(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のユニットにおいて、前記ケーシングに、前記回路基板の前記直線形状部に沿う段差部が設けられるとともに、前記段差部から前記回路基板の側方に前記ハウジングが露呈していることを特徴とする空調用ブロアモータユニット。
請求項1〜3のいずれか1項に記載のユニットにおいて、前記ハウジングに、前記バスバーを通過させてその内部に挿入するためのスリットが形成されていることを特徴とする空調用ブロアモータユニット。
請求項5記載のユニットにおいて、前記支持盤に設けられて前記カプラ部を構成するハウジングと前記ケーシングとの間に、前記回転軸が回転する際に前記支持盤及び前記ハウジングが前記ケーシングに干渉しない距離でクリアランスが形成されていることを特徴とする空調用ブロアモータユニット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る空調用ブロアモータユニットにつき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以降における「上」、「下」は、
図1及び
図2における上方及び下方に対応する。
【0019】
図1〜
図3は、それぞれ、本実施の形態に係る空調用ブロアモータユニット10の概略全体斜視図、概略縦断面図、概略底面図である。この空調用ブロアモータユニット10は、ブラシレスモータ12と、該ブラシレスモータ12を収容したケーシング14とを有する。ブラシレスモータ12の回転軸68には、
図2に仮想線で示すブロアファン16が取り付けられる。
【0020】
ケーシング14は、いずれも樹脂からなる下側半体18(第2ケーシング部材)と上側半体20(第1ケーシング部材)とが組み合わされて構成される。下側半体18は、上側半体20に臨む側が開口した中空体であり、一方、上側半体20は、下側半体18に臨む側が開口した中空体である(特に
図2参照)。すなわち、下側半体18は底部を構成し、上側半体20は天井部を構成する。従って、ケーシング14も中空体として構成され、その中空内部は、上側半体20に形成された空気導入口22から導入された冷却風(空気)の流通路となる。なお、冷却風は、回転するブロアファン16によって発生する。
【0021】
下側半体18は、
図3の左方から右方に向かって直線状部24、大半円形状部26、小半円形状部28及び突出部30が連なることで構成される。直線状部24及び小半円形状部28には、下側半体18を上側半体20に連結する図示しない連結ネジを通すためのネジ挿通孔32a〜32cが形成されている。直線状部24のネジ挿通孔32aは、冷却風の流通を妨げない位置に形成される。また、ネジ挿通孔32bは、小半円形状部28と大半円形状部26との境界近傍に形成されたネジ挿通孔32cに対し、位相差が約120°となる位置に、後述するカプラ部40と干渉しないように形成される。
【0022】
直線状部24には、底壁部が上側半体20側に指向して折曲されることで、略逆V字形状をなす突部34が形成されている。すなわち、突部34の2個の側部は傾斜部である。後述するように、この突部34は、冷却風を案内する案内部として機能する。
【0023】
図2及び
図3に示すように、突部34をなす2個の傾斜部の外壁には、略三角形形状をなすリブ36が橋架される。換言すれば、リブ36は、下側半体18の外壁の、突部34の外面に対応する部位に設けられている。
【0024】
大半円形状部26は、小半円形状部28に比して大径であり、且つ弦を小半円形状部28と共有している(
図3参照)。このため、大半円形状部26と小半円形状部28の境界には、割線方向に沿う段差38a、38bが設けられる。前記ネジ挿通孔32cは、段差38aに形成されている。一方、段差38bには、図示しないハーネスを電気的に接続するためのカプラ部40が露出する。すなわち、カプラ部40は、下側半体18と隣り合うように設けられている。
【0025】
このカプラ部40は、大半円形状部26内に収容される回路基板42(
図2及び
