(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0010】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0011】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0012】
また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、断面図と平面図が対応する場合においても、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態)
<半導体装置の構成>
本実施の形態による半導体装置の第1構成例および第2構成例について、
図1および
図2を用いてそれぞれ説明する。
【0016】
[第1構成例]
図1は、本実施の形態による半導体装置の第1構成例を示す平面図である。
【0017】
半導体装置SD1は、例えば矩形形状をしており、複数のトランジスタユニットTUを備えている。第1構成例では、4個のトランジスタユニットUA1,UA2,UA3,UA4が、第1方向(y方向)に沿って並んで配置されており、同様に、4個のトランジスタユニットUB1,UB2,UB3,UB4が第1方向に沿って並んで配置されている。そして、4個のトランジスタユニットUA1,UA2,UA3,UA4からなる第1グループと、4個のトランジスタユニットUB1,UB2,UB3,UB4からなる第2グループとが、第1方向と直交する第2方向(x方向)に沿って並んで配置されている。従って、半導体装置SD1は8個のトランジスタユニットTUにより構成されている。
【0018】
トランジスタユニットTUには、例えば複数の電力制御用のパワートランジスタが形成されており、パワートランジスタは、平面視において、第2方向に互いに離間して配置されたソース電極SEおよびドレイン電極DEと、ソース電極SEとドレイン電極DEとの間を流れる電流のオン/オフを制御するゲート電極GEとを有している。ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびゲート電極GEは第1方向に延在している。
【0019】
トランジスタユニットTUを第1方向に挟むように、ソースバス配線SBLとドレインバス配線DBLとが配置されており、さらに、ソースバス配線SBLとドレインバス配線DBLとは、第1方向に交互に配置されている。ソースバス配線SBLおよびドレインバス配線DBLは第2方向に延在している。
【0020】
ソースバス配線SBLは、トランジスタユニットTUを構成する複数のパワートランジスタがそれぞれ有するソース電極SEの一方の端部とつながっており、第1方向に延在する複数のソース電極SEが、第2方向に延在するソースバス配線SBLによって束ねられている。ソースバス配線SBLと複数のソース電極SEとは、同層の導電体膜によって一体に形成されている。
【0021】
ドレインバス配線DBLは、トランジスタユニットTUを構成する複数のパワートランジスタがそれぞれ有するドレイン電極DEの一方の端部とつながっており、第1方向に延在する複数のドレイン電極DEが、第2方向に延在するドレインバス配線DBLによって束ねられている。ドレインバス配線DBLと複数のドレイン電極DEとは、同層の導電体膜によって一体に形成されている。
【0022】
さらに、トランジスタユニットTUには、第2方向に延在するゲート接続配線GBL1と、ゲート接続配線GBL1の上方に層間絶縁膜を介して形成されたゲートバス配線GBL2とが設けられている。
【0023】
ゲート接続配線GBL1は、トランジスタユニットTUを構成する複数のパワートランジスタがそれぞれ有するゲート電極GEのソースバス配線SBL側の端部とつながっており、第1方向に延在する複数のゲート電極GEが、第2方向に延在するゲート接続配線GBL1によって束ねられている。ゲート接続配線GBL1と複数のゲート電極GEとは、同層の導電体膜によって一体に形成されている。
【0024】
ゲートバス配線GBL2は、第1部分P1と第2部分P2とから構成される。第1部分P1は、ゲート接続配線GBL1の直上に層間絶縁膜を介して形成され、トランジスタユニットTU内で第2方向に延在する。第2部分P2は、第2方向に並んで配置されたトランジスタユニットUA1,UA2,UA3,UA4からなる第1グループとトランジスタユニットUB1,UB2,UB3,UB4からなる第2グループとの間に位置し、第1方向に延在する。
【0025】
