【文献】
後藤康夫,カーボンナノファイバーを導入したコンポジット繊維,SENI GAKKAISHI(繊維と工業),日本,繊維学会,2007年,Vol.63,No.7,195-199
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質は、カーボンナノ構造を含む複合体の形態で導入される、ことを特徴とする請求項1に記載の機能性再生セルロース繊維。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それに鑑み、本発明が解決しようとする問題は、機能性再生セルロース繊維及びその調製プロセスと使用を提供することにある。本発明に係る機能性再生セルロース繊維である機能性ビスコース繊維は、よい遠赤外線性能を有するだけでなく、高い抗菌・抑菌性能を生成することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、グラフェン構造と、非炭素非酸素元素とを含み、
前記非炭素非酸素元素はFe、Si及びAl元素を含み、
前記Fe、Si及びAl元素は前記再生セルロース繊維の0.018wt%〜0.8wt%を占めている、機能性再生セルロース繊維を提供する。
【0009】
好ましくは、グラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質は、カーボンナノ構造を含む複合体の形態で導入される。
【0010】
好ましくは、前記カーボンナノ構造を含む複合体は、グラフェンと、無定形炭素と、非炭素非酸素元素とを含み、
前記カーボンナノ構造を含む複合体において、前記非炭素非酸素元素はFe、Si及びAl元素を含み、
前記非炭素非酸素元素の含有量はカーボンナノ構造を含む複合体の0.5wt%〜6wt%である。
【0011】
好ましくは、前記カーボンナノ構造を含む複合体において、炭素元素の含有量は≧80wt%である。
【0012】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素はカーボンナノ構造を含む複合体の0.3wt%〜5wt%であり、1.5wt%〜5wt%であることが好ましい。
【0013】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素は、単体、酸化物又は炭化物のうちのいずれか1種又は複数種の形態でカーボンナノ構造の表面又は内部に吸着される。
【0014】
選択可能な第1の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、触媒の作用で、バイオマス炭素源に対して触媒処理を行って前駆体を得るステップ(1)と、
保護ガスの条件で、前記前駆体を140℃〜180℃で1.5h〜2.5h保温して第1の中間体を得るステップ(2)と、
保護ガスの条件で、前記第1の中間体を350℃〜450℃に昇温して3h〜4h保温して第2の中間体を得るステップ(3)と、
保護ガスの条件で、前記第2の中間体を1100℃〜1300℃に昇温して2h〜4h保温して第3の中間体を得るステップ(4)と、
前記第3の中間体に対して順にアルカリ洗浄、酸洗、水洗を行って複合体を得るステップ(5)とを含み、
前記ステップ(3)、前記ステップ(4)における昇温速度は14℃/min〜18℃/minである。
【0015】
好ましくは、前記バイオマス炭素源は、リグノセルロース、セルロース及びリグニンのうちの1種又は複数種である。
【0016】
選択可能な第2の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、
バイオマス炭素源と触媒を混合し、撹拌して触媒処理を行った後、乾燥させて前駆体を得るステップ(1)と、
保護ガス雰囲気において、前駆体を280〜350℃で1.5〜2.5h保温し、その後950〜1200℃昇温し、3〜4h保温して粗製品を得て、前記プログラム昇温の昇温速度が15〜20℃/minであるステップ(2)と、
粗製品を洗浄した後、カーボンナノ構造を含む複合体を得るステップ(3)とを含む。
【0017】
選択可能な第2の態様において、前記バイオマス炭素源の触媒に対する質量比は1:0.1〜10であり、好ましくは1:0.5〜5であり、更に好ましくは1:1〜3である。
【0018】
好ましくは、前記触媒は、マンガンの化合物、鉄含有化合物、コバルト含有化合物及びニッケル含有化合物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。好ましくは、前記鉄含有化合物は、鉄のハロゲン化合物、鉄のシアン化物及び鉄含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。好ましくは、前記コバルト含有化合物は、コバルトのハロゲン化合物及びコバルト含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。好ましくは、前記ニッケル含有化合物は、ニッケルの塩化物塩とニッケル含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。好ましくは、前記触媒は、塩化第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、トリオキサラト鉄酸カリウム、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び酢酸ニッケルから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0019】
前記撹拌して触媒処理を行う温度は、150〜200℃であり、時間≧4h、好ましくは4〜14hである。好ましくは、前記前駆体の含水量は10wt%以下である。好ましくは、前記前駆体が280〜350℃に昇温した昇温速度は3〜5℃/minである。好ましくは、前記保護ガス雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、窒素ガスであることが好ましい。好ましくは、前記粗製品の洗浄は、順に行われた酸洗と水洗である。前記酸洗は、好ましくは濃度3〜6wt%の塩酸を用い、更に好ましくは濃度5wt%の塩酸を用いる。前記水洗は、好ましくは脱イオン水及び/又は蒸留水を用いる。好ましくは、前記洗浄の温度は55〜65℃であり、60℃であることが好ましい。
【0020】
前記バイオマス炭素源は、セルロース及び/又はリグニンであり、好ましくはセルロースであり、更に好ましくは多孔質セルロースである。
【0021】
好ましくは、前記多孔質セルロースは以下の方法により得られる。
【0022】
バイオマス資源を酸加水分解してリグノセルロースを得て、その後多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを得る。好ましくは、多孔質セルロースが漂白された後に使用する。
【0023】
好ましくは、前記バイオマス資源は、植物及び/又は農林廃棄物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、農林廃棄物のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであることが好ましい。好ましくは、前記農林廃棄物は、トウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、モロコシの茎、甜菜パルプ、サトウキビの滓、フルフラールの滓、キシロースの滓、木屑、綿の茎及びアシから選ばれるいずれか1種又は2種の組合せであり、トウモロコシの穂軸であることが好ましい。
【0024】
選択可能な第3の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、以下のステップを含む。
【0025】
(1’)トウモロコシの穂軸を酸加水分解してリグノセルロースを得て、そして多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを得て、多孔質セルロースを漂白した後にスタンバイする。
【0026】
(1)質量比1:0.5〜1.5でステップ(1’)における多孔質セルロースと触媒を混合し、150〜200℃で撹拌して触媒処理を4h以上行った後、前駆体の含水量が10wt%以下になるまで乾燥させて前駆体を得る。
【0027】
(2)保護ガス雰囲気において、3〜5℃/min速度で前駆体を280〜350℃に昇温し、2h保温し、その後950〜1050℃にプログラム昇温し、3〜4h保温して粗製品を得る。前記プログラム昇温の昇温速度は15〜20℃/minである。
【0028】
(3)55〜65℃で、粗製品を濃度5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を得る。
【0029】
上記方法により調製されたカーボンナノ構造を含む複合体もバイオマス含有グラフェンの1種に属する。
【0030】
前記カーボンナノ構造を含む複合体については、典型的であるが限定的ではないものは、表aに記載の性能を有する物質(1)、物質(2)、物質(3)又は物質(4)のうちのいずれか1種又は2種の組合せであってもよい。
【0031】
【表a】
【0032】
表aにおいて、IG/IDは、ラマンスペクトルにおけるGピークとDピークとのピーク高さの比である。
【0033】
本発明に係るカーボンナノ構造を含む複合体においてGピークとDピークとのピーク高さの比は、好ましくは≧2.0、更に好ましくは≧3.0、特に好ましくは≧5.0である。好ましくは、本発明に係るカーボンナノ構造を含む複合体においてGピークとDピークとのピーク高さの比は≦30であり、例えば27、25、20、18、15、12、10、8、7などであってもよい。
【0034】
当業者であれば、表aに挙げられたカーボンナノ構造を含む複合体の性能指標について、全てカーボンナノ構造を含む複合体の粉体の指標を指しており、前記カーボンナノ構造を含む複合体がパルプであれば、上記の指標はパルプ前粉体を調製する指標であることが分かっている。
【0035】
前記カーボンナノ構造を含む複合体が粉体である場合、表aに記載の性能指標を有することができる以外、前記カーボンナノ構造を含む複合体粉体は以下の性能を有してもよい。
【0036】
黒い粉末で、細かさが均一で、明らかな大粒子がなく、含水量≦3.0%、粒度D90≦10.0μm、pH5.0〜8.0、見掛け密度0.2〜0.4g/cm
3。
【0037】
前記カーボンナノ構造を含む複合体がパルプである場合、カーボンナノ構造を含む複合体を溶剤に分散させる製品であり、表aにおける性能指標を有することができる以外、前記カーボンナノ構造を含む複合体パルプは、以下の性能を有してもよい。
【0038】
固形量1.0〜10.0%、粒度D50≦0.7um、pH8.0〜10.0、Zeta電位≦−10mV、粘度5.0〜8.0mpa・s。
【0039】
