(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663864
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】正確さの確立、確認、管理のための試験器具
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20200302BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/00 Y
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-572577(P2016-572577)
(86)(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公表番号】特表2017-517898(P2017-517898A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】US2015035294
(87)【国際公開番号】WO2015191833
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年4月20日
(31)【優先権主張番号】62/010,519
(32)【優先日】2014年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516237503
【氏名又は名称】ユニヴァーサル インストゥルメンツ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSAL INSTRUMENTS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100179202
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100188411
【弁理士】
【氏名又は名称】阪下 典子
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン, ジョン, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ピチュラ, ジョン, ジェー.
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−205154(JP,A)
【文献】
特開2012−114240(JP,A)
【文献】
特開2007−311382(JP,A)
【文献】
特開2005−317806(JP,A)
【文献】
特開2014−060253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁気要素を含む構成部品を、ピックアンドプレース機のピックアンドプレースノズルにより取ることと、
前記構成部品を、前記ピックアンドプレースノズルにより試験器具の面上に配置することと、を含む方法であって、
前記試験器具は第2の磁気要素を含み、
前記構成部品が前記面上に配置された後において、前記構成部品を保持する際の前記ピックアンドプレースノズルの真空保持力は、前記第1の磁気要素と前記第2の磁気要素の間の磁力よりも大きく、前記第2の磁気要素は、前記面の下に配置される強磁性の層である、方法。
【請求項2】
前記面はガラスからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記面上に配置された前記構成部品を前記ピックアンドプレース機の視覚検出システムにより検査することと、
前記面上の前記構成部品の配置の正確さを前記ピックアンドプレース機により確認することと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記面が前記ピックアンドプレース機内にとどまっている間に、前記検査することと前記確認することを完了させる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の磁気要素は電磁気的要素であり、
前記第2の磁気要素に電力を付与すること、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記面は複数の基準を含み、
前記視覚検出システムにより前記基準の位置を特定することと、
前記ピックアンドプレース機内の前記面の位置を検出することと、をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記試験器具はキャリア部を有し、
前記キャリア部は前記面の外周の外側に配置され、
前記キャリア部は前記構成部品を受け入れるポケットを有し、
前記ピックアンドプレースノズルにより前記構成部品を前記ポケットから取ることと、