ゲートバス配線GBL2の第2方向に延在する複数の第1部分P1は、ゲートバス配線GBL2の第1方向に延在する第2部分P2によって束ねられている。ゲートバス配線GBL2は、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2の第1部分P1との間の層間絶縁膜に形成された複数の接続孔CNを通じてゲート接続配線GBL1と電気的に接続されている。
【0026】
図示は省略するが、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とを接続する複数の接続孔CNは、複数のソース電極SEにそれぞれ形成された開口部の内側に形成されている(例えば
図4参照)。これは、ゲート接続配線GBL1が、平面視において複数のソース電極SEの一部と重なるように配置されているため、複数の接続孔CNと複数のソース電極SEとのそれぞれの接触を回避するためである。
【0027】
ゲート接続配線GBL1(ゲート電極GEを含む)は、第1層目の配線層M1により形成される。ソースバス配線SBL(ソース電極SEを含む)およびドレインバス配線DBL(ドレイン電極DEを含む)は、第2層目の配線層M2により形成される。ゲートバス配線GBL2は、第3層目の配線層M3により形成される。従って、ゲート接続配線GBL1(ゲート電極GEを含む)と、ソースバス配線SBL(ソース電極SEを含む)およびドレインバス配線DBL(ドレイン電極DEを含む)と、ゲートバス配線GBL2と、は互いに異なる電極層によって形成されている。
【0028】
[第2構成例]
図2は、本実施の形態による半導体装置の第2構成例を示す平面図である。
【0029】
第2構成例は、例えば第1構成例において、第1方向に沿って並ぶトランジスタユニットUA1,UA2,UA3,UA4からなる第1グループと、トランジスタユニットUB1,UB2,UB3,UB4からなる第2グループのうち、一方のグループとほぼ同様の構成からなる半導体装置SD2である。
【0030】
半導体装置SD2は、例えば矩形形状をしており、複数のトランジスタユニットTUを備えている。第2構成例では、4個のトランジスタユニットUC1,UC2,UC3,UC4が、第1方向(y方向)に沿って並んで配置されている。
【0031】
トランジスタユニットTUには、例えば複数の電力制御用のパワートランジスタが形成されており、パワートランジスタは、平面視において、第1方向と直交する第2方向(x方向)に互いに離間して配置されたソース電極SEおよびドレイン電極DEと、ソース電極SEとドレイン電極DEとの間を流れる電流のオン/オフを制御するゲート電極GEとを有している。ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびゲート電極GEは第1方向に延在している。
【0032】
トランジスタユニットTUを第1方向に挟むように、ソースバス配線SBLとドレインバス配線DBLとが配置されており、さらに、ソースバス配線SBLとドレインバス配線DBLとは、第1方向に交互に配置されている。ソースバス配線SBLおよびドレインバス配線DBLは第2方向に延在している。
【0033】
ソースバス配線SBLは、トランジスタユニットTUを構成する複数のパワートランジスタがそれぞれ有するソース電極SEの一方の端部とつながっており、第1方向に延在する複数のソース電極SEが、第2方向に延在するソースバス配線SBLによって束ねられている。ソースバス配線SBLと複数のソース電極SEとは、同層の導電体膜によって一体に形成されている。
【0034】
ドレインバス配線DBLは、トランジスタユニットTUを構成する複数のパワートランジスタがそれぞれ有するドレイン電極DEの一方の端部とつながっており、第1方向に延在する複数のドレイン電極DEが、第2方向に延在するドレインバス配線DBLによって束ねられている。ドレインバス配線DBLと複数のドレイン電極DEとは、同層の導電体膜によって一体に形成されている。
【0035】
さらに、トランジスタユニットTUには、第2方向に延在するゲート接続配線GBL1と、ゲート接続配線GBL1の上方に層間絶縁膜を介して形成されたゲートバス配線GBL2とが設けられている。
【0036】
ゲート接続配線GBL1は、トランジスタユニットTUを構成する複数のパワートランジスタがそれぞれ有するゲート電極GEのソースバス配線SBL側の端部とつながっており、第1方向に延在する複数のゲート電極GEが、第2方向に延在するゲート接続配線GBL1によって束ねられている。ゲート接続配線GBL1と複数のゲート電極GEとは、同層の導電体膜によって一体に形成されている。
【0037】
ゲートバス配線GBL2は、第1部分P1と第2部分P2とから構成される。第1部分P1は、ゲート接続配線GBL1の直上に層間絶縁膜を介して形成され、トランジスタユニットTU内で第2方向に延在する。第2部分P2は、第1部分P1の一方の端部に形成され、第1方向に延在する。