図6参照)に設けられた複数個(本実施の形態では4個)のバスバー44a〜44dがカプラハウジング46内に収容されることで構成される。カプラ部40については、後述する。
【0026】
一方、上側半体20は、
図2に示すように前記空気導入口22が形成された中空の筒部50と、該筒部50に対して略L字形状となるように連なり、前記直線状部24の上方開口を閉塞する第1蓋部52と、大半円形状部26及び小半円形状部28の上方開口を閉塞する第2蓋部54とを有する。第2蓋部54は平面視で略円形状であり、その周縁部には、空調用ブロアモータユニット10を所定の部材(図示せず)に連結するためのステー部56a〜56cが、互いに略120°の位相差となるように設けられている。
【0027】
ネジ挿通孔32a〜32cに対応する部位には、ネジ穴58a〜58cが設けられる。すなわち、ネジ挿通孔32a〜32cの各々を通された連結ネジの胴部は、ネジ穴58a〜58cに螺合される。これにより、下側半体18と上側半体20が連結されてケーシング14が構成される。また、第2蓋部54には、支持盤60を支持するためのネジ穴が形成された螺合用ボス部62a〜62c(螺合部)が設けられている。
【0028】
第2蓋部54の中心部には、円環状突部64が上方に指向して突出形成される。該円環状突部64には、やや大径の回転軸挿通口66が形成される。この回転軸挿通口66からは、ブラシレスモータ12の回転軸68が露呈する。その一方で、ブラシレスモータ12を構成するステータ70及びロータ72、該ブラシレスモータ12を制御する回路基板42等は、支持盤60とともにケーシング14に収容されている。
【0029】
ここで、支持盤60の概略全体斜視図を
図4に示す。該支持盤60は金属からなり、円盤形状部80と、該円盤形状部80の外周縁部から突出して互いに約120°の位相差となる位置に配設された舌片部としての3個のゴム保持部82a〜82cとを有する。また、ゴム保持部82a、82c同士の間にはヒートシンク部84が設けられている。
【0030】
円盤形状部80は、複数個の通風孔86(スリット)が放射状に形成された薄肉板形状をなす。隣接する通風孔86、86同士の間には、後述する軸受部88を中心に放射状に並ぶスポーク部90が形成される。
図2から容易に諒解されるように、スポーク部90には、軸受部88から外縁部に向かって若干離間した位置であり且つ回路基板42に臨む面に、該回路基板42から離間する方向に隆起した上反角92が設けられている。すなわち、上反角92は、上側半体20に指向して隆起している。
【0031】
円盤形状部80の中心には、円筒形状をなす軸受部88が設けられる。ブラシレスモータ12の回転軸68は、この軸受部88に回転自在に支持される(
図2参照)。ここで、
図5に拡大して示すように、軸受部88は、下側半体18に臨む下端部側から、外径が小径な第1ベアリング収容部94、最小内径部96、拡開内径部98、第2ベアリング収容部100をこの順序で有する。第1ベアリング収容部94及び第2ベアリング収容部100では互いの内径が略同等であり、一方、最小内径部96及び拡開内径部98の内径は、第1ベアリング収容部94及び第2ベアリング収容部100と相違する。このように、軸受部88の内径は、該軸受部88の軸方向に沿って変化する。
【0032】
第1ベアリング収容部94の内径は上下方向(軸方向)に等径であり、第1ベアリング104が摺動自在に挿入されるとともに、該第1ベアリング104の外輪によってウェブワッシャ105が挟圧保持される。また、最小内径部96の内径も等径であり、軸受部88中で最小に設定されている。すなわち、軸受部88は最小内径部96において最も厚肉に形成されており、従って、最小内径部96の内周壁と回転軸68の側周壁との間のクリアランスは極めて小さい。なお、最小内径部96の外周壁には、前記スポーク部90が連なる。
【0033】
最小内径部96の上方には、拡開内径部98が連なる。拡開内径部98では、内径は、下側半体18から離間する(上側半体20に接近する)につれてテーパー状に拡開する。すなわち、拡開内径部98では、上側半体20に接近するに従って、その内周壁が回転軸68の側周壁から漸次的に離間する。従って、拡開内径部98に連なる第2ベアリング収容部100は、他の部位に比して柔軟であり弾性が比較的大きい。
