(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
20μm以上500μm以下の厚みと、2.5GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する表示用パネルの縁部に配列された複数の電極に、可撓性を有する電子部品における、前記複数の電極に対応して配列された複数の端子を、接合部材を介して接続することによって、前記電子部品を前記表示用パネルに実装する電子部品の実装装置であって、
前記表示用パネルが載置されるステージであって、前記表示用パネルにおける前記電子部品が実装される前記縁部を下側から支持する支持部を備え、前記支持部と共に水平方向に移動可能なステージと、
前記電子部品を上側から保持し、前記支持部によって支持された前記縁部の上面に電子部品を熱圧着する、水平方向および垂直方向に移動可能な熱圧着ヘッドと、
前記表示用パネルの前記縁部に設けられたアライメントマークを、当該表示用パネルの前記縁部が前記ステージの前記支持部に支持された状態で、上側から撮像する第1の撮像装置と、
前記電子部品に設けられたアライメントマークを、当該電子部品が前記熱圧着ヘッドに保持された状態で、下側から撮像する第2の撮像装置と、
前記第1の撮像装置および前記第2の撮像装置の撮像画像から求めた前記表示用パネルおよび前記電子部品の前記アライメントマークの相対位置情報に基づいて、前記表示用パネルと前記電子部品との位置を合わせるように、前記ステージと前記熱圧着ヘッドの相対位置を調整すると共に、調整された位置関係で前記熱圧着ヘッドにより前記電子部品を前記表示用パネルに熱圧着させるように、前記ステージおよび前記熱圧着ヘッドを制御する実装動作制御装置と、
前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置との相対的な位置関係の認識に用いる校正用部材と、
前記校正用部材を前記第1の撮像装置および前記第2の撮像装置と対向する位置に順次位置付けるように、前記第1の撮像装置および前記第2の撮像装置と前記校正用部材とを水平方向において相対移動させる水平移動装置と、
前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置との相対的な位置関係の基準値を記憶する記憶部と、
前記第1の撮像装置および前記第2の撮像装置に前記校正用部材の画像を取り込ませ、前記取り込んだ画像に基づいて前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置との相対的な位置関係を認識し、前記認識した結果と前記記憶部に記憶された基準値との比較により、前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置との相対的な位置関係のずれを求め、求めた前記ずれに基づいて前記表示用パネルと前記電子部品との位置合わせ位置を補正する校正動作制御装置と
を具備する電子部品の実装装置。
前記校正動作制御装置は、前記校正用部材の画像を前記第1の撮像装置および前記第2の撮像装置で取り込むことによって認識した、前記相対的な位置関係を新たな基準値として前記記憶部に記憶させる、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子部品の実装装置。
前記校正用部材は、上下両方向から撮像可能なターゲットマークを備え、前記ステージに固定されている、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電子部品の実装装置。
前記表示エリア吸着部は、前記電極面吸着ブロックに吸着保持された前記表示用パネルの前記縁部とは交差する方向に複数個並べて配置され、それぞれが前記電極面吸着ブロックとの間の間隔を調整自在に設けられている、請求項7または請求項8に記載の電子部品の実装装置。
20μm以上500μm以下の厚みと、2.5GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する表示用パネルをステージに保持させると共に、前記表示用パネルの複数の電極を有する縁部を、前記ステージに設けられた支持部によって下側から支持させる支持工程と、
前記複数の電極に対応して設けられた複数の端子を有し、可撓性を有する電子部品を熱圧着ヘッドに保持させる保持工程と、
前記支持部によって支持された前記表示用パネルの上方から第1の撮像装置によって、前記表示用パネルの前記縁部に設けられたアライメントマークを撮像する第1の撮像工程と、
前記熱圧着ヘッドに保持された前記電子部品の下方から第2の撮像装置によって、前記電子部品に設けられたアライメントマークを撮像する第2の撮像工程と、
前記第1の撮像工程で撮像した前記表示用パネルの前記アライメントマークの画像と前記第2の撮像工程で撮像した前記電子部品の前記アライメントマークの画像とに基づいて、前記表示用パネルと前記電子部品との相対位置関係を認識する位置認識工程と、
前記位置認識工程で認識した前記相対位置関係に基づいて前記ステージと前記熱圧着ヘッドとの相対位置を調整し、調整された位置関係で前記熱圧着ヘッドにより前記電子部品を前記表示用パネルに熱圧着する熱圧着工程とを具備し、
前記支持工程、前記保持工程、前記第1の撮像工程、前記第2の撮像工程、前記位置認識工程、および前記熱圧着工程を繰り返し実施することによって、前記表示用パネルの前記複数の電極に前記電子部品の前記複数の端子が接合部材を介して接続された表示用部材を連続して製造する表示用部材の製造方法であって、
前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置との相対的な位置関係の認識に用いる校正用部材の画像を、前記第1の撮像装置および前記第2の撮像装置によって取り込ませ、前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置との相対的な位置関係を認識する認識工程と、
前記認識した結果と予め設定された基準値との比較により、前記第1の撮像装置と前記第2の撮像装置との相対的な位置関係のずれを求め、求めた前記ずれに基づいて前記表示用パネルと前記電子部品との位置合わせ位置を補正する補正工程とを具備する表示用部材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態の電子部品の実装装置および表示用部材の製造方法について、図面を参照して説明する。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中における上下の方向を示す用語は、特に明記が無い場合には後述する表示用パネル(有機ELパネル)の電子部品の実装面を上とした場合の相対的な方向を示す。
【0028】
[実装装置の構成]
図1は、実施形態の電子部品の実装装置の構成を示す平面図、
図2は
図1の電子部品の実装装置の側面図である。
図1および
図2に示す電子部品の実装装置1は、有機ELディスプレイのような表示装置の構成部材(表示用部材)の製造に用いられるものである。すなわち、実装装置1は、キャリアテープTから打ち抜かれたCOF等の可撓性を有する電子部品Wを、可撓性を有する表示用パネルとしての有機ELパネルPに、接合部材としての異方性導電テープFを介して実装し、有機ELパネルPに電子部品Wが実装された表示用部材を製造するために用いられる装置である。
【0029】
ここで、有機ELパネルPは、可撓性を有する部材を主として形成される。可撓性を有する部材としては、例えば、PI(ポリイミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等が用いられる。これらの部材を接着剤によって貼り合せて用いることも可能である。有機ELパネルPは、厚みが20μm以上500μm以下で、曲げ弾性率が2.5GPa以上4.0GPa以下となるように構成される。本実施形態における有機ELパネルPは、有機EL素子が形成されたPIフィルムを支持材であるPETフィルムに接着剤を介して貼り合せた構成を有する。PIフィルムの厚み(約10μm)に対してPETフィルムの厚み(約200μm)が10倍以上であるため、有機ELパネルPの曲げ弾性率はPETフィルムの曲げ弾性率とほぼ等しいと考えられる。
【0030】
ここで、曲げ弾性率は、JIS K7171:プラスチック−曲げ特性の求め方(2016年3月22日改訂版)で規定された試験方法にしたがって測定した値とする。具体的には、曲げ弾性率試験は、長さ80±2mm、幅10.0±0.2mm、厚さ4.0±0.2mmの寸法を有する試験片を、支点間距離を64mmに調整した撓み測定装置の支持台に支持させ、この支点間の中央に圧子を2mm/minの試験速度で下降させることで、試験片の中央を撓ませることにより行う。試験雰囲気は、JIS K7100で規定する標準雰囲気(温度23℃/湿度50%)とする。
【0031】
電子部品Wとしては、可撓性を有するCOF等の電子部品が用いられる。COFは、PI(ポリイミド)等によって形成された可撓性を有するフィルム状の回路基板上に半導体素子が実装されて構成されたものである。後述するように、COFはテープ状のフィルム部材から打ち抜かれることにより個片化されて形成される。
表示用部材は、有機ELパネルPのような表示用パネルに異方性導電テープFのような接合部材を介してCOFのような電子部品Wを実装して得られるものであり、有機ELディスプレイ等の表示装置の構成部品として用いられる部材である。
【0032】
実施形態の実装装置1は、キャリアテープTから電子部品Wを打ち抜く打ち抜き装置10(10A、10B)、打ち抜かれた電子部品Wを吸着保持し、間欠回転しながら搬送する間欠回転搬送装置20、間欠回転搬送装置20による搬送経路途中の間欠停止位置に配置され、間欠回転搬送装置20によって搬送される電子部品Wに接合部材としての異方性導電テープFを貼着する異方性導電テープ貼着装置(接合部材貼着装置)30、異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを有機ELパネルPに異方性導電テープFを介して仮圧着する仮圧着装置40、仮圧着装置40によって有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wを本圧着する本圧着装置50、打ち抜き装置10と間欠回転搬送装置20との間で電子部品Wの受渡しを行う第1の受渡し装置60、間欠回転搬送装置20と仮圧着装置40との間で電子部品Wの受渡しを行う第2の受渡し装置70、仮圧着装置40に対して有機ELパネルPの搬入を行う第1の搬送部80、仮圧着装置40から本圧着装置50に有機ELパネルPを搬送する第2の搬送部90、本圧着装置50から有機ELパネルPを搬出する第3の搬送部100を備え、さらに打ち抜き装置10、間欠回転搬送装置20、異方性導電テープ貼着装置30、仮圧着装置40、本圧着装置50、第1の受渡し装置60、第2の受渡し装置70、第1の搬送部80、第2の搬送部90、第3の搬送部100等の各部の動作を制御する制御装置110を備えて構成される。
【0033】
(打ち抜き装置10)
