(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物品管理部は、紛失と認識された前記無線タグ又は紛失と認識された物品に対応付けられた前記無線タグからの情報を、いずれかの車両に搭載された車載器からの無線信号に基づいて検出した場合には、当該無線タグ又は当該物品を発見したものと認識する、
ことを特徴とする請求項2に記載の荷物管理システム。
前記物品管理部は、該当する車両が走行を開始した後で、同じ無線タグからの信号を継続的に受信している状態が所定の条件を満たした場合に、当該無線タグを紛失管理の対象とする、
ことを特徴とする請求項2に記載の荷物管理システム。
前記物品管理部は、紛失管理の対象とされた前記無線タグからの信号が途絶えてからその状態が所定の条件を満たすまで継続した場合に、前記無線タグ又は該当する物品が紛失したものと認識する、
ことを特徴とする請求項4に記載の荷物管理システム。
前記サーバは、管理しているユーザの属性が異なる複数の前記無線タグ、又は管理しているユーザの属性が異なる複数の前記車載器からの信号の受信を許容すると共に、前記無線タグの固有情報と前記属性の情報とを対応付けて管理するデータベースを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の荷物管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特許文献2の技術を採用する場合には、管理装置は、各物品に取り付けたタグのデータを読み取ることにより、車両に載せて輸送中の各物品の存在の有無を把握することが可能になる。しかしながら、例えば輸送中の物品の紛失を検出できたとしても、紛失した物品を探し出すために役立つ情報は存在しない。
【0007】
また、配送する各物品を管理するシステムについては、複数の配送業者等がそれぞれ独自に開発したものを採用している。したがって、複数の配送業者の間で物品の情報を共有することは不可能であった。そのため、例えば作業の手違いにより他の企業が管理している車両に物品が積載されたような場合には、該当する物品に取り付けたタグのデータを読み取ることはできず、紛失した物品の探索はできなかった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送する様々な物品の紛失等の管理に役立つ車載器および荷物管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る
荷物管理システムは、下記(1)〜(
6)を特徴としている。
(1) 物品を輸送する車両に搭載される車載器
と、
前記車両の外側に存在する所定のサーバと、
を備えた荷物管理システムであって、
前記車載器は、
各々の物品に装着される無線タグから無線信号を受信する無線信号受信部と、
自車両の現在位置を表す情報を取得する位置情報取得部と、
前記
サーバに対して無線信号を送信する無線信号送信部と、
前記無線信号受信部が受信した各無線タグからの無線信号の内容を、前記位置情報取得部が取得した前記自車両の現在位置と関連付け、
前記自車両の走行速度を含む車両の状態を表す情報と共に、前記無線信号送信部を利用して前記サーバに送信する送信制御部と、
を備え
、
前記サーバは、各車載器から受信した無線信号の内容に基づいて、前記車両の走行中に前記無線タグからの信号が途絶えたことを検出した場合に、前記無線タグ又は該当する物品が紛失したものと認識する物品管理部、を備えたことを特徴とする荷物管理システム。
【0010】
上記(1)の構成の車載器によれば、無線タグが取り付けられた物品のそれぞれについて、前記無線タグの固有情報や、現在位置の情報を関連付けた状態で前記サーバに知らせることができる。したがって、前記サーバは車両に載せて輸送中の各物品について、その存在の有無および現在位置を把握できる。また、物品の紛失を検出した場合であっても、車載器や前記サーバは紛失が発生する直前の該当する物品の位置を把握できるので、紛失した物品を探し出す作業が容易になる。
【0012】
更に、上記(
1)の構成の荷物管理システムによれば、前記サーバは、車両に載せて輸送中の各物品について、その存在の有無および現在位置を把握できる。また、物品の紛失を検出した場合であっても、車載器や前記サーバは紛失が発生する直前の該当する物品の位置を把握できるので、紛失した物品を探し出す作業が容易になる。
【0013】
(
2) 前記サーバは、前記無線タグのそれぞれについて、前記無線タグに対応付けられた物品の行き先を表す1つ以上の行き先情報を取得する行き先情報取得部
を備え、
