(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
1.1 構成
1.2 動作
1.3 効果
2.他の実施の形態
【0011】
<1.第1の実施の形態>
本実施の形態は、ファクシミリの誤送信を防止し、モバイル端末、およびそのアプリケーションを利用して特定の個人に電話をかけた後に複合機からファクシミリ送信する情報通信システムに関する。
【0012】
[1.1 構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報通信システムの概略構成を示している。
【0013】
本実施の形態に係る情報通信システムは、画像通信装置としての複合機10と、携帯端末としてのモバイル端末20と、モバイル端末30,31と、ファクシミリ40および複合機50と、ファクシミリ通信を行うための通信回線90とを含んでいる。
【0014】
複合機10および複合機50は、ファクシミリの他、コピー機やプリンタなどの機能を複合化した構成となっている。
【0015】
なお、本実施の形態では、ファクシミリ40は電話機付きであり、複合機10と複合機50は電話機付きではないものとして説明する。
【0016】
モバイル端末20およびモバイル端末30,31は、例えばタブレット端末やスマートフォン等の携帯機器である。モバイル端末30,31は、モバイル端末20が電話をかける対象の一例である。
【0017】
ファクシミリ40および複合機50は、複合機10によるファクシミリ送信の対象の一例である。
【0018】
図2は、複合機10の内部構成の一例を示している。
複合機10は、スキャナ部11と、印刷部12と、ファクシミリ通信部13と、ネットワーク通信部14と、操作パネル15と、制御部16と、データ記憶部17と、NFC通信部18とを備える。
【0019】
スキャナ部11は、ファクシミリ送信の対象となる原稿を読み取って原稿画像を生成する読取部である。ファクシミリ通信部13は、原稿画像を通信回線90を介してファクシミリ40および複合機50等に送信する原稿送信部である。
【0020】
なお、複合機10において、スキャナ部11で原稿をスキャンした後、ファクシミリ通信部13によってファクシミリ送信することを「ScanToFax」という。
【0021】
ネットワーク通信部14は、モバイル端末20との間でLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワーク通信による通信を行うための通信インタフェースである。
【0022】
NFC通信部18は、モバイル端末20との間でNFC(Near Field Communication)通信を行うための通信インタフェースである。
【0023】
操作パネル15は、各種情報を表示するタッチパネル状の画面を有している。操作パネル15は、例えば、後述するステップS101(
図4)の処理に応じた待機画面、後述する
図10に示すようなScanToFax実行画面、後述するステップS102(
図4)の処理に応じた設定画面等を表示する。また、操作パネル15は、例えば、後述するステップS103の処理に応じた「宛先情報」の入力画面、後述する
図11に示すようなモバイル手動送信の画面、後述するステップS117の処理に応じた、ユーザに原稿をセットすることを促す画面等を表示する。
【0024】
データ記憶部17は、各種の情報を保存する記録媒体であり、記録媒体の形式は特に限定されない。データ記憶部17は、後述するステップS119の処理に応じて
図20に示すように、原稿画像に、「宛先情報」と「端末情報」(例えばMACアドレス)と「個人情報」とを紐付けた情報を保存する。
【0025】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、複合機10内の各ブロックの制御を行う。また、制御部16は、後述する
図4〜
図6に示す処理フローにおける主要な動作の実行を行う。
【0026】
また、複合機10は以下の機能を有している。
【0027】
ネットワーク通信部14およびNFC通信部18は、後述するステップS201等の処理に応じて、モバイル端末20から原稿画像の送信指示(ファクシミリ送信コマンド)とモバイル端末20の登録情報(例えば端末情報)とを含む送信情報を受信する送信情報受信部としての機能を有している。送信情報受信部は、後述するステップS114等の処理に応じて、モバイル端末20から、原稿画像の宛先情報に関連する個人情報を受信する機能を有している。
【0028】
