(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体案内部は、前記保守位置において前記走行車線に対向する面が、前記使用位置において前記走行車線に対向する面よりも、前記走行車線の反対側に向かって後退した位置に配置されるように、前記筐体を案内する請求項1に記載の料金自動収受機。
前記筐体案内部は、前記使用位置において、前記第一面の回転軌跡の後方側に位置する端部との距離が、前記走行車線と前記アイランドとの境界から予め定められた間隔だけ離れる建築限界位置との距離よりも近い位置に配置される筐体回転軸を有し、
前記筐体回転軸を中心に回転することで、前記筐体を前記使用位置から前記保守位置まで案内する請求項2又は請求項3に記載の料金自動収受機。
前記筐体案内部は、前記走行車線と前記アイランドとの境界から予め定められた間隔だけ離れる建築限界位置から、前記筐体を前記走行車線の反対側に向かって徐々に離れさせて、前記使用位置から前記保守位置まで案内する離間移動部を有する請求項2又は請求項3に記載の料金自動収受機。
前記筐体案内部は、前記使用位置と前記保守位置とにおいて、前記筐体の底部の位置が重ならない位置に配置されるように、前記筐体を案内する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の料金自動収受機。
【発明を実施するための形態】
【0036】
《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について
図1から
図3を参照して説明する。
図1に示すように、第一実施形態の料金自動収受機100は、有料道路の料金所等に設置されている。料金自動収受機100は、二つの隣接する走行車線Lに挟まれたアイランドI上に設けられている。
【0037】
アイランドIは、車両Vが通行する走行車線Lから段差を介して路面よりも1段高い島形状に形成されている。アイランドIを中心として、車両Vの進行方向の左側である一方の走行車線Lを第一走行車線L1、車両Vの進行方向の右側である他方の走行車線Lを第二走行車線L2とする。アイランドIは、第一走行車線L1と第二走行車線L2に挟まれており、第一走行車線L1及び第二走行車線L2の前後方向に沿って、幅方向よりも前後方向の方が長く形成されている。アイランドIは、料金自動収受機100を設置するための矩形状の凹部が形成されている。
第一走行車線L1及び第二走行車線L2は、本実施形態では、通行する車両Vを同じ方向に向かって進行させる。
【0038】
料金自動収受機100は、第一走行車線L1とアイランドIとの境界から建築限界として定められる所定の間隔だけ離れた位置に配置されている。そして、第一走行車線L1上を通行する車両Vは料金自動収受機100と対面する位置で境界に幅寄せして停車される。料金自動収受機100は、当該車両Vに搭乗した利用者によって操作されることで、貨幣の収受等の料金収受に関する処理を収受員無しで無人で行うことが可能となっている。また、料金自動収受機100は、アイランドI上において、収受員が料金の収受を行う有人ブース110の第一走行車線L1及び第二走行車線L2の前後方向の一方側である後方側に隣接して配置されている。料金自動収受機100は、料金自動収受機100の外装である筐体1と、利用者によって操作が行われる操作パネル2と、筐体1の内部を保守するために管理者によって開放される保守扉3と、アイランドIに固定される固定部41と、筐体1を案内する筐体案内部51とを備えている。
【0039】
なお、本実施形態における料金自動収受機100に隣接する有人ブース110は、領収書発行機能等を有する料金処理機が設置され、これらを用いて収受員が、料金自動収受機100に代わって料金の収受等の料金収受業務を行うことが可能となっている。
【0040】
筐体1は、
図2に示すように、鉛直方向の上下方向に延びる直方状をなしており、第一走行車線L1及び第二走行車線L2の側部に配置されるアイランドI上に配置されている。当該配置位置は、第一走行車線L1上を通行する車両Vの利用者が操作パネル2を使用するための使用位置A1とされる。
【0041】
本実施形態では、
図3に示すように、使用位置A1において、第一走行車線L1の幅方向を向いて鉛直方向に延びる筐体1の面を第一面1a、第一面1aに対して筐体1において反対側であり、第二走行車線L2の幅方向を向いて鉛直方向に延びる筐体1の面を第二面1bとしている。使用位置A1において、第一走行車線L1の前後方向である車両Vの進行方向の他方側である前方側を向いて鉛直方向に延びる筐体1の面を第三面1c、第三面1cに対して筐体1において反対側であり、第一走行車線L1の前後方向である車両Vの進行方向の一方側である後方側を向いて鉛直方向に延びる筐体1の面を第四面1dとしている。即ち、本実施形態における使用位置A1は、第一面1aが第一走行車線L1と対向し、第四面1dが第一走行車線L1及び第二走行車線L2の前後方向の後方側を向くように筐体1が配置される位置である。
【0042】
ここで、本実施形態では、第一走行車線L1または第二走行車線L2と、アイランドIとの境界から、建築限界として法律で予め定められた間隔である250mm離れた位置を建築限界位置PLとする。そして、第一走行車線L1とアイランドIとの境界から、建築限界として法律で予め定められた間隔以上離れ、かつ、第二走行車線L2とアイランドIとの境界からも、建築限界として法律で予め定められた間隔以上離れたアイランドI上の領域を筐体1の設置可能範囲ALとする。即ち、設置可能範囲ALは、アイランドIにおける第一走行車線L1からの建築限界位置PLと第二走行車線L2からの建築限界位置PLとの間に挟まれた領域である。
【0043】
使用位置A1において、筐体1は、アイランドI上において建築限界位置PLよりも、第一走行車線L1及び第二走行車線L2から離れるように配置されている。即ち、使用位置A1に配置される筐体1は、第一走行車線L1及び第二走行車線L2に対してアイランドI上の建築限界位置PLよりも内側に配置されている。具体的には、使用位置A1に配置される筐体1は、第一面1aが、建築限界位置PLよりもわずかにアイランドIにおける内側に配置されるように、設置可能範囲ALに設置されている。
【0044】
操作パネル2は、各口や各ボタンを通じて料金自動収受機100に対して金銭の収受、領収書のやり取り等の料金収受に係る操作を利用者が行う際に使用される。操作パネル2は、第一走行車線L1上を通行する車両Vに搭乗した運転手等の利用者が、料金自動収受機100を利用する際に操作する操作端末である。操作パネル2は、通行する車両Vの車高に応じて利用し易いように筐体1の第一面1aの鉛直方向の上段操作部と下段操作部とに一部を除き同じ構成が設けられている。
【0045】
上段操作部及び下段操作部に共通の構成として、操作パネル2は、料金を表示する料金表示部29と、紙幣が挿入され、または返却する紙幣が排出される紙幣挿入口20と、を有している。操作パネル2は、硬貨10の投入を行う硬貨投入口25aと硬貨10の受け取りを行う釣銭返却口25bとを有している。操作パネル2は、クレジットカード等を挿入するカード挿入口21と、領収書を外方に送り出す領収書発行口22と、異常時等に収受員を呼び出す収受員呼び出しボタン24と、領収書の発行指示を受け付ける領収書発行ボタン28と、を有している。
【0046】
なお、本実施形態における紙幣挿入口20は、投入用の処理口及び発行用の処理口を兼ねて紙幣を挿入する処理口と返却する処理口とが一体に設けられているが、この構造に限定されるものではない。例えば、投入用の処理口として紙幣が挿入される紙幣挿入口と、発行用の処理口として紙幣が返却される紙幣返却口とのように、別々の処理口として設けられていてもよい。
【0047】
さらに、下段操作部のみの構成として、上肢の不自由な身体障害者である場合に、係員に支援を求めるための入力動作が可能な身障者レバー26と、身体障害者に対する割引が適用される資格を有することを示す証明書を監視員や収受員に提示する証明書カメラ27とを有している。
【0048】
保守扉3は、筐体1の内部に設けられている不図示の各種装置の保守を行う場合に、開放されて筐体1の内部のこれら各種装置を露出させる。保守扉3は、筐体1の第二面1bに設けられている。具体的には、保守扉3は、筐体1の第二面1bにおいて内部を閉塞するよう配置される保守扉本体31と、保守扉本体31を筐体1に対して回転させる扉回転軸32とを有している。
【0049】
保守扉本体31は、第二面1bの一部を形成する板状部材である。
扉回転軸32は、保守扉本体31の端部を筐体1に対して回転可能に接続している。扉回転軸32は、筐体1の第二面1bと第三面1cとが接続される端部において、保守扉本体31を筐体1に接続している。扉回転軸32は、回転軸として保守扉本体31を回転させることで、保守扉本体31を開放して筐体1の内部を露出可能としている。
