【氏名又は名称原語表記】ADVANCED POLYMER MONITORING TECHNOLOGIES,INC.,DBA/FLUENCE ANALYTICS
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つまたは複数のプロセス決定は、前記時間依存性プロセスの終了、前記反応器の内容物の回収、同一反応器または異なる反応器における後続の反応または処理段階への進行のいずれか1つを含む、請求項1に記載の方法。
前記方法はさらに、前記データの連続的なストリームを関数に当てはめて、前記重合反応の第1の重合反応生成物と第2の重合反応生成物との間のグレード転換を予測することを含み、前記時間依存性プロセスは重合反応であり、
前記1つまたは複数の検出器の1つは粘度計であり、そして
予測された前記グレード転換は前記時間間隔中に前記粘度計によって検出された還元粘度測定値に由来する、
請求項1に記載の方法。
前記方法はさらに、前記プロセスコントローラを使用して、前記時間依存性プロセスの1つまたは複数の条件を変更して、前記将来の時点で前記化学種の予測される前記1つまたは複数の特性を変えることを含み、
前記1つまたは複数の条件は反応器圧力、反応器温度、反応かき混ぜ速度、反応撹拌速度、反応物濃度、試薬濃度、または前記反応器への試薬流速のいずれか1つを含む、請求項1に記載の方法。
前記1つまたは複数の特性変化は前記1つまたは複数の化学種の濃度、分子量、多分散性、還元粘度、固有粘度、および化学組成のうちのいずれか1つにおける変化を含む、請求項1に記載の方法。
前記方法は重合反応の自動連続オンライン・モニタリング(ACOMP)システムを使用して実施され、前記ACOMPシステムは、前記反応器、前記1つまたは複数の検出器および前記プロセスコントローラを含む、請求項1に記載の方法。
前記1つまたは複数のプロセス決定は前記時間依存性プロセスの終了、前記反応器の内容物の回収、同一反応器または異なる反応器における後続の反応または処理段階への進行のいずれか1つを含む、請求項11に記載の装置。
前記プロセスコントローラはさらに、前記時間依存性プロセスの1つまたは複数の条件における変更を指示して、前記将来の時点における前記化学種の予測された前記1つまたは複数の特性を変えるように構成される、請求項11に記載の装置。
前記1つまたは複数の検出器はUV吸収、赤外線吸収、ラマン散乱、蛍光、導電率、還元粘度、動的光散乱、静的光散乱、ミー散乱、蒸発光散乱、屈折率検出、線形複屈折、円複屈折、線形二色性、円二色性、赤外線検出、NMR、および偏光分析のいずれか1つまたは複数を測定するように構成される、請求項11に記載の装置。
前記反応器、前記抽出器ポンプ、前記1つまたは複数の検出器、および前記プロセスコントローラのうちの1つまたは複数は、重合反応の自動連続オンライン・モニタリング(ACOMP)システムに組み込まれる、請求項11に記載の装置。
前記反応器、前記抽出器ポンプ、前記1つまたは複数の検出器、前記プロセスコントローラ、および前記希釈および/または調整する手段の1つまたは複数は、重合反応の自動連続オンライン・モニタリング(ACOMP)システムに組み込まれる、請求項19に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
説明を簡潔かつ明確にするため、適切な場合には、対応するまたは類似の要素を示すために異なる図面間で参照番号を繰り返していることが理解される。さらに、本明細書に記載された実施形態の完全な理解をもたらすために、多くの特定の詳細が示される。しかしながら、当業者には、本明細書に記載された実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、方法、手順および構成要素は、記載されている関連する関連特徴を不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。また、記述は本明細書に記載された実施形態の範囲を限定するものとみなされない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本開示の詳細および特徴をよりよく説明するために、特定の部分の比率は誇張されている。
【0017】
本開示を通じて適用されるいくつかの定義をここで提示する。「結合された」という用語は、介在する構成要素を介して直接的または間接的に接続されたものとして定義され、必ずしも物理的な接続に限定されない。「通信可能に結合された」という用語は、介在する構成要素を介して直接的または間接的のいずれかで接続されたものとして定義され、接続は必ずしも物理的な接続に限定されるものではなく、そのように記載された構成要素間でのデータ転送に対応する接続である。前記接続は物体が永続的に接続されるか、または取り外し可能に接続されるようにできる。「外側」という用語は、物理的な物体の最も外側の境界を越える領域を指す。「軸方向に」という用語は、実質的に物体の軸の方向に沿っていることを意味する。特定されていない場合、軸方向という用語は、物体の長軸を指すような用語である。「含む(comprising)」、「含有する(including)」および「有する(having)」は、本開示では交換可能に使用される。「含む」、「含有する」および「有する」という用語は、そのように記載されたものを含むが、必ずしもこれらに限定されないことを意味する。本明細書で使用される「プロセッサ」または「プロセスコントローラ」は、入力に基づいて決定を行うことができ、行われた決定に応じて装置を作動させることができる電子回路である。作動させることができる装置には、ポンプ、ガスフローコントローラ、温度コントローラ、およびスターリング・コントローラ(stirring controllers)が含まれるが、これらに限定されない。プロセッサまたはプロセスコントローラは、とりわけ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および/または中央処理装置を含むことができる。単一のプロセッサを使用することができるが、本開示は複数のプロセッサを使用して実施することができる。
【0018】
時間依存性プロセス中に化学種の特性をモニターすることは、ポリマー、天然物、バイオテクノロジーおよび他の分野におけるプロセス制御にとって重要性を増している。本明細書に開示する技術によって対処されるいくつかの非限定的な例を以下に記述する。
【0019】
国の規制機関は、製品に使用できる残留モノマーまたは有機溶媒の量に対して厳しい制限を課している。これらには、ビスフェノール−A、アクリルアミド(「Am」)、多くのアクリレート、メタクリレート、エタクリレート、ヘキサン、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化溶媒、アクリル酸の様々な形態、塩化ビニルおよび他の類似の化学種が含まれるが、これらに限定されない。ポリマー反応中の残留モノマー含有量の決定は特に困難であり、現在多くのポリマー製造分野では手動で実施されている。そのような場合、プラントのオペレータまたは技術者は、通常反応器から試料を取り出し、残留モノマー濃度および他の反応特性(例えば、ポリマー生成物の分子量分布)の分析のために分析実験室に送る。次いで、残留物は種々の手段によって分析することができ、前記手段には高性能液体クロマトグラフィー(「HPLC」)、ガスクロマトグラフィー(「GC」)、およびGC−質量分析(GC−MS)などの組み合わせ法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(「MALDI−TOF」)、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
このような決定は大きな労働力を要し、回収された物質の測定と反応の実際の現状との間にかなりの遅延をもたらす。これらの測定値は、しばしば生成物の完成度を決定するために使用され、また場合によってはプロセス制御の目的でも使用される。通常、1時間以上の遅延が一般的である。上記で参照した分析手段とは異なり、ここに開示する技術は、いつ許容可能な残存レベルが生じるかの予測を継続的に提供する。
【0021】
ここに開示する技術が適用され得る別の例は、連続式反応器におけるグレード転換中にグレード転換が満足のいくレベルに達する時期の予測である。これは2つ以上の材料が混合され、特定の組成物が所望される場合、または最少量の他の材料と共に特定の材料を得る場合に生じ得る。これの一例は、連続ポリマー反応プロセスにおけるグレード転換である。一般に、製造業者は定常状態で一定のグレードを生成し、次に別のグレードへの変更を望む。この場合、新しい定常状態からの生成物の蓄積を開始する前に、生成物のグレード転換が許容レベルに達するのを待つ必要がある。第2の生成物があまりにも早く蓄積されると、第2の生成物は第1の生成物に混入する危険性があり、一方転換の許容可能なレベルを超えるいかなる遅延も生成物と時間の無駄である。別の例は2種以上の異なる生成物をブレンドして所望の特性を達成するブレンド応用である(例えば、高粘度特性を有する生成物Aおよび低粘度特性を有する生成物Bをブレンドして、2種の加えた生成物の平均に近い特性を有する生成物Cを製造する)。業界では、異なる生成物をブレンドすることは非常に一般的である。ここに開示する技術により、いつ重合反応中に許容可能なグレード転換または適切なブレンド・レベルが生じるかを連続的に予測することが可能になる。