制御部16は、後述するステップS202等の処理に応じて、送信情報受信部が送信情報を受信した場合に登録情報に対応する原稿または原稿画像を決定する原稿決定部71としての機能を有している。
【0029】
また、制御部16およびファクシミリ通信部13は、後述するステップS202等の処理に応じて、原稿決定部71の決定に基づいて、原稿の読取画像または原稿画像を送信する原稿送信部としての機能を有している。原稿決定部71は、後述するステップS202等の処理に応じて、画像記憶部72に保存された情報に基づいて、登録情報に対応する原稿または原稿画像を決定する機能を有している。画像記憶部72に保存された情報は、例えば後述する
図20に示すような情報であってもよい。
【0030】
データ記憶部17は、スキャナ部11で生成された原稿画像を、後述するステップS119等の処理に応じて、少なくとも登録情報に対応付けて保存する画像記憶部72としての機能を有している。画像記憶部72は、スキャナ部11で生成された原稿画像を、後述するステップS119等の処理に応じて、宛先情報と登録情報と個人情報とに対応付けて保存する。
【0031】
操作パネル15は、後述するステップS103等の処理に応じて、
図10に示したように原稿画像の宛先情報の入力を受け付ける宛先入力部
73としての機能を有している。
【0032】
NFC通信部18は、後述するステップS103等の処理に応じて、宛先入力部71で宛先情報が入力された場合に、後述するステップS105等の処理に応じて、宛先情報をモバイル端末20へ送信する宛先送信部としての機能を有している。
【0033】
図3は、モバイル端末20の内部構成の一例を示している。
モバイル端末20は、マイク21と、スピーカー22と、アプリケーション23と、ネットワーク通信部24と、操作パネル25と、制御部26と、データ記憶部27と、NFC通信部28と、携帯通信部29とを備える。
【0034】
制御部26は、CPUを含んで構成され、
モバイル端末20内の各ブロックの制御を行う。アプリケーション23は、後述する
図7〜
図9に示す処理フローにおける主要な動作の実行を行う。
【0035】
ネットワーク通信部24は、複合機10との間でLANやインターネット等のネットワーク通信による通信を行うための通信インタフェースである。
【0036】
NFC通信部28は、複合機10との間でNFC通信を行うための通信インタフェースである。
【0037】
携帯通信部29は、他のモバイル端末30,31とのモバイル通信(携帯通信)を行うための通信インタフェースである。また、携帯通信部29は、電話による通話を行う機能を有し、他のモバイル端末30,31とファクシミリ40に付属の電話機との間で通話を行うことが可能となっている。
【0038】
操作パネル25は、各種情報を表示するタッチパネル状の画面を有している。操作パネル25は、後述する
図12に示すような電話番号のリスト、後述する
図13に示すような通話終了後画面等を表示する。通話終了後画面には、「送信保留」ボタン61と「キャンセル」ボタン62とが含まれている。
【0039】
また、操作パネル25は、後述する
図14に示すような送信保留画面、後述する
図15に示すようなリダイヤル通知の設定画面、後述する
図16に示すようなリダイヤル通知画面、後述する
図17に示すようなリダイヤル終了画面等を表示する。リダイヤル通知画面には、「リダイヤル」ボタン63と「後で通知」ボタン64とが含まれている。リダイヤル終了画面には、「ファクシミリ送信」ボタン65と、「原稿破棄」ボタン66と、「後で通知」ボタン67とが含まれている。
【0040】
データ記憶部27は、各種の情報を保存する記録媒体であり、記録媒体の形式は特に限定されない。
【0041】
また、モバイル端末20は以下の機能を有している。
【0042】
データ記憶部27は、後述する
図19に示すように宛先情報と宛先情報に関連する個人情報とを対応付けて保存する個人情報記憶部82としての機能を有している。
【0043】
NFC通信部28は、後述するステップS302等の処理に応じて、複合機10から宛先情報を受信する宛先情報受信部としての機能を有している。
【0044】
アプリケーション23は、後述するステップS302等の処理に応じて、宛先情報受信部で受信した宛先情報に対応する個人情報を個人情報記憶部82から取得する個人情報取得部81としての機能を有している。
【0045】
携帯通信部29は、後述するステップS306等の処理に応じて、個人情報取得部81で取得された個人情報に基づく携帯通信を行う機能を有している。
【0046】
