(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1リップ本体部を前記第2リップ本体部に向けて前進させる工程は、前記第1リップ本体部及び前記第2リップ本体部が反対方向に等距離だけ移動するというように、前記第2リップ本体部を前記第1リップ本体部に向けて前進させる工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
前記第1リップ本体部を前進させる工程、前記第2リップ本体部を前進させる工程、及び、前記ランドチャネル本体部を前進させる工程は、前記第1リップ本体部、前記第2リップ本体部及び前記ランドチャネル本体部を同時に前進させる工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明は、本質的に例示であって、本発明の範囲、適用可能性、構成、形態等を限定することは意図されていない。本明細書は、本発明の好適な実施形態を実施するための実際的な図示ないし説明を提供する。構成、材料、寸法、及び製造方法の例示は、選択された要素のために提供されている。全ての他の要素は、本発明の分野において当業者に知られたものを採用する。当業者は、所与の実施形態の多くが様々な好適な代替物を有することを、認識するであろう。
【0019】
本明細書は、ランドチャネルを有する押出ダイと、ランドチャネルの長さを調整する方法と、に関している。ある実施形態では、押出ダイは、それらの間にポリマー流路を提供する一対のダイ本体部を有している。当該ダイ本体部は、ポリマー流路に対する出口開口を形成する対応する一対のダイリップを有している。出口開口から上流側に延びる流路の最終部は、押出ダイのランドチャネルを形成している。ランドチャネルの長さは、例えば出口開口の幅が変わる時に、調整可能である。
【0020】
ランドチャネルの長さを調整するために、一実施形態では、押出ダイは移動可能なランドチャネル本体部を有している。当該実施形態における移動可能なランドチャネル本体部は、流路を境界付ける壁の一部を形成している。移動可能なランドチャネル本体部は、流路の幅に亘って前進及び後退されて、ランドチャネルの長さを変更する。移動可能なランドチャネル本体部の位置に依存して、ランドチャネルは、ランドチャネル本体部の下流端縁で、あるいはランドチャネル本体部の上流端縁で、あるいはランドチャネル本体部上流端縁を超えて、終了する。他の実施形態では、押出ダイは、複数の移動可能なランドチャネル本体部を含み、ランドチャネルの長さが設定され得る付加的な位置を提供する。
【0021】
ランドチャネルの長さを調整すると、出口開口での溶融ポリマー流の背圧が変更され得る。ランドチャネルの長さは、出口開口の幅が増大する時に増大され得て、出口開口の幅が減少する時に減少され得る。出口開口の幅が増大すると、出口開口での流れ制限が緩和することによって、出口開口における背圧が減少する傾向がある。逆に、出口開口の幅が減少すると、出口開口での流れ制限が増大することによって、出口開口における背圧が増大する傾向がある。ランドチャネルの長さが調整可能な押出ダイは、例えば、使用のために選択された特定の出口開口サイズにとって適当な長さにランドチャネルの長さが調整され得るという点で、有用である。
【0022】
図1は、押出ダイ12と、協働ローラ14、16から形成されたカレンダーと、を含むシステム10の斜視図である。押出ダイは、溶融した熱可塑性材料を、例えば不図示の上流側の供給ブロックから受容し、当該熱可塑性材料をシート18へと押出成形する。以下に詳述される通り、押出ダイ12は、長さ調節可能なランドチャネルを有しており、シート18が排出されるリップギャップ間隔を調整するための調整可能なダイリップをも有し得る。
【0023】
押出ダイ12は、第1リップ本体部22Aを保持する第1ダイ本体部20Aと、第2リップ本体部22Bを保持する第2ダイ本体部20Bと、から形成されている。流路が、第1ダイ本体部20Aと第2ダイ本体部20Bとの間に形成されている。流路は、溶融ポリマーがそれに沿って当該押出ダイを通って進む経路である。当該流路は、(ポリマー流の進行方向に見て)ダイの上流側の入口からダイの下流側の出口開口まで延びている。シート18は、出口開口を通って出て、それらの間にニップを規定する協働ローラ14、16間でカレンダー加工される。システム10の他の形態では、シート18は、カレンダー加工されることなく単一のローラ14上に排出され得るか、あるいは、排出ローラ上に全く排出されなくてもよい。
【0024】
押出ダイ12は、シート18を形成するための任意の所望のタイプの熱可塑性材料を処理することができる。押出ダイ12を用いて押出成形され得る例示的なポリマー材料は、ポリエチレン(例えば、高密度、低密度、直線状低密度(LLDPE))、ポリプロピレン、塩化ポリビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、塩化ポリビニリデン、ポリアミド、ポリカーボネート、セルロース系、及び、これらの組合せ、を含むが、それらに限定はされない。また、幾つかの応用では、2以上の異なるタイプの熱可塑性材料が押出ダイの入口に供給されて、多層シート18が製造される。結果物である多層フィルムは、互いに積層されて接着された複数の個別の層からなり、当該フィルム内において少なくとも1つの個別の層は、少なくとも1つの他の個別の層とは異なる成分を有している。
