表される化合物(1−1)を少なくとも一種含む耐熱導電性潤滑剤が提供される。
【0014】
[化合物(1−1)]
式(1)で表される化合物(1−1)は、一分子中に、導電性を担う特定のπ電子共役系コア構造と、コア構造に連結した潤滑性を担う特定の鎖状基とを適切に配した化合物である。
【0015】
[π電子共役系A]
式(1)において、Aは、π電子が6乃至38個の共役系を含む、N、O又はSを含んでもよい炭化水素基である。Aはπ電子共役系が広がっていることにより剛直な平板構造をとり、このため、化合物(1−1)の各分子はπ電子共役系が相互に重なり合うように薄く重なり合って集合することになる。その結果、化合物(1−1)は一定の温度範囲(下記[化合物(1−2)、(1−3)]の項で再度触れる)で液晶相(特にスメクチック液晶相)を形成することができる。このように、Aは化合物(1−1)における液晶形成要素(コア構造)となるが、化合物(1−1)は重なり合ったπ電子共役系を介して導電性を発揮する。一般に、共役系のπ電子の個数は多い方が液晶温度範囲も広く、集合した分子の導電性も向上すると言える。
【0016】
Aはπ電子共役系が広がっていることによる剛直な平板構造をとり、液晶相を形成すると共に、重なり合ったπ電子共役系を介して導電性を発揮する部分であるから、このような機能を損なわない限り、任意のπ電子共役系とすることができる。すなわち、Aは、(a)ベンゼン環のような単環であってもよく、(b)ナフタレン環のような縮合環であってもよく、(c)フラン環、チオフェン環、ピリジン環のような複合環であってもよく、(d)ビフェニルのように(a)〜(c)の芳香族環が単結合で結合されたものであってもよく、(e)−CH=CH−のようなπ電子共役系を途切れさせないスペーサーで(a)〜(c)の芳香族環が連結されたものであってもよい。
【0017】
上記(a)〜(d)の芳香族環の例としては、例えば以下のものが挙げられる(例としてR
1、R
2との結合手を空けた形で示す)。
【0019】
【化12】
式中、Yは、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、メチル基、又はエチル基である。
【0020】
好ましい芳香族環は、ベンゼン環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環、カルバゾール環、キナゾリン環、プリン環、インドリジン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、及びアクリジン環である。
より好ましい芳香族環は、ベンゼン環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環及びカルバゾール環である。
【0021】
最も好ましい芳香族環はベンゼン環である。
【0022】
以上の芳香族環は、単結合又はスペーサーによって連結されていてもよい。
【0023】
スペーサーの例としては−CH=CH−、−CH≡CH−、−N=N−、−COO−、及び−CH=N−の一種又は二種以上の組合せが挙げられる。これらのスペーサーは2つ以上連結していてもよいが、連結している芳香族環がみだりに回転したりしないように1つであることが好ましい。
【0024】
好ましいAを例示すると下記のとおりである。
【化13】
【化14】
【0025】
[鎖状基R
1〜R
6]
式(1)において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6はコア構造に連結し、分子の潤滑性を担う鎖状基である。
【0026】
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12であり、R
7はメチル又はエチルである)である。
【0027】
R
3、R
4、R
5及びR
6は同一又は異なり、水素原子、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、又はアルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)である。
【0028】
前記アルキル基R、アルコキシ基OR及び基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2ORにおけるRの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−エチルヘキシル、ヘキシル、ヘプチル、2−メチルヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の官能基が挙げられる。