【0038】
ゲートバス配線GBL2の第2方向に延在する複数の第1部分P1は、ゲートバス配線GBL2の第1方向に延在する第2部分P2によって束ねられている。ゲートバス配線GBL2は、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2の第1部分P1との間の層間絶縁膜に形成された複数の接続孔CNを通じて、ゲート接続配線GBL1と電気的に接続されている。
【0039】
図示は省略するが、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とを接続する複数の接続孔CNは、複数のソース電極SEにそれぞれ形成された開口部の内側に形成されている(例えば
図4参照)。これは、ゲート接続配線GBL1が、平面視において複数のソース電極SEの一部と重なるように配置されているため、複数の接続孔CNと複数のソース電極SEとのそれぞれの接触を回避するためである。
【0040】
ゲート接続配線GBL1(ゲート電極GEを含む)は、第1層目の配線層M1により形成される。ソースバス配線SBL(ソース電極SEを含む)およびドレインバス配線DBL(ドレイン電極DEを含む)は、第2層目の配線層M2により形成される。ゲートバス配線GBL2は、第3層目の配線層M3により形成される。従って、ゲート接続配線GBL1(ゲート電極GEを含む)と、ソースバス配線SBL(ソース電極SEを含む)およびドレインバス配線DBL(ドレイン電極DEを含む)と、ゲートバス配線GBL2と、は互いに異なる配線層によって形成されている。
【0041】
<半導体装置の実装構成>
本実施の形態による半導体装置の実装構成例について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施の形態による半導体装置の実装構成を示す平面図である。
【0042】
図3に示すように、半導体装置SDは、保持部材HD上に実装されている。保持部材HDは、例えば半導体パッケージのリードフレームであり、ゲート端子(ゲートピン)GT、ソース端子(ソースピン)STおよびドレイン端子(トレインピン)DTを有している。
【0043】
ゲート端子GTは、ワイヤW1を介して半導体装置SDに形成されているゲートバス配線GBL2に接続している。ソース端子STは、ワイヤW2を介して半導体装置SDに形成されているソースバス配線SBLに接続している。ドレイン端子DTは、ワイヤW3を介して半導体装置SDに形成されているドレインバス配線DBLに接続している。
【0044】
ワイヤW1,W2,W3は、例えばAu(金)線からなる。また、ワイヤW2はソースバス配線SBLに複数の点で接合しており、ワイヤW3はドレインバス配線DBLに複数の点で接合している。これにより、複数の箇所からソースバス配線SBLまたはドレインバス配線DBLに電圧を供給することができる。
【0045】
一般的に、ソースバス配線SBLおよびドレインバス配線DBLの抵抗は、ワイヤW2,W3の抵抗よりも高い。しかし、上記構成とすることで、電流経路のうちソースバス配線SBLおよびドレインバス配線DBLが占める割合が小さくなり、その結果、電流経路における抵抗を小さくすることができる。
【0046】
<半導体装置のゲートバス配線のレイアウト>
本実施の形態による半導体装置が有するゲートバス配線のレイアウトについて、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態によるトランジスタユニットが有するパワートランジスタの構成を示す平面図である。
【0047】
半導体装置は、基板SBを用いて形成されている。第1方向(y方向)に互いに離間して配置されたソースバス配線SBLとドレインバス配線DBLとの間にトランジスタユニットTUが設けられている。ソースバス配線SBLとドレインバス配線DBLとは、例えば2〜4mm程度離れている。
【0048】
トランジスタユニットTUには、それぞれ素子形成領域が設けられており、この素子形成領域に、複数のパワートランジスタが形成されている。複数のパワートランジスタは、第1方向と直交する第2方向(x方向)に並んで配置されている。
【0049】
複数のパワートランジスタは、それぞれゲート電極GEを有している。複数のゲート電極GEは、第1層目の配線層M1により構成され、互いに平行に第1方向に延在している。第1層目の配線層M1は、例えばAl(アルミニウム)などを主に含む金属からなる。
【0050】