打ち抜き装置10は、キャリアテープTから電子部品WとしてのCOFを打ち抜くためのもので、第1の打ち抜き装置10Aと第2の打ち抜き装置10Bとを備える。第1の打ち抜き装置10Aと第2の打ち抜き装置10Bは、同一の構成を備え、装置正面から見て左右反転した状態で配置される。第1および第2の打ち抜き装置10A、10Bは、片方ずつ使用され、一方の打ち抜き装置10A、10Bで打ち抜きを行っている間に他方の打ち抜き装置10A、10BのキャリアテープTの交換作業が行えるようになっている。
【0034】
第1および第2の打ち抜き装置10A、10Bは、それぞれ、打ち抜き前のキャリアテープTが巻かれた供給リール11と、供給リール11から供給されたキャリアテープTから電子部品Wを打ち抜く金型装置12と、金型装置12で電子部品Wが打ち抜かれたキャリアテープTを巻き取る巻取りリール13とを備える。供給リール11から繰り出されたキャリアテープTは、複数のガイドローラ14およびスプロケット15によって方向を変換され、金型装置12を経由して巻取りリール13へと送られる。なお、スプロケット15は、キャリアテープTの搬送方向において金型装置12の手前に配置され、図示しない駆動モータによる回転駆動によりキャリアテープTを搬送しつつ、キャリアテープTを金型装置12に対して位置決めすることが可能とされている。
【0035】
金型装置12は、上金型12aと、上金型12aに対向配置された下金型12bとを備える。上金型12aは、その下面にパンチ12cを備える。一方、下金型12bには、パンチ12cが入り込む、上下に貫通するダイ孔12dが形成されている。このような金型装置12に対してキャリアテープTを供給および位置決めした状態で、上金型12aを上下方向に移動させることによって、キャリアテープTから電子部品Wが打ち抜かれる。なお、パンチ12cの先端面には吸着孔(不図示)が設けられており、打ち抜いた電子部品Wを吸着保持できるように構成されている。
【0036】
(間欠回転搬送装置20)
間欠回転搬送装置20は、同一形状の4つのアーム部21が互いに直交する関係で配置され、平面視で十字形状を有するインデックステーブル22と、インデックステーブル22を90°間隔で間欠的に回転駆動させる回転駆動部23とを備える。インデックステーブル22の各アーム部21の先端には、それぞれ電子部品Wを吸着保持する保持ヘッド24が設けられている。インデックステーブル22の90°毎の4つの停止位置A〜Dには、打ち抜き装置10で打ち抜かれた電子部品Wを受け取るための受け取り位置A、保持ヘッド24に保持された電子部品Wに対して位置決め(ゲージング)と清掃を行うためのゲージング/清掃位置B、保持ヘッド24に保持された電子部品Wに対して異方性導電テープFを貼着するための貼着位置C、異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを仮圧着装置40に受け渡すための受渡し位置Dが設定されている。
【0037】
(異方性導電テープ貼着装置30)
異方性導電テープ貼着装置30は、間欠回転搬送装置20の貼着位置Cに対応して設けられ、異方性導電テープFを離型テープRに貼着支持させたテープ状部材Sが巻かれた供給リール31と、貼着位置Cに位置付けられた保持ヘッド24と対向する位置に配置された貼着ヘッド32と、異方性導電テープFが剥離された後の離型テープRを収容する回収部33と、供給リール31から供給されたテープ状部材Sを、貼着位置Cを通過する搬送経路を辿って回収部33へと案内する複数のガイド部34と、複数のガイド部34によるテープ状部材Sの搬送経路の貼着位置Cよりも下流側に配置され、テープ状部材Sの搬送方向に沿って往復移動することで、テープ状部材Sを所定長さずつ間欠搬送するチャック送り部35と、テープ状部材Sの搬送経路の貼着位置Cよりも上流側に配置され、テープ状部材Sのうち異方性導電テープFのみを切断する切断部36とを備えている。
【0038】
貼着ヘッド32は、貼着位置Cに位置決めされた保持ヘッド24に保持された電子部品Wの端子部に、所定長さに切断されて貼着位置Cに搬送および位置決めされた異方性導電テープFを押圧するための貼着ツール32aと、この貼着ツール32aを昇降動させる昇降駆動部32bと、貼着ツール32aに内蔵され、貼着ツール32aを加熱して異方性導電テープFを電子部品Wの端子部に貼着するヒータ32cとを有する。
【0039】
(仮圧着装置40)
仮圧着装置40は、異方性導電テープ貼着装置30によって異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを吸着保持し、有機ELパネルPに仮圧着するための熱圧着ヘッドとしての仮圧着ヘッド41と、有機ELパネルPを保持および位置決めするためのステージ42と、ステージ42に保持された有機ELパネルPと仮圧着ヘッド41に保持された電子部品Wとの相対位置を認識するための位置認識ユニット43とを備える。
【0040】
仮圧着ヘッド41は、電子部品Wをその上面側から吸着保持する加圧ツール41aと、加圧ツール41aをY、Z、θ方向に移動させるツール駆動部41bと、加圧ツール41aに内蔵されて加圧ツール41aを加熱するヒータ41cとを有する。ステージ42は、
図3に示すように、有機ELパネルPを載置する載置部42aと、載置部42aと一体的に設けられ、有機ELパネルPのうち電子部品Wが実装される縁部を下側から支持する支持部42bと、載置部42aと支持部42bとを一体的にX、Y、Z、θ方向に移動させるステージ駆動部42cとを有する。
【0041】
載置部42aにおける有機ELパネルPを載置する載置面42dには、有機ELパネルPを吸着保持するための吸着孔42eが複数形成されている。この吸着孔42eは、載置面42dに有機ELパネルPが載置されたとき、有機ELパネルPにおける画像の表示エリアに対向する位置に主に配置されている。この例においては、載置面42dの有機ELパネルPが載置される領域(
図3において二点鎖線で囲まれた領域)内に均等の間隔で行列状に配置した例で説明するが、後述する支持部42bによって支持される有機ELパネルPの少なくとも縁部が平坦になるように吸着保持できれば良いので、載置面42dに載置されている有機ELパネルPをその全域で吸着保持しなければならないものではない。例えば、支持部42b側から縁部とは直交する方向に有機ELパネルPの長さの半分、あるいは1/3程度の領域を吸着保持するようにしても良い。吸着孔42eは、有機ELパネルPの表示エリアを吸着することになるので、吸着によって表示エリアに吸着痕が残らないように、孔径を小さく設定することが好ましい。孔径は、有機ELパネルPの固定に必要な吸引力とこの吸引による有機ELパネルPの変形量の関係を実験等によって求め、吸着痕が残らないようにその大きさを設定するようにすれば良い。なお、載置面42dを多孔質部材、例えば多孔質セラミックスを使用した真空チャックにより構成しても良い。
【0042】
支持部42bは、前述したように、載置部42aと一体的に設けられ、有機ELパネルPの縁部を支持する長尺状の部材であり、その上面が平坦な支持面42fとして形成されている。支持面42fの高さ位置は、載置部42aの載置面42dの高さと同じ高さに設定される。また、この支持面42fには、その長手方向に沿って、有機ELパネルPの縁部を吸着保持するための複数の吸着孔42gが、複数列に配列されている。支持部42bの吸着孔42gも、載置部42aの吸着孔42eと同様に、小さい方が好ましい。ただし、支持部42bが支持する有機ELパネルPの縁部は、電子部品Wとの接続のための電極が配列された部分で表示エリアではない。そのため、載置部42aの吸着孔42eほど孔径を小さくする必要はないが、有機ELパネルPの縁部であってアライメントマークPM(
図4参照)が形成された部分に吸引による変形が生じることは、位置認識精度を低下させる要因となるために好ましくない。吸着孔42gの孔径および吸着力は、有機ELパネルPの縁部に変形が生じない程度の大きさに設定することが好ましい。さらに、有機ELパネルPの縁部がその全域において支持面42fに密着されるように、吸着孔42gの配置間隔は、有機ELパネルPの縁部に生じる反りやうねりによる凹凸の周期よりも短い間隔とすることが好ましい。
【0043】
また、載置部42aおよび支持部42bの側辺部(
図3においてX軸方向左側の側辺部)には、校正用部材42jが設けられる。校正用部材42jは、矩形ブロック状の基部材42j1と、この基部材42j1において支持部42bのX軸方向の延長線上に上下に貫通して設けられた、平面視でコの字形状の凹陥部42j2と、この凹陥部42j2に嵌め込まれた、ガラスや樹脂等の四角形状の透明板材42j3と、この透明板材42j3の中央に設けれらターゲットマーク42j4とを有している。このターゲットマーク42j4を、後述する第1の撮像部43aおよび一対の撮像部43e1、43e2でそれぞれ撮像することによって、これら撮像部43a、43e1、43e2の相対位置ずれの補正値を求めることが可能とされている。
【0044】
ステージ駆動部42cは、載置部42aおよび支持部42bを、水平方向の一方向であるX軸方向に移動させるX軸方向駆動部、X軸方向に直交する水平方向であるY軸方向に移動させるY軸方向駆動部、水平方向に直交するZ軸方向に移動させるZ軸方向駆動部、水平面内で回転動させるθ駆動部を、下側からこの順で積層して構成された駆動部である。なお、ステージ駆動部42cは、X軸方向およびY軸方向の位置決め精度の向上を図るため、X軸方向駆動部およびY軸方向駆動部にリニアエンコーダを付随して設けている。
【0045】
次に、位置認識ユニット43について、
図3および
図4を用いて説明する。
図4は、位置認識ユニット43によって位置認識される有機ELパネルPと電子部品Wの概略構成を示す平面図である。図中、X軸方向を左右方向として説明する。有機ELパネルPは、その縁部に形成された電極列ERと、電極列ERの左右両側にそれぞれ設けられた一対のアライメントマークPMとを有する。電子部品Wは、電極列ERと対応するように配列された端子列TRと、端子列TRの左右両側にそれぞれ設けられた一対のアライメントマークWMとを有する。位置認識ユニット43は、有機ELパネルPの一対のアライメントマークPMと、電子部品WのアライメントマークWMとの相対位置関係を認識する。
【0046】
このような位置認識ユニット43は、第1の撮像装置43Aと第2の撮像装置43Bとを備える。第1の撮像装置43Aは、有機ELパネルPの縁部に設けられたアライメントマークPMを、有機ELパネルPの縁部がステージ42の支持部42bに支持された状態で、上側から撮像するためのものである。第2の撮像装置43Bは、電子部品Wに設けられたアライメントマークWMを、電子部品Wが仮圧着ヘッド41に保持された状態で、下側から撮像するためのものである。
【0047】
第1の撮像装置43Aは、有機ELパネルPのアライメントマークPMを静止画で撮像する第1の撮像部43aと、第1の撮像部43aが撮像した画像を処理する画像処理部43bとを有する。第1の撮像部43aは、撮像素子を備えて成るCCD(Charge Coupled Device)カメラ等のカメラ43cと、テレセントリックレンズ等の光学ユニットを備えた鏡筒部43dとを有する。第1の撮像部43aは、ステージ42よりも上方の位置であって、電子部品Wと有機ELパネルPのアライメントマークWM、PMを認識するマーク認識位置に位置付けられた加圧ツール41aの近傍(
