(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記光受信機は、ケースやトレイとは別の部材として、スライド片を製造しなければならないため、部品数が増加し、ひいては、光受信機の製造工程数や製造コストが増加するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、部品数を増加させることなく、防水を行うことができる光受信機の筐体を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、光受信機の筐体であって、
光ケーブルを介して伝送された光信号を電気信号に変換して出力する変換部と、前記変換部に電源を供給する電源部とを収納する本体空間を有する本体部と、
前記本体部に開閉自在に固着される蓋部と、
前記本体部に前記蓋部が固着されて形成される収納ケースの内部の収納空間に収納され、前記光ケーブルの余長を収納するトレイと、
前記収納空間と外部とを隔てる前記収納ケースの外壁面に形成されている、前記電源部に接続された電源ケーブルを引き出すための挿通口と、
前記トレイと一体形成され、かつ、前記トレイが前記収納空間に収納された状態において、前記トレイとの接続部位を軸として、前記挿通口を覆う被覆位置から前記挿通口を開放する開放位置まで回動自在に形成された防水カバー片と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光受信機の筐体において、
前記トレイ及び前記防水カバー片は、合成樹脂により形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光受信機の筐体において、
前記トレイは、前記防水カバー片を前記開放位置で保持する保持部を有し、
前記防水カバー片は、前記被覆位置では前記挿通口に嵌合し、前記開放位置では前記保持部に嵌合する形状を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光受信機の筐体において、
前記トレイは、前記光ケーブルを前記トレイの内部に引き込むための引込口と、前記引込口に連通して前記光ケーブルを挟持する挟持溝とを有し、
前記挟持溝の幅方向において、前記引込口に対して前記挟持溝の位置がずれていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光受信機の筐体において、
前記挟持溝は、前記挟持溝の幅方向に複数並べて設けられており、
前記引込口の数は前記挟持溝の数よりも少ないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光受信機の筐体は、トレイと一体的に防水カバー片が形成されており、防水カバー片がトレイとの接続部位を軸として回動することで挿通口が開閉する。よって、部品数を増加させることなく、光受信機の筐体の防水を行うことができる。
【0014】
また、請求項2に記載の光受信機の筐体によれば、トレイ及び防水カバー片は合成樹脂により形成されているため、トレイと防水カバー片との接続部位を軟らかくし、接続部位を軸として防水カバー片を容易に回動させることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の光受信機の筐体によれば、電源部が本体部から取り出されている場合には、防水カバー片が挿通口と嵌合することで挿通口が閉じられ、防水を行うことができる。一方、電源部が本体部に収納されている場合には、防水カバー片がトレイに形成された保持部と嵌合することで、防水カバー片の妨害を受けることなく、挿通口に電源ケーブルを通すことができる。
【0016】
また、請求項4に記載の光受信機の筐体によれば、引込口の位置に対して、挟持溝の位置がずれているため、引込口から雨水等が浸入しても、挟持溝の側壁で跳ね返され、挟持溝を伝って内部に浸入しにくい。よって、防水性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の光受信機の筐体によれば、挟持溝の数よりも引込口の数を少なくした、すなわち、光ケーブルの数よりも引込口を少なくしたことにより、引込口から挟持溝への雨水等の浸入がより抑制される。よって、防水性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。
