特許第6663744号(P6663744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663744
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】枠具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/23 20060101AFI20200302BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20200302BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20200302BHJP
   F16L 3/16 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   F16L3/23
   H02G3/22
   E04B1/94 F
   F16L3/16 D
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-30202(P2016-30202)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2017-145944(P2017-145944A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】古賀 誠一
(72)【発明者】
【氏名】竹村 康高
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−138921(JP,A)
【文献】 特開平03−222968(JP,A)
【文献】 特開2012−147588(JP,A)
【文献】 特開2009−207818(JP,A)
【文献】 特開2008−099428(JP,A)
【文献】 実開昭63−138823(JP,U)
【文献】 実開平03−127429(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00 − 7/02
A62C 2/00 − 99/00
E04B 1/62 − 1/99
H02G 3/22 − 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体を躯体に貫通させるべく該躯体に形成される矩形状の開口の4面のうちの対向する2面に沿って配置され、前記開口の内面と前記貫通された長尺体との間の隙間を埋めるように配置される充填材を受け止める受止部材を支持する一対の枠本体を備え、該一対の枠本体のそれぞれは、前記開口の内面に沿うように長尺に形成され、前記受止部材を支持可能な複数の枠部材と、長尺方向で並んだ前記複数の枠部材における隣り合う枠部材の対向端部を連結する連結部材と、前記複数の枠部材が前記連結部材で連結された連結体の長尺方向両端部を前記開口に対して位置決め支持する第1支持部材と、前記連結体の連結部分を前記開口に対して位置決め支持する第2支持部材と、を備えていることを特徴とする枠具。
【請求項2】
前記第2支持部材と、前記連結部材とが、1つの部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の枠具。
【請求項3】
前記連結部材は、前記枠部材の長尺方向に沿って長尺となるように形成されるとともに、長尺方向の一端部が、前記隣り合う枠部材の一方の枠部材の対向端部に係合し、かつ、長尺方向の他端部が、前記隣り合う枠部材の他方の枠部材の対向端部に係合するように構成され、前記第2支持部材は、前記連結部材の長尺方向途中部分において、該長尺方向に交差する方向に延設され、前記開口の内面又は開口縁部に固定可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の枠具。
【請求項4】
前記連結部材は、前記隣り合う枠部材が長尺方向でスライド可能な状態で該枠部材の対向端部に連結することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の枠具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床等の躯体に貫通するように形成した矩形状の開口に、配管類やケーブル(電線を含む)等の長尺体を貫通させ、前記開口の内面と前記貫通した長尺体との間の隙間を埋めるように配置される充填材を受け止める受止部材を支持するための枠具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば防火区画体を構成する床に形成された貫通孔に配管類やケーブル(電線を含む)等の長尺体を貫通させ、その長尺体と開口の内面との間の隙間を耐火ブロック等の耐火材で埋めることによって、開口における防火措置を行っている。そして、前記耐火材を下方から受け止める受止部材を支持するための一対の枠本体を備える枠具を開口に設けている。具体的には、前記一対の枠本体は、開口の内面のうちの対向する2面に設けられる。前記各枠本体は、受止部材を支持するチャンネル材でなる支持材と、この支持材の両端に連結されて支持材を吊り下げ支持するための一対の支持金具とを備えている。
