特許第6663871号(P6663871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663871
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】消音器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/18 20100101AFI20200302BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20200302BHJP
【FI】
   F01N13/18
   F01N13/08 E
   F01N13/08 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-27054(P2017-27054)
(22)【出願日】2017年2月16日
(65)【公開番号】特開2018-132002(P2018-132002A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】堀 慎治
(72)【発明者】
【氏名】江崎 孝志
(72)【発明者】
【氏名】本田 千恵
【審査官】 松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−337036(JP,A)
【文献】 特開2000−136721(JP,A)
【文献】 特開2016−121607(JP,A)
【文献】 特表2014−518987(JP,A)
【文献】 特開2016−121642(JP,A)
【文献】 特開2015−014209(JP,A)
【文献】 特開2015−063897(JP,A)
【文献】 特開2005−016494(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0126531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/18
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の外殻部材でケーシングが構成され、前記一方の外殻部材には、少なくとも一つのインレットパイプが挿通する導入側穴と、少なくとも一つのアウトレットパイプが挿通する排気側穴が穿設されて、
前記ケーシング内に、前記インレットパイプと前記アウトレットパイプとセパレータを有する内部構造体を内装した後に、前記外殻部材の開口縁部同士を接合して製造する消音器の製造方法であって、
前記内部構造体を形成する工程と、
該内部構造体のインレットパイプ又は/及びアウトレットパイプを、前記一方の外殻部材における導入側穴又は/及び排気側穴に対して遊嵌するとともに、インレットパイプが導入側穴から外側に、アウトレットパイプが排気側穴から外側に突出するように取付ける内装工程と、
遊嵌した状態のインレットパイプ又は/及びアウトレットパイプと、導入側穴又は/及び排気側穴との間の空隙を閉塞する閉塞工程と、
を有することを特徴とする消音器の製造方法。
【請求項2】
前記内装工程は、前記内部構造体のインレットパイプ又はアウトレットパイプを、前記導入側穴又は排気側穴に挿通した後に、前記内部構造体を挿通した導入側穴又は排気側穴を中心として三次元的に回動させ、アウトレットパイプ又はインレットパイプを、前記排気側穴又は導入側穴に遊嵌することを特徴とする請求項1記載の消音器の製造方法。
【請求項3】
前記導入側穴と排気側穴をバーリング穴で構成し、インレットパイプ又はアウトレットパイプが遊嵌するように挿入された導入側穴と排気側穴を縮径することで、前記空隙を閉塞するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の消音器の製造方法。
【請求項4】
前記導入側穴と排気側穴をバーリング穴で構成し、このバーリング穴に遊嵌するように挿入されたインレットパイプ又はアウトレットパイプを拡径することで、前記空隙を閉塞するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の消音器の製造方法。
【請求項5】
前記導入側穴又は排気側穴に遊嵌するように挿入されたインレットパイプ又はアウトレットパイプの外周面に当接する筒部と、一方の外殻部材に当接するフランジ部を有する閉塞部材を用いて、前記空隙を閉塞するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の消音器の製造方法。
【請求項6】
