(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガス栓本体にガス圧検査用又はエアパージ用の検査口が設けられ、前記検査口は、不使用時には詰栓によって閉塞され、ガス圧検査やエアパージの作業時には前記詰栓による閉塞状態が解除されて開放されると共に前記検査口にパージ用工具が接続されるガス栓におけるパージ構造において、
前記検査口にパージ筒が設けられ、
前記詰栓は、前記パージ筒内に開閉自在に収容され、
前記パージ筒にパージ用工具本体が脱着可能に且つ気密状態に外嵌し、
前記パージ用工具本体には、前記詰栓を開閉操作可能な操作部と、
前記パージ筒に取り付けられた前記パージ用工具本体を前記パージ筒に対して抜け止め状態にロックするロック手段と、
出口筒が設けられ、
前記操作部の操作により、前記詰栓が前記操作部と共に、前記パージ筒の軸方向に進退移動するように設定されており、
前記詰栓が開放位置に移動した状態では、前記ロック手段によるロック状態が解除不能となり、
前記詰栓が閉塞された状態で、前記ロック状態は解除可能となるように設定されているガス栓におけるパージ構造。
【背景技術】
【0002】
図6に示すものは、検査口付きガス栓の一例であり、直線状のガス流路(50)の中央に、せん(図示せず)を回動自在に収容可能なせん収容部(51)が設けられ、せん収容部(51)の胴部を貫通するように、中心より上流側又は下流側寄りに検査口(5)を突設させている。
せん収容部(51)に収容されるせんには、通常のガス回路用の通過孔とこれに連通する検圧用の補助溝とが形成されており、ロック機構を解除することにより、せんを、通常の開閉操作位置から、前記補助溝を介して前記通過孔と検査口
(5)とが連通するガス圧検査・パージ位置へ回動操作することができる。
【0003】
なお、通常のガス使用時には、検査口(5)は詰栓(4)によって閉塞されており、ガス圧検査時には、詰栓(4)を緩めて検査口を開放させる。
同図に示すものでは、詰栓(4)のネジ軸(41)を中空に形成すると共に、その先端には雄ネジ部(42)が、頭部近傍には複数の貫通孔(40)がそれぞれ形成されている。他方、検査口(5)を構成している筒体内の奥には、雄ネジ部(42)が螺合可能な雌ネジ部が形成されると共に、筒体の開放端近傍に、雄ネジ部を抜け止め状態に保持する抜け止め手段が形成されている。
この従来のものでは、雄ネジ部(42)を検査口(5)内の雌ネジ部に螺合させることにより、検査口(5)は詰栓(4)によって閉塞される。また、詰栓(4)を緩めることにより、検査口(5)は、詰栓(4)の中空のネジ軸(41)内及び貫通孔(40)を介して外部に開放する。この開放状態にて、詰栓(4)は検査口(5)内に抜け止め状態に保持される構成となっているから、ガス圧検査やエアパージの作業時にも詰栓(4)が検査口(5)から取り外されることはなく、詰栓(4)を紛失してしまうという問題はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この従来のものでは、詰栓(4)と関係なく、検査口(5)に、検圧具から延長する検査用ゴム管等を脱着できるので、ガス圧検査やエアパージの作業終了後に、せんを通常の開閉操作位置に戻し、ゴム管を検査口(5)から取り外した後に、詰栓(4)を検査口(5)に閉め忘れることがある。詰栓(4)を閉め忘れたままだと、検査口(5)内に水や塵芥等が浸入して、検査口(5)内に錆を発生させたり、傷が付いたりする不都合がある上に、不用意に前記ロック機構が解除されて、せんがガス圧検査・パージ位置へ回動されてしまうと、ガス漏れが生じる危険がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、『ガス栓本体にガス圧検査用又はエアパージ用の検査口が設けられ、前記検査口は、不使用時には詰栓によって閉塞され、ガス圧検査やエアパージの作業時には前記詰栓による閉塞状態が解除されて開放されると共に前記検査口にパージ用工具が接続されるガス栓におけるパージ構造』において、前記検査口を開放状態としたとき前記詰栓の紛失を防止すると共に、ガス圧検査やエアパージの作業終了後に、詰栓の閉め忘れを確実に防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、『前記検査口にパージ筒が設けられ、