好ましくは、前記カーボンナノ構造を含む複合体の質量は前記機能性再生セルロース繊維質量の0.1wt%〜10wt%を占めている。
【0040】
好ましくは、前記グラフェン構造は、厚みが100nm以下である。
【0041】
好ましくは、前記グラフェン構造は、層数が1〜10層の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造のうちの1種又は複数種の組合せである。
【0042】
好ましくは、前記Fe、Si及びAl元素は、前記再生セルロース繊維の0.1wt%〜0.7wt%を占めている。
【0043】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素は、前記再生セルロース繊維の0.03wt%〜1wt%を占めている。
【0044】
好ましくは、前記グラフェン構造は、厚みが100nm以下である。
【0045】
好ましくは、前記グラフェン構造は、層数が1〜10層の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造のうちの1種又は複数種の組合せである。
【0046】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素は、P、Ca、Na、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S及びCoのうちの1種又は複数種を更に含む。
【0047】
前記非炭素非酸素元素は、前記再生セルロース繊維の0.1wt%〜1wt%を占めている。
【0048】
本発明は、パルプ浸漬、プレス、粉砕、老化、黄化、溶解、熟成、濾過及び脱泡ステップを含む機能性再生セルロース繊維の調製方法を更に提供する。
【0049】
前記グラフェン構造及び非炭素非酸素元素は、黄化ステップ以降のステップにおいて導入される。
【0050】
好ましくは、前記グラフェン構造及び非炭素非酸素元素は、カーボンナノ構造を含む複合体の形態で導入される。
【0051】
本発明は、NMMO(N−メチルモルホリン−N−酸化物)溶液でセルロースパルプを溶解させ、グラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質を導入して紡糸原液を得て、当該紡糸原液で再生セルロース繊維を調製するステップを含む機能性再生セルロース繊維の調製方法を更に提供する。
【0052】
好ましくは、前記グラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質は、カーボンナノ構造を含む複合体を含む。
【0053】
本発明は、上述したような機能性再生セルロース繊維、又は上述したような調製方法により調製された再生セルロース繊維を含む物品を更に提供する。
【0054】
前記物品は、民用服装、家庭用テキスタイル、紫外線防護ファブリック又は工業用特殊防護服を含む。
【0055】
好ましくは、前記家庭用テキスタイルは、タオルと、バスタオルと、シーツと、掛け布団カバーとを含む。
【発明の効果】
【0056】
従来技術と比べ、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0057】
従来技術と比べ、本発明に係る機能性再生セルロース繊維は、従来の再生セルロース繊維にグラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質を導入し、グラフェン構造、Fe、Si及びAl元素の組合せにより、本発明に係る再生セルロース繊維は遠赤外線性能と抗菌・抑菌という複数種の機能を有することができるとともに、特定の添加比率を制御することにより、高い遠赤外線効果と抑菌効果を有することができる。実験の結果から分かるように、本発明に係る再生セルロース繊維は、遠赤外線性能は最大で0.93に達することが可能となり、抑菌性能は最大で99%に達することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明を更に理解するために、以下で実施例を結び付けて本発明の好ましい実施態様を説明するが、これらの説明は、本発明の特徴と利点を更に説明するためのものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0060】
本発明の全ての原料において、その調達元に対して特に制限はなく、市場で購買されたもの又は当業者に熟知されている従来の方法により調製すればよい。
【0061】
本発明の全ての原料において、その純度に対して特に制限はないが、本発明は分析用試薬(AR、Analytical reagent)を採用することが好ましい。
【0062】
本発明は、グラフェン構造と非炭素非酸素元素とを含み、前記非炭素非酸素元素はFe、Si及びAl元素を含み、前記Fe、Si及びAl元素は前記再生セルロース繊維の0.018wt%〜0.8wt%を占めている機能性再生セルロース繊維を提供する。本発明に係るFe、Si及びAl元素は、好ましくは前記再生セルロース繊維の0.018wt%〜0.8wt%を占め、より好ましくは0.1wt%〜0.7wt%であり、更に好ましくは0.2wt%〜0.7wt%であり、最も好ましくは0.3wt%〜0.5wt%であり、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.45wt%、0.7wt%、0.72wt%、0.78wt%などであってもよい。本発明に係る非炭素非酸素元素の前記再生セルロース繊維に対する質量部とは、前記非炭素非酸素元素の前記再生セルロース繊維における含有量であり、即ち元素の繊維における含有量である。好ましくは、後続する紡糸プロセスにおいてプロセス条件に起因して導入したものを含まず、例えばフィラメント繊維に対してシリコーン油をコーティングしたものを含まない。
【0063】
前記非炭素非酸素元素は、前記再生セルロース繊維の0.03wt%〜1wt%を占めている。本発明に係る非炭素非酸素元素は、好ましくは前記再生セルロース繊維の0.03wt%〜1wt%を占め、より好ましくは0.1wt%〜0.8wt%であり、更に好ましくは0.2wt%〜0.7wt%であり、最も好ましくは0.3wt%〜0.5wt%であり、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.45wt%、0.7wt%、0.82wt%、0.93wt%などであってもよい。本発明に係る非炭素非酸素元素の前記再生セルロース繊維に対する質量部とは、前記非炭素非酸素元素の前記再生セルロース繊維における含有量であり、即ち元素の混合物における含有量である。
【0064】
本発明に係る非炭素非酸素元素は非炭素非酸素非水素元素を含むことが好ましい。本発明に係る非炭素非酸素元素とは特に鉱物元素を指し、非炭素非酸素元素に言及する理由は引用基礎を増やすためである。当業者が熟知しているように、再生セルロース繊維は一定量の水素を含有し、前記非炭素非酸素元素が再生セルロース繊維において占める比率は0.03wt%〜1wt%に限定されるわけではなく、適切に拡大されてもよく、例えば0.03〜5wt%などに拡大されてもよい。
【0065】
本発明において前記グラフェン構造に対する特別な限定はなく、当業者が熟知している定義であればよい。本発明に係るグラフェン構造とは、単層グラフェン構造又は多層グラフェン構造を含有する複数種構造の組合せであり、より好ましくは単層グラフェンと異なる層数のグラフェンとの組合せである。本発明に係るグラフェン構造は、より好ましくは層数が1〜10層の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造のうちのいずれか1種又は複数種の組合せであり、より好ましくは単層、二層又は3〜10層構造のうちのいずれか1種又は複数種の組合せである。通常、層数が10層以上で厚みが100nm以内の炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は、グラフェンナノシート層と呼ばれ、バイオマスを炭素源として調製された層数が10層以上で厚みが100nm以内の炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は、バイオマスグラフェンシート層と呼ばれる。層数が1〜10層の炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は、グラフェンと呼ばれ、バイオマスを炭素源として調製された層数が1〜10層の炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は、バイオマスグラフェンと呼ばれる。
【0066】
本発明に係るグラフェン構造は、微視的な見掛けで、前記炭素の六員環ハニカム状のシート層構造が微視的に反り、捲縮、折り畳み立体構造のいずれか一種又は複数種の組合せをなしていることが好ましい。複合体におけるシート層構造の微視的な形態について、典型的なものは電子顕微鏡、例えば透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡の観察により取得可能である。本発明に記載のグラフェン構造の厚みは100nm以下であることが好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が最も好ましい。
【0067】
本発明に係る機能性再生セルロース繊維において、前記非炭素非酸素元素は、好ましくはP、Ca、Na、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S及びCoのうちの1種又は複数種を更に含み、より好ましくはP、Ca、Na、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S及びCoのうちの複数種である。前記非炭素非酸素元素は、単体と化合物のうちのいずれか1種又は複数種の組合せの形態で存在する。上記好ましい態様において、前記非炭素非酸素元素が前記再生セルロース繊維に占める比について、前記非炭素非酸素元素の前記再生セルロース繊維における含有量は、好ましくは0.1wt%〜1wt%であり、より好ましくは0.2wt%〜0.8wt%であり、より好ましくは0.3wt%〜0.7wt%であり、最も好ましくは0.4wt%〜0.5wt%である。
【0068】
例示的に、本発明に係る再生セルロース繊維において、前記非炭素非酸素元素はPとCaとNaとの組合せ、NiとMnとKとCoとの組合せ、MgとCrとSとMnとの組合せ、PとCaとNaとNiとMnとKとCrとの組合せ、PとCaとNaとNiとMnとKとMgとCrとSとCoとの組合せ等を含む。前記非炭素非酸素元素の前記再生セルロース繊維における含有量は、例示的に0.21wt%、0.24wt%、0.27wt%、0.29wt%、0.33wt%、0.36wt%、0.38wt%、0.45wt%、0.48wt%などであってもよい。
