(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のホットプレスの工程では、粗面を有する型を用いて、前記疎水層に前記型の前記粗面に対応する粗面を備えさせ、前記疎水層の前記粗面の粗度(Ra)は0.1マイクロメーターから25マイクロメーターである、請求項3に記載の方法。
前記第1のホットプレスの工程は、40℃から60℃で、10kg/cm2から50kg/cm2の圧力下、30秒から60秒間行われ、前記第2のホットプレスの工程は、90℃から140℃で、10kg/cm2から50kg/cm2の圧力下、30秒から90秒間行われる、請求項5に記載の方法。
前記貼着膜が第2の接着層をさらに含み、前記貼着膜中で前記疎水層は前記第2の接着層と前記剥離層との間に配置され、前記第1のホットプレスの工程の後、前記第2の接着層は前記疎水層と前記グラファイト層との間に配置される、請求項5または6に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態では、説明の目的で、開示される実施形態が十分に理解されるように多数の特定の詳細が示される。しかし、それら特定の詳細がなくとも、1つまたはそれ以上の実施形態が実施可能であることは明らかであろう。また、図を簡潔とするために、既知の構造および装置は概略的に図示されている。
【0011】
本開示の一実施形態は電極板の製造方法を提供する。
図1Aに示されるように、金属ベース10を準備する。流路構造11が、金属ベース10の表面上の複数のリブ部13の間に配置されている。上面の流路構造11は底面のリブ部13に対応し、上面のリブ部13は底面の流路構造11に対応している。
図1A中の流路構造11の数および幅は単に例示に過ぎず、当業者は、設計の要求に基づいて、他の流路構造11の数または幅を選択することができる。
【0012】
一実施形態において、金属ベース10はアルミニウム、銅、ニッケル、クロム、またはステンレス鋼であってよい。金属ベース10の厚さは0.03mmから10mmとすることができる。金属ベース10が薄すぎると、不十分な機械強度や成形プロセスにおけるクラッキングといった問題が生じやすい。金属ベース10が厚すぎると、軽量、薄型、および高密度の燃料電池を実現することができず、よって燃料電池の出力密度を高めることができない。一実施形態において、流路構造11はZ字形、ジグザグ形、または複数の平行な直線であってよい。一実施形態において、流路構造11の深さ(例えば、リブ部13の上面と流路構造11の底部との間の距離)は約0.1mmから1mmとすることができる。流路構造が浅すぎると、反応流体(reactant flow)が不足しやすくなってしまう。流路構造が深すぎると、フラッディングの問題および成形プロセスにおけるクラッキングを引き起こしやすい。
【0013】
次いで、
図1Bに示されるように、流路構造11の底部、流路構造11の側壁、およびリブ部13を覆うようにグラファイト層15を形成する。一実施形態では、グラファイト層15で覆う工程は、第1の接着層(図示せず)を金属ベース10上に形成する工程、第1の接着層上に黒鉛粉末を配置する工程、および第1の接着層と黒鉛粉末とをラミネートしてグラファイト層15を形成する工程と、を含む。グラファイト層15およびその製造方法の詳細については、台湾特許第I482349号明細書を参照とすることができるため、関連する説明は本明細書では繰り返さない。あるいは、化学気相蒸着によってグラファイト層15を流路構造11の底部、流路構造11の側壁、およびリブ部13上に形成することもできる。化学気相蒸着を採用する場合、第1の接着層は省くことができる。
【0014】
続いて、流路構造11の底部および側壁上に位置するグラファイト層15上に疎水層19を形成し、リブ部13上に位置するグラファイト層15上には疎水層19を設置しない。流路構造11の底部上の疎水層19と、流路構造11の側壁上の疎水層19とは実質的に等しい厚さを有する。一実施形態では、疎水層19は、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ化エチレンプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、またはこれらの混合物(blend)とすることができる。一実施形態では、疎水層19のポリマーは重量平均分子量が1000から20000であり得る。