前記詰栓は、前記パージ筒内に開閉自在に収容され、
前記パージ筒にパージ用工具本体が脱着可能に且つ気密状態に外嵌し、
前記パージ用工具本体には、前記詰栓を開閉操作可能な操作部と、
前記パージ筒に取り付けられた前記パージ用工具本体を
前記パージ筒に対して抜け止め状態にロックするロック手段と、
出口筒が設けられ、
前記操作部の操作により、前記詰栓が前記操作部と共に、
前記パージ筒の軸方向に進退移動するように設定されており、
前記詰栓が開放位置に移動した状態では、前記ロック手段によるロック状態が解除不能となり、
前記詰栓が閉塞された状態で、前記ロック状態は解除可能となるように設定されている』ことである。
【0008】
上記技術的手段は次のように作用する。
通常の使用時においては、検査口に設けられたパージ筒は詰栓によって閉塞されている。ガス圧検査やエアパージを行う際には、パージ筒にパージ用工具本体を取り付ける。パージ用工具本体は、ロック手段により、パージ筒に対して抜け止め状態に保持される。パージ用工具本体の出口筒に、ガス圧検査具やエアパージ用のゴム管やソケットを装着させ、操作部を操作して、詰栓を前記操作部と共に開放位置にまで移動させて、パージ筒を開放させる。このとき、前記ロック手段によるロック状態は解除不能となるように設定されているから、パージ筒が開放状態にあるときには、パージ用工具本体はパージ筒に対して抜け止め状態に保持され、取り外すことはできない。
ガス栓検圧又はエアパージ作業終了後、パージ用工具本体をパージ筒から取り外すには、操作部を操作して、前記詰栓が閉塞位置に達するまで復帰移動させる。これにより、パージ筒は閉塞されると共に、前記ロック手段は解除可能となるから、パージ用工具本体をパージ筒から取り外すことができる。
【0009】
上記ガス栓におけるパージ構造において、望ましくは、『前記詰栓は、前記パージ筒内に締め付け状態で収容されるネジ栓とし、
前記操作部は、連結軸を介して、前記ネジ栓を回動可能とし、
前記操作部と前記連結軸と前記ネジ栓とは、係合部により相互に相対回動阻止状態に連結されている』ものでは、パージ筒に対してネジ栓を締め付け又は緩めることにより、パージ筒を開閉操作できるようにしたもので、操作部を回動させることにより、連結軸を介して、ネジ栓をパージ筒に螺合させることにより、操作部、連結軸及びネジ栓を、同時に進退移動させることができる。
【0010】
上記ガス栓におけるパージ構造において、望ましくは、『前記パージ筒の胴部に鍔部が外方に突設され、
前記パージ用工具本体の一方の開放端部に、前記鍔部と同大同形の係合孔部が設けられ、
前記ロック手段は、前記パージ用工具本体に備えられ且つ付勢手段によって前記ガス栓本体側に付勢されている係合ピンとし、
前記鍔部が前記係合孔部に挿通後に前記パージ用工具本体の内側から前記係合孔部の周辺に係合するように、前記パージ用工具本体がパージ筒に対して回動した状態にて、前記係合ピンの一端が係合する係合凹部が
前記ガス栓本体に形成されている』ことである。
【0011】