【0069】
本発明において、前記グラフェン構造と非炭素非酸素元素を含有する物質をどのように再生セルロース繊維に導入するかは特に限定されておらず、当業者が熟知する導入方法を用いればよい。本発明は、機能性再生セルロース繊維の性能を向上させるために、カーボンナノ構造を含む複合体の形態で前記グラフェン構造と非炭素非酸素元素を含有する物質を導入することが好ましい。本発明に係る非炭素非酸素元素を含有する物質は、好ましくは上記元素のナノスケール材料であり、より好ましくはナノスケール単体、ナノスケール酸化物とナノスケール無機化合物のうちの1種又は複数種である。
【0070】
本発明に係るカーボンナノ構造を含む複合体の質量は、好ましくは前記再生セルロース繊維の質量の0.1wt%〜10wt%であり、より好ましくは1wt%〜8wt%であり、最も好ましくは3wt%〜5wt%である。前記カーボンナノ構造を含む複合体において、前記炭素元素の含有量は、好ましくは80wt%以上であり、より好ましくは85wt%〜97wt%であり、最も好ましくは90wt%〜95wt%である。前記カーボンナノ構造を含む複合体において、前記非炭素非酸素元素の含有量は、好ましくは0.5wt%〜6wt%であり、より好ましくは1wt%〜5wt%であり、最も好ましくは2wt%〜4wt%である。前記カーボンナノ構造を含む複合体のラマンスペクトルでの炭素元素のGピークとDピークとのピーク高さの比は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは3〜20である。
【0071】
本発明に係るカーボンナノ構造を含む複合体において、グラフェン構造は、厚みが100nm以下の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造であることが好ましく、厚みが20ナノ以下の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造がより好ましく、層数が1〜10層の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せが更に好ましく、単層、2層又は3〜10層構造のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せが好ましく、好ましくは、前記複合体における炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は微視的に反り、捲縮、折り畳み立体構造のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せをなしている。
【0072】
本発明に係るカーボンナノ構造を含む複合体において、グラフェン構造と無定形炭素を含むことが好ましく、前記非炭素非酸素元素は、単体、酸化物及び炭化物のいずれか一種又は複数種の組合せの形態でカーボンナノ構造の表面又は内部に吸着されることが好ましい。無定形炭素は二次元グラファイト層面又は三次元グラファイト結晶子を更に含み、結晶子の縁に大量の不規則的な結合が存在しており、大量のsp2炭素を含む以外、多くのsp3炭素も更に含む。実際、それら(無定形炭素)の内部構造は真のアモルファスではなく、グラファイトと同じ構造を有する結晶であり、炭素原子の六角形の環状平面のみで形成された層状構造はバラバラで且つ不規則的で結晶に欠陥が形成されており、大部分の無定形炭素は、グラファイトの層形構造の分子フラグメントがほぼ互いに平行するように不規則的に積み重ねられ、乱層構造と略称することができる。層間又はフラグメントの間はダイヤモンド構造の四面体結合の形態の炭素原子で結合されている。
【0073】
好ましくは、変性再生セルロース繊維を調製する過程では、グラフェン構造を導入する過程においてグラフェン構造を導入した物質に対して活性化又は変性が行われていない。
【0074】
本発明において、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は特に限定されない。
【0075】
好ましくは、前記カーボンナノ構造を含む複合体はグラフェンと、無定形炭素と、非炭素非酸素元素とを含む。前記カーボンナノ構造を含む複合体において、前記非炭素非酸素元素はFe、Si及びAl元素を含む。前記非炭素非酸素元素の含有量はカーボンナノ構造を含む複合体の0.5wt%〜6wt%である。
【0076】
前記カーボンナノ構造を含む複合体において、炭素元素の含有量≧80wt%、例えば82wt%、86wt%、89wt%、91wt%、94wt%、97wt%、99wt%などであり、好ましくは85〜97wt%であり、更に好ましくは90〜95wt%である。
【0077】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素はカーボンナノ構造を含む複合体の0.3wt%〜5wt%を占め、好ましくは0.5〜5wt%であり、更に好ましくは1.5wt%〜5wt%である。本発明の一部の具体的な実施例において、前記非炭素非酸素元素はカーボンナノ構造を含む複合体の0.7wt%、1.1wt%、1.3wt%、1.6wt%、2wt%、2.8wt%、3.5wt%、4.2wt%、5.3wt%又は5.8wt%を占めている。
【0078】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素は、単体、酸化物又は炭化物のうちのいずれか1種又は複数種の形態でカーボンナノ構造の表面又は内部に吸着される。
【0079】
本発明において、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は特に限定されず、当業者が熟知する類似複合体の調製方法を用いればよい。
【0080】
選択可能な第1の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、以下のステップ(方法1として記される)を含む。
【0081】
(1)触媒の作用で、バイオマス炭素源を触媒処理して前駆体を得る。
【0082】
(2)保護ガスの条件で、前記前駆体を140℃〜180℃で1.5h〜2.5h保温して第1の中間体を得る。
【0083】
(3)保護ガスの条件で、前記第1の中間体を350℃〜450℃に昇温して3h〜4h保温して第2の中間体を得る。
【0084】
(4)保護ガスの条件で、前記第2の中間体を1100℃〜1300℃に昇温して2h〜4h保温して第3の中間体を得る。
【0085】
(5)前記第3の中間体に対して順にアルカリ洗浄、酸洗、水洗を行って複合体を得る。
【0086】
前記ステップ(3)と前記ステップ(4)において昇温速度が14℃/min〜18℃/minである。
【0087】
前記炭素源はバイオマス炭素源であることが好ましく、バイオマス資源は植物及び/又は農林廃棄物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、針葉樹、広葉樹、林業用樹、農林廃棄物のいずれか1種又は少なくとも2種の組合せが好ましく、前記農林廃棄物はトウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、モロコシの茎、甜菜パルプ、サトウキビの滓、フルフラールの滓、キシロースの滓、木屑、綿の茎、シェル、及びアシから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであることが好ましく、トウモロコシの穂軸が好ましい。バイオマス炭素源はリグノセルロース、セルロース及び/又はリグニンから選ばれ、セルロース及び/又はリグニンがより好ましく、セルロースがより好ましく、多孔質セルロースが更に好ましい。
【0088】
好ましくは、再生セルロース繊維を調製する過程では、グラフェン構造を導入する過程においてグラフェン構造を導入した物質に対して活性化又は変性が行われていない。
【0089】
前記バイオマス炭素源の触媒に対する質量比は1:0.1〜10であり、例えば1:0.2、1:0.5、1:0.8、1:1.1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9などであり、好ましくは1:0.5〜5であり、更に好ましくは1:1〜3である。
【0090】
好ましくは、前記触媒はマンガンの化合物、鉄含有化合物、コバルト含有化合物及びニッケル含有化合物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、前記鉄含有化合物は鉄のハロゲン化合物、鉄のシアン化物及び鉄含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、前記コバルト含有化合物はコバルトのハロゲン化合物とコバルト含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、前記ニッケル含有化合物はニッケルの塩化塩とニッケル含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、更に好ましくは、前記触媒は塩化第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、トリオキサラト鉄酸カリウム、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び酢酸ニッケルから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。例示的には、前記触媒は塩化第二鉄と硝酸第二鉄との組合せ、硝酸第一鉄と硫酸第二鉄と塩化コバルトとの組合せ、酢酸コバルトと塩化ニッケルと硫酸ニッケルとの組合せ、フェリシアン化カリウムとフェロシアン化カリウムとトリオキサラト鉄酸カリウムと硝酸第一鉄との組合せ、塩化コバルトと硝酸コバルトと硫酸コバルトと酢酸コバルトとの組合せ等から選ばれる。
【0091】
好ましくは、ステップ(1)で、前記撹拌して触媒処理を行う温度は150〜200℃であり、時間≧4h、好ましくは4〜14hである。前記前駆体の含水量は、好ましくは10wt%以下である。ステップ(2)で、前記前駆体が280〜350℃に昇温した昇温速度は、3〜5℃/minであることが好ましい。前記保護ガス雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、好ましくは窒素ガスである。ステップ(3)で、前記粗製品洗浄は、順に行われた酸洗と水洗である。前記酸洗は、好ましくは濃度3〜6wt%の塩酸を用い、更に好ましくは濃度5wt%の塩酸を用いる。前記水洗は、好ましくは脱イオン水及び/又は蒸留水を用いる。前記洗浄の温度は55〜65℃であり、好ましくは60℃である。
【0092】
本発明において、上記調製ステップは、好ましくは以下のとおりである。
【0093】
まず、バイオマス炭素源と触媒を混合し、撹拌して触媒処理を行った後、乾燥させて前駆体を得る。