【0029】
一般的には、R
3、R
4、R
5及びR
6を水素原子以外に置き換えてゆくにしたがって潤滑性が向上する。
【0030】
前記アルキル基R、アルコキシ基OR及び基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2ORにおけるRは分岐鎖であってもよいが、化合物(1−1)の分子の緊密な集合を妨げ、上記したとおりのAの機能、すなわち、重なり合ったπ電子共役系を介して導電性を発揮する機能を損なわない程度の嵩高さにとどめることが望ましい。
【0031】
前記A及びR
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6を適切に選択することにより、分子全体のサイズ(長径)や極性を調節することができる。
【0032】
[化合物(1−2)、(1−3)]
上記したように、式(1)で表される化合物(1−1)の分子中、Aはπ電子共役系を介して導電性を発揮させる部分であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は主として潤滑性を担う鎖状基である。したがって、式(1)で表される化合物(1−1)の中から、より強く潤滑性を担う化合物(1−2)と、より強く導電性を担う化合物(1−3)の少なくとも二種類を選択して混合し、耐熱導電性潤滑剤とすることは、両者の強みを生かす良い方法と言える。両者を適切に混合することにより、室温から高温に至るまでの広い液晶温度範囲を有し、かつ、室温から高温に至るまで導電性を示す耐熱導電性潤滑剤を創ることができる。
例えば、化合物(1−2)は約130℃までの範囲で液晶性を呈し、化合物(1−3)は200から300℃の範囲で液晶性を呈するが、両者を適切に混合すると、その混合物の液晶温度は−50℃から+200℃まで拡大することができる。
【0033】
このような化合物(1−2)は、Aがπ電子が6乃至18個の共役系を含む、N、O又はSを含んでもよい炭化水素基である式(1)の化合物である。そのAの共役系のπ電子数は、好ましくは8乃至16個、より好ましくは10乃至14個である。また、このような化合物(1−3)は、Aがπ電子が19乃至38個の共役系を含む、N、O又はSを含んでもよい炭化水素基である式(1)の化合物である。そのAの共役系のπ電子数は、好ましくは20乃至30個である。
【0034】
好ましい化合物(1−2)の例は、R
1及びR
2は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、R
3、R
4、R
5及びR
6は水素原子である式(1)で表される化合物である。
【0035】
より具体的には、
(i)Aが
【化15】
であり、
R
1及びR
2が基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6が水素原子である式(1)で表される化合物、
(ii)Aが
【化16】
であり、
R
1が基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
2がOC
8H
17であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6が水素原子である式(1)で表される化合物、
(iii)Aが
【化17】
であり、
R
1及びR
2がOC
8H
17であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6が水素原子である式(1)で表される化合物である。
【0036】
好ましい化合物(1−3)の例は、
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)であり、R
3、R
4、R
5及びR
6は水素原子である式(1)で表される化合物、
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)であり、R
3は、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)であり、R
4、R
5及びR
6は水素原子である式(1)で表される化合物、
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)であり、R
3及びR
5は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)であり、R
4及びR
6は水素原子である式(1)で表される化合物、
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)であり、R