【0050】
固定部41は、アイランドIに配置され、筐体1を筐体案内部51によって案内して移動させる場合の土台である。本実施形態における固定部41は、アイランドIの一部をくりぬいて形成される断面が矩形状の凹部に、嵌め込まれて固定されている。固定部41は、アイランドIの凹部に対して、第一走行車線L1の前後方向及び幅方向に、隙間を形成された状態で配置される。固定部41は、アイランドIと鉛直方向の上部の面が同じ位置にとなって突出しないような直方状に形成されている。
【0051】
筐体案内部51は、筐体1を使用位置A1から、管理者が筐体1の保守を行うために保守扉3を開放する位置である保守位置B1まで固定部41上を案内している。
第一実施形態における保守位置B1とは、
図3に示すように、第一面1aが第一走行車線L1及び第二走行車線L2の前後方向の後方側を向き、第三面1cが第一走行車線L1と対向するように筐体1が配置される位置である。具体的には、保守位置B1では、第三面1cが使用位置A1における第一面1aの位置よりも、第一走行車線L1側の建築限界位置PLに対して第一走行車線L1の反対側である第二走行車線L2側に向かって後退した位置で、第一走行車線L1と対向するように、筐体1が配置される。より具体的には、保守位置B1に配置される筐体1は、設置可能範囲AL内であって、第三面1cが使用位置A1における筐体1の第一面1aよりも、アイランドIにおける第一走行車線L1の反対側であるアイランドIのより内側の位置に配置されている。
【0052】
筐体案内部51は、筐体1を使用位置A1から保守位置B1まで設置可能範囲AL内から第一走行車線L1側や第二走行車線L2側に向かってはみ出して突出させることなく案内する。具体的には、筐体案内部51は、筐体1に固定されて固定部41に対して筐体1を移動させる筐体案内本体部511と、固定部41に対して筐体案内本体部511を回転させる筐体回転軸512と、筐体回転軸512を駆動させる軸駆動部513と、筐体案内本体部511の移動を止めるロック部514とを有している。
【0053】
筐体案内本体部511は、固定部41に対して筐体1を移動可能としている。筐体案内本体部511は、直方状をなしており、その鉛直方向の上面が筐体1の底部に固定されている。筐体案内本体部511は、鉛直方向の下面である底部に回転自在に接続されたキャスター511aを四つ均等に離れて配置して有する。筐体案内本体部511は、キャスター511aの大きさだけ、底部と固定部41の上面との間に隙間を形成して配置されている。
【0054】
筐体回転軸512は、使用位置A1から保守位置B1まで、固定部41に対して筐体1を回転移動させる場合の回転軸である。筐体回転軸512は、鉛直方向に延びている。筐体回転軸512は、筐体案内本体部511に固定され、かつ、固定部41に回転可能に接続されている。そのため、筐体回転軸512は、固定部41に対して筐体案内本体部511を回転させることが可能となっている。筐体回転軸512は、使用位置A1において、筐体回転軸512を中心に筐体1を回転移動させた場合に、第一面1aの回転軌跡の後方側に位置する第三面1cと第一面1aとが接する端部である第一辺αとの距離が、建築限界位置PLとの距離よりも近い位置に配置される。加えて、筐体回転軸512は、軸中心が平面視での使用位置A1における筐体1の輪郭である第一面1aから第四面1dによって囲まれた範囲内に配置される。ここで、筐体1の第一面1aと第三面1cとを接続する辺であり、筐体1を鉛直方向の上側から見た平面視において角部となる辺を第一辺αとする。筐体回転軸512は、具体的には、平面視において、使用位置A1に配置された筐体1の第一辺αと筐体回転軸512とを結ぶ直線の長さが、第一走行車線L1側の建築限界位置PLから筐体回転軸512まで延びる垂線の長さよりも短い位置に配置される。さらに、筐体回転軸512は、使用位置A1における平面視での筐体1の輪郭を形成する第二面1bに接する位置に配置される。
【0055】
軸駆動部513は、筐体回転軸512を回転させるための駆動源である。軸駆動部513は、外部の駆動源からの入力により筐体回転軸512を回転させる。具体的には、軸駆動部513は、固定部41の内部に配置される複数のギヤによって構成され、筐体回転軸512に接続されている。具体的には、本実施形態における軸駆動部513は、電動ドライバーのような電動工具513aを固定部41の内部の複数のギヤに接続し、電動工具513aを駆動させる。これにより軸駆動部513は、電動工具513aのトルクを複数のギヤを介して筐体回転軸512に伝達し、筐体回転軸512を回転させる。
【0056】
ロック部514は、筐体案内本体部511を固定部41に対して移動しないように固定する。ロック部514は、筐体案内本体部511に接続するピン状部材514aと、固定部41に形成されるピン穴部514bとを有している。ロック部514は、
図2に示すように、ピン状部材514aをピン穴部514bに挿入することで、筐体案内本体部511の位置を固定し、ピン状部材514aをピン穴部514bから抜くことで、ロックを解除する。なお、ピン穴部514bは、使用位置A1及び保守位置B1にそれぞれ設けられている。これにより、ロック部514は、筐体案内本体部511の位置を使用位置A1及び保守位置B1のいずれの位置でも固定可能とされている。
【0057】
次に、第一実施形態の構成の料金自動収受機100の作用について説明する。
上記のような第一実施形態の料金自動収受機100は、通常使用される場合には、使用位置A1に配置されて、筐体1の第一面1a側に停車した車両Vの運転手等の利用者により、操作パネル2が操作される。車両Vに搭乗する利用者の高さに応じて筐体1の上段又は下段の料金表示部29に利用者の車種に応じた最大料金を表示する。そして、利用者は、利用者によって料金収受に係る操作として、この料金表示部29の料金表示に従って、硬貨投入口25a及び紙幣挿入口20に金銭を投入する。料金自動収受機100は、投入された金銭を算出し、この算出結果と先の料金との差額に基づき、釣銭がある場合には、その釣銭を釣銭返却口25b及び紙幣挿入口20から返却する。
【0058】
料金自動収受機100が故障して、保守が必要となると、筐体1を保守位置B1に移動させる。具体的には、管理者が、ロック部514のピン状部材514aをピン穴部514bから抜き取り、軸駆動部513の電動工具513aを駆動させる。電動工具513aを駆動させるとトルクがギヤを介して伝達され、筐体回転軸512が固定部41に対して回転する。筐体回転軸512が回転すると、筐体回転軸512に固定された筐体案内本体部511が、筐体回転軸512を中心として回転する。筐体案内本体部511が回転すると、筐体案内本体部511の上部に固定されている筐体1も回転する。筐体1は、使用位置A1から保守位置B1に向かって、第一面1aを第一走行車線L1の前後方向の後方側に向けるように筐体回転軸512を中心として90°回転する。この際、筐体1は、建築限界位置PLから第一走行車線L1側や第二走行車線L2側にはみ出ることなく、設置可能範囲AL内で回転する。そして、第三面1cが、使用位置A1における第一面1aよりも第一走行車線L1の反対側であるアイランドIの内側に位置するように筐体1が保守位置B1に配置される。
【0059】
保守位置B1に筐体1が配置されると、管理者によって第一走行車線L1の前後方向の前方側に向いて配置される第二面1bに設けられた保守扉本体31が扉回転軸32を中心に回転して開放される。そして、管理者は、アイランドI上で筐体1の内部に配置された各種装置の修理、点検等の保守作業を行う。
【0060】
また、管理人によって料金自動収受機100の保守作業が行われている間、料金自動収受機100の第一走行車線L1の前後方向の前方側に配置されている有人ブース110を利用者に利用させる。具体的には、有人ブース110の収受員によって、第一走行車線L1上を通行する車両Vに搭乗する利用者に対して、料金自動収受機100に代わって料金の収受等の料金収受業務が行われる。
【0061】
上記のような料金自動収受機100によれば、第一走行車線L1上を通行する車両Vに搭乗する利用者が料金自動収受機100を利用しようとする場合には、筐体1が使用位置A1に配置されている。即ち、使用位置A1では、第一走行車線L1上を通行する車両Vに面して操作パネル2が配置されているため、利用者は操作パネル2を第一走行車線L1上の車両Vに搭乗したまま容易に操作できる。一方、料金自動収受機100が故障して管理者が修理等の保守を行う場合には、筐体1は筐体案内部51によって移動されて保守位置B1に配置される。つまり、筐体1は、保守扉3が設けられている第二面1bを第一走行車線L1の前後方向の前方側に向けた姿勢で配置される。そのため、管理者は、距離の短いアイランドIの幅方向ではなく、距離の長いアイランドIの前後方向の前方側から筐体1に設けられた保守扉3を開放させ、料金自動収受機100の保守を行うことができる。したがって、管理者は、アイランドI上における筐体1の第一走行車線L1の前後方向の前方側の広いスペースを確保して保守することができる。これにより、アイランドI上に保守スペースを容易に確保することができる。
