(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663908
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】流体加熱及び/又は冷却システム、並びに、関連する方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20200302BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B1/00 381H
【請求項の数】25
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-504283(P2017-504283)
(86)(22)【出願日】2015年4月10日
(65)【公表番号】特表2017-516059(P2017-516059A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】GB2015051098
(87)【国際公開番号】WO2015155543
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2018年3月22日
(31)【優先権主張番号】1406515.5
(32)【優先日】2014年4月10日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516304595
【氏名又は名称】イーエスジー プール ベンティレーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン アントニー
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−206805(JP,A)
【文献】
特開2007−292374(JP,A)
【文献】
特開2008−134013(JP,A)
【文献】
特開2004−232995(JP,A)
【文献】
特開2008−249240(JP,A)
【文献】
特開2003−176957(JP,A)
【文献】
特開2013−217609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F24F 1/00 − 1/02
F24F 5/00
F24F 11/00 − 11/89
F24D 3/00 − 3/18
F24D 17/00 − 19/10
F24H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を目標温度に加熱するように構成された流体加熱システムであって、前記目標温度は、前記流体加熱システム内の前記流体が加熱により達成されるべき温度である流体加熱システムにおいて、前記流体加熱システムは、
ヒートポンプであって、冷媒を運搬するように構成される冷媒配管システムにより接続された、圧縮器と、内部の冷媒が蒸発する蒸発温度を有する蒸発器と、内部の冷媒が凝縮する凝縮温度を有する凝縮器と、を備え、
前記凝縮器が、前記流体と前記冷媒との間に熱交換器を提供し、
前記熱交換器が、
(i)使用時に前記冷媒を受け取るように構成された第1の入口と、
(ii)使用時に前記流体を受け取るように構成された第2の入口と、
(iii)使用時に前記流体を排出するように構成された第2の出口と、
を有するヒートポンプと、
流体貯蔵槽であって、使用時に前記流体貯蔵槽から出た流体が、加熱配管システムにおいて前記第2の入口から前記熱交換器を通って循環することができ、且つ、前記第2の出口から戻る流体を受け取ることができるように構成された流体貯蔵槽と、
前記流体の温度を監視して温度出力を生成するように構成された少なくとも1つの温度センサと、
前記少なくとも1つの温度出力の入力を受けて、少なくとも1つの温度入力から参照温度を生成するように構成されたコントローラであって、前記参照温度は、前記熱交換器の第2の入口及び出口のうちの少なくとも一方の温度の関数であり、前記目標温度に前記流体が近づく際に、前記熱交換器の前記冷媒を受け取る側である第1サイドの前記凝縮温度が繰り返し調整されて、実質的に前記参照温度より上の1℃から4℃までの間の所定温度間隔空けて維持されるように、前記参照温度に応じて前記凝縮温度を制御するように更に構成され、それにより、前記凝縮温度を、前記参照温度が最低である、前記流体加熱の開始時における最小温度から、前記流体加熱プロセスの完了時の最大温度まで、上昇させるコントローラと、
を備える流体加熱システム。
【請求項2】
流体を目標温度に冷却するように構成された流体冷却システムであって、前記目標温度は、前記流体冷却システム内の前記流体が冷却により達成されるべき温度である流体冷却システムにおいて、前記流体冷却システムは、
ヒートポンプであって、冷媒を運搬するように構成される冷媒配管システムにより接続された、圧縮器と、内部の冷媒が蒸発する蒸発温度を有する蒸発器と、内部の冷媒が凝縮する凝縮温度を有する凝縮器と、を備え、
前記蒸発器が、前記流体と前記冷媒との間に熱交換器を提供し、
前記熱交換器が、
(i)使用時に前記冷媒を受け取るように構成された第1の入口と、
(ii)使用時に前記流体を受け取るように構成された第2の入口と、
(iii)使用時に前記流体を排出するように構成された第2の出口と、