前記物品管理部は、前記行き先情報が表す場所以外で、前記無線タグからの信号が途絶えたことを検出した場合に、前記無線タグ又は該当する物品が紛失したものと認識する
ことを特徴とする上記(
1)に記載の荷物管理システム。
【0014】
上記(
2)の構成の荷物管理システムによれば、荷物の積み卸しなどを実施する拠点等の事前に定めた行き先以外の場所で、輸送中に管理している物品が紛失した場合には、その紛失を素早く検知できるので物品の管理が容易になる。また、行き先以外の場所における無線タグからの信号の途絶を検知対象外とすることにより、荷物の積み卸しなどの作業に伴う一時的な信号途絶を物品の紛失と誤認するのを防止できる。
【0015】
(
3) 前記物品管理部は、紛失と認識された前記無線タグ又は紛失と認識された物品に対応付けられた前記無線タグからの情報を、いずれかの車両に搭載された車載器からの無線信号に基づいて検出した場合には、当該無線タグ又は当該物品を発見したものと認識する、
ことを特徴とする上記(
2)に記載の荷物管理システム。
【0016】
上記(
3)の構成の荷物管理システムによれば、管理している物品の紛失を検知した場合であっても、該当する物品を自動的に探し出すことが可能になる。
【0017】
(
4) 前記物品管理部は、該当する車両が走行を開始した後で、同じ無線タグからの信号を継続的に受信している状態が所定の条件を満たした場合に、当該無線タグを紛失管理の対象とする、
ことを特徴とする上記(
2)に記載の荷物管理システム。
【0018】
上記(
4)の構成の荷物管理システムによれば、例えば物流拠点の近傍などにおける物品の移動、車両に対する物品の積み卸し、車両間での物品の積み替えなどの作業に伴う一時的な信号途絶の影響を排除し、安定した状態で物品の紛失管理を実施できる。
【0019】
(
5) 前記物品管理部は、紛失管理の対象とされた前記無線タグからの信号が途絶えてからその状態が所定の条件を満たすまで継続した場合に、前記無線タグ又は該当する物品が紛失したものと認識する、
ことを特徴とする上記(
4)に記載の荷物管理システム。
【0020】
上記(
5)の構成の荷物管理システムによれば、例えば一時的な電源の消失、電波遮蔽物の影響、誤操作などに起因して、各無線タグからの信号が一時的に途絶えた場合であっても、それを物品の紛失と誤認識するのを避けることができる。
【0021】
(
6) 前記サーバは、管理しているユーザの属性が異なる複数の前記無線タグ、又は管理しているユーザの属性が異なる複数の前記車載器からの信号の受信を許容すると共に、前記無線タグの固有情報と前記属性の情報とを対応付けて管理するデータベースを有する、
ことを特徴とする上記(
1)乃至(
5)のいずれかに記載の荷物管理システム。
【0022】
上記(
6)の構成の荷物管理システムによれば、互いに異なる企業など複数のユーザが管理している複数の前記無線タグや、複数の車載器を、共通のサーバを用いて統一的に管理することができる。したがって、例えば誤った作業などに起因して、異なる企業の車載器が搭載された車両に積み込まれた物品や、異なる企業の車両に積み込まれた物品などを探し出すことも容易になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の
荷物管理システムによれば、搬送する様々な物品の紛失等の管理に役立つ機能が得られる。すなわち、車載器は、無線タグが取り付けられた物品のそれぞれについて、前記無線タグの固有情報や、現在位置の情報を関連付けた状態で前記サーバに知らせることができる。また、前記サーバは車両に載せて輸送中の各物品について、その存在の有無および現在位置を把握できる。また、物品の紛失を検出した場合であっても、車載器や前記サーバは紛失が発生する直前の該当する物品の位置を把握できるので、紛失した物品を探し出す作業が容易になる。
【0024】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0027】
<車載器の構成例>
本発明の実施形態における車載器10の構成例を
図1に示す。この車載器10は、例えばトラックなどの車両に載せて搬送される様々な荷物を管理するために当該車両に搭載した状態で使用されるものである。この車載器10は、荷物を管理するための専用の車載器として構成するか、又は例えばデジタルタコグラフのような一般的な車載器の一部分として構成することが想定される。
【0028】
図1に示した車載器10は、マイクロコンピュータ(CPU)11、速度信号インタフェース12、エンジン信号インタフェース13、GPSインタフェース14、アナログ信号インタフェース15、外部入力インタフェース16、タグ信号インタフェース17、広域無線通信モジュール18、アンテナ19、不揮発メモリ20、揮発メモリ21、SDカード22、スイッチ入力部23、および液晶表示部(LCD)24を備えている。
