特許第6663790号(P6663790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663790
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20200302BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   H01R13/629
   H01R13/64
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-96347(P2016-96347)
(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公開番号】特開2017-204408(P2017-204408A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】田端 勇也
(72)【発明者】
【氏名】石垣 明人
(72)【発明者】
【氏名】田畑 公暢
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 孔基
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−050116(JP,A)
【文献】 特開2014−238929(JP,A)
【文献】 特開2008−176969(JP,A)
【文献】 特開2013−016427(JP,A)
【文献】 実開平06−024322(JP,U)
【文献】 特開2002−343169(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/150975(WO,A1)
【文献】 特開2008−198358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56−13/72
H01H 3/00− 7/16
H01H31/00−31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、前記コネクタと嵌合可能な相手側コネクタとを備えるコネクタ装置であって、
前記コネクタは、ハウジングと、電源端子と、検知端子とを備えており、
前記ハウジングには、軸部が形成されており、
前記電源端子及び前記検知端子は、前記ハウジングに保持されており、
前記相手側コネクタは、相手側ハウジングと、相手側電源端子と、相手側検知端子とを備えており、
前記相手側ハウジングには、相手側軸部が形成されており、
前記軸部及び前記相手側軸部の一方は回転軸であり、他方は軸受であり、
前記軸部と前記相手側軸部とを組み合わせると、前記コネクタは前記相手側コネクタに対して開位置と閉位置との間で前記回転軸の周りに回転可能であり、
前記相手側電源端子及び前記相手側検知端子は、前記相手側ハウジングに保持されており、
前記コネクタが前記開位置と前記閉位置との間にあるとき、前記コネクタは前記回転軸の軸方向と直交する上下方向において前記相手側コネクタの上側に位置しており、
前記コネクタが前記開位置にあるとき、前記電源端子は前記相手側電源端子に接続されていないと共に、前記検知端子は前記相手側検知端子に接続されておらず、
前記コネクタが前記開位置と前記閉位置との間に位置する所定位置にあるとき、前記電源端子は前記相手側電源端子に接続されている一方、前記検知端子は前記相手側検知端子に接続されておらず、
前記コネクタが前記閉位置にあるとき、前記電源端子及び前記検知端子は前記相手側電源端子及び前記相手側検知端子に夫々接続されている
コネクタ装置。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ装置であって、
前記電源端子及び前記検知端子は、前記ハウジングに固定されており前記ハウジングに対して相対移動できず、
前記相手側電源端子及び前記相手側検知端子は、前記相手側ハウジングに固定されており前記相手側ハウジングに対して相対移動できない
コネクタ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタ装置であって、
前記軸部と前記電源端子との間の距離は、前記軸部と前記検知端子との間の距離よりも短い
コネクタ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のコネクタ装置であって、
前記コネクタが前記所定位置と前記閉位置との間にあるとき、前記電源端子は、前記軸方向において前記相手側電源端子に接触する
コネクタ装置。
【請求項5】
請求項4記載のコネクタ装置であって、
前記回転軸には、前記軸方向と直交する直交面内に張り出したフランジが形成されており、