ポリマーの重量平均分子量が低すぎると、ポリマーの融点が低くなりすぎることとなり、燃料電池の動作温度に適さない。ポリマーの重量平均分子量が高すぎると、高温処理が必要となって、経済的ではない。一実施形態では、疎水層19の厚さは1マイクロメーターから50マイクロメーターである。疎水層が薄すぎると、粗面を備える構造を形成するのが難しくなる。疎水層が厚すぎると、既存の流路のサイズを制限することになりやすく、このために燃料電池のパフォーマンスが低下してしまう。一実施形態において、疎水層19の表面と水との接触角は100°から160°であり得る。接触角が小さすぎると、所望の疎水層19の疎水性効果を達成することができなくなる。
【0015】
疎水層19の形成は、第2の接着層17、疎水層19、および剥離層21の三層構造を含む貼着膜16を準備する工程を含み得る。
図2に示されるように、貼着膜16は、金属ベース10のリブ部13に対応する開口18を有する。
図2における貼着膜16の開口18の形状、および金属ベース10のリブ部13の形状は単に例示にすぎず、当業者であれば、要求に応じてリブ部13の形状を設計すると共に、リブ部13の位置に基づいて貼着膜16をパターン化できる、という点に留意すべきである。これにより貼着膜16は適した開口18を備えることができるようになる。一実施形態において、剥離層21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または疎水層19よりも融点が高い別の熱可塑性ポリマーであってよい。
【0016】
その後、第1のホットプレス工程を行って、
図1Cに示されるように、貼着膜16を流路構造11の底部および側壁上に位置するグラファイト層15上に貼着し、リブ部13上のグラファイト層は露出させる。第2の接着層17は主に、グラファイト層15中の第1の接着層(図示せず)に対応させるために用いられる。一実施形態では、第2の接着層17は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、または疎水層19よりも融点が低い別の熱可塑性ポリマーであり得る。第1の接着層は過度に高いホットプレス温度、過度に高いホットプレス圧力、または過度に長いホットプレス時間に耐えることができないため、ホットプレス工程の温度、圧力、および時間を低減すべく第2の接着層17が用いられるのである。この実施形態において、疎水層19とグラファイト層15は第2の接着層17によって貼合される。次いで、剥離層21を取り除き、疎水層19に第2のホットプレス工程を行って、
図1Dに示されるように、電極板を形成する。この実施形態では、第1のホットプレス工程は、温度40℃から60℃、10kg/cm
2から50kg/cm
2の圧力下、30秒から60秒間行う。第1のホットプレス工程の温度が過度に低い、圧力が過度に低い、または時間が過度に短いと、貼着膜16がグラファイト層15から剥がれやすくなってしまう。第1のホットプレス工程の温度が過度に高い、圧力が過度に高い、または時間が過度に長いと、グラファイト層15中の第1の接着層が損傷する恐れがあり、これによりグラファイト層15が金属ベース10から剥がれやすくなってしまう。この実施形態では、第2のホットプレス工程は、90℃から140℃、10kg/cm
2から50kg/cm
2の圧力の下、30秒から90秒間行う。第2のホットプレス工程の温度が過度に低い、圧力が過度に低い、または時間が過度に短いと、疎水層19がグラファイト層15から剥がれやすくなってしまう。第2のホットプレス工程の温度が過度に高い、圧力が過度に高い、または時間が過度に長いと、グラファイト層15中の第1の接着層が損傷する恐れがあり、これによりグラファイト層15が金属ベース10から剥がれやすくなってしまう。この実施形態において、貼着膜16中で疎水層19は第2の接着層17と剥離層21との間に配され、第1のホットプレス工程後、第2の接着層17は疎水層19とグラファイト層15との間に配される。
【0017】
あるいは、グラファイト層15を金属ベース10上に直接沈積し、これにより貼着膜16中の第2の接着層17を省いてもよい。かかる構成では、より高い圧力、より高い温度、より長い時間で第1のホットプレス工程を行うことで、流路構造11の底部および側壁上に位置するグラファイト層15上に貼着膜16を貼り合わせ、リブ部13上に位置するグラファイト15を露出させる。この実施形態では、疎水層19がグラファイト層15に直接接着される。次いで、剥離層21を除去し、第2のホットプレス工程を疎水層19上に行う。この実施形態では、第1の接着層および第2の接着層は省かれ、第1のホットプレス工程および第2のホットプレス工程を、前述の実施形態における第1の接着層および第2の接着層がある場合の第1のホットプレス工程および第2のホットプレス工程の時間、温度および圧力よりも、より長い時間、より高い温度、より高い圧力下で行うことができ、これにより疎水層19とグラファイト層15との間の接着が強まる。