【0029】
マイクロコンピュータ11は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、車載器10に必要とされる様々な機能を実現する。マイクロコンピュータ11の主要な動作については後で説明する。
【0030】
速度信号インタフェース12は、車両側から出力される所定の車速信号SG1をマイクロコンピュータ11の処理に適した信号に変換する。マイクロコンピュータ11は、車速信号SG1のパルス数や信号の周期を監視することにより、車両の走行速度や走行距離を把握できる。
【0031】
エンジン信号インタフェース13は、車両側から出力される所定のエンジン回転信号SG2をマイクロコンピュータ11の入力処理に適した信号に変換する。マイクロコンピュータ11は、エンジン回転信号SG2のパルス数や信号の周期を監視することにより、エンジンの回転速度(rpm)を把握できる。
【0032】
GPSインタフェース14は、図示しないGPS受信機からの信号SG3をマイクロコンピュータ11に入力するために利用される。GPS受信機は複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、受信地点である車両の現在位置を算出できる。マイクロコンピュータ11は、現在位置の情報をGPSインタフェース14を経由してGPS受信機から取得できる。
【0033】
アナログ信号インタフェース15は、車両の荷物室内の温度などを表すアナログ信号SG4をデジタル信号に変換してマイクロコンピュータ11に与えることができる。したがって、マイクロコンピュータ11は各荷物の温度等を管理することができる。
【0034】
外部入力インタフェース16は、所定の外部信号SG5をマイクロコンピュータ11の入力処理に適した信号に変換する。例えば車両に加わった加速度の大きさを表す信号を外部信号SG5として外部入力インタフェース16に入力することができる。
【0035】
タグ信号インタフェース17は、レシーバ30をマイクロコンピュータ11の入力に接続するために利用される。レシーバ30は、後述する無線タグ32の無線信号を受信する機能を有する。なお、レシーバ30は、
図1のように車載器10の外側に接続してもよいし、車載器10に内蔵してもよい。
【0036】
広域無線通信モジュール18は、例えば移動体通信事業者などが提供する無線基地局41などとの間で無線通信回線を確保し、広域の無線通信を可能にするための機能を有している。広域無線通信モジュール18は、アンテナ19を介して無線基地局41と通信することができる。
【0037】
不揮発メモリ20は、マイクロコンピュータ11のアクセスにより、データの読み出しおよび保持しているデータの書き換えが可能なフラッシュメモリのような電子デバイスである。不揮発メモリ20は、車載器10が使用する様々なパラメータ、定数データ、プログラムなどのデータを保持するために利用される。
【0038】
揮発メモリ21は、マイクロコンピュータ11のアクセスにより、データの読み出しおよび書き込みが自在な半導体メモリデバイスである。揮発メモリ21は、マイクロコンピュータ11が扱う様々なデータを一時的に保持するために利用される。
【0039】
SDカード22は、図示しない所定のカードインタフェースを利用して、着脱自在な状態で車載器10に接続される。SDカード22は、例えば車両の運行データのように、車載器10が記録すべき様々なデータを保存するために利用される。
【0040】
スイッチ入力部23は、車両の運転者などのユーザの入力操作を受け付けるための複数のボタンの操作状態を表す信号を生成するスイッチを備えている。各ボタンの操作状態の信号は、スイッチ入力部23からマイクロコンピュータ11に入力される。
【0041】
液晶表示部24は、車載器10の筐体前面の運転者から見やすい位置に配置されており、マイクロコンピュータ11の制御により、車載器10の動作状態を表示したり、ユーザの入力操作の際に必要な情報を表示するために利用される。
【0042】
<荷物管理システムの構成例>
本発明の実施形態における荷物管理システムの構成例を
図2に示す。
図2に示した例では、複数の荷物31−1、31−2、および31−3に、それぞれ無線タグ32−1、32−2、および32−3が取り付けられている。
【0043】
ここで、各無線タグ32−1〜32−3は、アクティブタグである。すなわち、各々のタグが電池を内蔵しており、自らの電力で周期的に電波を発し、タグの情報を送信する。各々のタグにセンサを接続してセンサが検出した情報をタグから送信することもできる。各無線タグ32−1〜32−3は、具体例としては、1分毎に周期的にそれ自身のIDを含む情報を無線信号として送信する。