3、R
4及びR
5は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)であり、R
6は水素原子である式(1)で表される化合物、
R
1及びR
2は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)であり、R
3、R
4、R
5及びR
6は同一又は異なり、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20である)である式(1)で表される化合物、
である。
【0037】
より具体的には、
(iv)Aが
【化18】
であり、
R
1及びR
2がOC
8H
17であり、
R
3、R
4、R
5及びR
6が水素原子である式(1)で表される化合物、
(v)Aが
【化19】
であり、
R
1がOC
8H
17であり、
R
2及びR
3がOC
12H
25であり、
R
4、R
5及びR
6が水素原子である式(1)で表される化合物、
(vi)Aが
【化20】
であり、
R
1、R
2、R
3及びR
5がOC
12H
25であり、
R
4及びR
6が水素原子である式(1)で表される化合物である。
【0038】
なお、本発明の耐熱導電性潤滑剤に化合物(1−2)が二種以上含まれる場合や化合物(1−3)が二種以上含まれる場合には、R
1乃至R
6は化合物ごとに同一又は異なる。化合物(1−3)は単独で用いても耐熱導電性潤滑剤に要求される諸特性を満たすこともある。
【0039】
また、主として導電性を担う化合物(1−3)において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6を適切に選択したり、複数種の化合物(1−3)を適宜選択したりすることにより、化合物(1−2)を用いずに有効な耐熱導電性潤滑剤とすることも可能である。そのような化合物(1−3)についての好ましいAの構造及び好ましい化合物の例は上記のとおりである。
【0040】
[化合物の合成]
本発明に係る式(1)で表される化合物(1−1)の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の反応を組み合わせることにより合成することができる。
【0041】
化合物(1−1)の合成は、一般式(1)のA及びR
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6を順次又は同時に結合させることで、容易に行うことができる。
【0042】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6がアルコキシ基の場合には、アルコール化合物(例えばR
1−OH)やフェノール化合物(例えばHO−A−OH)とアルカリ金属やアルカリ金属アルコラートを用い、ハロゲン化合物(例えばR
1−XやX−A−X(Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子などのハロゲン原子))と反応させる方法が利用できる。また、本発明に係る式(1)で表される化合物(1−1)は、特願2015−069191に記載の方法により調製することができる。
【0043】
特に、本発明に係る式(1)で表される化合物(1−3)は、以下のようにして有利に調製することができる。
式
【化21】
[式中、
R
1は、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
3及びR
4は同一又は異なり、水素原子、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、又はアルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)である]
で表される化合物を少なくとも一種、
式
【化22】
[式中、
R
2は、R
1と同一又は異なり、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、アルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、又は基−OCH
2CH
2CH(R
7)CH
2CH
2OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12であり、R
7はメチル又はエチルである)であり、
R
5及びR
6は、R
3及びR
4と同一又は異なり、水素原子、アルキル基R(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)、又はアルコキシ基OR(Rは直鎖又は分岐鎖のC