図3においては、右側近傍)に位置するように支持される。なお、第1の撮像部43aは、加圧ツール41aをY、Z、θ方向に移動可能に支持する不図示のフレームに固定するようにしても良いし、装置の架台に直接固定した支持部材に固定するようにしても良い。
【0048】
第2の撮像装置43Bは、電子部品WのアライメントマークWMを静止画で撮像する第2の撮像部43eと、第2の撮像部43eが撮像した画像を処理する画像処理部43fと、とを有する。なお、画像処理部43fは、画像処理部43bと別に設けても良いが、1つの画像処理部で画像処理部43bと画像処理部43fとを兼用するようにしても良いし、後述する制御装置110が両画像処理部43b、43fの機能を担うようにしても良い。
【0049】
第2の撮像部43eは、電子部品Wの一対のアライメントマークWMの配置間隔に対応して配置された一対の撮像部43e1、43e2を備えている。各撮像部43e1、43e2は、それぞれカメラ43gと光学ユニットを備えた鏡筒部43hとを有する。各撮像部43e1、43e2は、個別にX方向移動装置43iによって互いの対向間隔を電子部品WのアライメントマークWMの配置間隔に合わせて調整可能とされている。
【0050】
カメラ43gは、光軸が水平方向であるX軸方向と平行になるようにX方向移動装置43iに支持される。カメラ43gに連結された鏡筒部43hは、その先端側に光軸が真上を向くように変換するための光軸変換部としてプリズム43jが配置され、このプリズム43jに対応して画像取り込み口として開口43h1が設けられる。X方向移動装置43iは、両撮像部43e1、43e2を、開口43h1の配置間隔が電子部品WのアライメントマークWMの配置間隔と一致するように、X軸方向の相反する方向に同期移動させる。図示は省略しているが、鏡筒部43hには同軸照明装置が組み込まれている。
【0051】
第1の撮像装置43Aにおける画像処理部43bは、カメラ43cの撮像信号を受け、撮像領域内に取り込まれて得られた有機ELパネルPのアライメントマークPMを認識し、アライメントマークPMの位置に関するデータ(以下、「位置データ」という。)を検出するものである。画像処理部43bは、公知のパターンマッチング処理により、撮像画像中において予め設定された有機ELパネルPのアライメントマークPMの基準パターンと閾値以上のマッチング率が得られる画像を有機ELパネルPのアライメントマークPMとして認識する。そして、認識したアライメントマークPMの位置データをカメラ座標系に基づいて求める。求めた位置データは、制御装置110に送信される。
【0052】
第2の撮像装置43Bの画像処理部43fは、カメラ43gの撮像信号を受け、撮像領域内に取り込まれて得られた電子部品WのアライメントマークWMを認識し、アライメントマークWMの位置に関するデータ(以下、「位置データ」という。)を検出するものである。画像処理部43fは、公知のパターンマッチング処理により、撮像画像中において予め設定された電子部品WのアライメントマークWMの基準パターンと閾値以上のマッチング率が得られる画像を電子部品WのアライメントマークWMとして認識する。そして、認識したアライメントマークWMの位置データをカメラ座標系に基づいて求める。求めた位置データは、制御装置110に送信される。
【0053】
(本圧着装置50)
本圧着装置50は、
図5に示すように、異方性導電テープFを介して電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを保持および位置決めするためのステージ51と、有機ELパネルPに対して電子部品Wを本圧着するための本圧着ヘッド52と、この本圧着ヘッド52の下側に本圧着ヘッド52に対向して配置され、本圧着の際に有機ELパネルPにおける電子部品Wの仮圧着された縁部を下方から支持するバックアップ部53と、有機ELパネルPの位置を認識するための位置認識ユニット54(54a、54b)とを備える。
【0054】
ステージ51は、有機ELパネルPを載置する載置部51aと、載置部51aをX、Y、Z、θ方向に移動させるステージ駆動部51bとを有する。載置部51aは、平面視において矩形状を成す部材であり、有機ELパネルPを載置する載置面(上面)51cには、有機ELパネルPを吸着保持するための吸着孔51dが複数形成されている。吸着孔51dは、仮圧着装置40のステージ42の吸着孔42eと同様に、有機ELパネルPの吸着痕が残らないように、孔径を小さく設定することが好ましい。ステージ駆動部51bは、仮圧着装置40のステージ駆動部42cと同様に、X軸方向駆動部、Y軸方向駆動部、Z軸方向駆動部、θ駆動部を、下側からこの順で積層して構成された駆動部である。
【0055】
本圧着ヘッド52は、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wをその上面側から押圧する加圧ツール52aと、加圧ツール52aをZ軸方向に移動させるツール駆動部52bと、加圧ツール52aに内蔵され、加圧ツール52aを加熱するヒータ52cとを有する。バックアップ部53は、本圧着ヘッド52の加圧ツール52aの真下の位置に設けられた、加圧ツール52aと同等の長さに形成されたバックアップツール53aと、バックアップツール53aを支持する支持部材53bとを有する。バックアップツール53aの上面は、載置部51aに載置された有機ELパネルPの電子部品Wが仮圧着された縁部の下面を支持する平坦面として形成されている。
【0056】
位置認識ユニット54は、第1のカメラ54aと、第2のカメラ54bと、画像処理部(不図示)とを有する。第1および第2のカメラ54a、54bは、ステージ51による有機ELパネルPの移動範囲内の上方に、所定の間隔をあけて下向きで取り付けられており、有機ELパネルPの電子部品Wが仮圧着された縁部における両端部近傍に設けられたアライメントマークを撮像する。上述した第1および第2のカメラ54a、54bの間隔(所定の間隔)は、このアライメントマーク同士の間隔である。なお、このアライメントマークは、仮圧着装置40において相対位置データの認識に用いたアライメントマークPMとは別のアライメントマークである。不図示の画像処理部は、第1および第2のカメラ54a、54bによって撮像された有機ELパネルPのアライメントマークの撮像画像に基づいて、公知のパターンマッチング処理によりアライメントマークを認識し、アライメントマークの位置を検出する。
【0057】
(第1の受渡し装置60)
第1の受渡し装置60は、キャリアテープTから打ち抜かれた電子部品Wを下側から吸着保持する受け部61と、受け部61を打ち抜き装置10A、10Bの金型装置12の真下の位置と受け取り位置Aに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24の真下の位置とに移動させるためのX、Y、Z、θ駆動部62とを備える。
【0058】
(第2の受渡し装置70)
第2の受渡し装置70は、電子部品Wを下側から吸着保持する受け部71と、受け部71を受渡し位置Dに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24の真下の位置と仮圧着装置40の仮圧着ヘッド41の真下の位置とに移動させるためのX、Y、Z、θ駆動部72とを備える。
【0059】
(第1の搬送部80)
第1の搬送部80は、不図示の供給部から供給される有機ELパネルPを上側から吸着保持する保持体81と、この保持体81を不図示の供給部による有機ELパネルPの供給位置と仮圧着装置40のステージ42に対する有機ELパネルPの搬入位置とに移動させるためのXZ駆動部82とを備える。
【0060】
保持体81は、
図6に示すように、有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される電極列ERが形成された縁部を吸着保持する電極面吸着ブロック81aと、この電極面吸着ブロック81aに隣接して配置され、有機ELパネルPにおける電極面吸着ブロック81aによって吸着される部分以外の部分を吸着保持する表示エリア吸着部81bとを有している。電極面吸着ブロック81aは、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部全域を吸着保持可能な長さに形成され、当該縁部に沿う方向に長い直方体形状の部材である。この電極面吸着ブロック81aの吸着面81cは平坦に形成され、複数の吸着孔81dが設けられている。そして、この吸着孔81dは、仮圧着装置40の支持部42bと同様に、有機ELパネルPの縁部に変形が生じない程度の大きさに孔径が設定されており、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部を平坦にして吸着保持することができるようになっている。表示エリア吸着部81bは、吸着面が平坦な多孔質体やスポンジで形成されており、多数の吸着孔を有している。電極面吸着ブロック81aおよび表示エリア吸着部81bの吸着面は、同一平面上に位置するように調整されている。
【0061】
図6では1つの表示エリア吸着部81bを示しているが、複数の表示エリア吸着部81bが並べて配置されていても良い。表示エリア吸着部81bは、
図7に示すように、電極面吸着ブロック81aの長手方向(電極面吸着ブロック81aに保持された有機ELパネルPの縁部方向)とは交差する方向(この実施形態では、直交する方向)に2つ並べて配置される。2つの表示エリア吸着部81bは、それぞれが電極面吸着ブロック81aとの間の間隔を調整自在に保持体81の本体部81eに支持される。これらの表示エリア吸着部81bは、アルミニウム等の金属製のベース部81b1と、このベース部81b1における有機ELパネルPを保持する面(以下、「下面」という。)を覆う平坦な多孔質シート81b2とを備える。ベース部81b1には、真空吸引孔に連通する概略格子状の吸引溝がその下面に形成されており、この下面に設けられた多孔質シート81b2の全域に真空吸引力を作用させ、多孔質シート81b2の全域で有機ELパネルPを略均一な吸引力で平坦に保持することができるようになっている。多孔質シート81b2としては、例えば樹脂の多孔質成形体をフィルム状に加工したものを用いることができる。このように構成することによって、保持体81は可撓性を有する薄いフィルム状の有機ELパネルPであっても、平坦にかつ吸着痕を生じさせることなく吸着保持することができる。
【0062】
また、有機ELパネルPを仮圧着装置40のステージ42上に載置するときには、電極面吸着ブロック81aが有機ELパネルPの電極が形成された縁部の上面(電極面)をステージ42の支持部42bに対して押し付けることとなる。従って、有機ELパネルPの電極面は、電極面吸着ブロック81aの平坦な吸着面81cと支持部42bの平坦な支持面42fとの間に挟まれ、平坦に矯正された状態で、支持部42bに吸着保持される。さらに、表示エリア吸着部81bが有機ELパネルPを平坦に吸着保持した状態で、有機ELパネルPを載置部42aの載置面42dに当接させるので、有機ELパネルPは電極面以外でも皺等が生じることなく載置部42aに吸着保持される。