前記導入側穴又は排気側穴に遊嵌するように挿入されたインレットパイプ又はアウトレットパイプの空隙に排気管を挿入して、前記空隙を閉塞するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の消音器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の外殻部材で消音器のケーシングを構成し、夫々の外殻部材の接合部分にインレットパイプとアウトレットパイプを挿通するための半円状の挿通穴を夫々形成し、半円状の挿通穴により、インレットパイプとアウトレットパイプを夫々挟持し、溶接により両者を接合することにより消音器を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)、以下、これを従来技術1という。
【0003】
また、両端が開口する筒状の部材の両端に、インレットパイプ又はアウトレットパイプを挿通し、筒状の部材の両端とインレットパイプ又はアウトレットパイプ間の隙間を、筒状の部材の両端を縮径したり(特許文献2参照)、両端が開口する筒状の部材の両端にアウタープレートを接合してケーシングを形成し、夫々のアウタープレートに挿通穴を形成し、この挿通穴にインレットパイプ又はアウトレットパイプを挿通し、挿通穴とインレットパイプ又はアウトレットパイプの間の隙間を、インレットパイプ又はアウトレットパイプを拡径したり(特許文献3参照)、閉塞部により塞いだり(特許文献4参照)、接続パイプを挿入する(特許文献5参照)ことにより、閉塞して消音器を製造する方法も知られている。以下、これを従来技術2という。
【0004】
上記従来技術1の製造方法においては、インレットパイプ又はアウトレットパイプと一対の半円状の挿通穴により挟持された接合部において、割面方向の両側部において大きな隙間が生じてしまうため、この隙間を溶接する際に、溶接不良が生じる恐れがあるという問題がある。
【0005】
また、従来技術2においては、筒状の部材の両側部を縮径したり、筒状の部材の両側部にアウタープレートを接合してケーシングを形成するために、形成できないケーシングの形状があるという問題がある。
【0006】
そこで、近年、上記問題点を解決した消音器の製造方法として、一対の外殻部材でケーシングを構成するとともに、その一方の外殻部材に、インレットパイプを挿通する導入側穴と、アウトレットパイプを挿通する排気側穴を形成し、インレットパイプとアウトレットパイプとセパレータからなる内部構造体を、インレットパイプを導入側穴に端部が外側に突出するように挿通するとともに、短く形成されたアウトレットパイプは、排気側穴には挿通することなく一方の外殻部材内に内装した後に、テールパイプを排気側穴に挿通してアウトレットパイプに接続した後に、他方の外殻部材を被せて消音器を製造することが行われている(特許文献6参照)。以下、これを従来技術3という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平6−31126号公報
【特許文献2】特許第3333141号公報
【特許文献3】特開2005−344554号公報
【特許文献4】特開2005−330839号公報
【特許文献5】特開2016−121642号公報
【特許文献6】特許第5934150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術3の製造方法では、アウトレットパイプが排気側穴に挿通しないように短く形成されているために、一方の外殻部材内に内部構造体を内装するとともに固定する際に、アウトレットパイプを所定の位置に保持するための取付治具が必要となる。
【0009】
このため、取付治具の挿入と取外し作業が必要となり、製造工程が煩雑になるとともに、製造コストが上昇するという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明は、アウトレットパイプを所定の位置に保持するための取付治具を不要とした消音器の製造方法を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、本発明は、一対の外殻部材でケーシングが構成され、前記一方の外殻部材には、少なくとも一つのインレットパイプが挿通する導入側穴と、少なくとも一つのアウトレットパイプが挿通する排気側穴が穿設されて、
前記ケーシング内に、前記インレットパイプと前記アウトレットパイプとセパレータを有する内部構造体を内装した後に、前記外殻部材の開口縁部同士を接合して製造する消音器の製造方法であって、
前記内部構造体を形成する工程と、
該内部構造体のインレットパイプ又は/及びアウトレットパイプを、前記一方の外殻部材における導入側穴又は/及び排気側穴に対して遊嵌するとともに、インレットパイプが導入側穴から外側に、アウトレットパイプが排気側穴から外側に突出するように取付ける内装工程と、
遊嵌した状態のインレットパイプ又は/及びアウトレットパイプと、導入側穴又は/及び排気側穴との間の空隙を閉塞する閉塞工程と、
