特許第6663940号(P6663940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6663940電子部品の実装装置と表示用部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663940
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】電子部品の実装装置と表示用部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20200302BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20200302BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   H05K13/04 M
   H05K13/08 Q
   G09F9/00 348Z
   G09F9/00 350Z
【請求項の数】11
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-12528(P2018-12528)
(22)【出願日】2018年1月29日
(65)【公開番号】特開2018-170498(P2018-170498A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年6月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-27576(P2017-27576)
(32)【優先日】2017年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-85223(P2017-85223)
(32)【優先日】2017年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神戸 寛久
(72)【発明者】
【氏名】野田 明孝
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 圭剛
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−251790(JP,A)
【文献】 特開2016−092350(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/099135(WO,A1)
【文献】 特開平04−324818(JP,A)
【文献】 特開2000−077898(JP,A)
【文献】 特開2012−094654(JP,A)
【文献】 特開平09−167786(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/010663(WO,A1)
【文献】 特開2011−047984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0099804(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101779530(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20μm以上500μm以下の厚みと、2.5GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する表示用パネルの縁部に配列された複数の電極に、可撓性を有する電子部品における、前記複数の電極に対応して配列された複数の端子を、接合部材を介して接続することによって、前記電子部品を前記表示用パネルに実装する電子部品の実装装置であって、
前記表示用パネルが載置されるステージであって、前記表示用パネルにおける前記電子部品が実装される前記縁部を下側から支持する支持部を備え、前記支持部と共に水平方向に移動可能なステージと、
前記電子部品を上側から保持し、前記支持部によって支持された前記縁部の上方位置に前記電子部品を位置付けるように、水平方向および垂直方向に移動可能で、前記縁部の上面に前記電子部品を熱圧着する熱圧着ヘッドと、
前記表示用パネルの前記縁部の上方位置に前記電子部品が位置付けられた状態で、前記表示用パネルと前記電子部品との間に進入可能で、かつ前記縁部に設けられたアライメントマークと前記電子部品に設けられたアライメントマークとを、1つの撮像領域内に同時に取り込んで撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像画像から求めた前記表示用パネルおよび前記電子部品の前記アライメントマークの相対位置情報に基づいて、前記表示用パネルと前記電子部品との位置を合わせるように、前記ステージと前記熱圧着ヘッドの相対位置を調整すると共に、調整された位置関係で前記熱圧着ヘッドにより前記電子部品を前記表示用パネルに熱圧着させるように、前記ステージおよび前記熱圧着ヘッドを制御する制御装置と
を具備する電子部品の実装装置。
【請求項2】
前記ステージの前記支持部は、前記表示用パネルの前記縁部との当接部に、前記縁部を吸着するように設けられた複数の吸着孔を有する、請求項1に記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
前記複数の吸着孔は、前記表示用パネルの前記縁部に生じる凹凸の周期より短い間隔で配置されている、請求項2に記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
さらに、前記ステージに前記表示用パネルを供給する搬送部を具備し、
前記搬送部は、前記表示用パネルの前記縁部を平坦に吸着保持する電極面吸着ブロックと、前記表示用パネルにおける前記電極面吸着ブロックで吸着される部分以外の部分を吸着保持する表示エリア吸着部とを有する保持体を備えている、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子部品の実装装置。
【請求項5】
前記表示エリア吸着部は、吸着面が平坦に形成された多孔質シートを有する、請求項4に記載の電子部品の実装装置。
【請求項6】
前記表示エリア吸着部は、前記電極面吸着ブロックに吸着保持された前記表示用パネルの前記縁部とは交差する方向に複数個並べて配置され、それぞれが前記電極面吸着ブロックとの間の間隔を調整自在に設けられている、請求項4または請求項5に記載の電子部品の実装装置。
【請求項7】
前記撮像装置は、撮像素子を有する撮像部と、前記表示用パネルの画像と前記電子部品の画像とを前記撮像素子に同時に導く導光用光学部材とを備える、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電子部品の実装装置。
【請求項8】
前記導光用光学部材は、底面が直角二等辺三角形である三角柱を成し、長さの等しい二辺に対応する2つの側面を反射面として構成された直角プリズムを有し、前記2つの反射面のうちの一方の反射面で前記表示用パネルの画像を前記撮像素子の第1の領域に導き、他方の反射面で前記電子部品の画像を前記撮像素子の第2の領域に導くように構成されている、請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項9】
キャリアテープから前記電子部品を打ち抜く打ち抜き装置と、
前記打ち抜き装置によって打ち抜かれた前記電子部品を保持する複数の保持ヘッドを備え、前記保持ヘッドを間欠回転移動させる間欠回転搬送装置と、
前記間欠回転搬送装置による前記電子部品の搬送経路に配置され、前記電子部品に前記接合部材を貼着する接合部材貼着装置と、
前記ステージ、前記熱圧着ヘッド、および前記撮像装置を備え、前記接合部材貼着装置によって前記接合部材が貼着された前記電子部品を前記表示用パネルに仮圧着する仮圧着装置と、
前記仮圧着装置よって前記表示用パネルに仮圧着された前記電子部品を本圧着する本圧着装置と、
前記打ち抜き装置と前記間欠回転搬送装置との間で前記電子部品の受渡しを行う第1の受渡し装置と、
前記間欠回転搬送装置と前記仮圧着装置との間で前記電子部品の受渡しを行う第2の受渡し装置と、
前記仮圧着装置から前記本圧着装置へ前記表示用パネルを搬送する搬送部とを具備し、
前記仮圧着装置と前記本圧着装置とは隣接して配置され、
前記間欠回転搬送装置と前記打ち抜き装置は、前記仮圧着装置に対して前記隣接する方向とは直交する方向に、前記間欠回転搬送装置、前記打ち抜き装置の順で配置される、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電子部品の実装装置。
【請求項10】
キャリアテープから前記電子部品を打ち抜く打ち抜き装置と、
前記表示用パネルにおける、前記打ち抜き装置により打ち抜かれた前記電子部品が実装される前記縁部に、前記接合部材を貼着する接合部材貼着装置と、
前記ステージ、前記熱圧着ヘッド、および前記撮像装置を備え、前記電子部品を前記表示用パネルに前記接合部材を介して仮圧着する仮圧着装置と、
前記仮圧着装置によって前記表示用パネルに仮圧着された前記電子部品を本圧着する本圧着装置と、
前記打ち抜き装置と前記仮圧着装置との間で前記電子部品の受渡しを行う受渡し装置と、
前記接合部材貼着装置から前記仮圧着装置へ前記表示用パネルを搬送する搬送部と、
前記仮圧着装置から前記本圧着装置へ前記表示用パネルを搬送する他の搬送部とを具備し、
前記接合部材貼着装置、前記仮圧着装置、および前記本圧着装置は、この順で配列され、
前記打ち抜き装置は、前記仮圧着装置に対して前記配列方向とは直交する方向に配置される、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電子部品の実装装置。
【請求項11】
20μm以上500μm以下の厚みと、2.5GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する表示用パネルをステージに保持させると共に、前記表示用パネルの複数の電極を有する縁部を、前記ステージに設けられた支持部によって下側から支持させる支持工程と、
前記複数の電極に対応して設けられた複数の端子を有し、可撓性を有する電子部品を熱圧着ヘッドに保持させる保持工程と、
前記支持部によって支持された前記縁部の上方位置に、前記熱圧着ヘッドに保持された前記電子部品を位置付ける工程と、
前記表示用パネルの前記縁部の上方位置に前記電子部品が位置付けられた状態で、前記表示用パネルと前記電子部品との間に撮像装置を進入させ、前記撮像装置で前記縁部に設けられたアライメントマークと前記電子部品に設けられたアライメントマークとを1つの撮像領域内に同時に取り込んで撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像した前記表示用パネルおよび前記電子部品の前記アライメントマークの画像に基づいて、前記表示用パネルと前記電子部品との相対位置関係を認識する位置認識工程と、
前記位置認識工程で認識した前記相対位置関係に基づいて前記ステージと前記熱圧着ヘッドとの相対位置を調整し、調整された位置関係で前記熱圧着ヘッドにより前記電子部品を前記表示用パネルに熱圧着する熱圧着工程と
を具備する表示用部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、可撓性を有する表示用パネルの縁部に可撓性を有する電子部品を実装する電子部品の実装装置と、表示用部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯端末等のディスプレイとして用いられるフラットパネルディスプレイ市場においては、液晶ディスプレイが圧倒的な普及率を占めている。そのような状況下において、近年、バックライトを必要とせずに薄型化が可能で、しかも柔軟な樹脂フィルム上に形成することで折り曲げが可能といった特徴を備えた有機ELディスプレイが、特に携帯端末用の小型ディスプレイ市場を中心に注目されている。このことから、折り曲げが可能、つまり可撓性を有する有機ELディスプレイの組み立てに好適に用いることができる電子部品の実装装置が求められている。
【0003】