【0062】
また、筐体案内部51は、使用位置A1から保守位置B1まで筐体回転軸512によって筐体1を回転移動させる場合に、筐体1を建築限界位置PLから第一走行車線L1側や第二走行車線L2側にはみ出させることなく、設置可能範囲AL内で回転させることができる。また、管理者は、第一走行車線L1や第二走行車線L2上を通行する車両Vの進行を妨げることなく、アイランドI内で保守作業を行うことができる。これにより、第一走行車線L1や第二走行車線L2を閉鎖することなく、走行車線Lの運用を継続しつつ、保守作業を行うことができ、保守作業時の管理者の負担を軽減することができる。したがって、特に交通量の多さに比較して走行車線Lの少ない料金所等で利用者の利便性を低減させずに保守作業を行うことができる。
【0063】
さらに、筐体案内部51は、移動させた筐体1を、保守位置B1において第一走行車線L1に対向する面である第三面1cが、使用位置A1において第一走行車線L1に対向する面である第二面1bよりも第一走行車線L1の反対側であるアイランドIの内側に位置するように配置している。即ち、使用位置A1から保守位置B1に移動することで、アイランドI上に配置された筐体1を、第一走行車線L1から遠ざかるように後退した位置に配置させることができる。そのため、筐体1よりも第一走行車線L1の前後方向の前方側に配置されている設置物が利用者から見やすくすることができる。例えば、料金自動収受機100よりもアイランドIの前後方向の前方側に配置されている有人ブース110等の設置物によって料金自動収受機100に代わりに料金所通行に関するサービスの提供が行われていることを、第一走行車線L1上を通行する車両Vを運転する利用者が容易に視認可能となる。また、筐体1自体を第一走行車線L1から離すことができ、利用者に対して、料金自動収受機100が利用できない状態であることを容易に認識させることができる。これらにより、利用者が操作パネル2を操作しようと料金自動収受機100の前方に車両Vを誤って停車させてしまうことを抑制できる。
【0064】
また、筐体回転軸512が、平面視において、使用位置A1に配置された筐体1の第一辺αと筐体回転軸512とを結ぶ直線の長さが、第一走行車線L1側の建築限界位置PLから筐体回転軸512まで延びる垂線の長さよりも短い位置に筐体回転軸512が配置されていることになる。そのため、筐体1を使用位置A1から保守位置B1まで回転移動させても、筐体1の一部を第一走行車線L1側の建築限界位置PLからはみ出させることを回避できる。したがって、筐体回転軸512を中心に筐体1を回転移動させるだけで、設置可能範囲AL内で使用位置A1から保守位置B1まで筐体1を移動させることができる。これにより、第一走行車線L1や第二走行車線L2上を通行する車両Vの進行を妨げることなく、使用位置A1から保守位置B1まで筐体1を移動させる構造を容易に形成することができる。
【0065】
筐体回転軸512が、使用位置A1における平面視での筐体1の輪郭と重なる位置である第二面1bに接する位置に配置されていることで、筐体1を回転移動する場合の軸中心から平面視での筐体1の第一辺αを含む四つの角部等の筐体1の輪郭までの距離を短くすることができる。そのため、筐体1を小さな回転軌跡で使用位置A1から保守位置B1まで移動させることができる。これにより、使用位置A1から保守位置B1まで筐体1を移動させる筐体案内部51を、コンパクトに設置することできる。
【0066】
なお、筐体回転軸512は本実施形態の構造に限定されるものではない。例えば、アイランドIに直接固定され、筐体1を回転可能に支持する回転軸であってもよい。
また、筐体案内部51は、筐体1を移動させることができればよい。即ち、本実施形態における軸駆動部513によって駆動されるものに限定されるものではない。例えば、手動操作によって筐体1を押すことで回転移動させたり、モータ等を用いて自動で移動させたりしてもよい。
【0067】
《第二実施形態》
次に、
図4から
図8を参照して第二実施形態の料金自動収受機200について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の料金自動収受機200は、筐体案内部51の構造について第一実施形態と相違する。
【0068】
即ち、第二実施形態の料金自動収受機200は、
図4及び
図5に示すように、アイランドIに固定される第二固定部42と、第一実施形態の筐体案内部51の代わりに、平行移動と回転移動とによって筐体1を使用位置A1から第二保守位置B2に案内する第二筐体案内部52と、第二筐体案内部52と第二固定部42との間に設けられた隙間を遮蔽する遮蔽部6を有している。
【0069】
第二固定部42は、
図4に示すように、アイランドIに配置され、筐体1を第二筐体案内部52によって移動させる場合の土台である。本実施形態における第二固定部42は、アイランドIの一部をくりぬいて形成される断面が矩形状の凹部に嵌め込まれて固定されている。第二固定部42は、アイランドIの凹部に対して、第一走行車線L1の前後方向及び幅方向に、隙間を形成された状態で配置される。第二固定部42は、アイランドIと鉛直方向の上部の面が同じ位置にとなって突出しないような直方状に形成されている。なお、第二固定部42は、第一実施形態に固定部41よりも大きく形成されている。また、第二固定部42は、後述する第二筐体案内部52の回転移動部523が嵌まり込む断面が円形状の円形凹部が形成されている。
【0070】
第二筐体案内部52は、使用位置A1から、第一実施形態の保守位置B1とは異なる第二保守位置B2まで第二固定部42上において筐体1を移動可能としている。
第二実施形態における第二保守位置B2は、
図5に示すように、使用位置A1と筐体1の底部の位置が重ならない位置である点で第一実施形態の保守位置B1と異なっている。具体的には、本実施形態における第二保守位置B2は、保守位置B1から第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かって平行移動した位置である。
【0071】
第二筐体案内部52は、使用位置A1から第二保守位置B2まで、設置可能範囲AL内から第一走行車線L1側や第二走行車線L2側に向かってはみ出して突出させることなく、筐体1を案内する。また、第二筐体案内部52は、第一実施形態の筐体案内部51と同様に、第二保守位置B2における第三面1cが、使用位置A1における第一面1aよりも、第二走行車線L2側に向かってアイランドIの内側に配置されるように設置可能範囲AL内を移動させる。具体的には、第二筐体案内部52は、筐体1に固定されて第二固定部42に対して筐体1を移動させる第二筐体案内本体部521と、使用位置A1から第二筐体案内本体部521を第二走行車線L2側に向かって平行移動させる第一平行移動部522と、を有する。第二筐体案内部52は、第一平行移動部522によって移動された第二筐体案内本体部521を回転させる回転移動部523と、回転移動部523によって回転された第二筐体案内本体部521を第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かって平行移動させる第二平行移動部524と、第一実施形態と同様のロック部514とを有する。
【0072】
第二筐体案内本体部521は、筐体1を第二固定部42に対して移動可能としている。第二筐体案内本体部521は、直方状をなしており、その鉛直方向の上面が筐体1の底部に固定されている。第二筐体案内本体部521は、回転方向が第一走行車線L1の幅方向に沿って回転するよう配置された車輪521aを鉛直方向の下面である底部に四つ均等に離れて配置して有する。第二筐体案内本体部521は、車輪521aの大きさだけ、底部と第二固定部42の上面との間に隙間を形成して配置されている。
【0073】
第一平行移動部522は、アイランドIにおける第一走行車線L1と反対側の第二走行車線L2側に向かって、使用位置A1に配置される筐体1に固定された第二筐体案内部52を後退させるように平行移動させる。本実施形態における第一平行移動部522は、第一走行車線L1側から第二走行車線L2側に向かって、第二固定部42上に平行に隣接して配置される一対のスライドレールである。第一平行移動部522は、使用位置A1に配置される第二筐体案内部52の車輪521aの位置から、第二走行車線L2側に向かって回転移動部523まで延びて配置されている。第一平行移動部522では、スライドレールに第二筐体案内部52の車輪521aが嵌めこまれており、第二筐体案内部52は、このスライドレールに沿って移動する。