を有することを特徴とする消音器の製造方法である。
【0012】
また、前記内装工程は、前記内部構造体のインレットパイプ又はアウトレットパイプを、前記導入側穴又は排気側穴に挿通した後に、前記内部構造体を挿通した導入側穴又は排気側穴を中心として三次元的に回動させ、アウトレットパイプ又はインレットパイプを、前記排気側穴又は導入側穴に遊嵌するようにしてもよい。
【0013】
また、前記導入側穴と排気側穴をバーリング穴で構成し、インレットパイプ又はアウトレットパイプが遊嵌するように挿入された導入側穴と排気側穴を縮径することで、前記空隙を閉塞するようにしてもよい。
【0014】
また、前記導入側穴と排気側穴をバーリング穴で構成し、このバーリング穴に遊嵌するように挿入されたインレットパイプ又はアウトレットパイプを拡径することで、前記空隙を閉塞するようにしてもよい。
【0015】
また、前記導入側穴又は排気側穴に遊嵌するように挿入されたインレットパイプ又はアウトレットパイプの外周面に当接する筒部と、一方の外殻部材に当接するフランジ部を有する閉塞部材を用いて、前記空隙を閉塞するようにしてもよい。
【0016】
また、前記導入側穴又は排気側穴に遊嵌するように挿入されたインレットパイプ又はアウトレットパイプの空隙に排気管を挿入して、前記空隙を閉塞するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、内部構造体のインレットパイプ又は/及びアウトレットパイプを、一方の外殻部材における導入側穴又は/及び排気側穴に対して遊嵌するとともに、インレットパイプが導入側穴から外側に、アウトレットパイプが排気側穴から外側に突出するように取付ける内装工程と、遊嵌した状態のインレットパイプ又は/及びアウトレットパイプと、導入側穴又は/及び排気側穴との間の空隙を閉塞する閉塞工程を有することにより、上記従来技術3の消音器の製造方法におけるアウトレットパイプを保持する治具の取付及び取外す工程が不要となり、従来技術3の製造方法と比較して、消音器を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る消音器の斜視図。
図2】本発明の実施例1に用いる内部構造体の斜視図。
図3図1の状態から他方の外殻部材を取外した状態の斜視図。
図4図3の後側から見た斜視図。
図5図3の正面図。
図6図3の背面図。
図7】本発明の実施例1に係る消音器の製造方法を説明するための正面図。
図8図7の前側から見た斜視図。
図9図7の背面図。
図10図7の後側から見た斜視図。
図11】本発明の実施例1に係る消音器の製造方法の閉塞工程を説明するための要部断面図。
図12】本発明の実施例2に係る消音器の製造方法の閉塞工程を説明するための要部断面図。
図13】本発明の実施例3に係る消音器の製造方法の閉塞工程を説明するための要部断面図。
図14】本発明の実施例3に用いる閉塞部材の斜視図。
図15】本発明の実施例4に係る消音器の製造方法の閉塞工程を説明するための要部断面図。
図16図15の状態から排気管を挿入した状態の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。なお、図面には、形状が分かりやすいように稜線を記載してある。
【0020】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る消音器1の斜視図を示す。
【0021】
消音器1は、半割状の一方の外殻部材2と、半割状の他方の外殻部材3の1対の外殻部材2,3で構成されたケーシング4と、内部構造体5を有する。
【0022】
内部構造体5は、図2に示すように、図示しない導入側排気管を通じて内燃機関と連通する1本のインレットパイプ7と、図示しない排出側排気管を通じて外部と連通する1本のアウトレットパイプ8と、第1セパレータ9と第2セパレータ10を有する。
【0023】
セパレータ9,10は、図3に示すように、消音器1内を3つの消音室11,12,13に区画形成するようになっている。なお、本実施例においては、セパレータの数を2つとしたが、その数は任意に設定することができる。
【0024】
セパレータ9,10に形成された挿通穴9a,10aにはインレットパイプ7が、挿通穴9b,10bにはアウトレットパイプ8が、夫々挿通されている。
【0025】
一方の外殻部材2は、図1の下側に配設されており、無端状に形成された側部2aを有し、側部2aで囲まれた空間の一方(図1の上部)には開口部2bが形成され、他方である下部は覆い部2cにより覆って、底部又は上部を構成し、器状に形成されている。
【0026】