を有するヒートポンプと、
流体貯蔵槽であって、使用時に前記流体貯蔵槽から出た流体が、加熱配管システムにおいて前記第2の入口から前記熱交換器を通って循環することができ、且つ、前記第2の出口から戻る流体を受け取ることができるように構成された流体貯蔵槽と、
前記流体の温度を監視して温度出力を生成するように構成された少なくとも1つの温度センサと、
前記少なくとも1つの温度出力の入力を受けて、少なくとも1つの温度入力から参照温度を生成するように構成されたコントローラであって、前記参照温度は、前記熱交換器の第2の入口及び出口のうちの少なくとも一方の温度の関数であり、前記目標温度に前記流体が近づく際に、前記熱交換器の前記冷媒を受け取る側である第1サイドの前記蒸発温度が繰り返し調整されて、実質的に前記参照温度より下の1℃から4℃までの間の所定温度間隔空けて維持されるように、前記参照温度に応じて前記蒸発温度を制御するように更に構成され、それにより、前記蒸発温度を、前記参照温度が最高である、前記流体冷却の開始時における最大温度から前記流体冷却プロセスの完了時の最小温度まで、低下させるコントローラと、
を備える流体冷却システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシステムであって、前記温度センサは、前記第2の入口の温度を測定することができるように前記熱交換器の前記第2の入口の領域に位置するシステム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のシステムであって、前記温度センサは、前記第2の入口に位置せず、前記コントローラは、前記温度出力を用いて前記第2の入口に入る前記流体の温度を計算するように構成されるシステム。
【請求項5】
請求項1、請求項1を引用する請求項3、又は、請求項1を引用する請求項4に記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記冷媒と前記流体との間で熱伝達が確実に起こる最小限度の前記凝縮温度を維持するように構成されるシステム。
【請求項6】
請求項2、請求項2を引用する請求項3、又は、請求項2を引用する請求項4記載のシステムであって、
前記コントローラは、前記冷媒と前記流体との間で熱伝達が確実に起こる最大限度の前記蒸発温度を維持するように構成されるシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムであって、前記最小限度は、前記凝縮温度と前記熱交換器の前記流体を受け取る側である第2サイドからの前記出口における前記流体の温度との間の、およそ2℃の温度差を意味するシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムであって、前記最大限度は、前記蒸発温度と前記熱交換器の前記流体を受け取る側である第2サイドからの前記出口における前記流体の温度との間の、およそ2℃の温度差を意味するシステム。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のシステムであって、前記ヒートポンプは、
(i)空気熱源ヒートポンプ、
(ii)地熱源ヒートポンプ、及び、
(iii)水熱源ヒートポンプ
のうちの少なくとも1つであるシステム。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記熱交換器を通る前記加熱配管システム内の前記流体の流速を、前記温度出力だけではない変数の関数として制御するように更に構成されるシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記温度出力に追加される前記変数は、
(i)前記流体の熱的特性、及び、
(ii)前記熱交換器の温度特性
のうちの少なくとも一方を含むシステム。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のシステムであって、目標凝縮温度及び/又は目標蒸発温度が前記コントローラによって計算され、前記計算は、
(i)熱交換器の種類、
(ii)前記第2の入口における流体温度、
(iii)前記凝縮器の最高及び/又は最低凝縮温度、
(iv)前記蒸発器の最高及び/又は最低蒸発温度、
(v)流体加熱システムにおける損失、及び、
(vi)前記流体貯蔵槽内の前記流体の目標流体温度
のうちの1つ以上を含む因子を用いるシステム。
【請求項13】
流体貯蔵槽内に含まれる流体を目標温度に加熱を制御するように構成された制御システムであって、前記目標温度が、前記流体が熱交換器を用いた加熱により達成されるべき温度である制御システムにおいて、前記制御システムは、
加熱される前記流体の温度を監視するように構成された温度センサの出力の入力を受けるように構成された少なくとも1つの入力部を備え、
コントローラが、少なくとも1つの温度入力から参照温度を生成するように構成され、前記参照温度は、前記流体が通過する前記熱交換器の第2の入口及び出口のうちの少なくとも一方の温度の関数であり、前記コントローラが更に、前記目標温度に前記流体が近づく際に、前記熱交換器の冷媒を受け取る側である第1サイドの凝縮温度が繰り返し調整されて、実質的に前記参照温度より上の1℃から4℃までの間の所定温度間隔空けて維持されるように、前記参照温度に応じて、前記冷媒が通過する前記熱交換器の前記第1サイドの前記凝縮温度を制御するように構成され、それにより、前記凝縮温度を、前記参照温度が最低である、前記流体加熱の開始時における最小温度から、前記流体加熱プロセスの完了時の最大温度まで、上昇させる制御システム。