現在、一般的な電子部品の実装装置としては、液晶ディスプレイ用のアウターリードボンディング装置(以下、OLB装置という。)が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、有機ELディスプレイ用としてのOLB装置は知られていない。このため、有機ELディスプレイを製造する際に実施される電子部品の実装工程には、液晶ディスプレイ用のOLB装置が代用されている。
【0004】
液晶ディスプレイ用のOLB装置は、ガラス基板によって構成された表示用パネルに異方性導電テープを介して電子部品を実装するものである。液晶ディスプレイ用のOLB装置を用いた実装工程においては、まず表示用パネルの電子部品が実装される縁部をステージからはみ出させて保持し、この表示用パネルの縁部に電子部品を近接させて保持する。この状態で、表示用パネルの上面のアライメントマークと電子部品の下面のアライメントマークとを、表示用パネルの下側から1つのカメラで同時に撮像し、両者の相対位置を認識する。この後、表示用パネルの縁部を下側からバックアップツールで保持し、認識した相対位置に基づいて表示用パネルに電子部品を位置合わせし、異方性導電テープを介して液晶用パネルの縁部に電子部品を加熱加圧して実装する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−135082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した液晶ディスプレイ用のOLB装置を、そのまま有機ELディスプレイの製造工程に適用した場合、電子部品を精度良く実装することができない。すなわち、本願発明者等は、上記した液晶ディスプレイ用のOLB装置をそのまま用いて、有機ELディスプレイの構成部品である、可撓性を有する表示用パネル(以下、有機ELパネルという。)に電子部品を実装し、表示用部材を製造することを試みた。具体的には、スマートフォンで広く普及している、大きさが5.0インチで厚みが約0.2mmの有機ELパネルに、電子部品として幅寸法が38mmのCOF(Chip on film)を実装した。その結果、液晶ディスプレイ用のOLB装置をそのまま適用しただけでは、有機ELパネルに電子部品を精度良く実装することができないことが判明した。具体的には、スマートフォン用の有機ELパネルでは、±3μm程度の実装精度が要求されるが、このような実装精度を満たすことができないことが明らかとなった。
【0007】
本願発明者等は、次の2つの要因が精度に影響していることを突き止めた。
(1.有機ELパネルの縁部の垂れの発生)
液晶ディスプレイの製造に用いられる表示用パネル(以下、液晶表示用パネルという。)は、厚みが0.5〜0.7mmのガラス基板同士を貼り合せたものであるから、比較的剛性が高い。そのため、液晶表示用パネルの縁部をステージから数10mm程度はみ出させて保持したとしても、その縁部が自重で垂れ下がることはほとんどない。
【0008】
これに対し、有機ELパネルでは、通常、有機EL素子が形成される部材である、厚みが0.01〜0.03mm(10〜30μm)程度のポリイミド(PI)フィルムを、支持材である厚みが0.1〜0.2mm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに接着して構成された薄い樹脂基板を用いているため、剛性が極めて低い。しかも、樹脂フィルムの特性上、吸湿による伸びや前述の貼り合せ時の応力で反りやうねりが生じることがある。そのため、有機ELパネルでは、その縁部をステージから数10mmはみ出させて保持した場合、はみ出した縁部が自重によって容易に垂れ下がってしまう。有機ELパネルの縁部が垂れ下がると、その分だけ縁部に形成されているアライメントマークの位置が水平方向にずれることになる。そのため、カメラを用いて行う有機ELパネルのアライメントマークの位置認識において、その認識位置にずれが生じることになる。
【0009】
本願発明者等が実験によって確認したところ、有機ELパネルの縁部を、同等サイズの液晶表示用パネルの場合と同じように、ステージから20mmはみ出させて保持した場合、縁部に垂れ下がりが生じ、この垂れ下がりによってアライメントマークの位置に、水平方向(ステージ側に向かって)に約4μmの位置ずれが生じていることが確認された。しかも、有機ELパネルの縁部が垂れ下がった場合、アライメントマークが水平状態に対して傾くことになる。傾斜しているアライメントマークを真下から撮像した場合、撮像されたアライメントマークの傾斜方向における長さが、水平状態で撮像された場合に比べて短く撮像される。つまり、傾斜の分だけ、撮像されるアライメントマークの形状が変形する。その結果、予め記憶されている基準マークとの形状の相違が生じ、これによってもアライメントマークの認識位置に誤差が生じることになる。
【0010】
本願発明者等が、水平に保持したアライメントマークと水平に対して5°傾けたアライメントマークとで認識位置の誤差を比較する実験を行ったところ、5°傾けたアライメントマークの方が平均して1μm程度誤差が大きいことが確認された。なお、アライメントマークを5°傾けて実験したのは、ステージから縁部を20mmはみ出させた場合に生じる垂れを複数の有機ELパネルについて測定したところ、いずれも5°以上の垂れが確認されたためである。
【0011】
(2.有機ELパネルの縁部での光の反射の変動)
有機ELパネルのアライメントマークを撮像する際、カメラのある下側から照明を当てるようにしている。そして、この照明の照射条件(照射光量、照射角度等)は、基準となる有機ELパネル(例えば、縁部がフラットな有機ELパネルで、以下「基準パネル」という。)を用いて、この基準パネルのアライメントマークが良好に撮像できる条件に設定している。このことから、実際に撮像される有機ELパネルの縁部には垂れや反りがあり、基準パネルの縁部に対して傾く等、状態が相違するため、有機ELパネルの縁部での照明の反射具合が基準パネルとは異なるものとなってしまう。その結果、アライメントマークを鮮明に撮像することができなくなったり、全く撮像することができなくなったりするという不具合が生じる。本願発明者等の実験の結果、アライメントマークが鮮明に撮像できなかった場合、認識位置に最大で1μm程度のずれが生じることが確認された。
【0012】
これらの知見によって、本願発明者等は有機ELパネルの縁部の垂れや反りを抑制するために、有機ELパネルの縁部を支持する部分(支持面)が平坦に加工され、アライメントマークに対応する部分に上下に貫通する撮像用の貫通孔が形成され、かつ縁部を吸着保持可能な支持部材をステージに取付け、有機ELパネルの縁部に垂れや反りが生じないように保持し、この状態で電子部品の実装を再度試みた。しかしながら、上記した対策によっても、±3μmの実装精度を十分に満たすことができなかった。その結果を受けて、本願発明者等はさらに鋭意検討の結果、以下の3つの要因が関係することを突き止めた。
【0013】
(3.有機ELパネルの表面精度の問題)
有機ELパネルを構成するPIフィルムやPETフィルム等の樹脂フィルムは、一般的に溶液流延法や溶融押出成型法等の加熱や溶媒によって溶かした樹脂を薄く成型し固化させることによって製造される。このように製造された樹脂フィルムは、薄く延ばされたままの精度、いわゆる出来なり(樹脂フィルムを成形したままの状態とし、仕上がりを整えるための研磨等が行われていない状態)の状態であることから、成形された後に化学的または物理的な研磨が行われるガラス基板に比べると、表面に微細な凹凸(うねり)を有している。しかも、この凹凸の状態が樹脂フィルムの一方の面と他方の面とでは異なるものとなっている。そのため、カメラでアライメントマークを撮像する際に、アライメントマークで反射する光の進行方向が、場所によって異なるものとなる。
【0014】
例えば、有機ELパネルにおいて、アライメントマークが形成された上面部分に、凹状に湾曲した形状となるうねりが生じていた場合を考える。有機ELパネルの下面は略水平面とする。そのような有機ELパネルのアライメントマークに、支持部材の貫通孔を通して下側から光を照射した場合、アライメントマークの一端(左端)の部分に向けて照射された光は、まず有機ELパネルの下面を透過する。このときは、有機ELパネルの下面が水平面なので入射した光はほとんど屈折しない。有機ELパネル内を進行し、有機ELパネルの上面とアライメントマークとの境界面に達した光は、その境界面において反射される。このとき、アライメントマークの左端の部分では、有機ELパネルの表面はアライメントマークに向かって(左から右に向かって)下り傾斜となっているので、傾斜に応じた反射角で外側(左方向)に向かって反射する。そして、反射した光は、有機ELパネルの下面に対して斜めに入射するので屈折し、さらに外側(左方向)に向けて進行する。
【0015】
一方、アライメントマークの他端(右端)の部分に向けて照射された光は、有機ELパネルの上面とアライメントマークとの境界面で、有機ELパネルの上面の傾斜に応じた反射角で反対方向(右方向)に反射し、さらに有機ELパネルの下面を通過するときに屈折することでさらに外側(右方向)に向けて進行する。このように、アライメントマークが形成された樹脂フィルムの表面に微細な凹凸(うねり)が生じていると、アライメントマークMに向けて照射された光の反射光が、入射時の光の経路とは異なる経路を辿ってカメラに入射することになり、さらにアライメントマークMの部位により反射光の経路が異なることになる。これらはアライメントマークの認識誤差を生じさせる要因となり、アライメントマークの位置認識精度が低下する。
【0016】
(4.有機ELパネルの光透過率の問題)
有機ELパネルは、上述したように、PIフィルムをPETフィルムに接着剤によって貼り合されて構成される。そのため、有機ELパネルの上面側に形成されたアライメントマークを有機ELパネルの下面側から撮像する場合、有機ELパネルの光透過率がアライメントマークの認識精度に影響を及ぼすことになる。具体的には、照明を如何に調整しても、アライメントマークの縁を鮮明に撮像することが困難となる。
【0017】
本願発明者等が、アライメントマークが形成された部分において、液晶表示用パネルのガラス板と有機ELパネルの樹脂基板との光透過率を測定したところ、有機ELパネルの方が液晶表示用パネルよりも7.4%程度光透過率が低かった。本願発明者等は、液晶表示用パネルと有機ELパネルとを用い、同じ液晶表示用パネルおよび同じ有機ELパネルについて、アライメントマークの認識をそれぞれ10回ずつ繰り返して行って、アライメントマークの認識位置の繰り返し精度を確認した。その結果、液晶表示用パネルの位置認識精度のバラツキが±0.3μmであったのに対し、有機ELパネルでは位置認識精度に±1.2μmのバラツキが生じた。
【0018】
(5.有機ELパネルの構造による問題)
有機ELパネルは、特性の異なる複数の樹脂フィルムを接着剤等によって貼り合せて構成されるものである。従って、有機ELパネルに向けて照射された光は、異なる部材同士の境界面を複数回通過した後にカメラに入射することとなる。
【0019】
ここでは、表面に有機EL素子やアライメントマークが形成されたPIフィルムをPETフィルムに対して接着剤を介して貼り合せた構成を考える。このような有機ELパネルのアライメントマークに向けて下側から光を照射した場合、照射された光は、空気とPETフィルムとの境界面、PETフィルムと接着剤層との境界面、接着剤層とPIフィルムとの境界面を通過する。PIフィルムとアライメントマークとの境界面で反射した光は、上記した各境界面を通過して、カメラに入射することとなる。
【0020】
前述したように、有機ELパネルの表面精度の影響で、空気とPETフィルムとの境界面が傾いていた場合には、光がPETフィルムの下面に対して傾斜して入射することになるため、上述した各境界面で光が屈折し、アライメントマークで反射された光が入射してきた経路とは異なる経路を辿ってカメラに入射することになる。そのため、光が屈折した分だけ、アライメントマークの認識位置がずれる。このようなことからも、アライメントマークの位置認識精度が低下する。図14は、有機ELパネル(図14(A))と液晶表示用パネル(図14(B))との円形のアライメントマークを撮像した画像である。有機ELパネルのアライメントマークの周縁部分の歪みが大きいことが確認できる。
【0021】