【0034】
内径が等径である第2ベアリング収容部100には、第2ベアリング106が圧入される。上記したように第2ベアリング収容部100では弾性が大きいので、第2ベアリング106を圧入することが容易である。しかも、圧入後は、第2ベアリング収容部100の弾発作用下に第2ベアリング106が回転軸68側に弾発付勢される。これにより、第2ベアリング106の内輪が回転軸68の外周壁を略均等に押圧する。
【0035】
拡開内径部98の外周壁には、ブラシレスモータ12を構成するステータ70の一部が圧入される圧入用凹部108が直径方向内方に向かって陥没形成される。
図2に示すように、第2ベアリング収容部100は、軸受部88の軸方向において、圧入用凹部108に圧入されるステータ70から離間した(オフセットした)位置に設けられる。
【0036】
図4に示すように、軸受部88の近傍には、内周側から外周側に向かって延在する通風孔86(スリット)が放射状に複数個形成されている。通風孔86が上下方向(円盤形状部80の厚み方向)に沿って貫通していることは勿論である。
【0037】
円盤形状部80の周縁部には、円環部109が形成されている。ゴム保持部82a〜82c及びヒートシンク部84は、円環部109の外周壁(円盤形状部80の外周縁部)から突出している。
【0038】
ゴム保持部82a〜82cは、円弧の一部が切り欠かれた円環形状をなし、従って、平面視で略C字形状である。ゴム保持部82a〜82cの各々には、円筒状ゴム部材110の小径な中腹部が挿入される。この挿入により、円筒状ゴム部材110がゴム保持部82a〜82cに保持されている。円筒状ゴム部材110の大径な下端部及び上端部は、ゴム保持部82a〜82cから露呈する。
【0039】
ヒートシンク部84は、複数個のフィンが立設されることで表面積が大となった放熱部である。すなわち、ヒートシンク部84により、支持盤60に伝達された回路基板42の熱が放散される。なお、支持盤60は、ヒートシンク部84の下面が前記突部34側を臨み且つ前記フィンが上側半体20を臨む姿勢でケーシング14内に収容されている。
【0040】
ゴム保持部82a、82c及びヒートシンク部84には、螺合用ボス部112a〜112cが形成されている。螺合用ボス部112a〜112cの各々にはネジ穴が形成されており、該ネジ穴には、回路基板42を支持盤60に取り付けるための支持ネジ114(
図2参照)が螺合される。また、ヒートシンク部84に形成された螺合用ボス部112cとゴム保持部82bの互いの位相差は、約180°に設定されている。
【0041】
以上の円盤形状部80、軸受部88、円環部109、ゴム保持部82a〜82c、ヒートシンク部84及び螺合用ボス部112a〜112cが一体的に連なることで、支持盤60が構成されている。換言すれば、支持盤60は、円盤形状部80、軸受部88、円環部109、ゴム保持部82a〜82c、ヒートシンク部84及び螺合用ボス部112a〜112cを有する単一部材である。このような構成の支持盤60は、例えば、アルミニウム合金からなる鋳造物として得ることができる。そして、支持盤60は、前記突部34をはじめとするケーシング14の内壁に対し、所定の距離で離間している。
【0042】
また、ゴム保持部82a〜82cに保持された円筒状ゴム部材110には、上側半体20に設けられた前記螺合用ボス部62a〜62c(特に
図6参照)が挿入される。換言すれば、円筒状ゴム部材110は螺合用ボス部62a〜62cに外嵌される。この際、螺合用ボス部62a〜62cは、全体が円筒状ゴム部材110内に埋入される(
図2参照)。
【0043】
この状態で、螺合用ボス部62a〜62cのネジ穴にワッシャ127を介挿して連結ネジ128(螺合部材)が螺合される。この螺合に伴い、円筒状ゴム部材110がワッシャ127によって上下方向に所定量圧潰される。その結果として、連結ネジ128の頭部と螺合用ボス部62a〜62c(上側半体20)との間に、円筒状ゴム部材110の一部がそれぞれ介挿された状態となっている。
【0044】
円盤形状部80の外縁部近傍には、カプラ部40を構成するカプラハウジング46が位置決め固定される。すなわち、下側半体18の図示を省略した