アプリケーション23は、後述するステップS313等の処理に応じて、携帯通信が行われた後に、原稿画像の送信指示を複合機10に送信する送信指示部84としての機能を有している。送信指示部84は、後述するステップS404〜S406等の処理に応じて、再通信(リダイヤル)が実行された後に、原稿画像の送信指示を複合機10に送信する機能を有している。
【0047】
操作パネル25は、後述するステップS401等の処理に応じて、携帯通信部29で携帯通信した後、
図16に示したように再通信(リダイヤル)を行うか否かをユーザに選択させる選択入力部83としての機能を有している。
【0048】
アプリケーション23は、後述するステップS402,403等の処理に応じて、再通信を行うことが選択された場合に、携帯通信部29に再通信を実行させる再通信指示部85としての機能を有している。
【0049】
[1.2 動作]
(複合機10の動作)
図4、
図5、および
図6は、本実施の形態における複合機10の処理フローの一例を表している。
【0050】
まず、
図4の処理フローについて述べる。本実施の形態における複合機10の処理フローは、ユーザが目的とする相手にファクシミリ送信しようとするところから開始する。ユーザがファクシミリ送信を行うために、複合機10では操作パネル15に表示される待機画面からScanToFax実行画面へ遷移し(ステップS101)、ScanToFaxを実行するための設定(解像度や通信速度など)が入力される(ステップS102)。そしてファクシミリ送信先である相手先装置の「宛先情報」(FAX番号)が入力されると(ステップS103)、複合機10はNFC通信部18よりNFC通信を開始し、モバイル端末20と接続されたか否かを判断する(ステップS104)。
【0051】
ユーザが
図10のように複合機10のNFC通信部18へモバイル端末20をかざし、NFC通信で複合機10とモバイル端末20が接続された場合(ステップS104;Y)、複合機10からモバイル端末20へとステップS103で入力された相手先装置の「宛先情報」が送信される(ステップS105)。このとき、「宛先情報」を受信したモバイル端末20は、NFC通信で複合機10へモバイル端末20を識別するための「端末情報」(例えばMACアドレス)を送信する。複合機10は、モバイル端末20から前述の「端末情報」を問題なく受信した場合(ステップS106;Y)には、
図11のようにモバイル手動送信の画面に切り替えた上で(ステップS107)、次の
図5のフローへと遷移する。このとき、既に複合機10に原稿がセットされている場合は、そのままスキャンを実施してもよい。この場合、ユーザが目的とする相手との通話中に先行的にスキャンを実施することができる。また、NFC通信で複合機10とモバイル端末20が接続できなかった場合(ステップS104;N)、またはモバイル端末20から前述の「端末情報」を何らかの理由で受信することができなかった場合(ステップS106;N)には、通常のScanToFaxの実行フローのまま複合機10における処理は終了する(ステップS108)。
【0052】
図5は、ユーザがモバイル端末20で目的とする相手との通話を終了した後の複合機10の処理フローである。以降は、先行的にスキャンを実施していなかった場合を想定して説明する。
【0053】
複合機10は、ユーザの操作を監視する(ステップS111)。ユーザは、目的とする相手との通話終了後、そのまま相手先装置へのファクシミリ送信を実行するか否かを選択することができる。そのまま相手先装置へのファクシミリ送信を実行する場合は、次の2つの方法でScanToFaxを実行することができる。1つは複合機10のStartボタンを押下する方法である。もう1つは複合機10に通話終了後画面を表示したモバイル端末20をかざす方法である。後者の場合は、NFC通信でモバイル端末20から「ファクシミリ送信コマンド」を受信する(ステップS112)ことをトリガーとして、ScanToFaxを実行する(ステップS113)。
【0054】
一方で、そのまま相手先装置へのファクシミリ送信を実行しない場合は、ユーザは複合機10に送信保留画面のモバイル端末20をかざすことで、現在の設定でのファクシミリ送信を保留して複合機10に蓄積しておくことができる。このとき、複合機10はNFC通信でモバイル端末20から個人を特定するための「個人情報」を受信する(ステップS114)。この「個人情報」は、「宛先情報」に対応する個人の名前等であり、目的とする相手を一意に特定することができる情報であればよい。次に、複合機10は原稿がセットされているか否かを判断する(ステップS115)。複合機10は、既に原稿がセットされていると判断した場合(ステップS115;Y)には、ステップS114で「個人情報」を受信したことをトリガーに、スキャンを実施する(ステップS116)。また、複合機10は、原稿がセットされていないと判断した場合(ステップS115;N)には、次に、すでに原稿のスキャンが完了しているか否かを判断する(ステップS115A)。