【0003】
前記支持金具は、略Z状の形状を有し、上下方向に延びる板状の本体と、本体の上端から略水平方向に張り出す第1張出部と、本体の下端から前記第1張出部とは逆方向に張り出す第2張出部とを備えている。前記第1張出部と第2張出部には、ねじを挿通させるための孔が形成されている。また、前記支持材の両端部のそれぞれに、ねじを挿通させるための孔が形成されている。
【0004】
そして、支持材の一端部の孔と一方の支持金具の第2張出部の孔とを位置合わせし、それら両孔にねじを螺合してねじ止めする。引き続き、支持材の他端部の孔と他方の支持金具の第2張出部の孔とを位置合わせし、それら両孔にねじを螺合してねじ止めする。このようにねじ止めすることによって、一対の支持金具と支持材とを連結固定することができる。次に、一体化された枠本体を開口内の対向する2つの内面のそれぞれに沿うように位置させた状態で一対の支持金具それぞれの第1張出部を開口の開口縁部に当接させ、その当接状態の各第1張出部の孔にねじを螺合してねじ止めすることによって、一対の支持金具を固定する。このように吊り下げ支持された一対の支持材上に受止部材を載置させてから、耐火材を開口の内面と長尺体との間の隙間を埋めるように配置して、作業を終了する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−147588号公報(図9参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、防火区画体に形成される矩形状の開口は、貫通させる長尺体の数によって大きさが決められる。その開口の大きさは、例えば短辺寸法が略200mmで設定されるのに対して、長辺寸法が300mm〜1600mmの広い範囲の任意の寸法に設定されることが多い。従って、長方形状の開口を形成する長辺側の一対の内面のそれぞれに、上記構成の枠本体を設けることになるが、枠本体を構成する支持材を開口の長辺寸法に応じた寸法のものを多数用意しなければならず、在庫管理面において不利になっていた。また、支持材をその両端部で一対の支持金具で吊り下げ支持する構成であるため、支持材が長くなればなるほど支持材自身の重量の増大を招くだけでなく、耐火材の重量の増大を招いてしまう。その結果、支持材の長さ方向中央部が、支持材自身の重量及び耐火材の重量で下方に撓んでしまうことがあり、早期改善が要望されている。
【0007】
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、在庫管理面において有利になるだけでなく、下方に撓むことがないように良好に支持することができる枠具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の枠具は、前述の課題解決のために、長尺体を躯体に貫通させるべく該躯体に形成される矩形状の開口の4面のうちの対向する2面に沿って配置され、前記開口の内面と前記貫通された長尺体との間の隙間を埋めるように配置される充填材を受け止める受止部材を支持する一対の枠本体を備え、該一対の枠本体のそれぞれは、前記開口の内面に沿うように長尺に形成され、前記受止部材を支持可能な複数の枠部材と、長尺方向で並んだ前記複数の枠部材における隣り合う枠部材の対向端部を連結する連結部材と、前記複数の枠部材が前記連結部材で連結された連結体の長尺方向両端部を前記開口に対して位置決め支持する第1支持部材と、前記連結体の連結部分を前記開口に対して位置決め支持する第2支持部材と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、長尺方向で並んだ複数の枠部材を連結する連結部材を備えているので、連結する枠部材の個数を変更することによって、長尺方向における連結体の長さを変更することができる。これにより、開口の寸法に合わせて長さの異なる1つの枠部材を多数用意する場合に比べて、用意する長さの異なる枠部材の種類を少なくすることができる。また、複数の枠部材を連結部材で連結して長尺方向に長い連結体を構成した場合でも、第1支持部材で、連結体の長尺方向両端部をそれぞれ支持し、第2支持部材で、連結体の連結部分を支持することによって、連結体の長尺方向中央部が、枠本体の重量及び受け止める充填材の重量により下方に撓むことがない。