【0022】
別の例は、ポリマーの重合後官能化であり、そこでは、最初に生成されたポリマーが骨格または足場として働き、それに対して改質が行われる。これらには、短鎖、中鎖または長鎖が最初のポリマーと共有結合するグラフト反応、スルホン化、アミノ化、酸および塩基加水分解、カルボキシル化、PEG化、およびさらに多くのこのようなプロセスが含まれるが、これらに限定されない。出発物質が、例えば多糖類またはタンパク質などの天然物(生体高分子)であり、合成化学基が前記生体高分子に付くかまたはその上に成長するハイブリッドポリマーも頻繁に生成される。グラフトを有するハイブリッド粒子は、しばしば、既製のグラフトが骨格ポリマーに付いているものと、グラフトがポリマーから成長しているものとに分類される。ハイブリッド粒子、例えば、シリカ、カーボンナノチューブ、二酸化チタン、およびそこにポリマーグラフトを付けることができ、そこからグラフトを成長させることができる他のナノ粒子およびミクロ粒子も同様である。
【0023】
ここに開示する技術は、化学工業に多くの利益をもたらす。これらの利点には、例えば、生産収率、製品品質、製造コスト、労働者の安全性、および製品安全性の改善が含まれる。
【0024】
ここに開示する技術は、溶液中の化学種の濃度または他の特性、例えば分子量に関連するデータの連続的な流れを必要とする。このような情報を含むことができるデータの例には、紫外線/可視吸収(UV)、屈折率(RI)、導電率、レーザー光散乱強度、動的光散乱、ミー散乱、蒸発光散乱、固有粘度、他の電磁気スペクトル領域(例えば、赤外線)における吸収、蛍光、偏光、線形二色性、円二色性、線形複屈折、円形複屈折、ラマン散乱、超音波、核磁気共鳴(NMR)などが含まれる。
【0025】
ここに開示する技術のために必要とされるタイプの連続的なデータを提供することができる例示的な機器は、重合反応の自動連続オンライン・モニタリング(ACOMP)機器である。例えば、F.H. Florenzano, R. Strelitzki, W.F. Reed, "Absolute, Online Monitoring of Polymerization Reactions", Macromolecules, 31, 7226-7238, 1998; and W. F. Reed, “Automatic Continuous Online Monitoring of Polymerization Reactions (ACOMP)”, Encyclopedia of Analytical Chemistry, Elsevier, October 2013, DOI: 10.1002/9780470027318.a9288参照。
【0026】
本明細書で使用する「連続的な」という用語は、時間依存性プロセス中のデータ点が、品質問題、安全性、規制上の懸念などにより製品に要求される要件に応じて、特定の特性を許容範囲内に収めるために必要な精度でなされる、化学種に関連する1つまたは複数の物理的または化学的特性の正確な測定および予測を可能にするのに十分な頻度で収集されることを意味する。通常、反応中に検出される信号当たり数百から数千のデータ点が取られる。
【0027】
さらに「実質的に連続する」という用語は、以下のように使用され、定義されてもよい:任意の2点間の信号における最大変化量がある限界を超えないというプロセスの期間にわたって十分な数のデータ点を集めることができれば、測定は実質的に連続している。非限定的な例として、2つの連続するデータ点の間で、例えばプロセスの測定のt=0から終了までのその全変動と比較して、光散乱信号の、1%の最大変化を超えてはならないと特定し得る。したがって、例えば、1000秒間続くプロセスに関して、光散乱変化全体の1%の変化が5秒のスケールで生じる場合には、5秒間の間隔を空けた少なくとも200の点を、この測定を実質的に連続させるために集める必要がある。光散乱全体の1%の変化が5分のスケールで起こる10日間続くプロセスに関して、それぞれ5分間隔で配置された、少なくとも2,880の点を10日間かけて収集する必要がある。時間的に等間隔に配置するのはしばしば最も簡単な方法であるが、サンプリング点はこのように配置する必要はない。
【0028】
本明細書において一般的な意味で使用する「化学種」という用語は、反応物、化学触媒または開始剤、酵素、酸、または反応を補助する他の試薬、生物反応において生成される有益なもしくは有毒な分子、または天然物の加工中に生成される有益もしくは有毒な分子を意味する。本明細書で使用する「反応物」という用語は、化学反応において別の物質と組み合わされたときに変化する物質、例えば、コポリマーの形成に使用されるモノマーとコモノマー、およびポリマー、コポリマー、ブロックコポリマーなどの官能基化のための化合物などを意味する。本明細書で使用する「試薬」という用語は、化学反応を引き起こすために、化学反応の速度における変化を引き起こすために、化学反応を支援するための媒体を提供するために、または化学反応が起こるかどうかを試験するために、システムに添加される化合物または混合物を意味する。例えば、試薬には、溶媒、ガス、クエンチング剤、触媒、検出標準物または参照化合物などが含まれるが、これらに限定されない。上記の定義により、反応物および試薬の両方が化学種を構成する。
【0029】
本明細書で使用する「モノマー」という用語は、ポリマーの合成において基本要素として使用される化学種の単一分子である。
【0030】
本明細書で使用する「反応」という用語は、溶液中のモノマー、ポリマーおよび/またはコロイドを含む、1つまたは複数の化学種を含む任意の数の時間依存性プロセスを指すことができる。反応は共有化学結合の形成または切断、物理的結合(例えば、ファンデルワールスまたは水素結合)の形成または切断、相における変化、巨大分子の配座状態における変化、酸化などを含み得る。前記時間依存性プロセスはまた、希釈、化学種の混合、異なる生成物グレードのブレンド、グラフトまたは他の複数部分付加プロセスによるポリマーの構築、重合反応中の生成物グレードの転換(すなわち、製造業者は連続式反応器中で「生成物A」を生成し、続いて前記連続式反応器中で「生成物B」への生成遷移を行う)などという形をとり得る。反応は均質相、不均質相またはバルク相で行うことができる。目的のポリマーおよびコポリマーの例には、スチレンなどのモノマーおよび類似のモノマー、例えばジビニルベンゼンおよびスチレンスルホネート、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体のいずれかのファミリー(アニオンおよびカチオン誘導体を含む)、ビニルピロリドン、アクリレート、メタクリレート、エタクリレート、塩化ビニル、オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、およびブタジエン、スルホン、アクリロニトリル、ビニルアルコールのファミリーの任意のモノマーを含むが、これらに限定されない。前記方法はまた、タンパク質、多糖類、核酸、およびこれらの組み合わせなどの天然物、ならびにバイオポリマーおよび合成ポリマーのグラフトを含むハイブリッド材料、例えば、これらに限定されないが、合成ポリマーにグラフトされたポリエチレングリコール、および合成ポリマーにグラフトされたアミノ酸またはタンパク質を含むプロセスに使用することができる。
【0031】
本明細書で定義されるような、化学反応の別の例は、非共有結合性ポリマーの領域にある。これらは温度、モノマーの濃度、溶媒のpH、イオン強度、界面活性剤、特定イオン、共有結合ポリマーおよびコロイドなどの分子の存在などの特定の条件下で「モノマー」から物理的、しばしば可逆的な非共有結合を形成するポリマーである。例えば、水素結合は非共有結合性ポリマーの物理的な非共有結合を作り出すためにしばしば用いられる。例えば、A.J. Wilson, “Non-covalent polymer assembly using arrays of hydrogen bonds, Soft Matter, 3 (2007) 409-425. Physical linkage by hydrophobic self-assembly is also possible. See, for example, J. Baram et al., “Hydrophobic self-assembly affords robust noncovalent polymer isomers, Angewandte Chemie, Int’l. Edition, 53 (2014) 4123-4126参照。