このものでは、鍔部及び係合孔部の形状は、鍔部を係合孔部に挿入させた後に、パージ用工具本体のみを回動させることで、鍔部は係合孔部の周囲に内側から係合し、パージ用工具本体はパージ筒に対して抜け止め状態となるような形状に形成されている。ロック手段としての係合ピンは前記パージ用工具本体に備えられているから、パージ用工具本体が回動すると係合ピンもパージ用工具本体の回動軸線を中心として同様に回動し、鍔部が係合孔部の周囲に係合した状態にて、係合ピンの一端が、ガス栓本体に設けた係合凹部に、付勢手段の付勢力によって係合する。この状態が、係合ピンのロック状態であり、前記一端が係合凹部に嵌り込んで係合している間は、パージ用工具本体の回動は阻止されるから、パージ用工具本体はパージ筒に対して抜け止め状態にロックされた状態となる。
なお、この係合ピンは、詰栓が開放位置にあるときは前記一端は前記係合凹部から引き抜くことができず、詰栓が閉塞位置にあるときは前記一端は前記係合凹部から引き抜くことができるように設定されている。
【0012】
上記ガス栓におけるパージ構造において、望ましくは『前記係合ピンの他端には、前記係合ピンの前記係合凹部への係合を解除操作可能なロック解除用ボタンが設けられ、
前記パージ用工具本体の側壁に沿って、前記係合ピンが収容される係合ピン収容部が設けられ、
前記係合ピン収容部には、前記ロック解除用ボタンが収容可能なボタン収容室が形成されており、
前記ボタン収容室は、一側方が前記操作部側に開放するように形成され、
前記詰栓が閉塞位置にあるときは、前記操作部は、前記ボタン収容室の前記一側方が開いた状態となる位置に配され、
前記詰栓を開放位置へ移動させたとき、前記操作部は、前記ボタン収容室の前記一側方を閉じる位置に配されている』ことである。
パージ筒が詰栓によって閉塞された状態では、操作部は最もパージ用本体側に位置しており、この状態では、ボタン収容室の一側方は開いた状態となっている。よって、この一側方の開放部分からロック解除用ボタンを引き上げれば、係合ピンの前記一端を前記係合凹部から引き抜くことができ、パージ用工具本体をロック状態から解除することができ、パージ用工具本体を回動させてパージ筒から取り外すことができる。
また、パージ筒が開放している状態では、操作部は最もパージ用工具本体から離れた状態に位置しており、そのときの操作部は前記ボタン収容室の一側方を閉じる位置にある。この状態では、係止ピンのロック解除用ボタンは、前記操作部が邪魔になって操作することができず、係合ピンの前記一端を係合凹部から引き上げることができない。このように、パージ筒が開放した状態では、係止ピンによるロック状態は解除することができないから、パージ用工具本体は回動阻止状態に保持されたままであり、パージ筒から取り外すことができない。
【発明の効果】
【0013】
ガス圧検査やエアパージを行う際には、ガス栓本体の検査口に設けられ且つ詰栓の締め付けによって開閉可能なパージ筒に、詰栓を開閉する操作部を具備させたパージ用工具本体が取り付けられる。パージ筒を開放させる際に詰栓は取り外されることがないから、ガス圧検査やエアパージの作業中に詰栓を紛失させる不都合はない。
また、詰栓が開放状態にあるときは、パージ用工具本体は、ロック手段により、パージ筒に抜け止め状態にロックされた状態に保持されて、前記ロック手段は、詰栓でパージ筒を閉塞させないと解除できない構成となっているから、ガス圧検査やエアパージの作業終了後に、ロック手段を解除してパージ用工具本体が取り外されるときには、詰栓は必然的にパージ筒を閉塞した状態となっている。よって、詰栓の閉め忘れを確実に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に従って詳述する。
本発明の実施の形態の検査口付きガス栓は、
図1及び
図2に示すように、せん収容部(11)の両側に、ガス管接続筒部(1a)(1b)が連設されている、直線型のガス栓であり、ガス栓本体(1)の上流側のガス管接続用筒部(1a)から下流側のガス管接続用筒状部(1b)まで直線状のガス流路(10)が形成されている。
