(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のソフトウェアと前記第2のソフトウェアの間の同期を行うステップは、前記第1のソフトウェアと前記第2のソフトウェアの間の同期をネットワークにより行うステップを含む、請求項5又は6に記載の構造物検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
(実施形態)
図1は、実施形態にかかる構造物検査システム1の概略構成を示す図である。
【0014】
構造物検査システム1は、移動手段の一例である検査車両3の移動に伴って、構造物の一例である道路2の表面性状を検査するためのシステムである。
図1に示すように、構造物検査システム1は、検査車両3に搭載される構成として、第1の撮像部4と、第2の撮像部6と、第3の撮像部8と、第1の検査用コンピュータ10と、第2の検査用コンピュータ12と、第3の検査用コンピュータ14と、ネットワーク15とを備える。
【0015】
第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8はともに、移動手段3の移動に伴って道路2の異なる種類の画像を撮像する手段である(例えば、カメラ)。本実施形態では、第1の撮像部4は、道路2の赤外線画像を撮像し、第2の撮像部6は、道路2の2D画像(2次元画像)を撮像し、第3の撮像部8は、道路2の3D画像(3次元画像)を撮像する。第1の撮像部4が撮像する赤外線画像は、道路2の内部損傷を検査するために使用され、第2の撮像部6が撮像する2D画像は、道路2のひび割れを検査するために使用され、第3の撮像部8が撮像する3D画像は、道路2のわだち掘れを検査するために使用される。第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8は、検査車両3の移動中に同じ間隔またはそれぞれ異なる間隔で道路2の画像を定期的に撮像するように構成される。各撮像部が撮影する画像の種類は特に限定されない。路面検査に必要な画像を取得するための種々の手段を適宜選択することができる。例えば、画像撮像手段としてラインカメラを用いてもよいし、エリアカメラを用いてもよい。また、3次元画像を取得するために光切断方式の3Dカメラを用いてもよい。
【0016】
第1の検査用コンピュータ10、第2の検査用コンピュータ12および第3の検査用コンピュータ14はそれぞれ、第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8が撮像した画像を用いて構造物検査のための処理を行うコンピュータである。
【0017】
第1の検査用コンピュータ10、第2の検査用コンピュータ12および第3の検査用コンピュータ14のそれぞれには、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20が実装されている。第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20はそれぞれ、第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8が撮像した画像を処理するソフトウェアである。第1のソフトウェア16は、第1の撮像部4が撮像した赤外線画像を処理し、第2のソフトウェア18は、第2の撮像部6が撮像した2D画像を処理し、第3のソフトウェア20は、第3の撮像部8が撮像した3D画像を処理するように構成される。第1のソフトウェア16は、赤外線画像を処理することで、道路2の内部損傷を検査するためのソフトウェアであり、例えば「赤外検査ソフト」と称される。第2のソフトウェア18は、道路2表面の陰影を捉えた可視画像である2D画像を処理することで、道路2のひび割れを検査するためのソフトウェアであり、例えば「ひび割れ検査ソフト」と称される。第3のソフトウェア20は、光切断の原理に基づいて道路2の凹凸形状を捉えた3D画像を処理することで、道路2のわだち掘れを検査するためのソフトウェアであり、例えば「わだち検査ソフト」と称される。それぞれのソフトウェア16、18、20は別々の検査用コンピュータ10、12、14に実装されている。
【0018】