<構成>
まず、本実施形態に係る光受信機の筐体である筐体100の全体構成について、
図1を参照して説明する。筐体100は、ケース本体部20と、ケース本体部20に開閉自在に固着されるケースカバー部10と、光ケーブルの余長を収納する光ファイバートレイ30と、を備える。ここでは、ケース本体部20の深さ方向をx方向、ケース本体部20の長手方向をy方向、ケース本体部20の短手方向をz方向とし、x方向を筐体100の上下方向、y方向を筐体100の前後方向、z方向を筐体100の左右方向とする。
【0020】
ケース本体部20及びケースカバー部10は、樹脂成形により製造される。ケース本体部20は、矩形状となっている底面の4辺の各縁部から略直立に起立する4枚の外壁面21A〜21Dを備え、上面が開口された箱形状に形成されている。
図1では、外壁面21C,21Dは示されていないが、外壁面21Dは外壁面21Bと対向する面であり、外壁面21Cは外壁面21Aと対向し外壁面21C及び外壁面21Dに挟まれた面である。
【0021】
ケース本体部20は、
図12に示すように、箱形状の内部に、光ケーブルを介して伝送された光信号を電気信号に変換して出力する変換部60と、変換部60に電源を供給する電源部70とを収納する本体空間SBを有する。筐体100と変換部60と電源部70とから光受信機が構成される。一般に、光受信機を屋内に設置する場合、
図12に示すように、ケース本体部20の本体空間SBに、変換部60及び電源部70を収納して使用する。一方、光受信機を屋外に設定する場合、
図8に示すように、本体空間SBには変換部60のみを収納し、電源部70は本体空間SBから取り出して使用する。
【0022】
外壁面21のうちの前方の面である外壁面21Aには、端子口23,24が形成されている。端子口23,24は、それぞれ、変換部60の出力用の同軸端子61,出力検査用の同軸端子62を外部へ突出させる孔である。端子口23,24は同軸端子61,62により常に塞がれている。また、
図5に示すように、外壁面21Aの右端側には、下側に凹んだ切欠部22aが形成されている。
【0023】
さらに、外壁面21Aには、光ケーブルを筐体100の内部に通すための光ケーブル導入口25が形成されている。また、外壁面21Aには、入力する光信号及び出力する電気信号の信号レベルの状態を色で表示する表示灯26が埋め込まれている。さらに、外壁面21Aの下端には、4つの取付片27が突出するように形成されている。取付片27には、螺子孔が形成されており、螺子孔に螺子を挿通して家屋の壁等に固着することにより、家屋の壁等に光受信機が設置される。なお、光受信機を屋外の壁等に設置する場合は、外壁面21Aを地面に向けて設置することが望ましい。
【0024】
ケースカバー部10は、矩形状の上面の4辺の各縁部から略直立に起立する4枚の外壁面11A〜11Dを備え、底面が開口された箱形状に形成されている。外壁面11B〜11Dは、それぞれケース本体部20の外壁面21B〜21Dを覆うような深い壁に形成されており、外壁面11Aは、外壁面21Aの上に配置されるような低い壁に形成されている。なお、
図1では、外壁面11C,11Dは示されていないが、外壁面11Dは外壁面11Bと対向する面であり、外壁面11Cは外壁面11Aと対向し外壁面11B及び外壁面11Dに挟まれた面である。
【0025】
外壁面11Aの右端側は、下側に延伸しており、この延伸した部分に上側に凹んだ切欠部22bが形成されている。切欠部22bは、z軸方向において外壁面21Aに形成された切欠部22aに対応する位置に形成されている。
【0026】
外壁面11B,11Dの後端側には、軸孔14が形成されている。また、ケース本体部20の左右の外壁面21B,21Dには、軸孔14に対応する位置に断面円形の突起である枢軸12が形成されている。この枢軸12に、軸孔14が嵌め込まれることにより、ケース本体部20に対してケースカバー部10が開閉自在に取り付けられる。
