特許第6663803号(P6663803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライオン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663803
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】シミ除去方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/72 20060101AFI20200302BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20200302BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   C11D1/72
   C11D17/08
   C11D1/52
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-122026(P2016-122026)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-226728(P2017-226728A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】永元 しのぶ
(72)【発明者】
【氏名】小倉 弘嗣
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−072396(JP,A)
【文献】 特開2007−209874(JP,A)
【文献】 特開2007−246839(JP,A)
【文献】 特表2007−503409(JP,A)
【文献】 特開2004−231759(JP,A)
【文献】 特開2002−191952(JP,A)
【文献】 特開2002−080345(JP,A)
【文献】 特開2009−155578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有し、水を80質量%以上含有し、(B)成分に対する(A)成分の質量比を表す(A)/(B)が1以上であるシミ除去剤を、繊維製品の汚れ部分に塗布し、前記繊維製品の下に吸収シートを置いて叩くことによって、前記汚れ成分と前記シミ除去剤を吸収シートに吸収させる、シミ除去方法。
(A):ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油の脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上。
(B):脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる1種以上。
(C):(A)および(B)のいずれにも該当しないノニオン界面活性剤。
【請求項2】
前記シミ除去剤が、前記(A)成分を0.1〜10質量%、前記(B)成分を0.1〜5質量%、前記(C)成分を0.1〜10質量%含有する、請求項1記載のシミ除去方法。
【請求項3】
前記シミ除去剤が、水混和性有機溶媒を2〜12質量%含む、請求項1又は2に記載のシミ除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシミ除去剤に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類に付着した、食品、化粧品、汗などのシミ汚れを、家庭で簡便に落としたいというニーズは高く、多くのシミ除去剤が市販されている。しかし、シミ汚れは除去できても、その周囲に輪ジミが残る場合がある。
特許文献1には、先端の塗布押圧面に内容物が定量的に供給される容器にシミ除去剤を充填し、被洗物の下に吸収シートを置き、前記容器の塗布押圧面でシミ部分を叩くことによって、シミ除去剤を被洗物に浸透させるとともに、シミ成分をシミ除去剤に移動させて吸収シートに吸収させることによって、輪ジミを抑制しながらシミ汚れを除去する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−231759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の方法では綿布に対して、特にしつこい汚れを落とす際に出来る輪ジミ抑制効果が必ずしも充分とは言えず、さらなる改善が求められる。
本発明は、輪ジミ抑制効果に優れたシミ除去剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有し、(B)成分に対する(A)成分の質量比を表す(A)/(B)が1以上であるシミ除去剤。
(A):ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油の脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上。
(B):脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる1種以上。
(C):(A)および(B)のいずれにも該当しないノニオン界面活性剤。
[2] 水を80質量%以上含有する、[1]のシミ除去剤。
【0006】
[3]先端部から内容物を排出する容器に、[1]のシミ除去剤を充填してなる、容器入りシミ除去剤。
[4][3]の容器入りシミ除去剤と、吸収シートを有するシミ除去キット。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシミ除去剤は、輪ジミ抑制効果に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のシミ除去剤は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する。(A)成分及び(B)成分はそれぞれ特定のノニオン界面活性剤であり、(C)成分は(A)成分、(B)成分のいずれにも該当しないノニオン界面活性剤である。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油の脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である。
(A)成分は下式(1)で表される化合物の1種以上であることが好ましい。
【0010】
【化1】
【0011】