【0010】
また、本発明の枠具は、前記第2支持部材と、前記連結部材とが、1つの部材で構成されていてもよい。
【0011】
上記のように、第2支持部材と、連結部材とが、1つの部材で構成されていれば、第2支持部材と、連結部材とを別々の部材で構成する場合に比べて部品点数の削減化を図ることができるだけでなく、取扱性においても有利になる。
【0012】
又、本発明の枠具は、前記連結部材が、前記枠部材の長尺方向に沿って長尺となるように形成されるとともに、長尺方向の一端部が、前記隣り合う枠部材の一方の枠部材の対向端部に係合し、かつ、長尺方向の他端部が、前記隣り合う枠部材の他方の枠部材の対向端部に係合するように構成され、前記第2支持部材は、前記連結部材の長尺方向途中部分において、該長尺方向に交差する方向に延設され、前記開口の内面又は開口縁部に固定可能に構成されていてもよい。
【0013】
上記のように、連結部材の長尺方向の一端部が、隣り合う枠部材の一方の枠部材の対向端部に係合し、かつ、長尺方向の他端部が、隣り合う枠部材の他方の枠部材の対向端部に係合することによって、隣り合う枠部材を連結することができる。しかも、連結部材の長尺方向途中部分から長尺方向に交差する方向に延設された第2支持部材を開口の内面又は開口縁部に固定することによって、連結部材を開口に対して位置決め支持することができるので、使い勝手がよい。
【0014】
又、本発明の枠具は、前記連結部材が、前記隣り合う枠部材が長尺方向でスライド可能な状態で該枠部材の対向端部に連結する構成であってもよい。
【0015】
上記のように、隣り合う枠部材が長尺方向でスライドすることで、連結体の長尺方向における長さを微調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、長尺方向で並んだ複数の枠部材を連結する連結部材を備えるとともに、連結体の連結部分を支持する第2支持部材を備えているので、在庫管理面において有利になるだけでなく、下方に撓むことがないように良好に支持することができる枠具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る枠具を開口に装着する直前の状態を示す斜視図である。
図2】同枠具に受止部材を取り付けた状態を示す平面図である。
図3】開口を短辺方向で切断した時の一方の枠本体の取付状態を示す縦断面図である。
図4】一方の枠本体の分解斜視図である。
図5】一方の枠本体を組み立てた状態の斜視図である。
図6】開口と長尺体との隙間に充填材を配置する直前の状態を示す斜視図である。
図7】開口と長尺体との隙間に充填材を配置した状態を示す平面図である。
図8】(a)は、別の形態の第1支持部材の斜視図、(b)は、(a)の第1支持部材を用いて組み付けた一方の枠本体を示す斜視図である。
図9】枠具を別の形態で装着した状態を示す斜視図である。
図10】第1支持部材の別の形態の斜視図である。
図11】第2支持部材が一体化された連結部材の別の形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
本発明の枠具Aは、図1図2及び図6に示すように、一対の枠本体1,1から構成され、一対の枠本体1,1は、直径の異なる(同一径でもよい)多数の長尺体2を上下方向に貫通形成された長方形状の開口3の対向する2面3C,3Dにそれぞれ配置され、開口3の内面3A,3B,3C,3Dと長尺体2との間の隙間4を埋めるように配置される充填材5を下方から受け止める受止部材6を支持するためのものである。長尺体2としては、空調用の配管類、給排水用の配管類やガス管、光ファイバー等の通信配線類や、電線及び複数の電線が被覆されて構成される電気ケーブル等が挙げられる。
【0020】
各枠本体1は、開口3を形成する4つの内面3A,3B,3C,3Dのうちの長辺側の対向する2面3C,3Dに沿うように長尺に形成され、受止部材6を支持する複数(ここでは2つ)の枠部材7,7と、長尺方向で並んだ複数の枠部材7,7の対向端部に係合して連結する連結部材8と、複数の枠部材7,7が連結部材8で連結された連結体の長尺方向両端部(遊端部)を開口3に対して位置決め支持する第1支持部材9,9と、を備えている。この実施形態では、連結体が、2つの枠部材7,7と1つの連結部材8とで構成されている。
【0021】