なお、PIフィルムの裏面側に蒸着等により反射率の高い薄膜が形成されていることがある。このような場合には、有機ELパネルに入射した光のほとんどがその薄膜で反射されてしまう。その場合、アライメントマークを鮮明に撮像することができなくなり、位置認識精度が著しく低下してしまうこととなる。また、有機ELパネルの帯電を防止する等の目的で、基材となるPIフィルムにカーボン粒子を含有させる場合がある。そのような場合には、カーボン粒子によって光の透過が遮られ、アライメントマークの撮像が困難となり、認識を正しく行うことができなくなる。
【0022】
本発明は、上述した従来の液晶ディスプレイ用のOLB装置を有機ELディスプレイの製造工程に適用した場合に生じる電子部品の実装精度の低下という課題に対処するためになされたもので、可撓性を有する表示用パネルに可撓性を有する電子部品を熱圧着により実装する場合であっても、表示用パネルに電子部品を精度よく実装することを可能にした電子部品の実装装置と表示用部材の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
実施形態の電子部品の実装装置は、20μm以上500μm以下の厚みと、2.5GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する表示用パネルの縁部に配列された複数の電極に、可撓性を有する電子部品における、前記複数の電極に対応して配列された複数の端子を、接合部材を介して接続することによって、前記電子部品を前記表示用パネルに実装する電子部品の実装装置であって、前記表示用パネルが載置されるステージであって、前記表示用パネルにおける前記電子部品が実装される前記縁部を下側から支持する支持部を備え、前記支持部と共に水平方向に移動可能なステージと、前記電子部品を上側から保持し、前記支持部によって支持された前記縁部の上方位置に前記電子部品を位置付けるように、水平方向および垂直方向に移動可能で、前記縁部の上面に前記電子部品を熱圧着する熱圧着ヘッドと、前記表示用パネルの前記縁部の上方位置に前記電子部品が位置付けられた状態で、前記表示用パネルと前記電子部品との間に進入可能で、かつ前記縁部に設けられたアライメントマークと前記電子部品に設けられたアライメントマークとを、1つの撮像領域内に同時に取り込んで撮像する撮像装置と、前記撮像装置の撮像画像から求めた前記表示用パネルおよび前記電子部品の前記アライメントマークの相対位置情報に基づいて、前記表示用パネルと前記電子部品との位置を合わせるように、前記ステージと前記熱圧着ヘッドの相対位置を調整すると共に、調整された位置関係で前記熱圧着ヘッドにより前記電子部品を前記表示用パネルに熱圧着させるように、前記ステージおよび前記熱圧着ヘッドを制御する制御装置とを具備する。
【0024】
実施形態の表示用部材の製造方法は、20μm以上500μm以下の厚みと、2.5GPa以上4.0GPa以下の曲げ弾性率を有し、可撓性を有する表示用パネルをステージに保持させると共に、前記表示用パネルの複数の電極を有する縁部を、前記ステージに設けられた支持部によって下側から支持させる支持工程と、前記複数の電極に対応して設けられた複数の端子を有し、可撓性を有する電子部品を熱圧着ヘッドに保持させる保持工程と、前記支持部によって支持された前記縁部の上方位置に、前記熱圧着ヘッドに保持された前記電子部品を位置付ける工程と、前記表示用パネルの前記縁部の上方位置に前記電子部品が位置付けられた状態で、前記表示用パネルと前記電子部品との間に撮像装置を進入させ、前記撮像装置で前記縁部に設けられたアライメントマークと前記電子部品に設けられたアライメントマークとを1つの撮像領域内に同時に取り込んで撮像する撮像工程と、前記撮像工程で撮像した前記表示用パネルおよび前記電子部品の前記アライメントマークの画像に基づいて、前記表示用パネルと前記電子部品との相対位置関係を認識する位置認識工程と、前記位置認識工程で認識した前記相対位置関係に基づいて前記ステージと前記熱圧着ヘッドとの相対位置を調整し、調整された位置関係で前記熱圧着ヘッドにより前記電子部品を前記表示用パネルに熱圧着する熱圧着工程とを具備する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実装装置によれば、有機ELパネルのような可撓性を有する表示用パネルに、可撓性を有する電子部品を熱圧着により実装する場合であっても、電子部品を精度良く実装することができる。さらに、本発明の表示用部材の製造方法によれば、表示用パネルに電子部品を精度良く実装した表示用部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態における電子部品の実装装置を示す平面図である。
図2図1に示す電子部品の実装装置の側面図である。
図3図1に示す電子部品の実装装置の仮圧着装置を示す斜視図である。
図4図3に示す仮圧着装置の位置認識ユニットを示す図であって、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図5図4に示す位置認識ユニットに用いられるプリズムを示す斜視図である。
図6】実施形態の実装装置に適用される有機ELパネルおよび電子部品を示す平面図である。
図7図4に示す位置認識ユニットのカメラにより撮像されたアライメントマークの撮像画像の一例を模式的に示す図である。
図8図1に示す電子部品の実装装置の本圧着装置を示す斜視図である。
図9図1に示す電子部品の実装装置における有機ELパネルの保持体の一例を示す斜視図である。
図10図1に示す電子部品の実装装置における有機ELパネルの保持体の他の例を示す斜視図である。
図11】他の実施形態における電子部品の実装装置を示す平面図である。
図12】実施例1による実装精度の変動を示すグラフである。
図13】比較例1による実装精度の変動を示すグラフである。
図14】従来のOLB装置を用いて有機ELパネルと液晶表示用パネルの円形のアライメントマークを撮像した画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態の電子部品の実装装置および表示用部材の製造方法について、図面を参照して説明する。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中における上下の方向を示す用語は、特に明記が無い場合には後述する表示用パネル(有機ELパネル)の電子部品の実装面を上とした場合の相対的な方向を示す。
【0028】
[実装装置の構成]
図1は、実施形態の電子部品の実装装置の構成を示す平面図、図2図1の電子部品の実装装置の側面図である。図1および図2に示す電子部品の実装装置1は、有機ELディスプレイのような表示装置の構成部材(表示用部材)の製造に用いられるものである。すなわち、実装装置1は、キャリアテープTから打ち抜かれたCOF等の可撓性を有する電子部品Wを、可撓性を有する表示用パネルとしての有機ELパネルPに、接合部材としての異方性導電テープFを介して実装し、有機ELパネルPに電子部品Wが実装された表示用部材を製造するために用いられる装置である。
【0029】
ここで、有機ELパネルPは、可撓性を有する部材を主として形成される。可撓性を有する部材としては、例えば、PI(ポリイミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等が用いられる。これらの部材を接着剤によって貼り合せて用いることも可能である。有機ELパネルPは、厚みが20μm以上500μm以下で、曲げ弾性率が2.5GPa以上4.0GPa以下となるように構成される。本実施形態における有機ELパネルPは、有機EL素子が形成されたPIフィルムを支持材であるPETフィルムに接着剤を介して貼り合せた構成を有する。PIフィルムの厚み(約10μm)に対してPETフィルムの厚み(約200μm)が10倍以上であるため、有機ELパネルPの曲げ弾性率はPETフィルムの曲げ弾性率とほぼ等しいと考えられる。
【0030】
ここで、曲げ弾性率は、JIS K7171:プラスチック−曲げ特性の求め方(2016年3月22日改訂版)で規定された試験方法にしたがって測定した値とする。具体的には、曲げ弾性率試験は、長さ80±2mm、幅10.0±0.2mm、厚さ4.0±0.2mmの寸法を有する試験片を、支点間距離を64mmに調整した撓み測定装置の支持台に支持させ、この支点間の中央に圧子を2mm/minの試験速度で下降させることで、試験片の中央を撓ませることにより行う。試験雰囲気は、JIS K7100で規定する標準雰囲気(温度23℃/湿度50%)とする。
【0031】
電子部品Wとしては、可撓性を有するCOF等の電子部品が用いられる。COFは、PI(ポリイミド)等によって形成された可撓性を有するフィルム状の回路基板上に半導体素子が実装されて構成されたものである。後述するように、COFはテープ状のフィルム部材から打ち抜かれることにより個片化されて形成される。
表示用部材は、有機ELパネルPのような表示用パネルに異方性導電テープFのような接合部材を介してCOFのような電子部品Wを実装して得られるものであり、有機ELディスプレイ等の表示装置の構成部品として用いられる部材である。
【0032】
実施形態の実装装置1は、キャリアテープTから電子部品Wを打ち抜く打ち抜き装置10(10A、10B)、打ち抜かれた電子部品Wを吸着保持し、間欠回転しながら搬送する間欠回転搬送装置20、間欠回転搬送装置20による搬送経路途中の間欠停止位置に配置され、間欠回転搬送装置20によって搬送される電子部品Wに接合部材としての異方性導電テープFを貼着する異方性導電テープ貼着装置(接合部材貼着装置)30、異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを有機ELパネルPに異方性導電テープFを介して仮圧着する仮圧着装置40、仮圧着装置40によって有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wを本圧着する本圧着装置50、打ち抜き装置10と間欠回転搬送装置20との間で電子部品Wの受渡しを行う第1の受渡し装置60、間欠回転搬送装置20と仮圧着装置40との間で電子部品Wの受渡しを行う第2の受渡し装置70、仮圧着装置40に対して有機ELパネルPの搬入を行う第1の搬送部80、仮圧着装置40から本圧着装置50に有機ELパネルPを搬送する第2の搬送部90、本圧着装置50から有機ELパネルPを搬出する第3の搬送部100を備え、さらに打ち抜き装置10、間欠回転搬送装置20、異方性導電テープ貼着装置30、仮圧着装置40、本圧着装置50、第1の受渡し装置60、第2の受渡し装置70、第1の搬送部80、第2の搬送部90、第3の搬送部100等の各部の動作を制御する制御装置110を備えて構成される。
【0033】
(打ち抜き装置10)
打ち抜き装置10は、キャリアテープTから電子部品WとしてのCOFを打ち抜くためのもので、第1の打ち抜き装置10Aと第2の打ち抜き装置10Bとを備える。第1の打ち抜き装置10Aと第2の打ち抜き装置10Bは、同一の構成を備え、装置正面から見て左右反転した状態で配置される。第1および第2の打ち抜き装置10A、10Bは、片方ずつ使用され、一方の打ち抜き装置10A、10Bで打ち抜きを行っている間に他方の打ち抜き装置10A、10BのキャリアテープTの交換作業が行えるようになっている。
【0034】
第1および第2の打ち抜き装置10A、10Bは、それぞれ、打ち抜き前のキャリアテープTが巻かれた供給リール11と、供給リール11から供給されたキャリアテープTから電子部品Wを打ち抜く金型装置12と、金型装置12で電子部品Wが打ち抜かれたキャリアテープTを巻き取る巻取りリール13とを備える。供給リール11から繰り出されたキャリアテープTは、複数のガイドローラ14およびスプロケット15によって方向を変換され、金型装置12を経由して巻取りリール13へと送られる。なお、スプロケット15は、キャリアテープTの搬送方向において金型装置12の手前に配置され、図示しない駆動モータによる回転駆動によりキャリアテープTを搬送しつつ、キャリアテープTを金型装置12に対して位置決めすることが可能とされている。
【0035】
金型装置12は、上金型12aと、上金型12aに対向配置された下金型12bとを備える。上金型12aは、その下面にパンチ12cを備える。一方、下金型12bには、パンチ12cが入り込む、上下に貫通するダイ孔12dが形成されている。このような金型装置12に対してキャリアテープTを供給および位置決めした状態で、上金型12aを上下方向に移動させることによって、キャリアテープTから電子部品Wが打ち抜かれる。なお、パンチ12cの先端面には吸着孔(不図示)が設けられており、打ち抜いた電子部品Wを吸着保持できるように構成されている。