nH
2n+1であり、1≦n≦20であり、好ましくは4≦n≦16であり、より好ましくは8≦n≦12である)である]
で表される化合物を少なくとも一種、及び
式
【化23】
で表される化合物を反応させて、下記化合物
【化24】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は上に定義したとおりである]
の混合物を得る。
【0044】
なお、前記アルカリ金属としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。また前記アルカリ金属アルコラートとしては、ナトリウムエチラート、ナトリウムメチラート、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウムなどが挙げられる。
【0045】
また、上記の反応には従来公知の各種有機溶媒が使用可能であり、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、トルエンが使用可能である。
【0046】
かくして得られる混合物は、単独の化合物を用いる場合に比較して、より広い温度範囲で潤滑剤用途に適した低粘度を示すので、耐熱導電性潤滑剤として一層好適に使用することができる。
【0047】
[耐熱導電性潤滑剤の特徴]
本発明に係る耐熱導電性潤滑剤の動摩擦係数は40℃で測定したとき、好ましくは0.26以下、より好ましくは0.20以下である。
【0048】
典型的な本発明の潤滑剤組成物の粘度は、−20℃で約16Pa、+20℃で約913mPa、+40℃で約316mPa、+60℃で約52mPaを有することができ、粘度が低めの潤滑剤から粘度が高めのグリース様潤滑剤まで、幅広い用途に使用しうる。
【0049】
本発明に係る耐熱導電性潤滑剤は、電極面積1cm
2、電極間距離5μmのセルに注入し、電極間に5Vの電圧を印加したとき、好ましくは30℃〜300℃の範囲において0.001μA以上、より好ましくは0.01μA以上の導電性を有する。より好ましくは190℃〜300℃の範囲において0.1μA以上の導電性を有する。このような導電性を発揮させるために、わざわざカーボンや金属粉等を配合する必要はない。このため、本発明に係る耐熱導電性潤滑剤の外観は極めて清潔である。
【0050】
また、本発明に係る耐熱導電性潤滑剤は揮発性が非常に小さく(例えば、100℃で1か月加熱後の重量減少が1%以下)、慣用のグリース等に比較して長期間補充することなく使用継続が可能という利点も有する。
【0051】
本発明に係る耐熱導電性潤滑剤を、慣用のグリースが適用されている用途に供する場合、本発明に係る耐熱導電性潤滑剤には増ちょう剤を用いる必要がない。このことにより製造工程が短縮されるばかりでなく、増ちょう剤の不適切な選択に起因して発生しがちであった耐水性やせん断安定性の低下の問題もない。
【0052】
[耐熱導電性潤滑剤の調製]
本発明の耐熱導電性潤滑剤が、本発明の効果を損なわない範囲において含んでもよい、その他の成分について、順に説明する。これらは基本的に潤滑剤の含有成分として従来公知の物質であって、その含有量は、特にほかに言及しない限り、従来公知の範囲で当業者が適宜選択することができる。また、いずれの成分も1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
(液晶化合物)
本発明の化合物(1−1)は液晶化合物であるが、本発明に係る耐熱導電性潤滑剤は、それ以外の液晶化合物を含有してもよい。
【0054】
そのような液晶化合物としては、スメクチック相あるいはネマチック相を示す液晶化合物、アルキルスルホン酸、ナフィオン膜系の構造を持つ化合物、アルキルカルボン酸、アルキルスルホン酸等を挙げることができる。また、特願2015−069191に記載の液晶化合物も好適に配合することができる。
【0055】
これらの成分の併用は、本発明の耐熱導電性潤滑剤に含まれる液晶化合物が液晶相を形成する温度範囲を更に広げ得るものであり、上述の液晶相形成による利点を広い温度範囲にて享受できる可能性がある。
【0056】
(基油)
本発明の化合物(1−1)を添加剤として耐熱導電性潤滑剤に含める場合、基油としては、従来公知の各種の潤滑剤基油を使用することができる。
【0057】
前記基油としては、特に限定されないが、例えば、鉱油、高精製鉱油、合成炭化水素油、パラフィン系鉱油、アルキルジフェニルエーテル油、エステル油、シリコーン油、ナフテン系鉱油及びフッ素油等が使用できる。このような基油の本発明の耐熱導電性潤滑剤における含有量は、通常80〜99重量%である。
