特許第6663882号(P6663882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663882
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】ブレーキキャリパー
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/226 20060101AFI20200302BHJP
   F16D 65/02 20060101ALI20200302BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20200302BHJP
   F16D 125/22 20120101ALN20200302BHJP
【FI】
   F16D55/226 104F
   F16D65/02 J
   F16D65/18
   F16D65/02 C
   F16D125:22
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-81991(P2017-81991)
(22)【出願日】2017年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-207203(P2017-207203A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年10月19日
(31)【優先権主張番号】105115665
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515219285
【氏名又は名称】廖志賢
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】廖 志賢
【審査官】 羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−194165(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0021125(US,A1)
【文献】 実開平04−001738(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12−8/1769
B60T 8/32−8/96
B60T 13/00−13/74
F16D 49/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸線を中心に回転し、前記第1の軸線と略直交する第1の盤面と前記第1の盤面とは反対側の第2の盤面とを有する盤状のブレーキローターの回転を停止させるブレーキキャリパーであって、
前記ブレーキキャリパーは、
前記第1の盤面と前記第2の盤面とに当接して挟むことにより前記盤状のブレーキローターの回転を停止させる第1の制動パッド及び第2の制動パッドと、
前記ブレーキローターの隣に配置されている筐体と、
前記第1の軸線と略平行となる第2の軸線に沿って伸縮できるように前記筐体に保持されていると共に、伸縮する一端に前記第1の制動パッドが接続されている伸縮機構と、
前記伸縮機構の伸縮に応じて前記第2の軸線に沿って移動できるように、前記伸縮機構の前記第1の制動パッドが取付けられている一端の反対側に取り付けられる保持座と、
前記第2の制動パッドが接続されていると共に、前記保持座と共に前記第2の軸線と略平行に移動できる連動座と、
それぞれ前記第2の軸線と略平行に延伸するように前記筐体に固定されていると共に、前記連動座を挿通している2つのガイド部材と、を備えており、
前記連動座は、
前記ブレーキローターの隣で前記保持座側から前記第2の軸線と略平行に前記第2の制動パッド側まで延伸する上壁部と、
前記上壁部が前記第2の制動パッド側へ延伸した側から該上壁部と略直交するように延伸して前記第2の制動パッドに接続する制動壁部と、
前記上壁部の前記第2の軸線の方向と略直交する幅方向における両側からそれぞれ突起する上、該2つの前記ガイド部材がそれぞれに摺動可能に挿通している2つの脇部と、を有し、且つ該上壁部と該制動壁部及び該2つの脇部とは一体に形成されたものであり、
前記連動座の前記制動壁部は、
前記第2の制動パッドと接合する接合面と、
前記接合面の反対側にある嵌合面と、