【0036】
(間欠回転搬送装置20)
間欠回転搬送装置20は、同一形状の4つのアーム部21が互いに直交する関係で配置され、平面視で十字形状を有するインデックステーブル22と、インデックステーブル22を90°間隔で間欠的に回転駆動させる回転駆動部23とを備える。インデックステーブル22の各アーム部21の先端には、それぞれ電子部品Wを吸着保持する保持ヘッド24が設けられている。インデックステーブル22の90°毎の4つの停止位置A〜Dには、打ち抜き装置10で打ち抜かれた電子部品Wを受け取るための受け取り位置A、保持ヘッド24に保持された電子部品Wに対して位置決め(ゲージング)と清掃を行うためのゲージング/清掃位置B、保持ヘッド24に保持された電子部品Wに対して異方性導電テープFを貼着するための貼着位置C、異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを仮圧着装置40に受け渡すための受渡し位置Dが設定されている。
【0037】
(異方性導電テープ貼着装置30)
異方性導電テープ貼着装置30は、間欠回転搬送装置20の貼着位置Cに対応して設けられ、異方性導電テープFを離型テープRに貼着支持させたテープ状部材Sが巻かれた供給リール31と、貼着位置Cに位置付けられた保持ヘッド24と対向する位置に配置された貼着ヘッド32と、異方性導電テープFが剥離された後の離型テープRを収容する回収部33と、供給リール31から供給されたテープ状部材Sを、貼着位置Cを通過する搬送経路を辿って回収部33へと案内する複数のガイド部34と、複数のガイド部34によるテープ状部材Sの搬送経路の貼着位置Cよりも下流側に配置され、テープ状部材Sの搬送方向に沿って往復移動することで、テープ状部材Sを所定長さずつ間欠搬送するチャック送り部35と、テープ状部材Sの搬送経路の貼着位置Cよりも上流側に配置され、テープ状部材Sのうち異方性導電テープFのみを切断する切断部36とを備えている。
【0038】
貼着ヘッド32は、貼着位置Cに位置決めされた保持ヘッド24に保持された電子部品Wの端子部に、所定長さに切断されて貼着位置Cに搬送および位置決めされた異方性導電テープFを押圧するための貼着ツール32aと、この貼着ツール32aを昇降動させる昇降駆動部32bと、貼着ツール32aに内蔵され、貼着ツール32aを加熱して異方性導電テープFを電子部品Wの端子部に貼着するヒータ32cとを有する。
【0039】
(仮圧着装置40)
仮圧着装置40は、異方性導電テープ貼着装置30によって異方性導電テープFが貼着された電子部品Wを吸着保持し、有機ELパネルPに仮圧着するための熱圧着ヘッドとしての仮圧着ヘッド41と、有機ELパネルPを保持および位置決めするためのステージ42と、ステージ42に保持された有機ELパネルPと仮圧着ヘッド41に保持された電子部品Wとの相対位置を認識するための位置認識ユニット43とを備える。
【0040】
仮圧着ヘッド41は、電子部品Wをその上面側から吸着保持する加圧ツール41aと、加圧ツール41aをY、Z、θ方向に移動させるツール駆動部41bと、加圧ツール41aに内蔵されて加圧ツール41aを加熱するヒータ41cとを有する。ステージ42は、図3に示すように、有機ELパネルPを載置する載置部42aと、載置部42aと一体的に設けられ、有機ELパネルPのうち電子部品Wが実装される縁部を下側から支持する支持部42bと、載置部42aと支持部42bとを一体的にX、Y、Z、θ方向に移動させるステージ駆動部42cとを有する。
【0041】
載置部42aにおける有機ELパネルPを載置する載置面42dには、有機ELパネルPを吸着保持するための吸着孔42eが複数形成されている。この吸着孔42eは、載置面42dに有機ELパネルPが載置されたとき、有機ELパネルPにおける画像の表示エリアに対向する位置に主に配置されている。この例においては、載置面42dの有機ELパネルPが載置される領域(図3において二点鎖線で囲まれた領域)内に吸着孔42eを均等の間隔で行列状に配置した例で説明するが、後述する支持部42bよって支持される有機ELパネルPの少なくとも縁部が平坦になるように吸着保持できれば良いので、載置面42dに載置されている有機ELパネルPをその全域で吸着保持しなければならないものではない。例えば、支持部42b側から縁部とは直交する方向に有機ELパネルPの長さの半分、あるいは1/3程度の領域を吸着孔42eで吸着保持するようにしても良い。吸着孔42eは、有機ELパネルPの表示エリアを吸着することになるので、吸着によって表示エリアに吸着痕が残らないように、孔径を小さく設定することが好ましい。孔径は、有機ELパネルPの固定に必要な吸引力とこの吸引による有機ELパネルPの変形量の関係を実験等によって求め、吸着痕が残らないようにその大きさを設定するようにすれば良い。なお、載置面42dを多孔質部材、例えば多孔質セラミックスを使用した真空チャックにより構成しても良い。
【0042】
支持部42bは、前述したように、載置部42aと一体的に設けられ、有機ELパネルPの縁部を支持する長尺状の部材であり、その上面が平坦な支持面42fとして形成されている。支持面42fの高さ位置は、載置部42aの載置面42dの高さと同じ高さに設定される。また、この支持面42fには、その長手方向に沿って、有機ELパネルPの縁部を吸着保持するための複数の吸着孔42gが、複数列に配列されている。支持部42bの吸着孔42gも、載置部42aの吸着孔42eと同様に、小さい方が好ましい。ただし、支持部42bが支持する有機ELパネルPの縁部は、電子部品Wとの接続のための電極が配列された部分で表示エリアではない。そのため、載置部42aの吸着孔42eほど孔径を小さくする必要はないが、有機ELパネルPの縁部であってアライメントマークPM(図6参照)が形成された部分に吸引による変形が生じることは、位置認識精度を低下させる要因となるために好ましくない。吸着孔42gの孔径および吸着力は、有機ELパネルPの縁部に変形が生じない程度の大きさに設定することが好ましい。さらに、有機ELパネルPの縁部がその全域において支持面42fに密着されるように、吸着孔42gの配置間隔は、有機ELパネルPの縁部に生じる反りやうねりによる凹凸の周期よりも短い間隔とすることが好ましい。
【0043】
ステージ駆動部42cは、載置部42aおよび支持部42bを、水平方向の一方向であるX軸方向に移動させるX軸方向駆動部、X軸方向に直交する水平方向であるY軸方向に移動させるY軸方向駆動部、水平方向に直交するZ軸方向に移動させるZ軸方向駆動部、水平面内で回転動させるθ駆動部を、下側からこの順で積層して構成された駆動部である。なお、ステージ駆動部42cは、X軸方向およびY軸方向の位置決め精度の向上を図るため、X軸方向駆動部およびY軸方向駆動部にリニアエンコーダを付随して設けている。
【0044】
次に、位置認識ユニット43について、図4ないし図6を用いて説明する。図4(A)は位置認識ユニット43の概略構成を示す平面図、図4(B)は位置認識ユニット43の概略構成を示す正面図である。図5は位置認識ユニット43に用いられるプリズムの構成を示す斜視図である。図6は、位置認識ユニット43によって位置認識される有機ELパネルPと電子部品Wの概略構成を示す平面図である。図中、X軸方向を左右方向として説明する。有機ELパネルPは、その縁部に形成された電極列ERと、電極列ERの左右両側にそれぞれ設けられた一対のアライメントマークPMとを有する。電子部品Wは、電極列ERと対応するように配列された端子列TRと、端子列TRの左右両側にそれぞれ設けられた一対のアライメントマークWMとを有する。なお、図6においては分かりやすくするために、有機ELパネルPと電子部品Wとを間隔を開けた状態で示しているが、位置認識の際には、有機ELパネルPの電極列ERと電子部品Wの端子列TRとが上下方向に間隔を開けた状態で重なるように配置される。
【0045】
位置認識ユニット43は、ステージ42に保持された有機ELパネルPの一対のアライメントマークPMと、仮圧着ヘッド41に保持された電子部品WのアライメントマークWMとの相対位置関係を認識する。このため、位置認識ユニット43は、第1の撮像装置43Aと第2の撮像装置43Bとを備える。第1の撮像装置43Aは、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMのうち、左側のアライメントマークPM、WMを撮像するためのものである。第2の撮像装置43Bは、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMのうち、右側のアライメントマークPM、WMを撮像するためのものである。第1の撮像装置43Aおよび第2の撮像装置43Bは、同一の構成を備え、図4において左右反転した状態で配置されている。
【0046】
第1および第2の撮像装置43A、43Bは、それぞれアライメントマークPM、WMを静止画で撮像する、撮像素子を備えて成るCCD(Charge Coupled Device)カメラ等のカメラ(撮像部)43aと、カメラ43aと一体的に設けられ、上下の画像をカメラ43aの1つの撮像領域に、この撮像領域を上下に2分割した状態で同時に取込むための鏡筒部43bと、カメラ43aおよび鏡筒部43bをX軸方向に往復移動自在に支持するX軸移動装置43cとを備える。第1および第2の撮像装置43A、43Bは、第1の撮像装置43Aのカメラ43aによって撮像した画像と第2の撮像装置43Bのカメラ43aによって撮像した画像とを処理する画像処理部43dを備える。ここで、1つの撮像領域とは、カメラ43aが備える、受光素子が行列状に配置されて成る撮像素子が一度に画像を取り込む範囲として設定された領域のことである。従って、この領域は撮像素子の全ての受光素子によって構成されることもあれば、一部の受光素子によって構成されることともある。第1および第2の撮像装置43A、43Bのカメラ43aは、その光軸Lが図4に示す水平方向であるX軸方向に平行となるように配置される。カメラ43aには、同軸照明が組み込まれている。
【0047】
鏡筒部43bは、上下の画像をカメラ43aの撮像領域内に同時に導く導光用光学部材としての直角プリズム43eを備える。直角プリズム43eとは、図5に示すように、頂角を90°とした二等辺三角形(直角二等辺三角形)を成す三角柱に形成されたプリズムであり、長さの等しい2つの辺に対応する二側面が反射面43e1、43e2として機能する。この直角プリズム43eは、2つの反射面43e1、43e2によって形成される稜線43e3の中央がカメラ43aの光軸L上に位置し、一方の反射面43e1が上側を向き、他方の反射面43e2が下側を向き、かつ二等辺三角形の底辺に対応する面がXY平面に対して垂直となるように、鏡筒部43bに取り付けられる。つまり、プリズム43eの底面に対応する面が鏡筒部43b先端の垂直面に固定される。これによって、カメラ43aの光軸に平行に進行し、プリズム43eの上向きの反射面43e1に入射した光は真上に向けて反射され、またカメラ43aの光軸に平行に進行し、プリズム43eの下向きの反射面43e2に入射した光は真下に向けて反射されることとなる。その結果、後述するように、電子部品WのアライメントマークMWを含む画像が反射面43e1によりカメラ43aの撮像素子の第1の領域に導かれ、有機ELパネルPのアライメントマークPMの画像が反射面43e2によりカメラ43aの撮像素子の第2の領域(第1の領域とは異なる)に同時に導かれる。図示は省略するが、プリズム43eにおける底辺に対応する面と鏡筒部43b先端の垂直面との間には、プリズム43eの取り付け角度を三次元に調整可能な、微小送りねじやマイクロメータ等を用いた傾き調整機構が設けられる。
【0048】
X軸移動装置43cは、仮圧着ヘッド41による仮圧着位置に位置付けられた有機ELパネルPおよび電子部品WそれぞれのアライメントマークPM、WMを撮像する撮像位置(図4(B)に示された位置)と、退避位置(図4(A)において鏡筒部43bが実線で示された位置)とにカメラ43aおよび鏡筒部43bを移動可能とする。ここで、退避位置は、仮圧着動作を実施する際に加圧ツール41aが電子部品Wに対して昇降動したときに、加圧ツール41aの動作を妨げることのない位置に設定される。具体的には、第1の撮像装置43Aについては、撮像位置に対してX軸方向左側の位置に設定される。また、第2の撮像装置43Bについては、撮像位置に対してX軸方向右側の位置に設定される。第1の撮像装置43Aと第2の撮像装置43Bのカメラ43aおよび鏡筒部43bの移動は同期して行なわれる。