【請求項14】
請求項13記載のシステムであって、前記コントローラは、前記凝縮温度を、前記冷媒と前記流体との間で熱伝達が確実に起こる最小限度に維持するように構成されるシステム。
【請求項15】
流体貯蔵槽内に含まれる流体を目標温度に冷却を制御するように構成された制御システ
ムであって、前記目標温度が、前記流体が熱交換器を用いた冷却により達成されるべき温度である制御システムにおいて、前記制御システムは、
冷却される前記流体の温度を監視するように構成された温度センサの出力の入力を受けるように構成された少なくとも1つの入力部を備え、
コントローラが、少なくとも1つの温度入力から参照温度を生成するように構成され、前記参照温度は、前記流体が通過する前記熱交換器の第2の入口及び出口のうちの少なくとも一方の温度の関数であり、前記コントローラが更に、前記目標温度に前記流体が近づく際に、前記熱交換器の冷媒を受け取る側である第1サイドの蒸発温度が繰り返し調整されて、実質的に前記参照温度より下の1℃から4℃までの間の所定温度間隔空けて維持されるように、前記参照温度に応じて、前記冷媒が通過する前記熱交換器の前記第1サイドの前記蒸発温度を制御するように構成され、それにより、前記蒸発温度を、前記参照温度が最高である、前記流体冷却の開始時における最大温度から前記流体冷却プロセスの完了時の最小温度まで、低下させる制御システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記蒸発温度を、前記冷媒と前記流体との間で熱伝達が確実に起こる最大限度に維持するように構成されるシステム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムであって、前記最小限度は、前記第1サイドの温度と、前記熱交換器の前記流体を受け取る側である第2サイドからの出口における前記流体の温度と、の間における、およそ2℃の温度差を意味するシステム。
【請求項18】
請求項16に記載のシステムであって、前記最大限度は、前記第1サイドの温度と、前記熱交換器の前記流体を受け取る側である第2サイドからの出口における前記流体の温度と、の間における、およそ2℃の温度差を意味するシステム。
【請求項19】
流体貯蔵槽内の流体を目標温度に加熱する方法であって、前記目標温度が、前記流体貯蔵槽内の流体が加熱により達成されるべき温度である方法において、前記方法は、前記流体を前記流体貯蔵槽から移動させ、熱交換器の第2サイドを通じて、前記流体貯蔵槽に戻る前記流体を受け取ることと、前記流体が前記目標温度に近づく際に、前記熱交換器の前記冷媒を受け取る側である第1サイドの凝縮温度が繰り返し調整されて、実質的に前記第2サイドへの入口の温度及び前記第2サイドの出口の温度のうちの少なくとも一方の関数である参照温度より上の1℃から4℃までの間の所定温度間隔空けて維持されるように前記凝縮温度を制御し、それにより、前記凝縮温度を、前記参照温度が最低である、前記流体加熱の開始時における最小温度から前記流体加熱プロセスの完了時の最大温度まで、上昇させることと、を含む方法。
【請求項20】
流体貯蔵槽内の流体を目標温度に冷却する方法であって、前記目標温度が、前記流体貯蔵槽内の流体が冷却により達成されるべき温度である方法において、前記方法は、前記流体を前記流体貯蔵槽から移動させ、熱交換器の第2サイドを通じて、前記流体貯蔵槽に戻る前記流体を受け取ることと、前記流体が前記目標温度に近づく際に、前記熱交換器の前記冷媒を受け取る側である第1サイドの蒸発温度が繰り返し調整されて、実質的に前記第2サイドへの入口の温度及び前記第2サイドの出口の温度のうちの少なくとも一方の関数である参照温度より下の1℃から4℃までの間の所定温度間隔空けて維持されるように前記蒸発温度を制御し、それにより、前記蒸発温度を、前記参照温度が最高である、前記流体冷却の開始時における最大温度から前記流体冷却プロセスの完了時の最小温度まで、低下させることと、を含む方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、前記熱交換器の前記第1サイドが冷却サイクル内の凝縮器の一部を含む方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、前記熱交換器の前記第1サイドが冷却サイクル内の蒸発器の一部を含む方法。
【請求項23】
請求項21又は請求項22に記載の方法であって、前記冷却サイクルがヒートポンプによって提供される方法。
【請求項24】
請求項1から請求項18のうちのいずれか1項に記載のシステムが備える前記コントローラとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項25】
請求項19から請求項23のうちのいずれか1項に記載の方法における前記制御を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、流体加熱及び/又は冷却システム並びに関連する方法に関する。具体的には、限定されるものではないが、本発明の実施形態は、熱を水へ及び/又は水から伝達するためのシステムに関連していてもよい。具体的には、限定されるものではないが、実施形態は、後の消費のための供給水を加熱するように構成されてもよい。
