特許第6663723号(P6663723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6663723ピッチ変更装置およびこれを用いる飛行装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663723
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】ピッチ変更装置およびこれを用いる飛行装置
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/68 20060101AFI20200302BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20200302BHJP
   B64C 11/44 20060101ALI20200302BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   B64C27/68
   B64C27/08
   B64C11/44
   B64C39/02
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-3495(P2016-3495)
(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公開番号】特開2017-124665(P2017-124665A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕康
(72)【発明者】
【氏名】川崎 宏治
(72)【発明者】
【氏名】松江 武典
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/004705(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104627366(CN,A)
【文献】 特開昭58−185186(JP,A)
【文献】 特公昭37−006664(JP,B1)
【文献】 実開平05−041594(JP,U)
【文献】 特開2014−076674(JP,A)
【文献】 米国特許第05058824(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0139923(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/08
B64C 27/58 − 27/68
B64C 11/30 − 11/44
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
z軸方向に延びる駆動軸部材(15)を中心に回転するプロペラ(16)のピッチを変更するピッチ変更装置(20)であって、
前記z軸方向に垂直なx軸方向を中心に回転し、前記プロペラ(16)のピッチへ変更する駆動力を発生するサーボモータ(21)と、
前記サーボモータ(21)の回転を前記x軸方向を中心とする旋回に変換するレバー部材(22)と、
前記レバー部材(22)の前記サーボモータ(21)と反対側に接続され、前記レバー部材(22)の旋回を、前記z軸方向の移動、および前記z軸に垂直なy軸方向への移動に変換するリンク部材(23)と、
一方の端部が前記リンク部材(23)と前記x軸方向で相対的に回転可能に接続され、他方の端部が前記プロペラ(16)の前記駆動軸部材(15)側の端部に接続され、前記リンク部材(23)の前記y軸方向および前記z軸方向の移動を前記z軸方向の移動に変換し、前記z軸方向の動きによって前記x軸と平行なプロペラピッチ軸を中心に前記プロペラ(16)を回転して前記プロペラ(16)のピッチを変更するとともに、前記駆動軸部材(15)を案内として前記z軸方向へ前記駆動軸部材(15)と摺動する変更部材(24)と、
を備え
前記変更部材(24)は、
前記駆動軸部材(15)の径方向外側に設けられ、内径が前記駆動軸部材(15)の外径よりもわずかに大きく、前記駆動軸部材(15)を案内として摺動する筒状部(26)と、
前記筒状部(26)と一体に構成され、前記筒状部から径方向外側へ突出するとともに、前記z軸方向に上側である前記プロペラ(16)側に延び、前記駆動軸部材(15)の中心軸を対象点として点対称に設けられている腕部(27)および腕部(28)と、を有し、
前記腕部(27)の前記筒状部(26)と反対側の端部が前記プロペラ(16)の羽根部材(161)に接続し、前記腕部(28)の前記筒状部(26)と反対側の端部が前記プロペラ(16)の羽根部材(162)に接続しているピッチ変更装置。
