【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る蓄電デバイスの容量設計装置の構成ブロック図である。蓄電デバイスの容量設計装置は、日射量データ記憶部11、変動抑制パラメータ部12、シミュレーション部13、変動抑制率算出部14、データ保存部15、変動抑制パラメータ決定部16、出力指令値算出部17、蓄電デバイス容量算出部18、蓄電デバイスセル数算出部19、蓄電デバイスコスト算出部20を備えている。
【0019】
日射量データ記憶部11、変動抑制パラメータ部12、データ保存部15の各々は、ハードディスク、RAM等である。シミュレーション部13、変動抑制率算出部14、変動抑制パラメータ決定部16、出力指令値算出部17、蓄電デバイス容量算出部18、蓄電デバイスセル数算出部19、蓄電デバイスコスト算出部20は、制御プログラムを格納したメモリとコンピュータとからなる。コンピュータは、例えば、中央処理装置(CPU)やマイクロコンピュータ等からなり、メモリに格納された制御プログラムを実行することで上記の各部の処理を実行する。メモリは本発明の記録媒体に対応し、太陽光発電装置の発電電力の変動を抑制するために蓄電デバイスの容量設計を行うための制御プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体である。記録媒体は、コンピュータを、シミュレーション部13、変動抑制率算出部14、変動抑制パラメータ決定部16、出力指令値算出部17、蓄電デバイス容量算出部18として機能させるための制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0020】
日射量データ記憶部11は、太陽光発電装置の過去の多数の日射量データと、実際に使用する太陽光発電装置の電圧及び電流データ(電気的特性)を記憶する。変動抑制パラメータ部12は、太陽光発電装置の発電電力の変動を抑制するための変動抑制パラメータを記憶する。変動抑制パラメータとしては、
図4に示すような移動平均部171による平滑値やリミッタ173による振幅制限値等である。
【0021】
シミュレーション部13は、日射量データ記憶部11からの太陽光発電装置の過去の多数の日射量データと太陽光発電装置の電圧及び電流データとから太陽光発電装置の発電電力をシミュレーションする。また、シミュレーション部13は、日射量データ記憶部11からの太陽光発電装置の過去の多数の日射量データと太陽光発電装置の電圧及び電流データと、変動抑制パラメータ部12からの変動抑制パラメータを変化させて、太陽光発電装置の発電電力をシミュレーションする。
【0022】
変動抑制率算出部14は、シミュレーション部13で得られた太陽光発電装置の変動された発電電力に対して蓄電デバイスからの電力で変動抑制制御を行った時の変動抑制パラメータに対応する変動抑制率をFFT解析及び数式等を用いて算出する。このとき、変動抑制制御前の電力及び変動抑制制御後の電力の各々について、FFT解析を行い、FFT解析により、周波数ごとのスペクトルを算出する。算出したスペクトルについて、式(1)を使用して、変動抑制率FRRを算出する。
【0023】
FRR=(SPV−So)/SPV×100 …(1)
SPVはPV出力の周波数スペクトル区間合計である。Soは、連系点出力の周波数スペクトル区間合計である。PV出力は変動抑制制御前の電力、連系点出力は、変動抑制制御前の電力である。雲の動きによる太陽光発電の変動速度が1秒〜300秒(=0.003〜1Hz)程度と仮定し、計算に使用する周波数スペクトル区間は0.003〜1Hzとする。変動抑制率は、(変動抑制制御後の電力)/(変動抑制制御前の電力)で表される。
【0024】
データ保存部15は、
図3に示すように、変動抑制パラメータ部12からの変動抑制パラメータa1,a2…と、変動抑制率算出部14で算出された変動抑制率b1,b2…とを、対応付けて保存する。