前記軸受には、前記直交面内に延びるフランジガイド部が形成されており、
前記コネクタが前記開位置と前記閉位置との間で回転するとき、前記フランジガイド部は、前記直交面内における前記フランジの移動をガイドしている
コネクタ装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載のコネクタ装置であって、
前記電源端子は、前記軸方向と直交する直交面内に延びるブレード部を有しており、
前記ブレード部は、第1面取り部と第2面取り部とを有しており、
前記コネクタが前記閉位置にあるとき、前記第1面取り部は、前記上下方向と交差しており、前記第2面取り部は、前記上下方向及び前記軸方向の双方と直交する前後方向と交差している
コネクタ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載のコネクタ装置であって、
前記ハウジングには、被規制部が形成されており、
前記相手側ハウジングには、規制部が形成されており、
前記コネクタを前記閉位置から前記所定位置まで回転させると、前記被規制部が前記規制部に突き当り、前記コネクタが前記所定位置を越えて前記開位置に向けて移動することが規制される
コネクタ装置。
【請求項8】
請求項7記載のコネクタ装置であって、
前記ハウジングには、基部と、弾性変形可能なバネ部とが設けられており、
前記被規制部は、前記バネ部に支持されており、
前記バネ部には、解除部が設けられており、
前記コネクタが前記閉位置に位置しているとき、前記バネ部は、前記基部から上側に向かって延びており、前記解除部は、前記バネ部の上端に位置しており、
前記コネクタの回転の径方向において前記解除部を外側に向けて移動させて前記バネ部を弾性変形させると、前記規制部による前記被規制部の規制が解除される
コネクタ装置。
【請求項9】
請求項8記載のコネクタ装置であって、
前記相手側ハウジングには、解除阻害部が設けられており、
前記コネクタが前記閉位置にあるとき、前記解除阻害部は、前記径方向において前記解除部の内側に位置して前記解除部の操作を阻害しており、
前記コネクタが前記所定位置にあるとき、前記解除部は、前記コネクタの回転の周方向において前記解除阻害部から離れて位置しており、前記解除阻害部により阻害されることなく、操作可能である
コネクタ装置。
【請求項10】
請求項9記載のコネクタ装置であって、
前記相手側ハウジングは、前記上下方向に延びる壁部を有しており、
前記規制部及び前記解除阻害部は、前記壁部に設けられており、
前記解除阻害部は、前記壁部の上端に位置しており、
前記コネクタが前記閉位置にあるとき、前記解除阻害部は、前記上下方向において、前記解除部と同じ高さに位置している
コネクタ装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10までのいずれかに記載のコネクタ装置であって、
前記ハウジングには、付加的被規制部が形成されており、
前記相手側ハウジングには、付加的規制部が形成されており、
前記コネクタを前記開位置から前記所定位置まで回転させると、前記付加的被規制部が前記付加的規制部に突き当り、前記コネクタが前記所定位置を越えて前記閉位置に向けて移動することが規制される
コネクタ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれかに記載のコネクタ装置であって、
前記ハウジングには、ガイド部が設けられており、
前記相手側ハウジングには、相手側ガイド部が設けられており、
前記ガイド部と前記相手側ガイド部の一方は、突起であり、他方は円弧状の溝であり、
前記コネクタを回転させる際に、前記突起が前記溝内を移動して、前記回転をガイドする
コネクタ装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれかに記載のコネクタ装置であって、
前記軸部は、前記軸受であり、
前記相手側軸部は、前記回転軸であり、
前記ハウジングには、前記軸受まで前記回転軸を誘導する誘導部が形成されており、
前記コネクタが前記開位置にあるとき、前記誘導部は、前記上下方向に沿って延びており且つ下側に向かって開口している
コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタ装置に関し、特に、電気自動車やハイブリッドカーに取り付けられて、電源システムから供給される電力を中継するコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタ装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