【請求項2】
前記リンク部材(23)は、前記駆動軸部材(15)の径方向において前記駆動軸部材(15)から離れて設けられている請求項1記載のピッチ変更装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のピッチ変更装置を備える飛行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッチ変更装置およびこれを用いる飛行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるドローンと称される飛行装置の普及が進んでいる。このドローンは、複数のスラスタを備えている。スラスタは、回転することにより推進力を発生するプロペラと、このプロペラを駆動するモータとで構成されている。このようにスラスタを複数備えるドローンの場合、スラスタで発生する推進力すなわちモータの回転数を制御することにより、上昇および下降、旋回、ならびにロールなど各種の運動姿勢を制御している。そのため、ドローンに用いられるスラスタでは、プロペラはモータの駆動軸部材で直接駆動されている。
【0003】
一方、スラスタで発生する推進力をより精密にするためには、駆動軸部材に取り付けられているプロペラのピッチを制御することが好ましい。しかしながら、例えば特許文献1に開示されているような従来のピッチ変更装置は、複雑なリンク機構を用いてプロペラのピッチを変更している。そのため、従来のピッチ変更装置は、構造が複雑化し、体格の大型化および重量の増加を招くという問題がある。その結果、従来のピッチ変更装置は、小型化および軽量化が望まれるドローンへの搭載が困難である。また、従来のピッチ変更装置は、ピッチを変更するための動力源からプロペラまでの距離が大きい。つまり、駆動源から作用部分までのリンク機構は、長くなり、数が増加する傾向にある。そのため、駆動源からの入力に対する作用部分すなわちプロペラ部分での変化量が大きくなりやすい。その結果、変更するピッチの精度が低下しやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−076674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、構造が簡単で小型であり、精度の向上が容易なピッチ変更装置およびこれを用いた飛行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、プロペラは、z軸方向へ延びる駆動軸部材によって駆動される。ピッチを変更する駆動力を発生するサーボモータは、z軸と垂直なx軸を中心に回転する。x軸を中心とするサーボモータの回転は、レバー部材によってx軸を中心とする旋回に変換される。すなわち、レバー部材は、一方の端部がサーボモータに接続され、x軸から径方向外側へ延びている。このレバー部材は、サーボモータと反対側の端部がリンク部材に接続されている。サーボモータによってレバー部材が旋回すると、この旋回はリンク部材によってy軸方向およびz軸方向の移動に変換される。すなわち、x軸を中心とするサーボモータの回転は、レバー部材およびリンク部材によって、駆動軸部材に沿ったz軸方向、およびy軸方向の移動へ変換される。そして、リンク部材は、変更部材に接続している。変更部材は、一方の端部つまり力の入力側がリンク部材に接続し、他方の端部つまり力の出力側がプロペラの駆動軸部材側の端部に接続している。サーボモータの回転によって旋回したレバー部材の移動は、リンク部材によってy軸およびz軸方向の移動に変換される。変更部材は、リンク部材のy軸およびz軸方向の移動を、z軸方向の移動へ変換する。さらに、変更部材は、このy軸方向の移動によって、プロペラをx軸と平行なプロペラピッチ軸を中心として回転させる。これにより、プロペラは、プロペラピッチ軸を中心として回転し、ピッチが変更される。このように、請求項1記載の発明では、サーボモータの回転力は、レバー部材、リンク部材および変更部材を通してプロペラへ伝達され、プロペラのピッチを変更する。そのため、サーボモータの回転力は、レバー部材、リンク部材および変更部材という簡単な構成でプロペラへ伝達される。したがって、構造を簡単かつ小型にすることができる。
【0007】
また、請求項1記載の発明では、サーボモータからプロペラのピッチを変更する変更部材までの距離が小さく、接続部分も低減される。したがって、ピッチの変更精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態によるピッチ変更装置を示す概略図