【0044】
また、例えば920[MHz]の周波数帯を利用して無線信号を送信する。その場合、例えば300[m]程度距離が離れた位置まで無線タグ32−1〜32−3の電波が届く。勿論、これ以外の周波数帯を利用してもよい。
【0045】
図2に示した例では、車載器10−1にレシーバ30−1が接続され、車載器10−2にレシーバ30−2が接続され、車載器10−3にレシーバ30−3が接続されている。車載器10−1およびレシーバ30−1は1台の車両33に搭載され、レシーバ30−1が車両33の荷物室内等に配置される無線タグ32−1の電波を受信できるように配置される。同様に、車載器10−2およびレシーバ30−2は、他の車両に搭載した状態で使用される。車載器10−3およびレシーバ30−3も、他の車両に搭載した状態で使用される。
【0046】
レシーバ30−1〜30−3の各々は、無線タグ32−1〜32−3の電波を受信して受信信号からIDなどの情報を取得するための受信機能を搭載している。本実施形態では、レシーバ30−1〜30−3は送信機能を備えていない。
【0047】
なお、無線タグ32−1〜32−3が920[MHz]の周波数帯のように、タグ以外の目的で使用される無線通信(例えばMEMS、HEMSのようなエネルギー・マネジメント・システム(EMS)の通信)と共通の周波数を使用する場合には、プライバシーの問題が発生するのを避けるために、受信信号の中から、タグ以外の受信信号を捨てる機能をレシーバ30−1〜30−3に持たせてもよい。
【0048】
図2に示した例では、荷物31−1は運送会社であるA社が扱う一般的な荷物、荷物31−2は同じA社が扱う空荷、荷物31−3は他の運送会社であるB社が扱うコンテナである場合を想定している。このように、互いに異なる複数の企業が扱う様々な荷物31−1〜31−3であっても、無線タグ32−1〜タグ32−3、レシーバ30−1〜30−3、および車載器10−1〜10−3の通信仕様を共通化することにより、共通のシステムで扱うことが可能になる。
【0049】
例えば、A社の扱う荷物31−1がB社の管理している車両33に間違って積載されたような場合であっても、B社の管理しているレシーバ30−3および車載器10−3が、荷物31−1に取り付けられた無線タグ32−1の電波を受信して、荷物31−1の存在を検知することが可能になる。
【0050】
図2に示した荷物管理システムに含まれるサーバ43は、インターネット網42を介して無線基地局41と接続されている。また、ユーザ端末44および45がサーバ43と接続されている。ユーザ端末44は例えばA社が管理しているパーソナルコンピュータ(PC)であり、ユーザ端末45は例えばB社が管理しているパーソナルコンピュータである。つまり、ここでは共通の1台のサーバ43で複数企業の荷物情報を扱う場合を想定している。
【0051】
それぞれ異なる車両33に搭載された車載器10−1〜10−3の各々は、所定の領域範囲内に存在する各無線タグ32−1〜32−3の無線信号をレシーバ30−1〜30−3で受信することにより、該当するタグのID番号などを取得することができる。また、車載器10−1〜10−3の各々は、広域無線通信により無線基地局41との間の無線通信回線を確保し、検出したタグのID番号などをサーバ43宛てに送信する。車載器10−1〜10−3の各々が送信した情報は、無線基地局41およびインターネット網42を経由してサーバ43に届く。
【0052】
また、後述するように、車載器10−1〜10−3の各々は、自車両の現在位置の情報を取得し、検出したタグのID番号などに位置情報を紐付けしてサーバ43に送信する。したがって、サーバ43は各無線タグ32−1〜32−3の検出の有無およびその現在位置を把握できる。また、複数の企業やユーザの荷物を互いに区別して管理できるように、サーバ43は、荷物31−1〜31−3、無線タグ32−1〜32−3、レシーバ30−1〜30−3、および車載器10−1〜10−3の各々、又はこれらの少なくとも1つを、企業毎などユーザ毎に区別した状態で情報を管理する。
【0053】
サーバ43は、管理している荷物の紛失を自動的に検出して、該当するユーザ端末44又は45の画面に警報を表示したり、電子メールで通知することができる。また、各企業等のユーザは、ユーザ端末44又は45によりサーバ43にアクセスし、紛失した荷物を発見するための検索を実施することができる。詳細については後述する。
【0054】
<サーバ43が使用するデータベースの構成例>
荷物管理システムのサーバ43が使用するデータベースの構成例を