【0025】
図2は、
図1のシステム10内で用いられる押出ダイ12の例示的な構成の分解斜視図である。押出ダイ12の様々な構成要素が、分離された状態で図示されているが、それらは互いに接続可能であって、境界付けられた流路を提供する。当該流路を通って、溶融ポリマーが入口から出口開口まで移動する。押出ダイ12は、第1ダイ本体部20Aと第2ダイ本体部20Bとを含んでいる(合わせてダイ本体部20を形成している)。押出ダイ12は、第1リップ本体部22Aと第2リップ本体部22Bとをも含んでいる。第1リップ本体部22Aは、第1ダイ本体部20Aに接続可能であり、押出ダイの出口開口の一方側を境界付ける第1ダイリップ24Aを提供する。第2リップ本体部22Bは、第2ダイ本体部20Bに接続可能であり、押出ダイの出口開口の他方側を境界付ける第2ダイリップ24Bを提供する。
【0026】
図2における押出ダイ12は、また、少なくとも1つのランドチャネル本体部26を含んでいる。これは、単一のランドチャネル本体部として図示されている。ランドチャネル本体部26は、第1ダイ本体部20Aと第1リップ本体部22Aとの間に位置決めされている。ランドチャネル本体部26は、押出ダイ12の内部壁面の一部を形成しており、それは、ダイを通過する溶融ポリマーの流路を境界付けている。以下に詳述される通り、ランドチャネル本体部26は、例えば
図2に示されたXの正負方向に第1ダイ本体部20Aに対して移動可能である。ランドチャネル本体部26の移動は、押出ダイを通って延びる流路のランドチャネル部分の長さを調整し得る。
【0027】
ランドチャネル本体部26の移動を制御するために、押出ダイ12は、調整機構28を含んでいる。調整機構28は、ランドチャネル本体部26に動作可能に接続されており(
図4及び
図5A参照)、図示の例では、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bにも動作可能に接続されている。調整機構28は、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bの間の出口開口の幅を増減するべく動作可能に連関(従事:engage)されている。調整機構28は、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bを反対方向に移動させて、出口開口の幅を増減する。これは、押出ダイ12を用いて製造されるシートの厚さに関する有用な制御である。調整機構28は、また、ランドチャネル本体部26をも移動させる。ランドチャネル本体部26の移動は、単独でも、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bの移動との組合せでも、押出ダイ12のランドチャネルの長さを調整する。これは、選択された特定の出口開口幅にとってランドチャネルの長さが適当である(例えば適当な量の背圧を提供する)ことを保証するのを助ける。
【0028】
図3A乃至
図3Dは、押出ダイ12を用いて確立され得るダイ出口に近い様々な流路形態を示す側方図である。
図3A乃至
図3Dにおいて、同様の参照符号は同様の構成要素を示している。
図3Aを参照して、押出ダイ12は、第1ダイ本体部20Aと第2ダイ本体部20Bとを含んでおり、それらの間に流路30を有している。第1ダイ本体部20Aは、第1流路面32Aを有している。第2ダイ本体部20Bは、第2流路面32Bを有している。第1流路面32Aと第2流路面32Bとが、流路30に面して流路を境界付けているダイ本体部の表面である。動作中、溶融ポリマーは、第1流路面32A及び第2流路面32Bに隣接しそれらに接触しながら流路30を通って流れる。
【0029】
異なる実施形態では、第1ダイ本体部20Aと第2ダイ本体部20Bとは、コートハンガータイプのダイマニホルド、Tタイプのダイマニホルド、フィッシュテイル型ダイマニホルド、コートハンガータイプのダイマニホルドの変形例、あるいは、更に別のダイマニホルド設計、を形成し得る。ダイ本体部20によって形成される特定のタイプのマニホルドに依存することなく、流路30は、マニホルドと流体連通状態にあって、マニホルドまで延びているか、マニホルドを通って延びている。
図3Aに図示された形態では、本体部20は、ランドチャネルの上流で流路30の内外に移動可能な制限バーないしチョックバー21を含んでいる。これは、ランドチャネルの上流でダイ本体部を通るポリマー流を調整可能である。他の実施形態では、押出ダイ12は、制限バーを含んでいない。
【0030】