【0027】
そして、ケースカバー部10の上面の前端側から延伸した延伸部には螺子孔13が形成されており、螺子孔13に螺子が挿通されてケース本体部20にケースカバー部10が固着される。ケース本体部20にケースカバー部10を固着すると収納ケースが形成される。形成された収納ケースでは、ケース本体部20の外壁面のうち、外壁面21Aのみが露出した状態となる。そして、外壁面21Aと外壁面11Aとが組み合わされると、切欠部22aの凹み部分と切欠部22bの凹み部分とが対向して、挿通口22が形成される。
【0028】
挿通口22は、電源部70の電源ケーブル71を本体空間SBから外部へ引き出すための孔である。挿通口22は、電源部70をケース本体部20に収納して使用する場合は、電源ケーブル71により塞がれるが、電源部70をケース本体部20から取り出して使用する場合は、開いた状態となる。本実施形態では、ケースカバー部10が蓋部、ケース本体部20が本体部に相当する。また、外壁面21A〜21D及び外壁面11A〜11Dとの組み合わせが、収納空間SAと外部とを隔てる収納ケースの外壁面に相当する。
【0029】
光ファイバートレイ30は、ポリプロピレン等の軟らかい合成樹脂で形成されている。光ファイバートレイ30は、
図2に示すように、矩形状の底面の左右両側の2辺と後側の1辺の各縁部から略直立に起立する3枚の外壁面32B〜32Dを備え、上面及び前面が開口された形状に形成されている。光ファイバートレイ30は、ケース本体部20に収納された変換部60及び電源部70の上側、すなわちケースカバー部10側に設置され、ケース本体部20にケースカバー部10が固着されて形成された収納ケースの内部の収納空間SAに収納される。収納空間SAは、本体空間SBを内包し、変換部60と電源部70とトレイ30を収納する容積を有する。なお、
図1では、便宜上、光ファイバートレイ30の形状は簡略化されている。
【0030】
光ファイバートレイ30の後側の外壁面32Cは、両端が湾曲しており、湾曲部の左右に外壁面32B及び32Dが接続されている。外壁面32B〜32Dで囲まれた内部には、底面38から立設された壁状のガイド部37が複数設けられている。筐体100内に引き込まれた光ケーブの余長は、ガイド部37に巻回されて収納される。
【0031】
また、光ファイバートレイ30の前端側には、防水カバー片40と、ケーブルクリップ50が、光ファイバートレイ30と同じ合成樹脂で、光ファイバートレイ30と一体的に形成されている。さらに、光ファイバートレイ30の後端側には、可動域制限部35が光ファイバートレイ30と一体的に形成されている。
【0032】
防水カバー片40は、開口した光ファイバートレイ30の前端、かつ、z軸方向において挿通口22に対応する位置から延伸されて形成されている。防水カバー片40は、薄肉部43と、第1嵌合部42と、第2嵌合部41とを備える。
【0033】
薄肉部43は、防水カバー片40のその他の部分や光ファイバートレイ30よりも薄く形成されており、光ファイバートレイ30と防水カバー片40との接続部位となっている。防水カバー片40は、光ファイバートレイ30が収納空間SAに収納された状態において、薄肉部43を軸として、挿通口22を覆う被覆位置から挿通口22を開放する開放位置まで回動自在に形成されている。被覆位置は、底面38に対して下側に90°回動した位置であり、開放位置は、底面38に対して上側に90°回動した位置である。すなわち、防水カバー片40は、薄肉部43を軸として、180°の範囲を回動するように形成されている。
【0034】
第1嵌合部42は、防水カバー片40を底面38に対して平行にした状態において、防水カバー片40の底面から上側に突起した凸部である。また、第1嵌合部42は、被覆位置において、その鉛直断面の形状が挿通口22の形状と一致するように形成されている。
【0035】
第2嵌合部41は、防水カバー片40の底面から外壁面32B側に突出した突出片である。一方、外壁面32Bには、その前端に、防水カバー片40を開放位置で保持する保持部31が形成されている。第2嵌合部41は、開放位置において、保持部31に嵌合する形状に形成されている。
