(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663900
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】菓子用包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/36 20060101AFI20200302BHJP
B65D 1/22 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
B65D85/36 300
B65D1/22
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-232419(P2017-232419)
(22)【出願日】2017年12月4日
(65)【公開番号】特開2019-99227(P2019-99227A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2017年12月4日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年6月5日に野口アルミ箔加工紙株式会社にサンプルとして納品
(73)【特許権者】
【識別番号】397069721
【氏名又は名称】東京ラップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106138
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 政幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181607
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 史子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 卓哉
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−091783(JP,A)
【文献】
意匠登録第0802555(JP,S)
【文献】
意匠登録第1402921(JP,S)
【文献】
実開平04−074671(JP,U)
【文献】
特許第2947469(JP,B2)
【文献】
特許第3643059(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00−1/48
B65D 85/30−85/48
J−PlatPat(意匠登録公報検索)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子の底面を支える為の底面部と、該底面部の周端に設けられ、上面を有する周壁部とを有する菓子用包装容器であって、
該周壁部の一部をなし、該底面部の四隅から上側に突出して延びるように設けられ、該菓子の側面を支える為の4本の柱状部を有し、
前記柱状部が、突出した頂部が平面である略五角錐の形状を有し、
各柱状部の略五角錐の形状が、前記周壁部の外側面の一部を形成して隣接する2つの面を有することを特徴とする菓子用包装容器。
【請求項2】
前記柱状部の略五角錐の形状は、前記周壁部の外側面の一部を形成して隣接する2つの面を、第1の面及び第2の面とし、該第1の面と隣接し、前記周壁部の上面の一部を形成する第3の面と、該第2の面と隣接し、前記周壁部の上面の一部を形成する第4の面と、前記周壁部の内面の一部を形成する第5の面を有する
請求項1に記載の菓子用包装容器。
【請求項3】
前記4つの柱状部のうちの、2つの隣り合う柱状部材間に形成された前記周壁部の上面が、これらの2つの柱状部の一方の頂部から前記底面部に向かって下降した後、他方の頂部まで上昇する湾曲面を形成している請求項1または2に記載の菓子用包装容器。
【請求項4】
樹脂成形体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の菓子用包装容器。
【請求項5】
前記底面部、周壁部及び柱状部の形状が、薄厚樹脂によって一体に構成されている請求項4に記載の菓子用包装容器。
【請求項6】
前記周壁部の裏面側が空洞になっている、請求項5に記載の菓子用包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、和菓子や洋菓子等の菓子を収納する為の包装容器に関し、より詳しくは外力に対する耐性に優れた菓子用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の菓子用包装容器は、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているように、菓子を収納するトレーと、このトレーに嵌合される略中空角錐台形の蓋体とを備えている。このトレー及び蓋体は樹脂成形体であり、通常、その外形は薄厚樹脂によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2947469号公報
【特許文献2】特許第3643059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した薄厚樹脂によって構成された包装容器は、外力がかかると簡単に変形してしまう傾向にある。そして包装容器が変形すると、内包されている和菓子や洋菓子も破損し、その商品価値が失われてしまうという課題がある。本発明はこのような課題を解決する為になされたものであり、外力に対する耐性に優れた菓子用包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、包装容器の底面部の四隅から上側に延びる柱状部を設けた構成の包装容器が非常に効果的であることを見出した。このような構成の包装容器は、従来のトレー及び蓋体からなる菓子用包装容器の構成とは全く異なる斬新なものである。
【0006】
すなわち本発明は、菓子の底面を支える為の底面部と、該底面部の周端に設けら
れ、上面を有する周壁部とを有する菓子用包装容器であって、
該周壁部の一部をなし、該底面部の四隅から上側に
突出して延びるように設けられ、該菓子の側面を支える為の4本の柱状部
を有し、
前記柱状部が、突出した頂部が平面である略五角錐の形状を有し、
各柱状部の略五角錐の形状が、前記周壁部の外側面の一部を形成して隣接する2つの面を有することを特徴とする菓子用包装容器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の菓子用包装容器は、底面部の四隅から上側に延びるよう設けられた