式(1)において、 Rは(CH10、または(CH−CH=CHCHであり、a、bおよびcはそれぞれ独立に0以上の数であり、l、mおよびnはそれぞれ独立に0以上の数であり、a+b+c+l+m+nは5〜100の数であり、
X、YおよびZはそれぞれ独立にHまたはCOR(但し、Rは炭素数11〜21のアルキル基またはアルケニル基)であり、X、YおよびZはHが好ましい。
は直鎖状でも、分岐状でもよい。Rの炭素数は11〜17が好ましい。
【0012】
シミ除去剤の総質量に対して、(A)成分の含有量は0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜7質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記の範囲内であると輪ジミ抑制効果に優れ、低温安定性にも優れる。
【0013】
<(B)成分>
(B)成分は、脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれる1種以上である。
脂肪酸アルカノールアミドの脂肪酸残基(脂肪酸からカルボキシ基を除いた1価の炭化水素基)であるアルキル基またはアルケニル基は、直鎖状でも分岐を有してもよく、直鎖状が好ましい。前記脂肪酸残基の炭素数は8〜22が好ましく、10〜18がより好ましく、12〜14が特に好ましい。脂肪酸アルカノールアミドは、モノアルカノールアミド構造を有するものであってもよく、ジアルカノールアミド構造を有するものであってもよい。輪ジミ抑制効果および低温安定性がより高まる点で、ジアルカノールアミド構造を有するものが好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドは上記脂肪酸アルカノールアミドにエチレンオキシドを付加したものであり、付加したエチレンオキシドのモル数は1〜5であり、好ましくは1〜3、特に好ましくは2である。
【0014】
(B)成分の具体例としては、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、イソステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド等の脂肪酸モノアルカノールアミド;
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンミリスチン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンパルミチン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンイソステアリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸モノイソプロパノールアミド等のポリオキシエチレン脂肪酸モノアルカノールアミド;
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸モジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジイソプロパノールアミド等の脂肪酸ジアルカノールアミド;
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンミリスチン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンパルミチン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸ジイソプロパノールアミド等のポリオキシエチレン脂肪酸ジアルカノールアミド;が挙げられる。
特に、輪ジミ抑制の効果に優れる点で脂肪酸ジアルカノールアミドが好ましい。脂肪酸ジアルカノールアミドとして、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド及びラウリン酸ジイソプロパノールアミドからなる群より選ばれる1種以上を用いることがより好ましく、少なくともラウリン酸ジエタノールアミドを用いることが特に好ましい。
【0015】
シミ除去剤の総質量に対して、(B)成分の含有量は0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.5〜1.5質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量上記範囲の下限値以上であると輪ジミ抑制効果に優れ、上限値以下であると低温安定性に優れる。
(B)成分に対する(A)成分の質量比を表す(A)/(B)は1以上であり、1超が好ましく、2以上がより好ましい。(A)/(B)が1以上であると輪ジミ抑制効果に優れる。また低温安定性にも優れる。(A)/(B)の上限は20以下が好ましく、5以下がより好ましい。
【0016】
<(C)成分>
(C)成分は(A)成分、(B)成分のいずれにも該当しないノニオン界面活性剤である。洗浄剤成分として公知のノニオン界面活性剤を使用できる。
例えば、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸又は高級アミン等にアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、アルキル(又はアルケニル)アミンオキサイド、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
(C)成分としてはポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましい。例えば下式(2)で表される化合物が好ましい。
−Q−[(EO)/(PO)]−R …(2)
式(2)中、Rは炭化水素基であり、Rは水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基であり、−Q−は−O−または−COO−であり、RおよびQの炭素数の合計が8〜22であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、dはEOの平均付加モル数を示す1〜30の数であり、eはPOの平均付加モル数を示す0〜5の数である。
【0018】
dは2〜20が好ましく、4〜15がより好ましく、5〜10がさらに好ましい。
eは0〜3が好ましく、0〜2がより好ましい。
としては、炭素数8〜22の炭化水素基が好ましく、炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、直鎖状でも分岐を有するものでもよい。炭素数は8〜18がより好ましく、8〜16が特に好ましい。