せん収容部(11)には、
図4及び
図5に示すように、ガス通路孔(60)が貫通するせん(6)が回動自在に収容されており、せん収容部(11)の胴部のうち、上流側のガス管接続用筒状部(1a)側から見て右側面で且つ上流側寄りに、検圧口(12)が開放している。なお、検査口(12)には、
図2に示すように、パージ筒(13)が螺合接続されると共に、パージ筒(13)内には詰栓としての
ネジ栓(14)が頭部(14a)までねじ込まれて閉塞された状態となっている。
【0016】
ネジ栓(14)は、頭部(14a)からパージ筒(13)に螺合可能な中空ネジ軸(14b)が連続する形状であり、中空ネジ軸(14b)の基端部には、ガス挿通孔(14c)が開放している。通常のガス栓使用時には、ネジ栓(14)は、パージ筒(13)内に締め付けられ、頭部(14a)は、Oリング(P1)によってシールされた状態で、パージ筒(13)内に全体が収容される。
【0017】
パージ筒(13)の胴部からは、略三角形状の鍔部(13a)が外方に張り出している。
また、検査口(12)の基端部となるガス栓本体(1)の側壁のうち、下流側のガス管接続用筒状部(1b)寄りには、
図2に示すように、平面部(15)と、パージ筒部(13)側から見て平面部(15)よりも反時計回りの方向に位置する係合凹部(16)が形成されている。
【0018】
せん収容部(11)内に収容されているせん(6)は、操作つまみ(17)によって回動操作可能となっており、通常のガス使用時には、通常の開閉操作位置内でのみ回動操作可能となるように操作つまみ(17)の回動は規制されている。この回動規制機構の構成は従来のものと同様のものが採用可能である。
通常の使用時においては、前記回動規制機構によって、せん(6)のガス通過孔(60)が、
図4に示すような、ガス流路(10)に開放する全開状態から、図示しないが、せんの摺動部によってガス流路(10)が閉塞される全閉状態との間の90度の範囲に規制されており、この開閉操作範囲内で回動する操作つまみ(17)は、回動規制機構に設けられたロック機構を意図的に解除させない限り、前記開閉操作位置を超えて回動させることはできない構造になっており、
図5に示すような、ガス流路(10)とパージ筒(13)とがせん(6)のガス通過孔(60)を介して連通するガス圧検査・パージ位置に到達させることはできない。
【0019】
このガス栓本体(1)にガス圧検査又はエアパージを実施する際には、パージ筒(13)に、パージ用工具本体(2)が取り付けられる。
パージ用工具本体(2)のケース体(20)の側壁には、出口筒として、ソケットが脱着自在なプラグ筒(21)が突設されている。また、ケース体(20)のパージ筒(13)側の一端(20a)には、
図1の(A)に示すように、鍔部(13a)と略同大同形の係合孔部(23)が形成されてあり、他端(20b)には、後述する操作部(25)がちょうど収容可能な大きさの操作部収容部(24)が他端(20b)に開放するように形成されている。
また、ケース体(20)内には、ネジ栓(14)の頭部(14a)の三つの係合孔(h)に係合してネジ栓(14)を回動させるための三つの係合突起を先端部に備えた連結軸(22)が、コイルバネ(S1)によって、バネ受け用フランジ板(22a)側に付勢された状態で収容されている。この連結軸(22)には、固定ネジ(B)によって、操作部(25)が相対回動阻止状態にネジ止めされている。
【0020】
なお、ケース体(20)の側壁に沿って、後述する係合ピン(3)が収容される係合ピン収容部(26)が設けられている。
係合ピン(3)は細軸部(3a)と太軸部(3b)とからなり、係合ピン収容部(26)には、細軸部(3a)の先端に具備させるロック解除用ボタン(31)がちょうど収容可能なボタン収容室(26a)が、操作部収容部(24)と同じ方向に開放するように形成されている。このボタン収容室(26a)は、一側方が操作部収容部(24)の開放端側に開放するように、三方が囲まれた横断面略コ字状に形成されている。