【0032】
さらに、本発明の技術は、ポリマーを含む反応よりも、小分子を含む反応に適用することができる。そのような反応には、ある有機種の他の種への転化が含まれる。例には、フリーデル・クラフツ・アシル化、ディールス・アルダー付加環化反応、アルドースのキリアニ・フィッシャー合成、ウルツ反応によるアルカン調製、アルケンのマルコフニコフおよび逆マルコフニコフ調製、およびヒュスゲン・アジド-アルキン付加環化が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
上述のタイプの検出器で化学種濃度を決定するための通常の手法は、検出器応答と測定される化学種の濃度との間の較正を確立することである。常に、このような濃度を確立するには、「ベースライン」または「ブランク」測定が必要である。このベースラインまたはブランクの測定は、通常、反応が起こる液体などの物質に対して、モニターすべき化学種の存在なしに行われる。次いで、溶液中の化学種の既知の濃度の測定、または既知の較正因子(例えば、UV吸光係数、屈折率増分、比導電率、および蛍光)の使用により、化学種の濃度を反応が実行されるときに計算することが可能になる。この直接的な「静的」方法は、反応中にこれらの信号に他の種が加わったり前記信号から引かれたりしない限り、適切に機能する。他の種が測定信号に寄与している場合、信号に寄与する1つまたは複数の選択された化学種のみを仮定して決定された濃度は誤ったものとなる。信号に寄与する他の種の独立した測定を行うことができれば、それらの影響を差し引いて研究中の前記種の真の濃度に戻すことができる。これの1つの例は、荷電した分子がモニターすべき化学種と同じUV吸光度を有する場合に見ることができる。独立した導電率測定では、帯電した種の濃度を決定して、その効果をUV吸光度から差し引くことができる。
【0034】
ここに提示する技術は、1つまたは複数の化学種がモノマー濃度決定のために測定される信号と干渉する状況に適しているが、これに限定されない。この干渉はそのような化学種の濃度が一定である場合、またはそのような化学種が反応中に濃度において変化する場合に起因し得る。例えば、測定を干渉し得る化学種には、所望の反応最終生成物および反応副生成物が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
提示する前記技術が使用され得る別の例は、ポリマーの改質中である。例えば、ポリマーは、加水分解、スルホン化、アミノ化、カルボキシル化、四級化、PEG化、および他の多くのプロセスなどの手段によって製造された後に官能化され得る。このような処理中に、例えば組成、正味電荷、分子量分布、固有粘度、溶解度、凝集するかまたは超分子構造を形成する傾向、および他の特性のポリマーの特性が変化し得る。そのようなプロセスの終点は周知ではない可能性があるが、ここに提示する技術により、プロセスの中間点および最終点について数学的外挿を行うために連続的または実質的に連続するモニタリング・データを使用できるようになる。例えば、電気的に中性のポリアクリルアミドを水酸化ナトリウムで加水分解して鎖に沿って電荷を帯びたカルボキシレートを形成することができる。これは、ポリマー鎖の膨潤およびそれに対応するポリマーの固有粘度の上昇をもたらす。固有粘度は、カルボキシル化の程度および支持媒体のイオン強度の両方に依存し、イオン強度が高いほど、所定のカルボキシル化度に対する固有粘度が低くなる。最終粘度がどうなるかは、先験的に、不明であるため、本発明の方法は固有粘度の連続的または実質的に連続する測定値を反応の将来に外挿することを可能にし、いつ固有粘度が所定の値、例えば所望の設定点値に達するか、反応が完了に達したときの固有粘度の最終値はどのようなものであるかを予測する。固有粘度は、多くの場合、ポリマー生成物の主な仕様であり、ここに開示する技術は、前記仕様に達することを保証することができる。前記方法は後者の場合の電気伝導率にも同様に適用することができる。例えば、溶液中のNaOHの遊離OH
−イオンは、ポリアクリルアミド上の荷電したカルボキシレート基に組み込まれると、電気泳動の移動度が低下する。しかしながら、遊離OH
−から結合OH
−への変化が電気泳動移動度を低下させるが、それを排除しないため、溶液導電率の最終的な低下はどれだけであるかは不明である。したがって、連続的または実質的に連続する導電率を終点まで外挿することができ、カルボキシル化の程度は、NaOHおよびポリアクリルアミドの初期濃度が分かっている各時点で決定することができる。
【0036】
同様に、荷電したコモノマーが非荷電モノマーとの共重合に関与する場合、電気泳動移動度も低下し、したがって溶液電気伝導率も、荷電したモノマーが溶液中の遊離モノマーからポリマー鎖中の結合に移行する場合、低下する。導電率の変化は、先験的に、未知であるが、提示する前記方法により、連続的または実質的に連続して導電率データの外挿が可能になり、帯電したモノマーの残存濃度が予測される。同時に独立した分光測定値からなど、他の1つまたは複数のコモノマー濃度の測定値と組み合わせて、あらゆる時点でのポリマー鎖の組成を追加的に決定することができる。
【0037】
図1は、時間依存性重合プロセス中に化学種の特性を制御する例示的な重合反応プロセス制御およびモニタリングシステム100の図である。制御システム100はACOMP反応器制御インターフェース101と、ACOMP分析制御インターフェース102とを含む。少なくとも1つの実施形態では、ACOMP反応器制御インターフェース101とACOMP分析制御インターフェース102は、コンピューティングデバイス(図示せず)に接続されるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)制御システム(図示せず)によって制御される。前記PLC制御システムは、例えば、Allen Bradley / Rockwell ControlLogix PLC control system(ロックウェル・オートメーション社(Rockwell Automation、Inc.)、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)であってもよい。前記コンピューティングデバイスは、デスクトップまたはラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット、または他の同様のデバイスであってもよい。前記コンピューティングデバイスは、制御システム100のプロセス制御変数および構成要素の視覚化および制御を可能にすることができる。
【0038】
ACOMP反応器制御インターフェース101は制御システム100の様々な構成要素を制御することができる。1つの構成要素は反応器110である。反応器110はプロセス供給材料、例えば、以下に記載する、モノマー、開始剤、触媒、クエンチャー、架橋剤または分岐剤、または連鎖移動剤の取付けを可能にする6ポート、ボルト締めの蓋(図示せず)を有する1.5Lm 316L容ステンレス鋼ジャケット付き反応器であってもよい。反応器110は回分式反応器、半回分式(または半連続式)反応器、または連続式反応器のいずれか1つであってもよい。前記反応器の内容物の温度を正確にモニターしかつ制御することができるように、水中ステンレス鋼温度プローブ(図示せず)を反応器蓋の上部を通して取り付けることができる。前記反応器蓋はミキサー140の取付けを可能にできる。ミキサー140は反応器110の外側に配置される。ミキサー140は、例えば、IKA Eurostar overhead mixer(IKA(登録商標)ワークス社(Works, Inc.)、米国ノースカロライナ州ウィルミントン)であってもよい。
【0039】
インペラ連結具(図示せず)をミキサー140に取り付けることができる。前記インペラ連結具は、例えばBuchi Glass Mag Driveインペラ連結具(BuchiAG、スイス連邦ウスター)であってもよい。前記インペラ連結具は反応器110の内部の4枚刃のステンレス鋼インペラに接続し、攪拌をもたらすことができる。
【0040】
フローコントローラ120、122は反応器110へのガスの添加のために使用することができる。フローコントローラ120、122を介して添加されるガスは、例えば、窒素、酸素または空気であってもよい。フローコントローラ120、122は、例えば、MKS Gas Flow Controllers(MKSインスツルメンツ社(MKS Instruments, Inc)、米国マサチューセッツ州アンドーバー)であってもよい。各フローコントローラ120,122は調整されたガスボンベと結合される入口(図示せず)を有してもよい。各フローコントローラ120、122は100ポンド/平方インチ(PSI)の入口圧力を有することを定格とすることができる。各フローコントローラ120、122は前記反応器蓋に接続される出口(図示せず)を有することができる。ガスはディップチューブ(図示せず)によって前記入口を通って反応器110に正確に分配することができる。ガスは約20sccm〜約1000sccmの範囲の速度で反応器110に分配することができる。