の炭化水素基としては、アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
−Q−が−O−の場合、Rの炭素数は8〜22が好ましく、Rは水素原子が好ましい。
−Q−が−COO−の場合、Rの炭素数は7〜21が好ましく、Rは炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
なお、EOとPOとは混在して配列していてもよく、(EO)/(PO)は、EOとPOとがランダム状に付加していてもよく、ブロック状に付加していてもよい。
【0019】
シミ除去剤の総質量に対して、(C)成分の含有量は0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲内であるとシミ汚れ落ちに優れ、高温安定性も良好である。
(C)成分の総質量に対して、上式(2)で表される化合物が30〜100質量%であることが好ましく、40〜100質量%がより好ましく、45〜100質量%がさらに好ましい。
シミ除去剤に含まれる(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計質量に対する、(C)成分の質量比を表す(C)/(A+B+C)は0.2〜0.8が好ましく、0.3〜0.6がより好ましく、0.4〜0.55がさらに好ましい。(C)/(A+B+C)の質量比が上記範囲の下限値以上であると安定性に優れ、上限値以下であるとシミ汚れ除去性に優れる。
【0020】
<(D)成分:溶媒>
本発明のシミ除去剤は、溶媒(D)を含むことが好ましい。溶媒(D)は水、または水と水混和性有機溶媒の混合物が好ましい。
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに20g以上溶解する有機溶媒をいう。水混和性有機溶媒としては、水と混合した際に均一な溶液となるものであればよく、例えば、炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール、下記式(3)で表されるグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。水混和性有機溶媒は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
−(ORO−R …(3)
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、またはカルボニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。fは平均繰返し数を表し、1〜5である。]
【0021】
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
炭素数2〜4の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。プロピレングリコールは、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、またはこれらの混合物が好ましい。
グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0022】
溶媒(D)が水を含む場合、シミ除去剤の総質量に対して、水の含有量は80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。水の含有量が上記範囲内であるとシミ汚れ落ちに優れ、高温安定性も良好である。
溶媒(D)が水混和性有機溶媒を含む場合、シミ除去剤の総質量に対して、水混和性有機溶媒の含有量は2〜20質量%が好ましく、4〜12質量%がより好ましい。水混和性有機溶媒の含有量が上記範囲の下限値以上であると安定性に優れ、上限値以下であるとシミ汚れ除去性に優れる。
【0023】
<その他の成分>
その他の添加剤として、防腐剤、消泡剤、pH調整剤、キレート剤、漂白剤、香料等を任意に含有させることができる。これらは公知の成分を用いることができる。
防腐剤としては当該技術分野で知られているものを使用可能であり特に限定されない。
具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、アルコール系化合物、ヨウ素系化合物などが挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)や、それらの混合物があげられる。CMITの具体例としてはケーソン(Kathon)CG−ICP(ダウケミカル社製)等、MITの具体例としてはネオロン(Neolone)950(ダウケミカル社製)等が挙げられる。
ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)などがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できる。BITの具体例としては、プロキセル(Proxel)BDN(ロンザジャパン株式会社製)、Nipacide BIT 20(クラリアントジャパン社製)等が挙げられる。
複数種類のベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物を用いる場合、それらを任意の混合比で使用することができる。
上記MITとBITとを含有する具体例としては、アクチサイドMBS(ソージャパン製)、AN−1000(ロンザジャパン株式会社製)が挙げられる。
アルコール系化合物の例としては、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールが挙げられる。
ヨウ素系化合物の例としては、3−ヨード−2−プロピニルN−ブチルカルバマートがあげられる。
安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができる。
防腐剤の含有量は、防腐剤としての機能を発揮する範囲で設定される。例えばシミ除去剤の総質量に対して、好ましくは0.0001〜1質量%である。
消泡剤の例としては自己乳化型シリコーンコンパウンド、シリコーンエマルジョンなどのシリコーン系消泡剤が挙げられる。
香料は輪ジミに影響がない範囲で用いることができる。
【0024】
シミ除去剤の25℃におけるpHは4〜8が好ましく、pH5〜7.5がより好ましく、pH6〜7.5がさらに好ましい。シミ除去剤のpHが上記範囲内であるとシミ除去剤を適用した繊維製品の変質防止効果に優れる。