前記検査することおよび前記確認することの後に前記ピックアンドプレースノズルにより前記構成部品を前記ポケットに戻すことと、をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記キャリア部は基準を有し、
前記ポケットから前記構成部品を取ることを支援するために、前記視覚検出システムにより前記キャリア部の前記基準を見つけること、をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の前記構成部品を前記面に装着することと、
前記面上の複数の前記構成部品を前記ピックアンドプレース機の前記視覚検出システムにより検査することと、
前記面上の複数の前記構成部品の配置の正確さを前記ピックアンドプレース機により確認することと、
前記ピックアンドプレースノズルにより複数の前記構成部品を前記キャリア部内の複数の前記ポケットに戻すことと、をさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ピックアンドプレース工程の正確さを確認するための試験器具であって、
構成部品を受け入れる面と、
前記面の下に配置される強磁性の層と、を有する試験器具。
【請求項11】
複数のポケットをさらに有し、
前記複数のポケットのそれぞれは前記構成部品の配置に先立って前記構成部品を受け入れる、請求項10に記載の試験器具。
【請求項12】
前記複数のポケットは前記面の外周の外側に配置される、請求項11に記載の試験器具。
【請求項13】
前記面は複数の基準を含む、請求項10に記載の試験器具。
【請求項14】
前記複数の基準は格子を形成するように均等に間隔を空けられる、請求項13に記載の試験器具。
【請求項15】
前記面の外周の外側に配置されるキャリア部をさらに有し、
前記複数のポケットはそれぞれ前記キャリア部内に配置され、
前記キャリア部は少なくとも1つの基準を含む、請求項11に記載の試験器具。
【請求項16】
ピックアンドプレース工程の正確さを確認するための試験器具であって、構成部品を受け入れるキャリア部と面、および、前記面の下に配置される強磁性の磁気層を含み、前記キャリア部は複数のポケットを含むものである、試験器具と、
複数の構成部品と、を含むシステムであって、
前記複数の構成部品のそれぞれは磁気要素を含み、
前記複数の構成部品は前記複数のポケットに受け入れられる、システム。
【請求項17】
前記複数の構成部品のそれぞれはガラスの小塊部分を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記面は、該面上に格子を形成するように均等に間隔を空けられた複数の基準を含むガラスからなる、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の構成部品のそれぞれは複数の基準を含み、
前記キャリア部は少なくとも1つの基準を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
ピックアンドプレースノズルをさらに含み、
前記ピックアンドプレースノズルは、前記複数のポケットのうちの1つに受け入れられる、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の磁気要素は前記面に取り外し可能に取り付けられている、請求項5記載の方法。
【請求項22】
第1の磁気要素を含む構成部品を、ピックアンドプレース機のピックアンドプレースノズルにより取ることと、
前記構成部品を、前記ピックアンドプレースノズルにより試験器具の面上に配置することと、を含む方法であって、
前記試験器具は第2の磁気要素を含み、
前記構成部品が前記面上に配置された後において、前記構成部品を保持する際の前記ピックアンドプレースノズルの真空保持力は、前記第1の磁気要素と前記第2の磁気要素の間の磁力よりも大きされている、即ち、前記構成部品を前記面上に配置しようとする際、前記ピックアンドプレースノズルの真空保持力は前記第1の磁気要素と前記第2の磁気要素のとの間の磁力より大きく、前記構成部品が前記面上に配置された後は前記ピックアンドプレースノズルの真空保持力が停止され、前記第1の磁気要素と前記第2の磁気要素との間の磁力は前記構成部品を前記面上に保持する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年6月11日に提出された"Self-contained Fixture for Establishing, Verifying and Managing Accuracy"と題する米国仮特許出願第62/010,519号に基づく優先権を主張するものであり、当該米国仮特許出願において開示された内容は、本願における開示と不一致とならない限りにおいて、参照によって本明細書に取り込まれるものとする。
【0002】