押出ダイ12は、また、第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B、及び、ランドチャネル本体部26を含んでいる。第1リップ本体部22Aは、第1リップ面34Aを有している。第2リップ本体部22Bは、第2リップ面34Bを有している。ランドチャネル本体部26は、ランドチャネル面36を有している。第1リップ面34A、第2リップ面34B及びランドチャネル面36は、流路30に面して流路を境界付けている第1流路面32A及び第2流路面32Bの下流側の表面を提供している。ポリマーが流路30を通って流れる時、当該ポリマーは、第1リップ面34A、第2リップ面34B及びランドチャネル面36に隣接しそれらに接触しながら流れ得る。
【0031】
第1リップ本体部22Aは、堅い(柔軟でない)リップ本体部であるとして図示されており、第2リップ本体部22Bは、柔軟な(撓み得る)リップ本体部であるとして図示されている。柔軟なリップ本体部は、部分的に凹部25によって規定されるヒンジ部23を含んでいる。ヒンジ部23は、第2ダイ本体部20Bに対する柔軟なリップ本体部の動きを許容する。付勢部材27が、柔軟なリップ本体部のカンチレバー端部を押し込むことができ、当該リップ部をヒンジ部23において撓ませる(リップ本体部の上流端は撓まない)。他の形態では、第1リップ本体部22Aが、柔軟な(撓み得る)リップ本体部として構成され得て、第2リップ本体部22Bが、堅い(柔軟でない)リップ本体部として構成され得る。
【0032】
第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは、当該2つの本体部の間に流路30の出口開口38を形成している。溶融ポリマーは、流路30の入口で受容され、(
図3Aに示されたZ方向に)押出ダイを通る流路の長さに沿って移送されて、出口開口38を介して押出ダイから排出される。流路30は、第1流路面32A、ランドチャネル面36、及び、第1リップ面34Aによって、(
図3Aに示されたX方向に)一方側で境界付けられている。流路30は、第2流路面32B及び第2リップ面34Bによって、他方側で境界付けられている。異なる表面が、流路30を形成する押出ダイ12の内部キャビティの境界を定めている。
【0033】
流路30は、ランドチャネル40を含んでいる。ランドチャネル40は、以下に説明される通り、(
図3Aに示されたZ方向に)可変の長さを有している。ランドチャネル40は、(ポリマー流の方向に見て)出口開口38から上流側に延びる当該出口開口に直に隣接する流路の一部である。ランドチャネル40は、(
図3Aに示されたX方向に)それが一定の断面幅で出口開口38に至る部分であるという点で、流路30の残りの部分から区別され得る。例えば、ランドチャネル40は、流路の幅が変わる上流位置42まで出口開口38から延びる流路の一部であり得る。
図3Aでは、流路30の残りの部分の幅が、上流位置42でランドチャネル40と比べて狭くなるものとして図示されている。他の状況では(例えば、
図3B)、流路30の残りの部分の幅が、上流位置42でランドチャネル40と比べて広がっている。流路30の上流側部分がプレランドチャネルと表現される時、ランドチャネル40は、最終的なランドチャネルと表現されることもある。
【0034】
ランドチャネル40は、押出ダイ12を通るポリマー進行方向に(
図3Aに示されたZ方向に)延びる長さを有している。押出ダイ12を通過する溶融ポリマーの出口開口38での背圧は、少なくとも部分的に、ランドチャネル40の長さによって影響される。押出ダイ12を長さ調整可能なランドチャネル40と共に構成しておくことは、例えば出口開口38のサイズが変更されたり、他の処理(加工)状況が変更されたりした時に、出口開口38での背圧が制御されることを許容する。
【0035】
押出ダイ12の構成において、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは、例えば当該押出ダイで製造されるシートの厚みを調整するべく、出口開口38のサイズを調整するために、移動するように構成されている。第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは、出口開口38の幅を増減するために、反対方向に移動する。第1リップ本体部22Aが、出口開口38の幅を低減するために、一方側から
図3Aに示されたX方向に移動する時、第2リップ本体部22Bは、出口開口38の幅を低減するために、他方側から
図3Aに示された負のX方向に移動する。幾つかの形態では、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは、出口開口38の幅を調整するために、等距離だけ移動するように構成されている。そのような形態は、出口開口38が実質的に流路30の中心とセンター合わせされた状態を維持するのに有用であり得る。他の形態では、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bの一方が、出口開口38の幅を調整するために、他方よりも長い距離だけ移動するように構成されている。これは、出口開口の中心が調整前に位置していた場所と比較して、調整後の出口開口38の中心をオフセットさせ得る。更に他の形態では、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bの一方または両方が、移動可能ではなくて固定されていてもよい。