【0049】
なお、仮圧着位置に位置付けられた状態においては、図4(B)に示すように、仮圧着ヘッド41に保持された電子部品Wが有機ELパネルPの縁部に対してその上方で対向して離間した位置にある。そのため、鏡筒部43bは、有機ELパネルPと電子部品Wの間に進入して、撮像位置に位置付けられる。この撮像位置に位置付けられた状態においては、プリズム43eの上向きの反射面43e1が電子部品WのアライメントマークWMに対向し、下向きの反射面43e2が有機ELパネルPのアライメントマークPMに対向するようになっている。
【0050】
画像処理部43dはカメラ43aの撮像信号を受け、図7に示すように、1つの撮像領域内に同時に取り込まれて得られた撮像画像H中における有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとを認識し、両アライメントマークPM、WMの相対位置に関するデータ(以下、「相対位置データ」という。)を検出する。具体的には、カメラ43aの撮像画像Hにおいては、図7に示すように、プリズム43eの稜線43e3がその中央を水平に横切るように撮像され、この稜線43e3の画像を境にして上側領域(第1の領域)H1に電子部品W(電子部品WのアライメントマークWM)の画像が撮像され、下側領域(第2の領域)H2に有機ELパネルP(有機ELパネルPのアライメントマークPM)の画像が撮像される。なお、図7においては、有機ELパネルPおよび電子部品Wに形成されているアライメントマークPM、WM以外のパターンは図示を省略している。
【0051】
画像処理部43dは、公知のパターンマッチング処理により、第1の領域H1内において、予め設定された電子部品WのアライメントマークWMの基準パターンと閾値以上のマッチング率が得られる画像を電子部品WのアライメントマークWMとして認識する。また、第2の領域H2内において、予め設定された有機ELパネルPのアライメントマークPMの基準パターンと閾値以上のマッチング率が得られる画像を有機ELパネルPのアライメントマークPMとして認識する。そして、認識した2つのアライメントマークWM、PMとの相対位置データをカメラ座標系に基づいて検出する。求めた相対位置データは、制御装置110に送信する。第1および第2の撮像装置43A、43Bの画像処理部43dの機能は、後述する制御装置110が担うようにしても良い。
【0052】
(本圧着装置50)
本圧着装置50は、図8に示すように、異方性導電テープFを介して電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを保持および位置決めするためのステージ51と、有機ELパネルPに対して電子部品Wを本圧着するための本圧着ヘッド52と、この本圧着ヘッド52の下側に本圧着ヘッド52に対向して配置され、本圧着の際に有機ELパネルPにおける電子部品Wの仮圧着された縁部を下方から支持するバックアップ部53と、有機ELパネルPの位置を認識するための位置認識ユニット54とを備える。
【0053】
ステージ51は、有機ELパネルPを載置する載置部51aと、載置部51aをX、Y、Z、θ方向に移動させるステージ駆動部51bとを有する。載置部51aは、平面視において矩形状を成す部材であり、有機ELパネルPを載置する載置面(上面)51cには、有機ELパネルPを吸着保持するための吸着孔51dが複数形成されている。吸着孔51dは、仮圧着装置40のステージ42の吸着孔42eと同様に、有機ELパネルPの吸着痕が残らないように、孔径を小さく設定することが好ましい。ステージ駆動部51bは、仮圧着装置40のステージ駆動部42cと同様に、X軸方向駆動部、Y軸方向駆動部、Z軸方向駆動部、θ駆動部を、下側からこの順で積層して構成された駆動部である。
【0054】
本圧着ヘッド52は、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wをその上面側から押圧する加圧ツール52aと、加圧ツール52aをZ軸方向に移動させるツール駆動部52bと、加圧ツール52aに内蔵され、加圧ツール52aを加熱するヒータ52cとを有する。バックアップ部53は、本圧着ヘッド52の加圧ツール52aの真下の位置に設けられた、加圧ツール52aと同等の長さに形成されたバックアップツール53aと、バックアップツール53aを支持する支持部材53bとを有する。バックアップツール53aの上面は、載置部51aに載置された有機ELパネルPの電子部品Wが仮圧着された縁部の下面を支持する平坦面として形成されている。
【0055】
位置認識ユニット54は、第1のカメラ54aと、第2のカメラ54bと、画像処理部(不図示)とを有する。第1および第2のカメラ54a、54bは、ステージ51による有機ELパネルPの移動範囲内の上方に、所定の間隔を開けて下向きに取り付けられており、有機ELパネルPの電子部品Wが仮圧着された縁部における両端部近傍に設けられたアライメントマークを撮像する。上述した第1および第2のカメラ54a、54bの間隔(所定の間隔)は、このアライメントマーク同士の間隔である。なお、このアライメントマークは、仮圧着装置40において相対位置データの認識に用いたアライメントマークPMとは別のアライメントマークである。不図示の画像処理部は、第1および第2のカメラ54a、54bによって撮像された有機ELパネルPのアライメントマークの撮像画像に基づいて、公知のパターンマッチング処理によりアライメントマークを認識し、アライメントマークの位置を検出する。
【0056】
(第1の受渡し装置60)
第1の受渡し装置60は、キャリアテープTから打ち抜かれた電子部品Wを下側から吸着保持する受け部61と、受け部61を打ち抜き装置10A、10Bの金型装置12の真下の位置と受け取り位置Aに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24の真下の位置とに移動させるためのX、Y、Z、θ駆動部62とを備える。
【0057】
(第2の受渡し装置70)
第2の受渡し装置70は、電子部品Wを下側から吸着保持する受け部71と、受け部71を受渡し位置Dに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24の真下の位置と仮圧着装置40の仮圧着ヘッド41の真下の位置とに移動させるためのX、Y、Z、θ駆動部72とを備える。
【0058】
(第1の搬送部80)
第1の搬送部80は、不図示の供給部から供給される有機ELパネルPを上側から吸着保持する保持体81と、この保持体81を不図示の供給部による有機ELパネルPの供給位置と仮圧着装置40のステージ42に対する有機ELパネルPの搬入位置とに移動させるためのXZ駆動部82とを備える。
【0059】
保持体81は、図9に示すように、有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される電極列ERが形成された縁部を吸着保持する電極面吸着ブロック81aと、この電極面吸着ブロック81aに隣接して配置され、有機ELパネルPにおける電極面吸着ブロック81aによって吸着される部分以外の部分を吸着保持する表示エリア吸着部81bとを有している。電極面吸着ブロック81aは、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部全域を吸着保持可能な長さに形成され、当該縁部に沿う方向に長い直方体形状の部材である。この電極面吸着ブロック81aの吸着面81cは平坦に形成され、複数の吸着孔81dが設けられている。そして、この吸着孔81dは、仮圧着装置40の支持部42bと同様に、有機ELパネルPの縁部に変形が生じない程度の大きさに孔径が設定されており、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部を平坦にして吸着保持することができるようになっている。表示エリア吸着部81bは、吸着面が平坦な多孔質体やスポンジで形成されており、多数の吸着孔を有している。電極面吸着ブロック81aおよび表示エリア吸着部81bの吸着面は、同一平面上に位置するように調整されている。
【0060】
図9では1つの表示エリア吸着部81bを示しているが、複数の表示エリア吸着部81bが並べて配置されていても良い。表示エリア吸着部81bは、図10に示すように、電極面吸着ブロック81aの長手方向(電極面吸着ブロック81aに保持された有機ELパネルPの縁部方向)とは交差する方向(この実施形態では、直交する方向)に2つ並べて配置される。2つの表示エリア吸着部81bは、それぞれが電極面吸着ブロック81aとの間の間隔を調整自在に保持体81の本体部81eに支持される。これらの表示エリア吸着部81bは、アルミニウム等の金属製のベース部81b1と、このベース部81b1における有機ELパネルPを保持する面(以下、「下面」という。)を覆う平坦な多孔質シート81b2とを備える。ベース部81b1には、真空吸引孔に連通する概略格子状の吸引溝がその下面に形成されており、この下面に設けられた多孔質シート81b2の全域に真空吸引力を作用させ、多孔質シート81b2の全域で有機ELパネルPを略均一な吸引力で平坦に保持することができるようになっている。多孔質シート81b2としては、例えば樹脂の多孔質成形体をフィルム状に加工したものを用いることができる。このように構成することによって、保持体81は可撓性を有する薄いフィルム状の有機ELパネルPであっても、平坦にかつ吸着痕を生じさせることなく吸着保持することができる。
【0061】
また、有機ELパネルPを仮圧着装置40のステージ42上に載置するときには、電極面吸着ブロック81aが有機ELパネルPの電極が形成された縁部の上面(電極面)をステージ42の支持部42bに対して押し付けることとなる。従って、有機ELパネルPの電極面は、電極面吸着ブロック81aの平坦な吸着面81cと支持部42bの平坦な支持面42fとの間に挟まれ、平坦に矯正された状態で、支持部42bに吸着保持される。さらに、表示エリア吸着部81bが有機ELパネルPを平坦に吸着保持した状態で、有機ELパネルPを載置部42aの載置面42dに当接させるので、有機ELパネルPは電極面以外でも皺等が生じることなく載置部42aに吸着保持される。
【0062】
(第2の搬送部90)
第2の搬送部90は、仮圧着装置40によって電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを上側から吸着保持する保持体91と、この保持体91を仮圧着装置40のステージ42から有機ELパネルPを搬出する搬出位置と本圧着装置50のステージ51に対する有機ELパネルPの搬入位置とに移動させるためのXZ駆動部92とを備える。保持体91は、有機ELパネルPの上面における略全域を吸着保持する、吸着面が平坦な多孔質体等で形成された表示エリア吸着部を備えている。この表示エリア吸着部は、保持体81の表示エリア吸着部81bと同様に構成される。
【0063】
(第3の搬送部100)
第3の搬送部100は、本圧着装置50によって電子部品Wが本圧着された有機ELパネルP、つまり表示用部材を上側から吸着保持する保持体101と、この保持体101を、本圧着装置50のステージ51から有機ELパネルPを搬出する搬出位置と不図示の搬出装置への受渡し位置とに移動させるためのXZ駆動部102とを備える。
【0064】
(制御装置110)
制御装置110は、記憶部111を備える。この記憶部111には、例えば仮圧着装置40での荷重、加熱温度やアライメントマークPM、WMの基準位置情報等、各部を制御するための各種の情報が記憶される。
【0065】
[実装装置の動作]
次に、実施形態の実装装置1の作動について説明する。まず、第1の打ち抜き装置10Aの供給リール11からキャリアテープTが供給され、金型装置12によってキャリアテープTから電子部品Wが打ち抜かれる。打ち抜かれた電子部品Wは、パンチ12cに吸着保持される。パンチ12cに保持された電子部品Wは、第1の受渡し装置60の受け部61に受け渡され、第1の受渡し装置60により間欠回転搬送装置20の受け取り位置Aへと移送される。受け取り位置Aに移送された電子部品Wは、受け取り位置Aに位置付けられた間欠回転搬送装置20の保持ヘッド24へと受け渡される。なお、第1の受渡し装置60は、電子部品Wを受け取り位置Aに移送する途中で、電子部品Wの向きを90°回転させることで、端子列TRが形成された縁部を受け取り位置Aに位置付けられた保持ヘッド24の外方側面に沿う方向(Y方向)に合わせる。