【0025】
変動抑制パラメータ決定部16は、データ保存部15に保存された変動抑制率を参照して、設計者が所望する目標変動抑制率に対応する変動抑制パラメータを決定する。この場合の変動抑制パラメータは、
図3の表を使用して、設計者の所望する変動抑制率に近い平均変動抑制率に対応した変動抑制パラメータに決定する。
【0026】
シミュレーション部13は、日射量データ記憶部11の日射量データから最も変動の大きい最大値データを使用して発電電力を算出する。
【0027】
出力指令値算出部17は、シミュレーション部13からの発電電力Ppvと変動抑制パラメータ決定部16で決定された目標変動抑制率に対応する変動抑制パラメータとに基づき、電力変動抑制に必要な蓄電デバイスの出力指令値を算出する。出力指令値算出部17は、例えば、
図4に示すように、移動平均部171、加算器172、リミッタ173から構成される。
【0028】
ここで、変動抑制パラメータ決定部16で決定された目標変動抑制率に対応する変動抑制パラメータとして、移動平均部171の平滑値、リミッタ173の振幅値が設定されている。
【0029】
移動平均部171は、移動平均法により、即ち、電力変動を抑制すべきシミュレーション部13からの発電電力Ppvを平滑化する処理を行うことにより、変動抑制指令値Pfを得る。加算器172は、移動平均部171からの変動抑制指令値Pfと電力Ppvとの偏差を求め、この偏差を電力変動抑制装置全体で行う充放電指令値Pconvとして出力する。リミッタ173は、加算器172からの充放電指令値Pconvを一定の振幅値に制限して出力指令値P1を作成する。
【0030】
蓄電デバイス容量算出部18は、出力指令値算出部17で作成された出力指令値を積算し、蓄電デバイス容量を算出する。蓄電デバイスセル数算出部19は、蓄電デバイス容量算出部18で算出された蓄電デバイス容量と蓄電デバイスの電気的特性に基づき、各種の蓄電デバイスに対して、電力変動抑制に必要な蓄電デバイスのセル数を算出するとともに、各蓄電デバイスの電気的特性から蓄電デバイスの寿命を算出する。
【0031】
蓄電デバイスコスト算出部20は、蓄電デバイスセル数算出部19からの蓄電デバイスのセル数と寿命とに基づき蓄電デバイスの交換回数を考慮した蓄電デバイスのコストを算出する。
【0032】
次に、このように構成された実施例1の蓄電デバイス容量設計装置によって実現される蓄電デバイス容量設計方法の処理を
図2のフローチャートを参照しながら、説明する。ここで、CPUは、制御プログラムの各処理を実行する。制御プログラムの各処理は、
図2に示すフローチャートの各処理である。
【0033】
まず、設計者が所望とする目標変動抑制率を達成するための変動抑制パラメータを決定する。この場合の変動抑制パラメータは、
図3の表を使用して、設計者の所望する変動抑制率に近い平均変動抑制率に対応した変動抑制パラメータに決定する。
【0034】
シミュレーション部13は、日射量データ記憶部11から、太陽光発電装置の過去の複数の日射量データ(PV日射量データ)、実際に使用する太陽光発電装置の電気的特性(電圧、電流)、日射量データの最大値を入力する(ステップS11)。
【0035】
シミュレーション部13は、i=0、j=0に設定する(ステップS12)。ここで、iは、日射量データの各データ番号を示す。日射量データは、n個(即ち、n日分のデータ)あるものとする。jは変動抑制パラメータの各パラメータ番号を示す。変動抑制パラメータは、m個あるものとする。
【0036】
次に、シミュレーション部13は、iを1だけインクリメントし(ステップS13)、さらに、iがnかどうかを判定する(ステップS14)。iは1であるので、jを1だけインクリメントし(ステップS15)、さらに、jがmかどうかを判定する(ステップS16)。jは1であるので、シミュレーション部13は、日射量データがi=1で且つ変動抑制パラメータがj=1であるときの変動抑制シミュレーションを行う(ステップS17)。