【0018】
第1の接着層および第2の接着層が存在するか否かにかかわらず、第2のホットプレス工程で用いる型は、疎水層の表面に接触する粗面を有していて、ホットプレスされた疎水層19に前記型の前記粗面に対応する粗面を与えることができる。疎水層の粗面の粗度(Ra)は0.1マイクロメーターから25マイクロメーターであってよい。疎水層19の粗面は、疎水層と水との接触角を大きくすることができ、これにより疎水層19の疎水性効果がさらに向上する。上記工程の後、電極板が完成する。電極板は、燃料電池のアノード側またはカソード側のモノポーラプレートとして用いることができる。モノポーラプレートのグラファイト層15および疎水層19を含む側(例えば金属ベース10の上面)はガス拡散層に接触してよく、モノポーラプレートのもう一方の側(例えば金属ベース10の底面)はエンドプレートおよび集電体に接触してよい。
【0019】
あるいは、
図3に示されるように、金属ベース10の上面はリブ部13の間に配置された流路構造11を含み、金属ベース10の底面は平坦である。この実施形態では、グラファイト層15および疎水層19は上記方法により金属ベース10の上面に配置される。関連する説明は繰り返して行わない。
図3における構造はモノポーラプレートとなり得るもので、モノポーラプレートのグラファイト層15および疎水層19を含む側(例えば金属ベース10の上面)はガス拡散層に接触してよく、モノポーラプレートもう一方の側(例えば金属ベース10の底面)はエンドプレートおよび集電体と接触していてよい。
【0020】
一実施形態において、
図4に示されるように、グラファイト層15および疎水層19は金属ベース10の底面上に形成されてもよい。金属ベース10の上面および底面上のグラファイト層15は同時に形成することができ、かつ金属ベース10の上面および底面上の疎水層19は同時に形成することができる。
図4において、金属ベース10の上面および底面はいずれも流路構造を有しており、よって金属ベース10はバイポーラプレートとして用いることができ、かつ金属ベースの上面および底面はガス拡散層と接触し得る。
【0021】
一般に、燃料電池は、アノードエンドプレート、アノード集電体、アノードモノポーラプレート、n個のスタック(nは0以上であり、スタックは、アノードガス拡散層、膜電極接合体、カソードガス拡散層、およびバイポーラプレートを含む。)、アノードガス拡散層、膜電極接合体、カソードガス拡散層、カソードモノポーラプレート、カソード集電体、ならびにカソードエンドプレートを順次含み得る。アノードモノポーラプレートおよびカソードモノポーラプレートは
図1Dおよび
図3に示されるモノポーラプレートであってよく、バイポーラプレートは
図4に示されるバイポーラプレートであってよい。本開示におけるモノポーラプレートおよびバイポーラプレートの流路構造は疎水層を含むため、 従来の電極板における流路構造のフラッディングの問題を有効に防ぐことができる。また本開示の疎水層19はホットプレスにより形成されるため、流路構造11の底部上の疎水層19および流路構造11の側壁上の疎水層19は同じような厚さを有し、そして同じような疎水性効果を備える。疎水層が塗布により形成される場合、流路構造11の底部上の疎水層19および流路構造11の側壁上の疎水層19は、重力、乾燥などのような要因のために、同じような厚さを有し得ない。
【0022】
当業者が容易に理解できるよう、以下に添付の図面を参照にしながら例示的な実施例を詳細に記載する。ここに示される例示的な実施例に限定されることなく、本発明概念は様々な形式で具体化され得る。明確とするために既知の部分についての説明は省き、かつ全体を通して、類似する参照数字は類似する構成要素を示すものとする。
【実施例】
【0023】
比較例1