他方の外殻部材3は、図1の上側に配設されるものであり、無端状に形成された側部3aを有し、側部3aで囲まれた空間の一方(図1の下部)には開口部が形成され、他方である上部は覆い部3cにより覆って上部又は底部を構成し、器状に形成されている。一方の外殻部材2は、他方の外殻部材3よりも深く形成され、内部構造体5の多くの部分を収納できるように形成されている。
【0027】
また、一方の外殻部材2の側部2aには、導入側穴15と排気側穴16が穿設され、導入側穴15と排気側穴16は、側部2aから外側方向に向かって突出するバーリング穴で構成されている。導入側穴15からインレットパイプ7の端部7aが外側に突出するように設けられ、排気側穴16からアウトレットパイプ8の端部8aが外側に突出するように設けられている。なお、導入側穴15と排気側穴16の位置関係は、図に示す以外にも任意に設定することができる。
【0028】
次に、消音器1の製造方法について説明する。
【0029】
予め、図2に示すように、セパレータ9,10に形成された挿通穴9a,10aにインレットパイプ7を、挿通穴9b,10bにアウトレットパイプ8を、夫々、圧入又は挿通して、内部構造体5を組立てる。この内部構造体5を組立てる工程を、内部構造体5を形成する工程とする。
【0030】
先ず、図7図10に示すように、一方の外殻部材2の開口部2bに対して、内部構造体5が所定の角度傾いた状態で、一方の外殻部材2の排気側穴16に、内部構造体5におけるアウトレットパイプ8の下流側である一方の端部8aを挿入する。
【0031】
排気側穴16において、アウトレットパイプ8の排気側穴16に挿通した一方の端部8aの軸を中心として、内部構造体5を回動できるように、排気側穴16とアウトレットパイプ8の一方の端部8aとの間に所定の隙間(クリアランス)が形成されている。本実施においては、排気側穴16の内径を、アウトレットパイプ8における外殻部材2の外側に突出する側の一方の端部8aの外径よりも0.6mm大きくなるように設定されている。この径の違いを、0.6mmより大きく設定すると、後述する排気側穴16とアウトレットパイプ8の一方の端部8aとを溶接する際に、溶け落ちの不具合が生じる恐れがあるからである。
【0032】
次に、内部構造体5を、アウトレットパイプ8の一方の端部8aの軸芯を中心として、図7図9の下側方向に、導入側穴15にインレットパイプ7の上流側である一方の端部7aが遊嵌するとともに、セパレータ9,10が一方の外殻部材2の所定位置に収納するまで回動させる。所定の位置まで内部構造体5を回動させた際に、導入側穴15と、インレットパイプ7の一方の端部7aとの間には、図11に示すように空隙18が形成され、導入側穴15に対して、インレットパイプ7の一方の端部7aが遊嵌するようになっている。このように、内部構造体5を一方の外殻部材2に組付ける工程を、内装工程とする。
【0033】
導入側穴15の内径は、内部構造体5を回動させる際に、インレットパイプ7の一方の端部7aが、一方の外殻部材2の側部2aなどと干渉しなければ任意に設定することができるが、本実施例では、図11に示すように、導入側穴15の内径を、インレットパイプ7の一方の端部7aの外径の約1.5倍に設定し余裕をもった遊嵌状態とした。
【0034】
次に、導入側穴15におけるバーリング穴の外側部15aを、プレス加工やスピニング加工により縮径し、図11の破線で示すように、導入側穴15と、インレットパイプ7の一方の端部7aとの間の空隙18を閉塞する。このように、空隙18を閉塞する工程を閉塞工程とする。空隙18を閉塞した状態とは、導入側穴15の外側部15aの内周面と、インレットパイプ7の一方の端部7aの外周面とが、全周に亘って当接(密着)した状態であることが好ましいが、プレス加工のスプリングパックにより若干の隙間が生じた状態や、溶接時において溶け落ちが生じない程度に隙間が生じている状態も含む。
【0035】
次に、排気側穴16と、アウトレットパイプ8の一方の端部8aとを溶接等により固定するとともに、導入側穴15と、インレットパイプ7の一方の端部7aを溶接等により固定する。また、必要に応じて、セパレータ9,10と、一方の外殻部材2とをスポット溶接等により接合する。
【0036】
次に、一方の外殻部材2における側部2aの開口部2b側縁部に、他方の外殻部材3における側部3aの開口部側縁部を溶接により接合して消音器1を形成する。
【0037】
導入側穴15と、インレットパイプ7の端部7aとの間に空隙18を形成したことにより、内装工程において内部構造体5を回動させる際に、インレットパイプ7の一方の端部7aが、一方の外殻部材2の側部2aなどと干渉せず、組付けを行うことができるため、従来技術3の消音器の製造方法におけるアウトレットパイプを保持する治具の取付及び取外す工程が不要となり、従来技術3の消音器の製造方法と比較して、消音器1を容易に製造することができる。
【0038】
なお、消音器1は、図1に示す上方が上部となるように車両に搭載することに限定されず、消音器1の搭載姿勢は、車両に対する取付位置に応じて、任意に設定することができる。