まだ原稿のスキャンが完了していないと判断した場合(ステップS115A;N)には、複合機10は、ユーザに原稿をセットすることを促す画面を表示する(ステップS117)。複合機10は、原稿がセットされたらスキャンを実施する(ステップS118)。複合機10には、ステップS115Aにおいてすでにスキャン済みの原稿画像、または、ステップS116,ステップS118でスキャンされた原稿画像と、「宛先情報」、「端末情報」、および「個人情報」とを紐付けた情報が保存されることとなる(ステップS119)。なお、この複合機10に保存された情報は、一定時間経過後(例えば、2時時間経過後)自動的に破棄されるものとする。
【0055】
図6は、
図5で相手先装置へのファクシミリ送信を一旦保留した後の複合機10の処理フローである。
【0056】
このとき、ユーザは既に複合機10から離れた位置にいることを想定している。複合機10から離れた位置にいるユーザは、ネットワーク通信でモバイル端末20から複合機10へ「端末情報」、「個人情報」、指示コマンドを送信することができる。複合機10は、ネットワーク通信でモバイル端末20から「端末情報」、「個人情報」、および指示コマンドを受信する(ステップS201)。このとき、受信した指示コマンドが「ファクシミリ送信コマンド」だった場合は、複合機10は
図5のステップS119で保存された情報と照合し、該当する原稿画像を相手先装置へファクシミリ送信する(ステップS202)。ファクシミリ送信完了後は該当する原稿画像とそれに紐付く情報を破棄し(ステップS203)、ネットワーク通信でモバイル端末20にファクシミリ送信完了通知を送る(ステップS204)。また、受信した指示コマンドが「原稿破棄コマンド」だった場合は、複合機10は
図5のステップS119で保存された情報と照合し、該当する原稿画像を破棄する(ステップS205)。そして、ネットワーク通信でモバイル端末20に原稿破棄完了通知を送る(ステップS206)。
【0057】
(モバイル端末20の動作)
図7、
図8および
図9は、本実施の形態におけるモバイル端末20の処理フローの一例を表している。
【0058】
まず、
図7の処理フローについて述べる。本実施の形態におけるモバイル端末20の処理フローは、
図4のステップS104でユーザが
図10のように複合機10のNFC通信部18へモバイル端末20をかざすところから開始する。モバイル端末20は、ユーザによって複合機10へかざされると、NFC通信で複合機10と接続する(ステップS301)。すると、複合機10から相手先装置の「宛先情報」(FAX番号)が送信されてくるので、それを受信したモバイル端末20は、NFC通信で複合機10へモバイル端末20を識別するための「端末情報」を送信する(ステップS302)。モバイル端末20は、NFC通信のセッション切断をトリガーにアプリケーション23を起動し(ステップS303)、ステップS201で複合機10から受信した宛先情報に紐付く電話番号がモバイル端末20の電話帳の中に存在するか否かの検索処理をアプリケーション23上で行う(ステップS304)。この後のモバイル端末20で行う処理は、基本的にアプリケーション23上で実行されることを前提とする。また、この検索処理の具体的な方法については後述で説明する。検索処理によって、もし該当する電話番号がモバイル端末20の電話帳の中に存在した場合(ステップS304;Y)は、
図12のように該当する電話番号のリストを操作パネル25に表示する(ステップS305)。ユーザはこの電話番号のリストから電話番号を選択することによって、目的とする相手との通話を開始し(ステップS306)、
図8のフローへと遷移する。モバイル端末20の電話帳の中に該当する電話番号が存在しなかった場合(ステップS304;N)は、該当なしを操作パネル25に表示し(ステップS307)、モバイル端末20における処理は終了する。
【0059】
図8は、ユーザが目的とする相手との通話を終了した後のモバイル端末20の処理フローである。
【0060】
ユーザが目的とする相手との通話を終了した後、モバイル端末20では
図13のような通話終了後画面を表示し(ステップS311)、ユーザの操作を監視する(ステップS312)。このとき、この画面のままユーザによって複合機10へかざされると、NFC通信でモバイル端末20から複合機10へ「ファクシミリ送信コマンド」が送信され(ステップS313)、コマンドを受け付けた複合機10ではScanToFaxが実行される。