【0066】
保持ヘッド24に保持された電子部品Wは、インデックステーブル22の間欠回転によって、ゲージング/清掃位置B、貼着位置C、受渡し位置Dへと順次移送される。この移送中、ゲージング/清掃位置Bにおいて、電子部品Wは不図示の位置決め機構の当接により保持ヘッド24に対して位置決めされると共に、不図示の回転ブラシ等の清掃機構により端子部に付着した塵埃の清掃が行われる。また、貼着位置Cにおいて、電子部品Wの端子部には、異方性導電テープ貼着装置30によって異方性導電テープFが貼着される。ゲージング/清掃位置Bにて位置決めおよび清掃が行われ、貼着位置Cにて異方性導電テープFが貼着された電子部品Wが受渡し位置Dに位置付けられると、電子部品Wは受渡し位置Dにおいて第2の受渡し装置70の受け部71に受け渡される。受け部71に受け渡された電子部品Wは、仮圧着装置40の仮圧着ヘッド41の真下の位置に移送され、仮圧着ヘッド41に受け渡される。
【0067】
一方、上述した動作と並行的に、不図示の供給部から第1の搬送部80の保持体81によって有機ELパネルPが取出され、仮圧着装置40のステージ42に供給載置される。まず、第1の搬送部80の保持体81が不図示の供給部へ移動し、供給部において準備された有機ELパネルPの上面に保持体81の保持面、すなわち電極面吸着ブロック81aの吸着面81cおよび表示エリア吸着部81bの吸着面を当接させる。この際、保持体81によって有機ELパネルPを軽く押え付けた状態で電極面吸着ブロック81aと表示エリア吸着部81bの吸着力を作用させる。このようにすることによって、有機ELパネルPに反りや撓みが生じている場合においても、有機ELパネルPを平坦な状態で保持体81に保持させることができる。
【0068】
保持体81に保持された有機ELパネルPは、仮圧着装置40のステージ42上に搬送される。このとき、仮圧着装置40のステージ42は、保持体81から有機ELパネルPの供給を受ける供給位置(図1に二点鎖線で示す位置)に位置付けられている。ステージ42上に搬送された有機ELパネルPはステージ42に載置される。このとき、保持体81の下降によって、有機ELパネルPはステージ42上に押し付けられて平坦化される。
【0069】
より詳細には、有機ELパネルPは、保持体81の電極面吸着ブロック81aの吸着面81cに電極面が吸着保持されていると共に、表示エリア吸着部81bに表示エリアが吸着保持されており、これらによって平坦な状態で保持されている。この状態で、有機ELパネルPはステージ42上に押し付けられるので、有機ELパネルPは保持体81の電極面吸着ブロック81aの吸着面81cおよび表示エリア吸着部81bの吸着面と、ステージ42の支持部42bの支持面42fおよび載置部42aの載置面42dとの間に挟まれる。そのため、有機ELパネルPは、平坦化された状態を維持したままでステージ42上に受け渡され、ステージ42に吸着保持される。
【0070】
この際、有機ELパネルPがステージ42上に押し付けられた状態で、ステージ42の支持部42bの吸着孔42gおよび載置部42aの吸着孔42eに吸引力を作用させた後、保持体81の電極面吸着ブロック81aと表示エリア吸着部81bの吸引力を解除するようにしても良いが、ステージ42に吸引力を作用させる前に保持体81の吸引力を解除するようにしても良い。このようにすることで、ステージ42と保持体81との間に挟持された有機ELパネルPの面方向における拘束が軽減されることになるので、仮に反りや撓みが残った状態で保持体81に保持されていた場合でも、その反りや撓みが挟持によって矯正されて平坦化されることが期待される。このため、保持体81をステージ42に押し付ける力は、前述の矯正の妨げにならない程度の大きさに設定することが好ましい。
【0071】
ステージ42に有機ELパネルPが保持されると、保持体81は不図示の供給部へと移動する。ステージ42は、仮圧着ヘッド41による仮圧着位置に移動する。これによって、ステージ42に支持された有機ELパネルPは、仮圧着位置に位置付けられる。
【0072】
一方、電子部品Wを保持した仮圧着ヘッド41は、第2の受渡し装置70から電子部品Wを受け取った受渡し位置から仮圧着位置に移動する。仮圧着位置において、電子部品Wは仮圧着位置に位置付けられた有機ELパネルPの電極面に対して、所定の高さだけ上方の位置に位置付けられた状態となる。つまり、仮圧着位置における有機ELパネルPと電子部品Wは、有機ELパネルPの電極面と電子部品Wの端子部とが上下に離間した状態で対向配置されることになる。
【0073】
有機ELパネルPと電子部品Wが仮圧着位置に位置付けられると、位置認識ユニット43の第1および第2の撮像装置43A、43Bがそれぞれ退避位置から撮像位置に移動する。この状態で、第1および第2の撮像装置43A、43Bは、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMの画像をそれぞれ同時に取込む。そして、取り込まれた両アライメントマークPM、WMの画像は画像処理部43dに送られ、画像処理部43dによって両アライメントマークPM、WMの相対位置データが求められる。相対位置データは制御装置110に送られ、記憶部111に予め記憶されている相対位置データの基準位置情報と比較され、その結果に基づいて有機ELパネルPと電子部品WとのX、Y、θ方向の相対位置ずれが求められる。制御装置110は、求めた相対位置ずれに基づいて、この位置ずれを無くすようにツール駆動部41bとステージ駆動部42cを制御して、有機ELパネルPと電子部品Wとを位置合わせする。
【0074】
有機ELパネルPと電子部品Wとの位置ずれを修正した後、ツール駆動部41bの駆動によって加圧ツール41aが下降される。これによって、予め設定された加熱温度、加圧力、加圧時間で、電子部品Wの端子部が有機ELパネルPの電極面に異方性導電テープFを介して加熱加圧され、電極列ERを有する縁部が支持部42bにより下側から支持された有機ELパネルPに電子部品Wが仮圧着される。このとき、ステージ42の支持部42bを下側から支持するバックアップ部材を設けておき、このバックアップ部材によって仮圧着する際に支持部42bを下から支持するようにしても良い。このようにすることで、加圧によってステージ42に撓みが生じることが防止できるので、ステージ42の剛性を低くして軽量化を図ることが可能となる。ステージ42を移動させる際の負荷が低減され、移動時の振動の低減が図れ、安定かつ迅速な移動や位置決めが可能となる。
【0075】
予め設定された加圧時間が経過すると、加圧ツール41aによる電子部品Wの吸着が解除されると共に加圧ツール41aが上昇する。加圧ツール41aは、第2の受渡し装置70から電子部品Wが受け渡される受渡し位置に移動される。また、電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPを載置するステージ42は、第2の搬送部90に有機ELパネルPを受け渡す搬出位置へと移動される。この搬出位置で、有機ELパネルPは、第2の搬送部90の保持体91によって、その上面を第1の搬送部80の保持体81による保持と同様にして吸着保持され、本圧着装置50のステージ51へと搬送される。
【0076】
第2の搬送部90によって本圧着装置50に供給された有機ELパネルPは、搬入位置に位置付けられたステージ51上に受け渡され、ステージ51上に吸着保持される。この受渡しの際の動作は、第1の搬送部80からステージ42への有機ELパネルPの受渡しと同様にして行なわれる。ただし、電子部品Wが仮圧着された有機ELパネルPの縁部が、ステージ51からはみ出した状態で保持される点が相違する。
【0077】
ステージ51に有機ELパネルPが保持されると、ステージ51は有機ELパネルPの縁部をバックアップツール53aの上面に支持させるべく移動される。なお、この移動の途中で、位置認識ユニット54によって有機ELパネルPのアライメントマーク(アライメントマークPMとは別のマーク)の位置認識が行われる。この位置認識結果に基づいて、ステージ51は有機ELパネルPの電極面がバックアップツール53aの上面に正しい位置関係で位置するように移動される。バックアップツール53aの上面に有機ELパネルPの縁部が支持されると、ツール駆動部52bの駆動によって加圧ツール52aが下降され、予め設定された加熱温度、加圧力、加圧時間で、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wが本圧着される。
【0078】
予め設定された加圧時間が経過すると、加圧ツール52aは上昇される。また、電子部品Wが本圧着された有機ELパネルP、つまり表示用部材を載置するステージ51は、第3の搬送部100に有機ELパネルPを受け渡す搬出位置へと移動される。この搬出位置で、有機ELパネルPは第3の搬送部100の保持体101によって、その上面を吸着保持され、不図示の搬出装置へと搬送される。
【0079】
上述した電子部品Wの有機ELパネルPへの仮圧着工程および本圧着工程を含む実装動作を、電子部品Wを実装すべき有機ELパネルPが無くなるまで繰り返して実行する。なお、実施形態の実装装置1において、仮圧着工程は位置精度の向上が重要であるのに対し、本圧着工程は異方性導電テープFによる圧着強度や信頼性の向上が重要であり、また工程時間も相違する。このため、仮圧着装置40と本圧着装置50とを適用し、仮圧着工程と本圧着工程とを実施することによって、電子部品Wの実装効率を向上させることができる。ただし、実施形態の実装装置1はこのような構成に限定されるものではない。本圧着装置50で位置決め工程から本圧着工程までを実施するようにしても良い。その場合、本圧着装置50のステージ51に支持部42bとバックアップ部53とが併設される。
【0080】
[実装装置の作用効果]
上述した実施形態の実装装置1によれば、可撓性を有する有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される縁部を下側から支持する支持部42bを備えたステージ42によって支持し、このステージ42に支持された状態の有機ELパネルPのアライメントマークPMと仮圧着ヘッド41に保持された電子部品WのアライメントマークWMとの相対位置データを、上下に離間して対向配置された有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMの画像を同時に1つの撮像領域内に取込み可能な第1および第2の撮像装置43A、43Bを用いて検出し、検出した相対位置データに基づいて有機ELパネルPと電子部品Wとを位置合わせし、有機ELパネルPに異方性導電テープFを介して電子部品Wを仮圧着した後、本圧着するようにしている。
【0081】
このため、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMとの相対位置データを検出する際に、有機ELパネルPにおける電極の形成された縁部がステージ42の支持部42bによって支持されることになる。これによって、有機ELパネルPの縁部の垂れが防止され、縁部に設けられたアライメントマークPMの位置認識精度を向上させることができる。
【0082】
また、有機ELパネルPのアライメントマークPMを上側から撮像し、電子部品WのアライメントマークWMを下側から撮像し、しかも両アライメントマークPM、WMの画像を、単一の鏡筒部43bに設けられたプリズム43eを介して1つのカメラ43aの1つの撮像領域内に同時に取込む。そのため、有機ELパネルPの上面に形成されているアライメントマークPMを、有機ELパネルPを構成するPIやPET等の樹脂を介することなく撮像することが可能となるから、アライメントマークPMを安定して鮮明に撮像することができる。しかも、両アライメントマークPM、WMの画像を単一の鏡筒部43bに設けられたプリズム43eを介してカメラ43aの1つの撮像領域内に取り込むので、仮に鏡筒部43bに雰囲気温度の上昇等によって熱変形を生じたとしても、2つのアライメントマークPM、WMの画像を取り込む光軸のずれを極力小さくすることが可能となる。
【0083】