【0037】
変動抑制率算出部14は、シミュレーション部13で得られた太陽光発電装置の変動された発電電力に対して蓄電デバイスからの電力で変動抑制制御を行った時の変動抑制パラメータに対応する変動抑制率を算出しデータ保存部15に保存する(ステップS18)。
【0038】
そして、ステップS15に戻り、変動抑制パラメータjがmとなるまで、ステップS15からステップS18までの処理を繰り返し行う。これにより、日射量データがi=1で且つ変動抑制パラメータがj=1〜mであるときの変動抑制率の平均を算出することができる。この場合、変動抑制パラメータを同一の値とし、日射量データをi=1〜nと変えてシミュレーションを行い、変動抑制率を算出し、全ての日射量データの変動抑制率を合計し、nで除算することにより、変動抑制率の平均を算出する。
【0039】
次に、ステップS16において、変動抑制パラメータjがmとなると、ステップS13に戻り、日射量データi=2で且つステップS15からステップS18までの処理を繰り返し行う。即ち、日射量データ及び変動抑制制御のパラメータを様々に変化させてシミュレーションを行う。これにより、
図5に示すような変動抑制率と変動抑制パラメータの値の対応が算出される。
図5では、日射量の変動量が同じ場合、変動抑制パラメータは低くするほど変動抑制率が高くなる傾向にある。また、変動抑制パラメータが同じ場合、日射量の変動量が多いほど、変動抑制率が高くなる傾向がある。
【0040】
ただし、日射量の変動の仕方により、変動抑制パラメータに対応する変動抑制率は異なる。よって、できるだけ多くの日射量パターンで設計者の所望する変動抑制率を得るために、変動抑制率に応じた変動抑制パラメータを決定する。さらに、パラメータに対応した変動抑制率の平均値を算出する。
【0041】
その後、ステップS14において、日射量データiがnになると、変動抑制パラメータ決定部16には、目標変動抑制率と、目標コストが入力される(ステップS19)。
【0042】
変動抑制パラメータ決定部16は、データ保存部15に保存された変動抑制率を参照して、設計者が所望する目標変動抑制率に対応する変動抑制パラメータを決定する(ステップS20)。シミュレーション部13は、日射量データ記憶部11の日射量データから最も変動の大きい最大値データを使用して発電電力を算出する。
【0043】
出力指令値算出部17は、シミュレーション部13からの発電電力Ppvと変動抑制パラメータ決定部16で決定された目標変動抑制率に対応する変動抑制パラメータとに基づき、電力変動抑制に必要な蓄電デバイスの出力指令値を算出する(ステップS21)。
【0044】
次に、蓄電デバイス容量算出部18は、出力指令値算出部17で作成された出力指令値を積算し、蓄電デバイス容量を算出する(ステップS22)。次に、蓄電デバイス容量算出部18は、k=0に設定する(ステップS23)。ここで、kは、蓄電デバイスに使用するデバイスの各データ番号を示す。蓄電デバイスに使用するデバイスがp種類あるものとする。
【0045】
次に、蓄電デバイス容量算出部18は、kを1だけインクリメントし(ステップS24)、さらに、kがpかどうかを判定する(ステップS25)。kは1であるので、蓄電デバイスセル数算出部19は、蓄電デバイス容量算出部18で算出された蓄電デバイス容量と蓄電デバイスの電気的特性に基づき、各種の蓄電デバイスに対して、電力変動抑制に必要な蓄電デバイスのセル数を算出するとともに、各蓄電デバイスの電気的特性から蓄電デバイスの寿命を算出する(ステップS26)。
【0046】
次に、蓄電デバイスコスト算出部20は、蓄電デバイスセル数算出部19からの蓄電デバイスのセル数と寿命とに基づき蓄電デバイスの交換回数を考慮した蓄電デバイスのコストを算出する(ステップS27)。
【0047】