図20を参照すると、特許文献1に開示されたコネクタ装置900は、コネクタ910と、相手側コネクタ950とを備えている。コネクタ910は、ハウジング920と、レバー930と、サブコネクタ940とを有している。レバー930は、ハウジング920に対して回転可能に取り付けられている。レバー930にはカム溝935が形成されている。サブコネクタ940は、ハウジング920に対して上下方向(Z方向)に移動可能となるように保持されている。相手側コネクタ950は、相手側ハウジング960を有している。相手側ハウジング960には、カム突起965が形成されている。また、相手側サブコネクタ970は、相手側ハウジング960の一部として設けられている。カム溝935にカム突起965を収容した状態でレバー930を回転させるとコネクタ910を相手側コネクタ950に対して上下方向において相対移動させることができる。更に、レバー930を水平方向(X方向)に移動させると、サブコネクタ940と相手側サブコネクタ970とを嵌合させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−343169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のコネクタ910の組立工程においては、レバー930をハウジング920に対して高い精度で取り付ける必要がある。ハウジング920とレバー930との位置合わせが適切でない場合、ハウジング920と相手側ハウジング960との位置的関係とレバー930のカム溝935と相手側ハウジング960のカム突起965との位置的関係とを同時に満たすことができず、コネクタ910が相手側コネクタ950と適切に嵌合できない。
【0006】
本発明は、コネクタと相手側コネクタとの嵌合を適切に行うことのできるコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコネクタ装置として、
コネクタと、前記コネクタと嵌合可能な相手側コネクタとを備えるコネクタ装置であって、
前記コネクタは、ハウジングと、電源端子と、検知端子とを備えており、
前記ハウジングには、軸部が形成されており、
前記電源端子及び前記検知端子は、前記ハウジングに保持されており、
前記相手側コネクタは、相手側ハウジングと、相手側電源端子と、相手側検知端子とを備えており、
前記相手側ハウジングには、相手側軸部が形成されており、
前記軸部及び前記相手側軸部の一方は回転軸であり、他方は軸受であり、
前記軸部と前記相手側軸部とを組み合わせると、前記コネクタは前記相手側コネクタに対して開位置と閉位置との間で前記回転軸の周りに回転可能であり、
前記相手側電源端子及び前記相手側検知端子は、前記相手側ハウジングに保持されており、
前記コネクタが前記開位置と前記閉位置との間にあるとき、前記コネクタは前記回転軸の軸方向と直交する上下方向において前記相手側コネクタの上側に位置しており、
前記コネクタが前記開位置にあるとき、前記電源端子は前記相手側電源端子に接続されていないと共に、前記検知端子は前記相手側検知端子に接続されておらず、
前記コネクタが前記開位置と前記閉位置との間に位置する所定位置にあるとき、前記電源端子は前記相手側電源端子に接続されている一方、前記検知端子は前記相手側検知端子に接続されておらず、
前記コネクタが前記閉位置にあるとき、前記電源端子及び前記検知端子は前記相手側電源端子及び前記相手側検知端子に夫々接続されている
コネクタ装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のコネクタ装置として、第1のコネクタ装置であって、
前記電源端子及び前記検知端子は、前記ハウジングに固定されており前記ハウジングに対して相対移動できず、
前記相手側電源端子及び前記相手側検知端子は、前記相手側ハウジングに固定されており前記相手側ハウジングに対して相対移動できない
コネクタ装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のコネクタ装置として、第1又は第2のコネクタ装置であって、
前記軸部と前記電源端子との間の距離は、前記軸部と前記検知端子との間の距離よりも短い
コネクタ装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のコネクタ装置として、第1から第3までのいずれかのコネクタ装置であって、
前記コネクタが前記所定位置と前記閉位置との間にあるとき、前記電源端子は、前記軸方向において前記相手側電源端子に接触する
コネクタ装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のコネクタ装置として、第4のコネクタ装置であって、
前記回転軸には、前記軸方向と直交する直交面内に張り出したフランジが形成されており、
前記軸受には、前記直交面内に延びるフランジガイド部が形成されており、