さらに、両アライメントマークPM、WMの画像を単一の鏡筒部43bに設けられたプリズム43eを介してカメラ43aの1つの撮像領域内に同時に取り込むので、装置の振動によって鏡筒部43b等に振動が生じたとしても、カメラ43aの撮像領域内に取り込まれる両アライメントマークPM、WMの相対位置関係にずれが生じることを防止できる。すなわち、両アライメントマークPM、WMの画像をカメラ43aに導く鏡筒部43bが単一であるから、この鏡筒部43bが振動したとしても、アライメントマークPM側からカメラ43aに至る光の経路とアライメントマークWM側からカメラ43aに至る光の経路の位置関係は変わることがない。そのため、カメラ43aの撮像領域内においてアライメントマークPM、WMの撮像される位置が変動しても、アライメントマークPM、WM同士の相対位置関係が変動することは防止される。
【0084】
これらのことから、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMの相対位置データの認識精度を向上させることかできる。従って、この相対位置データを用いて行われる有機ELパネルPと電子部品Wとの位置合わせ精度が向上し、その結果として可撓性を有する有機ELパネルPに可撓性を有する電子部品Wを実装する場合であっても、その実装精度を向上させることが可能となる。
【0085】
また、ステージ42に設けられ、有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される縁部を下側から支持する支持部42bの支持面42fに、複数の吸着孔42gを有機ELパネルPの縁部に生じる反りやうねりによる凹凸の周期よりも短い間隔で配置して設け、有機ELパネルPの縁部を支持面42fで支持した状態で吸着保持するようにしている。これによって、有機ELパネルPの縁部をより平坦な状態で支持することができるので、有機ELパネルPのアライメントマークPMとその周囲の部分が水平で平坦な状態に安定して保持され、アライメントマークPMの位置認識精度を一層向上させることができる。
【0086】
さらに、有機ELパネルPにおける電子部品Wが実装される縁部を支持部42bの支持面42fに設けた複数の吸着孔42gによって下側から吸着するようにしている。そのため、有機ELパネルPを構成する樹脂が吸湿等によって有機ELパネルPの縁部に反り上がった状態となっているような場合であっても、有機ELパネルPを支持部42bの支持面42f上に密着させることが可能となる。これによって、有機ELパネルPのアライメントマークPMとその周囲の部分を平坦な状態に安定して保持することができ、アライメントマークPMの位置認識精度の向上を図ることができる。
【0087】
有機ELパネルPをステージ42に供給載置する第1の搬送部80の保持体81を、電極面吸着ブロック81aの平坦な吸着面81cと表示エリア吸着部81bの平坦な吸着面とで、有機ELパネルPを保持する面が平坦面となるように形成している。これによって、反りや撓みが生じやすい可撓性を有する有機ELパネルPであっても、この平坦な保持面に吸着保持することにより、保持体81に平坦な状態で保持させることが可能となる。これによって、有機ELパネルPを平坦な状態でステージ42に載置して保持させることができ、これによりステージ42に保持された状態で行なわれるアライメントマークPMの位置認識精度を向上させる効果を安定して得ることが可能となる。
【0088】
さらに、保持体81によってステージ42上に有機ELパネルPを載置する際に、保持体81の保持面によって有機ELパネルPをステージ42の支持部42bの支持面42fおよび載置部42aの載置面42dとの間で挟持するようにしている。このことによって、有機ELパネルPを平坦な状態を維持したままでステージ42に受け渡すことができる。このことによっても、有機ELパネルPを平坦な状態でステージ42に保持させることができ、ステージ42に保持された状態で行なわれるアライメントマークPMの位置認識精度を向上させる効果をさらに安定して得ることが可能となる。
【0089】
また、有機ELパネルPのアライメントマークPMと電子部品WのアライメントマークWMの相対位置データを検出するための位置認識ユニット43の第1および第2の撮像装置43A、43Bは、カメラ43aおよび鏡筒部43bをX軸方向に移動させるX軸移動装置43cを備えており、X軸方向の直線移動によってカメラ43aおよび鏡筒部43bを撮像位置と退避位置との間で移動させるように構成されている。そして、この移動は同期して行なわれる。つまり、左右のカメラ43aおよび鏡筒部43bは、互いに反対方向に同時に移動し、同時に停止する。すなわち、第1および第2の撮像装置43A、43Bは同一の構成であるから、カメラ43aおよび鏡筒部43bの重量は同じであり、同じ重量の部材が反対方向に同時に移動し同時に停止することになるから、互いの移動、停止によって生じる振動が打ち消され、両者の移動あるいは停止によって生じる振動が低減されることが期待できる。このため、有機ELパネルPと電子部品WのアライメントマークPM、WMの撮像を、極力振動が抑制された状態で行なうことができ、アライメントマークPM、WMの相対位置データの検出を精度良く行なうことが可能となる。
【0090】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、表示用パネルとして有機ELパネルを例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、可撓性を有する電子ペーパの構成部材を表示用パネルとして用いることも可能である。
【0091】
また、有機ELパネルPと電子部品Wの接続に異方性導電テープFを用いたが、これに限られるものではない。他の接合部材、例えば導電性粒子を含有した接着剤等を用いても良い。接着剤を用いる場合、熱硬化性や光硬化性の接着剤を用いることが可能である。
【0092】
位置認識ユニット43の第1および第2の撮像装置43A、43Bのカメラ43aおよび鏡筒部43bをX軸方向への移動によって撮像位置と退避位置に位置付けるものとしたが、他の方向、例えばY軸方向への移動によって撮像位置と退避位置とに位置付けるようにしても良い。要は、カメラ43aおよび鏡筒部43bを加圧ツール41aの昇降動等の移動の妨げにならない位置に退避させることができれば良い。また、撮像部をカメラ43aとし、カメラ43aとは別体の鏡筒部43bに導光用光学部材としてのプリズム43eを設けたものとして説明したが、撮像部と導光用光学部材は別部材に設けるものに限らず、一体で設けても良く、例えばカメラに導光用光学部材が内蔵されていても良い。
【0093】
第1ないし第3の搬送部80、90、100の構成は、上述したものに限られるものではなく、他の構成であっても良い。例えば、多孔質シートを用いる代わりに、発泡ウレタンゴムやシリコンゴム等の軟質なゴムや樹脂材料に複数の吸着用の開口を設けたものを用いるようにしても良い。
【0094】
仮圧着装置40のステージ42から本圧着装置50のステージ51に第2の搬送部90を用いて有機ELパネルPを搬送するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、本圧着装置50のステージ51を仮圧着装置40のステージ42に近接する位置まで移動できるように構成し、仮圧着装置40のステージ42の近接位置に移動した本圧着装置50のステージ51に対して、第1の搬送部80を用いて有機ELパネルPを搬送するようにしても良い。つまり、第1の搬送部80で第2の搬送部90を兼ねるようにしても良い。
【0095】
仮圧着装置40と本圧着装置50とで、有機ELパネルPを1枚ずつ熱圧着するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、一般的に本圧着は仮圧着に比べて、数倍長い時間を必要とする。そこで、1台の仮圧着装置40に対して、本圧着装置50を複数台、例えば2台配置し、仮圧着装置40の待ち時間を縮小して生産性を向上させることも可能である。このとき、複数台の本圧着装置50を設ける代わりに、1台の本圧着装置50に有機ELパネルPを複数枚並列に載置可能なステージ51を設けると共に、複数並列に載置された有機ELパネルP上の電子部品Wを一括、または個別に本圧着することのできる本圧着ヘッド52を設けるようにしても良い。ここで、一括して本圧着する場合、並列に載置された複数の有機ELパネルPの全域をカバーできる長さの加圧ツール52aを本圧着ヘッド52に装備する。また、個別に本圧着する場合、1つの有機ELパネルPに実装する電子部品Wをカバーできる長さの加圧ツール52aを、有機ELパネルPの載置間隔に合わせて本圧着ヘッド52に装備する。各加圧ツール52aは、個別に加圧力を設定できるように構成しておくことが好ましい。
【0096】
第1の搬送部80の保持体81によって、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部を吸着保持するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、有機ELパネルPの電極列ERに異方性導電テープFが貼着されている場合等、有機ELパネルPの電極列ERに他の部材を接触させられない、あるいは、接触させたくない事情がある場合には、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部を吸着保持せずに、当該縁部を保持体81からはみ出させた状態で保持するようにしても良い。このように、有機ELパネルPの電極列ERが形成された縁部をはみ出させて吸着保持した場合でも、厚みが20μm以上500μm以下で曲げ弾性率が2.5GPa以上4.0GPa以下の柔軟な有機ELパネル(表示状パネル)であれば、電極列ERの近傍を保持体81の平坦な吸着面81cで吸着保持することで、仮に電極列ERの形成された縁部に及ぶ反りやうねりが生じていたとしても、ステージ42の支持部42bの平坦な支持面42fに、複数の吸着孔42gの吸着力によって縁部を倣わせて吸着保持させることができる。
【0097】
さらに、ステージ42の支持部42bの支持面42fに照明装置を内蔵させても良い。具体的には、支持面42fにおける、有機ELパネルPのアライメントマークPMと対向位置する部分に照明装置を内蔵させ、第1および第2の撮像装置43A、43BによってアライメントマークPMを撮像する際に、アライメントマークPMの下側から光を照射するようにする。このようにすることで、反射光によってアライメントマークPMを撮像する場合と比べて、アライメントマークPMの画像と背景画像との間に大きな明暗差を得ることができ、アライメントマークPMの画像をより鮮明に得ることができ、認識精度の向上を図ることができる。また、支持部42bに照明装置を内蔵する代わりに、透光窓を設けたり、支持部42bを透光性の部材、例えば透明なガラス材で形成したりして、これらを介して光を照射するようにしても良い。
【0098】
上述した実施形態では異方性導電テープFを電子部品Wに貼着する構成について説明したが、これに限られるものではない。異方性導電テープFは有機ELパネルP、すなわち表示用パネルに貼着するようにしても良い。この場合、間欠回転搬送装置20の貼着位置Cに異方性導電テープ貼着装置30を設ける代わりに、有機ELパネルPの供給部の上流側に、有機ELパネルPに異方性導電テープFを貼着する異方性導電テープ貼着装置を設けるようにすると良い。例えば、図11に示すような実装装置201を適用してもよい。図11は他の実施形態の実装装置201の構成を示している。
【0099】
[他の実施形態による実装装置]
図11に示す実装装置201は、異方性導電テープ貼着装置230、仮圧着装置240、本圧着装置250をX方向に並べて配置し、仮圧着装置240のY方向後方に打ち抜き装置210を配置し、さらに仮圧着装置240と打ち抜き装置210との間に、電子部品Wを搬送する搬送装置260を配置した構成を有している。各処理装置230、240、250の間には、有機ELパネルPの第1〜第4の搬送部271、272、273、274が配置されている。この実装装置201は、有機ELパネルPを4つずつ供給して各処理装置230、240、250での処理を行なうものである。打ち抜き装置210は、キャリアテープTから電子部品Wを打ち抜くものであり、上述の実施形態で説明した打ち抜き装置10と同様の構成を有する。
【0100】