【0041】
ポンプ130、132、および134は反応器110への溶液または液体の添加に使用することができる。前記溶液または液体は、例えば、1つまたは複数のモノマー、1つまたは複数の開始剤、触媒、クエンチャー、架橋剤または分岐剤、連鎖移動剤、溶媒、コロイド懸濁液用の流体、または重合反応プロセスに使用するための任意の他の適切な溶液もしくは液体であってもよい。反応器110への他の分配手段、例えば固体または粉末、例えば塩に注加するための装置を使用することも可能である。ポンプ130、132、および134は、例えば、フルイド・メータリング社(Fluid Metering Inc.)(米国ニューヨーク州ナッソー)によって提供される往復ピストンポンプであってもよい。ポンプ130、132、および134は反応器110に供給される溶液または液体の体積流量を正確に制御することを可能にすることができる。前記体積流量は、例えば、約0.1ml/分〜約20ml/分の速度であってもよい。ポンプ130、132、および134は反応器110から、内容物、例えば、試薬または他の化学成分または重合反応プロセスの生成物を抽出するためにも使用できるように、可逆的であってもよい。
【0042】
反応器110およびそこに含まれる内容物は温度コントローラ138からの加熱または冷却に共されてもよい。温度コントローラ138はジャケット(図示せず)を通して反応器110およびそこに含まれる内容物に熱を伝達できる。前記ジャケットは反応器110の1つまたは複数の外面に永久的にまたは可逆的に接続することができる。前記ジャケットは温度制御された循環浴(図示せず)と連結することができる。上述したように、前記水中温度プローブは、反応器110およびその中の内容物の所望の温度を正確に維持するフィードバック・ループを完成させるために使用することができる。前記反応器ジャケットの入口温度および出口温度は、それぞれ熱量測定の伝熱計算に使用する熱電対(図示せず)によってモニターすることができる。
【0043】
反応器110はまた、リサイクルポンプ150と連結される。リサイクルポンプ150はドレーンポート(図示せず)およびボールバルブ(図示せず)を介して反応器110の底部に連結することができる。反応器の内容物はリサイクルポンプ150を介して連続的に抽出され、反応器110の頂部に再循環されて戻されてもよい。前記反応器の内容物を、例えば、1/6”ODステンレス鋼管を含む再循環ライン(図示せず)を通して圧送することができる。前記反応器の内容物を20ml/分の速度で圧送することができる。あるいは、前記反応器の内容物を、例えば5ml/分〜50ml/分、あるいは10ml/分〜40ml/分、あるいは15ml/分〜30ml/分の範囲の速度で送圧することができる。前記リサイクルラインに沿った抽出ポイントを、ACOMPシステム・インターフェース102による調整および分析測定のための前記反応器の内容物の小さな流れをサンプリングするために使用することができる。リサイクルポンプ150は内接歯車ポンプ、例えば、Zenith Pump(コールフォックス社(Colfax Corporation)、米国メリーランド州アナポリスジャンクション)であってもよい。前記内接歯車ポンプは、例えば、1回転あたり0.1ccの変位を有していてもよい。リサイクルポンプ150は硬化した工具鋼から製造され、1〜2Mセンチポアズの粘度範囲を定格とすることができる。
【0044】
リサイクルポンプ150を介してACOMPシステム・インターフェース102を反応器制御インターフェース101に接続する抽出ポンプ160は、例えば、Fluid Metering Inc.(米国ニューヨーク州シオセット)によって提供されるような往復ピストンポンプであっってもよい。抽出ポンプ160の体積流量は、例えば、約0.2ml/分〜約2ml/分の流量であってもよい。抽出ポンプ160は正逆両方向に圧送することができる。
【0045】
抽出された前記反応器の内容物は、溶媒源168からのクエンチング溶媒の流れと組み合わされる。前記の抽出された反応器の内容物および溶媒は、例えば、10/1の比率で組み合わせることができる。前記クエンチング溶媒のこの目的は、重合反応プロセスの伝播を停止させることである。混合および希釈プロセスは抽出された反応器の内容物の濃度を低下させて、単一分子固有の特性のより正確な測定を可能にする。一旦反応器の内容物はクエンチング溶剤と組み合わされる。組み合わせたものは不活性プロピレン配管(図示せず)によって動的混合チャンバ170に移動することができる。混合チャンバ170は反応器の内容物および溶媒の2つの連続流を能動的にかき混ぜ、そして混ぜ合わせて1つの均質混合物にするために使用することができる。混合チャンバ170の容積測定量および攪拌/かき混ぜ速度は、重合反応プロセスまたは対応する特性に従って事前に決定されかつカスタマイズされてもよい。時折、非常に高い反応器濃度の場合には、追加の混合またはさらなる希釈が必要となる可能性がある。そのような場合、追加の混合チャンバ(図示せず)および、二次溶媒源(図示せず)からの、二次溶媒を使用して、単一分子測定のための反応器の内容物の濃度をさらに低下させることができる。
【0046】
前記均質溶液は混合チャンバ170を出た後、濾過システム172を通って、前記反応器の内容物を伴う反応器110から除去されている可能性がある任意の粒子状物質またはゲル状物質を除去する。1つの非限定的な例において、濾過システム172は40μmのステンレス鋼メッシュフィルターである。濾過システム172のタイプは決して限定されず、特定の重合反応プロセスまたはその特性に応じて変えることができる。
【0047】
濾過された前記均質溶液は、その後、1つまたは複数のインライン分析検出器174内に流すことができる。1つまたは複数のインライン分析検出器は「検出器列」と呼ぶことができる。一例では、前記検出器列はUV/可視吸収分光計および温度制御された単一毛細管粘度計を含むことができる。前記UV/可視吸収分光計は最大4つの独立した波長を連続的にモニターすることができ、例えば、ギルソン社(Gilson, Inc.)(米国ウィスコンシン州ミドルトン)のUV/可視吸収分光計など、50ml/分までの流速に対応できる0.2cmの経路長のセルを有することができる。前記均質溶液のUV吸収は、例えば、前記反応器の内容物中のモノマーの濃度と、重合中にモノマーが消費されるときに生成されるポリマーの濃度とに直接関連付けることができる。前記単一毛細管粘度計は、溶液の安定した流れの粘度の増加または減少に起因して、毛管を横切る差圧の変化をモニターするように設計される。前記UV/可視検出器から決定された濃度と共に粘度測定圧力のこの尺度は、生成されているポリマーの固有粘度/還元粘度の絶対的尺度を可能にする。この単一毛細管粘度計はAdvanced Polymer Monitoring Technologies Inc.によって開発され、提供された。
【0048】
ACOMP分析制御インターフェース102によって処理される分析手順には、モノマー濃度、ポリマー濃度、全プロセス転化率、および固有/還元粘度などのプロセス特性を決定するための未処理UV/可視吸収および粘度圧力の解釈が含まれる。この解釈の自動化された方法は、Automation and Control softwareとのインターフェースを介して手動操作トリガに応答するオンボード分析パッケージ176によって処理される。これらのトリガは分析ソフトウェアに、重合反応プロセスにおける各ステップまたは相に適切な鍵解析アルゴリズムを実行するよう指示する。
【0049】
プロセスコントローラ180はACOMP反応器制御インターフェース101およびACOMP分析制御インターフェース102と連結して、ユーザがACOMP反応器制御インターフェース101と情報をやりとりして、重合反応の伝播およびACOMP分析制御インターフェース102から得られた観察データに直接影響を及ぼす操作を実行する手段を提供することができる。
【0050】
以下の実施形態は、前記技術の原理のみの例示であり、限定することを意味するものではない。アクリルアミドとコモノマー(例えば、スチレンスルホナート、ビニルピロリドン、アクリル酸、または任意の他の好適なコモノマー)との共重合反応を検討する。前記反応がフリーラジカル、制御されたラジカル、または他のタイプのものであるかどうか、またはそれが均質溶液中で起こるのか、逆エマルションまたは他の不均質相で起こるのかは問題ではない。
【0051】