【0094】
そして保護ガス雰囲気において、前駆体を140〜180℃で1.5〜2.5h保温して第1の中間体を得る。本発明の一部の具体的な実施例において、前記温度は142℃、148℃、155℃、160℃、172℃又は178℃であり、前記保温時間は1.6h、1.8h、2h、2.2h又は2.4hである。
【0095】
その後、プログラムを350〜450℃に昇温し、3〜4h保温し、第2の中間体を取得し、本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記温度は360℃、370℃、380℃、390℃、410℃、420℃、430℃又は440℃であり、前記保温時間は3.1h、3.3h、3.5h、3.8h又は3.9hである。
【0096】
続いて、1100〜1300℃に再び昇温し、2〜4h保温し、第3の中間体(即ち、生成物の粗製品)を取得し、本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記温度は1130℃、1170℃、1210℃又は1280℃であり、前記時間は2.2h、2.4h、2.6h、2.8h、3.0h、3.2h、3.4h、3.6h又は3.8hである。
【0097】
前記プログラム昇温の昇温速度は14℃/min〜18℃/minであり、本発明の一部の具体的な実施例において、前記昇温速度は15℃/min、16℃/min又は17℃/minである。
【0098】
最後、第3の中間体(即ち生成物粗製品)に対してアルカリ洗浄、酸洗、水洗を行った後、複合体を得る。
【0099】
本発明において、前記バイオマス炭素源は、好ましくはリグノセルロース、セルロース及びリグニンのうちの1種又は複数種であり、より好ましくはリグノセルロース、セルロース又はリグニンである。
【0100】
本発明において、前記バイオマス炭素源の触媒に対する質量比は1:(0.5〜5)であり、好ましくは1:(1〜3)である。本発明の一部の具体的な実施例において、前記比率は1:0.5、1:1又は1:3である。
【0101】
本発明において、前記触媒は、マンガンのハロゲン化合物、鉄含有化合物、コバルト含有化合物及びニッケル含有化合物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0102】
好ましくは、前記鉄含有化合物は、鉄のハロゲン化合物、鉄のシアン化物及び鉄含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。前記鉄含有酸塩は、鉄元素を含有する有機酸の塩又は鉄元素を含有する無機酸の塩である。前記鉄のハロゲン化合物は、塩化第二鉄及び/又は臭化鉄であってもよい。
【0103】
好ましくは、前記コバルト含有化合物は、コバルトのハロゲン化合物とコバルト含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。前記コバルト含有酸塩は、コバルト元素を含有する有機酸の塩又はコバルト元素を含有する無機酸の塩である。前記コバルトのハロゲン化合物は、塩化コバルト及び/又は臭化コバルトであってもよい。
【0104】
好ましくは、前記ニッケル含有化合物は、ニッケルの塩化物塩とニッケル含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。前記ニッケル含有酸塩は、ニッケル元素を含有する有機酸の塩又はニッケル元素を含有する無機酸の塩である。前記ニッケルのハロゲン化合物は塩化ニッケル及び/又は臭化ニッケルであってもよい。
【0105】
好ましくは、前記触媒は塩化第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、トリオキサラト鉄酸カリウム、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び酢酸ニッケルから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0106】
本発明に係る触媒の組合せについて、典型的であるが限定的ではない実例は、塩化第一鉄と硫酸第二鉄との組合せ、フェリシアン化カリウムとトリオキサラト鉄酸カリウムとの組合せ、塩化コバルトと硝酸コバルトと塩化第二鉄との組合せ、硫酸コバルトと酢酸コバルトと硝酸ニッケルとの組合せ、塩化第二鉄と塩化コバルトと酢酸ニッケルとの組合せを有している。
【0107】
前記撹拌して触媒処理を行う温度は150℃〜200℃であり、例えば160℃、170℃、180℃、190℃等で、時間≧4hで、4h〜14hが好ましく、本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記時間は4.2h、7h、9h、12h、16h、19h、23hである。
【0108】
好ましくは、前記前駆体における水分含有量は10wt%以下であり、本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記水分含有量は1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、10wt%等である。
【0109】
好ましくは、前記保護ガス雰囲気は窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せであり、好ましくは窒素ガスである。
【0110】
好ましくは、前記酸洗は濃度3wt%〜6wt%の塩酸水溶液を用い、更に好ましくは濃度5wt%的塩酸水溶液を用いる。好ましくは、前記水洗は脱イオン水及び/又は蒸留水を用いる。前記アルカリ洗浄は濃度5wt%〜15wt%の水酸化ナトリウム水溶液を用い、更に好ましくは濃度10wt%の水酸化ナトリウム水溶液を用いる。
【0111】
好ましくは、前記洗浄の温度は55〜65℃であり、例えば56℃、57℃、58℃、60℃、63℃などであり、好ましくは60℃である。
【0112】
前記バイオマス炭素源は、セルロース及び/又はリグニンであり、好ましくはセルロースであり、更に好ましくは多孔質セルロースである。
【0113】
本発明に係る多孔質セルロースは、従来技術により得られてもよい。典型的であるが限定的ではない多孔質セルロースを得る従来技術は、例えば、特許公開番号CN104016341Aに開示されている方法で多孔質セルロースを調製し、CN103898782Aに開示されている方法を採用してセルロースを調製する方法である。
【0114】
好ましくは、前記多孔質セルロースは、以下の方法により得られる。
【0115】
バイオマス資源を酸加水分解してリグノセルロースを得て、その後多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを得る。好ましくは、多孔質セルロースが漂白された後に使用する。
【0116】
前記バイオマス資源は植物及び/又は農林廃棄物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、農林廃棄物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが好ましい。
【0117】
好ましくは、前記農林廃棄物はトウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、モロコシの茎、甜菜パルプ、サトウキビの滓、フルフラールの滓、キシロースの滓、木屑、綿の茎及びアシから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、トウモロコシの穂軸が好ましい。
【0118】
本発明に係るバイオマス資源の典型的であるが限定的ではない組み合わせの実例は、トウモロコシの茎とトウモロコシの穂軸との組み合わせ、サトウキビの滓とモロコシの茎と木屑との組み合わせ、甜菜パルプとサトウキビの滓とトウモロコシの穂軸との組み合わせ、モロコシの茎と甜菜パルプとキシロースの滓との組み合わせ等を含む。
【0119】
本発明に係るカーボンナノ構造を含む複合体は、更に以下の複数種の方法により調製されてもよい。
【0120】
選択可能な第2の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、以下のステップを含む(方法2として記される)。
【0121】
(1)バイオマス炭素源と触媒を混合し、撹拌して触媒処理を行った後、乾燥させて前駆体を得る。
【0122】
(2)保護ガス雰囲気において、前駆体を280〜350℃で1.5〜2.5h保温し、そして950〜1200℃に昇温し、3〜4h保温して粗製品を得る。前記プログラム昇温の昇温速度は15〜20℃/minである。
【0123】
(3)粗製品を洗浄した後、カーボンナノ構造を含む複合体を得る。
【0124】
選択可能な第2の態様において、前記バイオマス炭素源の触媒に対する質量比は1:0.1〜10であり、好ましくは1:0.5〜5であり、更に好ましくは1:1〜3である。
【0125】
好ましくは、前記触媒はマンガンの化合物、鉄含有化合物、コバルト含有化合物及びニッケル含有化合物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記鉄含有化合物は鉄のハロゲン化合物、鉄のシアン化物及び鉄含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記コバルト含有化合物はコバルトのハロゲン化合物とコバルト含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記ニッケル含有化合物はニッケルの塩化物塩とニッケル含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記触媒は塩化第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、トリオキサラト鉄酸カリウム、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び酢酸ニッケルから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0126】
前記撹拌して触媒処理を行う温度は150〜200℃であり、時間≧4hで、4〜14hが好ましく、好ましくは、前記前駆体における水分含有量は10wt%以下であり、好ましくは、前記前駆体を280〜350℃に昇温する昇温速度は3〜5℃/minであり、好ましくは、前記保護雰囲気は窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、窒素ガスが好ましく、好ましくは、前記粗製品の洗浄は順に行われる酸洗と水洗であり、前記酸洗は、濃度が3〜6wt%の塩酸を使用することが好ましく、濃度が5wt%の塩酸が更に好ましく、前記水洗は、脱イオン水及び/又は蒸留水を使用することが好ましく、好ましくは、前記洗浄の温度は55〜65℃であり、60℃が好ましい。