【0058】
(その他の添加剤)
本発明の化合物を基油として潤滑剤に含める場合、従来公知の各種添加剤を添加可能である。
【0059】
その他、本発明の耐熱導電性潤滑剤に添加可能な添加剤としては、軸受油、ギヤ油及び作動油などの潤滑剤に用いられている各種添加剤、すなわち極圧剤、配向吸着剤、摩耗防止剤、摩耗調整剤、油性剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、消泡剤、固体潤滑剤等が挙げられる。
【0060】
前記極圧剤の例としては、塩素系化合物、硫黄系化合物、リン酸系化合物、ヒドロキシカルボン酸誘導体、及び有機金属系極圧剤が挙げられる。極圧剤を添加することにより、本発明の耐熱導電性潤滑剤の耐摩耗性が向上する。
【0061】
前記配向吸着剤の例としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などの各種カップリング剤に代表される有機シランや有機チタン、有機アルミニウム等が挙げられる。配向吸着剤を添加することにより、本発明の耐熱導電性潤滑剤に含まれる液晶化合物の液晶配向を強め、本発明の耐熱導電性潤滑剤から形成される被膜の厚さとその強度が強化され得る。
【0062】
本発明の耐熱導電性潤滑剤は、以上説明した本発明の化合物やその他の成分を、従来公知の方法で混合することによって、調製することができる。本発明の耐熱導電性潤滑剤の調製方法の一例を示せば、以下のとおりである。
【0063】
耐熱導電性潤滑剤の構成成分を常法で混合し、その後、必要に応じて、ロールミル、脱泡処理、フィルター処理等を行って本発明の耐熱導電性潤滑剤を得る。あるいは、耐熱導電性潤滑剤の油成分を先に混合し、続いて添加剤等のその他の成分を加えて混合し、必要に応じて上記の脱泡処理等を行うことによっても、耐熱導電性潤滑剤を調製することができる。
【0064】
〔耐熱導電性潤滑剤の用途〕
本発明の耐熱導電性潤滑剤は、上述の通り広い温度範囲、特に高温域において良好な低粘度を示し、また動摩擦係数も小さいので、従来はグリースが適用されていた各種の機械装置における潤滑剤として使用可能である。
【0065】
機械装置は一般に、互いに接触して相対運動する複数の機械要素を有するが、この機械要素の接触面の少なくとも一部に本発明の耐熱導電性潤滑剤を配置することで、前記複数の機械要素の接触による摩擦を低減し、相対運動を円滑にすることができる。
【0066】
本発明において前記接触とは、複数の物体が直接接している場合だけでなく、本発明の耐熱導電性潤滑剤により形成される被膜など、何らかの物質の介在を受けて間接的に接している場合を含む。すなわち、本発明の耐熱導電性潤滑剤が複数の機械要素の接触面に配置された場合、当該組成物からなる被膜が複数の機械要素の間に形成されて、機械要素の直接的接触がなくなる。これにより、機械要素同士の摩擦による摩耗や焼き付きを好適に防止することができる。
【0067】
本発明の耐熱導電性潤滑剤を前記複数の機械要素の接触面に配置する方法は当業者に公知である。そのような方法として例えば、前記接触面への組成物の塗布、前記機械要素の接触面を含む、機械要素が近接している一定領域への前記組成物の充填が挙げられる。
【0068】
また、前記機械要素とは、各種の機械装置を構成する要素(部品等)であり、従来潤滑剤による潤滑が行われているもの、特にグリースが適用されているもの、及び、将来潤滑剤、特にグリースによる潤滑が行われる可能性のあるものを含む。
【0069】
前記複数の機械要素の接触面、より広く言えば機械要素の接触部位は平面であっても曲面であってもよいし、そのような面の少なくとも一部に凹凸があってもよいし、孔部が存在してもよい。また機械要素の接触部位を構成する各機械要素の部位には、各種改質など、表面処理がなされていてもよい。機械要素の材質も特に限定されず、金属材料、あるいは有機・無機材料など、いずれの材料で構成されていてもよい。また、機械要素の一方と他方とで、構成材料の種類が異なっていてもよい。
【0070】
このような各種機械要素を有する機械装置の例としては、運送用機械、加工用機械、コンピュータ関連機器、複写機等の事務関連機器並びに家庭用製品などが挙げられ、本発明の耐熱導電性潤滑剤は、例えばこれら各種機械装置の軸受けの潤滑のために好適に利用することができる。
【0071】