ここでの前記技術の適用は、百万分率(ppm)スケールで特定の濃度まで残留アクリルアミド・モノマーを追跡することである。このような残留化学検出をppmスケールで達成する手段として、UV吸光度を選択することができる。連続的な方法で残渣を測定する他の手段には、とりわけ、赤外線領域、ラマン散乱、蛍光、屈折率測定、および導電率などの電磁放射スペクトルの他の部分における吸光度測定が含まれる。
【0052】
残留ppm決定に対する動力学的アプローチは、バッチごとに、または「UV自己較正」を使用することにより変わり得る吸光係数に関して各成分のUV信号を解釈するために頼らないという利点を有する。前記UV検出器の「吸収」読み出しは、実際には、分子電子吸収とUV光散乱の両方の組み合わせである。後者は特に変動する傾向がある。例えば、前記検出器列を通って流れる希釈溶液中のコポリマーによる任意の所定の波長でのUV光散乱は、コポリマー濃度だけでなく、その分子量、多分散性、コモノマー組成および水性媒体のイオン強度にも依存する。また、ミクロゲルや他の微粒子が存在する場合には、これらによって生じる余分な散乱も懸念され得る。さらに、コモノマー、界面活性剤、開始剤、コポリマー、油滴などの様々な化学成分の吸光係数(吸収効果および散乱効果の両方からなる)は、生成物の品質のばらつきに起因して、使用されるUV検出器の正確度と精度の限界内でフロムランツーラン(from run-to-run)で同一材料に関して変化し得る。
【0053】
吸光度および散乱の両方を含む、任意の波長λにおけるUV「吸光度」、A(λ)は、以下の式に従って、入射光強度I
0(λ)から吸収媒体を通過して、減少した強度、I(λ)によって測定され、
【数1】
式中、
【数2】
ここで、和はN個の異なる吸収/散乱種に関するものであり、LはUVセルの経路長であり、ε
i(λ)は波長λにおける種iの吸光係数(吸光度と散乱の和)であり、c
i(t)は時間依存性である種iの濃度である。例えば、重合反応の場合、i=1は、時間で減少する、モノマー種であり、i=2は、時間で増加する、ポリマー種であり、i=3は、一定であるかまたは時間でわずかに変化する可能性がある開始剤または触媒の濃度、などであり得る。
【0054】
重合反応における前記種の時間依存性のために、種々の成分の吸光係数を用いる「静的」アプローチよりも動力学的アプローチが望ましい。2つの動力学的アプローチが本明細書に提示される。
【0055】
1つの動力学的アプローチは、アクリルアミド(Am)転化に関してACOMPシステムから得ることができる連続信号を利用し、一次または経験的形態などの機能的適合を使用して、残存Amの目標濃度または量、または「ppm設定点」に達する時点を予測できる。前記データの継続的な利用可能性のために、推定される接近時間を、反応が目標に近づくにつれて、連続的に更新され、より精確に計算することができる。前記技術は適合の形態に制限されない。任意の特定の応用のデータに合う、分析、数値、スプライン、内挿、平滑化、変形適合、または他の適切な適合を使用することができる。
【0056】
この例は、任意の所定の波長における時間の関数ppm(t)としての前記反応器中のAmの濃度(ppm)が以下のように表されるように、一次速度式を使用する:
【数3】
ここで、t
r1は適合が始まる第1の基準時間、t
r2は適合が終了する第2の基準時間、tはppm設定点に向かってさらに超えるまでの時間投影を含む、t>t
r1の任意の時間である。Dは前記反応器から前記UV検出器への希釈係数であり、lは前記UVセルの経路長であり、ε(λ)はAmの吸光係数であり、P(λ,t
r1,t
r2)は前記反応の投影終了でのUV信号に対するプラトー値である。例えば、t
r1からt
r2への一次適合は以下のように表される。
【数4】
これは、時間間隔t
r1〜t
r2の間に3つのパラメータを当てはめることを含み、αは適合速度定数であり、P(λ,t
r1,t
r2)は適合プラトーであり、A(λ,t
r1,t
r2)はt=t
r1での適合吸光度である。
【0057】
このアプローチは、P(λ,t
r1,t
r2)が前記反応の終了時に前記反応器中の全ての残存する変化しない化学物質からのUV吸収を表すとの仮定に基づく。それが一定の値であるという事実のため、完全な二重結合を有する全てのAmが使用された場合の正味のUV吸収が示される。この基本的な前提は、残留化学種を決定するための標準的な分離方法である高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて確認されており、最終的な一致が見出された。すなわち、前記動力学的方法によって予測される濃度は、表1に見られるように、従来のHPLC方法と十分一致する。表1は、それぞれACOMPシステムおよびHPLC装置を用いてモニターされた複数のAm重合実験の結果を示す。時間(秒)は、アクリルアミド重合反応の開始からAmの500ppmレベルに達するまでの時間である。ACOMPの欄は上記の動力学的方法を用いた予測の結果を示し、第2の欄は間隔をあけて手動で回収された反応アリコートについての従来のHPLCの結果を示す。
【表1】
【0058】
図2は、少量のアクリル酸を用いたアクリルアミド重合からのACOMPデータのグラフ表示である。ACOMP希釈/調整部から出る検出器流中の組み合わされたモノマーおよびポリマーの濃度は8.3×10
−4g/cm
3であった。2つのUV波長に加えて、前記希釈溶液からの未加工の粘度信号も示され、そこから前記ポリマーの還元粘度が決定される。VISC信号は前記ポリマーの固有粘度に対応する連続信号である。ここでの目的は、ppmレベルに達する時点を予測し、そして最新のppmレベルを知らせることの両方において、モノマーppmを低い値まで追跡することである。
【0059】
UV検出器#1、UV1は0.01cmの経路長セルを有し、230nmの波長をモニターするように設定される。UV検出器#3、UV3は1.00cmセルを有し、250nmの波長をモニターするように設定される。あるいは、適切な波長が選択される場合には、例えば0.2cmの間の経路長を有する1つのUV検出器を使用することができる。いくつかのUV分光計は、高レベルの吸収まで線状を維持するため、コモノマー分離分析が不要な場合には、単一の分光計、さらには単一の波長の使用を促進することもできる。式2の吸光度Aは経路長Lに比例するため、UV1と比べてUV3における経路長を100倍に変化させると、信号が100倍増加する。したがって、この特定の場合には、UV1は約98%まで重合の大部分を測定することができるが、UV3は前記反応が約62%完了するまで飽和を維持し、その後、脱飽和して強い信号を発する。同一の検出器上に2つの異なる波長、それらの1つは転化の大部分の間に飽和より低くなり、他方は転化の後期で脱飽和する、を使用することが可能であるため、異なる経路長を有する2つのUV検出器を使用することは限定されない。十分に低いノイズを有する検出器(例えばGE UV, Knauer)において単一の波長を使用することもできるため、2つの波長の使用も限定されない。したがって、使用には十分に安定した低ノイズ信号の単一波長UV吸光度計で十分であり得る。
【0060】
図3は、通常の静的方法を用いて低レベルの残留モノマーを決定しようとする際の本質的な問題を説明するグラフ表示である。前記反応の終了時のUV1およびUV3の両方のベースラインは、前記反応の開始時のそれらの初期溶媒レベルをはるかに上回る。実際、前記静的方法(およびUV1については0.0024g/cm
3−ボルト、UV3については3.1x10
−4g/cm
3−ボルトの較正係数)を使用すると、UV1によって前記反応器に9,120ppmが存在し、UV3によって前記反応器に4,560ppmが存在する誤った結果が得られることになる。
【0061】
これは、実際のレベルをはるかに上回り、HPLCにより照合して、ppm〜500であることが確認された。これは、前記反応器中および前記希釈ACOMP流中に存在する前記ポリマーおよび他の種による吸収および散乱に起因する。
【0062】
図4は、予測が行われた時間に対して、y軸上の、いくつものppm設定点までの予測時間を説明するグラフ表示である。結果は本発明者によって書かれたコンピュータプログラムからのものである。外挿は連続油相中の逆エマルジョンでのアクリルアミドのフリーラジカル重合から得られたACOMPデータを使用する。振幅、a、レート、α、およびベースラインbを伴う単一の減衰指数関数が3つの適合変数であった。前記指数関数は先にも示した、方程式(4)に従う形式である:
【数5】
ここで、前記適合は間隔t
r1〜t
r2にわたって生じ、A(λ,t
r1,t
r2)は変化するモノマー濃度のみに起因するt
r1での吸光度である。P(λ,t
r1,t
r2)の適合値は、各新規適合時に他の種に起因するP(λ,t
r1,t
r2)の変化を考慮する;この場合、P(λ,t
r1,t
r2)は前記反応中に生成されたアクリルアミド・ポリマーからの散乱の増加に起因して時間的に変化する。適合間隔はt