【0127】
前記バイオマス炭素源は、セルロース及び/又はリグニンであり、好ましくはセルロースであり、更に好ましくは多孔質セルロースである。
【0128】
好ましくは、前記多孔質セルロースは以下の方法により得られる。
【0129】
バイオマス資源を酸加水分解してリグノセルロースを得て、その後多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを得る。好ましくは、多孔質セルロースが漂白された後に使用する。
【0130】
好ましくは、前記バイオマス資源は植物及び/又は農林廃棄物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、農林廃棄物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが好ましく、好ましくは、前記農林廃棄物はトウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、モロコシの茎、甜菜パルプ、サトウキビの滓、フルフラールの滓、キシロースの滓、木屑、綿の茎及びアシから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、トウモロコシの穂軸が好ましい。
【0131】
選択可能な第3の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、以下のステップを含む(方法3として記される)。
【0132】
(1’)トウモロコシの穂軸を酸加水分解してリグノセルロースを得て、その後多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを得て、多孔質セルロースを漂白した後にスタンバイする。
【0133】
(1)質量比1:0.5〜1.5でステップ(1’)における多孔質セルロースと触媒を混合し、150〜200℃で撹拌して触媒処理を4h以上行った後、前駆体の含水量が10wt%未満にあるまで乾燥させて前駆体を得る。
【0134】
(2)保護ガス雰囲気において、3〜5℃/min速度で前駆体を280〜350℃に昇温し、2h保温し、そして950〜1050℃にプログラム昇温し、3〜4h保温して粗製品を得る。前記プログラム昇温の昇温速度は15〜20℃/minである。
【0135】
(3)55〜65℃で、粗製品を、濃度5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を得る。
【0136】
上記方法(方法1、2、3)により調製されたカーボンナノ構造を含む複合体もバイオマス含有グラフェンの1種に属する。
【0137】
上記方法により調製されたカーボンナノ構造を含む複合体もバイオマス含有グラフェンの1種に属する。
【0138】
本発明に係るカーボンナノ構造を含む複合体は、更に以下の複数種の方法により調製されてもよい。
【0139】
方法4:バイオマス資源で従来のプロセスによって活性炭を調製してなる。異なる植物体内の微量元素の種類と含有量には大きな違いがあるため、後続の酸洗、水洗などのステップによって非炭素非酸素元素の含有量を制御し、それに基づいてグラフェンを導入することで、非炭素非酸素元素が複合体の0.5wt%〜6wt%を占めている。
【0140】
方法5:市場でリグニンを購入し、不活性ガスで高温炭化或いはそれに対して不十分なグラファイト化反応を行い、また、グラフェンを添加し、後期でナノP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S又はCoのいずれか3種及び以上の元素の組み合わせを導入するとともに、その含有量を0.5wt%〜6wt%に制御する。
【0141】
方法6:いくつかの有機廃材、例えばフェノール樹脂フォームシートを炭化した後、グラフェンを導入し、後期でナノP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S又はCoのいずれか3種及び以上の元素の組み合わせを導入し、その含有量を0.5wt%〜6wt%に制御する。
【0142】
方法7:ナノグラファイトに活性炭とグラフェンを添加し、後期でナノP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S又はCoのうちのいずれか三種以上の元素の組合せを導入してその含有量を0.5wt%〜6wt%に制御する。
【0143】
本発明が保護しようとするカーボンナノ構造を含む複合体は、上記調製方法に限定されない。上記方法により調製された本発明が保護しようとするカーボンナノ構造を含む複合体の製品について、方法1〜3により得られたその遠赤外線性能及び抗菌性能は方法4〜7よりも優れているが、ダウンストリーム製品を調製する際に前記カーボンナノ構造を含む複合体に対する活性化又は変性処理を必要とせずに機能性再生セルロース繊維において均一に分散することができ、特に方法1〜3については一定の効果を奏する。
【0144】
本発明は、カーボンナノ構造を含む複合体の形態でグラフェン構造と非炭素非酸素元素を含有する物質を導入するとともに、導入過程において導入物質に対する前処理、例えば活性化、変性などを必要せず、再生セルロースと効果的に結合することができ、一層向上した遠赤外線効果と抑菌効果をもたらす。
【0145】
非炭素非酸素元素含有量の第1の測定方法:カーボンナノ構造を含む複合体を硝酸(ρ=1.42g/mL)、過塩素酸(ρ=1.67g/mL)、フッ化水素酸(ρ=1.16g/mL)で分解し、硝酸媒体に保温し、定容した後、誘導結合プラズマ発光分光分析装置により、標準曲線法でカーボンナノ構造を含む複合体中のP、Si、Ca、Al、Naなどの元素の含有量を定量分析する。
【0146】
非炭素非酸素元素含有量の第2の測定方法:国際GB/T17359−1998、「EPMAとSEMのX線EDS定量分析の一般的な仕様」を用いる。
【0147】
本発明において、前記非炭素非酸素元素の測定方法は限定されず、何れかの本技術分野における既知又は新規の測定方法は本発明に用いることができる。本発明は2種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を提供し、好ましくは「第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法」によって測定を行い、本発明の実施例において「第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法」を用いて測定を行う。
【0148】
前記カーボンナノ構造を含む複合体に対する赤外線検出データは、GBT 7286.1−1987「金属と非金属のトータルノーマルエミッタンスの試験方法(Test method for total normal emittance of metals and non−metallic materials)」に応じる。
【0149】
前記カーボンナノ構造を含む複合体に対する抑菌検出データは、GB/T20944.3−2008テスト方法に応じ、黄色ブドウ球菌を例とする。
【0150】
本発明は、パルプ浸漬、プレス、粉砕、老化、黄化、溶解、熟成、濾過及び脱泡ステップを含む機能性再生セルロース繊維の調製方法を提供する。
【0151】
前記グラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質は、黄化ステップ以降に導入される。
【0152】
好ましくは、本発明に係るグラフェン構造は1種の混合物の形態で導入され、好ましくは非グラフェン構造成分、例えば無定形炭素成分を含む。好ましくは、前記グラフェン構造及び非炭素非酸素元素は、カーボンナノ構造を含む複合体の形態で導入される。
【0153】
より好ましくは、前記グラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質は、溶解ステップにおいて導入され、より好ましくは、それをセルロースキサントゲン酸エステルを溶解させるための希アルカリ溶液に予め分散させる。
【0154】
前記カーボンナノ構造を含む複合体については、典型的であるが限定的ではないものは、表aに記載の性能を有する物質(1)、物質(2)、物質(3)又は物質(4)のうちの何れか1種又は少なくとも2種の組合せであってもよい。
【0156】
表aにおいて、IG/IDは、ラマンスペクトルにおけるGピークとDピークとのピーク高さの比である。
【0157】
当業者であれば、表aに挙げられたカーボンナノ構造を含む複合体の性能指標について、全てカーボンナノ構造を含む複合体の粉体の指標を指しており、前記カーボンナノ構造を含む複合体がパルプであれば、上記の指標はパルプ前粉体を調製する指標であることが分かっている。
【0158】
前記カーボンナノ構造を含む複合体が粉体である場合、表aにおける性能指標を有することができる以外、前記カーボンナノ構造を含む複合体の粉体は以下の性能を有してもよい。
【0159】
黒い粉末で、細かさが均一で、明らかな大粒子がなく、含水量≦3.0%、粒度D90≦10.0μm、pH5.0〜8.0、見掛け密度0.2〜0.4g/cm
3。
【0160】
前記カーボンナノ構造を含む複合体がパルプである場合、カーボンナノ構造を含む複合体を溶剤に分散させる製品であり、表aにおける性能指標を有することができる以外、前記カーボンナノ構造を含む複合体パルプは、以下の性能を有してもよい。
【0161】
固形量1.0〜10.0%、粒度D50≦0.7um、pH8.0〜10.0、Zeta電位≦−10mV、粘度5.0〜8.0mpa・s。
【0162】
本発明は、NMMO溶液でセルロースパルプを溶解させ、グラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質を導入して紡糸原液を得て、当該紡糸原液で再生セルロース繊維を調製するステップを含む機能性再生セルロース繊維の方法を提供する。
【0163】
再生セルロース繊維の製造プロセスは、N−メチルモルホリン−N−酸化物(NMMO)溶剤を用いる紡糸プロセスである。その具体的な方法は、セルロースパルプとN−メチルモルホリン−N−酸化物(NMMO)を直接混合し、添加剤(例えばCaCl
2)と耐酸化剤(例えばPG)を添加して溶解過程において繊維を酸化・分解させることを防止し、且つ溶液の粘性を調節して繊維の性能を改良することである。含水量を133%未満に制御して溶解しないほうがよい程度に達させる。85〜125℃で溶解し、濃度が高い溶液を得て、溶液を濾過、脱泡し、88〜125℃で湿式紡糸又は乾式紡糸を行い、低温水浴又は水/NMMO系で凝固成形させ、引張、水洗、脱油、乾燥及び溶剤回収などの工程を経て繊維を調製してなる。セルロースパルプにグラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質を導入する。
【0164】