本明細書に開示される発明の主題は、一般に、本物の構成部品の配置に先立ってピックアンドプレース機の正確さを確立したり、確認したり、管理したりする技術に関連する。より詳しくは、発明の主題は、ピックアンドプレース機の正確さを確立したり、確認したり、管理したりするのに要する時間を短縮するように構成された自己完結型の試験器具に関連する。
【背景技術】
【0003】
最終的に機能する基板上に配置される本物の構成部品を用いた実際の組み立て用ピックアンドプレース工程の前に機械の精度を確立し確認するために、パターン転写により画定されるガラスの小塊を精密ガラス板上に置いて、機械がガラス板上の適切な位置に小塊を配置しているかどうかを判定するのが一般的である。これにより、機械が本物の構成部品を適切に配置するであろうことを確認する。小塊の取付けのために両面テープが使用される。精密ガラス板上の配置が行われる位置に、両面テープの複数の片が長さ方向に貼り付けられる。小塊が一旦これらの位置に配置されれば小塊は両面テープによって保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この技術にはいくつかの欠点がある。例えば、配置面の平坦性および品質は両面テープのテープ品質ならびに両面テープを貼り付ける際の技術者の貼り付け技術に依存する。さらに、両面テープは、確認工程が一旦終わり、万能ナイフで小塊を除去する際に時折発生するガラス破片などの汚染を受け易い。これにより、次の確認工程のためのガラス板が汚染される可能性がある。汚染および繰り返しの使用による粘着性の低下のため、両面テープをしばしば取り除いて交換しなければならない。そのためには、機械から板を取り外し、テープを取り除き、板を洗浄し、テープを貼り直すことが必要である。これは非常に時間を要するプロセスとなる場合がある。
【0005】
そのため、本物の構成部品の配置に先立ってピックアンドプレース機の正確さを確立し、確認し、管理するための試験器具は、当該技術分野において歓迎されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面によれば、方法は、第1の磁気要素を含む構成部品を、ピックアンドプレース機のピックアンドプレースノズルにより取る(ピックする)ことと、構成部品を、ピックアンドプレースノズルにより試験器具の面上に配置する(プレースする)ことと、を含み、試験器具は第2の磁気要素を含み、構成部品が面上に配置された後において、構成部品を保持する際のピックアンドプレースノズルの真空保持力は、第1の磁気要素と第2の磁気要素の間の磁力を上回る。
【0007】
本発明の第2の局面によれば、ピックアンドプレース工程の正確さを確認するための試験器具が開示され、試験器具は、構成部品を受け入れる面と、当該面の下に配置される強磁性の層と、を有する。
【0008】
本発明の第3の局面によれば、システムは、ピックアンドプレース工程の正確さを確認するための試験器具であって、構成部品を受け入れるキャリア部と面、および、当該面の下に配置される磁気層を含み、キャリア部は複数のポケットを含むものである、試験器具と、複数の構成部品とを有し、複数の構成部品のそれぞれは磁気要素を含み、複数の構成部品は複数のポケットに受け入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図を参照して本発明の複数の実施形態を詳細に説明する。本明細書において同様の名称は同様の構成部材を示す。
【
図1】
図1は一実施形態に係る試験器具の平面図である。
【
図2】
図2は一実施形態に係る構成部品配置用ノズルを有する
図1の試験器具を横方向に見た側面切断図である。
【
図3】
図3は一実施形態に係る構成部品に対するカメラ対象領域を概略的に示す平面図である。
【
図4】
図4は一実施形態に係る方法を表すフローチャートである。
【
図5】
図5は一実施形態に係る
図1の試験器具を内蔵するピックアンドプレース機の斜視図である。
【
図6】
図6は一実施形態に係る
図5のピックアンドプレース機に内蔵される
図1の試験器具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る装置および方法の以下に記述する実施形態の詳細な記述は例示の目的で示されるものであり、図面を参照して限定することを目的とするものではない。
【0011】
まず
図1を参照し、試験器具10の平面図を示す。試験器具10は面12および面12の外周の周りに配置されるキャリア部14を有する。キャリア部14内に複数のポケット16が配置され、複数のポケット16内に複数の構成部品18が配置される。第1の複数の基準20が試験器具10の面12内に配置される。第2の複数の基準22が試験器具10のキャリア部14上に配置される。第3の複数の基準24(
図3に示す)が、構成部品18の上向きの表面19(
図2に示される)内に配置される。さらに、試験器具10のキャリア部14内には複数ピックアンドプレースノズル26を収容するように構成された複数のポケット38が配置される。
【0012】
試験器具10は、最終的に機能するプリント回路基板(図示せず)上に配置される本物または実際の構成部品のピックアンドプレースの前に、ピックアンドプレース機28(