【0036】
ランドチャネル本体部26は、ランドチャネル40の長さを調整するべく、第1ダイ本体部20A及び/または第1リップ本体部22Aに対して移動するように構成されている。ランドチャネル本体部26は、選択的に(
図1の調整機構28の制御によって)、流路30を境界付けている反対側の壁に向かって、及び、当該壁から離れるように、(
図3Aに示されたX方向に)移動する。これによって、ランドチャネル本体部26の領域において流路の幅を調整できる。ランドチャネル40の長さは、流路30の幅が変わる上流位置42を変更することによっても、調整される。流路30の幅が変わる上流位置42がシフトする時、ランドチャネル40の上流側の範囲を規定する位置が移動する。このことは、おそらく、
図3B乃至
図3Dを参照することで最もよく理解される。
【0037】
図3Aに図示された位置で、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは完全に後退されていて、出口開口38の最大断面幅を提供している。また、ランドチャネル本体部26も後退されていて、ランドチャネル40は、ランドチャネル本体部26の上流側に延びている。特に、
図3Aの位置では、ランドチャネル本体部26が後退されていて、ランドチャネル面36が第1流路面32A及び第1リップ面34Aと面一になっている。これは、流路30の幅が変わる上流位置42を、第1ダイ本体部20A及び第2ダイ本体部20Bの間に位置決めする。結果として、ランドチャネル40は、第1リップ面34Aに沿って、ランドチャネル面36に沿って、第1流路面32Aの一部に沿って延びる長さを有している。
【0038】
図3Bは、別の位置状態を図示している。そこでは、例えばより狭い厚みを有するシートを製造するべく、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは、
図3Aの位置よりも互いに向かって移動していて、出口開口38の幅が狭くなっている。また、ランドチャネル本体部26は、流路30内に移動していて、ランドチャネル40の長さを変えている。子の位置では、第1リップ本体部22Aとランドチャネル本体部26とは、固定したままの第1ダイ本体部20Aに対して、流路30内に等距離だけ前進されている。第2リップ本体部22Bも、反対方向から流路30内に等距離だけ前進されており、第2ダイ本体部20Bは固定したままである。他の形態では、第2リップ本体部22Bは、流路30内に異なる距離だけ前進され得るか、固定したままである。
【0039】
図3Bに示された位置の時、第1リップ本体部22Aとランドチャネル本体部26とは、第1リップ面34Aがランドチャネル面36と面一であるように、流路30内に前進される。第1リップ面34A及びランドチャネル面36は、流路30の幅が変わる上流位置42が下方にランドチャネル本体部26の上流縁にまで移動されるように、第1流路面32Aからオフセットされる。結果として、ランドチャネル40の長さは短くなり、当該長さは、第1リップ面34A及びランドチャネル面36に沿って延びるが、もはや第1流路面32Aに沿っては延びていない。換言すれば、ランドチャネル本体部26を
図3Bのように流路30内に移動することによって、ランドチャネル40の長さが短くされ、ランドチャネル40は、ランドチャネル本体部を超えて上流側に延びることなく、ランドチャネル本体部の上流縁で終了する。
【0040】
幾つかの形態において、出口開口38の幅は、ランドチャネル40の長さを調整しないでも、(所定の範囲で)調整され得る。これらの形態では、第1リップ本体部22Aとランドチャネル本体部26とが、ランドチャネル40の長さを変えることなく出口開口38の幅を調整するために、流路30内に前進され得るか、そこから後退され得る。
図3Cは、そのような別の位置を図示している。
図3Cに示すように、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは、出口開口38の幅を更に狭めるために、
図3Bに示された位置よりも互いに向かって移動されている。また、ランドチャネル本体部26も、第1リップ本体部22Aと同一距離だけ流路30内に移動されている。第1リップ本体部22A及びランドチャネル本体部26を等距離だけ移動させることで、ランドチャネル40の長さを変えることなく出口開口38の幅を調整することができる。これは、特定のランドチャネル長さが異なる出口開口幅の範囲に亘って好適な性能を提供している時、有用であり得る。
【0041】
押出ダイ12の形態に依存して、第1リップ本体部22Aは、出口開口38を更に狭めたりランドチャネル40の長さを更に調整するべく、ランドチャネル本体部26よりも更に流路30内に移動されるように構成され得るか、あるいは、そのようには構成され得ない。