【0002】
水の加熱及び/又は冷却との関連で実施形態の背景を説明すると都合がよい。しかし、概説される原理は、水以外の流体に適用されてもよいことが理解されよう。
多くの水供給システムでは供給水が貯蔵槽に保持され、供給水は次に熱伝達機構により加熱及び/又は冷却される。多くの先行技術のシステムは、水を、貯蔵槽から熱伝達機構に移動させ、熱が加えられた又は取り除かれた水を、貯蔵槽に戻す。
【0003】
加熱システムの場合、熱伝達機構としてボイラーを用いることが知られており、ボイラーは、化石燃料を燃やして熱を発生させ、その熱は、ボイラーを通過する水を加熱するのに用いられる。こうしたシステムは、かなりの体積のCO
2を発生させ、温流体(例:水)の生成全体は、費用及びCO
2発生の両観点で、望まれるほど効率的でない可能性がある。
【0004】
本発明の第1の側面によれば、流体を加熱及び/又は冷却するように構成され、以下のうち少なくとも1つを備える、流体加熱及び/又は冷却システムが提供される。
1.冷媒を運搬するように構成される冷媒配管システムにより接続された、圧縮器と、内部の冷媒が蒸発する蒸発温度を有する蒸発器と、内部の冷媒が凝縮する凝縮温度を有する凝縮器と、のうちの少なくとも1つを備えるヒートポンプであって、
凝縮器及び蒸発器のうちの一方が、流体と冷媒との間に熱交換器を提供し、
熱交換器が、
(i)使用時に冷媒を受け取るように構成された第1の入口と、
(ii)使用時に流体を受け取るように構成された第2の入口と、
(iii)使用時に流体を排出するように構成された第2の出口と、
を有していてもよいヒートポンプ。
【0005】
2.流体貯蔵槽であって、典型的には、使用時に、流体貯蔵槽から出た流体が、加熱配管システムにおいて第2の入口から熱交換器を通って循環するように構成された流体貯蔵槽。
【0006】
3.典型的には、流体の温度を監視して温度出力を生成するように構成された少なくとも1つの温度センサ。
4.典型的には、システムコントローラへの少なくとも1つの温度出力の入力を受けて、当該入力から参照温度を生成するように構成されたシステムコントローラであって、参照温度が、第2の入口及び第2の出口のうちの少なくとも一方における流体の温度の関数であるシステムコントローラ。
【0007】
(a)流体が加熱される場合には、凝縮器が熱交換器を提供し、コントローラは更に、凝縮温度が参照温度を実質的に所定温度間隔上回って維持されるように、参照温度に応じて凝縮温度を制御するように構成され、及び/又は、
(b)流体が冷却される場合には、蒸発器が熱交換器を提供し、コントローラは更に、蒸発温度が参照温度を実質的に所定温度間隔下回って維持されるように、参照温度に応じて蒸発温度を制御するように構成される。
【0008】
ヒートポンプを用いた実施形態は、それがシステム内に加熱及び冷却をもたらし、当該システムが熱伝達方向の逆転を生じさせることができる弁を容易に備えることができるために、有利である。第二に、それらは、システムへのエネルギー入力を用いて、熱源からヒートシンクに又はその逆に熱エネルギーを移動させ、移動したエネルギーは、ことによると、実質的にシステムへのエネルギー入力より大きくなり得る。
【0009】
さらに、凝縮温度が参照温度を所定温度間隔上回ることを保証することで、実施形態の効率性を向上させることができる。
従来の加熱システムでは、凝縮温度は、所望の温水温度、すなわち流体貯蔵槽内の流体が熱せられて達する温度、を上回るレベルに設定される。一般的には、この温水温度は60℃であるため、凝縮温度は、これを上回る温度、例えば70℃に設定される。このため、加熱工程のすべてではないにしても、ほとんどは、流体が加熱されて達する温度より高い温度の熱媒体(冷媒)を用いて行なわれる。これに対し、本実施形態の少なくともいくつかにおいては、冷媒の温度が、加熱されている流体の温度(すなわち、所望の最終温度ではなく、流体の実際の温度)を上回る温度に繰り返し調節され、凝縮温度と流体温度との差(すなわち、所定温度間隔)が制御される。いくつかの実施形態は、可能な限り最小になるように所定温度間隔を制御するように構成される。このため、典型的には、実施形態は、流体温度が最も低いときの、流体加熱開始時の最小値から、流体加熱工程の終了時の最大値へと増加するように、凝縮温度を制御するように構成され、そのため平均凝縮温度は、従来のシステムより低い。こうした実施形態は、従って、参照温度に所定温度間隔を加えた目標凝縮温度を計算する。
【0010】
有利には、参照温度を実質的に所定温度間隔上回るように凝縮温度を制御する実施形態が、システムの性能係数(COP)を向上させる。COPは、有効加熱エネルギー出力をヒートポンプ圧縮器へのエネルギー入力で割ったものと定義される。例えば、こうした加熱システムでは、凝縮温度が25℃の場合にはCOPは8.8であり得るが、凝縮温度が65℃程度の場合にはCOPはわずか2.2以下であり得る。
【0011】
このため、システムの平均COPは、その動作範囲に亘るCOPの加重平均となり、典型的な実施形態の平均は、5.5になるであろうと考えられる。このようなCOP全体で動作する実施形態は、流体(例:水)を加熱するのに用いられるシステムであって凝縮温度が流体の最終温度より高く維持されるシステムと比べて、温流体の生成がより効率的に、及び/又は、CO