さらに、第1の検査用コンピュータ10、第2の検査用コンピュータ12および第3の検査用コンピュータ14のそれぞれには、第1の表示部22、第2の表示部24および第3の表示部26が実装されている。第1の表示部22、第2の表示部24および第3の表示部26はそれぞれ、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20が処理した画像を表示する表示部である(例えば、ディスプレイ)。第1の表示部22は、第1のソフトウェア16が処理した赤外線画像を表示し、第2の表示部24は、第2のソフトウェア18が処理した2D画像を表示し、第3の表示部26は、第3のソフトウェア20が処理した3D画像を表示する。第1の表示部22、第2の表示部24および第3の表示部26は、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20が実装されたコンピュータ10、12、14のそれぞれに搭載されており、ソフトウェアと一体的に構成される。
【0019】
上述した第1の検査用コンピュータ10、第2の検査用コンピュータ12および第3の検査用コンピュータ14は、ネットワーク15により相互に接続されている。ネットワーク15は、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20が処理する画像における道路2の位置を同期させるために、第1の検査用コンピュータ10、第2の検査用コンピュータ12および第3の検査用コンピュータ14を相互に接続してデータ交換可能とするネットワークである。第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20は、ネットワーク15を通じて、画像の位置情報などの各種データを交換する。例えば、ネットワーク15としてイーサネット(登録商標)を用い、TCP/IPプロトコルによって相互にデータ通信を行ってもよい。
【0020】
構造物検査システム1はさらに、GNSS情報取得部30と、キロポスト情報取得部32と、走行距離情報取得部34と、制御用コンピュータ50とを備える。GNSS情報取得部30、キロポスト情報取得部32および走行距離情報取得部34はいずれも、検査車両3の位置情報を取得することで、第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8が撮像した画像の位置情報を取得するものである。具体的には、GNSS情報取得部30は、位置情報としてGNSS情報(例えばGPS情報)を取得し、キロポスト情報取得部32は、位置情報としてキロポスト情報を取得し、走行距離情報取得部34は、位置情報として走行距離情報を取得する。GNSS情報とは、GNSSによって得られる検査車両3および画像の位置情報である。キロポスト情報とは、道路に設けられた距離表示(キロポスト)に基づく検査車両3および画像の位置情報である。走行距離情報とは、検査車両3が走行した距離に基づく検査車両3および画像の位置情報である。GNSS情報取得部30、キロポスト情報取得部32および走行距離情報取得部34は、制御用コンピュータ50を介して、ネットワーク15に接続されている。よって、GNSS情報取得部30、キロポスト情報取得部32および走行距離情報取得部34が取得した画像の位置情報は、制御用コンピュータ50およびネットワーク15を介して、検査用コンピュータ10、12、14に送信可能に構成される。これにより、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20により画像の位置情報が利用可能となる。
【0021】
なお、キロポスト情報は、キロポストの名前と緯度経度がセットになった表として提供される。画像上で損傷個所を発見して実際に現地作業に行く際、「○キロポストから○mの箇所に損傷あり」というような情報を手掛かりとするため利用される。構造物検査システム1では、画像の緯度経度に基づいてキロポストを見つけに行く処理が行われる。
【0022】
このような構成において、構造物検査システム1による構造物検査を行う方法について説明する。構造物検査システム1はまず、検査車両3の移動に伴って、第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8により、道路2の画像を所定間隔ごとに撮像する。第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8が撮像した複数の画像データは、第1の検査用コンピュータ10、第2の検査用コンピュータ12および第3の検査用コンピュータ14のそれぞれに送信される。これにより、第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8が撮像した複数の画像データは、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20のそれぞれによって処理される。
【0023】
第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20はそれぞれ、複数の画像を検査車両3の移動方向Mに沿って連続的な画像を生成するように画像を処理し、移動方向Mに連なる長尺画像データとして管理する。具体的には、