【0036】
次に、ケーブルクリップ50の拡大図を
図3に示す。ケーブルクリップ50は、開口した光ファイバートレイ30の前端、かつ、光ファイバートレイ30を収納空間SAに収納した状態において、光ケーブル導入口25に重なる位置に形成されている。ケーブルクリップ50は、光ケーブルを光ファイバートレイ30の内部に引き込むための引込口51と、引込口51に連通して光ケーブルを挟持する挟持溝53と、挟持溝53に挟持された光ケーブルを押さえるケーブルストッパー55とを有する。
【0037】
引込口51は、2つの引込口51A,51Bから構成されている。引込口51A,51Bは、光ファイバートレイ30の前端に、外壁面32D側から立設した前板59に設けられた2つの孔である。孔の内側は、3つの仕切壁52A〜52Cにより、2つの孔に対応した2つの空間に仕切られている。
【0038】
挟持溝53は、4つの挟持溝53A〜53Dから構成されている。挟持溝53A〜53Dは、5つの仕切壁54〜54Eで仕切られて4つの溝となっている。ここでは、x軸方向を挟持溝53の深さ方向、y軸方向を挟持溝53の長さ方向、z軸方向を挟持溝53の幅方向とする。
【0039】
仕切壁54A,54C,54Eは、それぞれ仕切壁52A,52B,52Cと連続しており、仕切壁54Bは、仕切壁54Aと仕切壁54Cとの間に設置され、仕切壁54Dは、仕切壁54Cと仕切壁54Eとの間に設置されている。そして、仕切壁54Aと仕切壁54B、仕切壁54Bと仕切壁54C、仕切壁54Cと仕切壁54D、仕切壁54Dと仕切壁54Eで仕切られた溝がそれぞれ、挟持溝53A、53B、53C、54Dとなっている。すなわち、引込口51Aは挟持溝53A,53Bに連通し、引込口51Bは挟持溝53C,53Dに連通している。そして、挟持溝53A,53Cの底面が底面38と同じ面に形成されているのに対して、挟持溝53B,53Dの溝の底面は底面38よりも高い位置に形成されている。
【0040】
挟持溝53は、挟持溝53の幅方向に複数並べて設けられているとともに、引込口51は、挟持溝53よりも少ない数に形成されている。そして、引込口51A,51Bのy軸方向の延長線上には、それぞれ仕切壁54B,54Dが設置されている。よって、挟持溝53の幅方向において、引込口51A,51Bに対して、挟持溝53A〜53Dの位置がずれている。すなわち、引込口51A,51Bのy軸方向の軸線と、挟持溝53A〜53Dのy軸方向の軸線とはずれている。よって、引込口51Aから内部へ引き込んだ光ケーブルを、挟持溝53A及び挟持溝53Bのどちらで挟持する場合でも、光ケーブルは、yz平面上で蛇行した状態で挟持される。同様に、引込口51Bから内部へ引き込んだ光ケーブルを、挟持溝53C及び挟持溝53Dのどちらで挟持する場合でも、光ケーブルは、yz平面上で蛇行した状態で挟持される。
【0041】
本実施形態では、光ケーブルとして、
図3に破線で示すドロップケーブル81A,81Bと、鎖線で示すφ3光ケーブル82A,82Bの4本を使用する。ドロップケーブル81A,81Bは、断面が長方形状の光ケーブルであり、長手方向がx軸方向となるように挟持され、データ信号の伝送に用いられる。φ3光ケーブル82A,82Bは、断面が略円形状の光ケーブルであり、テレビ信号の伝送に用いられる。引込口51Aは、挟持溝53の深さ方向に、ドロップケーブル81Aとφ3光ケーブル82Aが重ねて挿入される長さに形成されている。引込口51Bも同様に形成されている。ドロップケーブル81A及びφ3光ケーブル82Aは、引込口51Aから内部に引き込まれ、ドロップケーブル81Aが挟持溝53Aで挟持されるとともに、φ3光ケーブル82Aが挟持溝53Bで挟持される。ドロップケーブル81B及びφ3光ケーブル82Bも同様である。そして、挟持溝53A〜53Dで挟持されたドロップケーブル81A,81B及びφ3光ケーブル82A,82Bは、ケーブルストッパー55により押さえられて固定される。本実施形態では、ドロップケーブル81Aとφ3光ケーブル82Aとが重ねて固定される例を説明したが、ドロップケーブ81Aとφ3光ケーブル82Aを同時に使用しない場合は、どちらか一方を引込口51Aから挿入して固定できるようになっていればよい。ドロップケーブ81Bとφ3光ケーブル82Bについても同様である。