ゲート接続配線GBL1が、平面視において、ソースバス配線SBLに近接して配置されている。ゲート接続配線GBL1は、トランジスタユニットTUにおいて第2方向に延在し、複数のゲート電極GEの一方(ソースバス配線SBL側)の端部が、ゲート接続配線GBL1につながっている。言い換えると、複数のゲート電極GEは、ゲート接続配線GBL1を介して互いに並列に接続されている。例えば
図1に示したように、ゲート接続配線GBL1は、トランジスタユニットTUの一端から他端まで第2方向に延在し、トランジスタユニットTUの素子形成領域に形成された複数のパワートランジスタが有する全てのゲート電極GEと接続している。
【0051】
複数のゲート電極GEとゲート接続配線GBL1とは、一体に形成されており、ゲート接続配線GBL1は第1層目の配線層M1により構成されている。ゲート接続配線GBL1の第1方向の幅は、例えば8〜10μm程度である。ゲート接続配線GBL1の第1方向の幅を広くすると、半導体装置の面積が大きくなるため、ゲート接続配線GBL1の第1方向の幅は、大きくすることはできない。
【0052】
複数のパワートランジスタは、それぞれ第2方向に交互に設けられたソース電極SEとドレイン電極DEとを有している。複数のソース電極SEおよび複数のドレイン電極DEは、第1層目の配線層M1の上層に第1層間絶縁膜を介して形成された第2層目の配線層M2により構成され、互いに平行に第1方向に延在している。第2層目の配線層M2は、例えばAl(アルミニウム)などを主に含む金属からなる。
【0053】
複数のソース電極SEは、第1層間絶縁膜に形成された複数のソース電極用開口部OSを介して基板SBと接続している。また、複数のドレイン電極DEは、第1層間絶縁膜に形成された複数のドレイン電極用開口部ODを介して基板SBと接続している。そして、ソース電極用開口部OSとドレイン電極用開口部ODとの間にゲート電極GEが設けられている。
【0054】
言い換えると、素子形成領域には、第2方向に沿って、ソース電極SEが基板SBと接続するソース電極用開口部OS、ゲート電極GE、ドレイン電極DEが基板SBと接続するドレイン電極用開口部ODおよびゲート電極GEが、この順に繰返し配置されている。ソース電極用開口部OSの第2方向の両側に位置するゲート電極GEの上層には、第1層間絶縁膜を介してソース電極SEが形成されている。
【0055】
さらに、複数のソース電極SEは、ソースバス配線SBLを介して互いに並列に接続されており、複数のソース電極SEとソースバス配線SBLとは、一体に形成されている。また、複数のドレイン電極DEは、ドレインバス配線DBLを介して互いに並列に接続されており、複数のドレイン電極DEとドレインバス配線DBLとは、一体に形成されている。従って、ソースバス配線SBLおよびドレインバス配線DBLは第2層目の配線層M2により構成されている。
【0056】
さらに、ゲート接続配線GBL1の上方には、ゲートバス配線GBL2が設けられている。ゲートバス配線GBL2は、第2層目の配線層M2の上層に第2層間絶縁膜を介して形成された第3層目の配線層M3により構成されている。第3層目の配線層M3は、例えばAl(アルミニウム)またはCu(銅)などを主に含む金属からなる。
【0057】
ゲートバス配線GBL2は、第3層目の配線層M3により構成されていることから、素子形成領域にオーバーラップさせて形成することができる。これにより、ゲートバス配線GBL2の第1方向の幅をゲート接続配線GBL1の第1方向の幅よりも大きくすることができるので、ゲートバス配線GBL2によってゲート接続配線GBL1の寄生抵抗および寄生インダクタンスを低減することができる。ゲートバス配線GBL2の第1方向の幅は、例えば素子形成領域の第1方向の幅の1/10以下であり、代表的な値としては40〜100μm程度を例示することができる。
【0058】
また、ゲートバス配線GBL2は、第1および第2層間絶縁膜を介して基板SB上に形成されていることから、ゲートバス配線GBL2と基板SBとの距離が離れて、両者間の寄生容量が小さくなる。これにより、ゲート遅延の影響を抑えることができる。
【0059】
ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とは、両者間に設けられた第1および第2層間絶縁膜に形成された接続孔CNを通じて接続される。しかし、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2との間には、第2層目の配線層M2からなるソース電極SEが設けられている。そこで、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2との間に位置するソース電極SEの一部に開口部OPを設け、その開口部OPの内側に上記接続孔CNを形成している。接続孔CNの一辺は、例えば6μm程度、開口部OPの一辺は、例えば12μm程度である。