r1からt
r2までであり、ここで、t
r2は計算が繰り返された最後の時刻である。前記t
r1は連続して適合するときに変化するか、または前記間隔にわたって適合の質に依存して、一定を維持することができる。後者は
図4に適用された。所望のA、したがって任意の所望のppm設定点が生じる時間(t)は、時間(t)について上記の方程式を解くことによって見出すことができる。負の値は設定点が通過し、前記反応が設定点よりも低い濃度であることを意味する。
【0063】
適合に使用することができる別の形態は、限定ではなく、ガウス(または正規)関数の使用である。この関数は、i)反応器への開始剤の連続供給がある場合、ii)前記反応中の温度上昇、またはそれらの組合せ、およびフリーラジカル濃度が上昇する他の効果などのいくつかの条件下で反応動力学において生じ得る。指数関数の指数によって記載される別の場合は、前記フリーラジカル濃度が前記反応中に減少する場合、例えば、過酸化物または過硫酸塩などの熱開始剤が前記反応中に著しく分解する回分式反応などにおいて生じる。
【0064】
本明細書中で使用する適合手順の別の使用は、反応が予想通りに起こった場合に、前記反応が十分に定義された分析関数に従う場合である。例えば、準定常状態近似におけるフリーラジカル反応の場合、開始剤はゆっくりと分解し、モノマーの一次(指数関数的)転化が起こる。上述したように、フリーラジカル反応への開始剤の一定の流れは、ガウス(または正規)関数をもたらす。Dotson, N.A.; Galvan, R.; Laurence, R.L. and Tirrel, M., Polymerization Process Modeling 1996, VCH Pub., New York参照。
【0065】
ここで説明するppm問題の場合、前記プロセスコントローラは、任意の所定の時間においてppm設定点に到達するのにかかる時間を予測し、さらに前記設定点に達したときに信号を送るための両方に必要な予測計算を行うことができる。この設定点に到達し、前記プロセスコントローラがこの事象を信号で通知すると、前記プロセスコントローラによっていくつかの動作を行うことが可能になる。例えば、前記ppm設定点に達すると、前記プロセスコントローラは前記反応器の温度を変更して冷却し、次いで内容物をオンサイト・タンク、または鉄道タンクカーなどの貯蔵容器に圧送することができる。他の場合には、前記プロセスコントローラは前記反応器への、酸素または他の(複数の)作用物質などのクエンチング剤の添加を制御でき、後に冷却および前記反応器からの生成物の除去が起こる。他の場合には、前記反応器をクエンチングするかまたは冷却するかのいずれを要しない可能性があり、前記プロセスコントローラは前記設定点に達すると直ちに生成物の除去を制御することができる。他の場合には、前記プロセスコントローラは、例えば、架橋剤または分岐剤、および/または同一もしくは異なるタイプの他のモノマーの添加を制御することによって、同一反応器内で反応の二次段階を開始することができ、またはポリマー改質、例えば加水分解またはスルホン化が開始されてもよい。場合によっては、前記プロセスコントローラは1つまたは複数の後続の反応のために前記反応器の生成物を異なる反応器に圧送または移送することを開始することができる。特定の一連の動作が何であっても、前記プロセスコントローラは前記一連の動作が開始されるべきときに信号を送り、前記一連は、反応器オペレータまたは他の人員によって手動で、または、加熱および冷却サイクルを作動し、前記反応器から内容物を導入および除去するためのポンプを作動させることなどを備えることができる、前記プロセスコントローラ自体によって自動的に実行されてもよい。
【0066】
対照的に、本発明の技術なしに、反応器から試料を手作業で採取し、品質管理研究室に持ち込み、次いでppmのモノマーに関して高圧液体クロマトグラフィー分析(HPLC)などの分析を行うことが工業生産において標準的に行われている。この手動サンプリングは非常に非効率的で時間がかかり、試料と分析結果を得るには通常45分〜2時間以上かかる。連続的かつ自動的に操作する本発明の技術は、断続的で非能率的な手動サンプリングが完全に必要なくなり、ほぼリアルタイムでppm設定点信号を出力する。「ほぼリアルタイム」では、連続反応器試料の自動抽出、希釈および調整と連続的な分析測定との間に遅延があることを意味する。この遅延は通常30秒〜5分の間であり、手動サンプリングサイクルよりもはるかに短く、要する労働力はより少なく、労働者をしばしば危険な反応器環境に曝す必要性を排除する。
【0067】
上記のppm設定点が使用される例は限定的ではない。ppm設定点を満たすことは多くのポリマー製造操作において一般的であり、それらの操作はスチレン系、アクリレート、メタクリレート、エタクリレート、カーボネート、スルホン、オレフィン、塩化ビニル、ビニルアルコール、フッ素化モノマー、イミド、ウレタン、および多くの他のものを含むが、これらに限定されない。
【0068】
設定点としてのppmの使用も限定されない。いくつかのプロセスでは、例えば、時間依存性プロセスで製造されたポリマー生成物の特定の分子量が設定点である。ほぼリアルタイムで反応器の内容物を連続的に抽出し、希釈し、調整しかつ分析する装置は時間における分子量曲線の予測−前記設定点指標として役立つ、分子量の平均、例えば光散乱からの重量平均分子量、もしくは粘度計からの粘度を平均化した分子量、または完全な分子量分布のいずれかを提供できる。分子量設定点に到達すると、前記プロセスコントローラによって計算されかつ信号化されるように、次いで前記プロセスコントローラによって特定の動作を行うことが可能になる。これらには、反応を停止させること、内容物を収集すること、または同一反応器または別の反応器のいずれかで後続の反応段階に進むことが含まれるが、これらに限定されない。1つまたは複数存在してもよく、同一または1つまたは複数の別個の反応器中で起こってもよい後続の反応段階には、ブロックコポリマーの後続のブロックを生成すること、異なる触媒、開始剤、またはより作用物質を使用してより高い分子量、より低い分子量またはマルチモーダル分子量分布、架橋、または分岐化、または官能化を達成することが含まれるが、これらに限定されない。官能化には、酸または塩基による加水分解、酵素処理、スルホン化、アミノ化、カルボキシル化、ヒドロキシル化、PEG化などが含まれ得るが、これらに限定されない。本発明の技術は、これらの後続の段階をモニターして、それぞれの設定点に達する時期を決定し、これらを信号で知らせることができ、それらの信号により、手動または前記プロセスコントローラ自体によってのいずれかで、任意の一連の動作を実行することができる。
【0069】
所望の分子量の増加または減少、または二次段階における官能化をモニターする場合に加えて、本発明の技術は、望ましくない生成物および反応のモニタリングも可能にする。非限定的な例として、前段階後の化学的処理は、ポリマー上の官能基を獲得するなどの特性における両方の有益な増加を導くが、同時にポリマー分子量または固有もしくは還元粘度の損失などの望ましくない影響をもたらす可能性がある。前記プロセスコントローラは有益な効果と有害な効果の両方をモニターし、有害な効果とのバランスを保って、所望の量の有益な効果が達成されたときに信号を送ることができる。
【0070】
残留ppmおよび分子量の使用は設定点に関して限定的ではない。他の設定点は、所定のレベルのモノマー転化率、還元粘度または固有粘度、コポリマーの組成、多分散性および他の特性に達することを含むことができる。これらの設定点に達することは、前記反応を停止させること、生成物を収集すること、または後続の段階に進むことにつながる可能性がある。全ての場合において、前記プロセスコントローラは、連続して提供されるモニタリング・データからの計算によって、様々な設定点に達したときに信号を送ることができ、その後の一連の動作を前記プロセスコントローラによって手動または自動で実行することができる。
【0071】
上記の例は合成ポリマーを中心としているが、本発明の技術を天然物由来の生成物の製造に使用することができる。ガラクトマンナン、グアーおよびアラビアガムなどのガム、アルギン酸塩、カラギーナン、キサンタン、スクレログルカン(schleroglucans)および多くのその他などの多糖類を化学的または酵素的のいずれかで誘導体化することは一般的に行われている。これらの誘導体化は、所望の粘度、溶解度、ナノ構造およびミクロ構造を形成する能力、分子量、および合成ポリマーなどの他の材料とのハイブリダイゼーションなどの所望の最終生成物特性を有する出発材料を提供するために行われる。これらの場合、前記プロセスコントローラは、所望の特性をモニターし、それらの時間経過を計算し、所望の特性に達すると信号を送ることができる。前記の所望の特性に達すると、前記プロセスコントローラによって信号が送られ、反応停止および貯蔵などの所望の一連の動作、およびさらなる反応または処理段階が手動でまたは前記プロセスコントローラによって自動で実行され得る。