図2に示すように、第1のソフトウェア16は、1つの赤外線画像Aとその次に撮像された赤外線画像Bを少なくとも部分的に重ね合わせるようにして並べる。他の赤外線画像に対しても同様の重ね合わせ処理を行うことで、検査車両3の移動方向Mに沿った一連の赤外線画像を生成する。第2のソフトウェア18は、例えば撮像手段がラインカメラの場合、車両の移動方向Mと直交する向きに帯状の画像を連続して取得し、これを繋ぎ合わせることで長尺画像データを生成することができる。第3のソフトウェア20は、3Dカメラから取得した路面のプロファイル(路面の横断方向の断面形状を表すデータ)を基に距離画像を生成し、これを繋ぎ合わせることで長尺の3D画像データを生成することができる。
図2に示すように、検査車両3の移動方向Mに沿った一連の2D画像および3D画像をそれぞれ生成する。
【0024】
検査車両3に乗っている作業員(図示せず)は、所定の位置における道路2の赤外線画像、2D画像又は3D画像を、第1の表示部22、第2の表示部24又は第3の表示部26に表示するための入力をコンピュータで行う。一例として、所定の位置の赤外線画像C(
図2)を第1の表示部22に表示するための入力が行われる。入力が検知されると、第1のソフトウェア16は、一連の赤外線画像を処理して所定の位置の赤外線画像Cを抽出し、第1の表示部22に表示するように出力する。
【0025】
本実施形態の構造物検査システム1は、赤外線画像、2D画像および3D画像の同期、すなわち、これらの画像における道路2の位置の同期を行う。具体的には、
図1に示したネットワーク15を介して、抽出された赤外線画像Cに関する位置情報が、第1のソフトウェア16が実装された第1の検査用コンピュータ10から、第2の検査用コンピュータ12および第3の検査用コンピュータ14に送信される。第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20は、送信された位置情報に基づいて、同じ位置に対応する2D画像および3D画像を抽出するように一連の2D画像および3D画像をそれぞれ処理する。抽出された2D画像および3D画像は、第2の表示部24および第3の表示部26に表示するように出力される。
【0026】
ここで、赤外線画像Cの位置情報を第1のソフトウェア16が抽出する方法について、
図3を用いて説明する。
【0027】
図3に示すように、複数の赤外線画像が所定間隔ごとに撮像される。同様に、位置情報として、GNSS情報および走行距離情報が所定間隔ごとに取得される。キロポスト情報は前述したように、キロポスト名と緯度経度がセットになった表として提供されている。これらの画像・位置情報が撮像・取得される間隔は全て異なっている。
【0028】
第1のソフトウェア16は、抽出された所定の位置の赤外線画像Cに関して、撮影箇所の位置情報をGNSS情報および走行距離情報を用いて算出する。説明を単純化するために、
図3に示す例では、赤外線画像Cが第1の撮像部4によって撮像された画像そのものに対応する場合について説明する。
【0029】
まず、赤外線画像Cが撮像された時刻t
12と同時刻における走行距離情報およびGNSS情報を算出する。具体的には、走行距離情報については、時刻t
12の前後に取得された走行距離情報1、2の記録時刻に基づき、時刻t
12に対応する走行距離を比例計算で算出する。同様に、GNSS情報に関しても、時刻t
12の前後に取得された緯度経度情報1、3の記録時刻に基づき、時刻t
12に対応する緯度経度情報を比例計算で算出する。必要に応じて、キロポスト情報を参照し、緯度経度情報2を計算に用いてもよい。
図3に示す例では、GNSS情報およびキロポスト情報が緯度経度情報として統合されているが、このような場合に限らず、GNSS情報およびキロポスト情報のそれぞれを単独で算出する場合であってもよい。
【0030】
第1のソフトウェア16により算出された、赤外線画像Cに対応する位置情報は、ネットワーク15を介して、第2の検査用コンピュータ12および第3の検査用コンピュータ14に送信される。これらの位置情報を受信した第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20は、同位置に対応する2D画像および3D画像を一連の2D画像および3D画像から抽出するように処理する。具体的には、例えばGNSS情報に基づく緯度経度情報をもとに、同位置に対応する2D画像および3D画像を抽出する。この場合、トンネルなどのGNSS情報が利用できない場所にあっては、走行距離情報あるいはキロポスト情報に基づく緯度経度情報によって位置を特定するように位置情報を補完する。