【0060】
ソース電極SEに形成された開口部OPの内側に、接続孔CNを形成し、その接続孔CNを通じてゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とを電気的に接続することから、ゲート電位が安定するという利点がある。
【0061】
このように、本実施の形態では、第1層目の配線層M1から構成され、複数のゲート電極GEを束ねるゲート接続配線GBL1の上層に、第3層目の配線層M3から構成され、ゲート接続配線GBL1と電気的に接続するゲートバス配線GBL2を設ける。抵抗を低減するために、ゲート接続配線GBL1の第1方向の幅を広くした場合は、半導体装置の面積が大きくなるという課題が生じる。これに対して、ゲートバス配線GBL2は、第3層目の配線層M3により構成されているので、トランジスタユニットTUを覆うようにゲートバス配線GBL2を形成することができる。従って、半導体装置の面積を大きくすることなく、ゲートバス配線GBL2の第1方向の幅を広くすることができる。これにより、半導体装置の面積を大きくすることなく、ゲートバス配線GBL2の抵抗が低減し、半導体装置のスイッチング遅延時間を短縮することができる。
【0062】
[第1変形例]
本実施の形態による半導体装置が有するゲートバス配線のレイアウトの第1変形例について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態によるトランジスタユニットが有するパワートランジスタの構成の第1変形例を示す平面図である。
【0063】
図4に示したパワートランジスタの構成では、ゲート接続配線GBL1は、トランジスタユニットTUにおいて第2方向に延在し、トランジスタユニットTUの素子形成領域に形成された複数のパワートランジスタが有する全てのゲート電極GEと接続している。
【0064】
これに対して、
図5に示すパワートランジスタの構成の第1変形例では、ゲート接続配線GBL1をトランジスタユニットTUにおいて第2方向に延在させずに、ソース電極用開口部OSの第2方向の両側にそれぞれ位置するゲート電極GEをつなぐためにゲート接続配線GBL1を形成している。そして、複数のゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2との間の層間絶縁膜に形成された複数の接続孔CNを通じて、複数のゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とが電気的に接続されている。
【0065】
これにより、ゲート接続配線GBL1とドレイン電極DEとが近接しなくなり、ドレイン電極DEに、例えば100V程度のドレイン電圧が印加されても、ゲート接続配線GBL1に対してドレイン電圧の影響は及ばない。
【0066】
[第2変形例]
本実施の形態による半導体装置が有するゲートバス配線のレイアウトの第2変形例について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態によるトランジスタユニットが有するパワートランジスタの構成の第2変形例を示す平面図である。
【0067】
図4に示したパワートランジスタの構成では、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とを接続する接続孔CNは、ソース電極SEが設けられた領域に形成している。
【0068】
これに対して、
図6に示すパワートランジスタの構成の第2変形例では、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とを接続する接続孔CNは、ソース電極SEが設けられていない領域に形成している。
【0069】
これにより、ソース電極SEに形成した開口部OPの内側に接続孔CNを形成する際、接続孔CNと開口部OPとの位置合わせずれを考慮する必要がなくなり、また、ソース電極SEとゲート電極GEとの不要な導通などを回避することができる。
【0070】
[第3変形例]
本実施の形態による半導体装置が有するゲートバス配線のレイアウトの第3変形例について、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態によるトランジスタユニットが有するパワートランジスタの構成の第3変形例を示す平面図である。
【0071】
図4に示したパワートランジスタの構成では、ゲート接続配線GBL1は、トランジスタユニットTUにおいて第2方向に延在し、トランジスタユニットTUの素子形成領域に形成された複数のパワートランジスタが有する全てのゲート電極GEと接続している。