【0072】
上述のように、通常「コポリマー」と呼ばれる、2つ以上のコモノマーからなるポリマーがしばしば重要である。そのような場合、2つ以上のコモノマーの濃度(転化に直接関係する)を分離し、1つ以上のコモノマーに動力学的方法を適用することが重要であり得る。複数のモノマーの転化を分離するために、2つ以上の波長を使用する方法が提示されている(例えば、A.M. Alb, P. Enohnyaket, M. Drenski, A. Head, A.W. Reed, W.F. Reed, “Online monitoring of copolymerization using comonomers of similar spectral characteristics”, Macromolecules, 39, 5705-5713, 2006参照)。ここに開示する技術は、各モノマー種の残留モノマー濃度の動力学的決定のために、動力学的状況下での、コモノマー濃度に関するこれらの複数の波長決定の1つまたは複数の使用を可能にする。
【0073】
後者の場合、反応中にモノマー濃度を分離するために複数の波長を使用することに制約されない。非限定的な例として、単一のUV波長と併せた屈折計を使用して重合反応中にスチレンおよびメチルメタクリレートの濃度を分離できることが以前に実証されている(A. Giz, A. Oncul Koc, H. Giz, A.M. Alb, W.F. Reed "Online monitoring of reactivity ratios, composition, sequence length, and molecular weight distributions during free radical copolymerization", Macromolecules, 35, 6557-6571, 2002)。この場合、本発明の動力学的方法を使用して、いずれかまたは両方のモノマーの残留モノマー濃度をモニターすることができる。
【0074】
コモノマーの1つが帯電している場合(例えば、アクリル酸、四級化アクリルアミド、スチレンスルホナートなど)、コモノマー濃度を得るためのさらに別の手段は、1つまたは複数のUV波長および導電率モニターの使用を含む。導電率は、帯電したコモノマーのポリマーへの転化にのみ応答するため、本発明の動力学的手法を使用して、導電性信号から残留電荷コモノマー濃度をモニターすることができるが、1つまたは複数のUV波長を使用して1つまたは複数の非荷電コモノマーの残留モノマーに動力学的に追跡し得る。例えば、アクリルアミド(電気的に中性)およびスチレンスルホナート(負に帯電した)の共重合をモニターするためにUVおよび導電率の使用が報告されている(A.M. Alb, A. Paril, H. Catalgil-Giz, A. Giz, W. F. Reed,
“Evolution of composition, molar mass, and conductivity during the free radical copolymerization of polyelectrolytes”, J. Phys. Chem. B, 111, 8560-8566, 2007)。
【0075】
別の例は、制御されたラジカル重合(ROMP、RAFT、ATRP、NMP、アニオン性、カチオン性およびその他の種類の)などの「リビング」タイプの反応である。「リビング」重合反応では、前記ポリマーのモル質量は転化と共に直線的に増加する。一次転化を伴う同じタイプの反応において、前記ポリマーのモル質量は増加する放物線軌道をたどる。
【0076】
特定のタイプの反応に対応することが分かっている分析関数または数値関数については、これらは重合反応を制御するためのガイドを提供することができる。すなわち、反応の時間依存的なシグネチャ−例えば、モノマーの転化率、モル質量、還元粘度、多分散性、キラリティ、光学活性、pH、または導電率が前記反応が進むべき方法に関連する場合は、モニターされた前記シグネチャを、前記反応が予想されるシグネチャに確実に従うように行われる反応制御手順における予想されるシグネチャおよび変化と比較できる。このようなプロセス制御操作は、フィードバック・ループなどの分析制御アクチュエータとプロセス制御アクチュエータとの間のアクティブなインターフェースを使用して手動または自動のいずれかで実行することができる。
【0077】
ここに記載する技術は均質相、バルク相、または不均質相のフリーラジカル反応において使用することができる。ここに記載する技術は均質相、バルク相、または不均質相の制御ラジカル反応においても使用することができる。さらに、ここに記載する技術は均質相、バルク相、または不均質相のステップ成長反応において使用することができる。前記反応は回分式反応、半回分式反応、または連続式反応であってもよい。
【0078】
図5は、500ppmのAm設定点に達する時点を決定するために動力的方法を使用する別のアクリルアミド重合反応を説明するグラフ表示である。
図5は、使用した時間制限、t
r1およびt
r2、ならびに外挿されたAm濃度を示す。
【0079】
この動力学的アプローチによって決定され得るppm設定点には基本的な下限はない。前記適合が外挿され得る時間に対する上限がないため、例えば、
図4は、15ppmの設定点までの予測時間を示すが、1ppm未満の濃度、さらには1ppb(10億分の1)以下の濃度までこれを拡張できない理由はない。非常に低いppmもしくはppb濃度、またはそれより低い濃度までのそのような外挿は、ヒトに使用される化学製品などのストリンジェントに規制された製品や、モノマーおよび他の残留物がppb以下の濃度範囲になければならない、光学系やエレクトロニクスなどの厳しい応用に使用される高分子製品などに有用であり得る。
【0080】
連続式反応器中のあるタイプのポリマーから別のタイプのポリマーへのグレード転換を検討する。
図6は、オフライン還元粘度測定値およびまたオフライン・ムーニー粘度測定値、合成ゴム製造産業で使用される業界標準のレオロジー測定値を使用して、離散点マーキング・グレード転換を説明するグラフ表示である。オンラインデータが適切な検出器、例えば、粘度計から利用可能であれば、新しいグレードにリアルタイムで到達する時期を予測するためにここに開示する技術を適用することが可能である。先の例と同様の方法を用いることができる。前記データは関数、例えばシグモイド関数に適合される可能性があり、次いでグレードの前記転換が十分に完了して生成物の収集を開始する時期が予測され得る。
【0081】
図1の装置の実施形態のプロセスコントローラは、これらに限定されないが、モノマー、触媒、開始剤、架橋剤、分岐剤、クエンチャー、連鎖移動剤、溶媒、気体、および粉末またはペレットなどの固体などの、前記反応器への反応物および試薬の温度、攪拌、流れなどのプロセス条件を変更することによって前記反応を制御することを可能にする。
図7は、転化の時間経過に従うように反応条件を変更するための前記プロセスコントローラの使用例を示す。この場合、まずアクリルアミドのフリーラジカル重合を、
図7に示すように、固定開始剤濃度で、温度を上昇させることによって行った。第2のT=45℃での等温反応では、前記反応器中への開始剤の流れを手動で能動的に制御することによって、第1の反応と同じ軌道に従うように、時間に対する分別モノマー転化を行った。これは「転化同形反応対」と呼ばれ、2つの反応の転化軌道は同じであるが、異なるプロセス条件によって達成されることを意味する。本発明の技術は、このタイプの制御を予測関数と組み合わせて、前記反応を最終転化または残留モノマーなどの所望の設定点に導き、かつ前記設定点に到着するまでの時間を予測することの両方を可能にする。
【0082】
同様に、
図8は、分子量同形反応対を示し、そこでの第1の反応のMw対時間軌道は
図7における温度反応を変更することに由来した。またT=45℃で等温であった、
図8の第2の対の反応において、Mw対時間が温度を変更した第1の反応と同じ軌道に従うように前記開始剤を能動的に手動で制御した。Mw開始剤制御および温度制御データを囲むデータ点の明るい灰色の帯状部は、10%のエラーバーである。この能動的な制御能力は、手動で実行されるか、または前記プロセスコントローラによって自動的に実行されるかに関わらず、本発明の予測技術と組み合わせて、前記プロセスコントローラが、例えば10%のエラーバー内などの、所望の軌道に沿って前記反応を導き、かつMw、または分子量分布などの所定の設定点にいつ到達するかを予測することの両方を可能にする。開始剤に対するモノマーの比は転化率およびMwに対して異なる効果を有するため、
図7および
図8の第2の反応において開始剤が添加された速度および量は異なった。
【0083】
前記開示の記述には以下のものが含まれる:
記述1:方法であって、反応器内に、時間依存性プロセス中にモニターされる1つまたは複数の化学種を導入し、1つまたは複数の検出器を使用して、前記1つまたは複数の化学種に対する1つまたは複数の特性変化を時間間隔にわたって検出し、前記1つまたは複数の検出器から、前記1つまたは複数の化学種に対する前記1つまたは複数の特性変化に関連するデータの連続的なストリームを前記時間間隔中に受信し、プロセスコントローラを使用して、前記データの連続的なストリームを数学関数に当てはめて、将来の時点における前記1つまたは複数の化学種の1つまたは複数の特性を予測し、そして前記プロセスコントローラによって、前記将来の時点における1つまたは複数の特性の予測に基づいて1つまたは複数のプロセス決定を行うことを含む方法。
【0084】
記述2:前記1つまたは複数のプロセス決定は前記時間依存性プロセスの終了、前記反応器の内容物の回収、同一反応器または異なる反応器における後続の反応または処理段階への進行のいずれか1つを含む、記述1に従った方法。
【0085】
記述3:前記時間依存性プロセスは化学反応である、記述1〜2のいずれかに1つに従った方法。
【0086】
記述4:前記時間依存性プロセスは重合反応である、記述1〜3のいずれかに1つに従った方法。
【0087】
記述5:前記方法はさらに、前記データの連続的なストリームを関数に当てはめて、前記重合反応の第1の重合反応生成物と第2の重合反応生成物との間のグレード転換を予測することを含み、前記1つまたは複数の検出器の1つは粘度計であり、そして予測された前記グレード転換は前記時間間隔中に前記粘度計によって検出された還元粘度測定値に由来する、記述4に従った方法。
【0088】
記述6:前記予測されたグレード転換は還元粘度測定値に由来しかつオフライン・ムーニー粘度測定値に相関する、記述5に従った方法。
【0089】
記述7:前記1つまたは複数の特性変化は前記重合反応中に形成されるポリマー生成物の粘度における変化を含む、記述4〜6のいずれか1つに従った方法。
【0090】
記述8:前記1つまたは複数の特性変化は前記重合反応中に形成されるポリマー生成物の分子量における変化を含む、記述4〜7のいずれか1つに従った方法。
【0091】
記述9:前記1つまたは複数の化学種は前記化学反応の1つまたは複数の生成物を含む、記述3〜8のいずれか1つに従った方法。
【0092】
記述10:前記化学反応は均質相、バルク相、もしくは不均質相中のフリーラジカル反応、均質相、バルク相、もしくは不均質相中の制御されたラジカル反応、均質相、バルク相、もしくは不均質相中のステップ成長反応、または重合後の官能基化反応のいずれか1つを含む、記述3〜9のいずれか1つに従った方法。
【0093】
記述11:前記反応器は回分式反応器、半回分式反応器、および連続式反応器のいずれか1つである、記述1〜10のいずれか1つに従った方法。
【0094】
記述12:前記1つまたは複数の検出器はUV吸収、赤外線吸収、ラマン散乱、蛍光、導電率、還元粘度、動的光散乱、静的光散乱、ミー散乱、蒸発光散乱、屈折率検出、線形複屈折、円複屈折、線形二色性、円二色性、赤外線検出、NMR、および偏光分析のいずれか1つまたは複数を測定するように構成される、記述1〜11のいずれか1つに従った方法。
【0095】
記述13:前記方法はさらに、前記プロセスコントローラを使用して、前記時間依存性プロセスの1つまたは複数の条件を変更して、前記将来の時点で前記化学種の予測される前記1つまたは複数の特性を変えることを含む、記述1〜12のいずれか1つに従った方法。
【0096】
記述14:前記1つまたは複数の条件は反応器圧力、反応器温度、反応かき混ぜ速度、反応撹拌速度、反応物濃度、試薬濃度、または前記反応器への試薬流速のいずれか1つを含む、記述13に従った方法。
【0097】
記述15:前記1つまたは複数の特性変化は前記1つまたは複数の化学種の濃度、分子量、多分散性、還元粘度、固有粘度、および化学組成のうちのいずれか1つにおける変化を含む、記述1〜14のいずれか1つに従った方法。
【0098】
記述16:前記方法はさらに、残留化学種濃度に関して1つまたは複数の特定のレベルに達するのに要する期間を予測することを含む、記述15に従った方法。
【0099】
記述17:前記方法はさらに、前記プロセスコントローラを使用して、前記時間依存性プロセスの1つまたは複数の条件を変更して、将来の時点における予測される前記残留化学種濃度を変えることを含む、記述16に従った方法。
【0100】
記述18:前記方法は重合反応の自動連続オンライン・モニタリング(ACOMP)システムを使用して実施され、前記ACOMPシステムは、前記反応器、前記1つまたは複数の検出器および前記プロセスコントローラを含む、記述1〜17のいずれか1つに従った方法。
【0101】
記述19:装置であって、時間依存性プロセスの1つまたは複数の化学種を含有するための反応器と、ある量の前記1つまたは複数の化学種を前記反応器から自動的かつ連続的に抽出するための抽出ポンプと、抽出された前記1つまたは複数の化学種の特性変化を測定しかつ時間間隔中の前記1つまたは複数の化学種に対する1つまたは複数の特性変化に関連するデータの連続ストリームを生成する1つまたは複数の検出器と、そして前記データの連続ストリームを数学関数に当てはめて、将来の時点における前記1つまたは複数の化学種の1つまたは複数の特性を予測しかつ前記将来の時点における1つまたは複数の特性の予測に基づいて1つまたは複数のプロセス決定を行うように構成されるプロセスコントローラとを含む、装置。
【0102】
記述20:前記時間依存性プロセスは化学反応である、記述19に従った装置。
【0103】
記述21:前記時間依存性プロセスは重合反応である、記述19〜20のいずれか1つに従った装置。
【0104】
記述22:前記1つまたは複数のプロセス決定は前記時間依存性プロセスの終了、前記反応器の内容物の回収、同一反応器または異なる反応器における後続の反応または処理段階への進行のいずれか1つを含む、記述19〜21のいずれか1つに従った装置。
【0105】
記述23:前記プロセスコントローラはさらに、前記時間依存性プロセスの1つまたは複数の条件における変更を指示して、前記将来の時点における前記化学種の予測された前記1つまたは複数の特性を変えるように構成される、記述19〜22のいずれか1つに従った装置。
【0106】
記述24:前記1つまたは複数の条件は反応器圧力、反応器温度、反応かき混ぜ速度、反応攪拌速度、反応物濃度、試薬濃度、または試薬流速のいずれか1つを含む、記述23に従った装置。
【0107】
記述25:前記1つまたは複数の特性変化は前記1つまたは複数の化学種の濃度における変化を含む、記述19〜24のいずれか1つに従った装置。
【0108】
記述26:前記1つまたは複数の特性変化は前記1つまたは複数の化学種の分子量における変化を含む、記述19〜25のいずれか1つに従った装置。
【0109】
記述27:前記1つまたは複数の検出器はUV吸収、赤外線吸収、ラマン散乱、蛍光、導電率、還元粘度、動的光散乱、静的光散乱、ミー散乱、蒸発光散乱、屈折率検出、線形複屈折、円複屈折、線形二色性、円二色性、赤外線検出、NMR、および偏光分析のいずれか1つまたは複数を測定するように構成される、記述19〜26のいずれか1つに従った装置。
【0110】
記述28:前記反応器、前記抽出器ポンプ、前記1つまたは複数の検出器、および前記プロセスコントローラのうちの1つまたは複数は、重合反応の自動連続オンライン・モニタリング(ACOMP)システムに組み込まれる、記述19〜27のいずれか1つに従った装置。
【0111】
記述29:前記装置はさらに、前記1つまたは複数の抽出された内容物を希釈および/または調整する手段を含む、記述19〜27のいずれか1つに従った装置。
【0112】
記述30:前記反応器、前記抽出器ポンプ、前記1つまたは複数の検出器、前記プロセスコントローラ、および前記希釈および/または調整する手段の1つまたは複数は、重合反応の自動連続オンライン・モニタリング(ACOMP)システムに組み込まれる、記述29に従った装置。
【0113】
記述31:前記反応器は回分式反応器、半回分式反応器、および連続式反応器のいずれか1つである、記述19〜30のいずれか1つに従った装置。
【0114】
本開示の具体的な組成物および方法の前述の説明は、例示および説明のために提示されたものである。それらは網羅的であることを意図せず、または前記開示を開示された正確な組成物および方法に限定することを意図せず、明らかに多くの改質および変形が上記の教示に照らして可能である。前記例は本開示の原理およびその実際の応用を最もよく説明するために選択され、記載され、それによって当業者が企図される特定の用途に適した様々な改質をもって本開示を最大限に利用できるようにする。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって規定されることが意図される。