前記嵌合面から突起する嵌合プラグと、を備えており、
また、前記筐体は、
前記ブレーキローターの前記第1の盤面側に配置されると共に、前記第1の制動パッドを受け入れて収容する第1の収容凹部が形成された第1の枠と、
前記ブレーキローターの前記第2の盤面側に配置されると共に、前記第2の制動パッドを受け入れて収容する第2の収容凹部が形成された第2の枠と、を有しており、前記第1の枠と前記第2の枠は互いに接続されており、
前記連動座は、前記上壁部が前記第1の枠及び前記第2の枠の隣に、且つ、前記制動壁部が前記第2の収容凹部内に挿し込まれるように配置されており、
前記第2の枠の前記第2の収容凹部の表面には、前記連動座の前記制動壁部を受け入れて収容することができる嵌合凹部が凹設され、そして該嵌合凹部の表面には前記第2の軸線と略平行に移動する前記連動座が備えた前記嵌合プラグを受け入れることができる嵌合ソケットが更に凹設されている
ことを特徴とするブレーキキャリパー。
【請求項2】
前記連動座は、各前記脇部の内部において、各前記脇部と各前記ガイド部材との間に介在している2つの自己潤滑軸受を更に有していることを特徴とする請求項に記載のブレーキキャリパー。
【請求項3】
前記第1の枠には、前記2つのガイド部材それぞれの一端が固定されている2つの第1の耳部が互いに間を空けて突起しており、
前記第2の枠には、前記2つのガイド部材それぞれの前記一端の反対側にある他端が固定されている2つの第2の耳部が互いに間を空けて突起していることを特徴とする請求項に記載のブレーキキャリパー。
【請求項4】
各前記ガイド部材は、前記一端が対応の前記第1の耳部にねじ込まれて固定されており、
前記一端の反対側にある他端には、大径に形成されたヘッド部があり、
前記第2の枠に形成された前記第2の耳部には、前記ヘッド部を受け入れる肩部が形成されていることを特徴とする請求項に記載のブレーキキャリパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーキキャリパーに関し、特に電動式のブレーキキャリパーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のディスクブレーキ装置において車輪と共に回転ブレーキローターを停止させる従来のブレーキキャリパーは、例えば特許文献1に記載されるものが挙げられる。図1は該従来のブレーキキャリパーがブレーキローターを挟んで制動している状態を示す側面断面図である。
【0003】
図1に示されるように、ブレーキローター90は、軸線L0を中心として回転すると共に、両面に該軸線L0と直交する第1の盤面901と第2の盤面902とをそれぞれ有している。そして、該ブレーキローター90を制動する従来のブレーキキャリパーは、筐体91と、筐体91に取り付けられていると共に、ブレーキローター90にある第1の盤面901及び第2の盤面902からそれぞれ離脱可能、且つ第1の盤面901または第2の盤面902に当接して制動できる第1の制動パッド921及び第2の制動パッド922と、筐体91内に収容されていると共に、第1の制動パッド921及び第2の制動パッド922を駆動する駆動ユニット93と、を備えている。
【0004】
筐体91は、ブレーキローター90にある第1の盤面901側に配置される第1の枠911と、ブレーキローター90にある第2の盤面902に配置される第2の枠912と、を有している。
【0005】
駆動ユニット93は、軸線L0の方向に沿って移動可能な保持座931と、軸線L0の方向に沿って保持座931及び第1の枠911を貫通すると共に、該軸線L0の方向に沿ってブレーキローター90にある第1の盤面911に接近/離間可能に構成された伸縮機構933と、保持座931に保持されて伸縮機構933の接近/離間を駆動するモーター932と、保持座931から筐体91の第2の枠912まで延伸する連動座934とを有している。
【0006】
第1の制動パッド921は、伸縮機構933に固定されると共に、伸縮機構933が第1の盤面901に接近する動きに従って該第1の盤面901に当接できる。一方、第2の制動パッド922は、連動座934に固定されると共に、第2の枠912とブレーキローター90の第2の盤面902との間に挿し込まれながら、連動座934の動きに従って第2の盤面902に当接できる。
【0007】