【0061】
また、もし目的とする相手が不在であったり、あるいは都合が悪く直ぐにはファクシミリ送信するわけにはいかないときには、ユーザはモバイル端末20から複合機10のファクシミリ送信を保留することができる。この場合、ユーザがモバイル端末20の通話終了後画面に表示されている「送信保留」ボタン61を押下することによって、モバイル端末20では
図14のような送信保留画面を表示する(ステップS314)。モバイル端末20では、この画面のままユーザによって複合機10へかざされると(ステップS315)、NFC通信で複合機10へ「個人情報」を送信する(ステップS316)。これによって複合機10では現在の設定でのファクシミリ送信の保留を受け付け、モバイル端末20では
図15のように予め設定されたn分後にリダイヤル通知を行うよう設定される(ステップS317)。
【0062】
また、ファクシミリ送信も送信保留も行わない場合には、ユーザは
図13の通話終了後画面で「キャンセル」ボタン62を押下することができる。この場合、ユーザがモバイル端末20の通話終了後画面に表示されている「キャンセル」ボタン62を押下することによって、モバイル端末20では全ての情報を破棄し(ステップS318)、処理を終了する。
【0063】
図9は、
図8のステップS317でリダイヤル通知を設定した後のモバイル端末20の処理フローである。
【0064】
図9の処理フローでは、ユーザは既に複合機10から離れた位置にいることを想定している。モバイル端末20ではn分経過後、
図16のようにリダイヤル通知画面を表示(ステップS401)し、ユーザの操作を監視する(ステップS402)。リダイヤル通知画面ではユーザはリダイヤルを実行するか否かを選択できる。
【0065】
リダイヤル通知画面において、ユーザによって「リダイヤル」ボタン63が押下された場合は、モバイル端末20は、ユーザが目的とする相手へのリダイヤルを実行する(ステップS403)。リダイヤルにおける通話が終了した後は、モバイル端末20では
図17のようなリダイヤル終了画面を表示し(ステップS404)、ユーザの操作を監視する(ステップS405)。
【0066】
リダイヤル終了画面において、ユーザによって「ファクシミリ送信」ボタン65が押下された場合は、モバイル端末20はネットワーク通信で複合機10へ「端末情報」と「個人情報」と「ファクシミリ送信コマンド」とを送信する(ステップS406)。複合機10はこれを受信すると、装置の中に保存された情報と照合し、該当する原稿画像を相手先装置へファクシミリ送信する。ファクシミリ送信完了後は、複合機10は、該当する原稿画像とそれに紐付く情報を破棄し、ネットワーク通信でモバイル端末20にファクシミリ送信完了通知を送る。モバイル端末20はこの完了通知を受信して(ステップS407)、処理を終了する。
【0067】
また、リダイヤル終了画面において、ユーザによって「原稿破棄」ボタン66が押下された場合は、モバイル端末20はネットワーク通信で複合機10へ「端末情報」と「個人情報」と「原稿破棄コマンド」とを送信する(ステップS408)。複合機10はこれを受信すると、装置の中に保存された情報と照合し、該当する原稿画像を破棄する。そして、ネットワーク通信でモバイル端末20に原稿破棄完了通知を送る。モバイル端末20はこの完了通知を受信して(ステップS409)、処理を終了する。
【0068】
また、次の3つのケースでは、モバイル端末20にもう一度n分後にリダイヤル通知が表示される。1つ目のケースは、ステップS409において
図16のリダイヤル通知画面で「後で通知」ボタン64が押下された場合である。2つ目のケースは、ステップS405において
図17のリダイヤル終了画面で「後で通知」ボタン67が押下された場合である。3つ目のケースは、ステップS409における
図16のリダイヤル通知画面もしくはステップS405における
図17のリダイヤル終了画面で、ユーザが何のアクションもしないまま一定時間が経過してしまった場合である。なお、
図16のリダイヤル通知画面もしくは
図17のリダイヤル終了画面で、ユーザが意図せずアプリケーション23を終了してしまった場合も同様である。
【0069】
(複合機10とモバイル端末20とに保存される情報の例)
図18は、複合機10に保存されている短縮ダイヤル一覧の例であり、
図19は、モバイル端末20に保存されている電話帳一覧の例である。
【0070】
ここで、
図7のステップS302においてモバイル端末20が複合機10から受信した相手先装置の「宛先情報」に紐付く電話番号がモバイル端末20の電話帳の中に存在するか否かの検索処理を行うときの具体的な方法について説明する。