図3に示す。すなわち、サーバ43内のコンピュータは、荷物を管理するために
図3に示したタグデータベースDB1、車両データベースDB2、判定条件データベースDB3等に存在する様々な情報を利用する。
【0055】
タグデータベースDB1は、多数のタグのそれぞれに関連付けた情報をタグ毎に個別に管理するためのデータベースである。
図3に示したタグデータベースDB1には、管理項目として、会社名、認識番号(当該タグのID番号)、アナログ情報(温度など)、加速度情報、ステータス情報、および行き先情報が含まれている。
【0056】
タグデータベースDB1におけるステータス情報は、当該タグを取り付けた荷物の状態を表す情報であって、具体的には、デポ(倉庫や配送拠点)で待機中、遅配、誤配、配送中、配送完了などの状態がある。また、後述する「確定タグ」か否かを表す情報や、荷物紛失の有無を表す情報も、このステータス情報に含まれる。
【0057】
タグデータベースDB1における行き先情報は、当該タグを取り付けた荷物の行き先(配送拠点、中継地点などの場所)や、行き先に着くべき時刻の情報を含んでいる。タグデータベースDB1の内容は、該当する各々のタグの実際の状態変化に伴って、サーバ43の制御により逐次更新される。
【0058】
車両データベースDB2は、車載器10を搭載した各車両を管理するためのデータベースである。
図3に示した車両データベースDB2には、管理項目として、会社名、走行速度、エンジン回転速度、およびGPSデータ(車両の現在位置)が含まれている。
【0059】
なお、各タグおよびそれを取り付けた荷物の現在位置については、車両データベースDB2中のGPSデータに基づいて取得できるが、タグ毎の現在位置の情報をタグデータベースDB1で管理してもよい。車両データベースDB2の内容は、当該車両の状態変化に伴って、サーバ43の制御により逐次更新される。
【0060】
判定条件データベースDB3は、サーバ43が各々のタグおよびそれを取り付けた荷物の状態を判定する際に利用する情報である。
図3に示した判定条件データベースDB3には、時間、場所、距離などの情報が判定条件として予め登録されている。
【0061】
<動作の説明>
<車載器10の動作例>
本発明の実施形態における車載器10の動作例を
図4に示す。すなわち、
図1に示した車載器10内のマイクロコンピュータ11が
図4に示した動作を実行する。
図4の動作について以下に説明する。
【0062】
図5に示すように、各車両33に搭載されたレシーバ30および車載器10が検出する無線タグ32は、当該車両33の荷室に積んだ荷物(31−1)に付けたタグ(32−1)や、荷室内には存在しないが、タグの電波を受信可能な範囲内に存在するタグ(32−2)が含まれる。
【0063】
マイクロコンピュータ11は、車載器10の入力に接続されているレシーバ30が出力する信号を監視して、このレシーバ30がいずれかの無線タグ32からの無線信号を受信したか否かをS11で識別し、無線信号を受信した場合に次のS12に進む。
【0064】
ステップS12では、マイクロコンピュータ11はレシーバ30が受信した信号に含まれる無線タグ32のID番号の情報を、タグ信号インタフェース17を経由してレシーバ30から取得する。
【0065】
ステップS13では、マイクロコンピュータ11は、図示しないGPS受信機が算出した現在位置(受信地点又は自車両位置の緯度/経度)の情報を、GPSインタフェース14を介して取得する。
【0066】
ステップS14では、マイクロコンピュータ11は、S12で取得した無線タグ32のID番号の情報と、S13で取得した現在位置の情報とを互いに関連付けた状態で、これらの情報を、広域無線通信モジュール18を経由してサーバ43宛てに送信する。なお、例えば自車両の走行速度、走行距離などの状態を表す情報をS14で同時に車載器10がサーバ43宛てに送信してもよい。
【0067】
したがって、サーバ43は、各車両に搭載された車載器10から、それに接続されたレシーバ30が検出した各無線タグ32のID番号と、現在位置とを互いに紐付けした状態で周期的に繰り返し受信することができる。
【0068】
<確定タグ処理の説明>
本発明の実施形態においてサーバ43が実行する「確定タグ処理」の例を
図5に示す。この処理は、サーバ43内のコンピュータにより、周期的に随時実行される。
図5に示した「確定タグ処理」の内容について以下に説明する。
【0069】
ステップS21では、サーバ43内のコンピュータが、いずれかの車載器10から送信された電文を入力処理して必要な情報を取得する。すなわち、
図4のS14で車載器10が送信するタグのID番号および位置情報の他に、送信元の車載器10を特定するID番号や、送信元の車両の状態(走行速度、走行距離)などの情報を取得する。