【0063】
(第2の搬送部90)
第2の搬送部90は、仮圧着装置40によって電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを上側から吸着保持する保持体91と、この保持体91を仮圧着装置40のステージ42から有機ELパネルPを搬出する搬出位置と本圧着装置50のステージ51に対する有機ELパネルPの搬入位置とに移動させるためのXZ駆動部92とを備える。保持体91は、有機ELパネルPの上面における略全域を吸着保持する、吸着面が平坦な多孔質体等で形成された表示エリア吸着部を備えている。この表示エリア吸着部は、保持体81の表示エリア吸着部81bと同様に構成される。
【0064】
(第3の搬送部100)
第3の搬送部100は、本圧着装置50によって電子部品Wが本圧着された有機ELパネルP、つまり表示用部材を上側から吸着保持する保持体101と、この保持体101を、本圧着装置50のステージ51から有機ELパネルPを搬出する搬出位置と不図示の搬出装置への受渡し位置とに移動させるためのXZ駆動部102とを備える。
【0065】
(制御装置110)
制御装置110は、有機ELパネルPへの電子部品Wの実装動作の制御部(実装動作制御装置)と、後述する第1の撮像装置43Aと第2の撮像装置43Bと相対的な位置関係を補正する校正動作を制御する制御部(校正動作制御装置)とを兼ねるものである。制御装置110は、記憶部111を備える。この記憶部111には、例えば仮圧着装置40での荷重、加熱温度やアライメントマークPM、WMの基準位置情報等、各部を制御するための各種の情報が記憶される。記憶部111には、校正用部材としてのターゲットマーク42j4の画像を第1の撮像装置43Aと第2の撮像装置43Bにより取り込むタイミングとしての時間間隔または電子部品Wの実装回数(実装個数)が予め記憶されている。ここで、画像を取り込む時間間隔としては、1つ目の電子部品Wの実装が行われてからの経過時間を、例えば10分毎や30分毎等と設定する。実装回数は、1つ目の電子部品Wの実装が行われてからの実装回数(実装個数でも良い)を、例えば100回毎とか300回毎等と設定する。
【0066】
第1および第2の撮像装置43A、43Bによるターゲットマーク42j4の画像取り込みは、同じ時間間隔や同じ実装回数で繰り返し行うようにしても良いし、時間の経過毎にその間隔または回数を大きくする、あるいは反対に小さくするようにしても良い。例えば、加圧ツール41aに内蔵されたヒータ41cの熱による膨張で撮像部43a、43e1、43e2の相対位置関係が変化する場合、ヒータ41cの温度が一定温度に保たれていることから、熱膨張は飽和状態になると考えられるので、熱膨張量の増加具合に合わせて時間間隔または実装回数を徐々に増加させるようにしても良い。一方、撮像部43a、43e1、43e2の相対位置関係の変化が飽和することなく、緩やかに変動を続けるような場合、時間間隔または実装回数は所定の値で固定的に設定するようにしても良い。
【0067】
制御装置110は、記憶部111に記憶された時間間隔または実装回数に基づいて、第1および第2の撮像装置43A、43Bによるターゲットマーク42j4の画像の取り込みを実行する。例えば、記憶部111に30分という時間間隔が設定された場合には、1つ目の電子部品Wが実装された時点から計測を開始して、30分経過する毎にターゲットマーク42j4の画像の取り込みを実行し、第1および第2の撮像装置43A、43Bの3つの撮像部43a、43e1、43e2の相対位置関係の認識を行うようにする。
【0068】
[実装装置の動作]
次に、実施形態の実装装置1の作動について説明する。まず、第1の打ち抜き装置10Aの供給リール11からキャリアテープTが供給され、金型装置12によってキャリアテープTから電子部品Wが打ち抜かれる。打ち抜かれた電子部品Wは、パンチ12cに吸着保持される。パンチ12cに保持された電子部品Wは、第1の受渡し装置60の受け部61に受け渡され、第1の受渡し装置60により間欠回転搬送装置20の受け取り位置Aへと移送される。受け取り位置Aに移送された電子部品Wは、受け取り位置Aに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24へと受け渡される。なお、第1の受渡し装置60は、電子部品Wを受け取り位置Aに移送する途中で、電子部品Wの向きを90°回転させることで、端子列TRが形成された縁部を受け取り位置Aに位置付けられた保持ヘッド24の外方側面に沿う方向(Y方向)に合わせる。
【0069】
保持ヘッド24に保持された電子部品Wは、インデックステーブル22の間欠回転によって、ゲージング/清掃位置B、貼着位置C、受渡し位置Dへと順次移送される。この移送中、ゲージング/清掃位置Bにおいて、電子部品Wは不図示の位置決め機構の当接により保持ヘッド24に対して位置決めされると共に、不図示の回転ブラシ等の清掃機構により端子部に付着した塵埃の清掃が行われる。また、貼着位置Cにおいて、電子部品Wの端子部には、異方性導電テープ貼着装置30によって異方性導電テープFが貼着される。ゲージング/清掃位置Bにて位置決めおよび清掃が行われ、貼着位置Cにて異方性導電テープFが貼着された電子部品Wが受渡し位置Dに位置付けられると、電子部品Wは受渡し位置Dにおいて第2の受渡し装置70の受け部71に受け渡される。受け部71に受け渡された電子部品Wは、仮圧着装置40の仮圧着ヘッド41の真下の位置に移送され、仮圧着ヘッド41に受け渡される。
【0070】
一方、上述した動作と並行的に、不図示の供給部から第1の搬送部80の保持体81によって有機ELパネルPが取出され、仮圧着装置40のステージ42に供給載置される。まず、第1の搬送部80の保持体81が不図示の供給部へ移動し、供給部において準備された有機ELパネルPの上面に保持体81の保持面、すなわち電極面吸着ブロック81aの吸着面81cおよび表示エリア吸着部81bの吸着面を当接させる。この際、保持体81によって有機ELパネルPを軽く押え付けた状態で電極面吸着ブロック81aと表示エリア吸着部81bの吸着力を作用させる。このようにすることによって、有機ELパネルPに反りや撓みが生じている場合においても、有機ELパネルPを平坦な状態で保持体81に保持させることができる。
【0071】
保持体81に保持された有機ELパネルPは、仮圧着装置40のステージ42上に搬送される。このとき、仮圧着装置40のステージ42は、保持体81から有機ELパネルPの供給を受ける供給位置(
図1に二点鎖線で示す位置)に位置付けられている。ステージ42上に搬送された有機ELパネルPはステージ42に載置される。このとき、保持体81の下降によって、有機ELパネルPはステージ42上に押し付けられて平坦化される。
【0072】
より詳細には、有機ELパネルPは、保持体81の電極面吸着ブロック81aの吸着面81cに電極面が吸着保持されていると共に、表示エリア吸着部81bに表示エリアが吸着保持されており、これらによって平坦な状態で保持されている。この状態で、有機ELパネルPはステージ42上に押し付けられるので、有機ELパネルPは保持体81の電極面吸着ブロック81aの吸着面81cおよび表示エリア吸着部81bの吸着面と、ステージ42の支持部42bの支持面42fおよび載置部42aの載置面42dとの間に挟まれる。そのため、有機ELパネルPは、平坦化された状態を維持したままでステージ42上に受け渡され、ステージ42に吸着保持される。
【0073】
この際、有機ELパネルPがステージ42上に押し付けられた状態で、ステージ42の支持部42bの吸着孔42gおよび載置部42aの吸着孔42eに吸引力を作用させた後、保持体81の電極面吸着ブロック81aと表示エリア吸着部81bの吸引力を解除するようにしても良いが、ステージ42に吸引力を作用させる前に保持体81の吸引力を解除するようにしても良い。このようにすることで、ステージ42と保持体81との間に挟持された有機ELパネルPの面方向における拘束が軽減されることになるので、仮に反りや撓みが残った状態で保持体81に保持されていた場合でも、その反りや撓みが挟持によって矯正されて平坦化されることが期待される。このため、保持体81をステージ42に押し付ける力は、前述の矯正の妨げにならない程度の大きさに設定することが好ましい。
【0074】
ステージ42に有機ELパネルPが保持されると、保持体81は不図示の供給部へと移動する。ステージ42は、仮圧着ヘッド41による仮圧着位置に移動する。この移動の過程で、有機ELパネルPの左右のアライメントマークPMが第1の撮像部43aの直下の位置(マーク認識位置)に位置付けられるように移動させる。第1の撮像部43aは、有機ELパネルPのアライメントマークPMが直下に位置付けられる毎に、アライメントマークPMを含む有機ELパネルPの画像を取り込む。取り込まれたアライメントマークPMの撮像画像は画像処理部43bに送られ、画像処理部43bで処理されて各アライメントマークPMの位置データが求められる。求められた位置データは、制御装置110に送られる。ステージ42に支持された有機ELパネルPは、各アライメントマークPMの位置データの認識が完了した後、電子部品Wの仮圧着が行われる仮圧着位置に位置付けられる。
【0075】
一方、電子部品Wを保持した仮圧着ヘッド41は、第2の受渡し装置70から電子部品Wを受け取った受渡し位置から仮圧着位置に移動する。この移動の過程で、電子部品Wをマーク認識位置に移動させる。有機ELパネルPのアライメントマークPMを上側の第1の撮像装置43Aで撮像すると共に、電子部品WのアライメントマークWMを下側の第2の撮像装置43Bで撮像するために、マーク認識位置に位置付けられた有機ELパネルPおよび電子部品Wは、
図4に示したように水平方向に若干離れた状態とされている。すなわち、マーク認識位置の電子部品Wは、マーク認識位置に位置付けられた有機ELパネルPの電極面に対して、
図4に示したように、水平方向については端子列TRの形成された縁部が電極列ERの形成された縁部に近接した状態で対向するように位置付けられ、垂直(上下)方向については電子部品Wの下面が有機ELパネルPの電極面よりも若干高い位置となるように位置付けられる。
【0076】
電子部品Wがマーク認識位置に位置付けられると、第2の撮像装置43Bのカメラ43gが電子部品WのアライメントマークWMの撮像を行う。すなわち、第2の撮像装置43Bの一対の撮像部43e1、43e2における開口43h1の配置間隔は、電子部品WのアライメントマークWMの配置間隔に一致するように調整されている。このため、マーク認識位置に位置付けられた電子部品Wの各アライメントマークWMは、それぞれ対応する開口43h1の上方に位置する状態となる。この状態で、一対の撮像部43e1、43e2は、電子部品WのアライメントマークWMの画像を同時に取込む。そして、取り込まれた両アライメントマークWMの画像は画像処理部43fに送られ、画像処理部43fによって両アライメントマークWMの位置データが求められる。求められた位置データは、制御装置110に送られる。