図5、6に示す)の機械精度を確立し、確認するために用いてもよい。試験器具10を用いた試験は、器具自体の面12上に、両面テープ、その他の接着剤、のり、ペーストを乗せる必要なく遂行されてもよい。これにより、オペレータの介入または関与なく、ピックアンドプレース機28内において、面上に構成部品18を配置し、ピックアンドプレース機28による配置の正確さを検査および確認し、面12から構成部品18を取り除くという全ての工程を完遂できるものとしてもよい。図示する実施形態においては、試験器具10は自己完結型としてよく、そこでは、試験行程中に用いられる部品18およびノズル26が、試験器具10自体の上のキャリア部14内のポケット16、38内に保持されるものとしてもよい。他の実施形態においては、試験器具10は自己完結型でなくてもよく、配置試験工程で用いられる構成部品18およびノズル26の一方または両方が、試験器具10自体の上に保持されないものであってもよい。試験器具10はさらに、人手による介入や、ガラス破片の除去や、テープの貼り直しを必要とすることなく、試験工程の後すぐに再使用できるものであってもよい。
【0013】
図2を参照し、ピックアンドプレース機28(
図5、6に示す)のピックアンドプレースノズル26によって構成部品18が面12上に配置された後の試験器具10の側面図を示す。ピックアンドプレースノズル26は、構成部品18との接触およびインターフェースの少なくとも一方を行うように構成される構成部品インターフェース部30を有してもよい。さらに、構成部品18内に含まれる第1の磁気要素32が示される。第1の磁気要素32は構成部品18と一体的な要素または構成部品18に付加された要素であってもよい。第2の磁気要素34は試験器具10の面12の下に位置するものとして示される。保持された構成部品18に対してピックアンドプレースノズル26が及ぼす真空保持力Fvは、構成部品18が面12上に配置された後において、第1の磁気要素32と第2の磁気要素34の間の磁力Fmを超えるものであってもよい。ある実施形態においては、真空保持力Fvは、磁力Fmよりも少なくとも20%大きくてもよい。ある実施形態においては、真空保持力Fvは磁力Fmよりも少なくとも30%、あるいは少なくとも40%、あるいは少なくとも50%、あるいは少なくとも60%、あるいは少なくとも70%、あるいは少なくとも80%、あるいは少なくとも90%、あるいは少なくとも100%大きくてもよい。磁力Fmの相対的な値は、真空保持力Fvの値よりも150%大きく、あるいは200%大きくてもよい。
【0014】
試験器具10は、構成部品18を、それらの面12上における配置箇所に磁力Fmにより保持してもよい。以下に記述するように、試験器具10の面12上に試験用の構成部品18を保持する手段として磁気を用いず、その代わりに他の手段を用いる試験器具10の他の実施形態も考えられる。構成部品18が実際または本物の電子的構成部品でなくてもよいことは理解されるはずである。むしろ、構成部品18は小塊または疑似構成部品であって、実際の組み立て用ピックアンドプレース工程において最終的に配置される本物の構成部品と類似のまたは同じ寸法を有するものであってもよい。構成部品18は試験器具10と併せてキットまたはパッケージの一部として提供されてもよい。図示する構成部品18の寸法はすべて同じである。ただし、他の実施形態においては、試験器具10は、異なる寸法および形状の構成部品18を含んでもよい。構成部品18は小塊、チップ、小片、部品等であってもよい。構成部品18はガラス、プラスチック、金属等からなるものであってもよい。いかなる材料も考えられる。他の実施形態においては、構成部品18は強磁性体からなるものであってもよい。この場合、構成部品18の全体が強磁性体からなるものとすることができるため、構成部品18は第1の磁気要素32のような個別の強磁性の要素を含まないものであってもよい。
【0015】
ある実施形態においては、面12はガラスからなるものであってもよい。他の実施形態においては、面12はプラスチック、セラミック、金属、または、複合材料からなるものであってもよい。ある実施形態においては、面12の下に配置されたカメラまたは画像システムによる撮像または検査をしやすくするために、面12は透明または半透明であってもよく、または透光性を有していてもよい。他の実施形態においては、面12は複数の材料からなるものであってもよい。例えば、面12は、主にガラスからなり、そのガラスの中に、多数の強磁性体が網目状、格子状、蜘蛛の巣状その他の形状となるように埋め込まれているものであってもよい。さらに別の実施形態においては、面12は、強磁性体により実際に作られているものであってもよい。このように、試験器具10は、
図2に示すように層状の面12と第2の磁気要素34を含む2つの別個の層を有するのではなく、単一の磁気層(図示せず)からなるものであってもよい。
【0016】