【0072】
これに対して、
図7に示すパワートランジスタの構成の第3変形例では、ゲート接続配線GBL1をトランジスタユニットTUにおいて第2方向に延在させずに、ドレイン電極用開口部ODの第2方向の両側にそれぞれ位置するゲート電極GEをつなぐためにゲート接続配線GBL1を形成している。そして、複数のゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2との間で、かつ、ソース電極SEが形成されていない領域に形成された複数の接続孔CNを通じて、複数のゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とが電気的に接続されている。
【0073】
これにより、ソース電極SEに形成した開口部OPの内側に接続孔CNを形成する際、接続孔CNと開口部OPとの位置合わせずれを考慮する必要がなくなり、また、ソース電極SEとゲート電極GEとの不要な導通などを回避することができる。
【0074】
<半導体装置のデバイス構造>
本実施の形態による半導体装置のデバイス構造について、
図8および
図9を用いて説明する。
図8は、本実施の形態によるパワートランジスタを示す断面図であり、
図4のA−A´線における断面図である。
図9は、本実施の形態によるパワートランジスタを示す断面図であり、
図4のB−B´線における断面図である。本実施の形態では、ノーマリオフ型のパワートランジスタについて説明する。
【0075】
図8および
図9に示すように、基板SBは、半導体基板SUB上にバッファ層BU、チャネル層CHおよびバリア層BAをこの順にエピタキシャル成長させた構成を有している。
【0076】
半導体基板SUBは、例えばSi(シリコン)からなる。
【0077】
バッファ層BUは、半導体基板SUBを構成する材料の格子間隔と、チャネル層CHを構成する材料の格子間隔との不整合を緩和する目的で形成される。バッファ層BUは、例えば化合物半導体層、例えばAlN/GaN(窒化アルミニウム/窒化ガリウム)を繰り返し積層した窒化物半導体層である。
【0078】
チャネル層CHは、例えばGaN(窒化ガリウム)からなるが、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)などの他の窒化物半導体層であってもよい。
【0079】
バリア層BAは、チャネル層CHとは構成定数が異なる材料により形成される。バリア層BAは、例えばAlGaN(窒化アルミニウムガリウム)からなる。バリア層BAが形成されることにより、チャネル層CHには、キャリアとなる2次元電子ガスが生成する。
【0080】
半導体基板SUBの厚さは、例えば600〜1, 000μm、バッファ層BUの厚さは、例えば2μm程度、チャネル層CHの厚さは、例えば2μm程度、バリア層BAの厚さは、例えば10〜20nm程度である。
【0081】
なお、本実施の形態では、半導体基板SUBとしてSi(シリコン)を使用する例について説明するが、これに限らず、SiC(炭化シリコン)、Al
2O
3(サファイア)、GaN(窒化ガリウム)またはC(ダイヤモンド)などから構成される基板を用いてもよい。
【0082】
バリア層BA上には、絶縁膜IN1が形成されている。絶縁膜IN1は、例えばSiN(窒化シリコン)からなり、その厚さは、例えば300nm程度である。
【0083】
絶縁膜IN1の表面から、絶縁膜IN1およびバリア層BAを貫通して、チャネル層CHに達する溝TRが形成されている。すなわち、溝TRは、バリア層BAとチャネル層CHとの界面を越えて、チャネル層CHに達している。溝TRの内壁(側面および底面)を含む絶縁膜IN1の表面には、絶縁膜IN2が形成されており、この絶縁膜IN2を介して、溝TRの内部を含む絶縁膜IN2上に、第1層目の配線層M1からなるゲート電極GEが形成されている。絶縁膜IN2は、ゲート絶縁膜として機能する。さらに、第1層目の配線層M1からなるゲート接続配線GBL1をゲート電極GEと一体に形成する。
【0084】
絶縁膜IN2は、例えばアモルファス状態のAl
2O
3(サファイア)またはSiO
2(酸化シリコン)からなり、その厚さは、例えば100nm程度である。第1層目の配線層M1(ゲート電極GEおよびゲート接続配線GBL1)は、例えばAl(アルミニウム)などを主成分とする金属膜からなる。ここで主成分とは、複数の元素を含有する部材において、含有率が一番多い成分をいう。
【0085】
このような構造において、チャネル層CHに形成された2次元電子ガスは、ゲート電極GEによって分断される。このため、ゲート電極GEに電圧が印加されていない状態では、チャネル層CHには電流が流れない。そして、ゲート電極GEに電圧が印加されると、チャネル層CHに電流が流れる。