異方性導電テープ貼着装置230においては、有機ELパネルPに異方性導電テープFが貼着される。異方性導電テープ貼着装置230は、有機ELパネルPを二枚ずつX方向に並べて保持する2つの載置部231、232がX方向に並べて配置されている。これらの載置部231、232は、それぞれXYZθ方向に移動可能に設けられている。また、2つの載置部231、232に対応して異方性導電テープFの貼着ユニット233、234が配置される。各載置部231、232は、それぞれ対応する貼付ユニット233、234による貼着位置に載置部231、232上の有機ELパネルPを順次位置付ける。各貼着ユニット233、234は、貼着位置に位置付けられた有機ELパネルPに異方性導電テープFを貼着する。
【0101】
仮圧着装置240は、異方性導電テープFが貼着された有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着する。仮圧着装置240は、有機ELパネルPを四枚ずつX方向に並べて保持する載置部241、載置部241に保持された有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着する仮圧着ヘッド242、仮圧着ヘッド242によって有機ELパネルPに電子部品Wを仮圧着するときに、有機ELパネルPを下側から支持する不図示のバックアップツールを備える。載置部241は、XYZθ方向に移動可能に設けられ、載置部241上の四枚の有機ELパネルPを仮圧着ヘッド242による仮圧着位置に順次位置付ける。仮圧着ヘッド242は、仮圧着位置に位置付けられた有機ELパネルPに電子部品Wを順次仮圧着する。なお、仮圧着装置240は、上述の実施形態で説明した仮圧着装置40と同様の位置認識装置を備えることは言うまでもない。
【0102】
ここで、仮圧着ヘッド242には、搬送装置260により、打ち抜き装置210によって打ち抜かれた電子部品Wが順次供給される。すなわち、搬送装置260は、XYZθ駆動部261によってXYZθ方向に移動可能とされ、電子部品Wを下側から吸着保持する受け部262を備え、打ち抜きユニット210から電子部品Wを受取り、仮圧着ヘッド242に受け渡す。
【0103】
本圧着装置250は、有機ELパネルPに仮圧着された電子部品Wを本圧着する。本圧着装置250は、有機ELパネルPを一枚ずつ個別に保持する4つの載置部251、252、253、254をX方向に並設する。また、4つの載置部251、252、253、254に対応して4つの本圧着ヘッド255、256、257、258が設けられる。本圧着ヘッド255、256、257、258は、加圧力を個別に調整可能に設けられると共に、一括して昇降動可能に設けられる。個々の載置部251、252、253、254は、XYZθ方向に移動可能とされ、対応する本圧着ヘッド255、256、257、258に対して有機ELパネルPを位置決め可能となっている。4つの本圧着ヘッド255、256、257、258は、4つの載置部251、252、253、254によって位置付けられた4つの有機ELパネルPに対して一括して本圧着を行なう。
【0104】
第1ないし第4の搬送部271、272、273、274は、各処理装置230、240、250との間で有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。すなわち、第1ないし第4の搬送部271、272、273、274はそれぞれ、有機ELパネルPを上側から吸着保持する4つの保持部をX方向に並設してなる。そして、第1の搬送部271は、不図示の供給部から異方性導電テープ貼着装置230に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。第2の搬送部272は、異方性導電テープ貼着装置230から仮圧着装置240に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。第3の搬送部273は、仮圧着装置240から本圧着装置250に有機ELパネルPを4つ同時に受け渡す。第4の搬送部274は、本圧着装置250から不図示の搬出部に有機ELパネルPを4つ同時に搬出する。このような構成の実装装置201に対しても、本発明は適用可能である。
【実施例】
【0105】
次に、本発明の実施例とその評価結果について述べる。
【0106】
(実施例1)
上述した実施形態の実装装置1を用いて、以下の条件で実装精度を確認する実験を行なった。ここでは、有機ELパネルPとして、5インチの表示面(120mm×65mm)を有するものを用意した。有機ELパネルPの厚みは210μm、曲げ弾性率は3.0GPaである。電子部品Wとしては、幅36mm、長さが25mmのCOFを用意した。目標精度は、スマートフォン用ディスプレイパネルに用いられる有機ELパネルにおいて求められる一般的な精度である、±3μmとした。
【0107】
<実験条件>
仮圧着ヘッドのヒータ:OFF
タクトタイム:10秒(ただし、仮圧着ツール41aおよび載置部42aの移動速度は、タクト5秒で実装する場合と同じとした。)
繰り返し時間(回数):5.4時間(1944回)
【0108】
実験に際しては、まずそれぞれが待機位置にある状態で、有機ELパネルPを載置部42aに載置し、電子部品Wを加圧ツール41aに保持させる。待機位置は、載置部42aについては第1の搬送部80から有機ELパネルPを受け取る供給位置であり、加圧ツール41aについては第2の受渡し装置70から電子部品Wを受け取る位置である。この状態から、上述した実施形態と同様にして、仮圧着位置に有機ELパネルPと電子部品Wを位置付ける。つまり、有機ELパネルPと電子部品Wとの間に、第1および第2の撮像装置43A、43Bの鏡筒部43bが進入可能な間隔を隔てて、その縁部同士を対向して配置させる。このとき、加圧ヘッド41aは、θ=+5°の水平方向に回転させた状態で位置付ける。これは、回転ずれの補正精度を確認するためである。
【0109】
この状態で、第1および第2の撮像装置43A、43Bを用いて、有機ELパネルPと電子部品Wのアライメントマークの位置を認識し、この認識結果に基づいて有機ELパネルPと電子部品Wの位置合わせを行う。この位置合わせは、有機ELパネルPの縁に対して電子部品Wの縁を重ね合わせるのではなく、上述した鏡筒部43bが侵入可能な間隔を隔てた状態のままで、つまり高さ方向の位置を変えないままで、有機ELパネルPと電子部品Wのアライメントマークの位置を合わせるようにした。そのため、位置合わせの際に第1および第2の撮像装置43A、43Bを必ずしも退避させる必要はない。
【0110】
位置合わせが完了したら、第1および第2の撮像装置43A、43Bを用いて、有機ELパネルPのアライメントマークと電子部品Wのアライメントマークとを撮像し、有機ELパネルPと電子部品Wとの間の相対位置ずれを認識する。そして、この認識結果から求めた相対位置ずれを、実装精度として記録する。
【0111】
(比較例1)
比較例では、実施形態で説明した第1および第2の撮像装置43A、43Bに代えて、有機ELパネルPの左右のアライメントマークPMと電子部品Wの左右のアライメントマークWMとをそれぞれ個別に撮像する4つのカメラを取り付け、実装精度の確認を行ったものである。なお、正確には位置合わせ精度の確認だが、圧着の際に生じるずれは組み付け精度に起因する一定の傾向のあるずれであり、オフセット値を設定することで相殺可能であるから実質的に実装精度と見ることができる。
【0112】
また、比較例では、後述するように位置合わせ精度を確認する際に有機ELパネルPのアライメントマークPMを下側から、つまり有機ELパネルPを通して撮像する必要があることから、有機ELパネルPのTEG(Test Element Group)を用いた。TEGとは、テスト用に作製した評価用部材のことである。ここでは、有機ELパネルPのTEGとして、厚み0.5mmのガラス板を用いて5インチの有機ELパネルPに相当する大きさのものを作製して用いた。以下、有機ELパネルPのTEGのことを、単に有機ELパネルPと称する。
【0113】
4つのカメラは、そのうち有機ELパネルPのアライメントマークPMを撮像するための2つのカメラを、仮圧着に先立つ認識位置に位置付けられた状態の有機ELパネルPのアライメントマークPMの直下に1つずつ位置するようにして上向きに取り付けた。電子部品WのアライメントマークWMを撮像するための2つのカメラを、仮圧着に先立つ認識位置に位置付けられた状態の電子部品WのアライメントマークWMの直下に1つずつ位置するようにして上向きに取り付けた。また、有機ELパネルPの縁部を支持する支持部42bには、アライメントマークに対応する位置に上下に貫通した切欠き部を設け、下側からでもアライメントマークを視認可能とした実験用に作製したものを使用した。
【0114】
このように構成した実装装置を用いて、有機ELパネルPと電子部品Wの位置合わせ結果を、実装精度として記録した。具体的には、認識位置に位置付けられた有機ELパネルPのアライメントマークの位置を有機ELパネルP用の2つのカメラを用いて認識し、認識位置に位置付けられた電子部品Wのアライメントマークの位置を電子部品W用の2つのカメラを用いて認識した。このとき、電子部品Wは上述の実施例と同様に、θ=+5°の水平方向に回転させた状態で位置付けた。そして、これらの認識結果に基づいて、有機ELパネルPと電子部品Wの位置合わせを行った。
【0115】
なお、この位置合わせは、有機ELパネルPの縁部に対して電子部品Wの縁部を重ね合わせるのではなく、有機ELパネルPの縁部と電子部品Wの縁部とが予め設定した僅かな距離を隔てて対向するようにして行った。具体的には、縁部同士が3.3mmの間隔を成すようにして位置合わせを行った。位置合わせ精度の認識は、電子部品Wのアライメントマークの撮像用として上向きで設けられた2つのカメラを用いて、有機ELパネルPと電子部品Wのアライメントマークを同一視野内に同時に取り込み、相対位置ずれを認識した。すなわち、有機ELパネルPと電子部品Wの右側のアライメントマーク同士を、電子部品W用の右側のカメラを用いて同一視野内に同時に入れて撮像し、左側のアライメントマーク同士を左側のカメラを用いて同一視野内に同時に入れて撮像した。撮像した各アライメントマークの相対位置から位置合わせ精度を求め、実装精度として記録した。
【0116】
上述した実施例1の測定結果を表1および図12に示す。比較例1の測定結果を表2および図13に示す。測定結果については、上記した動作を5.4時間繰り返し実行した結果から得られた1944個のデータのうち、1回目から10回目のデータの平均値(1)、101回目から110回目のデータ(2)の平均値、以降同様にして100回毎に10回分のデータの平均値((3)〜(20))を、それぞれ「相対位置ずれ認識結果」として、表1および表2に示す。表1および表2における「(1)の測定結果との差」は、各100回毎のデータの平均値(2)〜(20)から1回目から10回目のデータの平均値(1)を引いた値である。図12および図13は「(1)の測定結果との差」の変動を示している。表1および図12と表2および図13との比較から明らかなように、実施例は比較例に比べて実装精度の変動が大幅に抑制されていることが分かる。従って、可撓性を有する表示用パネルに対する可撓性を有する電子部品の実装精度を長期間にわたって維持することが可能であることが分かる。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1…実装装置、10(10A、10B)…打ち抜き装置、12…金型装置、20…間欠回転搬送装置、21…アーム部、24…保持ヘッド、30…異方性導電テープ貼着装置(接合部材貼着装置)、32…貼着ヘッド、40…仮圧着装置、41…仮圧着ヘッド、42…ステージ、42a…載置部、42b…支持部、42c…ステージ駆動部、43…位置認識ユニット、43A…第1の撮像装置、43B…第2の撮像装置、43a…カメラ、43b…鏡筒部、43c…X軸移動装置、43d…画像処理部、43e…直角プリズム、50…本圧着装置、51…ステージ、52…本圧着ヘッド、53…バックアップ部、60…第1の受渡し装置、61…受け部、70…第2の受渡し装置、71…受け部、80…第1の搬送部、81…保持体、81a…電極面吸着ブロック、81b…表示エリア吸着部、90…第2の搬送部、91…保持体、100…第3の搬送部、101…保持体、110…制御装置、111…記憶部、F…異方性導電テープ、P…有機ELパネル、W…電子部品。
図1
図2
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図9
図10
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