【0021】
また、係合ピン(3)の太軸部(3b)の端面からは係合突起(30)が突設されている。
この係合ピン(3)を細軸部(3a)側から、係合ピン収容部(26)に、ケース体(20)の前記一端(20a)側から、コイルバネ(S2)を介して差し込み、細軸部(3a)の先端をボタン収容室
(26a)の貫通孔(26b)からボタン収容室
(26a)内に突出させると共に、その突出端に、ロック解除用ボタン(31)を螺合接続させる。これにより、係合ピン(3)は、係合ピン収容部(26)内に、抜け止め状態に保持されると共に、コイルバネ(S2)の付勢力によって、太軸部(3b)の先端の係合突起(30)が、係合ピン収容部(26)から、ケース体(20)の一端(20a)側に突出する態様となる。
【0022】
図2に示すガス栓本体(1)に、ガス圧検査又はエアパージを実施するには、連結軸(22)、操作部(25)及び係合ピン(3)を上記した要領で搭載させたパージ用工具本体(2)を、パージ筒(13)に取り付ける。
これには、パージ用工具本体(2)のケース体(20)の一端(20a)に形成されている係合孔部(23)の形状を、パージ筒(13)の鍔部(13a)の形状に合わせると共に、係合ピン収容部(26)から突出している係合ピン(3)の係合突起(30)が、ガス栓本体(1)の平面部(15)に対応するように、ケース体(20)の向きを調節し、係合孔部(23)に鍔部(13a)を挿通させる。
図3は、係合孔部(23)に鍔部(13a)を挿通させた直後の様子を示しており、係合ピン(3)は、係合突起(30)の先端が平面部(15)に当たって押されることにより、ロック解除用ボタン(31)がボタン収容室(26a)から突出した状態となっている。
【0023】
この
図3の状態から、パージ用工具本体(2)を反時計回りに回動させる。これにより、鍔部(13a)の外周形状が係合孔部(23)の内周形状とずれることにより、鍔部(13a)は係合孔部(23)の周縁に係合することにより、パージ用工具本体(2)はパージ筒(13)に対して抜け止め状態となると同時に、係合ピン(3)の係合突起(30)が平面部(15)に当接した状態から、コイルバネ(S2)の付勢力によって係合凹部(16)に嵌まり込むことにより、パージ用工具本体(2)の回動が阻止される。これが、パージ用工具本体(2)がパージ筒(13)に対して抜け止め状態にロックされた状態である。
【0024】
なお、パージ用工具本体(2)の装着状態にて、操作部収容部(24)の開放端から操作部(25)が突出している状態では、ケース体(20)内の連結軸(22)に突設させた係合突起が、ネジ栓(14)の頭部(14a)に設けられている係合孔(h)に係合していない状態であるから、操作部(25)を回動調節して、前記係合突起を係合孔(h)に差し込む。係合突起が係合孔(h)に差し込まれると、
図3及び
図4に示すように、操作部(25)は操作部収容部(24)内に内嵌され、上方に突出することはない。
【0025】
すなわち、パージ用工具本体(2)のパージ筒(13)への正しい装着状態では、係合ピン(3)のロック解除用ボタン(31)の全体がボタン収容室(26a)内に収容された状態にあると同時に、操作部(25)の全体が操作部収容部(24)内に収容された状態となる。この装着状態では、パージ筒(13)はネジ栓(14)で閉塞されたままである。
【0026】
ガス圧検査又はエアパージを実施するには、パージ用工具本体(2)のプラグ筒(21)に、ゴム管を接続したソケットを装着し、操作部(25)を反時計回りに回動させることにより、ネジ栓(14)を、連結軸(22)を介して、ネジが緩められる方向に回転させる。この回転に伴い、ネジ栓(14)、連結軸(22)及び操作部(25)は、