【0070】
ステップS22では、サーバ43内のコンピュータは、S21で処理した電文の送信元の車載器10を搭載した車両が走行中か否かを識別し、走行中であれば次のS23の処理に進む。
【0071】
ステップS23では、サーバ43内のコンピュータは、S21で処理した複数の電文に含まれるタグのID番号を監視することにより、同一の無線タグ32を表す電文を一定時間(例えば5分間)以内に繰り返し受信したか否かを識別する。繰り返し受信した場合は次のS24に進む。つまり、送信元の車載器10およびサーバ43が同じ無線タグ32、すなわち同じ荷物31の存在を継続的に検出している状態であれば、サーバ43の処理はS24に進む。
【0072】
ステップS24では、サーバ43内のコンピュータは、S23で検出した無線タグ32が「確定タグ」か否かを判定するための事前に定めた判定条件と、処理対象の無線タグ32の実際の検出状態とを比較する。この判定条件を表す定数データは、
図3に示した判定条件データベースDB3上に保持されている。具体的には、同じ無線タグ32を検出している状態が継続している時間の長さ、この継続状態における当該車両の走行距離の長さ、該当する無線タグ32を検出した場所(位置)を、S24で判定条件データベースDB3上の定数データにより規定されている判定条件と比較する。
【0073】
S23で検出した無線タグ32がS24で判定条件を満たす場合には、次のS25に進み、サーバ43内のコンピュータは、S23で検出した無線タグ32のステータス情報(タグデータベースDB1内にある)に、「確定タグ」の状態であることを表すフラグをセットする。
【0074】
図5に示した「確定タグ処理」をサーバ43が実行することにより、安定した状態で継続的に検出されている各無線タグ32を、「確定タグ」として選別することができる。したがって、例えば自車両とは異なる別の車両に積載されている荷物に付けられた無線タグ32の信号、各デポ内やその他の場所に作業のために短時間だけ配置されたり、移動している荷物に付けられた無線タグ32の信号のように、不安定な信号の影響を排除するために「確定タグ」のステータス情報を利用できる。
【0075】
<紛失判定処理の説明>
本発明の実施形態においてサーバ43が実行する「紛失判定処理」の例を
図6に示す。この処理は、サーバ43内のコンピュータにより、タグ毎に一定時間(例えば5分間)毎に周期的に実行される。
図6に示した「紛失判定処理」の内容について以下に説明する。
【0076】
ステップS31では、サーバ43内のコンピュータは、サーバ43が参照可能なタグデータベースDB1上で管理されている各々の無線タグ32について、ステータス情報を参照し、「確定タグ」か否かを識別する。「確定タグ」に対しては次のS32の処理を実行する。
【0077】
ステップS32では、サーバ43内のコンピュータは、S31で「確定タグ」として検出した無線タグ32について、当該車両の走行中に通信が途絶えたか否かを識別する。該当する「確定タグ」の信号を表す車載器10からの通信が途絶えたことを検知すると、サーバ43は次のS33を実行する。
【0078】
ステップS33では、サーバ43内のコンピュータは、S32で通信途絶を検出した「確定タグ」について、通信途絶の状態が継続している時間の長さを事前に定めた許容時間(例えば10分間)と比較する。この許容時間の定数データは、例えば判定条件データベースDB3に予め保持されている。通信途絶状態の継続時間が前記許容時間を超えた場合には、次のS34の処理に進む。
【0079】
ステップS34では、サーバ43内のコンピュータは、通信途絶の状態が許容時間を超えたことをS33で検知した「確定タグ」について、該当タグの行き先情報をタグデータベースDB1から取得する。
【0080】
なお、タグデータベースDB1上の行き先情報については、配送する荷物毎に、その配送先、配送時刻、配送経路などのスケジュールを作成する際やそのスケジュールを更新する際に、無線タグ32のID番号と共に決定し、タグデータベースDB1に登録することができる。この行き先情報には、該当する配送拠点の位置情報の他に、到着予定の時刻情報も含まれる。
【0081】
ステップS34では、サーバ43内のコンピュータは、通信途絶の状態が許容時間を超えたことをS33で検知した「確定タグ」について、該当タグの現在位置の情報を、タグデータベースDB1又は車両データベースDB2から取得する。
【0082】