2の使用がより少なくなることが理解されよう。
【0012】
好ましくは、ヒートポンプは、空気熱源ヒートポンプである。任意には地熱源ヒートポンプ、水熱源ヒートポンプ、又は、ヒートポンプシステムであって多数のヒートポンプを備える、任意に異なる外部熱源を有するヒートポンプシステムであってもよい。
【0013】
凝縮器は、冷媒配管システム内の冷媒から熱を取り出すように構成された熱交換器を備えてもよい。このため、システムが流体を加熱するように構成されている場合、凝縮器は、凝縮器熱交換器又は熱交換器と呼ばれてもよい。
【0014】
冷却システムでは、凝縮器及び蒸発器の位置が逆転し、システムを流れる流体は、冷却される。当業者であれば、冷媒配管システムが冷却又は加熱システムのいずれにおいても熱を移動させる機構であることを理解するであろう。システムが流体を冷却するように構成される場合、蒸発器は、加熱配管システム内の流体から熱を取り出すように構成された熱交換器を備えてもよい。このため、システムが流体を冷却するように構成される場合、蒸発器は、蒸発器熱交換器又熱交換器と呼ばれてもよい。
【0015】
加熱及び冷却システムの間で可逆のシステムでは、冷媒配管システムの部品間の流れの方向を変えるための弁を典型的には含む、冷媒配管システムへの変更を行ってもよい。当業者であれば、これがどのように行なわれるかを理解するであろう。
【0016】
冷却システムにおいて、加熱及び冷却システムの間で可逆のシステムが冷却システムとして動作する場合、当業者であれば凝縮温度の代わりに蒸発温度が制御されることを理解するであろう。
【0017】
加熱システムにおいて、凝縮温度と、凝縮器熱交換器の第2サイド内の流体温度を代表する温度(すなわち、凝縮器の第2の出口もしくは第2の入口の、又は両者の間の地点の流体温度)との差は、効率を最適化あるいは改善するために、典型的には最小化あるいは低減され、更に、凝縮温度は、第2の出口の流体温度より高い。これに対し、冷却システムにおいて、蒸発温度と、凝縮器熱交換器の第2サイド内の流体温度を代表する温度(すなわち、凝縮器の第2の出口もしくは第2の入口の、又は両者の間の場所の流体温度)との差は、効率を最適化あるいは改善するために、典型的には最小化あるいは低減され、更に、蒸発温度は、第2の出口の流体の温度より低い。このように、システムは反転されて、熱力学の第2法則の結果であるカルノーの定理の同じ側面を利用するが、これは当業者に理解されるであろう。
【0018】
本開示の残りの部分では、簡潔及び簡易に加熱システムが説明される。当業者であれば上記段落を参照して、システム及び方法がどのように冷却用に調整されるかを理解するであろう。
【0019】
少なくとも1つの温度センサが、直接第2の入口から凝縮器に入る流体の温度を計測するために第2の入口に位置してもよい。代替的又は追加的に、温度センサは、流体貯蔵槽からの管沿いのどこに位置してもよく、又は、この管に近い流体貯蔵槽内に位置してもよい。それ自体が温度の関数であり得る管に沿った既知の熱損失を、第2の入口における温度を計算するために用いることができる。
【0020】
代替的又は追加的に、センサは、凝縮器からの第2の出口に位置してもよく、又は、第2の出口から流体貯蔵槽へ通じる管沿いに位置してもよい。凝縮器の第2の入口と第2の出口との間の既知の温度差を、第2の出口における温度から第2の入口における温度を計算するために用いることができる。温度センサが第2の出口から流体貯蔵槽へ通じる管沿いに位置している場合には、加えて管に沿った既知の熱損失を使用してもよい。
【0021】
1つより多い温度センサが設けられてもよい。
コントローラが、第2の入口温度と第2の出口温度とのうちの少なくとも一方の関数に従って参照温度を生成するように構成されてもよい。一つの実施形態において、参照温度は、第2の入口温度と第2の出口温度との平均であってもよい。しかし、当業者であれば凝縮温度が凝縮器熱交換器の第2サイド内の流体の最高温度を上回るものでなければならないことを理解するであろう。このため、実施形態は、所定間隔を、目標凝縮温度(参照温度に所定間隔を加えたものに等しい)が凝縮器熱交換器の第2サイド内の流体の最高温度を上回るのに十分な大きさに維持するように、典型的には構成される。
【0022】
いくつかの実施形態において、温度出力は、第2の入口から凝縮器に入る流体の温度であってもよい。あるいは、第2の入口から凝縮器に入る流体の温度は、上述の通り、コントローラによって温度出力から計算されてもよい。
【0023】
コントローラは、デジタルコントローラであってもよく、凝縮器の第2サイドから流体貯蔵槽の底部の流体へと所望量の熱を伝達するであろう最低凝縮温度を計算する。この計算は、凝縮器熱交換器の特性を考慮に入れてもよく、この計算によって、凝縮温度は、参照温度を実質的に所定温度間隔上回る目標凝縮温度に調整される。
【0024】