【0042】
ケーブルストッパー55は、仕切壁54Aから延伸された矩形状の板部材として形成されており、薄肉部58と、突起部511と、嵌合部56a,57aとを備える。薄肉部58は、ケーブルストッパー55のその他の部分よりも薄く形成されており、ケーブルストッパー55と仕切壁54Aとの接続部位となっている。ケーブルストッパー55は、薄肉部58を軸として、挟持溝53の上部に被さった位置から、挟持溝53上部を開いた位置まで回動自在に形成されている。
【0043】
突起部511は、y軸方向に伸びた細長い4つの突起から構成されている。各突起は、ケーブルストッパー55が挟持溝53の上側に被さった状態において、挟持溝53A〜53Dに合致し、挟持溝53に挟持されている光ケーブルを下向きに押さえる。嵌合部56a,57aは、ケーブルストッパー55が挟持溝53の上側に被さった状態において、それぞれ、仕切壁54Eから突出する嵌合部56b,57bに嵌合する。ケーブルストッパー55を挟持溝53の上側に被せて、嵌合部56a,57aを嵌合部56b,57bと嵌合することによって、挟持溝53に挟持された光ケーブルが溝から抜けないように保持される。
【0044】
次に、可動域制限部35の構成を
図4に示す。
図4は、光ファイバートレイ30の防水カバー片40を通る線で切断したxy断面図である。可動域制限部35は、光ファイバートレイ30の後端側から突起し、断面がV字形状に形成された突起部である。可動域制限部35は、光ファイバートレイを収納空間SAに収納した状態において、本体空間SBの電源部70の後面と外壁面21Cとの隙間Sに挿入され、電源部70の可動域を制限する。
【0045】
<屋外使用>
光受信機を屋外に設置する場合、本体空間SBから電源部70を取り出して使用する。
図5に屋外使用時における筐体100の挿通口22付近の拡大図を示し、
図6に屋外使用時におけるケースカバー部10を外した状態の筐体100の外観を示す。
図5及び
図6に示すように、屋外使用の場合は、防水カバー片40を被覆位置まで回動させて、挿通口22に第1嵌合部42を嵌合させる。これにより、防水カバー片40が被覆位置で保持されるとともに、挿通口22が塞がれる。
【0046】
また、
図7に屋外使用時における筐体100の前面図を示し、
図8に屋外使用時における筐体100の挿通口22を通る線で切断したxy断面図を示す。
図8に示すように、屋外使用の場合は、本体空間SBの前側部分には変換部60が収納され、電源部70が収納される本体空間SBの後側部分は空いた状態となっている。
【0047】
屋外使用時では、変換部60の同軸端子61と電源部70の同軸端子とを同軸ケーブルで接続し、同軸ケーブルを介して電源部70から変換部60に電源が供給される。また、同軸端子61から出力される電気信号は、同軸ケーブル及び電源部70を介してテレビに伝送される。
【0048】
<屋内使用>
光受信機を屋内に設置する場合、本体空間SBに電源を収納して使用する。
図9に屋内使用時における筐体100の挿通口22付近の拡大図を示し、
図10に屋内使用時におけるケースカバー部10を外した状態の筐体100の外観を示す。
図9及び
図10に示すように、屋内使用の場合は、防水カバー片40を開放位置まで回動させて、保持部31に第2嵌合部41を嵌合させる。これにより、防水カバー片40が、電源ケーブル71の挿通口22への挿通を妨げることがない。
【0049】
また、
図11に屋内使用時における筐体100の前面図を示し、
図12に屋内使用時における筐体100の挿通口22を通る線で切断したxy断面図を示す。
図12に示すように、屋内使用の場合は、本体空間SBの前側部分に変換部60が収納され、本体空間SBの後側部分に変換部60に当接して電源部70が収納されている。そして、本体空間SBの電源部70と外壁面21Cとの隙間Sに可動域制限部35が挿入されている。これにより、電源部70の後方向への動きが制限され、電源部70は前方向すなわち変換部60の方向へ押し付けられる。よって、変換部60と電源部70との接続が強固に維持される。