ステップS34では、サーバ43内のコンピュータは、通信途絶の状態が許容時間を超えたことをS33で検知した「確定タグ」について、例えばS34で取得した行き先と、S35で取得した現在位置とを比較して、現在位置が行き先の範囲外か否かを識別する。ここで現在位置とは、通信途絶の直前に取得した、当該「確定タグ」に関連付けられている現在位置の情報により表される位置とする。この現在位置は、後述する紛失した荷物を探すための動作において、当該「確定タグ」が例えば他の車両に搭載されている車載器10やレシーバ30により検知された場合に更新され得る。
【0083】
なお、S36の判定条件については、位置情報の他に時刻の情報を考慮して判定してもよい。この判定条件は、例えば判定条件データベースDB3上に保持されている。S36で行き先の範囲外であることが検知された「確定タグ」に対しては、次のS37の処理が実行される。
【0084】
ステップS37では、サーバ43内のコンピュータは、S36で行き先の範囲外であることが検知された「確定タグ」に対して、荷物紛失警報を出力する。具体的には、サーバ43が提供するWeb画面にアクセスしているユーザ端末44、45のうち、該当するタグに割り当てられた会社名に該当するユーザ端末の画面に対して、該当する「確定タグ」に取り付けられた荷物31が紛失したことを表す紛失情報を表示する。また、該当するタグに割り当てられた会社名に該当するユーザとして事前に登録した携帯端末等の電子メールアドレス宛に、該当する荷物31が紛失したことを表すメッセージを含む警報メールを自動的に送信する。
【0085】
<紛失した荷物を探すための動作>
タグの信号を受信した場合のサーバの動作、およびタグを検索する場合のサーバの動作を
図7に示す。また、車載器10を搭載した車両と通信可能範囲および無線タグの位置関係の例を
図8に示す。
【0086】
図8に示したように、道路を走行している各車両33−1、33−2にそれぞれ車載器10およびレシーバ30が搭載されている場合を想定すると、各車両33−1、33−2を中心として所定の半径(例えば百〜数百[m]程度)を有する円形のような領域であるローミング圏内で、各レシーバ30は各無線タグ32の電波を受信できる。
【0087】
したがって、各車両33−1、33−2に搭載されている車載器10およびレシーバ30は、自車両の荷室に積載されている通常の荷物だけでなく、他の車両に誤って搭載されている荷物や、地上に置かれている荷物(無線タグ32が取り付けられているもの)を、自車両の走行中に偶然発見する場合もある。
【0088】
そして、車載器10は、発見した無線タグ32の情報をサーバ43に対して送信する(
図4のS14)。サーバ43は、
図7のステップS41で、車載器10から送信された電文を入力処理して、必要な情報を取得する。すなわち、該当する無線タグ32のID番号、位置情報などをサーバ43が取得する。そして、サーバ43は取得した無線タグ32の情報をS42でタグデータベースDB1などに保存する。
【0089】
一方、サーバ43を管理している業者は、この荷物管理システムを利用する各企業やユーザに対して、紛失した荷物を探すためのWebサービスをサーバ43を利用して提供することができる。その場合、各企業やユーザはユーザ端末44、45を利用してサーバ43のWeb画面にアクセスし、該当する情報の提供を受ける。
【0090】
各企業又はユーザがユーザ端末44、45から、探し出すべき荷物に取り付けた無線タグ32のタグID番号を入力すると、このタグID番号は
図7に示したS51でサーバ43のコンピュータに入力される。
【0091】
ステップS52では、サーバ43のコンピュータは、S51で入力されたタグID番号に基づいてタグデータベースDB1を検索処理する。すなわち、S51で入力されたタグID番号に相当する特定の無線タグ32が、紛失検知後に、タグデータベースDB1上で(一時的であっても)検出された状態であったか否かを識別する。そして、該当する特定の無線タグ32が、タグデータベースDB1上で検知状態であった場合には、S53からS54の処理に進み、サーバ43のコンピュータは、要求元のユーザ端末44又は45に対して、S52の検索結果を通知する。
【0092】
なお、サーバ43は無線タグ32毎に、タグデータベースDB1等でそれに対応する会社名を管理しているので、サーバ43は企業毎にあるいはユーザ毎に区別して、各荷物を管理することができる。例えば、
図7のS51〜S54でサーバ43がサービスを提供する際には、サーバ43にアクセスしたユーザ端末44、45の企業等のユーザに対して、当該ユーザに対応するタグID番号の情報のみに限定してサービスを提供する。
【0093】
但し、
図2に示した荷物管理システムにおいて、各無線タグ32、車載器10、レシーバ30の基本構成および仕様は共通なので、サーバ43に対してサービスを要求した企業とは別の企業が管理している車載器10、レシーバ30およびこれらを搭載した車両を利用して、紛失した無線タグ32および荷物を見つけることができる。