図2】一実施形態によるピッチ変更装置を適用した飛行装置を示す模式図
図3】一実施形態によるピッチ変更装置を示す概略的な斜視図
図4図3の矢印IV方向から見た矢視図
図5図3の矢印V方向から見た矢視図
図6】一実施形態によるピッチ変更装置において、サーボモータの回転軸部材が反時計方向へ回転した状態を示す模式図
図7】一実施形態によるピッチ変更装置において、サーボモータが図6のように回転したとき、プロペラのピッチが変更される状態を示す概略図
図8】一実施形態によるピッチ変更装置において、サーボモータの回転軸部材が時計方向へ回転した状態を示す模式図
図9】一実施形態によるピッチ変更装置において、サーボモータが図8のように回転したとき、プロペラのピッチが変更される状態を示す概略図
図10】一実施形態によるピッチ変更装置および従来技術において、サーボモータの回転角度とピッチ角度との関係を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ピッチ変更装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、ピッチ変更装置を適用した飛行装置の一例を図2に示す。
図2に示すように飛行装置10は、機体本体11、腕部12およびスラスタ13を備えている。機体本体11は、飛行装置10の重心位置に設けられている。腕部12は、この機体本体11から径方向外側へ延びている。腕部12は、機体本体11を中心に放射状に設けられている。スラスタ13は、この腕部12の先端、すなわち機体本体11と反対側の端部に設けられている。機体本体11は、内部に図示しない制御部およびバッテリなどを収容している。図示しない制御部は、図示しない航法センサで取得した飛行装置10の姿勢、および外部から飛行装置10へ送信された指示などに基づいてスラスタ13を制御し、飛行装置10の飛行を制御する。スラスタ13は、図1に示すようにモータ14、駆動軸部材15およびプロペラ16を備えている。モータ14は、プロペラ16を駆動する駆動源であり、例えば機体本体11に収容された図示しないバッテリなどを電源とする。駆動軸部材15は、モータ14の回転をプロペラ16に伝達する。プロペラ16は、この駆動軸部材15から径方向外側へ延びている。
【0010】
次に、飛行装置10が備えるピッチ変更装置20について詳細に説明する。飛行装置10のプロペラ16は、駆動軸部材15から径方向へ延びる一対の羽根部材161および羽根部材162を有している。
ピッチ変更装置20は、図1図3図5に示すようにサーボモータ21、レバー部材22、リンク部材23および変更部材24を備えている。ピッチ変更装置20は、プロペラ16の根元、すなわちプロペラ16の駆動軸部材15側の端部に設けられており、プロペラ16のピッチを変更する。本実施形態では、図1および図3に示すようにスラスタ13の駆動軸部材15の中心軸が延びる方向を「z軸」と定義する。また、この「z軸」に垂直な平面は「x−y平面」と定義し、プロペラ16の旋回範囲はこの仮想的な「x−y平面」と平行に設定される。したがって、「x軸」は図1および図3において紙面の左右方向へ延び、「y軸」は図1および図3において紙面の表裏方向へ延びている。
【0011】
サーボモータ21は、回転軸部材25を有している。回転軸部材25の中心は、x軸と平行に延びている。サーボモータ21の回転軸部材25は、通電によってx軸と平行な軸p1を中心に回転する。レバー部材22は、このサーボモータ21の回転軸部材25に取り付けられている。具体的には、レバー部材22は、一方の端部が回転軸部材25に取り付けられている。これにより、レバー部材22は、回転軸部材25から径方向外側へ延びている。サーボモータ21の回転軸部材25がx軸と平行な軸p1を中心に回転すると、この回転軸部材25の回転はレバー部材22によって軸p1を中心とする旋回に変換される。
【0012】
リンク部材23は、レバー部材22の回転軸部材25と反対側の端部に接続されている。すなわち、レバー部材22は、回転軸部材25の径方向において、一方の端部が回転軸部材25に取り付けられ、他方の端部がリンク部材23に固定されている。リンク部材23は、駆動軸部材15の外周側に、駆動軸部材15の少なくとも一部を周方向へ覆うように設けられている。本実施形態の場合、リンク部材23は、図4に示すようにz軸方向の端部から見た形状が略U字形状であり、内側に駆動軸部材15を収容している。リンク部材23は、z軸方向へ半筒状に延びている。
【0013】