本発明は、上記技術態様のいずれか一項に記載の機能性再生セルロース繊維、或いは上記技術態様のいずれか一項に記載の調製方法により調製された再生セルロース繊維を含むことを特徴とする物品を提供する。前記物品は、民用服装、家庭用テキスタイル、紫外線防護ファブリック又は工業用特殊防護服を含むことが好ましい。
【0165】
本発明に係る機能性再生セルロース繊維及びその調製プロセスと使用物品において、従来の再生セルロース繊維にグラフェン構造と非炭素非酸素元素を導入し、グラフェン構造、Fe、Si及びAl元素の組合せにより、本発明に係る再生セルロース繊維は遠赤外線性能と抗菌・抑菌などの性能を有し、且つ特定の添加比率を制御することにより、高い遠赤外線効果と抑菌効果を有することができる。また、本発明はカーボンナノ構造を含む複合体の形態でグラフェン構造と非炭素非酸素元素を含有する物質を導入するとともに、導入過程において導入物質に対する前処理、例えば活性化、変性などを必要とせずに、再生セルロースと効果的に結合することができ、一層向上した遠赤外線効果と抑菌効果をもたらす。
【0166】
本発明における前記機能性セルロースの非炭素非酸素非水素元素の含有量に対する第1の測定方法:繊維を硝酸(ρ=1.42g/mL)、過塩素酸(ρ=1.67g/mL)、フッ化水素酸(ρ=1.16g/mL)で分解し、硝酸媒体に保温し、定容した後、誘導結合プラズマ発光分光分析装置により、標準曲線法でカーボンナノ構造を含む複合体中のP、Si、Ca、Al、Naなどの元素の含有量を定量分析する。
【0167】
ただし、繊維を検出する前に、まず後期で給油などのプロセスによる影響を除去し、影響要素は主にシリコンオイルなどを含み、除去方法は蒸煮、複数回洗浄などである。
【0168】
非炭素非酸素非水素元素含有量の第2の測定方法:国際GB/T17359−1998、「EPMAとSEMのX線EDS定量分析の一般的な仕様」を用いる。
【0169】
本発明において前記非炭素非酸素元素の測定方法は限定されず、いずれかの本技術分野における既知又は新規の測定方法はそれぞれ本発明に用いることができる。本発明は2種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を提供し、好ましくは「第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法」によって測定を行い、本発明の実施例において「第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法」を用いて測定を行う。
【0170】
本発明に係る非炭素非酸素元素は、繊維内部の、複数回の洗浄により簡単に除去できない元素である。
【0171】
本発明は前記機能性セルロースの遠赤外線性能と抗菌性能を検出し、検出標準は以下のとおりである。
【0172】
赤外線検出データは、中国国家紡績製品品質監督検査センターによってFZ/T64010−2000検査方法に応じて検査を行う。
【0173】
抑菌検出データは、中国国家紡績製品品質監督検査センターによってGB/T20944.3−2008検査方法に応じて検査を行う。
【0174】
試験結果から分かるように、本発明に係る再生セルロース繊維の遠赤外線性能は最大で0.93に達することができ、抑菌性能は最大で99%に達することができる。
【0175】
更に本発明を説明するために、以下で、実施例を結び付けて本発明に係る機能性再生セルロース繊維及びその調製プロセスと使用について詳細に説明するが、本発明の保護範囲は、下記実施例に限定されない。
【0177】
カーボンナノ構造を含む複合体であって、下記方法により得られる。
【0178】
(1)質量比1:1でトウモロコシの穂軸セルロースと塩化第一鉄を混合し、150℃で撹拌して触媒処理を4h行い、前駆体の含水量が10wt%にあるまで乾燥させて前駆体を得る。
【0179】
(2)保護ガス雰囲気において、3℃/min速度で前駆体を170℃に昇温し、2h保温し、そして400℃にプログラム昇温し、3h保温した後、1200℃に昇温し、3h保温して粗製品を得る。前記プログラム昇温の昇温速度は15℃/minである。
【0180】
(3)55〜65℃で、粗製品を濃度10%の水酸化ナトリウム溶液、4wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を得る。
【0181】
実施例1に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとのピーク高さの比が3であることがわかった。
【0182】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Fe、Mg元素を含み、含有量が3.2wt%であることが検出された。
【0184】
実施例1におけるトウモロコシの穂軸セルロースをアシセルロースに置き換える。
【0185】
実施例2に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が4.8であることがわかった。
【0186】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にSi、Ca、Al、Fe、Mg、S元素を含み、含有量が2.5wt%であることが検出された。
【0188】
実施例1におけるトウモロコシの穂軸セルロースをハコヤナギセルロースに置き換える。
【0189】
実施例3に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が4.6であることがわかった。
【0190】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Al、Na、Fe、Ni元素を含み、含有量が3.5wt%であることが検出された。
【0192】
実施例1におけるトウモロコシの穂軸セルロースをトウモロコシの穂軸リグニンに置き換える。
【0193】
実施例4に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が2.8であるとことがわかた。
【0194】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Fe、Mg、K元素を含み、含有量が2.7wt%であることが検出された。
【0196】
トウモロコシの穂軸の予備品を3倍量の44%の塩化亜鉛液(塩酸でpH=1に調整する)に投入し、十分に撹拌して含浸させ、静置して5時間吸収し、再び十分に撹拌して、また静置して5時間吸収し、塩化亜鉛液が全て吸収されるまでになると、開口の平底炭化炉に移して密閉炭化を行った。400℃で3時間炭化し、30分間程度ごとに一回の撹拌を徹底的に行い、撹拌する前に炉温を100℃以下に降温した。撹拌した後に再び昇温して密閉炭化を行い、黒いコークスになるまでにすると、吐出して冷却し、2倍量の44%の塩化亜鉛液(pH=1)を用いて含浸させた。塩化亜鉛液が全て吸収されるように十分に撹拌し、賦活炉に移し、650℃で70分間活性化させ、吐出して冷却し、樽内に移し、等量の40%のアンモニウムクロライド液を投入した。十分に撹拌して洗浄し、静置して清澄化させ、上澄み液をサイフォンし、30%、12%及び3%のアンモニウムクロライド液を順に用いて撹拌して洗浄した。再び、等量の30%の塩酸で撹拌して洗浄し、炭素粒子を濾過して取得し、鍋に投入し、同じ体積の清水を投入し、洗浄してアンモニウムクロライドがなくなるまでに煮沸して洗浄し、加熱して蒸発させ、撹拌して炒め、水分を廃棄し、乾燥、粉砕し、120メッシュのふるいに掛け、活性炭を取得した。これに基づき、グラフェンを導入し、且つ、P、Si、Ca、Al、Fe、Mgを含むナノ材料を投入し、含有量が3.5wt%であり、具体的には、添加材料がナノ五酸化二リン、ナノケイ素粉末、ナノ炭酸カルシウム、ナノアルミナ、ナノ鉄、ナノマグネシウム粉末であり、カーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0198】
リグニンを炭化炉内で密閉炭化を行い、400℃で3時間炭化し、30分程度ごとに一回の撹拌を徹底的に行い、撹拌する前に炉温を100℃以下に降温した。撹拌した後にアルゴンガスの条件で再び2200℃に昇温して密閉してグラファイト化を2h行い、吐出して冷却し、30%、12%及び3%のアンモニウムクロライド液を順に用いて撹拌して洗浄した。再び等量の30%塩酸で撹拌して洗浄し、乾燥、粉砕し、120メッシュのふるいに掛け、グラファイトと活性炭の混合炭素材料を取得した。これに基づき、グラフェンを導入し、且つ、P、Si、Ca、Al、Fe、Mgを含むナノ材料を投入し、含有量が3.3wt%であり、具体的には、ナノ五酸化二リン、ナノ二酸化ケ素、ナノ炭酸カルシウム、ナノアルミニウム粉末、ナノ鉄、ナノ炭酸マグネシウムであり、カーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0200】
フェノール樹脂フォームボードを用いて330℃で一回炭化を行い、水素元素と酸素元素を除去し、そして700℃で高温炭化を行い、それに基づいてグラフェンを導入し、P、Si、Ca、Al、Fe、Mgを含有するナノ材料を添加し、含有量が3.4wt%であり、カーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0202】
ナノグラファイトに活性炭とグラフェンを添加し、P、Si、Ca、Al、Fe、Mgを含有するナノ材料を添加し、含有量が3.3wt%であり、具体的にはナノ五酸化リン、ナノケイ素粉、ナノアルミニウム粉末、ナノ鉄、ナノマグネシウム粉であり、カーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0205】
90℃で、硫酸でトウモロコシの穂軸水溶液をpH=3に調節し、10min浸漬して加水分解を行ってリグノセルロースを取得した。前記硫酸の質量は、前記トウモロコシの穂軸質量の3%である。そして、70℃で、得たリグノセルロースを酸性亜硫酸塩に1h浸漬して多孔質セルロースを取得した。ただし、酸は硫酸であり、亜硫酸塩は亜硫酸マグネシウムであり、前記硫酸の質量は前記リグノセルロース質量の4%であり、液固比が2:1である。調製された後にスタンバイする(このステップは公開番号がCN104016341Aの特許文献を参照してもよい)。
【0206】
(2)質量比1:1でステップ(1)で得られた多孔質セルロースと塩化第二鉄を混合し、200℃で撹拌して触媒処理を8h行い、前駆体の含水量が4wt%になるまで乾燥させて前駆体を取得した。保護ガス雰囲気において、5℃/min速度で前駆体を350℃に昇温し、2h保温した後、1000℃にプログラム昇温し、4h保温して粗製品を得る。前記プログラム昇温の昇温速度は20℃/minである。55〜65℃で、粗製品を濃度4wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0207】