この構造によれば、該従来のブレーキキャリパーは、モーター932の駆動により伸縮機構933が、伸長して第1の制動パッド921をブレーキローター90にある第1の盤面901に当接させ、そして第1の盤面901に当接している状態から更に伸長して保持座931を該第1の盤面901から離れるように移動させ、保持座931の前記移動に続いて連動座934にある第2の制動パッド922をブレーキローター90にある第2の盤面に当接させることができる。そうすると、第1の制動パッド921及び第2の制動パッド922は、共にブレーキローター90を挟んでその回転を停止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】台湾特許出願公開第201531632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、該従来のブレーキキャリパーでは、第2の制動パッド922を制御するための連動座934は、一端が保持座931に接合されているだけであり、該一端から離れて第2の制動パッド922と接続する他端部にはその動きを案内する手段が施されていないため、連動座934と保持座931とが接合する具合次第で、例えば急ブレーキを掛けて第2の制動パッド922をブレーキローター90に強く当接させる場合には、ブレーキローター90に当接する第2の制動パッド922がブレーキローター90に連動するため連動座934が搖動し、ブレーキローター90に対して制動機能を確実に発揮できない虞がある。
【0010】
上記問題点に鑑みて、本発明は、連動座の保持座との連動を安定化させることにより、制動機能を確実に発揮できるブレーキキャリパーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、本発明のブレーキキャリパーは、第1の軸線を中心に回転し、両面に前記第1の軸線と略直交する第1の盤面と第2の盤面とをそれぞれ有する盤状のブレーキローターの回転を停止させるブレーキキャリパーであって、前記ブレーキキャリパーは、前記第1の盤面と前記第2の盤面とに当接して挟むことにより前記盤状のブレーキローターの回転を停止させる第1の制動パッド及び第2の制動パッドと、前記ブレーキローターの隣に配置されている筐体と、前記第1の軸線と略平行となる第2の軸線に沿って伸縮できるように前記筐体に保持されていると共に、伸縮する一端に前記第1の制動パッドが接続されている伸縮機構と、前記伸縮機構の伸縮に応じて前記第2の軸線に沿って移動できるように、前記伸縮機構の前記第1の制動パッドが取付けられている一端の反対側に取り付けられる保持座と、前記第2の制動パッドが接続されていると共に、前記保持座と共に前記第2の軸線と平行に移動できる連動座と、それぞれ前記第2の軸線と略平行に延伸するように前記筐体に固定されていると共に、前記連動座を挿通している2つのガイド部材と、を備えており、前記連動座は、前記ブレーキローターの隣で前記保持座側から前記第2の軸線と略平行に前記第2の制動パッド側まで延伸する上壁部と、前記上壁部が前記第2の制動パッド側へ延伸した側から該上壁部と略直交するように延伸して前記第2の制動パッドに接続する制動壁部と、前記上壁部の前記第2の軸線の方向と略直交する幅方向における両側からそれぞれ突起する上、該2つの前記ガイド部材がそれぞれに摺動可能に挿通している2つの脇部と、を有し、且つ該上壁部と該制動壁部及び該2つの脇部とは一体に形成されたものであり、前記連動座の前記制動壁部は、前記第2の制動パッドと接合する接合面と、前記接合面の反対側にある嵌合面と、前記嵌合面から突起する嵌合プラグと、を備えており、また、前記筐体は、前記ブレーキローターの前記第1の盤面側に配置されると共に、前記第1の制動パッドを受け入れて収容する第1の収容凹部が形成された第1の枠と、前記ブレーキローターの前記第2の盤面側に配置されると共に、前記第2の制動パッドを受け入れて収容する第2の収容凹部が形成された第2の枠と、を有しており、前記第1の枠と前記第2の枠は互いに接続されており、前記連動座は、前記上壁部が前記第1の枠及び前記第2の枠の隣に、且つ、前記制動壁部が前記第2の収容凹部内に挿し込まれるように配置されており、前記第2の枠の前記第2の収容凹部の表面には、前記連動座の前記制動壁部を受け入れて収容することができる嵌合凹部が凹設され、そして該嵌合凹部の表面には前記第2の軸線と略平行に移動する前記連動座が備えた前記嵌合プラグを受け入れることができる嵌合ソケットが更に凹設されている。