【0031】
このようにして、赤外線画像Cの位置情報に基づいて、同位置に対応する2D画像および3D画像が抽出されるように、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20が同期される。すなわち、これらのソフトウェアが処理する画像における道路2の位置が互いに同期される。抽出された2D画像および3D画像は、第2の表示部24および第3の表示部26に表示されるように出力される。位置情報に基づいて同期することで、赤外線画像、2D画像および3D画像が、それぞれ別の日や時間に撮影された場合でも、構造物の同じ位置を表示させることができる。
【0032】
なお、
図3の例では、赤外線画像Cが第1の撮像部4によって撮像された画像そのものに対応する場合について説明したが、このような場合に限らず、第1の撮像部4によって撮像された赤外線画像と赤外線画像の間の位置に対応する赤外線画像が抽出されてもよい。このような場合であっても、抽出された赤外線画像の時刻を前後の赤外線画像の記録時刻から比例計算により算出することで、同時刻の走行距離情報および緯度経度情報を同様の方法により算出することができる。
【0033】
上述した方法によれば、3種類の画像を3つのソフトウェア16、18、20のそれぞれで処理しているため、全ての画像を1つのソフトウェアで処理する場合に比べて、ソフトウェア構成を複雑にすることなく、処理負荷を分散することができる。これにより、構造物検査の効率を向上させることができる。また、ソフトウェア16、18、20間の画像の同期をネットワーク15により行っているため、複数のソフトウェア16、18、20をそれぞれ別個の検査用コンピュータ10、12、14に実装することができる。これにより、ソフトウェア16、18、20を用いて構造物検査を行う作業員の作業性および利便性を向上させることができる。さらに、処理した画像を別個の表示部16、18、20に表示しているため、種類ごとに画像を確認することができ、構造物検査を行う作業員の作業性および利便性を向上させることができる。さらに、位置情報として、GNSS情報、キロポスト情報および走行距離情報を取得し、ソフトウェア16、18、20間の画像の同期を行う際に利用している。これらの位置情報を用いて互いに補完しながらソフトウェア16、18、20の同期処理が可能となるため、同期の精度を向上させることができる。
【0034】
本実施形態の構造物検査システム1は、2種類以上の画像(情報)に基づいて道路(構造物)2を検査するための構造物検査システム1である。構造物検査システム1は、第1のソフトウェア16と、第2のソフトウェア18と、を備える。第1のソフトウェア16は、道路2について撮像(取得)された第1の画像(第1の情報、本実施形態では赤外線画像)を表示するために処理する。第2のソフトウェア18は、道路2について撮像された第1の画像とは異なる種類の第2の画像(第2の情報、本実施形態では2D画像)を表示するために処理する。構造物検査システム1はさらに、位置情報(例えば、GNSS情報、キロポスト情報、走行距離情報)に基づいて、第1のソフトウェア16により表示される第1の画像における道路2の位置と、第2のソフトウェア18により表示される第2の画像における道路2の位置を同期させる。このような構成によれば、複数種類の画像を別々のソフトウェア16、18で処理して表示するため、1つ1つのソフトウェア16、18の構成を簡素化するとともに、処理負荷を分散させることができ、構造物検査の作業効率を向上させることができる。
【0035】
本実施形態の構造物検査システム1は、第1のソフトウェア16と第2のソフトウェア18の間の同期を行うためのネットワーク15をさらに備える。このように、ソフトウェア16、18間の画像の同期をネットワーク15により行うことで、それぞれのソフトウェア16、18は異なる検査用コンピュータ10、12上で動作可能であり、構造物検査を行う際の作業性および利便性を向上させることができる。
【0036】
本実施形態の構造物検査システム1は、第1のソフトウェア16が処理した第1の画像を表示する第1の表示部22と、第2のソフトウェア18が処理した第2の画像を表示する第2の表示部24と、をさらに備える。このような構成によれば、複数種類の画像を別々の表示部22、24に表示させることができるため、異なる種類の画像を作業員は容易に判別することができ、構造物検査の作業効率を向上させることができる。
【0037】