図6に示すように、カプラハウジング46は、本体部120から円盤形状部80に指向して突出した脚部122を有する。この脚部122には、図示しない堰止用段部を含むネジ孔124が貫通形成される。そして、ネジ孔124に通された固定ネジ126が円盤形状部80に形成されたネジ穴(図示せず)に螺合されることにより、カプラハウジング46が支持盤60に連結される。固定ネジ126の頭部は、前記堰止用段部に堰止される。
【0045】
本体部120は、図示しない内室が形成された中空体であり、下方を臨む下端面には、2本のスリット130a、130b(
図3及び
図6参照)が貫通形成される。すなわち、スリット130a、130bは、下端面を起点として内室に臨む内面まで到達している。
【0046】
以上のように構成されたカプラハウジング46は樹脂からなり、絶縁性である。本体部120の内室には、上記したように4個のバスバー44a〜44dが収容されている。これらバスバー44a〜44dは、回路基板42を作製する際に該回路基板42から突設されており、後述するように回路基板42が支持盤60に支持される際に前記スリット130a、130bを通過して本体部120の内室に挿入される。
【0047】
ここで、回路基板42は、
図6に示すように直線形状部132と湾曲円弧部134とを有する略半円形状をなし、直線形状部132が回転軸68(軸受部88)側を臨む。直線形状部132には、軸受部88に干渉することを回避するべく湾曲円弧部134に指向して略四角形に陥没した形状の逃げ部136が形成される。すなわち、回路基板42は、平面視で回転軸68ないし軸受部88に重なる(覆う)ことはなく、囲繞することもない。
【0048】
回路基板42には、コンデンサや抵抗、スイッチング素子等の各種の電子部品138が設けられ、これにより制御回路が構成されている。該制御回路は、回転軸68の回転速度を制御する等の制御を行う。
【0049】
前記制御回路への通電は、回路基板42に設けられた前記バスバー44a〜44dを介して行われる。バスバー44aは、回路基板42の直線形状部132から突出して直線的に延在するバスバー44bの各側方及び下方から突出して折曲された後、平面視で上下に重なり合う。これらバスバー44a、44bは、所定の距離で互いに離間している。残余のバスバー44c、44dも同様に、所定の距離で離間しつつ平面視で上下に重なり合う。
【0050】
回路基板42には、支持ネジ用挿通孔140a〜140cが形成される。支持ネジ用挿通孔140a〜140cの各々に支持ネジ114が通されるとともに、各支持ネジ114が支持盤60の螺合用ボス部112a〜112cの各ネジ穴に螺合される。この螺合により、回路基板42が支持盤60に支持される。回路基板42は、支持盤60を介して間接的にケーシング14に支持されるが、ケーシング14に直接連結されてはいない。
【0051】
ブラシレスモータ12は、
図2、
図6、及び上側半体20の図示を省略した
図7に示すように、軸受部88に位置決め固定されたステータ70と、回転軸68に取り付けられて該回転軸68とともに回転するロータ72とを有する。この中、ステータ70は、ヨーク部とティース部を有する積層コア141と、該積層コア141を上下から挟持する1組のインシュレータ142a、142bと、該インシュレータ142a、142bを介して積層コア141のティース部に巻回された電磁コイル143とを備える。
【0052】
積層コア141を構成するヨーク部は、該積層コア141の内周側で円環形状をなす。一方、ティース部は、ヨーク部から略T字形状をなすように直径方向外方に放射状に突出している。このティース部が、ロータ72を構成する回転盤144の内周壁(側壁部150)に臨む。すなわち、この場合、ブラシレスモータ12は、ステータ70の外方にロータ72が位置する、いわゆるアウタロータ型である。このような構成は周知であり、従って、その詳細な図示及び説明を省略する。
【0053】
積層コア141を構成する円環形状のヨーク部は、軸受部88の外周壁に形成された圧入用凹部108に圧入される。この圧入に伴い、ステータ70が堅牢に位置決め固定される。