【0077】
制御装置110は、画像処理部43bから送られた有機ELパネルPの左右のアライメントマークPMの位置データと、画像処理部43fから送られた電子部品Wの左右のアライメントマークWMの位置データとに基づいて、有機ELパネルPと電子部品WとのX、Y、θ方向の相対位置ずれ求める。求めた相対位置ずれに基づいて、この位置ずれを無くすようにツール駆動部41bとステージ駆動部42cを制御して、有機ELパネルPを仮圧着位置に移動させつつ、有機ELパネルPと電子部品Wとを位置合わせする。
【0078】
具体的には、制御装置110は、有機ELパネルPの左右のアライメントマークPMの位置データから、これらの2点を結ぶ線分の傾きθPとこの線分の中点の座標(XP,YP)を求める。また、制御装置110は、電子部品Wの左右のアライメントマークWMの位置データから、これらの2点を結ぶ線分の傾きθWとこの線分の中点の座標(XW,YW)を求める。ここで求めた傾きと中点の座標との差が両者の相対的な位置ずれとして求められる。求めた相対位置ずれから以下のようにして位置ずれを修正する。
【0079】
まず、有機ELパネルPのアライメントマークPM間を結ぶ線分の傾きθPと電子部品WのアライメントマークWM間を結ぶ線分の傾きθWとの差を無くすように、つまりθP−θW=0となるように、加圧ツール41aをθ方向に回転させる。次いで、有機ELパネルPのアライメントマークPM間を結ぶ線分の中点が、電子部品WのアライメントマークWM間を結ぶ線分の中点と一致するように、ステージ42(ステージ駆動部42c)を駆動させる。このとき、加圧ツール41aのθ方向の回転中心が電子部品WのアライメントマークWM間を結ぶ線分の中点の位置に対してずれて位置する場合、前述の加圧ツール41aの回転によって、線分の中点の位置が加圧ツール41aの回転分だけ水平方向に位置ずれするので、有機ELパネルPの移動位置はこの位置ずれを加味して実行される。
【0080】
有機ELパネルPと電子部品Wとの位置ずれを修正した後、ツール駆動部41bの駆動によって加圧ツール41aが下降される。これによって、予め設定された加熱温度、加圧力、加圧時間で、電子部品Wの端子部が有機ELパネルPの電極面に異方性導電テープFを介して加熱加圧され、電極列ERを有する縁部が支持部42bにより下側から支持された有機ELパネルPに電子部品Wが仮圧着される。このとき、ステージ42の支持部42bを下側から支持するバックアップ部材を設けておき、このバックアップ部材によって仮圧着する際に支持部42bを下から支持するようにしても良い。このようにすることで、加圧によってステージ42に撓みが生じることが防止できるので、ステージ42の剛性を低くして軽量化を図ることが可能となる。ステージ42を移動させる際の負荷が低減され、移動時の振動の低減が図れ、安定かつ迅速な移動や位置決めが可能となる。
【0081】
予め設定された加圧時間が経過すると、加圧ツール41aによる電子部品Wの吸着が解除されると共に加圧ツール41aが上昇する。加圧ツール41aは、第2の受渡し装置70から電子部品Wが受け渡される受渡し位置に移動される。また、電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを載置するステージ42は、第2の搬送部90に有機ELパネルPを受け渡す搬出位置へと移動される。この搬出位置で、有機ELパネルPは、第2の搬送部90の保持体91によって、その上面を第1の搬送部80の保持体81による保持と同様にして吸着保持され、本圧着装置50のステージ51へと搬送される。
【0082】
第2の搬送部90によって本圧着装置50に供給された有機ELパネルPは、搬入位置に位置付けられたステージ51上に受け渡され、ステージ51上に吸着保持される。この受渡しの際の動作は、第1の搬送部80からステージ42への有機ELパネルPの受渡しと同様にして行なわれる。ただし、電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPの縁部が、ステージ51からはみ出した状態で保持される点が相違する。
【0083】
ステージ51に有機ELパネルPが保持されると、ステージ51は有機ELパネルPの縁部をバックアップツール53aの上面に支持させるべく移動される。なお、この移動の途中で、位置認識ユニット54によって有機ELパネルPのアライメントマーク(アライメントマークPMとは別のマーク)の位置認識が行われる。この位置認識結果に基づいて、ステージ51は有機ELパネルPの電極面がバックアップツール53aの上面に正しい位置関係で位置するように移動される。バックアップツール53aの上面に有機ELパネルPの縁部が支持されると、ツール駆動部52bの駆動によって加圧ツール52aが下降され、予め設定された加熱温度、加圧力、加圧時間で、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wが本圧着される。
【0084】
予め設定された加圧時間が経過すると、加圧ツール52aは上昇される。また、電子部品Wが本圧着された有機ELパネルP、つまり表示用部材を載置するステージ51は、第3の搬送部100に有機ELパネルPを受け渡す搬出位置へと移動される。この搬出位置で、有機ELパネルPは第3の搬送部100の保持体101によって、その上面を吸着保持され、不図示の搬出装置へと搬送される。
【0085】
上述した電子部品Wの有機ELパネルPへの仮圧着工程および本圧着工程を含む実装動作を、電子部品Wを実装すべき有機ELパネルPが無くなるまで繰り返して実行する。なお、実施形態の実装装置1において、仮圧着工程は位置精度の向上が重要であるのに対し、本圧着工程は異方性導電テープFによる圧着強度や信頼性の向上が重要であり、また工程時間も相違する。このため、仮圧着装置40と本圧着装置50とを適用し、仮圧着工程と本圧着工程とを実施することによって、電子部品Wの実装効率を向上させることができる。ただし、実施形態の実装装置1はこのような構成に限定されるものではない。本圧着装置50で位置決め工程から本圧着工程までを実施するようにしても良い。その場合、本圧着装置50のステージ51に支持部42bとバックアップ部53とが併設される。
【0086】
上述した電子部品Wを実装する動作の過程で、記憶部111に記憶されている時間間隔または実装回数が経過する毎に、制御装置110は撮像部43a、43e1、43e2によるターゲットマーク42j4の画像の取り込みを実行する。撮像部43a、43e1、43e2で取り込んだターゲットマーク42j4の画像データに基づいて、撮像部43a、43e1、43e2の位置ずれを補正する校正動作を実施する。すなわち、有機ELパネルPと電子部品Wとを位置合わせする際に、有機ELパネルPの縁部を支持部42bで下側から支持し、かつ有機ELパネルPのアライメントマークPMを上側の第1の撮像装置43Aで撮像すると共に、電子部品WのアライメントマークWMを下側の第2の撮像装置43Bで撮像することによって、後に詳述するように、従来のOLB装置による有機ELパネルの縁部の垂れ、縁部での光の反射の変動等による実装精度の低下、また有機ELパネルの上面のアライメントマークと電子部品の下面のアライメントマークとを下側の1つのカメラで同時に撮像して位置認識することによる有機ELパネルの表面精度、光透過率、有機ELパネルの構造等に基づく実装精度の低下を抑制することができる。
【0087】
上述したように、有機ELパネルPのアライメントマークPMを上側の第1の撮像装置43Aで撮像すると共に、電子部品WのアライメントマークWMを下側の第2の撮像装置43Bで撮像し、これらアライメントマークの画像情報に基づいて有機ELパネルPと電子部品Wとの相対位置を認識して位置合わせを行うことによって、±3μm以内の実装精度を得ることができた。ただし、そのような実装工程を連続して実施すると実装精度が経時的に低下するおそれがある。本願発明者等が撮像部の校正動作を実施することなく、約5時間連続して実装動作を繰り返し行なった後、電子部品Wの実装精度を測定したところ、経時的に実装精度の低下が認められた。
【0088】
具体的には、1つの電子部品Wの実装に要する時間(タクトタイム)は10秒に設定し、実装開始直後、3時間経過時、および5時間経過時の実装精度をそれぞれ測定した。その結果、実装開始直後では実装位置ずれ、つまり有機ELパネルPと電子部品Wとの相対位置ずれ(X,Y,θ)が(−0.4μm,1.3μm,−0.0059°)となり、実装精度は±3μm以内であった。3時間経過時点では実装位置ずれが(1.4μm,−3.5μm,−0.0063°)となり、実装精度は±3μmを超えてしまった。さらに、5時間経過時点では実装精度が(2.6μm,−4.1μm,−0.0067°)となり、実装精度は±3μmをさらに超えてしまう結果となった。このような経時的に実装精度が低下したり、突発的に実装精度が低下したりする現象は、有機ELパネルPと電子部品WのアライメントマークPM、WMを1つのカメラで同時に撮像していたときには発生しなかった。このため、上下2つの撮像装置43A、43Bを使用することによって、これら撮像装置43A、43Bの相対位置にずれが生じることで、経時的に実装精度が低下するものと考えられる。このため、実施形態の実装装置1においては、撮像部43a、43e1、43e2で取り込んだターゲットマーク42j4の画像データに基づいて、撮像部43a、43e1、43e2の位置ずれを補正する校正動作を実施する。
【0089】
上記した画像の取り込みに際しては、まず、ターゲットマーク42j4が、
図3において、第1の撮像部43aの鏡筒部43dの直下の予め設定された位置(XY座標)に移動するように、ステージ駆動部42cを制御する。そして、ターゲットマーク42j4が鏡筒部43dの直下に位置付けられたならば、第1の撮像部43aによってターゲットマーク42j4を撮像する。画像処理部43bは、第1の撮像部43aの撮像画像に基づいてターゲットマーク42j4の位置に関するデータ(以下「位置データ」と呼ぶ。)を検出する。ここでは、位置データはXY座標である。第1の撮像部43aの位置にずれが生じていなければ、この位置データはターゲットマーク42j4の移動位置の座標と一致する。なお、画像処理部43bは、アライメントマークPMの位置データを検出するものであるが、ターゲットマーク42j4の位置データを検出する機能も備える。このようにして検出したターゲットマーク42j4の位置データは、制御装置110に送信される。
【0090】
第1の撮像部43aによるターゲットマーク42j4の撮像が完了したら、ターゲットマーク42j4が、
図3において図示右側に位置する撮像部43e1の開口43h1の直上の予め設定された位置に移動するように、ステージ駆動部42cを制御する。そして、ターゲットマーク42j4が開口43h1の直上に位置付けられたならば、撮像部43e1によってターゲットマーク42j4を撮像する。画像処理部43fは、画像処理部43bと同様に、撮像部43e1の撮像画像に基づいてターゲットマーク42j4の位置データを検出し、制御装置110に送信する。ここで、画像処理部43fもまた、ターゲットマーク42j4の位置データを検出する機能も兼ねるものである。