本実施形態の構造物検査システム1では、位置情報として、GNSS情報、キロポスト情報および走行距離情報を取得する。構造物検査システム1はさらに、GNSS情報を用いて第1のソフトウェア16と第2のソフトウェア18の間の同期を行い、キロポスト情報および走行距離情報を用いてGNSS情報に基づく位置情報を補完する。このような構成によれば、GNSS情報によって同期を行いながら、キロポスト情報および、より短い周期で記録された走行距離情報により位置情報を補完するため、同期の精度を向上させることが可能となる。
【0038】
また本実施形態の構造物検査方法は、2種類以上の画像(情報)に基づいて道路(構造物)2を検査するための構造物検査方法である。構造物検査方法は、第1のソフトウェア16によって、道路2について撮像(取得)された第1の画像(第1の情報、本実施形態では赤外線画像)を表示するために処理するステップを含む。構造物検査方法はさらに、第2のソフトウェア18によって、道路2について撮像された第1の画像とは異なる種類の第2の画像(第2の情報、本実施形態では2D画像)を表示するために処理するステップを含む。構造物検査方法はさらに、位置情報を取得するステップを含む。構造物検査方法はさらに、位置情報に基づいて、第1のソフトウェア16により表示される第1の画像における道路2の位置と、第2のソフトウェア18により表示される第2の画像における道路2の位置を同期させるステップを含む。このような方法によれば、複数種類の画像を別々のソフトウェア16、18で処理して表示するため、1つ1つのソフトウェア16、18の構成を簡素化するとともに、処理負荷を分散させることができ、構造物検査の作業効率を向上させることができる。
【0039】
また本実施形態の構造物検査方法では、第1のソフトウェア16と第2のソフトウェア18の間の同期を行うステップは、第1のソフトウェア16と第2のソフトウェア18の間の同期をネットワーク15により行うステップを含む。このような方法によれば、ソフトウェア間の画像の同期をネットワーク15により行うことで、それぞれのソフトウェア16、18は異なる検査用コンピュータ10、12上で動作可能となり、構造物検査を行う際の作業性および利便性を向上させることができる。
【0040】
また本実施形態の構造物検査方法はさらに、第1の表示部22によって、第1のソフトウェア16が処理した第1の画像を表示するステップを含む。構造物検査方法はさらに、第1の表示部22とは別体である第2の表示部24によって、第2のソフトウェア18が処理した第2の画像を表示するステップを含む。このような方法によれば、複数種類の画像を別々の表示部22、24に表示させることができるため、異なる種類の画像を作業員は容易に判別することができ、構造物検査の作業効率を向上させることができる。
【0041】
また本実施形態の構造物検査方法は、位置情報を取得するステップは、GNSS情報、キロポスト情報および走行距離情報を位置情報として取得するステップを含む。さらに、第1のソフトウェア16と第2のソフトウェア18の間の同期を行うステップは、GNSS情報を用いて第1のソフトウェア16と第2のソフトウェア18の間の同期を行うステップを含む。さらに、第1のソフトウェア16と第2のソフトウェア18の間の同期を行うステップは、キロポスト情報および走行距離情報を用いてGNSS情報に基づく位置情報を補完するステップを含む。このような方法によれば、GNSS情報によって同期を行いながら、キロポスト情報および、より短い周期で記録された走行距離情報により位置情報を補完するため、同期の精度を向上させることが可能となる。
【0042】
上記説明では、第1の画像(赤外線画像)と第2の画像(2D画像)を同期させることに関してその構成とともに説明したが、第3の画像(3D画像)に関しても同様のことがいえる。すなわち、赤外線画像、2D画像および3D画像という3種類の画像の同期が可能であり、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0043】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、実施形態では、検査用コンピュータ10、12、14、ネットワーク15および制御用コンピュータ50が検査車両3に搭載され、作業員が検査車両3の中で構造物検査を行う場合について説明したが、このような場合に限らない。検査用コンピュータ10、12、14、ネットワーク15および制御用コンピュータ50は検査車両3の外に設けられてもよい。すなわち、検査車両3の移動に伴って第1の撮像部4、第2の撮像部6および第3の撮像部8により画像を撮像しながら、GNSS情報取得部30、キロポスト情報取得部32および走行距離情報取得部34により位置情報を取得する。撮像した画像および取得した位置情報は、検査車両3内の記録部(図示せず)に記憶する。検査車両3の移動が終了した後、記録部に記憶された画像および位置情報のデータを抽出し、別途設けられた検査用コンピュータにデータを移行して、同様の画像の同期処理を行う。このような場合であっても複数種類の画像を別々の検査用ソフトウェアで処理して表示できるため、1つ1つの検査用ソフトウェアの構成を簡素化するとともに、処理負荷を分散させることができ、構造物検査の作業効率を向上させることができる。