【0071】
なお、複合機10には、
図18にある通り短縮ダイヤルに2件が登録されているものとする。また、モバイル端末20には、
図19にある通り電話帳に4件が登録されているものとする。このとき、モバイル端末30の電話番号は001、モバイル端末31の電話番号は002、ファクシミリ40の電話番号は003、FAX番号は101、複合機50のFAX番号は102であるとする。
【0072】
具体例として次の2つのケースで説明する。1つ目のケースは、
図4のステップS103でユーザが複合機10に入力した相手先装置の「宛先情報」が『101』であった場合である。このケースでは、
図7のステップS304では「宛先情報」に紐付く電話番号がモバイル端末20の電話帳にあるとして、ステップS305ではNo.1の個人Aの電話番号001と、No.3の部署Aの電話番号003が表示される。ユーザは、特定の個人である個人Aにファクシミリの内容を受け取って欲しい場合には、電話番号001のモバイル端末30に電話をかける。あるいは、ファクシミリの内容を受け取る相手は部署Aの人なら誰でもよいという場合には、電話番号003のファクシミリ40に電話をかける。
【0073】
2つ目のケースは、
図4のステップS103でユーザが複合機10に入力した相手先装置の「宛先情報」が『102』であった場合である。このケースでは、
図7のステップS304では宛先情報に紐付く電話番号がモバイル端末20の電話帳にあるとして、ステップS305ではNo.2の個人Bの電話番号002が表示される。実際には、『102』という宛先情報に紐付いているのはNo.4の部署Bのみであるが、No.2の個人Bは所属が部署Bであるので、関連付けられて表示されるという仕組みである。したがって、複合機50は電話機付きではないが、ユーザは特定の個人である個人Bに事前に電話をかけて確認を取ることができるので、誤送信を防止した上でファクシミリ送信を実行することができる。
【0074】
図20は、
図5のステップS119で複合機10に保存される情報の例であり、
図21は、
図8のステップS317で、モバイル端末20のリダイヤル通知を設定する際に保存される情報の例である。
【0075】
ここで、
図6のステップS201において複合機10が「端末情報」と「個人情報」と指示コマンドを受信して処理を行うときの具体的な方法について説明する。なお、複合機10には、
図20にある通り5つの原稿画像とそれに紐付く「宛先情報」、「端末情報」、「個人情報」の情報がそれぞれ保存されているものとする。モバイル端末20には、
図21にある通り3件の電話番号とそれに紐付く「個人情報」、「前回電話をかけた時刻」の情報がそれぞれ保存されているものとする。なお、
図20には、「端末情報」の例として、モバイル端末20と、図示しない他のモバイル端末21とが含まれている。
【0076】
具体例として次の2つのケースで説明する。1つ目のケースは、
図9のステップS403でユーザがモバイル端末20からリダイヤルした相手が個人Aだった場合である。このとき、ユーザは個人Aに対してファクシミリ送信を実行したいとすると、
図9のステップS406でモバイル端末20から複合機10へ送信される情報は、『モバイル端末20』、『個人A』、『ファクシミリ送信コマンド』の3つとなる。
図6のステップS201でこれらの3つの情報を受信した複合機10は、
図5のステップS119で保存された情報(
図20)と照合し、該当する原稿画像、つまり
図20におけるNo.1とNo.4の2つの原稿画像を宛先101へファクシミリ送信する。
【0077】
2つ目のケースは、
図9のステップS403でユーザがモバイル端末20からリダイヤルした相手が個人Bだった場合である。このとき、ユーザは個人Bに対してファクシミリ送信を実行したいとすると、
図9のステップS406でモバイル端末20から複合機10へ送信される情報は、『モバイル端末20』、『個人B』、『ファクシミリ送信コマンド』の3つとなる。
図6のステップS201でこれらの3つの情報を受信した複合機10は、
図5のステップS119で保存された情報(
図20)と照合し、該当する原稿画像、つまり
図20におけるNo.2の原稿画像を宛先102へファクシミリ送信する。
【0078】
つまり、複合機10は受信した「端末情報」と「個人情報」の両方が一致する情報がデータ記憶部17の中に存在した場合のみ、指示コマンドの処理を実行する。しかし、もし受信した「端末情報」と「個人情報」の両方が一致する情報がデータ記憶部17の中に存在しなかった場合は、複合機10からモバイル端末20へエラー情報を送信するなどしてもよい。