変更部材24は、筒状部26、腕部27および腕部28を有している。筒状部26、腕部27および腕部28は、一体に構成されている。筒状部26は、駆動軸部材15の径方向外側に設けられている。本実施形態の場合、筒状部26は、内径が駆動軸部材15の外径よりもわずかに大きく、駆動軸部材15を案内としてz軸方向へ摺動可能である。すなわち、筒状部26は、内側に駆動軸部材15が挿入されており、駆動軸部材15に案内されてz軸方向へ移動する。腕部27は、この筒状部26から径方向外側へ突出するとともに、z軸方向の上方すなわちプロペラ16側へ延びている。腕部28も、腕部27と同様に筒状部26から径方向外側へ突出するとともに、プロペラ16側へ延びている。腕部27と腕部28とは、駆動軸部材15の中心軸を対象点として点対称に設けられている。
【0014】
変更部材24は、z軸方向の一方の端部すなわちプロペラ16と反対側となる筒状部26の端部においてリンク部材23と接続している。リンク部材23と変更部材24とは、ピン部材29で接続されている。リンク部材23と変更部材24とは、このピン部材29を軸として相対的に回転可能である。すなわち、リンク部材23および変更部材24は、ピン部材29の中心であるx軸と平行な軸p2を中心に相対的に回転することができる。
【0015】
変更部材24は、z軸方向の他方の端部すなわちプロペラ16側の端部となる腕部27および腕部28においてプロペラ16と接続している。プロペラ16は、x軸と平行に延びるピッチ軸部材31を中心に回転可能である。このピッチ軸部材31は、その中心軸がx軸と平行なプロペラピッチ軸p3と一致する。そのため、変更部材24の腕部27および腕部28がz軸方向へ移動すると、プロペラ16はプロペラピッチ軸p3を中心として回転する。具体的には、プロペラ16の羽根部材161および羽根部材162は、ピッチ軸部材31を中心に回転可能である。このプロペラ16の羽根部材161は、変更部材24の腕部27に接続している。同様に、プロペラ16の羽根部材162は、変更部材24の腕部28に接続している。これにより、変更部材24がz軸方向へ上下に移動すると、羽根部材161および羽根部材162はプロペラピッチ軸p3を中心に回転する。
【0016】
次に、上記の構成によるピッチ変更装置20の具体的な作動について詳細に説明する。
サーボモータ21に通電すると、サーボモータ21の回転軸部材25は図6に示すようにx軸と平行な軸p1を中心に回転する。図6の場合、サーボモータ21の回転軸部材25は、半時計回りにθ°回転している。サーボモータ21の回転軸部材25の回転によって回転軸部材25に取り付けられているレバー部材22は、軸p1を中心に旋回する。これにより、図7に示すようにレバー部材22の先端すなわちリンク部材23側の端部は、プロペラ16側へz軸方向に移動する。
【0017】
旋回によってレバー部材22の端部がz軸方向へ移動すると、リンク部材23はプロペラ側へz軸方向に移動する。このとき、リンク部材23は、駆動軸部材15と接しておらず、かつピン部材29で変更部材24と軸p2を中心に回転可能に接続されている。そのため、リンク部材23は、z軸方向だけでなく、y軸方向にも移動する。サーボモータ21の回転軸部材25図6に示すように回転するとき、リンク部材23はy軸方向において図7の紙面後方へ移動する。
【0018】
上述のようにリンク部材23がy軸方向およびz軸方向へ移動するとき、変更部材24はリンク部材23から移動が伝達される。すなわち、リンク部材23のy軸方向およびz軸方向の移動は、ピン部材29による接続部分を経由して変更部材24に伝達される。変更部材24は、筒状部26が駆動軸部材15に沿ってz軸方向へ摺動する。そのため、変更部材24は、y軸方向への移動が制限される。これにより、リンク部材23のy軸方向およびz軸方向の移動は、変更部材24によってz軸方向に沿った移動に変換される。このとき、リンク部材23と変更部材24は、ピン部材29によって軸p2を中心に相対的に回転可能である。したがって、リンク部材23のy軸方向およびz軸方向の移動は、変更部材24のz軸方向の移動に滑らかに変換される。このように、サーボモータ21の回転軸部材25が図6に示すように回転するとき、変更部材24はz軸方向へプロペラ16側、すなわち図7の上方へ移動する。
【0019】