前記軸受けの具体例としては、電動ファンモータ及びワイパーモータ等の自動車電装品に使用される軸受;水ポンプ及び電磁クラッチ装置等の自動車エンジン補機等や駆動系に使用される転がり軸受;産業機械装置用の小型ないし大型の汎用モータ等の回転装置に使用される転がり軸受;工作機械の主軸軸受等の高速高精度回転軸受、エアコンファンモータ及び洗濯機等の家庭電化製品のモータや回転装置に使用される転がり軸受;HDD装置及びDVD装置等のコンピュータ関連機器の回転部に使用される転がり軸受;複写機及び自動改札装置等の事務機の回転部に使用される転がり軸受;並びに、電車及び貨車の車軸軸受が挙げられる。
【0072】
また本発明の耐熱導電性潤滑剤は、自動車のCVJ装置や電子電気制御のパワーステアリング装置等に使用される樹脂プーリの潤滑、並びに、リニアガイドやボールねじなどの各種転動装置の機械要素の潤滑に使用することができる。
【0073】
本発明の耐熱導電性潤滑剤は、例えば、自動車等の車両のエンジン油、ギヤ油、自動車用作動油、船舶・航空機用潤滑油、マシン油,タービン油、油圧作動油、スピンドル油、圧縮機・真空ポンプ油、冷凍機油及び金属加工用潤滑油剤、また、ヒンジ油、ミシン油及び摺動面油、さらには、HDD装置のプラッタ用潤滑剤(水平磁気記録方式及び熱アシスト記録技術等を利用した垂直磁気記録方式に使用されるものを含む)、磁気記録媒体用潤滑剤、マイクロマシン用潤滑剤や人工骨用潤滑剤等にも利用することができる。
【0074】
[各種物性の測定]
潤滑剤の粘度は回転粘度計で測定することができる。
【0075】
動摩擦係数は、市販の動摩擦係数測定装置で測定できるが、本明細書において動摩擦係数は、新東科学株式会社製表面性測定機「TYPE:14FW」を使用して測定する。
【0076】
本発明の耐熱導電性潤滑剤の動摩擦係数は、温度により影響を受けるため、前記動摩擦係数は、−10℃〜+40℃の範囲における所定の測定温度で測定する。
【0077】
具体的には、前記表面性測定機の移動台にステンレス板を固定して試料をたらし、以下の条件で、固定したボールで点圧を加え往復運動による摩耗を繰り返し、往復回数100回ごとにおける動摩擦係数を1800回まで測定し、それらの平均値(平均動摩擦係数)を算出する。この平均値を、本発明における動摩擦係数とする。
【0078】
(測定条件)
垂直荷重:100g
摩擦速度:600mm/min
往復回数:1800
往復ストローク:5mm
加重変換器容量:19.61N
試験片温度:−10℃〜+40℃
摩擦相手材:SUS304 ステンレス球 直径10mm
サンプル量:0.2mL
【0079】
液晶性の観察方法
液晶性の有無は偏光顕微鏡を用いた観察により判断できる。
【0080】
導電性の測定方法
試料を、所定の電極間距離に設定した所定面積の電極間に注入し、電圧印加電流測定装置及び温度コントローラーを用いて、所定の印加電圧で測定する。
【実施例】
【0081】
以下、実施例によりさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されない。
【0082】
[合成例1 アルデヒド原料の合成]
【化25】
500mLの三角フラスコに、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(1−13)20.7g(0.15mol)、炭酸カリウム41.4g(0.3mol)をDMF200mLに溶解させ、シリコン浴にて50℃で1時間攪拌溶解させた。その後、1−ブロモデカン66.4g(0.3mol)をこの中に入れ、シリコン浴にて80℃で24時間反応させた。
反応溶液を冷希塩酸水300mLに注ぎ、分液ロートにてジエチルエーテル300mLで抽出した。蒸留水300mLで2回洗浄した。得られたエーテル層に無水硫酸ナトリウムを入れ一晩脱水させた。
無水硫酸ナトリウムをろ過によって除去し、ジエチルエーテルをエバポレーターで減圧除去した。その後精製操作で、得られた固体をメタノール溶媒で2回再結晶をし、ポンプアップし、化合物(1−15)を得た。構造確認は、1H−NMRとFT−IRにて行った。
収量:59.9g
理論収量:62.80g
収率:95.5%
形状:白色固体
【0083】
[合成例2 混合液晶化合物の合成]
【化26】
【0084】
合成例1の方法に準じて化合物(1−6)及び化合物(1−12)を得た。
200mLの三角フラスコに化合物(1−12)を3.15g(0.015mol)、化合物(1−6)を5.44g(0.015mol)、化合物(1−9)を5.67g(0.015mol)、溶媒としてTHFを50mL加えた。THF50mLに溶解させたカリウム−t−ブトキシド5.1g(0.045mol)を一滴ずつ滴下し、窒素雰囲気下35℃で24時間反応させた。その後、塩酸を5mL加えてからTHFをエバポレーションした。精製はメタノール200mLを加え不溶部を得た。これを二回行った。目的物3を吸引ろ過で回収し、最後に全ての溶媒を取り除くために100℃で5時間エバポレーションした。各化合物のモル比は約1:2:1であった。