図3Dは、第1リップ本体部22Aがランドチャネル本体部26よりも更に流路30内に移動するように構成された押出ダイ12の形態を図示している。
【0042】
図3Dに示されるように、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは、例えばより狭い厚みを有するシートを製造するべく、
図3Cの位置よりも互いに向かって移動していて、出口開口38の幅が更に狭くなっている。一方、ランドチャネル本体部26は、固定していて、第1リップ本体部22Aはランドチャネル本体部26よりも大きい距離だけ流路30内に前進されている。
【0043】
図3Dに示される位置では、ランドチャネル本体部26は、流路30の幅を第1距離だけ横切って前進されていて、第1リップ本体部22Aは、第1距離よりも大きい第2距離だけ、流路の幅を横切って前進されている。ランドチャネル面36は、第1リップ面34A及び第1流路面32Aからオフセットされている。結果として、ランドチャネル40の長さは短くされ、当該長さは第1リップ面34Aに沿って延びて、もはやランドチャネル面36及び第1流路面32Aに沿っては延びていない。換言すれば、第1リップ本体部22Aを
図3Dのようにランドチャネル本体部26よりも大きい距離だけ流路30内に移動することによって、ランドチャネル40の長さが短くされ、ランドチャネル40は、ランドチャネル本体部に沿って延びることなく、ランドチャネル本体部の下流縁で終了する。この態様では、第1リップ本体部22A及び/または第1ダイ本体部20Aに対するランドチャネル本体部26の移動が、ランドチャネル40の長さを調整している。
図3Dは、ランドチャネル本体部26が第1ダイ本体部20A及び第1リップ本体部22Aからオフセットされた状態を図示しているが、別の適用例では、ランドチャネル本体部26は、ランドチャネル面36が第1流路面32Aと面一になるまで、後退され得る。
【0044】
第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及びランドチャネル本体部26の各々が移動するように構成されている各距離は、例えば押出ダイのサイズや当該ダイの所望の動作パラメータに基づいて、変わり得る。1つの例示的な形態では、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは、出口開口38を0.02インチと0.4インチとの間で変えるように、移動可能である。出口開口38が最大開口であるとき(
図3A)、ランドチャネル40の長さは4.0インチである。第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bが流路30内に前進される時、出口開口38は狭くなる(
図3B)。同時に、ランドチャネル本体部26が流路30内に前進して、ランドチャネル40の長さは1.875インチに低減する。第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bが流路30内に更に前進すると、出口開口38は更に狭くなる(
図3C)。ランドチャネル本体部26も第1リップ本体部22Aと同時に流路30内への前進を続けて、ランドチャネル40の長さは1.875インチに維持される。出口開口38のサイズが0.15インチになる時、ランドチャネル本体部26は移動を停止し、一方、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bは流路30内への前進を継続する(
図3D)、これは、ランドチャネル40の長さを1.125インチにまで低減する。第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bを更に流路30内に前進させると、ランドチャネル40の長さを変更することなく、出口開口38は更に狭くなる。以上の寸法値は、単なる例であり、本発明がそれらに限定されないことは、理解されるべきことである。
【0045】
図3Aを更に参照して、流路30を境界付ける押出ダイ12の構成要素は、様々な異なる形態を有し得る。図示の形態では、第1流路面32Aは、第2流路面32Bに平行で、当該第2流路面32Bから(
図3AのX方向に見て)流路30の反対側に位置している。また、第1リップ面34Aとランドチャネル面36は、第2リップ面34Bに平行で、当該第2リップ面34Bから流路30の反対側に位置している。流路30を境界付ける対向面を互いに平行に構成することは、流路30が対向する平行平面間で一定の断面幅を有することを許容する。
【0046】
図3A乃至
図3Dの形態では、押出ダイ12は、単一のランドチャネル本体部26を有している。他の形態では、押出ダイ12は、1より多い数(例えば、2、3、4、または、それ以上)のランドチャネル本体部26を有し得る。複数のランドチャネル本体部26は、第1ダイ本体部20A及び第1リップ本体部22Aの間に連続で(例えば、積層状態で)配置され得る。各ランドチャネル本体部は、互いに対して異なる距離で、流路30の幅に亘って移動し得る。