【0086】
ゲート電極GEを覆うように第1層間絶縁膜IL1が形成されている。第1層間絶縁膜IL1は、例えばSiO
2(酸化シリコン)からなり、その厚さは、例えばゲート電極GE上で2μm程度である。ゲート電極GEの両側に、ゲート電極GEから離間し、第1層間絶縁膜IL1および絶縁膜IL1,IL2を貫通して、バリア層BAに達するソース電極用開口部OSとドレイン電極用開口部ODとが形成されている。
【0087】
第2層目の配線層M2からなるソース電極SEが、第1層間絶縁膜IL1上に形成されており、このソース電極SEはソース電極用開口部OSの内部に埋め込まれて、バリア層BAと電気的に接続する。さらに、第2層目の配線層M2からなるソースバス配線SBLがソース電極SEと一体に形成されている(
図4参照)。
【0088】
第2層目の配線層M2からなるドレイン電極DEが、第1層間絶縁膜IL1上に形成されており、このドレイン電極DEはドレイン電極用開口部ODの内部に埋め込まれて、バリア層BAと電気的に接続する。さらに、第2層目の配線層M2からなるドレインバス配線DBLがドレイン電極DEと一体に形成されている(
図4参照)。
【0089】
また、ゲート接続配線GBL1上の第1層間絶縁膜IL1には、複数の第1接続孔CN1が形成されている。第2層目の配線層M2からなるパッド電極GGEが、複数の第1接続孔CN1の内部に埋め込まれて、ゲート接続配線GBL1と電気的に接続する。
【0090】
第2層目の配線層M2は、例えばAl(アルミニウム)を主成分とする金属膜からなり、第2層目の配線層M2の下部には、バリアメタル層BL1が形成されている。バリアメタル層BL1は、例えばTi(チタン)を下層とし、TiN(窒化チタン)を上層とする積層膜からなる。第1層間絶縁膜IL1上のソース電極SEおよびドレイン電極DEの厚さは、例えば4〜5μm程度である。
【0091】
ソース電極SE、ドレイン電極DEおよびパッド電極GGEを覆うように第2層間絶縁膜IL2が形成されている。第2層間絶縁膜IL2は、例えばSiO
2(酸化シリコン)からなり、その厚さは、例えばソース電極SEおよびドレイン電極DE上で2μm程度である。第2層間絶縁膜IL2を貫通して、パッド電極GGEに達する第2接続孔CN2が形成されている。
【0092】
第3層目の配線層M3からなるゲートバス配線GBL2が、第2層間絶縁膜IL2上に形成されており、このゲートバス配線GBL2は第2接続孔CN2の内部に埋め込まれて、パッド電極GGEと電気的に接続する。
【0093】
第3層目の配線層M3は、例えばAl(アルミニウム)を主成分とする金属膜からなり、第3層目の配線層M3の下部には、バリアメタル層BL2が形成されている。バリアメタル層BL2は、例えばTi(チタン)を下層とし、TiN(窒化チタン)を上層とする積層膜からなる。第2層間絶縁膜IL2上のゲートバス配線GBL2の厚さは、例えば4〜5μm程度である。
【0094】
ゲートバス配線GBL2を覆うようにパッシベーション膜PAが形成されている。パッシベーション膜PAは、例えばポリイミドからなる。
【0095】
[第1変形例]
本実施の形態による半導体装置のデバイス構造の第1変形例について、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施の形態によるパワートランジスタの第1変形例を示す断面図であり、
図4のB−B´線における断面図である。
【0096】
図9に示したパワートランジスタでは、第1層目の配線層M1からなるゲート接続配線GBL1と第3層目の配線層M3からなるゲートバス配線GBL2とは、第2層目の配線層M2からなるパッド電極GGEを介して電気的に接続した。
【0097】
これに対して、
図10に示すパワートランジスタの第1変形例では、上記パッド電極GGEを形成せずに、第1層間絶縁膜IL1および第2層間絶縁膜IL2を貫通して、ゲート接続配線GBL1に達する第3接続孔CN3が形成されている。そして、第3接続孔CN3の内部にプラグ電極PEが埋め込まれておりこのプラグ電極PEを介して、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とが電気的に接続される。
【0098】
プラグ電極PEは、例えばW(タングステン)を主成分とする金属膜からなり、プラグ電極PEの下部(プラグ電極PEと第3接続孔CN3の内壁との間)には、バリアメタル層BL3が形成されている。バリアメタル層BL3は、例えばTi(チタン)を下層とし、TiN(窒化チタン)を上層とする積層膜からなる。