【0054】
一方、隣接するティース部(電磁コイル143)同士は、所定間隔で互いに離間している。すなわち、互いの間にはクリアランスが形成されている。このクリアランスは、冷却風が通過する通路となる。
【0055】
ロータ72は、支持盤60の軸受部88に回転自在に挿入された回転軸68に支持されるカップ形状の回転盤144を有する。回転盤144はカップ形状をなすとともに、その円形状底面146が上方を臨み、且つ該円形状底面146が、上側半体20の円環状突部64に形成された回転軸挿通口66から、回転軸68とともに露呈している。円環状突部64と円形状底面146との間には、若干のクリアランスが形成される。さらに、円形状底面146には、ティース部(電磁コイル143)に臨む略台形形状の通風口148が複数個形成されている。
【0056】
円形状底面146から略垂下するように折曲された側壁部150は、その下端部が支持盤60の円環部109内に挿入される。この側壁部150の内面には、ステータ70のティース部と対向するように、複数個の永久磁石152が支持されている。回転軸68とともに回転盤144が回転するときには、永久磁石152も回転盤144と一体的に回転する。
【0057】
本実施の形態に係る空調用ブロアモータユニット10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0058】
空調用ブロアモータユニット10を組み立てるべく支持盤60に回路基板42を取り付けるときには、例えば、先ず、支持盤60の軸受部88に形成された圧入用凹部108に対し、ステータ70の円環形状のヨーク部の中心側端部を圧入する。さらに、回転軸68を軸受部88内に挿入するとともに、該回転軸68に第1ベアリング104及び第2ベアリング106の各々を外嵌する。
【0059】
この際、第1ベアリング104は軸受部88の下方からウェブワッシャ105を介在するようにして第1ベアリング収容部94へと摺動自在に挿入される。また、第2ベアリング106は、軸受部88の上方から第2ベアリング収容部100に圧入される。以上により、第1ベアリング104及び第2ベアリング106に軸受与圧が付与される。
【0060】
次に、回転軸68の上方から回転盤144が圧入固定される。その結果、回転盤144の側壁部150の内面に支持されてロータ72を構成する永久磁石152が、ステータ70の積層コア141に対向する。
【0061】
ここで、第2ベアリング収容部100は上記したように弾性が大きい。このため、第2ベアリング106を圧入する際には容易に拡開する。このため、圧入作業が容易である。しかも、圧入後は、第2ベアリング収容部100が圧入前の形状に戻ろうとするため、第2ベアリング106が回転軸68側に弾発付勢される。これにより、第2ベアリング106の内輪が回転軸68の外周壁を略均等に押圧する。従って、回転軸68と軸受部88の軸心同士が精度よく一致する。
【0062】
上記したように第2ベアリング106を圧入する際には第2ベアリング収容部100が拡開するものの、拡開内径部98はさほど拡径しない。従って、該拡開内径部98の外周壁に形成された圧入用凹部108や、該圧入用凹部108に圧入される積層コア141(ステータ70)が影響を受け難い。すなわち、本実施の形態では、第2ベアリング収容部100に第2ベアリング106を収容することが容易となる構成を採用しているものの、第2ベアリング収容部100と拡開内径部98を、軸受部88の軸方向に沿ってオフセットしたことにより、積層コア141を圧入用凹部108に圧入することも容易となる。
【0063】
また、支持盤60のスポーク部90には上反角92が設けられている。すなわち、スポーク部90の一部は上側半体20に向かって折曲されており、この分、上反角92の下方に間隙が形成されている。回路基板42に設けられた電子部品138は、この間隙に進入している。従って、支持盤60と回路基板42との間のいわゆるデッドスペースが低減するとともにこれら支持盤60と回路基板42との間隔を小さくすることができる。
【0064】