前記コネクタが前記開位置と前記閉位置との間で回転するとき、前記フランジガイド部は、前記直交面内における前記フランジの移動をガイドしている
コネクタ装置を提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のコネクタ装置として、第4又は第5のコネクタ装置であって、
前記電源端子は、前記軸方向と直交する直交面内に延びるブレード部を有しており、
前記ブレード部は、第1面取り部と第2面取り部とを有しており、
前記コネクタが前記閉位置にあるとき、前記第1面取り部は、前記上下方向と交差しており、前記第2面取り部は、前記上下方向及び前記軸方向の双方と直交する前後方向と交差している
コネクタ装置を提供する。
【0013】
また、本発明は、第7のコネクタ装置として、第1から第6までのいずれかのコネクタ装置であって、
前記ハウジングには、被規制部が形成されており、
前記相手側ハウジングには、規制部が形成されており、
前記コネクタを前記閉位置から前記所定位置まで回転させると、前記被規制部が前記規制部に突き当り、前記コネクタが前記所定位置を越えて前記開位置に向けて移動することが規制される
コネクタ装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、第8のコネクタ装置として、第7のコネクタ装置であって、
前記ハウジングには、基部と、弾性変形可能なバネ部とが設けられており、
前記被規制部は、前記バネ部に支持されており、
前記バネ部には、解除部が設けられており、
前記コネクタが前記閉位置に位置しているとき、前記バネ部は、前記基部から上側に向かって延びており、前記解除部は、前記バネ部の上端に位置しており、
前記コネクタの回転の径方向において前記解除部を外側に向けて移動させて前記バネ部を弾性変形させると、前記規制部による前記被規制部の規制が解除される
コネクタ装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、第9のコネクタ装置として、第8のコネクタ装置であって、
前記相手側ハウジングには、解除阻害部が設けられており、
前記コネクタが前記閉位置にあるとき、前記解除阻害部は、前記径方向において前記解除部の内側に位置して前記解除部の操作を阻害しており、
前記コネクタが前記所定位置にあるとき、前記解除部は、前記コネクタの回転の周方向において前記解除阻害部から離れて位置しており、前記解除阻害部により阻害されることなく、操作可能である
コネクタ装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、第10のコネクタ装置として、第9のコネクタ装置であって、
前記相手側ハウジングは、前記上下方向に延びる壁部を有しており、
前記規制部及び前記解除阻害部は、前記壁部に設けられており、
前記解除阻害部は、前記壁部の上端に位置しており、
前記コネクタが前記閉位置にあるとき、前記解除阻害部は、前記上下方向において、前記解除部と同じ高さに位置している
コネクタ装置を提供する。
【0017】
また、本発明は、第11のコネクタ装置として、第7から第10までのいずれかのコネクタ装置であって、
前記ハウジングには、付加的被規制部が形成されており、
前記相手側ハウジングには、付加的規制部が形成されており、
前記コネクタを前記開位置から前記所定位置まで回転させると、前記付加的被規制部が前記付加的規制部に突き当り、前記コネクタが前記所定位置を越えて前記閉位置に向けて移動することが規制される
コネクタ装置を提供する。
【0018】
また、本発明は、第12のコネクタ装置として、第1から第11までのいずれかのコネクタ装置であって、
前記ハウジングには、ガイド部が設けられており、
前記相手側ハウジングには、相手側ガイド部が設けられており、
前記ガイド部と前記相手側ガイド部の一方は、突起であり、他方は円弧状の溝であり、
前記コネクタを回転させる際に、前記突起が前記溝内を移動して、前記回転をガイドする
コネクタ装置を提供する。
【0019】
また、本発明は、第13のコネクタ装置として、第1から第12までのいずれかのコネクタ装置であって、
前記軸部は、前記軸受であり、
前記相手側軸部は、前記回転軸であり、
前記ハウジングには、前記軸受まで前記回転軸を誘導する誘導部が形成されており、
前記コネクタが前記開位置にあるとき、前記誘導部は、前記上下方向に沿って延びており且つ下側に向かって開口している