【0074】
回転移動部523は、第一平行移動部522によって平行移動した後に、第一面1a及び第二面1bを走行車線Lの前後方向に向かせるように、筐体1を回転させる。本実施形態における回転移動部523は、筐体1の第一面1aが、第一走行車線L1に対向した向きから、第一走行車線L1の前後方向の後方側を向くように第二筐体案内本体部521を90°回転させる。回転移動部523は、第二固定部42に対して回転する回転台523aと、回転台523a上に配置されるレール部523bと有する。
【0075】
回転台523aは、第二固定部42の一部をくりぬいて形成される断面が円形状の円形凹部に回転可能に嵌め込まれて接続されている。具体的には、回転台523aは、円形凹部よりも一回り小さい径の円柱形状に形成されている。回転台523aは、第二固定部42と鉛直方向の上部の面が同じ位置にとなって突出しないように円形凹部に嵌め込まれている。回転台523aは、円形凹部に対して、鉛直方向に延びる軸回りに使用位置A1から第二保守位置B2へと90°回転可能とされている。
レール部523bは、回転台523aの鉛直方向の上面に配置される一対のスライドレールである。レール部523bは、第一平行移動部522のスライドレールと同じ間隔を開けて、回転の前後においてそれぞれ第一平行移動部522または第二平行移動部524と接続可能に配置されている。
【0076】
第二平行移動部524は、回転移動部523によって回転移動した後に、第二筐体案内部52を第一走行車線L1の前後方向の前方側から後方側に向かって平行移動させて、第二保守位置B2まで移動させる。本実施形態における第二平行移動部524は、第一走行車線L1の前後方向の前方側から後方側に向かって、第二固定部42上に平行に隣接して配置される一対のスライドレールである。第二平行移動部524は、第二保守位置B2に配置される第二筐体案内部52の車輪521aの位置から、第一走行車線L1の前後方向の前方側に向かって回転移動部523まで延びて配置されている、第二平行移動部524のスライドレールは、第一平行移動部522と同じ間隔を開けて、回転台523a上のレール部523bと接続可能な位置に配置されている。
【0077】
ここで、第二実施形態において、第二固定部42に対して移動する物体を可動部50と称する。即ち、第二実施形態における可動部50は、第二筐体案内部52だけでなく、第二筐体案内部52とともに移動する筐体1も含んでいる。
【0078】
遮蔽部6は、第二固定部42の上面と可動部50である第二筐体案内部52の底部との間に形成される隙間を遮蔽する。遮蔽部6は、可動部50である第二筐体案内本体部521に固定されて、第二筐体案内部52とともに移動するブラシ状部材である。具体的には、遮蔽部6は、第二筐体案内部52の全周にわたって側面から、第二固定部42に向かってぶら下がるように取り付けられている。本実施形態におけるブラシ状部材は、柔らかいゴム材のような弾性部材を箒のような形状にして配置している。
【0079】
次に、第二実施形態の構成の料金自動収受機200の作用について説明する。
上記のような第二実施形態の料金自動収受機200が故障して、保守が必要となると、筐体1を第二保守位置B2に移動させる。具体的には、第一実施形態と同様に、ロック部514のピン状部材514aをピン穴部514bから抜き取る。その後、使用位置A1から第二走行車線L2側に向かって管理者によって筐体1が押される。筐体1が押されると、
図6に示すように、第一平行移動部522のスライドレール上を第二筐体案内本体部521の車輪521aが移動して、第二筐体案内本体部521は筐体1とともに、回転移動部523まで移動する。このとき、ブラシ状部材である遮蔽部6は、第二固定部42上を引きずられながら、第二筐体案内本体部521とともに移動する。
【0080】
第二筐体案内本体部521は、回転移動部523まで到達すると、車輪521aを第一平行移動部522のスライドレール上から回転移動部523のレール部523bに移動させ、筐体1とともに回転台523a上に移動する。回転台523a上に移動された筐体1は、第三面1cを第一走行車線L1に対向させるように管理者によって押されて回転を開始する。即ち、筐体1が押されると、
図7に示すように、レール部523b上に第二筐体案内本体部521の車輪521aが留まった状態で、回転台523aが回転する。回転台523aは、筐体1の第一面1aが第一走行車線L1に対向した位置から第一走行車線L1の前後方向の後方側を向く位置まで90°回転して、第二筐体案内本体部521とともに向きを変更する。回転台523aによって第一面1aが第一走行車線L1の前後方向の後方側を向く位置まで回転すると、筐体1は、第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かって第二面1bを管理者によって押される。筐体1が押されると、
図8に示すように、回転移動部523のレール部523b上から第二平行移動部524のスライドレール上まで車輪521aが移動して、第二筐体案内本体部521は筐体1とともに、第二平行移動部524に移動する。さらに、管理者によって、筐体1の第二面1bが第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かって押されることで、第二筐体案内本体部521は筐体1とともに、第二保守位置B2まで移動する。
【0081】
これらの使用位置A1から第二保守位置B2まで筐体1の移動は、設置可能範囲AL内で行われる。即ち、筐体1は、建築限界位置PLから第一走行車線L1側や第二走行車線L2側に、はみ出ることなく移動される。
【0082】
第二保守位置B2に筐体1が配置されると、管理者によって第一走行車線L1の前後方向の前方側に向いて配置される第二面1bに設けられた保守扉本体31が扉回転軸32を中心に回転して開放される。そして、管理者は、アイランドI上で筐体1の内部に配置された各種装置の修理、点検等の保守作業を行う。
【0083】
また、管理人によって料金自動収受機200の保守作業が行われている間、料金自動収受機200の第一走行車線L1の前後方向の前方側に配置されている有人ブース110を利用者によって利用させる。具体的には、有人ブース110の収受員によって、第一走行車線L1上を通行する車両Vに搭乗する利用者に対して、料金自動収受機200に代わって料金の収受等の料金収受業務が行われる。
【0084】
上記のような料金自動収受機200によれば、第二筐体案内部52が、第一平行移動部522と、回転移動部523と、第二平行移動部524とによって筐体1を使用位置A1から第二保守位置B2まで移動させている。具体的には、第一平行移動部522によって、使用位置A1からアイランドIに対して第一走行車線L1の反対側である第二走行車線L2側に向かって後退させてから、回転移動部523によって筐体1の向きを変更させることができる。これにより、筐体1が建築限界位置PLから第一走行車線L1側にはみ出ることを回避でき、設置可能範囲AL内で向きを変更することができる。そして、回転移動部523の回転台523aに載せられて回転する筐体1を、第二平行移動部524によって第二保守位置B2まで移動させることができる。これにより、第一走行車線L1や第二走行車線L2上を通行する車両Vの進行を妨げることなく、筐体1の向きを変更させることができる。
【0085】
また、第二保守位置B2が、使用位置A1と筐体1の底部の位置が重ならない位置に設定されていることで、使用位置A1から第二保守位置B2に筐体1を移動させると、筐体1が配置されていた使用位置A1の第二固定部42の上面が露わになる。例えば、本実施形態のように第二筐体案内部52が、第二固定部42に対して移動するために車輪521a等を有していることで、第二筐体案内部52の底部と第二固定部42の上面との間に隙間が形成される。ところが、使用位置A1から第二保守位置B2に筐体1を移動させることで、使用位置A1の第二固定部42の上面が露出することで、この隙間に利用者が落とした硬貨10やごみなどの異物が入り込んでしまった場合に、遮蔽部6を外した状態で移動させることにより、これらの異物を容易に回収することができる。
【0086】
さらに、第二保守位置B2まで筐体1を移動させる場合に、使用位置A1と筐体1の底部の位置が重ならない位置まで移動させることができ、第一走行車線L1の前後方向の後方側により広いスペース確保することができ、アイランドI上に保守スペースをさらに容易に確保することができる。
【0087】