実施例9に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が6.8であることがわかった。
【0208】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Fe、Mg、K元素を含み、含有量が3.5wt%であることが検出された。
【0210】
実施例9との区別は、ステップ(2)において、以下のとおりである。
【0211】
質量比1:5で実施例9におけるステップ(1)で得られた多孔質セルロースと塩化マンガンを混合し、180℃で撹拌して触媒処理を5h行い、前駆体の含水量が6wt%になるまで乾燥させて前駆体を取得した。保護ガス雰囲気において、4℃/min速度で前駆体を300℃に昇温し、3h保温した後、1000℃にプログラム昇温し、4h保温して粗製品を取得した。前記プログラム昇温の昇温速度は17℃/minである。60℃で、粗製品を濃度5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0212】
実施例10に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が15であることがわかった。
【0213】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Mn、S元素を含み、含有量が5.7wt%であることが検出された。
【0215】
(1)小麦の藁を粉砕して前処理した後、酸全体の濃度が80wt%のギ酸と酢酸の有機酸液を使用して処理後の小麦の藁を蒸解した。本実施例の有機酸液において、酢酸とギ酸の質量比は1:12であり、且つ原料を入れる前に小麦の藁の原料の1wt%を占めている過酸化水素(H
2O
2)を触媒として投入し、反応温度を120℃に制御し、30min反応させた。固体と液体の質量比は1:10であり、且つ、得られた反応液に一回目の固液分離を行った。一回目の固液分離で得られた固体を酸全体の濃度が75wt%のギ酸と酢酸の有機酸液に投入して酸洗浄を行った。ただし、上記酸全体の濃度が75wt%の有機酸液に小麦の藁の原料の8wt%を占めている過酸化水素(H
2O
2)が触媒として投入され、且つ、酢酸とギ酸の質量比は1:12であり、温度は90℃に制御し、洗浄時間は1hで、固体と液体の質量比は1:9である。加えて反応液に二回目の固液分離を行った。一回目と二回目の固液分離で得られた液体を収集し、120℃、301kPaで高温高圧の蒸発を行い、乾燥するまで蒸発し、得られたギ酸と酢酸の蒸気を凝縮してステップ(1)の反応釜に蒸解液として還流させて、ステップ(1)の蒸解に用いた。二回目の固液分離で得られた固体を収集し、水洗した。水洗温度を80℃に制御し水洗パルプの濃度は6wt%である。加えて得られた水洗パルプに三回目の固液分離を行った。三回目の固液分離で得られた液体を収集し、水、酸精留を行い、得られた混合酸液はステップ(1)の反応釜に再利用して蒸解液としてステップ(1)の蒸解に用いられ、得られた水をステップ(5)に再利用して水洗用の水とし、三回目の固液分離で得られた固体を収集して且つ選別して必要な細かいパルプセルロースを得た。(このステップは公開番号がCN104016341Aの特許文献を参照してもよい)。
【0216】
(2)質量比1:0.1で実施例2に得られたセルロースと塩化第一鉄を混合し、150℃で撹拌して触媒処理を4h行い、前駆体の含水量が10wt%になるまで乾燥させて前駆体を取得した。保護ガス雰囲気において、3℃/min速度で前駆体を280℃に昇温し、2h保温した後、950℃にプログラム昇温し、3h保温して粗製品を取得した。前記プログラム昇温の昇温速度は15℃/minである。55〜65℃で粗製品を濃度4wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0217】
実施例11に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、Gピーク、Dピークピーク高さ比が3であることがわかった。
【0218】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg元素を含み、含有量が0.7wt%であることが検出された。
【0220】
実施例11との区別は、ステップ(2)において、以下のとおりである。
【0221】
質量比1:1で実施例11のステップ(1)で得られたセルロースと塩化第二鉄を混合し、200℃で撹拌して触媒処理を8h行い、前駆体の水分含有量が8wt%になるまで乾燥し、前駆体を取得し、保護雰囲気で、5℃/minの速度で前駆体を350℃に昇温し、2h保温した後、プログラムを1050℃に昇温し、4h保温して粗製品を取得した。前記プログラムを昇温する昇温速度は20℃/minであり、55〜65℃で、粗製品を濃度が6wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得した。
【0222】
実施例12に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、Gピーク、Dピーク高さ比が4.8であることが明らかになった。
【0223】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg元素を含み、含有量が3.1wt%であることが検出された。
【0225】
(1)ハコヤナギ又はユーカリの枝葉を粉砕して前処理した後、濃度が90%のギ酸と濃度が5%の酢酸及び5%の水の有機酸液を用いて処理後のリグノセルロースバイオマスに酸加水分解を行い、反応温度を165℃に制御し、10min反応させた。前記ギ酸と酢酸の混合酸液と、バイオマス原料との液体と固体の質量比は1:20であり、且つ、得られた反応液に一回目の固液分離を行った。(2)ステップ(1)で分離された固体を濃度が90%のギ酸と濃度が5%の酢酸及び5%の水の有機酸液に投入して酸洗浄を行った。温度は60〜80℃で、洗浄時間は0.5〜1hであり、且つ、反応液に二回目の固液分離を行い、分離された固体を水洗処理した後に必要なセルロースを取得した。(3)ステップ(1)とステップ(2)で固液分離された液体を収集して減圧蒸留濃縮を行い、ギ酸と酢酸の蒸気、及び濃度が元の液体の濃度の4〜5倍の濃縮液を取得した。(4)ステップ(3)で蒸留されたギ酸と酢酸の蒸気を凝縮してステップ(1)の反応釜に還流させ、ステップ(1)の酸分解に用いた。(5)ステップ(3)で得られた濃縮液に水を添加して希釈した。前記助剤と前記濃縮液との質量比は2:1で、60〜70℃に制御して0.5〜1h撹拌し、そして三回目の固液分離を行い、得られた固体に水(水と前記固体との質量比は3:1)を添加し、且つ、75〜80℃で2〜3h撹拌して水洗でエステル化を除去した後、必要なリグニンを取得した(このステップは公開番号がCN103131018Aの「リグノセルロースバイオマスの綜合利用プロセス」を参照してもよい)。
【0226】
(2)質量比1:1で実施例3で得られたハコヤナギセルロースと塩化第二鉄を混合し、200℃で撹拌して触媒処理を8h行い、前駆体の含水量が8wt%になるまで乾燥させて前駆体を取得した。保護ガス雰囲気において、5℃/min速度で前駆体を350℃に昇温し、2h保温した後、プログラムを1050℃に昇温し、4h保温して粗製品を取得した。前記プログラム昇温の昇温速度は20℃/minである。55〜65℃で、粗製品を濃度6wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0227】
実施例13で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が4.6であることがわかった。
【0228】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Ni、K元素を含み、含有量が3.6wt%であることが検出された。
【0230】
実施例13との区別は、ステップ(2)において、以下のとおりである。
【0231】
質量比1:0.5で実施例13におけるステップ(1)で得られたユーカリセルロースと塩化ニッケルを混合し、170℃で撹拌して触媒処理を5h行い、前駆体の含水量が6wt%になるまで乾燥させて前駆体を取得した。保護ガス雰囲気において、4℃/min速度で前駆体を300℃に昇温し、3h保温した後、1000℃にプログラム昇温し、4h保温して粗製品を取得した。前記プログラム昇温の昇温速度は17℃/minである。60℃で、粗製品を濃度5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0232】
実施例14で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が2.1であることがわかった。
【0233】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Ni、K元素を含み、含有量が1.6wt%であることが検出された。
【0235】
実施例13との区別は、ステップ(2)において、以下のとおりである。
【0236】
質量比1:3で実施例3に得られたハコヤナギセルロースと塩化第一鉄を混合し、180℃で撹拌して触媒処理を5h行い、前駆体の含水量が6wt%になるまで乾燥させて前駆体を取得した。保護ガス雰囲気において、4℃/min速度で前駆体を300℃に昇温し、3h保温した後、プログラムを1000℃に昇温し、4h保温して粗製品を取得した。前記プログラム昇温の昇温速度は17℃/minである。60℃で、粗製品を濃度5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0237】
実施例15で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が2.1であることがわかった。
【0238】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Ni、K元素を含み、含有量が4.7wt%であることが検出された。
【0240】
名称が「多孔質グラフェンの調製方法」のCN104016341Aに開示された実施例7に得られたグラフェンを比較例1とする。比較例に調製されたグラフェンに対してラマンスペクトル検出を行い、結果としてGピークとDピークとの高さの比が13であることがわかった。
【0242】
CN103508444Aに開示された方法で調製されたリンドーピンググラフェン及びその調製方法であって、具体的には以下のとおりである。
【0243】