コネクタ装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のコネクタは、レバーを備えていない。その代わりに、ハウジングに対して軸部を設けると共に相手側ハウジングに相手側軸部を設け、軸部と相手側軸部とを組み合わせることにより、コネクタ自体を相手側コネクタに対して回転可能に取り付けることとしている。そのため、本発明によれば、部品点数が削減されると共に、レバーのハウジングに対する取り付け精度に起因した問題も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態によるコネクタ装置を示す斜視図である。
図2図1のコネクタ装置に含まれるコネクタを示す分解斜視図である。
図3図2のコネクタに含まれるハウジングを示す斜視断面図である。図示されたハウジングは、コネクタが閉位置にあるときのものである。
図4図1のコネクタ装置に含まれる相手側コネクタを示す分解斜視図である。
図5図1のコネクタ装置を示す背面図である。
図6図1のコネクタ装置を示す斜視図である。コネクタは開位置にある。
図7図5のコネクタ装置をA−A線に沿って示す断面図である。コネクタは開位置にある。
図8図1のコネクタ装置を示す斜視図である。コネクタは所定位置にある。
図9図7に対応するコネクタ装置の断面図である。コネクタは所定位置にある。
図10図8のコネクタ装置をD−D線に沿って示す断面図である。
図11図8のコネクタ装置をE−E線に沿って示す断面図である。
図12図5のコネクタ装置をB−B線に沿って示す断面図である。コネクタは所定位置にある。
図13図5のコネクタ装置をC−C線に沿って示す断面図である。コネクタは所定位置にある。
図14図1のコネクタ装置を示す斜視図である。コネクタは閉位置にある。
図15図7に対応するコネクタ装置の断面図である。コネクタは閉位置にある。
図16図14のコネクタ装置をF−F線に沿って示す断面図である。
図17図14のコネクタ装置をG−G線に沿って示す断面図である。
図18図12に対応するコネクタ装置の断面図である。コネクタは閉位置にある。
図19図13に対応するコネクタ装置の断面図である。コネクタは閉位置にある。
図20】特許文献1のコネクタ装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示されるように、本発明の実施の形態によるコネクタ装置10は、コネクタ100と相手側コネクタ200とを備えている。相手側コネクタ200は、電気自動車のような対象物(図示せず)に取り付けられ、電源システム(図示せず)とモーター(図示せず)とに接続されている。コネクタ100が相手側コネクタ200に嵌合すると、コネクタ装置10が電源システムとモーターとの間を接続して、電源システムから供給された電流がモーターに供給される。
【0023】
図4に示されるように、相手側コネクタ200は、相手側ハウジング210と、2つの相手側電源端子240と、相手側サブコネクタ250とを備えている。
【0024】
図4を参照すると、相手側ハウジング210には、2つの相手側軸部220と、2つの相手側ガイド部270とが形成されている。本実施の形態の相手側軸部220は、回転軸であり、Y方向において外側に突出している。この記載から理解されるように、本実施の形態において回転軸(相手側軸部220)の軸方向はY方向である。相手側軸部220は、軸方向において互いに離れて位置している。相手側軸部220には、フランジ222が夫々形成されている。フランジ222の夫々は、相手側軸部220の軸方向の外側の一端に位置しており、軸方向と直交する直交面内に張り出している。本実施の形態において直交面はXZ平面である。相手側ガイド部270は、突起であり、軸方向において内側に突出している。
【0025】
図4に示されるように、相手側ハウジング210は、壁部230を有している。壁部230は、軸方向と直交する前後方向において後側に位置する後壁であり、軸方向及び前後方向と直交する上下方向に延びている。本実施の形態において前後方向はX方向である。前方は−X方向であり、後方は+X方向である。上下方向はZ方向である。上方は+Z方向であり、下方は−Z方向である。
【0026】
図4に示されるように、相手側ハウジング210の壁部230には、2つの規制部232と、1つの付加的規制部234と、解除阻害部236とが形成されている。規制部232と付加的規制部234とは、後方に突出している。図13に示されるように、規制部232の下面は上下方向と直交しており、規制部232の上面は上下方向と斜交している。一方、図12に示されるように、付加的規制部234の下面は上下方向と斜交しており、付加的規制部234の上面は上下方向と直交している。図4から理解されるように、解除阻害部236は、上下方向において、壁部230の上端に位置している。
【0027】