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、本発明のブレーキキャリパーは、前記第2の軸線と略平行に延伸するように前記筐体に固定されていると共に、前記連動座を挿通している前記ガイド部材を備えているため、前記連動座が前記保持座に接合される上に、前記筐体に摺動可能に保持されているので、該連動座にある前記第2の制動パッドがブレーキローターに当接する際に該連動座と該第2の制動パッドの搖動を防止して、安定に該ブレーキローターを制動できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来のブレーキキャリパーがブレーキローターを挟んで制動する状態が示される側面断面図である。
図2】本発明のブレーキキャリパーがブレーキローターに設置される状態が示される斜視図である。
図3】本発明のブレーキキャリパーがブレーキローターに設置される状態が示される別視点の斜視図である。
図4】本発明のブレーキキャリパーの構造が示される分解斜視図である。
図5】本発明のブレーキキャリパーにおける連動座が示される斜視図である。
図6】本発明のブレーキキャリパーがブレーキローターを制動していない状態が示される断面図である。
図7】本発明のブレーキキャリパーにおける第1の制動パッドがブレーキローターに当接している状態が示される断面図である。
図8】本発明のブレーキキャリパーにおける第1の制動パッド及び第2の制動パッドが共にブレーキローターを挟んで制動している状態が示される断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図2図6を参照しながら、本発明のブレーキキャリパーを例示する実施形態について詳しく説明する。図2は本発明のブレーキキャリパーがブレーキローターに設置される状態が示される斜視図である。図3は本発明がブレーキローターに設置される状態が示される別視点の斜視図である。図4は本発明の構造が示される分解斜視図である。図5は本発明における連動座が示される斜視図である。そして、図6は本発明がブレーキローターを制動していない状態が示される断面図である。
【0015】
図示のように、本発明のブレーキキャリパー100は、第1の軸線L1を中心に回転し、両面に該第1の軸線L1と略直交する第1の盤面210とこの第1の盤面210とは反対の面に形成された第2の盤面220とをそれぞれ有する盤状のブレーキローター200の回転を停止させるものである。図4に示すように本発明のブレーキキャリパー100は、盤状のブレーキローター200の回転を停止させることができる制動手段20と、図2においてブレーキローター200の一部を囲う後述する枠内空間14を画成すると共に、図4ではブレーキローター200の隣に配置されている筐体10と、筐体10に保持されていると共に、制動手段20を駆動して制御できる駆動手段40と、筐体10に固定されて駆動手段40を保持する2つのガイド部材50と、を備えている。
【0016】
筐体10は、ブレーキローター200の第1の盤面210側に配置される第1の枠11と、ブレーキローター200の第2の盤面220側に配置されて、図2に示すようにブレーキローター200の外縁に沿って第1の枠11と接続する第2の枠12と、第1の枠11に取り付けられる2つの棒状の支持軸15と、を有している。
【0017】
図6に示されるように、第1の枠11には、第2の枠12へ開口するように凹設される第1の収容凹部111と、図4に示されるように、互いに間を空けて第1の収容凹部111が開口する方向と略直交する方向(図4における上側)へ突起している2つの第1の耳部113と、が形成されている。更に、図6に示されるように、第1の収容凹部111において第2の枠12に臨む表面である内壁面114には、第1の嵌合凹部112が凹設されている。各支持軸15は、第1の枠11の第1の軸線L1に沿った方向における第1の収容凹部111の内壁面114とは反対側の外壁面115にねじ込まれ、そして第1の軸線L1と平行になるように互いに上述した第1の耳部113を介して離間するように外壁面115から離れる方向へ延伸する。
【0018】