さらに、蓄電デバイスコスト算出部20は、蓄電デバイスコストがコスト最小値よりも小さいかどうかを判定する(ステップS28)。蓄電デバイスコストがコスト最小値よりも小さい場合には、蓄電デバイスコストをコスト最小値に書き換えて(ステップS29)、ステップS24の処理に戻る。蓄電デバイスコストがコスト最小値よりも大きい場合には、ステップS24の処理に戻る。
【0048】
そして、ステップS24からステップS29の処理を繰り返し行い、ステップS25において、kがpとなると、蓄電デバイスコスト算出部20は、コスト最小値が目標コストよりも小さいかどうかを判定する(ステップS30)。コスト最小値が目標コストよりも大きい場合には、ステップS19の処理に戻り、目標コスト又は目標変動抑制率の修正を行い、ステップS19以降の処理を再度、実行する。
【0049】
蓄電デバイスコスト算出部20は、コスト最小値が目標コストよりも小さい場合には、上記の処理によって算出された蓄電デバイスの容量、種類、セル数、変動抑制パラメータ、コスト最小値を図示しない表示部又はプリンタ等に出力する(ステップS31)。即ち、最終的に、設計者の所望する変動抑制率、トータルコストを満たす蓄電デバイスを選定し、蓄電デバイスの設計が完了する。
【0050】
このように、実施例1の蓄電デバイスの容量設計装置によれば、目標変動抑制率に対応する変動抑制パラメータを決定し、決定された変動抑制パラメータに基づき電力変動抑制に必要な蓄電デバイスの出力指令値をEXCEL等の数値計算ソフトにより数値計算を行うことで算出する。
図6(a)に、変動パラメータに基づいて数値計算を行った変動抑制制御前後の電力波形を示す。
図6(b)に、蓄電デバイスの出力指令値の電力波形を示す。電力の+は放電を示し、電力の−は充電を示す。この例は、PVパネルを5MW、所望する変動抑制率を70%としたときの結果である。
【0051】
算出された蓄電デバイスの出力指令値を時間積算し、時間積算された出力指令値の最大値と最小値との差を蓄電デバイスの容量として算出する。
図6(c)に、出力指令値の時間積分量、及び蓄電デバイス容量を示す。
【0052】
また、算出された蓄電デバイス容量と蓄電デバイスの電気的特性に基づき電力変動抑制に必要な蓄電デバイスのセル数を算出し、蓄電デバイスの電気的特性に基づき前記蓄電デバイスの寿命を算出し、算出された前記蓄電デバイスのセル数と寿命とに基づき蓄電デバイスのコストを算出する。
図7に蓄電デバイスコストの算出結果の例を示す。
図7では、蓄電デバイスとして鉛蓄電池、リチウムイオン蓄電池、EDLC、フライホイールの4種類を使用している。なお、コストについては、一番高額なEDLCが1となるよう、値を規格化している。使用する蓄電デバイスの種類により単価が異なるため、コストが異なる。
図7に示す例の場合、鉛蓄電池を選択することで、蓄電デバイスコストを最小にすることができる。
【0053】
従って、電池寿命を含めた経済性を考慮した蓄電デバイスの容量設計を行うことができる蓄電デバイスの容量設計装置及びその方法並びに記録媒体を提供することができる。
【実施例2】
【0054】
図8は、本発明の実施例2に係る蓄電デバイスの容量設計装置の構成ブロック図である。
図8では、複数の蓄電デバイスを使用する際の蓄電デバイスの容量設計装置を示す。
【0055】
複数の蓄電デバイスは、異なる種類の蓄電デバイスからなり、例えば、フライホイールからなる蓄電デバイスA、リチウムイオン電池からなる蓄電デバイスBとする。
図8に示す実施例2に係る蓄電デバイスの容量設計装置は、
図1に示す実施例1に係る蓄電デバイスの容量設計装置に対して、さらに、指令値分割部17aを設けたことを特徴とする。
【0056】
指令値分割部17aは、出力指令値算出部17で算出された出力指令値と各々の蓄電デバイスの電気的特性と各々の蓄電デバイスの単価に基づいて、出力指令値を分割する。
【0057】
図9は、実施例2に係る蓄電デバイスの容量設計方法を説明するためのフローチャートである。
図9に示すフローチャートは、