【0039】
[実施例2]
上記実施例1においては、導入側穴15の外側部15aを縮径し、導入側穴15と、インレットパイプ7の一方の端部7aとの間の空隙18を閉塞するようにしたが、図12に示すように、インレットパイプ7の一方の端部7aを拡径して空隙18を閉塞するようにしてもよい。
【0040】
それ以外の構造は、前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0041】
本実施例2においても前記実施例1と同様の効果を奏する。
【0042】
[実施例3]
上記実施例1においては、導入側穴15の外側部15aを縮径し、導入側穴15と、インレットパイプ7の一方の端部7aとの間の空隙18を閉塞するようにしたが、図13図14に示すように、インレットパイプ7の一方の端部7aの外周面に一部が当接する筒部21と、一方の外殻部材2の外側面に当接するフランジ部22を有する閉塞部材23を用いて、空隙18を閉塞するようにしてもよい。
【0043】
筒部21は、図13に示すように、外殻部材2の外側から内側に向かうほど徐々に拡径するように形成されている。筒部21とフランジ部22は一体に形成されている。なお、導入側穴15は、上記実施例1のように、側部2aから外側方向に突出するバーリング穴ではなく、図13に示すように、突出部を有しない側部2aを貫通する貫通穴のみで構成してもよい。
【0044】
それ以外の構造は、前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0045】
本実施例3においても前記実施例1と同様の効果を奏する。
【0046】
[実施例4]
上記実施例1においては、導入側穴15の外側部15aを縮径し、導入側穴15と、インレットパイプ7の一方の端部7aとの間の空隙18を閉塞するようにしたが、図15図16に示すように、この空隙18に排気管30を挿入し、排気管30をインレットパイプ7の一方の端部7aに嵌合することにより、空隙18を閉塞するようにしてもよい。
【0047】
それ以外の構造は、前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0048】
本実施例4においても前記実施例1と同様の効果を奏する。
【0049】
本実施例4においては、更に、一方の外殻部材2から外側に突出するインレットパイプ7の一方の端部7aが、排気管30の挿入の案内となるために、排気管30の隙間18への挿入が容易となる。また、インレットパイプ7の一方の端部7aと排気管30との接続部は、3重構造となるために、その部分の強度を高めることができる。
【0050】
[実施例5]
上記導入側穴15と、インレットパイプ7の一方の端部7aとの間の空隙18を閉塞する方法は、上記実施例1〜4に記載の方法に限定されず、それらを組み合わせて行ってもよいし、他の任意の方法により、空隙18を閉塞するようにしてもよい。
【0051】
例えば、実施例4において、空隙18に、インレットパイプ7の一方の端部7aの外径より大きな内径を有する排気管30を導入側穴15に嵌合するように挿入した後に、インレットパイプ7の一方の端部7aを拡径して空隙18を閉塞するにしてもよい。また、空隙18に、導入側穴15の内径より小さな外径を有する排気管30を挿通するとともに、インレットパイプ7の一方の端部7aに嵌合させたのちに、導入側穴15を縮径して、空隙18を閉塞するようにしてもよい。また、空隙18に、インレットパイプ7の一方の端部7aの外径より大きな内径で、かつ、導入側穴15の内径より小さな外径を有する排気管30を挿入した後に、インレットパイプ7の一方の端部7aを拡径し、かつ、導入側穴15を縮径して空隙18を閉塞するようにしてもよい。
【0052】
それ以外の構造は、前記実施例1〜4と同様であるのでその説明を省略する。
【0053】
本実施例5においても前記実施例1〜4と同様の効果を奏する。
【0054】
[実施例6]
上記実施例1〜5においては、一方の外殻部材2の側部2aに、導入側穴15と排気側穴16を形成したが、導入側穴15又は/及び排気側穴16を、一方の外殻部材2の覆い部2cに形成してもよいし、側部2aと覆い部2cに跨るようにして形成してもよい。
【0055】
それ以外の構造は、前記実施例1〜5と同様であるのでその説明を省略する。
【0056】
本実施例6においても前記実施例1〜5と同様の効果を奏する。
【0057】
[実施例7]
上記実施例1〜6においては、内装工程において、アウトレットパイプ8の一方の端部8aを、排気側穴16に挿通した後に、端部8aの軸芯を中心として内部構造体5を回動させて、導入側穴15にインレットパイプ7を遊嵌するようにしたが、アウトレットパイプ8の一方の端部8aと排気側穴16との隙間を大きくして空隙を形成し、導入側穴15とインレットパイプ7との隙間を相互が回動できる程度の隙間に形成して、導入側穴15にインレットパイプ7を挿通した後に、インレットパイプ7の一方の端部7aの軸芯を中心として、内部構造体5を回動させて、排気側穴16にアウトレットパイプを遊嵌するようにしてもよい。