また、遮蔽部6が設けられていることで、第二筐体案内部52の底部と第二固定部42の上面との間に形成される隙間を遮蔽することができる。そのため、第二筐体案内部52の底部と第二固定部42の上面との間の隙間へ利用者が落した硬貨10やごみなどの異物が侵入してしまうことを軽減できる。
【0088】
さらに、遮蔽部6がブラシ状部材であることで、第二筐体案内部52が移動する場合に、第二固定部42に対して引っ掛かったり、過度な摩擦が生じたりすることがない。そのため、第二筐体案内部52の移動を妨げることなく、隙間への異物の侵入を軽減できる。
また、ブラシ状部材である遮蔽部6は、第二筐体案内本体部521が移動している間、第二固定部42上を引きずられながら、第二筐体案内本体部521とともに移動する。そのため、第二固定面上の第二筐体案内部52の移動進路上に落ちている異物が、第二筐体案内部52の底部と第二固定部42の上面との間の隙間へ異物が進入してしまうことも軽減できる。
【0089】
なお、遮蔽部6は、本実施形態のように第二筐体案内部52に設けられることに限定されるものではない。例えば、第二筐体案内部52以外の可動部50である筐体1に設けられていてもよい。また、遮蔽部6は、本実施形態のようにブラシ状部材であることに限定されるものではなく、隙間に異物が進入しないような形状であればよい。例えば、単純に隙間を閉塞するような板材であってもよい。
【0090】
また、使用位置A1と第二保守位置B2とが重ならない場合、料金自動収受機200は、筐体1に電源等を内蔵し、無線通信によって外部の機器と通信を行うことで、ケーブルをアイランドI上にはみ出さないようにしても良い。また、電源や外部の機器との信号線や通信線としてケーブルを有する場合には、第二固定部42内に電源や通信機器等を収容し、予め各ケーブルの長さに余裕を持たせた長さに設定する。そして、第二固定部42のケーブルが出てくる開口部分を、筐体1とともに移動させてもよい。即ち、ケーブルを延伸させたり、長いケーブルを回収したりするように、筐体1を移動させる際にケーブルを処理する構造を有していることが好ましい。
【0091】
また、本実施形態の遮蔽部6は、本実施形態のように可動部50に設けられることに限定されるものではなく、第二固定部42またはアイランドIに対して移動する可動部50との間に形成される隙間を遮蔽できればよい。即ち、回転移動部523の回転台523aに第二固定部42の凹部との隙間を遮蔽する遮蔽部を設けて、回転台523aと第二固定部42の凹部との隙間に硬貨等が落下しないように遮蔽してもよい。
【0092】
《第三実施形態》
次に、
図9及び
図10を参照して第三実施形態の料金自動収受機300について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第三実施形態の料金自動収受機300は、筐体案内部51の構造について第一実施形態と相違する。
【0093】
即ち、第三実施形態の料金自動収受機300は、
図9及び
図10に示すように、アイランドIに固定される第三固定部43と、筐体1を使用位置A1から第三保守位置B3に曲線状の軌道に沿って第三固定部43上を案内する第三筐体案内部53と、第三筐体案内部53と第三固定部43との間に設けられた隙間や、第三固定部43とアイランドIとに間に設けられた隙間に落下した異物を回収する回収扉7とを有している。
【0094】
第三固定部43は、アイランドIに配置され、筐体1を第三筐体案内部53によって移動させる場合の土台である。本実施形態における第三固定部43は、アイランドIの一部をくりぬいて形成される断面が矩形状の凹部に嵌め込まれて固定されている。第三固定部43は、アイランドIに対して、第一走行車線L1の前後方向及び幅方向に隙間を形成された状態で配置される。第三固定部43は、アイランドIと鉛直方向の上部の面が同じ位置にとなって突出しないような直方状に形成されている。なお、第三固定部43は、曲線状の軌道に沿って移動する第三筐体案内部53が上部に配置されるため、第二実施形態の第二固定部42よりも大きく形成されている。
【0095】
第三筐体案内部53は、使用位置A1から、第三固定部43上を第一実施形態の保守位置B1や第二実施形態の第二保守位置B2とは異なる第三保守位置B3まで、筐体1を移動可能としている。
第三実施形態における第三保守位置B3は、
図10に示すように、使用位置A1における筐体1の底部の位置と重ならない位置である点で、第二実施形態の第二保守位置B2と同じだが、第二保守位置B2よりも大きく第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かって平行移動した位置である点が異なっている。
【0096】
第三筐体案内部53は、使用位置A1から第三保守位置B3まで、設置可能範囲AL内から第一走行車線L1側や第二走行車線L2側に向かって突出させることなく、筐体1を移動させる。また、第三筐体案内部53は、第一実施形態の筐体案内部51と同様に、第三保守位置B3における第三面1cが、使用位置A1における第一面1aよりも、第二走行車線L2側に向かってアイランドIの内側に配置されるように設置可能範囲AL内を移動させる。具体的には、第三筐体案内部53は、筐体1に固定されて第三固定部43に対して筐体1を移動させる第三筐体案内本体部531と、第三筐体案内本体部531を建築限界位置PLから、第一走行車線L1の反対側に向かって徐々に離れさせるよう使用位置A1から第三保守位置B3まで移動させる離間移動部532と、第一実施形態と同様のロック部514とを有する。
【0097】
第三筐体案内本体部531は、筐体1を第三固定部43に対して移動可能としている。第三筐体案内本体部531は、直方状をなしており、その鉛直方向の上面が筐体1の底部に固定されている。第三筐体案内本体部531は、離間移動部532に合わせて、筐体1の第一面1aから傾いて配置される車輪531aを鉛直方向の下面である底部に四つ均等に離れて配置して有する。したがって、第三筐体案内本体部531は、車輪531aの大きさだけ、底部と第三固定部43の上面との間に隙間を形成して配置されている。第三筐体案内本体部531は、内部に不図示のモータを有しており、モータを駆動させることで車輪531aを回転させて移動する。
【0098】
離間移動部532は、アイランドIにおいて第一走行車線L1の反対側である第二走行車線L2側に向かって建築限界位置PLから徐々に離れさせて、使用位置A1に配置される筐体1に固定された第三筐体案内本体部531を使用位置A1から第三保守位置B3まで移動させる。本実施形態における離間移動部532は、使用位置A1から第三保守位置B3まで、第三固定部43上に大きな曲線軌道を描いて、平行に隣接して配置される一対のスライドレールである。具体的には、離間移動部532は、まず、使用位置A1に配置される第三筐体案内部53の車輪531aの位置から第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かうにしたがって、徐々に建築限界位置PLから離れるように配置される。その後、離間移動部532は、第三保守位置B3付近で、筐体1の第一面1aが、第一走行車線L1に対向した向きから、第一走行車線L1の前後方向の後方側を向くように大きな曲線を描いて曲げられて、第三保守位置B3に配置される第三筐体案内部53の車輪531aの位置まで接続されている。
【0099】
ここで、第三実施形態において、第三固定部43に対して移動する物体を可動部50aと称する。即ち、第三実施形態における可動部50aは、第二実施形態と同様に、第三筐体案内部53だけでなく、第三筐体案内部53とともに移動する筐体1も含んでいる。
【0100】
回収扉7は、第三固定部43の上面と可動部50である第三筐体案内部53の底部との間に形成される隙間に侵入した硬貨10等の異物を回収する第一回収扉71と、アイランドIと第三固定部43との間に形成される隙間に落下した硬貨10等の異物を回収する第二回収扉72とを有する。
【0101】
第一回収扉71は、第三固定部43の上面と第三筐体案内部53の底部との隙間に利用者が落とした硬貨10やごみなどの異物が進入した場合に回収する。第一回収扉71は、可動部50である第三筐体案内部53に設けられている。第一回収扉71は、第三筐体案内本体部531の側面から、第三固定部43の上面と第三筐体案内部53の底部との間に形成される隙間まで貫通する第一開口部71aと、第一開口部71aを閉塞する第一扉部材71bとを有する。
【0102】
第一開口部71aは、使用位置A1に配置される第三筐体案内部53の第一走行車線L1の前後方向の前方側の側面に形成される断面矩形状の貫通穴である。
第一扉部材71bは、使用位置A1に配置される第三筐体案内部53の第一走行車線L1の前後方向の前方側の側面に配置され、第一開口部71aを開放または閉塞可能に接続されている。