連結部材8は、枠部材7の長尺方向に沿って長尺となるように形成されている。そして、連結部材8の長尺方向途中部分(長尺方向中央部)において、長尺方向に交差する方向(長尺方向と直交する方向、つまり上下方向)に延出され、開口縁部(開口3の上縁部)3Fに固定可能に構成された第2支持部材12を備えている。換言すれば、連結体の連結部分に相当する連結部材8を開口3に対して位置決め支持する第2支持部材12を連結部材8から延出して形成している。つまり、連結部材8と、第2支持部材12とが1つの部材で構成され、その1つの部材で、2つの枠部材7,7の連結と連結部材8にかかる重量の支持とを行う。
【0022】
開口3は、躯体である防火区画体を構成する床Fに貫通形成された長方形状の孔から形成されている。ここでは、開口3の短辺方向の寸法が、約200mmであり、開口3の長辺方向の寸法が、約600mm(長尺体2の数や直径によって300mm〜1600mmの範囲の任意の値に設定される)であるが、これらの値に限定されない。
【0023】
図4及び図5に示すように、各枠部材7は、平板状で長方形状の本体部7Aと、本体部7Aの長尺方向と直交する幅方向の両端部を内側に折り曲げることで相対向するように構成された両端縁部7B,7Cと、を有する下方に開口された略C字状のチャンネル部材から構成されている。本体部7Aには、長さ方向に所定間隔を置いて複数(図4では7つ)の孔7aが形成され、各孔7aに後述する留め具10が挿入される。
【0024】
第1支持部材9は、チャンネル部材7に長尺方向一端部から挿入することで係合してスライド可能な状態で連結する第1水平板部9Aと、第1水平板部9Aの挿入側とは反対側端から上方に延びる第1縦板部9Bと、第1縦板部9Bの上端から第1水平板部9Aとは反対側に延びて開口3の開口縁部3F(図1参照)に固定される第2水平板部9Cと、を備えた略Z状の形状に構成されている。各第2水平板部9Cには、ビスBを挿通可能な孔9Kが形成されている。枠本体1を開口にセットしてから、図3に示すように、孔9KにビスBを挿通して床Fの開口縁部3Fにねじ込むことによって、第2水平板部9Cを床Fに固定することができる。また、第1水平板部9Aには、挿入方向に長い長孔9Nが形成されている。そして、第1水平板部9Aをチャンネル部材7に長さ方向一端から挿入して係合した状態で、チャンネル部材7の孔7aと第1水平板部9Aの長孔9Nとに後述する留め具10を上方から差し込むことによって、第1支持部材9がチャンネル部材7から抜けてしまうことを防止することができる。しかも、第1支持部材9の長孔9Nを備えているので、第1支持部材9のチャンネル部材7への挿入位置を長孔9N内で調整することができる。
【0025】
連結部材8は、連結方向で隣り合う2つのチャンネル部材7,7の互いに対向する対向端部からそれぞれ挿入することで係合して両チャンネル部材7,7をスライド可能な状態で連結する連結用水平板部8Aから構成されている。連結部材8から延出される第2支持部材12は、連結用水平板部8Aの連結方向中間部(図では中央部)でかつ連結方向と直交する一端(幅方向一端)から上方に延びる第2縦板部12Aと、第2縦板部12Aの上端から連結用水平板部8Aとは反対方向に延びて開口3の開口縁部3Fに固定される第3水平板部12Bと、を備えている。第3水平板部12Bには、ビスBを挿通可能な孔12Kが形成されている。枠本体1を開口3に配置してから、図3に示すように、孔12K(図5参照)にビスBを挿通して床Fの開口縁部3Fにねじ込むことによって、第3水平板部12Bを床Fに固定することができる。また、連結用水平板部8Aには、連結(挿入)方向に長い2つの長孔8N,8Nが挿入方向両端部に形成されている。そして、連結用水平板部8Aの長尺方向両端部をチャンネル部材7,7のそれぞれに長尺方向一端から挿入して係合した状態で、チャンネル部材7,7の孔7a,7aと連結用水平板部8Aの長孔8N,8Nとに後述する留め具10を上方から差し込むことによって、連結用水平板部8Aがチャンネル部材7,7から抜けてしまうことを防止することができる。しかも、連結用水平板部8Aの長孔8N,8Nを備えているので、連結用水平板部8Aのチャンネル部材7への挿入位置を2つの長孔8N,8N内で調整することができる。
【0026】
受止部材6は、図1に示すように、開口3を覆う大きさの長方形状に構成された網目を有するメッシュ状のネットからなり、このネット6の長手方向に所定間隔を置いて複数の切込み6Aが形成されている。各切込み6Aは、一方の長辺側の端部から短辺方向に所定の長さ(図1では、短辺全長の略2/3の寸法)に形成され、切込み6Aの短辺方向略中央部に、切込み6Aに交差する複数の第2の切込み6B,6Cが形成されている。
【0027】