図4に示されるように、相手側電源端子240は、所謂ソケットコンタクトである。図10及び図16に示されるように、各相手側電源端子240には、接点242が設けられている。本実施の形態の接点242は、少なくとも軸方向に移動可能である。図4に示されるように、相手側電源端子240には夫々電源ケーブル500が接続されている。相手側電源端子240は、相手側ハウジング210に保持されており、相手側ハウジング210に対して相対移動できない。相手側電源端子240は、軸方向において互いに離れて位置している。
【0028】
図11に示されるように、相手側サブコネクタ250は、サブハウジング254と、2つの相手側検知端子260とを備えている。相手側検知端子260は、サブハウジング254に保持され固定されている。また、相手側サブコネクタ250は、相手側ハウジング210に保持され固定されている。即ち、相手側検知端子260は、相手側サブコネクタ250のサブハウジング254を介して、相手側ハウジング210に保持されており、相手側ハウジング210に対して相対移動できない。詳しくは、相手側検知端子260は、軸方向において互いに離れて位置しており、相手側検知端子260には、信号線510が夫々接続されている。図11及び図17に示されるように、各相手側検知端子260には、接点262が設けられている。本実施の形態の接点262は、少なくとも軸方向に移動可能である。
【0029】
図2に示されるように、コネクタ100は、ハウジング110と、電源端子150と、検知端子160とを備えている。
【0030】
図2及び図7を参照すると、ハウジング110には、2つの軸部120と、2つの誘導部124と、2つのガイド部170とが形成されている。本実施の形態の軸部120は、軸受である。軸部120は、軸方向において互いに離れて位置している。軸部120には、フランジガイド部122が形成されている。フランジガイド部122は、直交面内に延びている。誘導部124は、軸部120に対応して設けられている。図1図6及び図7から理解されるように、誘導部124は、回転軸220を軸部120まで夫々誘導するための溝であり、回転軸220を中心とする円座標系(以下、「特定円座標系」という)において径方向に延びている。図2に示されるように、本実施の形態の誘導部124は、軸方向においてハウジング110を貫通している。ガイド部170は、軸方向に凹んだ溝であり、直交面内において円弧状の形状を有している。本実施の形態のガイド部170は、軸方向において底を有する溝であるが、底を有さない(即ち、軸方向においてハウジング110を貫通している)ものであってもよい。
【0031】
図2及び図3から理解されるように、本実施の形態のハウジング110には、基部130と、バネ部140と、2つの被規制部142と、付加的被規制部144と、解除部146とが形成されている。バネ部140は、逆U字状の形状を有しており、基部130から延びている。バネ部140は、弾性変形可能なものであり、被規制部142と付加的被規制部144とを支持している。解除部146は、バネ部140の端部に設けられている。解除部146を操作すると、バネ部140を弾性変形させることができ、それによって、被規制部142や付加的被規制部144を特定円座標系において少なくとも径方向に移動させることができる。
【0032】
図2に示されるように、電源端子150は、2つのブレード部152と、それらを連結する連結部154とを備えている。図10及び図16に示されるように、電源端子150は、2つの相手側電源端子240の間を接続するためのものである。図2に示されるように、ブレード部152は、直交面内に延びている。ブレード部152のエッジはすべて面取りされており、第1面取り部156と第2面取り部158とが形成されている。図2及び図6から理解されるように、第1面取り部156は、少なくとも特定円座標系における周方向と交差しており、第2面取り部158は、少なくとも特定円座標系の径方向と交差している。図2及び図5から理解されるように、連結部154は、ハウジング110に取り付けられ保持されている。具体的には、本実施の形態の電源端子150は、ハウジング110に対して相対移動できないように固定されている。
【0033】
図2に示されるように、検知端子160は、2つの接触部162と、それらを連結する連結部164とを備えている。図2図5及び図6から理解されるように、検知端子160は、ハウジング110に保持されている。本実施の形態の検知端子160は、特許文献1のものとは異なり、ハウジング110に対して相対移動できないように固定されている。
【0034】
図2及び図6から理解されるように、軸部120と電源端子150との間の距離は、軸部120と検知端子160との間の距離よりも短い。このため、コネクタ装置10全体の大きさを大きくすることなく、電源端子150の相手側コネクタ200に対する接続を検知端子160の相手側コネクタ200に対する接続よりも先に行うことができる。
【0035】