すなわち、システムコントローラは、参照温度に応じて凝縮温度を時々変更するように構成されてもよい。時々は、リアルタイムで、もしくは、ほぼリアルタイムであってもよく、又は、周期的を意味してもよい。変更の間隔は、例えば実質的に以下のうちのいずれであり得る。即ち、1秒,2秒,4秒,6秒,8秒,10秒;20秒;30秒;45秒;1分;2分;5分などである。コントローラは、1秒より短い間隔で計算を行なってもよいと考えられるが、制御システムにおける遅延が、そのような短い間隔が必要ないことを生じさせるだろうと考えられる。当業者であれば、変更の間隔は、加熱中の流体の温度がその間隔の間に実質的に変化して、本明細書で概説する方法によれば、凝縮温度が不正確になり、その結果システムが望まれるより低い効率で動作することのないような十分な短さであるべきだと理解するであろう。
【0025】
典型的には、システムコントローラは、目標凝縮温度と参照温度との間の所定温度間隔が実質可能な限り小さくなるように、凝縮温度を維持するように構成される。この文脈において、実質の最小所定温度間隔、それゆえ実質の最低凝縮温度は、他の変数の中で、使用される熱交換器に依存し、以下のうちの少なくとも1つを意味してもよい。
【0026】
i.凝縮器内で気体から液体への完全凝縮が確実に起こるのに十分に低いこと。
ii.加熱システムが凝縮器熱交換器の第2サイド内で維持している温度を所定量上回り、それにより熱交換損失を考慮すること。
【0027】
iii.凝縮器内で気体から液体への完全凝縮が確実に起こるように、加熱システムが凝縮器熱交換器の第2サイド内で維持している温度を上回る十分なマージンを残すこと。
凝縮器熱交換器の第2サイドからの出口における流体温度を上回って凝縮温度が保たれる所定量は、実質的に次のうちのいずれか、即ち、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃のいずれかであってもよく、好ましくは5℃未満である。
【0028】
参照温度は、凝縮器熱交換器の第2サイド内の温度の基準として使用されるが、ダイレクトに、第2の入口、第2の出口、又は、凝縮器熱交換器の第2サイド内の任意地点における流体の温度のうちのいずれか1つでなくてもよい。参照温度は、熱交換器の温度の既知の関数であり、すなわち、第2の入口、第2の出口、又は、凝縮器熱交換器の第2サイド内の任意地点における温度も、参照温度、並びに、システム内の既知の又は計算可能な熱利得及び熱損失及び温度勾配及び温度差を用いて計算可能である。
【0029】
加熱配管システムは、加熱配管システムを巡る流体をポンピングするように構成されたポンプを備えてもよい。ポンプは、可変速度であってもよく、それにより凝縮温度の制御が可能になる。ここで、凝縮器熱交換器の第1及び第2サイドが熱力学的平衡状態にあること、並びに、第1又は第2サイドへの熱入力又はそれらからの熱出力に影響を及ぼすパラメータの変化が当該平衡状態に影響を及ぼすことが理解されよう。このため、凝縮(又は蒸発)温度、入口温度、及び出口温度は相互に関連する値であり、相互に依存する。よって、本発明の実施形態は、加熱及び冷媒配管システム、並びに、それぞれの中の流体及び冷媒、の熱容量によって定められる平衡の範囲に関して、加熱及び/又は冷却システムの機能を最適化するものと考えられてもよい。
【0030】
加熱配管システムは、流体が加熱配管システムの熱交換器を迂回できるように構成されたバイパス管を備えてもよい。加熱配管システムは、バイパス管を流れることのできる流体の量を制御するように構成された弁をも備えてよい。
【0031】
システムコントローラは、凝縮器を通る加熱配管システム内の流体の流速を、温度出力だけではない変数の関数として制御するようにさらに構成されてもよい。例えば、これらの変数には以下のうちのいずれか1つ以上が含まれてもよく、それは、加熱システムにより加熱される流体の熱的特性、及び、加熱配管システム内の流体に関連した熱交換器の温度特性である。これら実施形態は、システムの加熱及び/又は冷却のエネルギー効率を改善することができるという点において有利であり、改善は、最適化であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、凝縮器熱交換器は、一部又は全体が流体貯蔵槽内に位置してもよい。
本発明の第2の側面によれば、熱交換器を用いて一塊の流体の加熱及び/又は冷却を制御するように構成される制御システムが提供され、当該制御システムは、
加熱される流体の温度を監視するように構成された温度センサの出力の入力を受けるように構成された少なくとも1つの入力部を備え、
コントローラが、当該コントローラへの少なくとも1つの温度入力から参照温度を生成するように構成され、参照温度は、第2の入口及び出口のうちの少なくとも一方の温度の関数であり、コントローラが更に、熱交換器の第1サイドの温度が参照温度を実質的に所定温度間隔上回って維持されるように、参照温度に応じて熱交換器の第1サイドの温度を制御するように構成される。
【0033】
本発明の第3の側面によれば、流体貯蔵槽内の流体を加熱及び/又は冷却する方法が提供され、当該方法は、流体を貯蔵槽から熱交換器の第2サイドへと移動させることと、熱交換器の第1サイドの温度が参照温度を実質的に所定温度間隔上回って維持されるように熱交換器の第1サイドの温度を制御することとを含み、参照温度は、第2サイドへの入口の温度と第2サイドの出口の温度とのうちの少なくとも一方の関数である。
【0034】
本発明の第4の側面によれば、マシンによって読み取られるときに、マシンを、本発明の第1及び/又は第2の側面のシステムとして動作させる、又は、マシンに、本発明の第3の側面の方法を提供させる命令を含むマシン可読媒体が提供される。