前記構成の受止部材6を本体部7A上に載置すると、ネット6を通して本体部7Aに形成の孔7aに留め具10を差し込むことで両者を固定することができる。留め具10は、合成樹脂で形成され、図2及び図3に示すように、平面視円形の頭部10Aと、頭部10Aの中心から下方に延びるように形成された脚部10Bとを備えている。この脚部10Bは、上下方向略中央部10bが外拡がりとなっているため、脚部10Bを孔7aに差し込んだ時に抜け止め効果を発揮できるようになっている。
【0028】
充填材5は、図6及び図7に示すように、耐火材からなる大きさの異なる多数の耐火ブロックからなり、それら多数の耐火ブロック5を、開口3の内面と長尺体2との間の隙間4を埋めるように配置する。尚、耐火ブロック5の外面に火災時に熱膨張する熱膨張性耐火シートを装着してもよいし、熱膨張性耐火シートを隙間4に直接配置してもよい。
【0029】
このように構成された枠具Aを開口3に設け、その枠具Aに受止部材6を支持させて充填材5を配置して防火処理を行う手順について説明する。
【0030】
まず、図4に示すように、2つの枠部材7,7と、2つの第1支持部材9,9と、連結部材8と第2支持部材12とが一体となった部材とを用意して、図5に示す一方の枠本体1を構成する。具体的には、2つの枠部材7,7の一端に、第1支持部材9,9の第1水平板部9A,9Aをそれぞれ挿入する。続いて、連結部材8の第1水平板部9Aの長尺方向両端部を2つの枠部材7,7の他端である対向端にそれぞれ挿入する。これによって、図5に示す一方の枠本体1を構成することができる。図5に示す枠本体1をもう一つ構成して枠具Aを用意する。
【0031】
前記のように構成された一対の枠本体1,1を開口3に長辺側となる内面3C,3D(図1参照)に長辺方向に沿って配置する。このように配置することによって、図2に示すように、4つの第1支持部材9,9、9,9の第2水平板部9C,9C、9C,9C及び2つの第2支持部材12,12の第3水平板部12B、12Bが開口3の開口縁部3Fに当接した状態となる。
【0032】
この状態から、受止部材6を切込み6A及び第2の切込み6B,6Cを介して長尺体2を周り込むようにしつつ、開口3を覆うようにする(図2及び図6参照)。次に、複数の留め具10を、受止部材6の長辺側の両端部(ここでは両端部の網目)を貫通させて、本体部7Aの孔7aに差し込む。これによって、受止部材6を本体部7A,7Aに固定して、受止部材6の取り付けを終了する。本体部7Aの第1支持部材9側の端部に位置する孔7aに留め具10を差し込むと、第1水平板部9Aの長孔9Nにも差し込まれて、第1水平板部9Aが本体部7Aから外れることを防止できる。また、長尺方向に沿って位置する2つの本体部7Aのうちの一方の本体部7Aの連結部材8側の端部に位置する孔7aに留め具10を差し込むと、連結部材8の連結用水平板部8Aの一方の長孔8Nにも差し込まれて、連結用水平板部8Aが一方の本体部7Aから外れることを防止できる。また、残る他方の本体部7Aの連結部材8側の端部に位置する孔7aに留め具10を差し込むと、連結部材8の連結用水平板部8Aの他方の長孔8Nにも差し込まれて、連結用水平板部8Aが他方の本体部7Aから外れることを防止できる。
【0033】
受止部材6の取り付けが終了すると、開口3の内面と長尺体2との間の隙間4を埋めるように充填材5を隙間なく配置する。図7では充填材5を配置して隙間4がほぼ埋まっている状態を示しており、この状態から充填材5と長尺体2との隙間4が無くなるように様々な大きさの充填材(図示せず)を配置して埋めていくことになる。充填材5の配置状態において、受止部材6が充填材5を支持しているので、充填材5が受止部材6の下方へ落下することを防止できる。
【0034】
前述したように、複数(ここでは2つであるが、3つ以上でもよい)の枠部材7,7同士を連結する連結部材8を備えているので、連結する枠部材7の数を変更することによって、枠部材と連結部材とで構成される連結体の長尺方向の長さ(寸法)を変更することができる。これにより、開口3の寸法に合わせて長さの異なる1つの枠部材を多数用意する場合に比べて、用意する長さの異なる枠部材の種類を少なくすることができる。また、複数の枠部材7,7を連結部材8で連結して長尺方向に長い連結体を構成した場合でも、第1支持部材9,9で、連結体の長尺方向両端部をそれぞれ支持し、第2支持部材12で、連結体の連結部分を支持することによって、連結体の長尺方向中央部が、枠本体1の重量及び受け止める充填材5の重量により下方に撓むことがない。また、第2支持部材12と、連結部材8とが、1つの部材で構成されているので、第2支持部材と、連結部材とを別々の部材で構成する場合に比べて部品点数の削減化を図ることができるだけでなく、取扱性においても有利になる。