次に、カプラ部40を構成するカプラハウジング46を支持盤60に連結する。このためには、脚部122に形成されたネジ孔124に固定ネジ126を通し、さらに、該固定ネジ126を、支持盤60の円盤形状部80に形成された固定ネジ用ネジ穴に螺合すればよい。固定ネジ126の螺合は、該固定ネジ126が前記ネジ孔124の堰止用段部に堰止されることで停止する。
【0065】
次に、回路基板42の直線形状部132から突出したバスバー44a〜44dを、カプラハウジング46の下端面に形成されたスリット130a、130bを通過させて内室に収容する。バスバー44a、44b同士、及びバスバー44c、44d同士が平面視で上下に重なり合っているため、バスバー44a、44bがスリット130aを通り、バスバー44c、44dがスリット130bを通る。このように、本実施の形態によれば、支持盤60に支持されたカプラハウジング46に対し、バスバー44a〜44dを容易に収容することができる。すなわち、カプラ部40を構成することが容易である。
【0066】
しかも、カプラハウジング46を支持盤60に設けるようにしているので、回路基板42における電子部品138の搭載スペースが十分な広さとして確保される。このため、回路基板42にいわゆるデッドスペースが生じ難い。加えて、カプラ部40が平面視で回転軸68に重なることがない。以上の点と、上記した支持盤60と回路基板42との間隔を小さくすることができる点とが相俟って、回路基板42や空調用ブロアモータユニット10の小型化を図ることができる。
【0067】
さらに、カプラ部40が下側半体18に隣り合うので、下側半体18の厚みの範囲内に収まる。このため、ケーシング14が厚み方向に大きくなることが回避される。
【0068】
その一方で、回路基板42の支持ネジ用挿通孔140a〜140cの各々に通した支持ネジ114を、螺合用ボス部112a〜112cの各々に形成されたネジ穴に螺合する。これにより、回路基板42が支持ネジ114を介して支持盤60に支持される。
【0069】
以上のようにして得られたブラシレスモータ12、回路基板42及び支持盤60の組立体を、上側半体20に組み付ける。すなわち、略C字形状のゴム保持部82a〜82cに予め保持された円筒状ゴム部材110の中空内部に、上側半体20に設けられた螺合用ボス部62a〜62cを挿入する。その結果、円筒状ゴム部材110が螺合用ボス部62a〜62cに外嵌されるとともに、螺合用ボス部62a〜62cの全体が円筒状ゴム部材110内に埋入される(
図2参照)。同時に、回転軸68と、回転盤144の円形状底面146が上側半体20の回転軸挿通口66から露呈する。
【0070】
そして、螺合用ボス部62a〜62cのネジ穴に連結ネジ128を螺合する。これに伴って円筒状ゴム部材110が連結ネジ128の頭部で圧潰されるとともに、当該圧潰部分が、連結ネジ128の頭部と螺合用ボス部62a〜62c(上側半体20)との間に介在する。
【0071】
従って、連結ネジ128の頭部と螺合用ボス部62a〜62c(上側半体20)との間に、弾性を示す円筒状ゴム部材110がゴム保持部82a〜82cを挟持してそれぞれ介挿された状態となる。これ以外に支持盤60を支持する構造は特に設けられていない。従って、支持盤60は、上側半体20(ケーシング14)に対し、円筒状ゴム部材110の弾発作用下にフローティング支持された状態となる。なお、回路基板42は支持盤60を介して上側半体20に間接的に支持され、上側半体20に直接連結されることはない。
【0072】
次に、下側半体18に形成されたネジ挿通孔32a〜32cの各々に連結ネジを通し、さらに、該連結ネジを、上側半体20に形成されたネジ穴58a〜58cに螺合する。これにより、下側半体18と上側半体20とが連結され、前記組立体(回路基板42、支持盤60及びブラシレスモータ12)を収容したケーシング14が構成される。さらに、回転軸68にブロアファン16(
図2参照)が取り付けられることで、空調用ブロアモータユニット10が得られるに至る。
【0073】
上記したように回路基板42が平面視で回転軸68(ないし軸受部88)に重ならないオフセット位置であるため、ケーシング14の上下方向(厚み方向)寸法が大きくなることを回避することができる。このことによっても、空調用ブロアモータユニット10の小型化を図ることが容易となる。