4本の柱状部を有するので、従来の包装容器よりも外力に対する耐性に非常に優れている。したがって、例えば運搬の際に加わる押圧力、落下の際に加わる衝撃力、そのほか販売時の陳列の際や消費者が購入した後に加わる不慮の押圧力や衝撃力に対しても耐性に非常に優れており、内包されている和菓子や洋菓子が破損しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の菓子用包装容器の第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の菓子用包装容器の第1の実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の菓子用包装容器の第1の実施形態を示す平面図である。
【
図4】
図3のA−A’線切断部端面図を示す平面図である。
【
図5】
図3のB−B’線切断部端面図を示す平面図である。
【
図6】本発明の菓子用包装容器の第2の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の菓子用包装容器の第1の実施形態を示す斜視図であり、
図2は、その使用状態を示す斜視図である。この第1の実施形態の包装容器100は、菓子の底面を支える為の底面部101と、底面部101の周端に設けられた周壁部102と、底面部101の四隅から上側に延びるよう設けられた
4本の柱状部103を有する。
【0010】
底面部101は、和菓子105の底面を支える為の部分である。第1の実施形態において、底面部101の上面、すなわち和菓子105の底面を支える面は円形状である。和菓子105の底面が略円形状である場合は、このように底面部101の上面も円形状であることが好ましい。ただし本発明はこれに限定されず、和菓子105の底面の形状や成形の容易性に応じて底面部101の上面の形状を適宜決定すれば良い。円形以外の形状としては、例えば、正方形、長方形、菱形、多角形、星形等が挙げられる。
【0011】
周壁部102は、底面部101の周端に設けられる壁である。この周壁部102を設けることにより包装容器100の強度が向上する。第1の実施形態において、周壁部102の内面は上側に開く曲面である。和菓子105の主要部が略球状である場合は、このように周壁部102の内面が上側に開く曲面であることが好ましい。ただし本発明はこれに限定されず、和菓子105の対応部分の形状や成形の容易性に応じて周壁部102の内面の形状を適宜決定すれば良い。上側に開く曲面以外の形状としては、例えば、上側に開く傾斜面、垂直面等が挙げられる。
【0012】
柱状部103は、和菓子105の側面を支える為の部分である。この柱状部103を設けることにより包装容器100の強度が向上すると共に、従来の包装容器よりも外力に対する耐性が向上し、内包されている和菓子105が破損しにくくなる。第1の実施形態においては、4本の柱状部103が底面部101の四隅から上側に延びるよう設けられている。柱状部103の内面は周壁部102の内面と同様に上側に開く曲面である。そして柱状部103の内面の形状も、周壁部102の内面と同様に和菓子105の対応部分の形状や成形の容易性に応じて適宜決定すれば良い。柱状部103の形状は略五角錐(但し頂部は水平面)
である。
【0013】
第1の実施形態においては、柱状部103の頂部に意匠部分103aが設けられている。この意匠部分103aにおいては、柱状部103の頂部の外側面に波目状の段差を設けることにより富士山の絵柄を連想させるようデザインされている。このような意匠部分103aを設けることは意匠的に好ましい。ただし本発明はこれに限定されず、意匠部分103aに富士山以外の他の絵柄のデザインを付しても良いし、あるいは意匠部分103aを設けないものでも良い。
【0014】
第1の実施形態においては、4本の柱状部103が底面部101の四隅から上側に延びるよう設けられている。本発明では少なくともこの4本の柱状部103が必要であるが、5本の以上の柱状部を設けたものであっても良い。例えば、2本の柱状部103の中間の位置の周壁部102から上側に延びるよう設けられた柱状部をさらに有していても良い。
【0015】
第1の実施形態においては、周壁部102及び柱状部103の下側接地面に、水平方向に延びる狭幅の接地部104が設けられている。この接地部104を設けることにより包装容器100の載置安定性や強度が向上する。ただし本発明はこれに限定されず、接地部104を設けないものでも良い。
【0016】
図3は本発明の菓子用包装容器の第1の実施形態を示す平面図であり、
図4はそのA−A’線切断部端面図であり、
図5はそのB−B’線切断部端面図である。これら図面に示すとおり、第1の実施形態における包装容器100は、底面部101、周壁部102及び柱状部103等の形状が全て薄厚樹脂によって一体に構成され、裏面側が空洞になっている薄厚樹脂成形体である。このような樹脂成形体は、軽量かつ低コストである点から好ましい。ただし本発明はこれに限定されず、例えば、裏面側も樹脂で充填された一体型射出樹脂成形体であっても良いし、樹脂以外の材料で構成されたものであっても良い。
【0017】
図6は、本発明の菓子用包装容器の第2の実施形態を示す斜視図である。この第2の実施形態の包装容器200は、菓子の底面を支える為の底面部201と、底面部201の周端に設けられた周壁部202と、底面部201の四隅から上側に延びるよう設けられた柱状部203を有する。
【0018】
第2の実施形態において、底面部201の上面は第1の実施形態と同様に円形状であるが、第1の実施形態と同様に、菓子の底面の形状や成形の容易性に応じて適宜決定すれば良い。周壁部202の内面は第1の実施形態と同様に上側に開く曲面であるが、第1の実施形態と同様に、菓子の対応部分の形状や成形の容易性に応じて適宜決定すれば良い。柱状部103の形状は第1の実施形態と同様に略五角錐(但し頂部は水平面)であり、内面は第1の実施形態と同様に上側に開く曲面であるが、第1の実施形態と同様に、菓子の対応部分の形状や包装容器200に必要とされる強度のレベルや成形の容易性に応じて適宜決定すれば良い。第2の実施形態においては、第1の実施形態の意匠部分103a及び接地部104に対応する部分は無い。これらは必要に応じて設けられる任意の部分だからである。
【0019】
以上説明した本発明の包装容器100及び200においては、従来の包装容器に用いられている蓋体は必ずしも必要ではない。例えば、菓子を内包した包装容器100及び200をそのまま1個入り、2個入り、4個入り、6個入り等の所定のサイズの箱に入れて運搬及び販売しても良いし、菓子を内包した包装容器100及び200を1個ずつ樹脂フィルム製又は紙製の袋に入れて運搬及び販売しても良いし、樹脂フィルム製又は紙製の袋に入れたものをさらに所定のサイズの箱に入れて運搬及び販売しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の菓子用包装容器は、外力に対する耐性に優れているので、特に形状が崩れ易い柔らかい菓子、例えば、饅頭、大福餅、羊羹等の和菓子、ケーキ、シュークリーム等の洋菓子の包装容器として非常に有用である。
【符号の説明】
【0021】
100 包装容器
101 底面部
102 周壁部
103 柱状部
103a 意匠部分
104 接地部
105 和菓子105
200 包装容器
201 底面部
202 周壁部
203 柱状部