図示実施形態においては、第2の磁気要素34は面12の下の層として配置される。第2の磁気要素34は強磁性体からなるものであってもよい。第2の磁気要素34は、面12の表面積の全体にわたって広がる層であってもよい。他の実施形態においては、第2の磁気要素34が格子、網目その他のパターンで形成され、それによって、面12の下の面積の全体を覆うものではない場合には、より低磁性の材料を使用してもよい。格子、網目その他のパターンは複数の棒を有するものであってもよく、複数の棒は互いに近接するように配置されることで、第1の磁気要素32と第2の磁気要素34の間の比較的均一な磁力によって、小さな構成部品18を面12上のいかなる位置であっても磁気的に配置できるものであってもよい。他の実施形態においては、第2の磁気要素34は強磁性体の代わりに電磁気的なものであってもよい。この実施形態においては、ピックアンドプレース機28は配置中に、電磁気的な第2の磁気要素34に通電し、試験装置10の試験および一般的な操作の少なくとも一方を実行するように構成されてもよい。
【0017】
図示実施形態においては、第2の磁気要素34は面12に対して恒久的に取り付けられていてもよい。例えば、第2の磁気要素34は接着剤あるいはエポキシ樹脂により面12に付着させられてもよい。別の実施形態においては、第2の磁気要素34は、ボルトやねじ等によって面12へ取り付けられてもよい。さらに別の実施形態においては、第2の磁気要素34は面12から取り外し可能であってもよい。面12から第2の磁気要素34を取り外すことによって、ピックアンドプレース機28による面12の下からの検査が可能となるものであってもよい。
【0018】
第1および第2の磁気要素32、34の磁界の強さは、面12の厚さ、およびピックアンドプレースノズル26の真空の力に依存するものであってもよい。したがって、面12が厚いほど、第1および第2の磁気要素32、34の磁界の強さが増す。上述したように、第1の磁気要素32と第2の磁気要素34の間の磁力Fmは、ピックアンドプレースノズル26の真空の力Fvより小さくてもよい。これにより、第2の磁気要素34と第1の磁気要素32の間の磁力が配置工程に影響を与えることなく、ピックアンドプレースノズル26が構成部品18を適切に配置できるものとしてよい。こうすることで、ノズル26が構成部品18に対して真空の力を付与することをやめるまで、構成部品18はノズル26に強固に固着され続けてもよい。第1および第2の磁気要素32、34の作用の結果として構成部品18が面12に対して有する磁力(つまりFm)は、真空の力Fvがノズル26によって構成部品18に加えられているとき、配置に影響を与えないものであってもよく、ノズル26上で構成部品18を移動させないものであってもよい。
【0019】
図示実施形態において、試験器具10はキャリア部14を含むものとして示される。ある実施形態においては、キャリア部14は金属からなるものであってもよい。他の実施形態においては、キャリア部14はプラスチック、複合材、木材あるいはガラスからなるものであってもよい。ただし、キャリア部14は、配置される構成部品を受け入れるものではないので、キャリア部14はガラスその他の磨かれたまたは滑らかな表面からなるものであることを求められなくてもよい。キャリア部14は、配置面12の外周を取り囲むものであってもよい。他の実施形態においては、キャリア部14は面12の一つまたは複数の縁に近接する位置にのみ配置されるものであってもよい。
【0020】
実施形態において、構成部品18用のポケット16は、各々同じサイズと同じ寸法を有するものとして示される。ただし、異なる寸法の構成部品18を受け入れるために各ポケットが異なる寸法を有するものであってもよいことは理解されるはずである。他の実施形態においては、複数のポケット16は、どのようなサイズの構成部品18であっても収容するのに足る程の大きさの標準のまたは一定の寸法を有するものであってもよい。各ポケット16は、その底またはその下に配置される強磁性体を有していてもよい。このことにより、構成部品18と対応するポケット16の間に磁力を生じさせるものであってもよい。これにより、ピックアンドプレース機28の内部への試験器具10の移動の間に、それぞれのポケット16の内部に構成部品18を保持しやすくするものであってもよい。第1と第2の磁気要素32、34の間の磁力Fmと同様に、構成部品18とポケット16の間の磁力は、ノズル26の真空の力Fvより小さいものであってもよい。
【0021】
試験器具10は、複数のピックアンドプレースノズル26を保持するための複数のポケット38さらに有していてもよい。ピックアンドプレースノズル26は、電子的構成部品配置産業において一般的に用いられるピックアンドプレースノズルであってもよい。試験器具10は複数の異なるタイプのピックアンドプレースノズルを保持するように構成されてもよい。これらのノズル26は各々異なるタイプまたはサイズの構成部品を取り上げる(ピックアップする)ように構成されてもよい。このように、ノズル26の構成部品インターフェース部30のサイズおよび形状は、各ノズルが異なる構成部品を収容するために異なっていてもよい。本明細書に記述された方法と装置が任意のサイズのノズルおよび構成部品に適用され得ることは理解されるはずである。