【0074】
空調用ブロアモータユニット10は、車体に搭載されて車両用空調装置に組み込まれる。この際、ステー部56a〜56cに固定ネジが通されるとともに、該固定ネジが所定の部材、例えば、ブロアファン16を囲繞するいわゆるスクロール形状のファンケーシング(図示せず)に螺合される。また、車体側のハーネスが前記カプラ部40に電気的に接続される。この際、ハーネス側のカプラハウジングが前記カプラハウジング46に挿入されるので、スリット130a、130bが前記ハーネス側のカプラハウジングによって閉塞される。従って、バスバー44a〜44dがカプラハウジング46から露出することが防止される。
【0075】
車両用空調装置が運転されると、ハーネスからバスバー44a〜44dを介して制御回路に通電がなされる。また、該制御回路の制御下にコンデンサや抵抗、スイッチング素子等の各種の電子部品138を介して電磁コイル143にも通電がなされ、ステータ70に交番磁界が発生する。この交番磁界と、ロータ72を構成する永久磁石152による磁界との間で吸引・反発が連続的に起こることにより、回転盤144が回転する。これと一体的に、回転軸68及びブロアファン16が回転する。
【0076】
さらに、制御回路に通電がなされることに伴い、電子部品138及び回路基板42が熱を帯びる。この熱は、支持盤60に伝達されて該支持盤60のヒートシンク部84に到達する。ここで、ヒートシンク部84の近傍は、螺合用ボス部112cに螺合された支持ネジ114によって回路基板42に密接している。従って、回路基板42の熱が螺合用ボス部112cを介して速やかにヒートシンク部84に伝達される。
【0077】
ブロアファン16が回転するため、図示しない前記ファンケーシング内に該ブロアファン16の周囲(特に上方)の空気が巻き込まれて、遠心ファンであるブロアファン16の遠心方向に向かう空気流となる。この空気流の一部は、上側半体20の筒部50に形成された空気導入口22からケーシング14の内部に導入され、該ケーシング14内の流通路を流通する冷却風となる。
【0078】
ここで、下側半体18には、上側半体20に向かって凸となる突部34(案内部)が設けられている。冷却風が突部34に接触した際には、該冷却風は、傾斜した上流側の側部に沿って流通する。その結果、冷却風の一部の進行方向が上側半体20側に変更される。換言すれば、突部34は、冷却風の一部を上側半体20側に案内する。
【0079】
上側半体20側に進行した冷却風の一部は、ヒートシンク部84に接触する。従って、ヒートシンク部84が速やかに冷却される。上記したように、回路基板42の熱がヒートシンク部84に速やかに伝達されるので、ヒートシンク部84を介しての回路基板42の熱の放散が効率よく進行する。このように、ケーシング14内に突部34(案内部)を設けて冷却風をヒートシンク部84に向けるようにしたことにより、回路基板42の熱を除去することが容易となる。
【0080】
しかも、ヒートシンク部84は、支持盤60の一部位として一体的に設けられている。このため、別部材であるヒートシンクを連結する場合に比して放熱面積を大きくすることができるので、空調用ブロアモータユニット10の小型化を図りながら、回路基板42を効率よく冷却することができる。
【0081】
支持盤60に伝達された熱の一部は、軸受部88に到達する。このため、該軸受部88が加温されるので、第1ベアリング104及び第2ベアリング106の内部クリアランスが減少する。これにより、外気温が低い場合であっても、第1ベアリング104及び第2ベアリング106のガタツキが低減する。しかも、第1ベアリング104及び第2ベアリング106の内部に予め封入されているグリースの低温硬化も軽減される。従って、第1ベアリング104及び第2ベアリング106の回転が滑らかとなり、且つ回転軸68が偏心しながら回転することが回避されるので、回転軸68の振動が抑制される。その結果、静粛性が向上する。
【0082】