【0035】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。枠本体1を、例えば、図8(b)に示すように構成することができる。図8(b)では、図1で示した長辺方向両端に位置する第1支持部材9の形状を変更して、短辺方向へも枠部材7を吊り下げ支持させることができるようにしている。具体的には、図8(a)に示すように、第1支持部材9が、長辺方向に配置される枠部材7の一端と短辺方向に配置される枠部材7の一端とに差し込むことができるように二股状に延びる平面視略L字状の第1水平板部9Dと、第1水平板部9Dの角部から上方に延びる第2縦板部9Eと、第1縦板部9Eの上端から外側へ延びる第2水平板部9Fとから構成されている。第1水平板部9Dには、2つの枠部材7,7へ差し込む方向に長い2つの長孔9N,9Nが形成されている。従って、第1水平板部9Dを2つの枠部材7,7に差し込んだ状態において、2つの留め具10,10を本体部7Aの孔7a,7aと第1水平板部9Dの長孔9N,9Nにそれぞれ挿入することによって、枠部材7,7から第1水平板部9Dが外れることを防止することができる。
【0036】
前記実施形態では、開口3の開口縁部3Fに枠本体1をビスBにより固定したが、図9に示すように、開口3の内面に角筒状の枠体11を固定し、固定された枠体11の上端に外側に延びる水平で環状のフランジ部11Aに一対の枠本体1,1のそれぞれを構成する第1支持部材9,9及び第2支持部材12をビス(図示せず)により固定するようにしてもよい。前記枠体11のフランジ部11Aが、開口3の上方に位置しているため、各枠本体1を構成する第1支持部材9,9及び第2支持部材12を開口3の上方に固定することになる。また、開口3の4つの内面のうちの対向2面に、枠本体1,1のそれぞれを構成する第1支持部材9,9及び第2支持部材12を固定してもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、第2支持部材12と、連結部材8とが、1つの部材で構成されていたが、第2支持部材と連結部材とを別々に構成してもよい。この場合、2つの枠部材7,7を連結部材で連結したのち、連結部材を吊り下げ支持することができるように連結部材に第2支持部材を固定する、又は一方又は両方の枠部材7又は7,7の連結側端部を吊り下げ支持することができるように枠部材7又は7,7に1つの第2支持部材又は2つの第2支持部材を固定することになる。
【0038】
また、前記実施形態では、枠部材7をC字状のチャンネル部材から構成したが、コの字状のチャンネル部材から構成してもよいし、板状部材から構成してもよい。このコの字状のチャンネル部材や板状部材の場合、それらの端部を第1支持部材の第1水平板部9Aに載置支持させる構成にしてもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、枠部材7に第1支持部材9を長尺方向から係合する構成であったが、枠部材7に第1支持部材9を長尺方向と直交する方向又は長尺方向と交差する方向から係合する構成にしてもよい。また、枠部材7の対向端部に連結部材8を長尺方向から係合する構成であったが、枠部材7の対向端部に連結部材8を長尺方向と直交する方向又は長尺方向と交差する方向から係合する構成にしてもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、受止部材6をネットから構成したが、シート部材や厚みの薄い板状部材等から構成してもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、充填材として耐火ブロックを用いて開口と長尺体との隙間をなくすことで防火措置を行ったが、充填材としては、耐火ブロックに限らず、耐火性を有するパテ材やシーリング材でもよい。また、耐火処理を行う必要がない場合には、適宜、ブロック、パテ材、シーリング材等を充填することにより、開口と長尺体との隙間をなくすようにしてもよい。
【0042】
また、前記実施形態では、長方形状の開口を示したが、正方形であってもよい。また、開口の縦寸法及び横寸法は、実施形態で示したものに限らず、自由に設定できる。
【0043】
また、前記実施形態の図4で示した第1支持部材9を、図10に示すように構成してもよい。尚、図4で示した第1支持部材9と同じ部分は、同一の符号を付し、異なる部分を説明する。図10では、第1水平板部9Aの長孔9Nの長手方向と直交する幅方向両側に、長孔9Nの長手方向の寸法と略同等の長さを有し、かつ、全長において同一幅を有する一対の突条(リブ)9R,9Rを設けている。このように一対の突条(リブ)9R,9Rを長孔9Nの長手方向に沿って設けることによって、第1水平板部9Aを枠部材7(図4参照)へ挿入した時に枠部材7に突条(リブ)9R,9Rが当接する当接面積を増大させることができるので、ガタつき難く、安定した枠具Aの設置を行うことができる。