【0022】
図5は、ピックアンドプレース機28の実施形態を示す。ピックアンドプレース機28が例示の実施形態として示されること、および、追加的なもしくは異なる構成部品を有する他の実施形態も考えられることは理解されるはずである。ピックアンドプレース機28の以下の記述は、試験器具10を利用する機械のタイプの一例についてのものである。図示されるピックアンドプレース機28は少なくとも1つのフィーダーシステム52を含んでもよい。フィーダーシステム52は1つまたは複数のフィーダー54を有し、フィーダー54は、最終的にプリント基板に配置され得る電子的構成部品(図示せず)を含むか、あるいはその電子的構成部品が装填されたものであってもよい。試験器具10との関連において上述した構成部品18が、最終的に基板配置工程で用いられる本物の構成部品に相当し得る小塊または試験用構成部品であってもよいことは理解されるはずである。試験中にピックアンドプレース機28によって使用される複数の構成部品18を、試験器具10内の構成部品18用のポケット16が格納することで、フィーダーシステム52と同じ目的を達成してもよいことは理解されるはずである。そのため、試験器具10の使用中、フィーダーシステム52は利用されてもよく、利用されなくてもよい。試験器具10が構成部品18用のポケット16を含まない実施形態においては、フィーダーシステム52が試験中に試験器具10と組み合わせて用いられてもよいことは理解されるはずである。
【0023】
さらに、ピックアンドプレース機28の実施形態は少なくとも1つのピックアンドプレースシステム46を含んでいてもよい。ピックアンドプレースシステム46はピックアンドプレースノズル26(
図2に示す)を含んでもよい。構成部品18の取り上げと配置に関して上述した機能に加えて、ノズル26はさらに、基板配置工程の間に電子的構成部品を保持し、かつ、フィーダーシステム52のフィーダー54から構成部品を素早く取り上げるか選択するように構成されていてもよい。さらに、ピックアンドプレースシステム46は、構成部品18や電子的構成部品といった取り上げた1つの構成部品を掴んで、構成部品を試験器具10上の正確な位置に配置するか、あるいは、試験が完了して正確さが確認された後、構成部品をプリント回路基板上に配置するために動くものとしてもよい。さらに、ピックアンドプレースシステム46は、一回または複数回のピックアンドプレースシークエンス中に、試験器具10またはプリント回路基板上での複数の構成部品のピックアンドプレースを実行するように構成されてもよい。例えば、ピックアンドプレースシステム46は、それぞれ電子的構成部品のピックアンドプレースを行うように操作可能なノズル26のような、複数のノズルを有するスピンドル装置またはその他の機構を有してもよい。
【0024】
ピックアンドプレース機28の実施形態は視覚検出システムを含んでもよい。視覚検出システムは第1のカメラ44および第2のカメラ50を含んでもよく、それらは、試験器具10またはプリント回路基板上への配置に先立って、または、その配置の後に構成部品18または電子的構成部品の撮像を行うものであってもよい。図から、構成部品がノズルによって取り上げられた後、ピックアンドプレースノズル上にある取り上げた構成部品の位置を第2のカメラ50が下から検査するように構成されてもよいことは理解されるはずである。対照的に、第1のカメラ44は下を向いており、最終的に機能する基板の組立工程の間、構成部品が試験器具10の面12または実際の基板の上に配置された後に、構成部品の画像を捕らえるように構成されてもよい。プロセッサー(図示せず)は、得られた画像に基づき、第1カメラ44が捕らえた配置後の構成部品の位置の正確さを確認するものとしてもよい。プロセッサーはまた、構成部品が配置可能か否かを判断し、構成部品とピックアンドプレースシステム46およびピックアンドプレースノズル26との関係を判断するように構成されてもよい。例えば、ピックアンドプレースシステム46のピックアンドプレースノズル26が構成部品18のうちの1つを取り上げたときにノズル26に対する構成部品18の位置が適切でない場合は、第2のカメラ50はこの不適切な位置を捕らえて、プロセッサーは、構成部品18が配置不可能であり、ノズル26に対して構成部品18を再度配置しなおすようにピックアンドプレースシステム46に命令するようにしてもよい。さらに、視覚検出システムおよびプロセッサーは、試験工程に加えて、最終的な基板配置工程における構成部品18あるいは電子的構成部品の配置の正確さを確認したり、管理したりしてもよい。
【0025】