図4の位置から、
図5に示す位置へ移動させられ、連結軸(22)に設けられているバネ受け用のフランジ板(22a)がケース体(20)内に設けられているバネ受け用筒部(27)の端縁に当接した時点で、操作部(25)はそれ以上回動させることはできない。この状態が、ネジ栓(14)が開放状態となり、操作部(25)がパージ用工具本体(2)から最も後退した位置であり、ガス圧検査又はエアパージのための流路をパージ筒(13)から、ネジ栓(14)の中空のネジ軸(14b)及びガス挿通孔(14c)を介して、プラグ筒(21)へ連通させることができる。
【0027】
上記要領にてネジ栓(14)を緩めてパージ筒(13)を開放させた状態においては、
図5に示すように、操作部(25)が操作部収容部(24)から突出することにより、係合ピン収容部(26)のボタン収容室(26a)の一側方が操作部(25)で閉塞された態様となる。このため、ネジ栓(14)がパージ筒(13)を閉塞していない状態では、操作部(25)が邪魔になって、係合ピン(3)のロック解除用ボタン(31)を引き上げることができない。
【0028】
そして、このパージ筒(13)を開放させた状態にて、操作つまみ(17)のガス圧検査・パージ位置への規制を解除し、操作つまみ(17)を前記通常の開閉操作位置を超えた範囲へ回動させれば、せん(6)は、
図5に示すように、ガス通過孔(60)の一部がパージ筒(13)側に開放するガス圧検査・パージ位置へ回動させることができ、ガス栓本体(1)のガス流路(10)をパージ用工具本体(2)のプラグ筒(21)に連通させることができる。よって、ガス圧検査又はエアパージを実施することができる。
【0029】
ガス圧検査又はエアパージの作業終了後、操作つまみ(17)を閉位置に戻し、パージ用工具本体(2)を取り外す。
パージ用工具本体(2)を取り外すには、ケース体(20)をパージ筒(13)に抜け止め状態にロックしている係合ピン(3)の係合状態を解除しなければならないが、
図5に示すように、ネジ栓(14)がパージ筒(13)を開放する方向に緩められたままでは、操作部(25)が邪魔になって、係合ピン(3)のロック解除用ボタン(31)をボタン収容室(26a)から引き出す操作ができない。
【0030】
そこで、操作部(25)を時計回りに回動させて、ネジ栓(14)を連結軸(22)を介してパージ筒(13)内に締め付ける。ネジ栓(14)を閉塞位置に達するまで操作部(25)を締め付けると、パージ筒(13)がネジ栓(14)で閉塞されると共に、操作部(25)が操作部収容部(24)内に収容される。すると、
図4に示すように、ロック解除用ボタン(31)は操作部(25)よりも上方に位置する態様となるから、ロック解除用ボタン(31)を指で引き上げることができる。
ロック解除用ボタン(31)を引き上げることにより、係合ピン(3)の係合突起(30)と係合凹部(16)との係合が解除され、パージ用工具本体(2)はガス栓本体(1)に対して回動自在となる。
パージ用工具本体(2)を回動させることにより、パージ筒(13)の鍔部(13a)に、ケース体(20)の係合孔部(23)を合わせば、パージ用工具本体(2)はガス栓本体(1)から引き抜くことができる。
【0031】
このように、パージ用工具本体(2)をガス栓本体(1)から取り外すには、パージ筒(13)はネジ栓(14)で閉塞されていなければならないから、ネジ栓(14)が閉め忘れられたまま放置されることはあり得ない。
また、ガス圧検査やエアパージの作業時でも、ネジ栓(14)は取り外されることはないから、紛失する不都合もない。
なお、パージ筒(13)の鍔部(13a)と、ケース体(20)の係合孔部(23)の形状は、円形以外なら、他の多角形状であっても良い。