【0047】
押出ダイ12に複数のランドチャネル本体部26を設けることは、付加的なランドチャネル長さ制御を提供するのに有用であり得る。前述した通り、ランドチャネル40の長さは、第1ダイ本体部20A及び第1リップ本体部22Aに対するランドチャネル本体部26の位置を制御することで、変更される。ランドチャネル本体部26及び第1リップ本体部22Aを第1ダイ本体部20Aから離れるように流路30内に前進させると、ランドチャネル40の上流境界が、例えばランドチャネル本体部26の上流端縁にまで移動する。更に、第1リップ本体部22Aをランドチャネル本体部26から離れるように流路30内に前進させると、ランドチャネル40の上流境界が、例えばランドチャネル本体部26の下流端縁(近傍の第1リップ本体部22Aの上流端縁)に移動する。これにより、ランドチャネル40の長さは、ランドチャネルの上流境界がランドチャネル本体部26の上流端縁からランドチャネル本体部26の下流端縁に移動する時、ランドチャネル面36の長さだけ変わる。
【0048】
異なる距離だけ流路30内に移動する付加的なランドチャネル本体部26を追加することで、ランドチャネル40の長さは、各ランドチャネル本体部の長さだけシフトされ得る。換言すれば、1つのランドチャネル本体部が他の固定されたランドチャネル本体部に対して流路30内に更に移動する時、ランドチャネル40の上流境界が固定されたランドチャネルの長さだけシフトする。付加的なランドチャネル本体部を押出ダイ12に組み込むことは、ランドチャネルになされる長さ調整についてより細かな制御を提供することができる。
【0049】
図3A乃至
図3Dに図示された実施形態では、第1リップ本体部22A及びランドチャネル本体部26が、ランドチャネル40の長さを調整するために、第1ダイ本体部20Aに対して移動する。ランドチャネル本体部26及び第1ダイ本体部20Aが等距離だけ流路30内に前進される時(
図3B参照)、流路30を通って流れるポリマーは、当該流路30内で突出するランドチャネル本体部26の上流端縁に接触する。同様に、第1リップ本体部22Aがランドチャネル本体部26を超えて流路30内に前進される時、流路30を通って流れるポリマーは、当該流路30内で突出する第1リップ本体部22Aの上流端縁に接触する。第1リップ本体部22A及びランドチャネル本体部26の各上流端縁で流れがブロックされることを防止すべく、それら上流端縁は、図示例では、出口開口38に向けて角度がつけられている。
【0050】
図3Dを参照して、第1ダイ本体部20Aは、下方(下流)端面41を有しており、ランドチャネル本体部26は、上方端面44と下方端面46とを有しており、第1リップ本体部22Aは、上方端面48を有している。また、第2ダイ本体部20Bは、下方端面50を有しており、第2リップ本体部22Bは、上方端面52を有している。第1ダイ本体部20Aの下方端面42は、ランドチャネル本体部26の上方端面44と接触している。ランドチャネル本体部26の下方端面46は、第1リップ本体部22Aの上方端面48と接触している。また、第2ダイ本体部20Bの下方端面50は、第2リップ本体部22Bの上方端面52と接触している。
【0051】
図示の形態では、ランドチャネル本体部26の上方端面44、第1リップ本体部22Aの上方端面48、及び、第2リップ本体部22Bの上方端面52は、全て出口開口38に向けて(
図3Dに示された負のZ方向に)下方に傾斜している。そのように構成された時、各上方端面に接触しながら流れるポリマーは、各端面で堆積する(滞る)ことなく出口開口38に向けて方向付けられる傾向を有する。各上方端面は、流路30の長さ方向に垂直な軸方向58に対してある角度54で傾斜している。様々な例において、角度54は、10°よりも大きくてよく、例えば25°より大きくてよく、あるいは、25°〜75°である。更には、ランドチャネル本体部26の上方端面44、第1リップ本体部22Aの上方端面48、及び、第2リップ本体部22Bの上方端面52の各々の角度は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0052】
図2を参照して簡潔に前述された通り、押出ダイ12は、調整機構28を含んでいる。本実施形態の調整機構28は、第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及びランドチャネル本体部26に動作可能に接続されている。調整機構28は、出口開口38の幅を増減させるべく、第1リップ本体部22A及び第2リップ本体部22Bを互いに対して移動するように連関(従事)され得る(
図3B乃至
図3D参照)。また、調整機構28を連関させることで、ランドチャネル本体部26を移動させて、ランドチャネル40の長さを調整することができる。
【0053】
図4は、図示の目的で押出ダイ12から抜き出された状態で示された、