さらにまた、ピックアンドプレース機28の実施形態は、ピックアンドプレースシステム46中の1つまたは複数のノズル交換機システム48により構成されるものであってもよい。ノズル交換機システム48は、損傷を受けたり汚染されたりしたノズルを交換するため、あるいは、様々な構成部品を保持する必要性に応えるためにノズルを別のノズルに交換するため、追加的なノズルを格納および管理するものであってもよい。試験器具10中のピックアンドプレースノズル26用のポケット38が、試験の間にピックアンドプレースシステム46によって使用される複数のノズル26を格納することで、ノズル交換システム48と同じ目的を達成してもよいことは理解されるはずである。そのため、試験器具10が使用されているとき、ノズル交換機システム48は利用されてもよく、利用されなくてもよい。試験器具10がノズル26用のポケット38を有さない実施形態においては、試験の間、ノズル交換機システム48が試験器具10と組み合わせて利用されてもよいことは理解されるはずである。
【0026】
また、ピックアンドプレース機28の実施形態はさらに、ピックアンドプレース機28を通して試験器具10(もしくは、ピックアンドプレース機28がプリント回路基板上に電子的構成部品を配置する操作を行っている場合には、プリント回路基板)を搬送するように構成された少なくとも1つの基板ハンドリングシステム42を含んでいてもよい。基板ハンドリングシステム42の実施形態はさらに、試験器具10またはプリント回路基板がピックアンドプレース機28を通して搬送される間、試験器具10またはプリント回路基板を載置可能な搬送ベルトを含んでもよい。試験器具10またはプリント回路基板は、基板ハンドリングシステム42を介してピックアンドプレース機28に入り、ピックアンドプレース機28の略中心部等のピックアンドプレース機28内の位置へ移動し、そこで、別個のメカニズム(クランプその他の固定装置)が、試験器具10もしくはプリント回路基板を固定し、適切な位置に保持するものであってもよい。こうして、クランプその他の固定装置は、ピックアンドプレース機28内に試験器具10またはプリント回路基板を固定するための手段として機能し得る。一旦、ピックアンドプレース工程の試験が完了すれば、クランプその他の固定装置は試験器具10またはプリント回路基板を解放してもよく、その後、試験器具10またはプリント回路基板は、基板ハンドリングシステム42を介してピックアンドプレース機28から外部へ移動してもよい。
【0027】
図3を参照して、面12および構成部品18は、それぞれ基準20、24を有していてもよい。基準20、24は印、点(スポット)、マーク、形状その他であってもよい。カメラ44によって視覚的に検出可能ないかなる印も考えられる。基準20、24は、それらが存在する構成部品18あるいは面12の残りの部分よりも色が濃く(暗く)てもよい。異なる実施形態においては、基準20、24は、それらが存在する構成部品18あるいは面12の残りの部分よりも色が薄く(明るく)てもよい。基準20、24は、面12上の構成部品18の位置を検出する際に、第1のカメラ44を含む視覚検出システムの便宜や補助となるものであってもよい。構成部品18はそれぞれ基準24のうちの4つを有するものとして示され、基準24のそれぞれは構成部品18の上向きの面19の各角の上に位置する。面12は均等に間隔を空けられた基準20の格子を有するものとして示される。格子は18掛ける7(18の7倍)の基準を含む。ただし、より多いか、より少ない数の基準も考えられる。
図3は、第1のカメラ44のカメラ対象領域40が、面の基準20aのうちの1つとともに、構成部品の基準24aの少なくとも1つを常に拾うように、基準20、24がそれぞれ間隔を空けられてもよいことを示す。これにより、視覚検出システムが面12に対する構成部品18の正確な位置を決定し確認することを可能にしてもよい。カメラ対象領域40が、第1のカメラ44によって提供される視覚検出システムの全体の視覚的認識位置を示すものであってもよいことは理解されるはずである。
【0028】
図1において、基準22も、試験器具10のキャリア部14上に示される。これらの基準22は、視覚検出システムおよび第1のカメラ44が、基板ハンドリングシステム42上のキャリア部14の位置を検出できるように構成されてもよい。キャリア部14の上部側および底部側にそれぞれ一つの基準22が示されているが、より容易に試験器具10の配置を決定するため、それよりも多いかまたは少ない数の基準を備えることが考えられる。
【0029】
図4を参照し、ピックアンドプレース機28等のピックアンドプレース機の正確さの試験、確立、確認、管理の少なくとも一つを行う方法100を示す。方法100は、試験器具10等の試験器具のポケット16等のポケットから、構成部品18等の構成部品を取る(ピックする)第1のステップ110を含む。第1のステップ110は、ピックアンドプレースノズル26等のピックアンドプレースノズルによって遂行されてもよい。方法100は、試験器具の、面12等の面の上に構成部品を配置する(プレースする)第2のステップ120を含んでもよい。これもまた、ピックアンドプレースノズルによって遂行されてもよい。このステップ120は磁力を備えた面に構成部品を保持することをさらに含んでもよい。これは、構成部品の中、および、面の中あるいは下に磁石を備えることにより達成されてもよい。