図2に示すフローチャートに対して、さらに、ステップS21a〜21dが追加されている。ここでは、ステップS21a〜21dの処理のみを説明する。ここでは、複数の蓄電デバイスは、例えば、フライホイールからなる蓄電デバイスA、リチウムイオン電池から蓄電デバイスBからなる。蓄電デバイスAに使用するデバイスがa種類あり、蓄電デバイスBに使用するデバイスがb種類あるものとする。
【0058】
この場合には、ステップS25において、蓄電デバイスAについて、kがa個かどうかを判定する。蓄電デバイスBについて、kがb個かどうかを判定する点が
図2に示すフローチャートに対して異なる。
【0059】
まず、ステップS21の処理後に、指令値分割部17aは、l=0に設定する(ステップS21a)。ここで、lは、電力分割パラメータPlの各データ番号を示す。電力分割パラメータPlは、q個あるものとする。
【0060】
次に、指令値分割部17aは、lを1だけインクリメントする(ステップS21b)。さらに、指令値分割部17aは、蓄電デバイスの出力指令値を電力分割パラメータPlにより鉛蓄電池からなる蓄電デバイスAの第1出力指令値とリチウムイオン電池から蓄電デバイスBの第2出力指令値とに分割する(ステップS21c)。
図10に、複数の蓄電デバイスを用いた場合の蓄電デバイス容量算出結果を示す。
図10では、例としてリミッタを使用し、分割振幅を1MWとして分割を行っている。
図10(a)に、蓄電デバイスAの出力指令値の電力波形を示し、
図10(c)に、蓄電デバイスBの出力指令値の電力波形を示す。
図10(a)、
図10(c)は、
図6(a)、
図6(b)と同様に変動抑制制御前の電力を基準に規格化している。その後、ステップS22の処理に進む。
図10(b)に、蓄電デバイスAの出力指令値の時間積分量及び蓄電デバイス容量を示し、
図10(d)に、蓄電デバイスBの出力指令値の時間積分量及び蓄電デバイス容量を示す。
【0061】
その後、ステップS22以降の処理を行い、ステップS25において、蓄電デバイスkがp個となった場合には、電力分割パラメータの個数lがq個かどうかを判定する(ステップS21d)。電力分割パラメータの個数lがq個でない場合には、ステップS21bに戻り、ステップS21b以降の処理を行う。
【0062】
電力分割パラメータの個数lがq個となった場合には、ステップS30の処理に進む。蓄電デバイスコスト算出部20は、コスト最小値が目標コストよりも小さい場合には、上記の処理によって算出された分割後の蓄電デバイスの容量、種類、セル数、変動抑制パラメータ、電力分割パラメータ、コスト最小値を図示しない表示部又はプリンタ等に出力する(ステップS31)。
【0063】
このように、分割後の蓄電デバイスAに使用するデバイスがa種類、蓄電デバイスBに使用するデバイスがb種類ある場合には、コストの計算は、(a×b)回行うことになる。
図11に複数の蓄電デバイスを使用した場合の蓄電デバイスコストの算出結果の例を示す。
図11において、横軸は電力分割パラメータであり、リミッタを用いて、分割振幅を出力指令値の最大値の1/10、2/10、…としている。縦軸は蓄電デバイスコストである。
図11では、蓄電デバイスAに鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池との2種類、蓄電デバイスBにフライホイールとEDLCとの2種類を使用し、蓄電デバイスの組み合わせとしては、蓄電デバイス鉛蓄電池+フライホイール、鉛蓄電池+EDLC、リチウムイオン蓄電池+フライホイール、リチウムイオン蓄電池+EDLCの4つがある。
【0064】
電力分割パラメータにより、各蓄電デバイスに必要な容量が変わるため、コストが変動する。
図11では、蓄電デバイス鉛蓄電池とフライホイールとの組み合わせで且つ分割振幅を出力指令値の9/10とすることにより、蓄電デバイスコストを最小にすることができる。
【0065】
(蓄電デバイスの容量設計装置の適用例)
図12は、本発明の蓄電デバイスの容量設計装置を適用した電力変動抑制装置の構成ブロック図である。