冷却風の残部は、突部34を越えて下側半体18内(流通路)を流通し、回路基板42や電磁コイル143側に向かって上昇する。冷却風は、回路基板42や軸受部88に接触した後に支持盤60の通風孔86を通過し、さらに、隣接する積層コア141同士の間の間隙を通過する。これにより、回路基板42や支持盤60、ブラシレスモータ12が冷却される。
【0083】
冷却風は、上側半体20の回転軸挿通口66とブラシレスモータ12の回転盤144との間の間隙や、回転盤144に形成された通風口148を介してケーシング14外に排出される。その後、ブロアファン16(遠心ファン)の空気流に還流される。
【0084】
ゴム保持部82a〜82cは、円盤形状部80の外周縁部から突出しており、特に、ゴム保持部82bが前記ヒートシンク部84の螺合用ボス部112cに対して180°の位相差となる位置に設けられている。このため、ゴム保持部82a〜82cは冷却風の流通経路中に位置していない。従って、冷却風が上記のように流通する過程で、ゴム保持部82a〜82cに接触することはほとんどない。すなわち、ゴム保持部82a〜82cが冷却風の流通を阻害することはない。
【0085】
回転軸68が回転することに伴い、軸受部88に振動が伝達される。ここで、軸受部88は、スポーク部90が連なる最小内径部96を有する。該最小内径部96は、該最小内径部96の内周壁が、他の部位の内周壁に比して回転軸68の側周壁に近接するように、軸受部88を構成する部位中で最も厚肉に形成される。しかも、特に第2ベアリング106は、上記したように第2ベアリング収容部100から弾発力を受けるため、回転軸68の側周壁を、その周回方向に沿って略均等に押圧する。以上のような理由から回転軸68が傾斜し難くなるので、このことによっても、該回転軸68が偏心を起こしながら回転することが抑制される。従って、振動や振動音が低減し、静粛性に優れたものとなる。
【0086】
仮に、振動が軸受部88から円盤形状部80に伝達されたとしても、支持盤60が金属からなるために剛性が高いので、該支持盤60が共振を起こし難い。しかも、円盤形状部80に連なるゴム保持部82b、82cと上側半体20との間には、円筒状ゴム部材110が介挿されている。この円筒状ゴム部材110は、弾性を示すことで振動に対して緩衝作用を営む。加えて、支持盤60はケーシング14に直接支持されていない。このため、振動がケーシング14に伝達されることが抑制され、その結果、該ケーシング14が共振することが回避される。
【0087】
仮に振動がケーシング14に伝達されたとしても、該ケーシング14には、突部34の外面に対応する部位にリブ36が設けられている。このため、ケーシング14に剛性が確保されるので、ケーシング14の可聴域での共振が防止される。
【0088】
さらに、支持盤60及び回路基板42は、突部34をはじめとするケーシング14の内壁に対して所定距離で離間している。このため、フローティング支持されている支持盤60及び回路基板42が振動ないし揺動した場合であっても、突部34やその他の内壁が支持盤60ないし回路基板42に干渉することが回避される。以上のような理由から、静粛性が一層向上する。また、当接音が発生する懸念や、回路基板42に傷が発生する懸念が払拭されるとともに、耐久性が向上する。
【0089】
結局、本実施の形態によれば、静粛性及び放熱性に優れるとともに小型な空調用ブロアモータユニット10を構成することができる。
【0090】
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0091】
例えば、突部34は、下側半体18の壁部を折曲して形成されるものに限定されない。その他の例としては、下側半体18内に隆起するように設けられた中実突起が挙げられる。この場合、下側半体18の外壁は平坦であるので、突部34の外面に対応する部位にリブ36を設ける必要は特にない。
【0092】
また、この実施の形態では、円筒状ゴム部材110を保持するゴム保持部82a〜82cを略C字形状としているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ゴム保持部82a〜82cを略U字形状としてもよい。この場合、略U字形状であるために、ゴム保持部82a〜82cに対して円筒状ゴム部材110を差し込むことがさらに容易となる。