【0035】
本発明の上記側面のいずれにおいても、マシン可読媒体は、以下のうちのいずれを含んでもよい。即ち、フロッピーディスク、CD ROM、DVD ROM/RAM(−R/−RW及び+R/+RWを含む)、ハードドライブ、ソリッドステート記憶装置(USBメモリキー、SDカード、Memorystick
TM、コンパクトフラッシュカードなどを含む)、テープ、その他のあらゆる形態の光磁気記憶装置、伝送信号(インターネットのダウンロード、FTP転送などを含む)、ワイヤ、又は、その他のあらゆる適切な媒体である。
【0036】
当業者であれば、本発明の上記側面のうちの1つに関連して説明された特徴を、本発明の側面のその他のものに準用してもよいことを理解するであろう。
本明細書における配管システムへの言及は、パイプシステムへの言及と考えられてもよい。
【0037】
本発明の実施形態の詳細な説明を、添付の図面を参照して単に例示として以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】水を加熱するために空気熱源ヒートポンプが用いられるシステムの実施形態の概略を表す。
【
図2】
図1に示される発明の実施形態の制御機構の概略を表す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
明瞭化のために、流体を加熱する、具体的には水を加熱するように構成されたシステムという観点から実施形態を説明すると都合がよい。しかし、当業者であれば、他の流体を加熱及び/又は冷却するために、他の実施形態を構成してもよいことが理解されよう。
【0040】
図1に示される温水加熱システム100は、空気熱源ヒートポンプ(ASHP)110の使用を基礎としている。加熱システム100は、圧縮器102と、凝縮器熱交換器104と、蒸発器106とを有し、それぞれが冷媒配管システム108で連結されて冷却サイクルを提供するように構成される。蒸発制御弁112が、冷媒配管システム108内の凝縮器104と蒸発器106との間に設けられる。冷媒配管システム108は、冷媒を、凝縮器熱交換器104の第1サイド104aを通じて案内するように構成される。
【0041】
冷媒は、冷媒配管システム108内を、蒸発器106から圧縮器102へと流れる。この管セクションの気体は、低圧及び低温である。圧縮器102により温度及び圧力が増加し、加熱されて加圧された冷媒は次に、凝縮器熱交換器104の第1サイド104aへと流れ、第1の入口124aを介して入る。凝縮器熱交換器104は、冷媒配管システム108内の流体を凝縮して高圧中温の液体にし、液体は次に第1の出口124bを介して出ていく。凝縮器熱交換器104によって、熱を冷媒から流体へと伝えることができる。温度の下がった冷媒は、次に蒸発制御弁112を通って蒸発器106に戻され、蒸発器106は、熱源から熱を取り出す。このケースにおいて、熱源は外気132である。蒸発制御弁112(膨張制御手段と考えてよい)により、高圧の液体が膨張して蒸発器106に入り低圧の冷えた気体になる。
【0042】
冷媒配管システム108を巡る冷媒の移行は、低、中、高などの相対的な用語で説明されている。当業者であれば、これらの用語が冷媒配管システム108の他の部分と比較して説明されていることを理解するであろう。
【0043】
システム100は、温水貯蔵槽114と、加熱配管システム116a、116bと、少なくとも2つのポンプ118、120とを有する。冷水は、温水貯蔵槽114に、当該槽114の底部の低温供給口122を介して入る。ここで槽114に入る冷水は、洗濯、シャワー、入浴などの温水供給126に使用されるために水配管システム116bを介して槽114を出る水と置き替わる。
【0044】
同時に、洗濯用に水を加熱するために、水配管システム116aは、槽の底部から凝縮器熱交換器104の第2サイド104bへと冷水を循環させる。第2サイド104bに流れ込む水は、凝縮器熱交換器104の第1サイド104aからの熱により加熱され、槽114へと戻される。
【0045】
槽114内の温水は、層状化するため、使用のために温水を槽の最上部に貯蔵することができ、一方で冷水は、槽の低層に入って加熱される。
温度センサ130は、凝縮器熱交換器104の第2の入口128aの領域の水の温度を測定する。
【0046】
代替の実施形態では、温度センサ130は、配管ループ116aの別の場所、又は槽114内の配管ループ116aへの入口付近に位置する。こうした実施形態において、当業者であれば、典型的には既知の温度降下が加熱配管システムの複数地点周辺で存在すること、及び、第2の入口128aにおける水の温度を加熱配管システムの他の地点から判定し得ることを理解するであろう。
【0047】
温度センサ130は、温度出力を提供する。
代替の又は追加の実施形態において、システムは、追加の温度、及び/又は、温度/圧力センサをさらに備える。これらのセンサは、圧縮器102及び/又は蒸発器106の入口及び/又は出口と、流体貯蔵槽114の中または付近の1以上の場所と、に位置すると有利である。
【0048】
弁112に加え、冷媒配管システムは、冷媒が通過することのできる速度を制御するように構成されたさらなる弁222も備える。