【0091】
また、撮像部43e1によるターゲットマーク42j4の撮像が完了したら、ターゲットマーク42j4が、
図3において図示左側に位置する撮像部43e2の開口43h1の直上の予め設定された位置に移動するように、ステージ駆動部42cを制御する。そして、ターゲットマーク42j4が開口43h1の直上に位置付けられたならば、撮像部43e2によってターゲットマーク42j4を撮像する。画像処理部43fは、上述と同様に、撮像部43e2の撮像画像に基づいてターゲットマーク42j4の位置データを検出し、制御装置110に送信する。なお、ステージ駆動部42cは実装動作時における有機ELパネルPのステージ42の駆動装置と、校正動作時における第1および第2の撮像装置43A、43Bとターゲットマーク42j4の移動装置(水平移動装置)を兼ねている。
【0092】
各撮像部43a、43e1、43e2でのターゲットマーク42j4の位置データの検出が完了したら、制御装置110は各撮像部43a、43e1、43e2の相対位置のずれを求める。すなわち、記憶部111には、ターゲットマーク42j4の基準位置が、撮像部43a、43e1、43e2毎に予め記憶されている。基準位置は、本実施形態ではXY座標であるが、このXY座標は例えば電子部品Wの実装を開始する前段階で、各撮像部43a、43e1、43e2を用いて上述と同様にしてターゲットマーク42j4の位置を認識することによって取得することができる。
【0093】
制御装置110は、実際に検出した撮像部43a、43e1、43e2毎のターゲットマーク42j4の位置データとそれに対応する基準位置とを比較し、基準位置に対する各撮像部43a、43e1、43e2の相対位置ずれを求める。そして、撮像部43a、43e1、43e2毎に求めた相対位置ずれを撮像部43a、43e1、43e2毎の補正値として記憶部111に記憶させる。記憶部111に記憶させた補正値は、有機ELパネルPと電子部品WとのX、Y、θ方向の相対位置ずれを求める際に用いられる。
【0094】
すなわち、第1の撮像装置43Aおよび第2の撮像装置43Bによって、有機ELパネルPのアライメントマークPMの位置データおよび電子部品WのアライメントマークWMの位置データが求められ、それらの位置データが制御装置110に送られる。制御装置110によって有機ELパネルPと電子部品WとのX、Y、θ方向の相対位置ずれが求められる。この際に記憶部111に補正値が記憶されていると、制御装置110は各撮像装置43A、43Bから送られた各アライメントマークPM、WMの位置データを記憶部111に記憶された補正値で補正する。
【0095】
より具体的には、第1の撮像装置43Aによって認識された有機ELパネルPの左右のアライメントマークPMの位置データについては、撮像部43aの補正値として記憶された補正値を用いて補正した値を位置データ(補正位置データ)とする。第2の撮像装置43Bによって認識された電子部品WのアライメントマークWMのうち、撮像部43e1を用いて認識された右側のアライメントマークWMの位置データについては、撮像部43e1の補正値として記憶された補正値を用いて補正した値を位置データ(補正位置データ)とする。さらに、撮像部43e2を用いて認識された左側のアライメントマークWMの位置データについては、撮像部43e2の補正値として記憶された補正値を用いて補正した値を位置データ(補正位置データ)とする。
【0096】
このようにして求めた各アライメントマークPM、WMの補正位置データに基づいて、有機ELパネルPと電子部品WとのX、Y、θ方向の相対位置ずれを求める。また、上述の各撮像部43a、43e1、43e2を用いて検出した位置データは、新たな基準位置として記憶部111に記憶させることで、記憶されていた基準位置を更新する。つまり、基準位置は、各撮像部43a、43e1、43e2によるターゲットマーク42j4の画像の取り込みのタイミングで、その都度更新されることになる。
【0097】
[実装装置の作用効果]
上述した実施形態の実装装置1によれば、可撓性を有する有機ELパネルPをその電子部品Wが実装される縁部を下側から支持する支持部42bを備えたステージ42によって支持し、このステージ42に支持された状態の有機ELパネルPのアライメントマークPMを上方から第1の撮像装置43Aの第1の撮像部43aによって撮像し、仮圧着ヘッド41に保持された状態の電子部品WのアライメントマークWMを下方から第2の撮像装置43Bの一対の撮像部43e1、43e2によって撮像する。そして、これらの撮像画像に基づいて、有機ELパネルPと電子部品Wとの相対位置関係を認識し、認識した相対位置関係に基づいて有機ELパネルPと電子部品Wとを位置合わせし、有機ELパネルPに異方性導電テープFを介して電子部品Wを仮圧着した後、本圧着するようにしている。
【0098】
しかも、記憶部111に記憶されたタイミングで、第1の撮像装置43Aの第1の撮像部43aおよび第2の撮像装置43Bの一対の撮像部43e1、43e2によって、ステージ42に設けられたターゲットマーク42j4を撮像し、第1の撮像装置43Aの第1の撮像部43a、第2の撮像装置43Bの一対の撮像部43e1、43e2それぞれの間の相対的位置関係を認識し、この認識結果に基づいて有機ELパネルPと電子部品Wとの位置合わせ位置を補正するようにしている。
【0099】
このように構成したことによって、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとの相対位置データを検出する際に、有機ELパネルPにおける電極の形成された縁部がステージ42の支持部42bによって支持されることになる。これにより、有機ELパネルPの縁部の垂れが防止され、縁部に設けられたアライメントマークPMの位置認識精度を向上させることができる。また、有機ELパネルPのアライメントマークPMを上側から撮像し、電子部品WのアライメントマークWMを下側から撮像する。そのため、有機ELパネルPの上面に形成されているアライメントマークPMを、有機ELパネルPを構成するPIやPET等の樹脂を介することなく撮像することができるため、アライメントマークPMを安定して鮮明に撮像することが可能になる。
【0100】
さらに、記憶部111に記憶されたタイミング(時間間隔あるいは実装回数)にて第1の撮像装置43Aの第1の撮像部43a、第2の撮像装置43Bの一対の撮像部43e1、43e2それぞれの間の相対的位置関係を認識し、この認識結果に基づいて有機ELパネルPと電子部品Wとの位置合わせ位置を補正するようにしている。このため、第1の撮像部43aおよび一対の撮像部43e1、43e2が互いに独立して配置されている場合においても、経時的な相対位置関係のずれを認識することができる。これによって、第1の撮像部43aおよび一対の撮像部43e1、43e2のそれぞれの間の相対的位置関係にずれが生じたとしても、それを補正することが可能となる。例えば、24時間稼働等の長時間の連続実装を繰り返す場合において、可動部の摩擦熱やヒータ等の熱源の影響により装置内温度が変化することで生じる熱膨張によって、撮像部43a、43e1、43e2間の相対位置がずれる、いわゆる温度ドリフトが生じたとしても、それを補正することで高い実装精度を維持すること可能となる。
【0101】
これらによって、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとの相対位置データの認識精度を向上させることかできる。このような相対位置データを用いて行われる有機ELパネルPと電子部品Wとの位置合わせ精度が向上し、その結果、可撓性を有する有機ELパネルPに可撓性を有する電子部品Wを実装する場合であっても、その実装精度を向上させることが可能となる。
【0102】
また、有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される縁部を下側から支持する支持部42bの支持面42fに、複数の吸着孔42gを有機ELパネルPの縁部に生じる反りやうねりによる凹凸の周期よりも短い間隔で配置して設け、有機ELパネルPの縁部をこの支持面42fで支持した状態で吸着保持するようにしている。これによって、有機ELパネルPの縁部をより平坦な状態で支持することができるため、有機ELパネルPのアライメントマークPMとその周囲の部分を水平かつ平坦な状態で安定して保持し、アライメントマークPMの位置認識精度を一層向上させることができる。
【0103】
また、有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される縁部を、支持部42bの支持面42fに設けた複数の吸着孔42gによって下側から吸着するようにしている。そのため、有機ELパネルPを構成する樹脂が吸湿等によって有機ELパネルPの縁部に反り上がりやうねりが生じているような場合であっても、有機ELパネルPの縁部を支持部42bの支持面42f上に密着させることが可能となる。これによって、有機ELパネルPのアライメントマークPMとその周囲の部分を平坦な状態に安定して保持することができ、アライメントマークPMの位置認識精度の向上を図ることができる。
【0104】
有機ELパネルPをステージ42に供給載置する第1の搬送部80の保持体81を、電極面吸着ブロック81aの平坦な吸着面81cと表示エリア吸着部81bの平坦な吸着面とで、有機ELパネルPを保持する面が平坦面となるように形成している。これによって、反りや撓みが生じやすい、可撓性を有する有機ELパネルPであっても、この平坦な保持面に吸着保持することにより、保持体81に平坦な状態で保持させることが可能となる。従って、有機ELパネルPを平坦な状態でステージ42に載置して保持させることができ、これによりステージ42に保持された状態で行なわれるアライメントマークPMの位置認識精度を向上させる効果を安定して得ることが可能となる。
【0105】
さらに、保持体81によってステージ42上に有機ELパネルPを載置する際に、保持体81の保持面によって有機ELパネルPをステージ42の支持部42bの支持面42fおよび載置部42aの載置面42dとの間で挟持するようにしている。このことによって、有機ELパネルPを平坦な状態を維持したままでステージ42に受け渡すことができる。このことによっても、有機ELパネルPを平坦な状態でステージ42に保持させることができ、ステージ42に保持された状態で行なわれるアライメントマークPMの位置認識精度を向上させる効果をさらに安定して得ることが可能となる。
【0106】
また、電子部品Wの一対のアライメントマークWMの撮像を一対の撮像部43e1、43e2を用いて行うのに対し、有機ELパネルPの一対のアライメントマークPMの撮像は単一の撮像部43aを用いて行うようにしている。すなわち、合計4つのアライメントマークWM、PMの撮像を3つの撮像部43a、43e1、43e2で行なうようにしている。しかも、単一の撮像部43aによる有機ELパネルPの一対のアライメントマークPMの撮像を、有機ELパネルPを移動させることによって行うようにしている。