【0103】
第二回収扉72は、アイランドIと第三固定部43の間の隙間に利用者が落とした硬貨10やごみなどの異物が進入した場合に回収する。第二回収扉72は、第三固定部43に複数設けられている。第二回収扉72は、第三固定部43の上面から、アイランドIと第三固定部43との間に形成される隙間まで貫通する第二開口部72aと、第二開口部72aを閉塞する第二扉部材72bとを有する。
【0104】
第二開口部72aは、第三固定部43の上面から複数形成される断面矩形状の貫通穴である。第二開口部72aは、アイランドIと第三固定部43の間の隙間との接続部分が広がっており、隙間に侵入した異物が集まりやすくなっている。
第二扉部材72bは、第三固定部43上に配置され、第二開口部72aを開放または閉塞可能に接続されている。
【0105】
次に、第三実施形態の構成の料金自動収受機300の作用について説明する。
上記のような第三実施形態の料金自動収受機300が故障して保守が必要となると、筐体1を第三保守位置B3に移動させる。具体的には、第一実施形態と同様に、ロック部514のピン状部材514aをピン穴部514bから抜き取る。その後、第三筐体案内本体部531に設けられている不図示のモータを駆動させて、車輪531aを回転させる。第三筐体案内本体部531は、使用位置A1から離間移動部532のスライドレールに沿って筐体1とともに移動を開始する。第三筐体案内本体部531は、離間移動部532によって、第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かうにしたがって、徐々に建築限界位置PLから離れるように移動する。そして、第三筐体案内本体部531は、第三保守位置B3付近で、上部に固定された筐体1の第一面1aが、第一走行車線L1に対向した向きから、第一走行車線L1の前後方向の後方側を向くように大きく曲がりながら移動する。その後、第三筐体案内本体部531は、筐体1とともに第三保守位置B3まで移動する。
【0106】
これらの使用位置A1から第三保守位置B3まで筐体1の移動は、設置可能範囲AL内で行われる。即ち、筐体1は、建築限界位置PLから第一走行車線L1側や第二走行車線L2側に、はみ出ることなく移動される。
【0107】
第三保守位置B3に筐体1が配置されると、管理者によって第一走行車線L1の前後方向の前方側に向いて配置される第二面1bに設けられた保守扉本体31が扉回転軸32を中心に回転して、点検等の保守作業を行う。
【0108】
また、管理人によって料金自動収受機300の保守作業が行われている間、料金自動収受機300の第一走行車線L1の前後方向の前方側に配置されている有人ブース110を利用者によって利用させる。具体的には、有人ブース110の収受員によって、第一走行車線L1上を通行する車両Vに搭乗する利用者に対して、料金自動収受機300に代わって料金の収受等の料金収受業務が行われる。
【0109】
上記のような料金自動収受機300によれば、第三筐体案内部53が、離間移動部532に沿って筐体1を移動させる。具体的には、離間移動部532に沿って移動する第三筐体案内本体部531によって、使用位置A1に配置された筐体1を、第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かうにしたがって、建築限界位置PLから、第一走行車線L1の反対側に向かって徐々に離れさせて移動させることができる。その後、筐体1の向きを変更することで、建築限界位置PLから第一走行車線L1側に筐体1がはみ出ることを回避でき、設置可能範囲AL内で向きを変更することができる。これにより、第一走行車線L1や第二走行車線L2上を通行する車両Vの進行を妨げることなく、使用位置A1から保守位置B1まで筐体1を移動させることができる。
【0110】
また、第三保守位置B3まで筐体1を移動させる場合に、離間移動部532が第三筐体案内本体部531及び筐体1を、第一走行車線L1の前後方向の後方側に向かうにしたがって、建築限界位置PLから徐々に離れさせながら移動させる。そのため、第三保守位置B3は、使用位置A1から第一走行車線L1の前後方向の後方側に離れた位置に配置される。したがって、第三保守位置B3まで筐体1を移動させると、使用位置A1と筐体1の底部の位置が重ならないだけでなく、第二保守位置B2よりも第一走行車線L1の前後方向の後方側の位置まで移動させることができる。これにより、第一走行車線L1の前後方向の後方側により一層広いスペース確保することができ、アイランドI上に保守スペースをさらに容易に確保することができる。
【0111】
また、回収扉7の第一回収扉71と第二回収扉72が設けられている。そのため、第三固定部43の上面と可動部50である第三筐体案内部53の底部との間に形成される隙間や、アイランドIと第三固定部43との間に形成される隙間に利用者が投入しようとした硬貨10や通行券等を落下させてしまった場合であっても、容易に回収することができる。
【0112】
《第四実施形態》
次に、
図11及び
図14を参照して第四実施形態の料金自動収受機400について説明する。
第四実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第四実施形態の料金自動収受機400は、筐体案内部51の構造について第一実施形態と相違する。
【0113】
即ち、第四実施形態の料金自動収受機400は、
図11及び
図12に示すように、料金所通行の料金収受に関する操作を行う操作者である収受員のためのブース111内に設けられる料金所設備の一部である。
【0114】
このブース111は、第一実施形態から第三実施形態に記載した有人ブース110とは、内部に料金自動収受機400を配置可能としている点で異なる。ブース111は、アイランドI上に設けられている。ブース111は、収受員が内部に待機可能な第一走行車線L1の側部に設けられた小屋である。ブース111は、第一走行車線L1とアイランドIとの境界から建築限界として定められる所定の間隔だけ離れた位置に面して配置されている。即ち、ブース111は、アイランドIの幅よりも小さい幅で第一走行車線L1の前後方向に沿って延びる直方箱型形状を有している。ブース111は、内部の収受員が第一走行車線L1を通行する車両Vの利用者と貨幣等の受け渡し等を行うための開口が形成された扉部111aと、扉部111aよりも車両Vが進行してくる手前側である第一走行車線L1の前後方向の後方側に形成されて料金自動収受機400を露出させて設置するための設置部111bとを有している。
【0115】
扉部111aは、第一走行車線L1に面するブース111の側面の一部に設けられている。扉部111aは、矩形状の開口が形成され、収受員が車両Vに搭乗する利用者に対してブース111内から料金収受を可能としている。本実施形態における扉部111aは、第一走行車線L1の前後方向の前方側に回転軸を有する。扉部111aは、ブース111の内側に向かって回転軸を中心に回転することで、収受員がブース111内に出入りするために使用される。
【0116】
設置部111bは、扉部111aよりも第一走行車線L1の前後方向の後方側でブース111の側面を開口して形成される。即ち、設置部111bは、ブース111の側面において第一走行車線L1の車線前後方向の扉部111aの回転軸が配置されている側と反対側に隣接して形成される。具体的には設置部111bは、ブース111の第一走行車線L1に面する側面から開口してブース111の内部を露出させている。そして、設置部111bは、第一走行車線L1を通行する車両Vに対して筐体11を露出させて設置可能なスペースである。
【0117】
第四実施形態の料金自動収受機400は、第一走行車線L1に対してアイランドI上の建築限界位置PLだけ離れた位置であるブース111の側面に面して、ブース111内に配置されている。料金自動収受機400は、料金自動収受機400の外装である筐体11と、利用者によって操作が行われる操作パネル2と一体に形成されたスライド保守扉30と、筐体11を移動させる第四筐体案内部55とを備えている。
【0118】
筐体11は、操作パネル2を第一走行車線L1に露出させるように設置部111bに配置されることで、ブース111の内部に配置されている。第四実施形態では、ブース111内で操作パネル2を第一走行車線に向けて筐体11が配置された位置を第四使用位置A5とする。
【0119】
スライド保守扉30は、筐体11の内部に設けられている不図示の各種装置の保守を行う場合に、第一走行車線L1の前後方向に沿って移動することで開放されて筐体11の内部のこれら各種装置を露出させる。スライド保守扉30は、保守扉3と異なり、筐体11の第一面1aに操作パネル2と一体に設けられている。具体的には、スライド保守扉30は、筐体1の第一面1aにおいて内部を閉塞するよう配置されるスライド保守扉本体301と、スライド保守扉本体301を筐体1に対してスライド移動させるよう誘導する保守扉スライド誘導部302とを有している。