1gの純度が95%のグラファイトを24mlの質量分率が65%の濃硝酸と90mlの質量分率が98%の濃硫酸に投入して混合し、混合物を氷水混合浴の環境で置き、20分間撹拌し、再び混合物に過マンガン酸カリウムを徐々に投入した。過マンガン酸カリウムとグラファイトの質量比は5:1であり、1時間撹拌し、続いて混合物を85℃に加熱して30min保持し、その後、脱イオン水を添加して85℃で30min保持し続けた。脱イオン水とグラファイトとの液固比は90mL:1gであり、最後に、質量分率が30%の過酸化水素溶液を添加した。過酸化水素溶液とグラファイトとの液固比は10mL:1gであり、10min撹拌し、混合物を吸引濾過し、更に、希塩酸と脱イオン水を順にそれぞれ用いて固形物を洗浄した。希塩酸、脱イオン水とグラファイトの固液比は100mL:150mL:1gであり、共に3回の洗浄を行い、最後に、固形物を60℃の真空オーブン内で12時間乾燥して酸化グラファイトを取得した。質量比が1:2の比率で酸化グラファイトと五酸化二リンを取って均一に混合し、流量が300ml/minのアルゴンガス雰囲気内に配置し、15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、2h保持し、その後、流量が300ml/minのアルゴンガス雰囲気内で室温に降温し、リンをドープしたグラフェンを作製した。
【0244】
比較例2に調製された窒素ドーピンググラフェンに対してラマンスペクトル検出を行い、結果としてGピークとDピークとの高さの比が5であることがわかった。
【0245】
第1種の非炭素非酸素元素含有量の測定方法を用いることにより、カーボンナノ構造を含む複合体は主にP元素を含むことが検出された。
【0248】
CN104118874Aに開示された活性炭/グラフェン複合体及びその調製方法において、実施例1に調製されたグラフェン含有活性炭はP、Si、Ca、Fe、Mg、Mn元素を含む。
【0249】
比較例3に調製された活性炭/グラフェン複合体に対してラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークとの高さの比が0.5であることがわかった。
【0250】
第1種の非炭素非酸素非水素元素含有量の測定方法を用いることにより、得られた活性炭/グラフェン複合体はS、N、Cl元素を含むことが検出された。
【0251】
実施例1〜15及び比較例1〜3に調製されたカーボンナノ構造を含む複合体で機能性再生セルロース繊維を調製する。
【0252】
ビスコース繊維の調製を例として、本発明に用いるビスコース溶液は従来技術に熟知するものであり、その調製方法は、パルプを原料として浸漬、プレス、粉砕、老化、黄化、溶解、熟成、濾過、脱泡などの工程を行う。パルプを濃度が約18%の水酸化ナトリウム水溶液で浸漬し、セルロースをアルカリセルロースに転化し、ヘミセルロースを溶出させ、一部の重合度を降下させる。更にプレスによって余計なアルカリ溶液を除去する。塊状のアルカリセルロースを粉砕機で粉砕した後、柔らかな綿状体になっており、表面積が増大するため、その後の化学反応の均一性を向上させる。アルカリセルロースが酸素の作用で酸化開裂を発生して平均重合度を降下させる過程は、老化と呼ばれる。老化後、アルカリセルロースと二硫化炭素を反応させてセルロースキサントゲン酸エステルを生成する過程は、黄化と呼ばれ、大分子間の水素結合を更に弱め、キサントゲン酸基が親水性を有するため、セルロースキサントゲン酸エステルの希アルカリ溶液における溶解性能を大幅に向上させる。固体セルロースキサントゲン酸エステルを希アルカリ溶液に溶解させてビスコースとなる。調製してなるビスコースは粘度と塩値が高くて成形しにくいため、一定の温度で一定の時間置かなければならない過程は、熟成と呼ばれ、ビスコースセルロースキサントゲン酸ナトリウムを次第に加水分解・けん化させ、エステル化度を低下させ、粘度と電解質作用に対する安定性もそれに伴って変更する。熟成後、脱泡と濾過を行うことで、気泡と不純物を除去する。具体的には以下のとおりである。
【0253】
(1)ビスコース繊維のフィラメントプロセス:
図1は、ビスコース繊維のフィラメントプロセスフローチャートである。
【0254】
(2)アルカリ浸漬プロセス条件
アルカリ溶液(NaOH):濃度240g/L、温度20℃
浸漬時間:120min
【0255】
(3)老化プロセス条件
温度25℃、時間34h
【0256】
(4)黄化プロセス条件
黄化方法:湿式黄化
アルカリ化:時間30min、温度21.0±0.5℃
黄化:時間120min、初期温度21.0±0.5℃、最終温度30.0±0.5℃
CS
2添加量:34.5%(メチルセルロースに対する)
前溶解:時間120min、温度16.5±0.5℃
后溶解:時間180min、温度16.5±0.5℃
【0257】
(5)調製されたビスコース原液の構成:
メチルセルロース 8.30±0.10%
NaOH 5.80±0.10%
S 2.25±0.1%
【0258】
(6)ビスコース熟成条件
時間36〜38h
温度19.0±0.5℃
【0259】
(7)紡糸ゲルを得る条件
粘度 30〜40秒(20℃、落球法(fallingballmethod))
熟成度 7.8〜8.6ml(10%NH4Cl値)
【0260】
(8)紡糸プロセス条件:
紡糸速度:82m/min
ドラフト:25%
引張ドラフト:4.12%
【0261】
(9)凝固浴条件
酸浴構成:
H
2SO
4132.0±1.0g/L
ZnSO
410.5±0.5g/L
Na
2SO
4265.0±5.0g/L
温度:52.0±1.0℃
比重:1.270±0.005
温度:45〜50℃
【0262】
一般的には、上記ビスコース溶液を調製する複数のステップにグラフェン構造と非炭素非酸素元素を導入することができ、例えば粉砕前、老化前、黄化前や熟成前に導入することができる。通常、濾過又は脱泡ステップ以降に導入されることはない。本発明は、熟成後、濾過前に導入することが好ましい。発明者は、この際にグラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質(例えばカーボンナノ構造を含む複合体)を添加する混合効率がより高く、混合時間を半分以上に減縮し、一般的に三分の一に減縮することができることを見出した。
【0263】
本発明において、グラフェン構造及び非炭素非酸素元素を含有する物質を分散系として調製し、そして当該分散溶液とビスコース溶液を均一に混合することが好ましい。分散溶剤は水であることが好ましい。好ましくは、グラフェン構造を含有する複合体を固形量0.1〜10%の分散系として調製する。
【0264】
一つの好ましい形態は、グラフェン構造を含有する複合体を、溶解セルロースキサントゲン酸エステルを溶解させるための希アルカリ溶液に分散させ、分散後、黄化されたセルロースであるセルロースキサントゲン酸エステルを添加する。このような方法は、グラフェン構造を導入するために別に水を導入する必要がなく、セルロースが溶解した後にグラフェン構造と結合し、混合がより均一であるという利点を有する。このような実施形態において、グラフェン構造を希アルカリ溶液に分散させる際、及びセルロースキサントゲン酸エステルを添加した後、長時間撹拌する必要がなく、熟成後に短時間撹拌すればよく、グラフェン構造の分散効率を大幅に向上させることができる。
【0265】
続いて、濾過と脱泡後、紡糸、脱硫、水洗、給油及び乾燥を行い、最後のビスコース繊維を得る。これらは従来方法に属するため、本文において詳細な説明を省略する。
【0266】
具体的には、トウモロコシの穂軸を原料として、浸漬・アルカリ化、プレス、粉砕、老化、黄化、溶解、熟成を経た後、固形量8%のビスコース溶液を調製してなる。実施例1〜8及び比較例1〜3に得られたグラフェン構造を含有する原料を5倍質量の水で分散させ、そしてグラフェン構造分散液とビスコース溶液を混合し、高速撹拌機で1時間撹拌し、ブレンド溶液を形成し、グラフェン構造を含有する複合体の用量は、セルロース質量の0.7%、1.5%、3%、5%と10%である。濾過し、脱泡し、そして紡糸、脱硫、水洗、乾燥を経て機能性ビスコース繊維を得る。ただし、凝固浴の構成:硫酸105g/l、硫酸ナトリウム200g/l、硫酸亜鉛12g/l。機能性繊維の遠赤外線性能と抗菌性能に対して検出を行い、検出標準は以下のとおりである。
【0267】
赤外線検出データは、中国国家紡績製品品質監督検査センターによってFZ/T64010−2000検査方法に応じて検査を行う。
【0268】
抗菌検出データは、中国国家紡績製品品質監督検査センターによってGB/T20944.3−2008検査方法に応じて検査を行う。
【0270】
実施例1〜15及び比較例1〜3に調製されたグラフェン構造と非炭素非酸素元素を含有する原料を添加する。
【0271】
添加量が0.7%である場合、以下の機能性ビスコース繊維を調製する。
【0273】
添加量が1.5%である場合、以下の機能性ビスコース繊維を調製する。
【0275】
添加量が3%である場合、以下の機能性ビスコース繊維を調製する。
【0277】
添加量が5%である場合、以下の機能性ビスコース繊維を調製する。
【0279】
添加量が10%である場合、以下の機能性ビスコース繊維を調製する。
【0281】
以上の実施例と比較例から、植物自体には多くの微量元素が存在し、植物自体を利用してグラフェン構造と微量元素を含む物質を直接調製することは、生成物における各成分、例えば微量元素の分散が更に均一になり、その後の高分子材料等の物質と結合する時に、達成可能な効果が更に優れているが、後期で微量元素を導入すると、混合が均一にならないと効果も著しくなく、更にその効果は天然混合の効果よりも若干悪くなることが分かっている。
【0282】
カーボンナノ構造を含む複合体の添加量が5wt%を超えた場合、特に10wt%を超えた場合、凝集現象が起こりやすいため、カーボンナノ構造を含む複合体が繊維において不均一に分散し、遠赤外線と抗菌効果を降下させる。カーボンナノ構造を含む複合体が繊維においてよい分散能力を有しさえすれば、継続して添加することができる。
【0283】
以上、本発明に係る機能性再生セルロース繊維及びその調製プロセスと使用物品について詳細に説明した。本文では具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は本発明の方法及びその要旨を理解するためのものに過ぎない。なお、当業者であれば、本発明の原理から逸脱しない前提で、本発明に対する種々の改良と修飾を更に行うことができ、これらの改良と修飾も本発明の特許請求の保護範囲内に含まれていることがわかるはずである。
【0284】
本願は、2015年11月20日に中国特許庁に出願した出願番号が201510817208.7で発明の名称が「機能性再生セルロース繊維及びその調製方法と使用」の中国特許出願、2015年11月26日に中国特許庁に出願した出願番号が201510849113.3で発明の名称が「機能性再生セルロース繊維及びその調製方法と使用」の中国特許出願、及び2015年11月20日に中国特許庁に出願した出願番号が201510819312.xで、発明の名称が「複合体とその調製方法、及び高分子材料とその調製方法」の中国特許出願に基づく優先権を主張するものであり、それらの全内容を本願に援用する。