【0050】
屋内使用時では、本体空間SBに収納された電源部70の給電端子が、変換部60の受電端子に接続されている。そして、電源ケーブル71、給電端子及び受電端子を介して、電源部70から変換部60に電源が供給される。また、同軸端子61から出力される電気信号は、同軸ケーブルを介してテレビに伝送される。
【0051】
<効果>
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)光ファイバートレイ30と一体的に防水カバー片40が形成されており、防水カバー片40が薄肉部43を軸として回動することで挿通口22が開閉する。よって、部品数を増加させることなく、筐体100の防水を行うことができる。
【0052】
(2)光ファイバートレイ30及び防水カバー片40は、軟らかい合成樹脂により形成されているため、薄肉部43を軸として防水カバー片40を容易に回動させることができる。
【0053】
(3)電源部70が本体空間SBから取り出されている場合には、防水カバー片40が挿通口22と嵌合することで、挿通口22が閉じられ、筐体100の防水を行うことができる。一方、電源部70が本体空間SBに収納されている場合には、防水カバー片40が光ファイバートレイ30に形成された保持部31と嵌合することで、防水カバー片40が、電源ケーブル71の挿通口22への挿通を妨げることがない。
【0054】
(4)挟持溝53の幅方向において、引込口51の位置に対して、挟持溝53の位置がずれているため、引込口51から雨水等が浸入しても、仕切壁54B,54Dで跳ね返され、挟持溝53を伝って内部に浸入しにくい。よって、防水性を向上させることができる。
【0055】
(5)挟持溝53の数よりも引込口51の数を少なくしたことにより、引込口51から挟持溝53への雨水等の浸入がより抑制される。よって、防水性をさらに向上させることができる。
【0056】
(他の実施形態)
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0057】
(a)上記実施形態では、挿通口22を、ケース本体部20の外壁面21Aに形成された切欠部22aと、ケースカバー部10の外壁面11Aに形成された切欠部22bと、を組み合わせて形成しているが、これに限らない。挿通口22は、外壁面21A及び外壁面11Aのいずれか一方に形成された孔であってもよい。
【0058】
(b)上記実施形態では、可動域制限部35を光ファイバートレイ30に形成したが、可動域制限部35は、ケースカバー部10やケース本体部20に形成してもよい。
(c)上記実施形態では、引込口51の数を2つ、挟持溝53の数を4つとしたが、これに限定されるものではなく、任意の数とすればよい。また、挟持溝53の幅方向において、引込口51に対して挟持溝53の位置がずれていれば、引込口51の数と挟持溝53の数を同じ数にしてもよい。引込口51と挟持溝53の数が同じでも、位置がずれていれば防水効果が得られる。
【0059】
(d)上記実施形態では、光ファイバートレイ30が防水カバー片40とケーブルクリップ50の両方を備えているが、一方のみを備えていてもよい。一方のみを備えていても、筐体100の防水効果が得られる。また、筐体100は、可動域制限部35を備えていなくてもよい。
【0060】
(e)筐体100の防水を目的としていない場合、例えば、筐体100を屋内でしか使用しない場合には、光ファイバートレイ30は、防水カバー片40及びケーブルクリップ50を備えず、可動域制限部35を備えるだけでもよい。
【0061】
(f)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0062】
(g)上述した光受信機の筐体の他、当該光受信機の筐体を構成要素とする光受信機、光受信機の防水方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。