各突条(リブ)9Rの長手方向両端は、円弧形状に形成され、また、枠部材7との当接面積を増大することができるように、突条(リブ)9Rの上面が、平坦面に形成されている。また、図10では、長孔9Nの長手方向に長い突条(リブ)9R,9Rとしているが、長孔9Nの長手方向に沿うように所定間隔を置いて複数の突起を設けてもよい。この場合も、前記同様の効果を奏する。また、第1水平板部9Aの枠部材7への挿入側(遊端側)端部が、挿入側ほど先細りとなるように一対のテーパー面9T,9Tを備えている。このように第1水平板部9Aの枠部材7への挿入側(遊端側)端部を角のない先細り形状にすることによって、第1水平板部9Aを枠部材7へ挿入する際に、一対のテーパー面9T,9Tが案内面となり、枠部材7にスムーズに挿入することができる。また、図4では、第2水平板部9Cに形成の孔9Kを円形としていたが、図10では、第2水平板部9Cの延出方向に長い長孔9Hにして、第2水平板部9Cの延出方向におけるビスB(図3参照)の螺合位置を微調整することができるようにしている。
【0044】
また、前記実施形態の図4で示した連結部材8を、図11に示すように構成してもよい。尚、図4に示した連結部材8は、第2支持部材12と一体化されたものであり、また、図4と同じ部分は、同一の符号を付し、異なる部分を説明する。図11では、連結用水平板部8Aの各長孔8Nの長手方向と直交する幅方向両側に、長孔8Nの長手方向の寸法と略同等の長さを有する一対の突条(リブ)8R,8Rを設けている。このように一対の突条(リブ)8R,8Rを設けることによって、連結用水平板部8Aの両端を枠部材7(図4参照)の突き合わせ端部へそれぞれ挿入した時に枠部材7に突条(リブ)8R,8Rが当接する当接面積を増大させることができるので、ガタつき難く、安定した枠具Aの設置を行うことができる。各突条(リブ)8Rの長手方向両端は、円弧形状に形成され、また、枠部材7との当接面積を増大することができるように、各突条(リブ)8Rの上面が、平坦面に形成されている。また、図11では、各長孔8Nの長手方向に長い突条(リブ)8R,8Rとしているが、長孔8Nの長手方向に沿うように所定間隔を置いて複数の突起を設けてもよい。この場合も、前記同様の効果を奏する。また、連結用水平板部8Aの枠部材7,7の突き合わせ端部への挿入側両端部のそれぞれが、挿入側ほど先細りとなるように一対のテーパー面8T,8Tを備えている。このように連結用水平板部8Aの枠部材7,7の突き合わせ端部への挿入側両端部を角のない先細り形状にすることによって、連結用水平板部8Aの両端部を枠部材7,7の突き合わせ端部へそれぞれ挿入する際に、一対のテーパー面8T,8Tが案内面となり、枠部材7にスムーズに挿入することができる。また、図4では、第3水平板部12Bに形成の孔12Kを円形としていたが、図11では、第3水平板部12Bの延出方向に長い長孔12Hにして、第3水平板部12Bの延出方向におけるビスB(図3参照)の螺合位置を微調整することができるようにしている。
【0045】
また、前記実施形態では、図4に示すように、第1支持部材9において、第1水平板部9Aと第1縦板部9Bとの連結部分(90度折れ曲がった部分)に一対の下側三角ビードを備えるとともに、第1縦板部9Bと第2水平板部9Cとの連結部分(90度折れ曲がった部分)に一対の上側三角ビードを備えていたが、一対の下側三角ビードと一対の上側三角ビードとを上下方向及び左右(幅)方向の両方向で繋がるように幅広でかつ上下方向に長い1つの補強用ビードを備えて、板厚を厚くすることなく、強度アップを図るようにしてもよい。また、図4に示す第2支持部材12も、前記1つの補強用ビードを備えて、実施してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…枠本体、2…長尺体、3…開口、3A,3B,3C,3D…内面、3F…開口縁部、4…隙間、5…充填材(耐火ブロック)、6…受止部材(ネット)、6A,6B,6C…切込み、7…枠部材(チャンネル部材)、7A…本体部、7B,7C…両端縁部、7a…孔、8…連結部材、8A…連結用水平板部、8N…長孔、8T…テーパー面、8R…突条(リブ)、9…第1支持部材、9A,9D…第1水平板部、9B,9E…第1縦板部、9C,9F…第2水平板部、9H…長孔、9K…孔、9N…長孔、9T…テーパー面、9R…突条(リブ)、10…留め具、10A…頭部、10B…脚部、10b…上下方向略中央部、11…枠体、11A…フランジ部、12…第2支持部材、12A…第2縦板部、12B…第3水平板部、12H…長孔、12K…孔、A…枠具、B…ビス、F…床
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