pH調整剤としての酸性化合物としては、塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸や、クエン酸、リンゴ酸などのカルボン酸系化合物が挙げられる。アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。
【0025】
シミ除去剤の25℃における粘度(B型粘度計、1番ローター:1分間)は、1〜15mPa・sが好ましい。15mPa・s以下であると、繊維製品への浸透力に優れ、当て布や吸収体へ移動しやすく、繊維製品に残存し難いため、輪ジミ抑制効果に優れる。1mPa・s以上であると繊維製品への塗布量をコントロールしやすい。
【0026】
<使用方法>
本発明のシミ除去剤は、被洗物の下に吸収シートを置き、被洗物の汚れ(シミ)部分にシミ除去剤を塗布して叩く方法で使用することが好ましい。叩くことでシミ除去剤を被洗物の汚れ部分に浸透させ、汚れ成分をシミ除去剤に移動させ、汚れ成分とシミ除去剤を吸収シートに吸収させることができる。
本発明のシミ除去剤の製品形態としては、先端部から内容物を排出する容器に充填された容器入りシミ除去剤が好ましい。
また、該容器入りシミ除去剤と、吸収シートを有するシミ除去キットの製品形態も好ましい。
前記容器の先端部には、被洗物を叩くための押圧面が設けられ、該押圧面に容器内のシミ除去剤を定量的に供給する給液路が開口していることが好ましい。かかる容器としては、例えば特開2004−231759号公報に記載されている容器など公知のものを用いることができる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
<原料>
表1に示す原料は以下の通りである。
[(A)成分]
(a−1):ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(前記式(1)において、Rが(CH10、a=b=c=0、l+m+n=20、X、Y、ZがHである化合物)、(製品名:ブラウノンCW−20−90、青木油脂工業株式会社製)。
[(B)成分]
(b−1):ラウリン酸ジエタノールアミド(製品名:アミゾールLDE−G、川研ファインケミカル株式会社製)。
【0029】
[(C)成分]
(c−1):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(製品名:レオックスCL60、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、アルキル基の炭素数12〜14、エチレンオキシドの平均付加モル数6)。
(c−2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(製品名:NLME90、ライオンスペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、アルキル基の炭素数12〜14、エチレンオキシドの平均付加モル数5)。
[(D)成分:溶媒]
(d−1):1、2−プロパンジオール。
(d−2):ジエチレングリコールモノブチルエーテル(製品名:ブチルジグリコール(BDG)、日本乳化剤株式会社製)。
(d−3):ジエチレングリコールモノエチルエーテル(製品名:シーホゾールDG、株式会社日本触媒製)。
(d−4):モノエチレンジプロピレングリコールモノブチルエーテル(CO(CO)(CO)H、製品名:レオソルブ703B、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)
水:精製水。
[その他の成分]
pH調整剤:クエン酸。
防腐剤。
【0030】
<実施例1〜4、比較例1〜4>
実施例4は参考例である。
表1に示す組成に従い、(A)〜(C)成分とその他の成分と水とを全て混合し、25℃におけるpHが7となるようにpH調整剤を添加してシミ除去剤を調製した。
比較例4の配合は特開2004−231759号公報の表3に記載されているシミ除去組成物(a)に相当する。
水の含有量「バランス」は、シミ除去剤を全体で100質量%とするのに必要な量である。表中の「(A)/(B)」は、シミ除去剤中の(B)成分に対する(A)成分の質量比を表す。表中の配合量は純分換算値である。
シミ除去剤の25℃における粘度はいずれの例においても5mPa・sであった。
各例のシミ除去剤について、輪ジミ抑制効果及び低温安定性を以下の方法で評価した。
評価結果を表1に示す。
【0031】
<評価用シミ汚れ調製法>
綿布(油化協布)に口紅(花王株式会社製、製品名:オーブ クチュール エクセレントステイルージュOR803)6mgを円状に均一に塗布した。そのまま室温にて1週間放置して布にシミを形成したものを評価布とした。
【0032】
<シミ除去操作と輪ジミ評価>
シミ除去剤は、先端に塗布押圧面を有する容器(特開2004−231759号公報の実施例に記載の容器で、先端部が表1・Aのもの)に充填して使用した。
特開2004−231759号公報の実施例に記載の吸収シートCを、評価布のシミ付着部の裏側に敷いた後、シミ除去剤を充填した容器の塗布押圧面で叩く操作によりシミ除去を行った。シミ付着部全体を万遍なく叩くようにして、500回叩いた時点でシミ除去剤の濡れ広がりを確認し、3cm以下かそれ以上か判定した。シミ除去剤の濡れ広がりの大きさは、輪ジミの大きさと同じである。その後、水で濡らし固く絞ったタオルでシミ付着部を30回程度叩いた後、室温で風乾した。風乾後、輪ジミの見え方を目視で評価した。輪ジミ抑制効果について下記基準に従い判定した。
(判定基準)
5点:輪ジミが殆ど見えず、その大きさは3cm以下である。
4点:輪ジミが殆ど見えず、その大きさは3cmより大きい。
3点:輪ジミがやや見え、その大きさは3cm以下である。
2点:輪ジミがやや見え、その大きさは3cmより大きい。
1点:輪ジミがはっきり見える。
【0033】
<低温安定性評価法>
シミ除去剤50mLをガラス瓶(PS6ビン)に充填し、キャップを硬く閉め、−5℃と0℃のそれぞれの恒温室に24時間静置した後、外観を目視で評価した。下記基準に従い判定した。
(評価基準)
◎:−5℃で均一透明である。
○:−5℃では沈殿やにごりが生じて均一透明が維持されないが、0℃では均一透明である。
×:0℃で沈殿やにごりが生じて均一透明が維持されない。
【0034】
【表1】
【0035】
表1の結果に示されるように、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を併用し、(A)/(B)を1以上とした実施例1〜4は輪ジミ抑制効果に優れ、低温安定性も良好であった。