【0079】
[1.3 効果]
以上のように、本実施の形態によれば、携帯端末(モバイル端末20)から原稿画像の送信指示(ファクシミリ送信コマンド)と携帯端末の端末情報とを含む送信情報を受信し、端末情報に対応する原稿または原稿画像を決定し、決定に基づいて原稿画像を送信するようにしたので、所望の原稿画像を着実に送信することができる。
【0080】
特に、本実施の形態によれば、次の3つの効果が得られる。
1つ目は、ファクシミリ送信したい相手先装置の電話機の接続の有無に関わらず、特定の個人を指定して電話をかけることができるので、ファクシミリの誤送信を防止し目的とする相手に着実にファクシミリ送信を行うことができるという効果である。
【0081】
2つ目は、複合機10に入力された相手先装置の宛先情報に紐付く電話番号の検索には、モバイル端末20内の電話帳を利用するので、その検索結果には各個人のモバイル端末20に登録されている内容に依存しており、複合機10に電話番号という個人情報を入力する必要も、予め記憶させておく必要もないという効果である。
【0082】
3つ目は、モバイル端末20内のアプリケーションは、リダイヤル通知機能と、複合機10に蓄積されているファクシミリ原稿画像の送信機能を持つので、ユーザが複合機10から相手先装置にファクシミリ送信しようとしたときに、目的とする相手が不在であったり、あるいは都合が悪く直ぐにはファクシミリ送信するわけにはいかないときでも、後々目的とする相手の都合がよいときを確認した上でファクシミリ送信を行うことできるという効果である。
【0083】
<2.他の実施の形態>
本発明による技術は、上記実施の形態の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。
【0084】
上記第1の実施の形態において、複合機10とモバイル端末20との間でNFC通信を行う例を示したが、これに限らず無線LAN通信などの別の通信手段を用いてもよい。この場合、通信手段によっては、モバイル端末20を複合機10にかざすという動作は不要となる。
【0085】
上記第1の実施の形態におけるモバイル端末20上のアプリケーション23に、ファクシミリ送信や原稿破棄の指示コマンドを送信する機能を設けてもよい。これによって、ユーザはリダイヤル通話終了後以外の場面でも、自由にモバイル端末20上のアプリケーションから複合機10へファクシミリ送信や原稿破棄の指示コマンドを送信することができるようになる。
【0086】
上記第1の実施の形態における
図17のリダイヤル終了画面で、ユーザが「ファクシミリ送信」ボタン65や、「原稿破棄」ボタン66を押下した際には、複合機10の中に蓄積されている該当原稿画像のリストをネットワーク通信でモバイル端末20に送信し、モバイル端末20のアプリケーション上に表示してもよい。この場合、ユーザは目的とする相手に送信したい原稿画像を、モバイル端末20から選択することが可能となる。例えば、あるユーザが目的とする相手にモバイル手動送信しようとした原稿画像が複合機10の中に複数ジョブ蓄積されており、そのうちのいくつかは後々送信不要であることが判明した場合が考えられる。このとき、上記第1の実施の形態では、全ての該当原稿画像を送信するか、あるいは全ての該当原稿画像を破棄することしかできない。
【0087】
また、複合機10でスキャンした後の原稿画像のデータを、複合機10とは異なる装置に保存してもよい。例えば、複合機10にネットワーク接続されたサーバ等に保存してもよい。
【0088】
また、
図20を用いて説明した例では、複合機10は受信した「端末情報」と「個人情報」の両方が一致する情報がデータ記憶部17の中に存在した場合のみ、指示コマンドの処理を実行するようにしたが、少なくとも「端末情報」が一致する場合に処理を実行するようにしてもよい。
【0089】
上記第1の実施の形態では、「端末情報」(例えばMACアドレス)として説明したが、「端末情報」に代えてモバイル端末20に登録されたモバイル端末20の「ユーザ情報」(名前等)を用いてもよい。
【0090】
また、複合機10が原稿をスキャンし、原稿画像を画像記憶部72に保存するときに、複合機10が独自の管理番号を生成し、その管理番号と原稿画像とを対応付けておいてもよい。複合機10は、その管理番号を、モバイル端末20に通知し、モバイル端末20は、原稿画像の送信指示を行う際に、その管理番号を複合機10に送信する。複合機10は、モバイル端末20から原稿画像の送信指示と管理番号とを含む送信情報を受信した場合に、管理番号に対応付けされた原稿画像をファクシミリ送信する。