一方、第2の枠12には、第1の枠11へ開口して第1の収容凹部111と共にブレーキローター200の一部を収容できる枠内空間14を画成する第2の収容凹部121と、互いに間を空けて各第1の耳部113と同じ側へ突起している2つの第2の耳部124と、が形成されている。また、第2の収容凹部121において第2の盤面220に臨む表面には、上述した第2の耳部124が突起している方向と同じ方向に開口が形成された第2の嵌合凹部122と、該嵌合凹部122の表面から更に凹陥する嵌合ソケット123と、が凹設されている。なお、各第2の耳部124には、第1の枠11から離れる側(図6における右側)から凹陥して後述するヘッド部52を受け入れる肩部125が形成されている。
【0019】
制動手段20には、図4に示すように、第1の枠11にある第1の収容凹部111に可動的に収容される第1の制動パッド21と、第2の枠12にある第2の収容凹部121に可動的に収容される第2の制動パッド22と、が含まれている。第1の制動パッド21及び第2の制動パッド22は、第1の盤面210と第2の盤面220とにそれぞれ当接して挟むことにより、図2のブレーキローター200の回転を停止させるができる。
【0020】
駆動手段40は、伸縮機構44と、保持座41と、スリーブ軸受43と、止め輪45と、連動座47(図3を参照のこと。)と、モータ42とを有している。
【0021】
伸縮機構44は、第1の軸線L1と略平行となる第2の軸線L2に沿って伸縮できるように筐体10に保持されていると共に、伸縮する一端に第1の制動パッド21が接続されている。具体的に伸縮機構44は、棒状のシャフト441と、円筒状のスリーブナット442と、このスリーブナット442の一端部と連接している略板状のアンカー443と、を具えている。第1の制動パッド21は、アンカー443に固定されている。
【0022】
また、シャフト441は、第2の軸線L2に沿って延伸すると共に、第2の軸線L2を中心として回転できるように第1の枠11を外壁面115から内壁面114まで挿通している。更に、シャフト441は、第1の枠11の外壁面115側から第2の軸線L2の外周方向へ張り出すフランジ部4411と、フランジ部4411から内壁面114側の端部まで延伸するように形成されるネジ部4412と、ネジ部4412のフランジ部4411を介して反対側にある取付部4413と、を有している。
【0023】
スリーブナット442は、第2の軸線L2に沿って移動可能にシャフト441のネジ部4412に螺合している。アンカー443は、スリーブナット442から張り出して第1の制動パッド21を接続すると共に、第1の枠11に対して回転不可能になるように、第1の枠11にある第1の嵌合凹部112に内に嵌め込まれている。この構成により、シャフト441が回転駆動される際、シャフト441に取り付けられているスリーブナット442及びアンカー443は第1の枠11に対して回転不可能になっているため、スリーブナット442及びアンカー443は第2の軸線L2に沿って移動し、アンカー443に固定されている第1の制動パッド21は、第2の軸線L2に沿って、ブレーキローター200にある第1の盤面210に接近したり離間したりすることができる。即ち、駆動手段40はシャフト441を回転駆動することにより、第1の制動パッド21のブレーキローター200の第1の盤面210に対する接近/離間を制御することができる。
【0024】
図4に示すように、保持座41は、伸縮機構44にあるシャフト441の第1の制動パッド21が取付けられている一端の反対側にある取付部4413取り付けられ、更に第1の枠11に各支持軸15が挿通することによりその外壁面115側に支持されている。
【0025】
スリーブ軸受43は、保持座41において第1の枠11の外壁面115に臨んでいる一側に取り付けられている。具体的には、スリーブ軸受43は、保持座41と接続すると共に、シャフト441の取付部4413を回転可能に囲んで保持する環状の軸受部432と、軸受部432から第1の枠11へ延伸すると共に、シャフト441のフランジ部4411及びネジ部4412並びにスリーブナット442をまとめて可動的に囲む円筒部431と、を具えている。
【0026】
そして、止め輪45は、保持座41の第2の軸線L2においてスリーブ軸受43が取り付けられている側とは反対側に設置されると共に、シャフト441の取付部4413を回転可能に囲んで保持座41をシャフト441に位置決めする。
【0027】