【0058】
それ以外の構造は、前記実施例1〜6と同様であるのでその説明を省略する。
【0059】
本実施例7においても前記実施例1〜6と同様の効果を奏する。
【0060】
[実施例8]
上記実施例1〜7においては、内装工程において、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、又は、導入側穴15に対してインレットパイプ7を遊嵌するようにしたが、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を遊嵌するとともに、導入側穴15に対してもインレットパイプ7を遊嵌するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施例1〜7においては、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、又は、導入側穴15に対してインレットパイプ7を挿入した後に、アウトレットパイプ8の一方の端部8aの軸芯を中心として内部構造体5を回動させたが、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、又は、導入側穴15に対してインレットパイプ7を遊嵌するように挿入した後に、内部構造体5を、任意の方向に3次元的に移動や回動を行って、一方の外殻部材2に対する内部構造体5の姿勢を変化させ、導入側穴15に対してインレットパイプ7を、又は、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、遊嵌させるようにしてもよい。
【0062】
例えば、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、又は、導入側穴15に対してインレットパイプ7を挿入した後に、内部構造体5を、挿入した排気側穴16又は導入側穴15を中心として、三次元的に回動させ、一方の外殻部材2に対する内部構造体5の姿勢を変化させ、導入側穴15に対してインレットパイプ7を、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、遊嵌するようにするしてもよい。
【0063】
また、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、又は、導入側穴15に対してインレットパイプ7を挿入した後に、内部構造体5を、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、又は、導入側穴15に対してインレットパイプ7を遊嵌するように挿入した部分の軸芯を中心とし、又は、その軸芯に直交する軸芯を中心として回動させ、又は、この軸芯方向に移動させることで、一方の外殻部材2に対する内部構造体5の姿勢を変化させ、導入側穴15に対してインレットパイプ7を、排気側穴16に対してアウトレットパイプ8を、遊嵌するようにすることで、ロボットを用いて内装工程を行うことが容易となる。
【0064】
それ以外の構造は、前記実施例1〜7と同様であるのでその説明を省略する。
【0065】
本実施例8においても前記実施例1〜7と同様の効果を奏する。
【0066】
[実施例9]
上記実施例1〜8においては、内部構造体5を、1本のインレットパイプ7と、1本のアウトレットパイプ8で構成したが、インレットパイプ又は/及びアウトレットパイプを複数本で構成してもよい。
【0067】
また、一方の外殻部材2には、少なくとも1つの導入側穴15と、少なくとも1つの排気側穴16を形成し、他方の外殻部材3には、導入側穴15、排気側穴16を形成してもよいし、形成しなくてもよい。
【0068】
それ以外の構造は、前記実施例1〜8と同様であるのでその説明を省略する。
【0069】
本実施例9においても前記実施例1〜8と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0070】
1 消音器
2 一方の外殻部材
3 他方の外殻部材
4 ケーシング
5 内部構造体
7 インレットパイプ
8 アウトレットパイプ
9,10 セパレータ
15 導入側穴
16 排気側穴
18 空隙
21 筒部
22 フランジ部
23 閉塞部材
30 排気管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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