構造確認は、1H−NMRとFT−IRにて行った。
理論収量:31.46g
収量:15.13g
収率:48.1%
形状:黄色固体
【0085】
[合成例3 混合液晶化合物の合成]
合成例2の方法に準じて下記の混合液晶化合物を得た。
【化27】
【0086】
[合成例4 混合液晶化合物の合成]
合成例2の方法に準じて下記の混合液晶化合物を得た。
【化28】
【0087】
[合成例5 混合液晶化合物の合成]
合成例2の方法に準じて下記の混合液晶化合物を得た。
【化29】
【0088】
[合成例6 混合液晶化合物の合成]
合成例2の方法に準じて下記の混合液晶化合物を得た。
【化30】
【0089】
[合成例3及び4の混合液晶化合物の液晶性]
合成例3の混合液晶化合物と合成例4の混合液晶化合物を更に1:1の割合で混合して、本発明に係る耐熱導電性潤滑剤(3+4)を得た。この耐熱導電性潤滑剤の液晶性を偏光顕微鏡を用いて観察したところ、−50℃から+230℃の範囲で液晶性を呈することがわかった。示差熱分析の結果を
図1に示す。−50℃付近と+350℃付近で構造の変化が生じるが、その間では安定であることを示す。
【0090】
[合成例4及び6の混合液晶化合物の液晶性]
合成例4の混合液晶化合物と合成例6の混合液晶化合物を更に1:1の割合で混合して、本発明に係る耐熱導電性潤滑剤(4+6)を得た。この耐熱導電性潤滑剤の液晶性を偏光顕微鏡を用いて観察したところ、−50℃から+230℃の範囲で液晶性を呈することがわかった。
【0091】
[合成例3及び5の混合液晶化合物の液晶性]
合成例3の混合液晶化合物と合成例5の混合液晶化合物を更に1:1の割合で混合して、本発明に係る耐熱導電性潤滑剤(3+5)を得た。この耐熱導電性潤滑剤の液晶性を偏光顕微鏡を用いて観察したところ、−50℃から+220℃の範囲で液晶性を呈することがわかった。示差熱分析の結果を
図2に示す。−50℃付近と+350℃付近で構造の変化が生じるが、その間では安定であることを示す。
【0092】
[合成例5及び6の混合液晶化合物の液晶性]
合成例5の混合液晶化合物と合成例6の混合液晶化合物を更に1:1の割合で混合して、本発明に係る耐熱導電性潤滑剤(5+6)を得た。この耐熱導電性潤滑剤の液晶性を偏光顕微鏡を用いて観察したところ、−50℃から+250℃の範囲で液晶性を呈することがわかった。
【0093】
[各種混合液晶化合物の動摩擦係数測定]
新東科学株式会社製表面性測定機TYPE:14FWを使用した。本装置の移動台にステンレス板を固定して試料をたらし、固定したボールで点圧を加え往復運動による摩耗を繰り返し、往復回数100回から1800回まで100回きざみで動摩擦係数を40℃で測定し、その平均値(平均動摩擦係数)を算出した。結果を下記表1に示す。
【0094】
(測定条件)
垂直荷重:100g
摩擦速度:600mm/min
往復回数:1800
往復ストローク:5mm
加重変換器容量:19.61N
試験片温度:40℃
摩擦相手材:SUS304 ステンレス球 直径10mm
サンプル量:0.2mL
【0095】
【表1】
【0096】
[各種混合液晶化合物の導電性測定]
導電性の測定方法
電極間距離を5μmに設定した面積1cm
2のITO電極間に試料を注入し、電圧印加電流測定装置としてアドバンテストADCMT 6241A、温度コントローラーとしてメトラーFP900サーモシステムをそれぞれ用いて、印加電圧5Vで測定した。
【0097】
[導電性測定例1]
上記方法に従い、Aが
【化31】
であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6がすべてOC
10H
21である式(1)で表される化合物の導電性を測定した。結果を表2に示す。この化合物が50℃から220℃の範囲において高い導電性を示すことがわかる。
【0098】
【表2】
【0099】
[導電性測定例2]
上記方法に従い、上記例2の耐熱導電性潤滑剤の導電性を測定した。結果を表3に示す。この混合物が30℃から300℃にわたる広い範囲において十分な導電性を示すことがわかる。
【0100】
【表3】
【0101】
[導電性測定例3]
上記方法に従い、Aが
【化32】
であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6がすべてOC
12H
25である式(1)で表される化合物の導電性を測定した。結果を表4に示す。この化合物が20℃から190℃の範囲において十分な導電性を示すことがわかる。
【0102】
【表4】