【0094】
<荷物管理システムの利点>
上述のように、
図2に示した荷物管理システムにおいては、荷物31の搬送中であっても、サーバ43は無線タグ32が取り付けられた荷物31の紛失を検知することができる。また、紛失した荷物を探すことが容易になる。
【0095】
また、サーバ43が
図5に示した処理を実行して「確定タグ」を特定することにより、荷物を搬送中の安定した状態で、荷物の状態を検知することが可能になる。また、サーバ43が
図6に示した処理を実行する際に、「確定タグ」に対して車両の状態を加味して状況を判定することにより、紛失の正確な判定が可能になる。
【0096】
また、
図3に示したタグデータベースDB1、車両データベースDB2のように、各タグおよび車両(又は車載器)を会社名などの情報と共に管理することにより、複数の企業が扱う荷物を共通のシステムで管理することが可能になる。更に、複数の企業に共通のシステムを利用することにより、紛失した荷物の発見を効率的に行うことが可能になる。また、扱う荷物を企業毎に個別に管理することが可能であり、紛失した荷物を探索するために、複数の企業間で荷物の情報をやり取りしたり、お互いに情報を共有する必要がなくなる。
【0097】
なお、
図2に示した荷物管理システムにおいては、複数の企業の荷物を共通のサーバ43で管理する場合を想定しているが、同じ企業内で扱う荷物だけをサーバ43で管理するように構成してもよい。
【0098】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車載器および荷物管理システムの特徴をそれぞれ以下[1]〜[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 物品を輸送する車両に搭載される車載器(10)であって、
各々の物品に装着される無線タグ(32)から無線信号を受信する無線信号受信部(レシーバ30)と、
自車両の現在位置を表す情報を取得する位置情報取得部(GPSインタフェース14)と、
前記自車両の外側に存在する所定のサーバ(43)に対して無線信号を送信する無線信号送信部(広域無線通信モジュール18)と、
前記無線信号受信部が受信した各無線タグからの無線信号の内容を、前記位置情報取得部が取得した前記自車両の現在位置と関連付け、前記無線信号送信部を利用して前記サーバに送信する送信制御部(マイクロコンピュータ11、S14)と、
を備えたことを特徴とする車載器。
【0099】
[2] 上記[1]に記載の1つ以上の車載器(10)と、前記サーバ(43)とを備え、
前記サーバが、各車載器から受信した無線信号の内容に基づいて、前記各無線タグを管理する(
図5〜
図7参照)、
ことを特徴とする荷物管理システム。
【0100】
[3] 前記サーバは、前記無線タグのそれぞれについて、前記無線タグに対応付けられた物品の行き先を表す1つ以上の行き先情報を取得する行き先情報取得部(S34)と、
前記行き先情報が表す場所以外で、前記無線タグからの信号が途絶えたことを検出した場合に、前記無線タグ又は該当する物品が紛失したものと認識する物品管理部(S31〜S37)と、
を備えたことを特徴とする上記[2]に記載の荷物管理システム。
【0101】
[4] 前記物品管理部は、紛失と認識された前記無線タグ又は紛失と認識された物品に対応付けられた前記無線タグからの情報を、いずれかの車両に搭載された車載器からの無線信号に基づいて検出した場合には、当該無線タグ又は当該物品を発見したものと認識する(
図7参照)、
ことを特徴とする上記[3]に記載の荷物管理システム。
【0102】
[5] 前記物品管理部は、該当する車両が走行を開始した後で、同じ無線タグからの信号を継続的に受信している状態が所定の条件を満たした場合に、当該無線タグを紛失管理の対象とする(S21〜S25、S31)、
ことを特徴とする上記[3]に記載の荷物管理システム。
【0103】
[6] 前記物品管理部は、紛失管理の対象とされた前記無線タグからの信号が途絶えてからその状態が所定の条件を満たすまで継続した場合に、前記無線タグ又は該当する物品が紛失したものと認識する(S31〜S33)、
ことを特徴とする上記[5]に記載の荷物管理システム。
【0104】
[7] 前記サーバは、管理しているユーザの属性が異なる複数の前記無線タグ、又は管理しているユーザの属性が異なる複数の前記車載器からの信号の受信を許容すると共に、前記無線タグの固有情報と前記属性の情報とを対応付けて管理するデータベース(タグデータベースDB1)を有する、
ことを特徴とする上記[2]乃至[6]のいずれかに記載の荷物管理システム。