変更部材24は、z軸方向へ移動することにより、羽根部材161および羽根部材162を、プロペラピッチ軸p3を中心として回転させる。すなわち、変更部材24の腕部27は、羽根部材161の根元すなわち駆動軸部材15側の端部においてz軸に沿った接線方向で接続している。同様に、腕部28は、羽根部材162の根元に接線方向で接続している。そのため、腕部27が図7においてz軸の上方へ移動すると、羽根部材161はプロペラピッチ軸p3を中心として図7の紙面奥方向へ回転する。また、腕部28が図7においてz軸の上方へ移動すると、羽根部材162はプロペラピッチ軸p3を中心として図7の紙面手前方向へ回転する。このように、変更部材24は、z軸方向の移動によって、羽根部材161および羽根部材162を、プロペラピッチ軸p3を中心とした対称な回転に変換する。
【0020】
上述の例とは反対に、サーボモータ21の回転軸部材25が図8の時計回りに回転すると、レバー部材22の先端はz軸方向においてプロペラ16と反対側へ移動する。そのため、リンク部材23は、z軸方向においてプロペラ16と反対側へ移動するとともに、y軸方向において図9の紙面後方へ移動する。ここで、リンク部材23のz軸方向の移動は、変更部材24のz軸方向への移動に変換される。そのため、サーボモータ21の回転軸部材25が図8の時計回りに回転すると、変更部材24はz軸の下方すなわちプロペラ16と反対側へ移動する。その結果、プロペラ16の羽根部材161はプロペラピッチ軸p3を中心に紙面手前方向に回転し、プロペラ16の羽根部材162はプロペラピッチ軸p3を中心に紙面奥方向へ回転する。
【0021】
このように、サーボモータ21の回転軸部材25の回転は、レバー部材22、リンク部材23および変更部材24を通してプロペラ16の羽根部材161および羽根部材162へ伝達される。これにより、サーボモータ21の回転軸部材25が回転すると、プロペラ16の羽根部材161および羽根部材162は、プロペラピッチ軸p3を中心に対称に回転する。上記のような構成により、一実施形態のピッチ変更装置20は、図10に示すように上記の従来技術と比較して、プロペラ16のピッチの変更の精度が向上している。すなわち、一実施形態の場合、サーボモータ21の回転軸部材25の回転角度に対して、プロペラ16のピッチ角度はほぼ直線的に変化する。そのため、一実施形態は、非線形に変化する従来技術と比較して、プロペラ16のピッチ角度を制御しやすく、その精度も向上する。
【0022】
一実施形態では、サーボモータ21の回転力は、レバー部材22、リンク部材23および変更部材24を通してプロペラ16へ伝達され、プロペラ16のピッチを変更する。そのため、サーボモータ21の回転力は、レバー部材22、リンク部材23および変更部材24という簡単な構成でプロペラ16へ伝達される。したがって、構造を簡単にすることができるとともに、小型にすることができる。
また、一実施形態では、サーボモータ21からプロペラ16のピッチを変更する変更部材24までの距離が小さく、接続部分の数も低減される。したがって、部品の寸法誤差に起因する精度の低下が抑制され、プロペラ16のピッチの変更精度を高めることができる。
【0023】
一実施形態では、リンク部材23は、モータ14の駆動力をプロペラ16へ伝達する駆動軸部材15から径方向で離れて設けられている。そのため、レバー部材22の旋回によってリンク部材23が駆動されると、リンク部材23は、z軸方向だけでなくy軸方向にも移動する。これにより、サーボモータ21の回転量は、リンク部材23のy軸方向への移動量に応じて減じられつつリンク部材23のz軸方向の移動に変換される。したがって、サーボモータ21の回転軸部材25の回転を減速して伝達することができ、プロペラ16のピッチをより精度よく制御することができる。
【0024】
一実施形態では、変更部材24は、駆動軸部材15と摺動しながらz軸方向へ移動する。そのため、リンク部材23のy軸方向およびz軸方向の移動は、変更部材24によって駆動軸部材15に沿ったz軸方向の移動に変換される。これにより、変更部材24は、駆動軸部材15に沿って高い精度でz軸方向へ移動する。したがって、プロペラ16のピッチを高い精度で制御することができる。
一実施形態では、飛行装置10は、上述のピッチ変更装置20を備えている。そのため、飛行装置10のスラスタ13は、プロペラ16のピッチを変更するための機構が小型化および軽量化される。したがって、飛行装置10のペイロードに影響を与えることなく、精度の高い飛行姿勢、および姿勢の制御を達成することができる。
【0025】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
図面中、10は飛行装置、15は駆動軸部材、16はプロペラ、20はピッチ変更装置、21はサーボモータ、22はレバー部材、23はリンク部材、24は変更部材を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10