図4図5に示されるように連動座47は、保持座41から筐体10の第2の枠12まで延伸して第2の制動パッド22が接続されていると共に、保持座41と共に第2の軸線L2と平行に移動できる。具体的に連動座47は、上壁部471と、制動壁部472と、2つの脇部473と、2つの自己潤滑軸受474と、を有している。
【0028】
上壁部471は、保持座41から第2の軸線L2と略平行に第2の制動パッド22側まで延伸するように形成され、そして筐体10の枠内空間14においてブレーキローター200を収容する側とは反対側を覆い、且つ第1の枠11及び第2の枠12の隣における各第1の耳部113の間及び各第2の耳部124の間に保持されるように配置されている。
【0029】
図4及び図5に示すように、制動壁部472は、上壁部471が第2の制動パッド22側へ延伸した側(つまり、先端の近傍)から、該上壁部471と略直交するように延伸して第2の制動パッド22と接続し、そして第2の枠12の第2の収容凹部121にある第2の嵌合凹部122内に挿し込まれて可動的に収容されている。更に制動壁部472は、第2の制動パッド22と接合する接合面4721と、接合面4721の制動壁部472を介して反対側にある嵌合面4722と、嵌合面4722から制動パッド22側へ突起して第2の枠12の嵌合ソケット123に挿入する嵌合プラグ4723と、を備えている。
【0030】
図5に示すように、2つの脇部473は、上壁部471の第2の軸線L2と略直交し、且つ、制動壁部472の延伸方向とも略直交する幅方向における両側からそれぞれ突起するように形成され、そしてそれぞれの内部に自己潤滑軸受474が取り付けられている。なお、本実施形態において、連動座47の上壁部471と制動壁部472及び各脇部473とは一体に形成されている。
【0031】
図4に示すように、モータ42は、シャフト441が第2の軸線L2を中心として回転するように駆動するものであり、伸縮機構44の第2の制動パッド22と接続している一端とは反対側の他端に配置されている。そして、本実施形態におけるモータ42は、電動機と減速機とを組み合わせた機構が使用されている。無論、モータ42と伸縮機構44及び第1の制動パッド21の駆動構造は、代わりにシャフト441とスリーブナット442を一体化させ、リニアモーターなどの装置でシャフト441を第2の軸線L2に沿って往復移動させて第1の制動パッド21を制御するように適宜変更することも可能である。
【0032】
各ガイド部材50は、第2の軸線L2と略平行に延伸するように筐体10に固定されていると共に、連動座47にある各自己潤滑軸受474を介して各脇部473をそれぞれ摺動可能に挿通しており、連動座47をスムーズに摺動させることができる。図3に示すように、各ガイド部材50は、一端が対応する第1の耳部113にねじ込まれて固定されており、そして前記一端の反対側にある他端には、図6に示すように対応する第2の耳部124の肩部125に嵌め込まれるように大径に形成されたヘッド部52がある。なお、ガイド部材50の数量は、本実施形態に制限されず、少なくとも1つがあれば良い。
【0033】
次に、図6の他、図7図8も参照して本発明のブレーキキャリパー100の作動について説明する。図7は本発明における第1の制動パッドがブレーキローターに当接している状態を示す断面図である。そして、図8は本発明における第1の制動パッド及び第2の制動パッドが共にブレーキローターを挟んで制動している状態を示す断面図である。
【0034】
先ずは図6に示されるように、ブレーキローター200に設置されている本発明のブレーキキャリパー100がまだ作動しておらず、ブレーキローター200を制動していない際、駆動手段40の伸縮機構44におけるスリーブナット442にあるアンカー443に固定されている第1の制動パッド21及び、連動座47にある制動壁部472に固定される第2の制動パッド22とは、それぞれブレーキローター200にある第1の盤面210及び第2の盤面220から離れていて、ブレーキローター200の回転を妨げない位置に配置されている。
【0035】
この図6に示されている状態において、駆動手段40のモータ42を回して伸縮機構44のシャフト441を回転駆動すると、シャフト441と螺合しているスリーブナット442がブレーキローター200にある第1の盤面210に接近することで、伸縮機構44は伸長してアンカー443に固定されている第1の制動パッド21を第1の盤面210に当接させ、図7に示されている状態になることができる。
【0036】