【0030】
方法100は、構成部品の配置を検査する第3のステップ130をさらに含んでもよい。このステップ130は、第1のカメラ44等のカメラを含む視覚検出システムを含むピックアンドプレース機の視覚検出システムによって遂行されてもよい。方法100は、面上の構成部品の配置の精度を確認する第4のステップ140を含んでもよい。これは、この判断をするためのプロセッサーを含む視覚検出システムによって遂行されてもよい。方法100の第3および第4のステップ130、140は、面がピックアンドプレース機内にとどまっている間に、オペレータによる介入または関与無しに遂行されてもよく、完了されてもよい。第3および第4のステップ130、140は、視覚検出システムおよびカメラの少なくとも一方によって、基準20、22、24等の基準の位置を特定するか発見すること、ピックアンドプレース機内の面の位置を検出すること、面上の構成部品の位置を検出することを含んでもよい。
【0031】
方法100はさらに、例えばピックアンドプレースノズルによって面から構成部品を取り上げる第5のステップ150を有してもよい。その後、方法100は、検査および確認のステップ130、140の後に、試験器具のポケットに構成部品を置くか戻すための第6のステップ160を有していてもよい。
【0032】
方法100はさらに、複数の構成部品に対してステップ110、120を複数回行なうことにより、面に複数の構成部品を装着することを含んでもよい。方法100は、ステップ130でピックアンドプレース機の視覚検出システムにより面上の複数の構成部品を検査することを含んでもよく、ステップ140でピックアンドプレース機により面上の複数の構成部品の配置の正確さを確認することを含んでもよい。方法100は複数の構成部品に対してステップ150、160を複数回行ない、これによりピックアンドプレースノズルによってキャリア部内の複数のポケットに複数の構成部品を戻すことを含んでもよい。
【0033】
別の実施形態においては、試験器具10と類似の試験器具は第2の磁気要素34を含まなくてもよい。その代わり、この実施形態の試験器具は、試験器具と構成部品18の間に吸引力を提供するための真空源を含んでもよい。この実施形態において、この真空源は試験器具の下に配置されるものとしてもよい。この試験器具の面は、面に対して真空の力が付与され得るように、空気半透過性の材料を含んでもよい。上述した実施形態と同様に、この試験器具の面によって構成部品18に付与される真空の力は、ピックアンドプレース機28のノズル26のうちの1つによって構成部品18に付与される真空の力Fv未満であってもよい。この真空を達成するために、試験器具10は持ち運び可能な局所的な真空源を含んでいてもよい。この真空源は、第三者の計測システムによる基板の検査を可能とするものであってもよい。また別の実施形態では、真空も磁石も有さない対象プレートまたは面のために、ヤモリのような材料を含む別の試験器具の構成も考えられる。この種の材料は面の全体に適用されてもよく、ヤモリのつま先の上で発見された剛毛を模倣した乾式の接着剤とすることもできる。このような乾式の接着剤は両面テープほどの粘着性は有さないものであってもよく、取り除いた後に残るガラス破片が残存しないものとなり得て、面に対する適用がより簡単なものとなり得る。
【0034】
実施形態の要素を単数のものとして紹介した場合は、単数または複数の当該要素が存在することを意図している。「含む」、「有する」、「備える」という語、およびそれらの派生語は、列記した要素以外にも追加の要素があり得るというように、包括的な意味となることを意図するものである。「または」、「あるいは」という接続語が少なくとも2つの用語の列記と共に使用される場合は、それらのいかなる用語をも意味し、また、それらの用語のいかなる組み合わせをも意味することを意図している。「第1の」および「第2の」という語は、要素を識別するために使用したものであり、特定の順番を表すために使用したものではない。
【0035】
発明は限られた数の実施形態との関連のみにおいて詳細に記述したが、発明がそのような示された実施形態に限定されないものであることは容易に理解されるはずである。むしろ、本発明は、発明の趣旨および範囲と整合するものである限りにおいて、上記以外のいかなる数の変形、変更、代替あるいは同等の構成をも組み入れるように修正することが可能である。さらに、発明の様々な実施形態が記載されているが、発明の各局面は、記述された実施形態のうちの一部のみを含むものであり得ることは理解されるであろう。従って、本発明は先の記載によって限定されるとは見なされず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。