【0120】
スライド保守扉本体301は、筐体の11の第一面1aの一部を形成する板状部材である。即ち、スライド保守扉30において、スライド保守扉本体301が操作パネル2と一体に設けられている。スライド保守扉本体301の底面部には第一走行車線L1の前後方向に貫通する溝が形成されている。
【0121】
保守扉スライド誘導部302は、スライド保守扉本体301を第一走行車線L1の前後方向に沿って誘導する。保守扉スライド誘導部302は、アイランドI上に固定されたレールである。具体的には、保守扉スライド誘導部302は、第四使用位置A5に筐体が配置された状態の第一面1aのスライド保守扉本体301が配置されている位置から第一走行車線L1の前後方向の前方に向かって直線状に延びている。保守扉スライド誘導部302は、レールがスライド保守扉本体301の溝に嵌め込まれることで、スライド保守扉本体301を支持している。
【0122】
第四筐体案内部55は、第四使用位置A5から筐体11を第一実施形態の保守位置B1や第三実施形態の第三保守位置B3とも異なる第四保守位置B5まで、筐体1を移動可能としている。
【0123】
第四実施形態における第四保守位置B5は、
図14に示すように、第一面1aが第一走行車線L1及び第二走行車線L2の前後方向の前方側を向き、第四面1dが第一走行車線L1と対向するように筐体1が配置される位置である。即ち、第四保守位置B5では、第四使用位置A5から筐体11が平面視で時計回りに回転した位置である。
【0124】
第四筐体案内部55は、第四使用位置A5から第四保守位置B5まで、設置可能範囲AL内から第一走行車線L1側に向かってはみ出るように突出させることなく筐体11を案内する。具体的には、第四筐体案内部55は、筐体11の底部に固定される筐体軸部551と、筐体軸部551をアイランドIの幅方向に沿って案内する筐体軸案内部552と、筐体11とスライド保守扉本体301とを連結する連結部材553を有する。第四筐体案内部55は、不図示のキャスターを有しており、筐体11をアイランドIに対してブース111内で移動可能としている。
【0125】
筐体軸部551は、筐体11の底部から円柱状をなして筐体軸案内部552に挿入するよう突出して設けられる。本実施形態の筐体軸部551は、筐体11の平面視での輪郭の中心位置に配置される。
筐体軸案内部552は、アイランドIを幅方向に長い長穴状に窪ませて形成される。筐体軸案内部552には、筐体軸部551が回転自在、かつ移動可能に挿入されている。
【0126】
連結部材553は、スライド保守扉本体301のスライド移動に連動して、筐体11を回転移動可能に接続している。連結部材553は、筐体11の上面部とスライド保守扉本体301の上面部とを第一走行車線L1の前後方向の後方側の端部で回転自在に連結している。連結部材553は、スライド保守扉本体301を鉛直方向の上側に移動させることで、筐体11から外れるように取り付けられている。
【0127】
次に、第四実施形態の構成の料金自動収受機400の作用について説明する。
上記のような第四実施形態の料金自動収受機400が故障して、保守が必要となると、スライド保守扉30を開放させながら筐体11を第四保守位置B5に移動させる。具体的には、
図13に示すように、管理者はブース111の扉部111aをブース111内に向かって回転させて開放する。その後、管理者はブース111内に入って、スライド保守扉本体301を第一走行車線L1の前後方向の前方に向かって引っ張る。スライド保守扉本体301は、引っ張られることでレールである保守扉スライド誘導部302上を第一走行車線L1の前後方向の前方側にスライド移動する。スライド保守扉本体301がスライド移動すると、連結部材553によって連結されている筐体11は、連結部材553が取り付けられている部分が引っ張られる。これにより、筐体11は、第一面1aを第一走行車線L1の前後方向の前方側に向けるように時計回りに回転し始める。筐体11が回転し始めると、筐体11に固定されている筐体軸部551も筐体軸案内部552内でスライドしつつ回転する。
【0128】
この時、スライド保守扉本体301は保守扉スライド誘導部302に沿ってスライド移動する。そのため、スライド保守扉本体301と連結部材553で連結されている筐体11は、連結部材553が取り付けられている部分が保守扉スライド誘導部302よりも第一走行車線L1側にはみ出すことなく回転する。したがって、筐体11の平面視での中心に固定された筐体軸部551は、筐体軸案内部552内で、アイランドIの幅方向に沿って第一走行車線L1側から第二走行車線L2側に向かって移動しながら回転する。その後、逆にアイランドIの幅方向に沿って第二走行車線L2側から第一走行車線L1側に向かって移動しながら回転することで、
図14に示すように、スライド保守扉本体301が完全に開放された状態で、筐体11は第四保守位置B5まで移動する。
【0129】
即ち、これらの第四使用位置A5から第四保守位置B5まで筐体11の移動は、第一走行車線L1側の建築限界位置PLから第一走行車線L1に向かってはみ出すことなくブース111内で行われる。そして、管理者は、ブース111内で筐体11の内部に配置された各種装置の修理、点検等の保守作業を行う。
【0130】
操作パネル2が故障等の不具合があり、別の操作パネル2と交換が必要な場合には、第四保守位置B5まで筐体11を案内した後で、管理者がスライド保守扉本体301を鉛直方向の上側に持ち上げて移動させる。そして、連結部材553を筐体11から外して操作パネル2と一体に構成されたスライド保守扉本体301を取り外す。その後、別のスライド保守扉本体301を連結部材553を介して筐体11に取り付けることで、操作パネル2を交換する。なお、スライド保守扉本体301が重い場合には、連結部材553を押し上げて外した後に、更にスライド保守扉本体301をスライドさせることで,ブース111よりはみ出させる構造としてもよい。このような構造とすることで、ブース111からはみ出した段階で,クレーンなどの吊具でスライド保守扉本体301を釣り出すことができる。この際、保守扉スライド誘導部302がブース111より発進側に扉一枚分程度はみ出していることが好ましい。
【0131】
上記のような料金自動収受機400によれば、操作パネル2と一体に第一面1aに設けられたスライド保守扉30のスライド保守扉本体301が筐体11の内部を開放するために移動することで、同時に筐体11を回転させて第四使用位置A5から第四保守位置B5まで移動させることができる。したがって、管理者は、筐体11の内部を開放するようにスライド保守扉本体301を移動させるだけで、別の作業として第四保守位置B5まで筐体11を移動させる手間を省略することができ、収受員等の管理者の作業を簡便化することができる。これにより、保守作業時の管理者の作業負担を軽減することができる。
【0132】
また、操作パネル2と一体に設けられたスライド保守扉本体301を、筐体11が第四保守位置B5まで移動するようにスライド移動させた後に鉛直方向の上側に持ち上げて連結部材553を取り外すことで、筐体11からスライド保守扉本体301を容易に取り外すことができる。したがって、筐体11の内部の点検等の保守作業時にスライド保守扉本体301を交換することで操作パネル2を同時交換することができる。これにより、操作パネル2を容易に取り外して交換することができる。
【0133】
さらに、スライド保守扉30は、スライド保守扉本体301を保守扉スライド誘導部302であるアイランドI上に固定されたレールによって支持している。そのため、筐体11と連結する連結部材553には、スライド保守扉本体301を筐体11に対して固定して支持するような強度が不要となる。したがって、連結部材553を簡単な構造で形成したり、コストの安い材料で形成したりして容易に形成することができる。これにより、スライド保守扉30が開放されるとともに筐体11を第四使用位置A5から第四保守位置B5まで案内する第四筐体案内部55を容易に形成することができる。
【0134】
また、ブース111内に第一走行車線L1に操作パネル2を露出させて筐体11が配置されていることで、通常時には料金自動収受機400によって料金収受に関する処理を収受員無しで無人で行うことができる。そして、料金自動収受機が故障した場合には、ブース111内で操作者である収受員によって筐体11を第四保守位置B5まで移動させることで、ブース111内で保守作業を行うことができる。したがって、ブース111内に保守スペースを確保して安全に保守作業をことができる。
【0135】