【0099】
パッド電極GGEを形成しないので、第2層目の配線層M2からなるソース電極SEの加工が容易となる。
【0100】
[第2変形例]
本実施の形態による半導体装置のデバイス構造の第2変形例について、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施の形態によるパワートランジスタの第2変形例を示す断面図であり、
図4のB−B´線における断面図である。
【0101】
図9に示したパワートランジスタでは、ゲートバス配線GBL2を、Al(アルミニウム)を主成分とする金属膜から構成した。
【0102】
これに対して、
図11に示すパワートランジスタの第2変形例では、ゲートバス配線GBL2を、Cu(銅)を主成分とする金属膜から構成する。これにより、ゲートバス配線GBL2の低抵抗化を図ることができる。
【0103】
なお、パワートランジスタの第2変形例では、ゲート接続配線GBL1とゲートバス配線GBL2とは、
図10に示したパワートランジスタの第1変形例と同様に、プラグ電極PEを介して電気的に接続したが、
図9に示したパッド電極GGEを介して電気的に接続してもよい。
【0104】
<半導体装置のスイッチング動作>
本実施の形態による半導体装置のスイッチング動作について、
図1に示した8個のトランジスタユニットからなる半導体装置を例に説明する。
【0105】
パワートランジスタのゲート幅(フィンガー長)は約0.5mmである。ゲートピッチは約20μmであり、第2方向には50本のトランジスタセルが並列接続されている。
【0106】
パワートランジスタのゲート電極GEの第2方向の幅は約4μm、ゲート接続配線GBL1の第2方向の幅は約8μmである。ゲート電極GEおよびゲート接続配線GBL1を構成する第1層目の配線層M1は、Al(アルミニウム)を主成分とする金属膜からなり、その厚さは約0.1μmである。
【0107】
パワートランジスタのソース電極SEの第2方向の幅は約20μm、ドレイン電極DEの第1方向の幅は約4μmである。ソース電極SE、ソースバス配線SBL、ドレイン電極DEおよびドレインバス配線DBLを構成する第2層目の配線層M2は、Al(アルミニウム)を主成分とする金属膜からなり、その厚さは約4μmである。
【0108】
ゲートバス配線GBL2の第1方向の幅は約40μm、その厚さは約4μmである。ゲートバス配線GBL2を構成する第3層目の配線層M3は、Al(アルミニウム)を主成分とする金属膜からなり、その厚さは約4μmである。
【0109】
半導体装置(半導体チップ)全体は、パッケージに封入され、ゲートバス配線GBL2(ゲートパッド)、ソースバス配線SBL(ソースパッド)およびドレインバス配線DBL(ドレインパッド)のそれぞれに、φ200μmのワイヤの一端を接続し、パッケージのゲート端子、ソース端子およびドレイン端子にそれぞれ、ワイヤのもう一方の一端を接続して、半導体装置の動作特性を測定した。
【0110】
本実施の形態による半導体装置を搭載したパッケージのゲート−ソース間の抵抗を、LCRメータを用いて測定した結果、1MHzのモジュール電圧印加条件でゲート−ソース間の抵抗は0.7Ωであった。これに対し、ゲートバス配線GBL2を設けない比較例の半導体装置を搭載したパッケージのゲート−ソース間の抵抗を、LCRメータを用いて測定した結果、1MHzのモジュール電圧印加条件でゲート−ソース間の抵抗は5.5Ωであった。これにより、本実施の形態による半導体装置において、ゲート抵抗を大幅に低減できることが分かった。
【0111】
また、本実施の形態による半導体装置を搭載したパッケージを用いてダブルパルス法によるスイッチング時間を測定したところ、電源電圧400V、オン電流10A、ゲート外付け抵抗10Ωの条件で、ターンオン時のスイッチング時間は5ナノ秒、ターンオフ時のスイッチング時間は6ナノ秒であった。これに対し、ゲートバス配線GBL2を設けない比較例の半導体装置を搭載したパッケージを用いてダブルパルス法によるスイッチング時間を測定したところ、上記条件で、ターンオン時のスイッチング時間は8ナノ秒、ターンオフ時のスイッチング時間は10ナノ秒であった。これにより、本実施の形態による半導体装置において、約30%のスイッチング時間の短縮を図ることができることが分かった。スイッチング損失は、スイッチング時間とほぼ比例することから、高周波スイッチング動作では、回路の駆動損失を大幅に低減することができる。
【0112】
このように、本実施の形態によれば、半導体装置のスイッチング遅延時間を短縮することができる。
【0113】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。