図2は上述の実施形態の制御システム200を表す。具体的には、コントローラ202が、以下に説明するように入力を受け取り、それらの入力を処理して、
図1と対比して説明されるシステムを制御するように設けられる。
【0049】
好都合には、コントローラ202はプロセッサを備える。プロセッサは、Intel
TMi3
TM、i5
TM、i7
TMなど、AMD
TMFusion
TMプロセッサ、Apple
TMA7
TMプロセッサなどの、任意の適切なプロセッサであり得る。
【0050】
温度センサ130からのこの温度出力は、制御システムコントローラ202への入力として提供される。コントローラ202は、凝縮温度が、第2の入口128aから入る水の温度から生成される参照温度を、所定温度間隔上回るように、温度出力に応じて凝縮器熱交換器104の凝縮温度を制御する。
【0051】
この実施形態では、温度出力は、第2の入口128aから入る水の温度を表す。代替の又は追加の実施形態において、温度センサ130は、第2の出口128bに、又は、その付近に位置し、温度出力は、第2の出口128bを出る水の温度を表す。そして参照温度は、当該温度出力を用いてコントローラ202により生成される。
【0052】
追加の又は代替の実施形態において、温度センサ130は、第2の入口128a又は出口128bには位置せず、代わりに配管116aの領域の他の場所に位置する。第2の入口128aに入る又は第2の出口128bを出る流体の温度は、温度出力、並びに、管からの熱損失及び第2の入口128aと第2の出口128bとの間の温度差などの他の因子を用いて計算することができる。そのため、温度出力は、第2の入口128aに入る水の温度及び/又は第2の出口128bを出る水の温度についての既知の関数である。そして参照温度は、温度出力からコントローラ202によって生成される。
【0053】
凝縮器熱交換器104の第2サイド104bに渡って温度勾配が存在し、参照温度は、第2サイド104b内の少なくとも1つの温度に基づく何らかの関数である。いくつかの実施形態では、参照温度は、第2の入口128aと第2の出口128bとの平均温度である。
【0054】
本実施形態において、所定温度間隔は、使用者によって又は凝縮熱交換器104に伴うソフトウェアによってプリセットされる。他の実施形態では、コントローラ202は、使用する温度間隔を以下の1つ以上を含む因子に基づいて計算する。
(i)熱交換器の種類
(ii)第2の入口における水温
(iii)凝縮器の最高及び最低凝縮温度
(iv)参照温度
(v)所望の温水温、すなわち流体貯蔵槽内の流体が加熱されて達する温度
そして、コントローラ202は、圧縮器102及び/又は蒸発制御弁112に、凝縮器熱交換器104内の凝縮温度が減少又は増加するように、冷媒配管内の冷媒の流速及び/又は圧力及び温度を調整させ、それにより、凝縮温度を参照温度に所定温度差を加えたものに、又はそれに近いものにする。
【0055】
以下の説明では、コントローラ202と種々の部品との間の接続が有線接続であるものとして説明されている。これらの接続は、RS232、RS485、TCP/IP、USB、Firewireなどの任意の適切なプロトコル又は専用プロトコルにより行なわれてもよい。しかし、他の実施形態では、接続を無線とすることもでき、その場合にはBluetooth、WIFI、又は専用プロトコルなどのプロトコルも適当であろう。
【0056】
図2に示す実施形態では、コントローラ202は、圧縮器102及び温度センサ130と、それぞれ有線通信チャネル210b及び210iを介して電気的に通信する。コントローラ202は、凝縮温度の調整を可能にするために、圧縮器102を制御して圧縮器102を変調する。
【0057】
いくつかの実施形態では、コントローラ202は、圧縮器102の第1及び第2の側の1つ以上の弁112、222とも通信して、圧縮器102を通る流れを調節し、それにより凝縮温度を調整する。
【0058】
代替の又は追加の実施形態において、コントローラ202は、追加のデータ/フィードバックを提供するために、以下のようなさらなる温度センサと通信する。このため、以下の温度センサのそれぞれが、コントローラ202に入力される温度出力を生成するように構成される。即ち、
ヒートポンプ凝縮器104の第2の出口128bの領域における230a
流体貯蔵槽114の低層領域における230b
流体貯蔵槽114の高層領域における230c、及び、
蒸発器106の出口の領域における230d
が配置される。
【0059】
代替の又は追加の実施形態において、コントローラ202は、第1の凝縮器入口124aの領域及び/又は蒸発器106入口の領域における圧力/温度センサ232a、232bと通信する。
【0060】
有利には、温度センサ103に追加して複数の温度センサを使用する実施形態が、参照温度及び/又は温度間隔計算の精度を向上させ、及び/又は、加熱システムをさらに最適化する。
【0061】
コントローラ202はまた、出力制御機構220、112、222の一部又は全てと通信する。コントローラ202は、圧縮器モータコントローラ220を用いて圧縮器102の出力を変調することができる。追加的又は代替的に、コントローラ202は、蒸発器膨張弁112及び凝縮器制御弁222を開き、閉じ、又は両端位置の間に調整することができる。追加的又は代替的には、コントローラ102が、蒸発器ファンモータ240及び凝縮器第2ポンプ118を調節することができる。