【0107】
電子部品Wの一対のアライメントマークWMを撮像するカメラを2つと、有機ELパネルPの一対のアライメントマークPMを撮像するカメラを2つの、合計4つのカメラを用いてアライメントマークWM、PMの位置認識を行う場合に比べて、ターゲットマーク42j4を用いた温度ドリフト等に起因する誤差の補正時において、いわゆるキャリブレーション時に生じる誤差を低減することができる。すなわち、個々の撮像部43a、43e1、43e2によってターゲットマーク42j4の位置認識を行う場合、撮像部43a、43e1、43e2毎にターゲットマーク42j4の位置認識誤差や、ターゲットマーク42j4の位置決め誤差が発生する。そのため、カメラ(撮像部)の数が増えれば増えるほど、この誤差の影響が増大することになる。撮像部43a、43e1、43e2の数を3つに抑えることによって、上述の誤差を極力低減することが可能となる。
【0108】
電子部品Wの一対のアライメントマークWMを2つの撮像部43e1、43e2によって撮像することで、アライメントマークWM間の距離を認識することが可能となる。これによって、電子部品WのアライメントマークWM間の基準間隔、例えば設計上のアライメントマークWM間の距離との差を認識することができる。このことから、電子部品Wの伸び量を認識することが可能となる。そのため、ここで認識した電子部品Wの伸び量を、仮圧着時の位置決め位置や本圧着時の熱圧着条件等に反映させることで、電子部品Wの実装精度を向上させることが可能となる。
【0109】
例えば、仮圧着の位置決め位置については、電子部品Wの端子列TRと有機ELパネルPの電極列ERの中には、中央から外側に向かうにしたがって端子や電極を外側に向かって傾斜させ、さらに端子や電極の傾斜角度が大きくなるように配列された、ハの字状の端子列や電極列がある。このような端子列TRや電極列ERを備えた電子部品Wと有機ELパネルPの実装を行う場合に、上述した伸び量に基づいてY方向の位置決め位置を補正することで実装精度を向上させることができる。
【0110】
また、本圧着時の熱圧着条件については、電子部品Wの伸び量が大きいほど、本圧着時に生じる電子部品Wの伸びの抑制を強くする熱圧着条件で熱圧着を行うようにする。本発明者等による実験の結果、初期の加圧力の立ち上がり(所定の加圧力に到達するまでの時間)が急峻であるほど、電子部品Wの伸びの抑制効果が向上することが分かっている。この知見に基づいて、電子部品Wの伸び量が大きいほど加圧力の立ち上がりを急峻に制御することが考えられる。この場合、有機ELパネルPについても、加熱によって熱膨張を生じることが考えられるので、本圧着時の加熱による有機ELパネルPの伸びについても予め実験等により伸びの傾向を把握しておき、本圧着条件に加味するようにしても良い。
【0111】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、表示用パネルとして有機ELパネルを例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、可撓性を有する電子ペーパの構成部材を表示用パネルとして用いることも可能である。
【0112】
また、有機ELパネルPと電子部品Wの接続に異方性導電テープFを用いたが、これに限られるものではない。他の接合部材、例えば導電性粒子を含有した接着剤等を用いても良い。接着剤を用いる場合、熱硬化性や光硬化性の接着剤を用いることが可能である。
【0113】
第1ないし第3の搬送部80、90、100の構成は、上述したものに限られるものではなく、他の構成であっても良い。例えば、多孔質シートを用いる代わりに、発砲ウレタンゴムやシリコンゴム等の軟質なゴムや樹脂材料に複数の吸着用の開口を設けたものを用いるようにしても良い。
【0114】
仮圧着装置40のステージ42から本圧着装置50のステージ51に第2の搬送部90を用いて有機ELパネルPを搬送するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、本圧着装置50のステージ51を仮圧着装置40のステージ42に近接する位置まで移動できるように構成し、仮圧着装置40のステージ42の近接位置に移動した本圧着装置50のステージ51に対して、第1の搬送部80を用いて有機ELパネルPを搬送するようにしても良い。つまり、第1の搬送部80で第2の搬送部90を兼ねるようにしても良い。
【0115】
また、予め設定されたタイミング毎に行なうターゲットマーク42j4の画像の取り込みを、個々の撮像部43a、43e1、43e2あたり1回ずつ行うものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、撮像部43a、43e1、43e2毎に複数回取り込むようにし、複数回認識したターゲットマーク42j4の位置の平均値をターゲットマーク42j4の位置として認識するようにしても良い。
【0116】
本圧着装置50は、仮圧着工程と本圧着工程との工程時間の差を考慮して、実装装置1に複数台設置するようにしても良い。また、複数台の本圧着装置50を設ける代わりに、1台の本圧着装置50に有機ELパネルPを複数枚並列に載置可能なステージ51を設けると共に、複数並列に載置された有機ELパネルP上の電子部品Wを一括、または個別に本圧着することのできる本圧着ヘッド52を設けるようにしても良い。ここで、一括して本圧着する場合、並列に載置された複数の有機ELパネルPの全域をカバーできる長さの加圧ツール52aを本圧着ヘッド52に装備する。また、個別に本圧着する場合、1つの有機ELパネルPに実装する電子部品Wをカバーできる長さの加圧ツール52aを、有機ELパネルPの載置間隔に合わせて本圧着ヘッド52に装備する。各加圧ツール52aは、個別に加圧力を設定できるように構成しておくことが好ましい。
【0117】
第1の搬送部80の保持体81によって、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部を吸着保持するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、有機ELパネルPの電極列ERに異方性導電テープFが貼着されている場合等、有機ELパネルPの電極列ERに他の部材を接触させられない、あるいは、接触させたくない事情がある場合には、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部を吸着保持せずに、当該縁部を保持体81からはみ出させた状態で保持するようにしても良い。このように、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部をはみ出させて吸着保持した場合でも、厚みが20μm以上500μm以下で曲げ弾性率が2.5GPa以上4.0GPa以下の柔軟な有機ELパネル(表示状パネル)であれば、電極列ERの近傍を保持体81の平坦な吸着面81cで吸着保持することで、仮に電極列ERの形成された縁部に及ぶ反りやうねりが生じていたとしても、ステージ42の支持部42bの平坦な支持面42fに、複数の吸着孔42gの吸着力によって縁部を倣わせて吸着保持させることができる。
【0118】
ターゲットマーク42j4を用いた撮像部43a、43e1、43e2の相対位置ずれによる各アライメントマークPM、WMの位置認識誤差の補正、いわゆる温度ドリフト補正について説明したが、温度ドリフト補正のやり方は上述した方法に限られるものではなく、他のやり方であっても良い。
【0119】
例えば、ターゲットマーク42j4の基準位置として、電子部品Wの実装を開始する前段階で、各撮像部43a、43e1、43e2を用いて認識したターゲットマーク42j4の位置を用いるものとしたが、設計上の撮像部43a、43e1、43e2の位置、より具体的には設計上のカメラ43c、43gの視野中心位置を基準位置として用いるようにしても良い。言い換えると、絶対的な基準位置を設定するようにしても良い。
【0120】
ターゲットマーク42j4の基準位置を、撮像部43a、43e1、43e2によるターゲットマーク42j4の画像の取り込み毎に更新するものとしたが、最初に記憶させた基準位置をそのまま基準位置として使用し続ける、つまり基準位置を更新しないようにしても良い。このようにした場合でも、同様の効果を得ることが可能である。
【0121】
また、単一のターゲットマーク42j4をステージ42の載置部42aに固定配置し、ステージ42を移動させることでターゲットマーク42j4を各撮像部43a、43e1、43e2の位置に位置付けるようにしたが、以下のように構成しても良い。
【0122】
例えば、1枚のガラス基板上に撮像部43a、43e1、43e2の配置位置に合わせて3つのターゲットマークを付した校正用ガラス基板を作製しておき、この校正用ガラス基板を載置部42aに冶具を用いて予め設定された位置関係で載置する。このとき、電子部品W用の撮像部43e1、43e2によって撮像する2つのターゲットマークが、ステージ42の支持部42b上から仮圧着ヘッド41の位置する側へ所定量はみ出すようにする。これによって、ターゲットマークが撮像部43e1、43e2によって下側から撮像できるようになる。そして、校正用ガラス基板を載置したステージ42を、3つのターゲットマークが各撮像部43a、43e1、43e2の基準位置に位置するように移動させる。この状態で、各撮像部43a、43e1、43e2を用いて、それぞれ対応するターゲットマークを認識し、基準位置に対する各撮像部43a、43e1、43e2の相対位置ずれを認識する。
【0123】
さらに、撮像部43a、43e1、43e2毎に専用のターゲットマークを配置するようにしても良い。具体的には、各撮像部43a、43e1、43e2の真上の位置または真下の位置に対して、位置付けおよび退避が可能な状態でターゲットマークを設けておく。このターゲットマークを予め設定されたタイミング毎に退避位置から各撮像部43a、43e1、43e2の真上の位置または真下の位置に位置付け、各撮像部43a、43e1、43e2を用いて認識することで、基準位置に対する各撮像部43a、43e1、43e2の相対位置ずれを認識するようにしても良い。この場合、各ターゲットマークは、各ターゲットマーク間の相対位置ずれが生じることを極力防止するために、実装装置1のフレームに直接的に支持させることが好ましい。
【0124】
さらにまた、ステージ42の支持部42bの支持面42fに照明装置を内蔵させても良い。具体的には、支持面42fにおける、有機ELパネルPのアライメントマークPMと対向位置する部分に照明装置を内蔵させ、第1の撮像部43aによってアライメントマークPMを撮像する際に、アライメントマークPMの下側から光を照射するようにする。このようにすることで、反射光によってアライメントマークPMを撮像する場合と比べて、アライメントマークPMの画像と背景画像との間に大きな明暗差を得ることができ、アライメントマークPMの画像をより鮮明に得ることができ、認識精度の向上を図ることができる。また、支持部42bに照明装置を内蔵する代わりに、透光窓を設けたり、支持部42bを透光性の部材、例えば透明なガラス材で形成したりして、これらを介して光を照射するようにしても良い。