さらに、筐体11が第一走行車線L1の車線前後方向の扉部111aの回転軸が配置されている側と反対側に隣接して隣接する設置部111bに配置され、扉部111aがブース111の内側に向かって回転して開くことで、収受員はブース111内からスライド保守扉本体301を移動させることができる。具体的には、収受員は扉部111aを開いた状態で、ブース111内から手を伸ばしてスライド保守扉本体301を第一走行車線L1の車線前後方向の前方に向かって引いて移動させる。その結果、扉部111aが閉まった状態の時に配置されていた位置にスライド保守扉本体301を移動させて筐体11を第四保守位置B5まで回転移動させることができる。したがって、収受員は、ブース111の外部に出ることなく、筐体11を第四使用位置A5から第四保守位置B5まで移動させることができる。
【0136】
《変形例》
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、変形例として、固定部41を用いずに筐体案内部51をアイランドIに直接配置してもよい。
【0137】
即ち、変形例における料金自動収受機500は、
図15及び
図16に示すように、アイランドIに対して回転移動する回転筐体案内部54と、アイランドIと回転筐体案内部54との間に形成される隙間を遮蔽する変形遮蔽部61と、アイランドIと回転筐体案内部54との間に形成される隙間に落下した異物を回収する変形回収扉73とを有する。
【0138】
回転筐体案内部54は、アイランドIに対して回転移動するターンテーブルである。回転筐体案内部54は、使用位置A1から、第一実施形態の保守位置B1とは異なる変形保守位置B4までアイランドIに対して筐体1を移動可能としている。
変形例における変形保守位置B4は、
図16に示すように、ターンテーブルの回転中心から90°回転移動した位置である。
回転筐体案内部54は、アイランドIの一部をくりぬいて形成される断面円形状の凹部に嵌め込まれて配置されている。回転筐体案内部54は、筐体1をアイランドIに対して回転移動させる回転筐体案内本体部541と、回転筐体案内本体部541を回転させる本体駆動部542と、回転筐体案内本体部541と筐体1との間に配置され、鉛直方向の筐体1の操作パネル2の位置を調整するベースプレート部543とを有している。
【0139】
本変形例においてアイランドIに形成される変形凹部Cは、アイランドIの上面に面して、1段段差が形成されている、具体的には、変形凹部Cは、アイランドIの上面から断面円形状をなして窪んで形成される凹部本体C1と、アイランドIの上面から凹部本体C1よりも径が大きく底の浅い段差凹部C2とが形成され、これらによって段差が形成されている。
【0140】
回転筐体案内本体部541は、アイランドIに対して回転移動可能に配置されている。回転筐体案内本体部541は、筐体1を載せて回転する円板部541aと、円板部541aを回転させる円板回転軸541bとを有している。
円板部541aは、円板形状をなしている、円板部541aは、外周端がアイランドIに形成される変形凹部Cの凹部本体C1と段差凹部C2とによって形成される段差上に配置されている。したがって、アイランドIに形成される凹部本体C1は、回転筐体案内本体部541の円板部541aによって閉塞された空間となっている。
円板回転軸541bは、円板部541aの中心の鉛直方向の下側に接続される回転軸である。円板回転軸541bはギヤが取り付けられており、本体駆動部542と接続されている。円板回転軸541bは、回転することで、接続されている円板部541aを回転させる。
【0141】
本体駆動部542は、回転筐体案内本体部541を回転移動させるために駆動源である。本体駆動部542は、回転筐体案内本体部541の円板部541aによって閉塞された凹部本体C1に配置されるギヤードモータである。本体駆動部542は、不図示の制御部からの信号に基づいて回転する。本体駆動部542はギヤードモータのギヤヘッドと円板回転軸541bのギヤとが接続されている。本体駆動部542は、このギヤを介してトルクを伝達し、円板回転軸541bを回転させる。
【0142】
ベースプレート部543は、使用位置A1に配置される筐体1の操作パネル2の位置が、利用者が利用しやすい位置に配置されるよう筐体1の高さを調整する。ベースプレート部543は、回転筐体案内本体部541の円板部541aの上に配置されている。ベースプレート部543は、下部が円板部541aに固定され、上部が筐体1の底部に固定されている。
【0143】
ここで、変形例においては、アイランドIに対して移動する物体を可動部50bと称する。即ち、変形例における可動部50bは、回転筐体案内部54だけでなく、回転筐体案内部54とともに移動する筐体1も含んでいる。
【0144】
変形遮蔽部61は、可動部50である回転筐体案内部54とアイランドIに形成される変形凹部Cとの隙間を遮蔽する。本実施形態における変形遮蔽部61は、回転筐体案内本体部541の円板部541aの外周面に設けられている。変形遮蔽部61は、ブラシ状部材であって、円板部541aの外周面と段差凹部C2の内周面との間に形成される隙間を遮蔽している。
なお、本変形例では、円板部541aの外周端が変形凹部Cの段差上に配置されていることで、円板部541aの外周端も、円板部541aと凹部本体C1との間に形成される空間である隙間を遮蔽している遮蔽部6でもある。
【0145】
変形回収扉73は、回転筐体案内部54とアイランドIに形成される変形凹部Cとの間に侵入した硬貨10等の異物を回収する。具体的には、変形回収扉73は、円板部541aと凹部本体C1との間に形成される空間である隙間に、利用者が落とした硬貨10やごみなどの異物が進入した場合に回収する。変形回収扉73は、可動部50である回転筐体案内部54の円板部541aに複数設けられている。変形回収扉73は、円板部541aを凹部本体C1まで貫通する変形開口部73aと、変形開口部73aを閉塞する変形扉部材73bとを有する。
【0146】
変形開口部73aは、円板部541aの上面から複数形成される断面矩形状の貫通穴である。
変形扉部材73bは、円板部541a上に配置され、変形開口部73aを開放または閉塞可能に接続されている。
【0147】
次に、変形例の構成の料金自動収受機500の作用について説明する。
上記のような変形例の料金自動収受機500が故障して、保守が必要となると、筐体1を変形保守位置B4に移動させる。具体的には、回転筐体案内部54の本体駆動部542のギヤードモータを駆動させて、ギヤを介して接続されている円板回転軸541bを回転させる。円板回転軸541bが回転すると、円板部541aも一体になって回転し、ベースプレート部543を介して円板部541aに固定さている筐体1が使用位置A1から回転移動を開始する。回転筐体案内本体部541の円板部541aは、筐体1の第一面1aが、使用位置A1である第一走行車線L1に対向した向きから、変形保守位置B4である第一走行車線L1の前後方向の後方側を向いた位置まで移動するよう回転する。このとき、ブラシ状部材である変形遮蔽部61は、段差凹部C2の内周面をこすりながら、回転筐体案内本体部541の円板部541aとともに移動する。その結果、筐体1は、円板部541aによって使用位置A1から保守位置B1まで移動する。
【0148】
上記のような変形例の料金自動収受機500によれば、回転筐体案内部54の円板部541aを回転させるだけで筐体1の向きを変更でき、使用位置A1から保守位置B1まで筐体1を移動させる筐体案内部51を、容易に設置することできる。
【0149】
また、回転筐体案内部54の円板部541aとアイランドIの段差凹部C2との隙間に変形遮蔽部61がブラシ状部材としても設けられていることで、アイランドIと可動部50である円板部541aとの隙間へ異物が進入してしまうことも軽減できる。
さらに、回転筐体案内部54の円板部541aとアイランドIの段差凹部C2との隙間から凹部本体C1に硬貨10やごみ等の異物が進入しても、変形回収扉73の変形扉部材73bを開放することで、変形開口部73aから容易に回収することができる。
【0150】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0151】
なお、アイランドIに形成される凹部は、筐体案内部51を筐体1に対して設置する場合に、操作パネル2の各処理口等の位置が、利用者が車両Vに搭乗したまま利用するうえで、適正な位置となるように適宜深さを変更される。そのため、変形例で用いた筐体1の高さ調整するベースプレート部543を、他の実施形態でも筐体1と筐体案内部51との間に配置してもよい。
また、保守扉3は、本実施形態のように第二面1bに設けられることに限定されるわけではない。例えば、操作パネル2が設けられた第一面1aに設けられていてもよい。