図2の調整機構28の斜視図である。図示された通り、調整機構28は、第1カムアーム58と第2カムアーム60とを含んでいる。第1カムアーム58は、第1の複数のスロット62と、第2の複数のスロット64と、を有している。同様に、第2カムアーム60は、複数のスロット66を有している。第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及びランドチャネル本体部26を調整機構28に接続するために、2つの本体部及びランドチャネル本体部26は、第1カムアーム58及び第2カムアーム60のスロットに挿入される対応する複数のピンを有している。
【0054】
図5Aは、第1リップ本体部22A及びランドチャネル本体部26の斜視図である。
図5Bは、第2リップ本体部22Bの斜視図である。図示された通り、ランドチャネル本体部26は、第1カムアーム58の第1の複数のスロット62に挿入されるように構成された複数のピン68を有している(
図4)。第1リップ本体部22Aは、第1カムアーム58の第2の複数のスロット64に挿入されるように構成された複数のピン70を有している。更に、第2リップ本体部22Bは、第2カムアーム60の複数のスロット66に挿入されるように構成された複数のピン72を有している。
【0055】
第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及びランドチャネル本体部26のピンが第1カムアーム58及び第2カムアーム60の対応するスロットに挿入される時、両構成要素の間で機械的な相互接続が確立される。第1カムアーム58は、ダイ本体部20に対する平行移動によって、第1リップ本体部22A及びランドチャネル本体部26の移動を制御する。第2カムアーム60は、ダイ本体部20に対する平行移動によって、第2リップ本体部22Bの移動を制御する
【0056】
例えば、更に
図4を参照して、第1カムアーム58及び第2カムアーム60は、共に、矢印72によって示された方向に直線的に平行移動するように構成されている。第1カムアーム58が、ベースプレート76に向かって、及びそこから離れるように平行移動する時、ランドチャネル本体部26に保持された複数のピン68が、第1の複数のスロット62内で平行移動する(スロットが移動する時、ピンは
図4に示されたXY平面内で静止し続ける)。同時に、第1リップ本体部22Aに保持された複数のピン70が、第2の複数のスロット64内で平行移動する(スロットが移動する時、ピンはXY平面内で静止し続ける)。第1の複数のスロット62及び第2の複数のスロット64は、第1リップ本体部22A及びランドチャネル本体部26の制御された動きを提供するように構成されている(例えば、寸法決めされ、及び/または、形決めされている)。例えば、スロットの深さ(
図4に示されたZ方向において)が、その長さ(
図4に示されたY方向において)に亘って変更され得る。第1カムアーム58が、ベースプレート76に向かって、及びそこから離れるように平行移動する時、ランドチャネル本体部26に保持された複数のピン68及び第1リップ本体部22Aに保持された複数のピン70が、所与の平行移動の地点での対応するスロットの深さに依存して、
図4に示されたZ方向に移動する。このことが、第1リップ本体部22A及びランドチャネル本体部26を、
図2、
図3A乃至
図3Dに示されたX方向に移動させる。この態様では、第1カムアーム58が、
図4のY方向の線形運動を、
図3A乃至
図3Dに示されたX方向の運動に変換する。
【0057】
第2カムアーム60もまた、ベースプレート76に向かって、及びそこから離れるように平行移動する。第2カムアーム60が移動する時、第2リップ本体部22Bの複数のピン72が、複数のスロット66内で平行移動する(スロットが移動する時、ピンは
図4に示されたXY平面内で静止し続ける)。また、スロットの深さ(
図4に示されたZ方向において)は、その長さ(
図4に示されたY方向において)に亘って変更され得る。第2カムアーム60が平行移動する時、第2リップ本体部22Bに保持された複数のピン72の位置は、所与の平行移動の地点での対応するスロットの深さに依存して、移動する。このことが、第2リップ本体部22Bを、
図2、
図3A乃至
図3Dに示されたX方向に移動させる。
【0058】
第1カムアーム58及び第2カムアーム60を制御するために、
図4のダイ調整機構28は、調整器を含んでいる。特に、
図4の実施形態では、ダイ調整機構28は、3つの調整器:第1調整器78、第2調整器80及び第3調整器82、を含んでいる。調整器は、回転可能なナットとして図示されており、当該ナットの回転運動が、第1カムアーム58及び/または第2カムアーム60の線形運動に変換されるようになっている。
【0059】
第1調整器78は、第1カムアーム58に動作可能に接続されている。第1調整器78を一方向に回転すると、第1カムアーム58はダイ本体部20から外へ前進し(
図2参照)、第1調整器78を反対方向に回転すると、第1カムアーム58は反対方向にダイ本体部20内へと後退する。第2調整器80は、第2カムアーム60に動作可能に接続されている。第2調整器80を一方向に回転すると、第2カムアーム60はダイ本体部20から外へ前進し(