台湾特許第I482349号にしたがって、複数のリブ部の間に流路構造を備える金属ベースを準備した。金属ベースの表面上にグラファイト層を形成した。この例では、流路構造は幅0.7mm、深さ0.7mmであり、グラファイト層の厚さは40マイクロメーターであった。グラファイト層は次の工程により形成した。厚さ0.5から100マイクロメーターの接着層を金属ベース上に形成した。接着層は、20から80vol%の炭素粉末(天然フレーク黒鉛粉末、HOMYTECH CO., LTDより購入)および80から20vol%のポリマーバインダー(ビニルエステル樹脂、Swancorより購入)を含むものとした。黒鉛粉末を接着層上に設置してから、型を用いて接着層中にラミネートし、緻密なグラファイト層を形成した。この加工の工程は圧力500kg/cm
2の下で行った。これにより厚さ10マイクロメーターから300マイクロメーターのグラファイト層を金属ベース上に形成し、モノポーラプレートが完成した。このモノポーラプレート中で、グラファイト層は金属ベースの片側上にだけ配置される。
【0024】
比較例1では、モノポーラプレートだけでなく、バイポーラプレートも形成した。バイポーラプレートを形成する工程はモノポーラプレートを形成する工程に類似しており、バイポーラプレート中では金属ベースの両側にグラファイト層が形成される点が異なる。
【0025】
(1)アノード集電体(金メッキ銅シート、JVE Co., Ltd.より購入)をアノードエンドプレート(硬質アルマイト合金、JVE Ltd. Co.より購入)上に配置した。(2)アノード集電体上には、作製したモノポーラプレート(アノード板となる)が備えられている。(3)アノードガス拡散層(SGL)をアノード板上に配置し、アノード板のリブ部のグラファイト層をアノードガス拡散層に接触させた。(4)膜電極接合体(GORE)をアノードガス拡散層上に配置した。(5)カソードガス拡散層(SGL)を膜電極接合体上に配置し、作製したバイポーラプレートをカソードガス拡散層上に配置した。(6)別に作製したバイポーラプレートを、工程(5)の作製したバイポーラプレート上に配置した。工程(3)から(6)を、所望のセルの数になるまで繰り返した。比較例1において、セルの数は3である。(7)次いで、アノードガス拡散層をバイポーラプレート上に配置し、膜電極接合体をアノードガス拡散層上に配置し、カソードガス拡散層を膜電極接合体上に配置した。(8)モノポーラプレート(カソード板となる)をカソードガス拡散層上に配置した。カソード板のリブ部上のグラファイト層をカソードガス拡散層と接触させた。(9)カソード集電体(金メッキ銅シート、JVE Ltd. Co.より購入)をカソード板上に配置した。(10)カソードエンドプレート(硬質アルマイト合金、JVE Ltd. Co.より購入)をカソード集電体上に配置した。組立圧力(assembly pressure)3MPaから8MPaでフルセルを締結、固定して、燃料電池試験装置を作製した。
【0026】
下記条件下、燃料電池の性能を試験した。ガスの質量流量をマスフローコントローラ(MFC)で制御し、水素と空気の流量比を1.5/2.5とした。燃料電池の温度は60℃から80℃に制御し、カソードとアノードの相対湿度は40%から100%に制御した。燃料電池の出力電圧および電流を電気負荷機器により測定し、それをコンピュータで記録して、電圧と電流密度との関係をプロットし、これにより
図5に示される燃料電池の性能曲線を得た。
【0027】
実施例1
台湾特許第I482349号にしたがって、複数のリブ部の間に流路構造を備える金属ベースを準備した。金属ベースの表面上にグラファイト層を形成した。この例では、流路構造は幅0.7mm、深さ0.7mmであり、グラファイト層の厚さは40マイクロメーターであった。グラファイト層は次の工程により形成した。厚さ0.5から100マイクロメーターの接着層を金属ベース上に形成した。接着層は、20から80vol%の炭素粉末(天然フレーク黒鉛粉末、HOMYTECH CO., LTDより購入)および80から20vol%のポリマーバインダー(ビニルエステル樹脂、Swancorより購入)を含むものとした。黒鉛粉末を接着層上に設置してから、型を用いて接着層中にラミネートし、緻密なグラファイト層を形成した。この加工の工程は圧力500kg/cm
2の下で行った。これにより厚さ10マイクロメーターから300マイクロメーターのグラファイト層を金属ベース上に形成した。
【0028】