【0125】
上述した実施形態では異方性導電テープFを電子部品Wに貼着する構成について説明したが、これに限られるものではない。異方性導電テープFは有機ELパネルP、すなわち表示用パネルに貼着するようにしても良い。この場合、間欠回転搬送装置20の貼着位置Cに異方性導電テープ貼着装置30を設ける代わりに、有機ELパネルPの供給部の上流側に、有機ELパネルPに異方性導電テープFを貼着する異方性導電テープ貼着装置を設けるようにすると良い。例えば、
図8に示すような実装装置201を適用してもよい。
図8は他の実施形態の実装装置201の構成を示している。
【0126】
[他の実施形態による実装装置]
図8に示す実装装置201は、異方性導電テープ貼着装置230、仮圧着装置240、本圧着装置250をX方向に並べて配置し、仮圧着装置240のY方向後方に打ち抜き装置210を配置し、さらに仮圧着装置240と打ち抜き装置210との間に、電子部品Wを搬送する搬送装置260を配置した構成を有している。各処理装置230、240、250の間には、有機ELパネルPの第1〜第4の搬送部271、272、273、274が配置されている。この実装装置201は、有機ELパネルPを4つずつ供給して各処理装置230、240、250での処理を行なうものである。打ち抜き装置210は、キャリアテープTから電子部品Wを打ち抜くものであり、上述の実施形態で説明した打ち抜き装置10と同様の構成を有する。
【0127】
異方性導電テープ貼着装置230においては、有機ELパネルPに異方性導電テープFが貼着される。異方性導電テープ貼着装置230は、有機ELパネルPを二枚ずつX方向に並べて保持する2つの載置部231、232がX方向に並べて配置されている。これらの載置部231、232は、それぞれXYZθ方向に移動可能に設けられている。また、2つの載置部231、232に対応して異方性導電テープFの貼着ユニット233、234が配置される。各載置部231、232は、それぞれ対応する貼付ユニット233、234による貼着位置に載置部231、232上の有機ELパネルPを順次位置付ける。各貼着ユニット233、234は、貼着位置に位置付けられた有機ELパネルPに異方性導電テープFを貼着する。
【0128】
仮圧着装置240は、異方性導電テープFが貼着された有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着する。仮圧着装置240は、有機ELパネルPを四枚ずつX方向に並べて保持する載置部241、載置部241に保持された有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着する仮圧着ヘッド242、仮圧着ヘッド242によって有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着するときに、有機ELパネルPを下側から支持する不図示のバックアップツールを備える。載置部241は、XYZθ方向に移動可能に設けられ、載置部241上の四枚の有機ELパネルPを仮圧着ヘッド242による仮圧着位置に順次位置付ける。仮圧着ヘッド242は、仮圧着位置に位置付けられた有機ELパネルPに電子部品Wを順次仮圧着する。なお、仮圧着装置240は、上述の実施形態で説明した仮圧着装置40と同様の位置認識装置を備えることは言うまでもない。
【0129】
ここで、仮圧着ヘッド242には、搬送装置260により、打ち抜き装置210によって打ち抜かれた電子部品Wが順次供給される。すなわち、搬送装置260は、XYZθ駆動部261によってXYZθ方向に移動可能とされ、電子部品Wを下側から吸着保持する受け部262を備え、打ち抜きユニット210から電子部品Wを受取り、仮圧着ヘッド242に受け渡す。
【0130】
本圧着装置250は、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wを本圧着する。本圧着装置250は、有機ELパネルPを一枚ずつ個別に保持する4つの載置部251、252、253、254をX方向に並設する。また、4つの載置部251、252、253、254に対応して4つの本圧着ヘッド255、256、257、258が設けられる。本圧着ヘッド255、256、257、258は、加圧力を個別に調整可能に設けられると共に、一括して昇降動可能に設けられる。個々の載置部251、252、253、254は、XYZθ方向に移動可能とされ、対応する本圧着ヘッド255、256、257、258に対して有機ELパネルPを位置決め可能となっている。4つの本圧着ヘッド255、256、257、258は、4つの載置部251、252、253、254によって位置付けられた4つの有機ELパネルPに対して一括して本圧着を行なう。
【0131】
第1ないし第4の搬送部271、272、273、274は、各処理装置230、240、250との間で有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。すなわち、第1ないし第4の搬送部271、272、273、274はそれぞれ、有機ELパネルPを上側から吸着保持する4つの保持部をX方向に並設してなる。そして、第1の搬送部271は、不図示の供給部から異方性導電テープ貼着装置230に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。第2の搬送部272は、異方性導電テープ貼着装置230から仮圧着装置240に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。第3の搬送部273は、仮圧着装置240から本圧着装置250に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。第4の搬送部274は、本圧着装置250から不図示の搬出部に有機ELパネルPを4つ同時に搬出する。このような構成の実装装置201に対しても、本発明は適用可能である。
【実施例】
【0132】
次に、本発明の実施例とその評価結果について述べる。
【0133】
(実施例1)
上述した実施形態の実装装置1を用いて、以下の条件でTEG(Test Element Group)による実装精度を確認する実験を行なった。ここで、TEGとはテスト用に作製した評価用部材のことであり、ここでは有機ELパネルPの評価用部材を作製した。具体的には、厚み0.5mmのガラス板を用いて5インチ相当(120mm×65mm)の大きさの有機ELパネルのTEGを作製した。電子部品Wとしては、幅36mm、長さが25mmのCOFを用いた。なお、有機ELパネルPのTEGをガラス板で作製した理由は、後述する位置決め精度の確認の都合上、反りや撓み、透過率の影響を極力防止するためである。以下、有機ELパネルPのTEGのことを、単に有機ELパネルPと称する。目標精度は、スマートフォン用ディスプレイパネルに用いられる有機ELパネルにおいて求められる一般的な精度である、±3μmとした。
【0134】
<実験条件>
仮圧着ヘッドのヒータ:OFF
タクトタイム:10秒(ただし、仮圧着ツール41aおよび載置部42aの移動速度は、タクト5秒で実装する場合と同じとした。)
繰り返し時間(回数):4.8時間
温度ドリフト補正:360回に1回
【0135】
実験に際しては、まずそれぞれが待機位置にある状態で、有機ELパネルPを載置部42aに載置し、電子部品Wを加圧ツール41aに保持させる。待機位置は、載置部42aについては第1の搬送部80から有機ELパネルPを受け取る供給位置であり、加圧ツール41aについては第2の受渡し装置70から電子部品Wを受け取る位置である。この状態から、仮圧着に先立つマーク認識位置に有機ELパネルPと電子部品Wを位置付ける。このとき、加圧ヘッド41aは、θ=+5°の水平方向に回転させた状態で位置付ける。これは、回転ずれの補正精度を確認するためである。
【0136】
この状態で、第1および第2の撮像装置43A、43Bを用いて有機ELパネルPと電子部品Wのアライメントマークの位置を認識し、この認識結果に基づいて有機ELパネルPと電子部品Wの位置合わせを行う。なお、この位置合わせは、有機ELパネルPの縁部に対して電子部品Wの縁部を重ね合わせるのではなく、有機ELパネルPの縁部と電子部品Wの縁部とが僅かな距離を隔てて対向する状態で行う。具体的には、アライメントマークPM、WM同士が3.3mmの間隔を隔てるようにして位置合わせを行う。アライメントマークPM、WMから縁までの距離は、それぞれ概ね0.6〜1.2mm程度であるため、縁部同士は0.9〜2.1mmの間隔で配置されることになる。
【0137】
位置合わせが完了したら、第2の撮像装置43Bを用いて、下側から有機ELパネルPのアライメントマークと電子部品Wのアライメントマークとを同一視野内に入れて同時に撮像し、有機ELパネルPと電子部品Wとの間の相対位置ずれを認識する。つまり、有機ELパネルPと電子部品Wの右側のアライメントマーク同士を第2の撮像装置43Bの撮像部43e1の同一視野内に入れて同時に撮像し、左側のアライメントマーク同士を第2の撮像装置43Bの撮像部43e2の同一視野内に入れて同時に撮像する。そして、この認識結果から求めた相対位置ずれを、実装精度として記録する。
【0138】
なお、有機ELパネルPの縁部を支持する支持部42bは、アライメントマークに対応する位置に上下に貫通した切欠き部を設け、下側からでもアライメントマークを視認可能とした実験用に作製したものを使用した。有機ELパネルPをガラス板で作製したのは、TEGを透過してアライメントマークを認識したときでも、その認識精度にTEGの反りやうねり、または透過率等が影響することを極力防止するためである。
【0139】
(比較例1)
比較例1は、「温度ドリフト補正」を行わなかった点が相違するだけで、その他の条件は上述の実施例1と同じとした。
【0140】
上述した実施例1および比較例1において、上記した有機ELパネルPおよび電子部品Wの移動、各アライメントマークの認識および相対位置ずれの記録を、上記した繰り返し時間(4.8時間)の間に連続して実施した。実施例1の測定結果を表1および
図9に示す。比較例1の測定結果を表2および
図10に示す。これらの表および図に示す結果について、繰り返し時間の間に取得したデータ(約1800回)において、1回目から10回目のデータの平均値(1)とそれから100回毎に10回分のデータの平均値((2)〜(18))を、それぞれ「相対位置ずれ認識結果」として、表1および表2に示す。表1および表2における「(1)の測定結果との差」は、100回毎のデータの平均値((2)〜(18)から1回目のデータ(1)を引いた値である。
図9および
図10は「(1)の測定結果との差」の変動を示している。表1および
図9と表2および
図10との比較から明らかなように、「温度ドリフト補正」を行うことによって、実装精度の変動を大幅に抑制することができる。従って、可撓性を有する表示用パネルに対する可撓性を有する電子部品の実装精度を長期間にわたって維持することが可能であることが分かる。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。