図1図6図8及び図14から理解されるように、軸部120と相手側軸部220とを組み合わせると、コネクタ100は相手側コネクタ200に対して開位置と閉位置との間で回転軸(相手側軸部220)の周りに回転可能となる。開位置は、図6に示される位置であり、コネクタ100は立った状態にある。閉位置は、図14に示される位置であり、コネクタ100は横たわった状態にある。図6図8及び図14から理解されるように、コネクタ100が開位置と閉位置との間にあるとき、コネクタ100は上下方向において相手側コネクタ200の上側に位置している。
【0036】
図2図4図7図9及び図15から理解されるように、コネクタ100が開位置と閉位置との間で回転するとき、フランジガイド部122は、軸方向においてフランジ222の内側に位置していると共にフランジ222と対向しており、直交面内におけるフランジ222の移動をガイドしている。また、コネクタ100を回転させる際には、相手側ガイド部270の突起がガイド部170の溝内を移動して、回転をガイドしている。
【0037】
図1図6及び図7から理解されるように、コネクタ100は、立てた状態(長手方向を上下方向に合わせた状態)で相手側コネクタ200の上方から上下方向に沿って相手側コネクタ200に対して取り付けられる。このとき、誘導部124は、相手側軸部220を受容して上下方向に沿って軸部120までガイドする。そのため、図7に示されるように、コネクタ100が開位置にあるとき、誘導部124は、上下方向に沿って延びており、下側に向かって開口している。図4及び図6から理解されるように、コネクタ100が開位置にあるとき、電源端子150は相手側電源端子240に接続されておらず、また、検知端子160は相手側検知端子260に接続されていない。
【0038】
図12に示されるように、開位置と閉位置との間に位置する所定位置まで開位置からコネクタ100を回転させると、付加的被規制部144が付加的規制部234に突き当り、コネクタ100が所定位置を越えて閉位置に向けて移動することが一旦規制される。このとき、図10及び図11に示されるように、電源端子150は相手側電源端子240に接続されるが、検知端子160は未だ相手側検知端子260まで届いていない。即ち、図8から図11までに示されるように、コネクタ100が所定位置にあるとき、電源端子150は相手側電源端子240に接続されているが、検知端子160は相手側検知端子260に接続されていない。検知端子160が相手側検知端子260に接続されていないことから、信号線510間はつながっていない。そのため、電源システム(図示せず)においては、コネクタ100が相手側コネクタ200に対して完全に嵌合していないことを検知することができ、電源端子150が相手側電源端子240同士を物理的に接続していても電源ケーブル500に電流を流さないよう制御できる。
【0039】
図2及び図10から理解されるように、電源端子150のブレード部152は、コネクタ100が回転している間、直交面内を移動する。図9及び図10を参照すると、フランジガイド部122がフランジ222をガイドすることから、ブレード部152は適切に直交面内を移動することができ、相手側電源端子240内まで達することができる。
【0040】
また、ブレード部152が相手側電源端子240に接続される際、ブレード部152には、第1面取り部156のみならず第2面取り部158も形成されていることから、ブレード部152はスムーズに相手側電源端子240内に受容される。本実施の形態においては、電源端子150のブレード部152は、相手側電源端子240内において、相手側電源端子240の接点242に対して軸方向において接触している。
【0041】
図12を参照して上述したように、コネクタ100が所定位置にあるとき、付加的被規制部144が付加的規制部234に突き当たっており、コネクタ100の移動が一時的に規制されている。この状態から、規制に抗してコネクタ100に閉位置に向けて回転移動させる力をさらに強く加えると、付加的被規制部144が回転の径方向における外側に向けて退避するようにバネ部140が弾性変形して上記規制が解除され、図14に示すような閉位置に至ることができる。
【0042】
図14から図17までに示されるように、コネクタ100が閉位置にあるとき、電源端子150及び検知端子160は相手側電源端子240及び相手側検知端子260に夫々接続されている。そのため、電源システム(図示せず)は、コネクタ100が相手側コネクタ200に対して完全に嵌合したことを検知することができるので、電源ケーブル500に対して電流を流すように制御することができる。
【0043】
本実施の形態においては、電源端子150は、コネクタ100が所定位置と閉位置との間にあるとき、相手側電源端子240に接続し続けている。なお、図2及び図16から理解されるように、コネクタ100が閉位置にあるとき、第1面取り部156は、上下方向と交差しており、第2面取り部158は、前後方向と交差している。図16に示されるように、コネクタ100が閉位置にあるとき、電源端子150は、前後方向と直交する面内(YZ平面内)において、角張った逆U字状の断面形状を有している。