図12において、交流電源などの電力系統101には電力系統母線Lを介して負荷102が接続され、電力系統101から系統電力が負荷102に供給される。電力系統101と負荷102との間には、電力変換器104を介して太陽光発電装置103が接続されている。太陽光発電装置103は、太陽光により発電し、発電量を電力変換器104に出力する。電力変換器104は、太陽光発電装置103の発電量を所定の電力に変換して電力系統母線Lに供給する。
【0066】
電力変動抑制装置は、蓄電デバイス105、蓄電デバイス106、電力変換器107,108、電流検出器109、電圧検出器110、電力演算器111、電力検出部112,113、電圧電流検出部114,115、制御回路120を備えている。電力系統101と電力変換器104を介する太陽光発電装置103との間には、電力変換器107,108を介して異なる種類の蓄電デバイス105,106が接続されている。
【0067】
蓄電デバイス105は、小振幅の充放電パターンにより充放電を行う。例えば、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)やフライホイールなどを用いることができる。蓄電デバイス106は、大振幅の充放電パターンが可能な例えば鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの二次電池を用いることができる。なお、蓄電デバイス105、蓄電デバイス106の各々は、複数個設けても良い。
【0068】
電力変換器107は、蓄電デバイス105と電力系統母線Lとに接続され、蓄電デバイス105への入力電力および蓄電デバイス105からの出力電力を変換する。電力変換器108は、蓄電デバイス106と電力系統母線Lとに接続され、蓄電デバイス106への入力電力および蓄電デバイス106からの出力電力を変換する。
【0069】
電力系統101と負荷102との間の電力系統母線Lには電力系統母線Lに流れる電流を検出する電流検出器109が設けられている。また、電力系統母線Lには電力系統101の地点Aにおける電圧を検出する電圧検出器110が接続されている。電力演算器111は、電流検出器109と電圧検出器110とに接続され、電流検出器109で検出された電流と電圧検出器110で検出された電圧とに基づき電力系統101の系統電力を演算して制御回路120に出力する。
【0070】
電力検出部112は、電力変換器107に接続され、電力変換器107で変換された電力を検出し、検出された電力を制御回路120に出力する。電力検出部113は、電力変換器108に接続され、電力変換器108で変換された電力を検出し、検出された電力を制御回路120に出力する。
【0071】
電圧電流検出部114は、蓄電デバイス105に接続され、蓄電デバイス105の端子電圧と蓄電デバイス105に流れる電流とを検出し、検出された電圧および電流を制御回路120に出力する。電圧電流検出部115は、蓄電デバイス106に接続され、蓄電デバイス106の端子電圧と蓄電デバイス106に流れる電流とを検出し、検出された電圧および電流を制御回路120に出力する。
【0072】
制御回路120は、電力演算器111からの電力系統101の系統電力と、電力検出部112,113で検出された電力変換器107,108の電力と、電圧電流検出部114,115で検出された蓄電デバイス105,106の電圧および電流とに基づいて電力系統101からの電力および負荷102の電力の変動を抑制する。
【0073】
蓄電デバイス容量設計装置1は、実施例1及び2で説明した蓄電デバイス容量設計装置であり、蓄電デバイス105と蓄電デバイス106とに対して、容量の設計及びコストを計算する。
【0074】
このように電力変動抑制装置によれば、蓄電デバイス容量設計装置1を用いて、蓄電デバイス105と蓄電デバイス106とに対して、容量の設計及びコストを計算することができる。