図2参照)、第2調整器80を反対方向に回転すると、第2カムアーム60は反対方向にダイ本体部20内へと後退する。第3調整器82は、第1カムアーム58及び第2カムアーム60の両方に動作可能に接続されている。第3調整器82を一方向に回転すると、第1カムアーム58及び第2カムアーム60がダイ本体部20から外へ前進し、第3調整器82を反対方向に回転すると、第1カムアーム58及び第2カムアーム60は反対方向にダイ本体部20内へと後退する。
【0060】
図4に図示されたように構成される時、第1調整器78及び第2調整器80は、第1カムアーム58及び第2カムアーム60を互いに独立に移動するように利用され得る。例えば、第1調整器78は、第1カムアーム58を平行移動するために利用可能で、それによって、第1リップ本体部22A及びランドチャネル本体部26を同時に移動することができる。第2調整器80は、第2カムアーム60を別個に平行移動するために利用可能で、それによって、第2リップ本体部22Bを移動することができる。このような配置は、押出ダイ12を最初にセットアップする時、あるいは、ダイに対して較正の調整をなす時、有用であり得る。
【0061】
第3調整器82は、第1カムアーム58及び第2カムアーム60を同時に移動し、それによって、第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及びランドチャネル本体部26を同時に移動することができる。これは、出口開口38の幅の調整とランドチャネル40の長さの調整とを同時に行う単一の調整制御を提供する。これは、出口開口38の幅とランドチャネル40の長さとについての、迅速なオンライン調整を許容する(例えば、ポリマーが押出ダイを通って流れている間)。
【0062】
調整機構28が第1カムアーム58及び第2カムアーム60を同時に移動して第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及びランドチャネル本体部26を同時に移動するという形態では、当該調整機構は、第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及びランドチャネル本体部26を、同じ距離だけ、及び/または、同じ速度で、移動するようになっているのが良いが、そうである必要はない。例えば、第1カムアーム58及び第2カムアーム60に保持されたスロットの形状及び/または深さは、第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及び/またはランドチャネル本体部26が互いに対して異なる速度で及び/または異なる距離だけ移動する、というように制御されてもよい。
【0063】
幾つかの形態では、調整機構28は、第1カムアーム58及び第2カムアーム60を平行移動することによって、第1リップ本体部22A及び/または第2リップ本体部22B及び/またはランドチャネル本体部26を、複数の不連続の位置の1つに移動するようになっている。他の形態では、調整機構28は、第1カムアーム58及び第2カムアーム60を平行移動することによって、第1リップ本体部22A及び/または第2リップ本体部22B及び/またはランドチャネル本体部26を、異なる位置の連続範囲を通して移動するようになっている。第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及び/またはランドチャネル本体部26の移動態様は、第1カムアーム58及び第2カムアーム60に保持されたスロットの形状及び/または深さを制御することによって、制御可能である。
【0064】
図4、
図5A及び
図5Bは、調整機構28の一実施形態を示しているが、他の形態も可能であって、本発明はこの点について限定されない。一般的に、第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及び/またはランドチャネル本体部26に(例えば、機械的に、電気的に)結合されて各本体部を移動する機械的な力を提供できる任意の構成(特徴)が、調整機構として利用され得る。更に、調整機構28は、第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及びランドチャネル本体部26に結合されて当該本体部の各々を共に(一緒に)移動するようになっているが、他の形態では、第1リップ本体部22A、第2リップ本体部22B及び/またはランドチャネル本体部26は、別個の調整機構に接続されていてもよい。例えば、第1カムアーム58を第1の複数のスロット62及び第2の複数のスロット64を有するように設計する代わりに、別個のカムアーム(例えば独立に制御可能)が、スロットの各組を保持するように、提供されてもよい。別の例として、第2リップ本体部22Bが移動しない形態では、調整機構28は、第2カムアーム60無しで構成されてもよい。
【0065】
様々な実施例が説明されたが、これらの実施例及び他の実施例は、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。