【0044】
また実施形態では、位置情報として、GNSS情報、キロポスト情報および走行距離情報を取得する場合について説明したが、このような場合に限らず、少なくとも1つの任意の位置情報を取得すればよい。このような場合であっても、位置情報を利用してソフトウェア間の画像の同期を実施することができる。
【0045】
また実施形態では、キロポスト情報および走行距離情報を用いてGNSS情報に基づく位置情報を補完する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、キロポスト情報あるいは走行距離情報の少なくとも一方を用いてGNSS情報に基づく位置情報を補完してもよい。この場合、位置情報として、GNSS情報、並びに、キロポスト情報または走行距離情報の少なくとも一方を取得すればよい。
【0046】
また実施形態では、撮像する画像として、赤外線画像、2D画像および3D画像という3種類の画像を撮像する場合について説明したが、このような場合に限らない。複数の異なる種類の画像であれば、任意の種類の画像を撮像してもよい。
【0047】
また実施形態では、構造物の情報として、構造物の画像を取得する場合について説明したが、このような場合に限らず、構造物に関する情報であれば、画像以外の任意の情報(例えば、超音波を用いて調査した地中の空洞などに関するデータや、打音や目視等による点検データ等)を取得してもよい。このような場合であっても、2種類以上の情報における構造物の位置を同期させることで、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0048】
また実施形態では、第1のソフトウェア16および第1の表示部22がともに第1の検査用コンピュータ10に実装される場合について説明したが、このような場合に限らず、別々のコンピュータに実装されてもよい。このことは、第2のソフトウェア18および第2の表示部24、並びに、第3のソフトウェア20および第3の表示部26にも同様であり、ソフトウェアと表示部が分離されていてもよい。
【0049】
また実施形態では、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20が別々の検査用コンピュータ10、12、14に実装される場合について説明したが、このような場合に限らず、同一のコンピュータに実装されてもよい。この場合、ネットワーク15を用いずに同一のコンピュータ内でソフトウェア間の画像の同期を行えばよい。
【0050】
また実施形態では、第1の表示部22、第2の表示部24および第3の表示部26が別々の検査用コンピュータ10、12、14に搭載され、別画面に画像を表示する場合について説明したが、このような場合に限らない。3つの表示部16、18、20を同一のコンピュータに搭載し、コンピュータ上の画面における異なるウィンドウにそれぞれの画像を表示してもよい。
【0051】
また実施形態では、第1のソフトウェア16、第2のソフトウェア18および第3のソフトウェア20という3つのソフトウェアにより、道路2の内部損傷、ひび割れおよびわだち掘れをそれぞれ検査する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、さらに別のソフトウェアを用いて異なる種類の検査を行ってもよい。例えば、
図4に示す例では、3つのソフトウェア16、18、20に加えて、第4のソフトウェア36として、トンネル変状検査ソフトウェアを新たに用いている。トンネル変状検査ソフトウェアは、道路2ではなく、トンネルの覆工面を撮像した画像を処理することで、トンネルの変状を検査するためのソフトウェアである。このような構成において、4つのソフトウェア16、18、20、36の間において、位置情報としてキロポスト情報、GNSS情報、走行距離情報が通信され、撮像した画像における道路2の位置の同期にそれらの情報を利用することができる。このように、道路2の性状検査とあわせて、道路2以外の対象物についても性状検査を行って画像の同期を行うことができる。このように、別々の構造物を撮影した画像同士を同期させてもよい。例えば、同じ位置における上方(トンネル覆工面)と下方(路面)の画像を同時に表示させてもよい。
【0052】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。