剥離層(PET、3Mより購入)、疎水層(LDPE、KAO-CHIA PLASTICS Co., Ltd.より購入)、および接着層(EVA、KAO-CHIA PLASTICS Co., Ltd.より購入)を含む3層貼着膜を準備した。金属ベースのリブ部に基づいて貼着膜をパターン化し、パターン化された貼着膜が金属ベースのリブ部に対応する開口を備えるようにした。金属ベース上に位置するグラファイト層上に貼着膜を配置し、次いで流路構造の底部および側壁上に位置するグラファイト層上にホットプレスを行った。ホットプレス工程は、温度60℃、圧力12kg/cm
2下で60秒間行った。次いで剥離層を除去し、再度疎水層をホットプレスした。この追加のホットプレス工程は、温度110℃、圧力12kg/cm
2の下、60から100秒間行った。上記工程の後、厚さ10マイクロメーターの疎水層が、金属ベースの流路構造の底部および側壁上に位置するグラファイト層上に形成され、これによりモノポーラプレートが完成した。モノポーラプレート中、グラファイト層および疎水層は金属ベースの上面上に配置されている。
【0029】
実施例1では、モノポーラプレートだけでなく、バイポーラプレートも形成した。バイポーラプレートを形成する工程はモノポーラプレートを形成する工程に類似しており、バイポーラプレートにおいては金属ベースの両側にグラファイト層および疎水層を形成した点が異なる。
【0030】
実施例1の燃料電池を比較例1の工程により組み立てたが、実施例1ではモノポーラプレートおよびバイポーラプレートがグラファイト層および疎水層を含む点が異なる。また、実施例1のセルの数は10である。実施例1における燃料電池の性能曲線を、比較例1と同様の方法により得た。性能曲線は
図5に示されるとおりである。
【0031】
一般論として、セルの数が多い方がオームインピーダンスがより高くなるはずであるから、実施例1における燃料電池(セルの数が10)のそれぞれ異なる電流密度に対する電圧は、比較例1における燃料電池(セルの数が3)のそれぞれ異なる電流密度に対する電圧よりも低いはずである。しかし、実施例1における燃料電池は、より高い電流密度に対し、より高い電圧を有する。燃料電池は高い電流密度で大量の水を生成することが多い。実施例1では、疎水層が水の排出を助け、燃料電池のパフォーマンスを向上させたことは明らかである。
【0032】
電気的サイクル試験(electric cycle test)を繰り返し行った後、燃料電池を分解してモノポーラプレートおよびバイポーラプレートの外観を調べた。モノポーラプレートおよびバイポーラプレートの疎水層は明らかに剥がれていなかった。
【0033】
実施例2
実施例2は実施例1と類似するが、実施例2では、剥離層を除去した後に、粗面を備える型を用いて疎水層をホットプレスし、ホットプレスされた疎水層に対応する粗面を与える点で異なっている。水滴とそれぞれ異なる表面との接触角を接触角計で測定した。金属ベースの表面と水との接触角は63°であった。比較例1における金属ベースを覆うグラファイト層の表面と水との接触角は88°であった。実施例1における流路構造の底部および側壁上の疎水層の表面(平坦面)と水との接触角は100°であった。実施例2における流路構造の底部および側壁上の疎水層の表面(粗面)と水との接触角は140°であった。上述からわかるように、粗面を備える型を用いて疎水層をホットプレスすることで、疎水層の表面粗さを増加させることができ、これにより疎水層と水との接触角が大きくなった。このため、疎水層の疎水性効果がさらに高まり、燃料電池のパフォーマンスを向上させることができた。
【0034】
比較例2
リブ部の間に配置された流路構造を備えてなる、グラファイト層に覆われた比較例1における金属ベースを準備した。疎水性分子であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を、流路構造の底部および側壁上に位置するグラファイト層上にスプレー塗布または浸漬塗布してから、加熱乾燥して疎水層を形成した。しかしながら、塗布された(ホットプレスされたのではない)疎水層は厚さが均一でなく、例えば、流路構造の底部上の疎水層は、流路構造の側壁上の疎水層よりも厚かった。加えて、重力のために、疎水層は流路構造の側壁を完全に覆うことはできなかった(例えば部分的に露出していた)。
【0035】
開示された方法および材料に様々な修飾および変更を加え得ることは、当業者には明らかであろう。明細書および実施例は単に例示として認められるよう意図されており、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物により示される。