【0044】
一方、図11及び図17から理解されるように、検知端子160は、コネクタ100が閉位置に至るまで、相手側検知端子260には接続されておらず、コネクタ100が閉位置に至ると、相手側検知端子260の接点262に接続される。なお、図17に示されるように、コネクタ100が閉位置にあるとき、検知端子160は、前後方向と直交する面内(YZ平面内)において、角張ったU字状の断面形状を有している。
【0045】
図18及び図19に示されるように、コネクタ100が閉位置に位置しているとき、バネ部140は、基部130から上側に向かって延びており、解除部146は、バネ部140の上端に位置している。一方、解除阻害部236は、上下方向において、解除部146と同じ高さに位置している。解除阻害部236は、径方向において解除部146の内側に位置して解除部146の操作を阻害している。
【0046】
そこでコネクタ100を閉位置から開位置まで回転させるには、まずコネクタ100を閉位置から図13に示す所定位置まで回転させる。図13から理解されるように、この状態においては被規制部142が規制部232に突き当り、コネクタ100が所定位置を越えて開位置に向けて移動することが規制される。このとき、バネ部140の根元(バネ部140と基部130との境界部分)が下側にあり、解除部146がバネ部140の上端側にあることから、コネクタ100を開位置に向けて無理に回転させようとしても被規制部142が規制部232に強く引っかかることとなり、誤って規制が解除されてしまうことを避けることができる。
【0047】
図13に示されるように、コネクタ100が所定位置にあるとき、解除部146は、コネクタ100の回転の周方向において解除阻害部236から離れて位置している。そのため、解除部146は、解除阻害部236により阻害されることなく、操作可能である。図13から理解されるように、コネクタ100の回転の径方向において解除部146を外側に向けて移動させてバネ部140を弾性変形させると、規制部232による被規制部142の規制が解除され、コネクタ100を更に開位置に向けて回転させることができるようになる。ここで、コネクタ100の回転動作において径方向における外方向は、前後方向における後方向成分と上下方向における上方向成分とに分けられる。図7図9図13及び図15から理解されるように、本実施の形態において、所定位置は、開位置よりも閉位置にかなり近い位置にあることから、コネクタ100が所定位置にあるとき、後方向成分は、上方向成分よりもかなり大きい。そのため、図13に示される解除部146を操作する際には、解除部146を後方に向けて移動させようとすると、規制解除を行うことができる。これによって、所定位置を越えて開位置までコネクタ100を回転させることができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、様々に変形することができる。
【0049】
上述した実施の形態において、軸部120は軸受であり、相手側軸部220は回転軸であったが、本発明はこれに限定されるわけではなく、軸部120が回転軸であり、相手側軸部220が軸受であってもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態において、ガイド部170は円弧状の溝であり、相手側ガイド部270は突起であったが、本発明はこれに限定されるわけではなく、ガイド部170が突起であり、相手側ガイド部270が溝であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 コネクタ装置
100 コネクタ
110 ハウジング
120 軸部(軸受)
122 フランジガイド部
124 誘導部
130 基部
140 バネ部
142 被規制部
144 付加的被規制部
146 解除部
150 電源端子
152 ブレード部
154 連結部
156 第1面取り部
158 第2面取り部
160 検知端子
162 接触部
164 連結部
170 ガイド部
200 相手側コネクタ
210 相手側ハウジング
220 相手側軸部(回転軸)
222 フランジ
230 壁部
232 規制部
234 付加的規制部
236 解除阻害部
240 相手側電源端子
242 接点
250 相手側サブコネクタ
254 サブハウジング
260 相手側検知端子
262 接点
270 相手側ガイド部
500 電源ケーブル
510 信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20