この図7に示されている状態になってから、モータ42がシャフト441を引き続き回転駆動すると、シャフト441は、そのフランジ部4411をスリーブ軸受43の軸受部432に当接して、スリーブ軸受43ごと保持座41を第1の制動パッド21から離れるように押し出し(すなわち、図7において左方向に移動する。)、したがって、保持座41に接続されている連動座47の制動壁部472も、第2の枠12にある第2の嵌合凹部122から離れるように移動して、その制動壁部472に固定されている第2の制動パッド22をブレーキローター200の第2の盤面220に当接させ、図8に示される状態のように第2の制動パッド22が第1の制動パッド21と共にブレーキローター200を挟んで停止させることができる。
【0037】
ここでは、連動座47が第2の軸線L2と略平行に延伸する各ガイド部材50に保持され、更にその制動壁部472が嵌合プラグ4723と第2の枠12にある嵌合ソケット123との嵌合により保持されているため、回転中のブレーキローター200に急ブレーキをかけても、ブレーキローター200の回転力により弾かれて搖動することを有効に防止し、安定にブレーキローター200を挟んで制動することができる。
【0038】
一方、制動手段20がブレーキローター200を制動している状態から、モータ42がシャフト441を逆方向へ回転駆動すると、スリーブナット442がアンカー443を第1の嵌合凹部112内に連れ戻し、伸縮機構44は収縮するので、図7に示されるように、ブレーキローター200に当接している第1の制動パッド21を第1の盤面210から離れて第1の収容凹部111に連れ戻すことができる。
【0039】
そして、図7に示されている状態から、モータ42がシャフト441を引き続き前記逆方向へ回転駆動すると、アンカー443は、第1の嵌合凹部112の内壁面114に当接して、止め輪45によってシャフト441と固定されている保持座41をブレーキローター200へ引っ張って、連動座47にある制動壁部472を第2の枠12にある第2の嵌合凹部122内に戻し、これにより第2の盤面220に当接している第2の制動パッド22をも第2の盤面220から離れるよう、第2の収容凹部121に連れ戻して再び図6に示される状態になって、ブレーキローター200を自由に回転させるように制動を解除することができる。
【0040】
上記の実施形態によれば、本発明のブレーキキャリパー100は、第2の軸線L2と略平行に延伸するように筐体10に固定されると共に、第2の制動パッド22を作動する連動座47を挿通している各ガイド部材50を備えているため、連動座47が保持座41に接合される上に、筐体10に摺動可能に保持されているので、ブレーキをかけて第2の制動パッド22をブレーキローター200に当接させる際に、該連動座47と該連動座47にある第2の制動パッド22がブレーキローター200の回転力により弾かれて搖動することを有効に防止して、安定してブレーキローター200を制動できる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上記構成によれば、本発明のブレーキキャリパー100は、ブレーキローター200に対する制動機能がより安定するので、したがって品質の上昇をも図ることもできる。
【符号の説明】
【0043】
100 ブレーキキャリパー
10 筐体
11 第1の枠
111 第1の収容凹部
112 第1の嵌合凹部
113 第1の耳部
114 内壁面
115 外壁面
12 第2の枠
121 第2の収容凹部
122 第2の嵌合凹部
123 嵌合ソケット
124 第2の耳部
125 肩部
14 枠内空間
15 支持軸
200 ブレーキローター
210 第1の盤面
220 第2の盤面
20 制動手段
21 第1の制動パッド
22 第2の制動パッド
40 駆動手段
41 保持座
42 モータ
43 スリーブ軸受
431 円筒部
432 軸受部
44 伸縮機構
441 シャフト
4411 フランジ部
4412 ネジ部
4413 取付部
442 スリーブナット
443 アンカー
45 止め輪
47 連動座
471 上壁部
472 制動壁部
4721 接合面
4722 嵌合面
4723 嵌合プラグ
473 脇部
474 自己潤滑軸受
50 ガイド部材
52 ヘッド部
L1 第1の軸線
L2 第2の軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8