(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
チャンバを画定する複数の壁を有するイオン源を備え、前記複数の壁は底壁、開口を有する上壁、2つの端壁及び2つの側壁を有し、陰極が前記2つの端壁の一つに近接して配置され、
前記チャンバの外部に前記2つの側壁のそれぞれに近接して各々が配置された2つの可動熱シールドを備え、前記2つの可動熱シールドの各々は第1の量の熱を前記チャンバの方へ反射して戻す第1の位置及び前記第1の量より少ない第2の量の熱を前記チャンバの方へ反射して戻す第2の位置を有し、且つ
前記可動熱シールドの各々と連動し、前記可動熱シールドの各々をそれぞれの枢支点を中心に回転させるアクチュエータを備え、前記第1の位置において、前記可動熱シールドはそれぞれの側壁と第1の角度を成し、前記第2の位置において、前記可動熱シールドはそれぞれの側壁と第1の角度より大きい第2の角度を成す、
イオン源の温度制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述したように、イオン源はチャンバを画定する複数の壁を備える。いくつかの実施形
態では、一以上のガスをチャンバ内に導入し、イオン化する。他の実施形態では、個体材
料をチャンバ内に置き、スパッタリングしてイオンを生成し得る。これらの各実施形態で
は、イオンはチャンバ内で生成される。チャンバの壁の一つに設けられた開口によってイ
オンを抽出しワークピースへ向けることができる。
【0013】
図1A−1Cは第1の実施形態の装置10を示す。装置10はイオン源100と一以上の
可動熱シールド170,175を含む。イオン源100はチャンバ120を画定する複数の壁を有する。イオン源100は高さ、長さ及び幅を有する直方体の形状とし得る。イオン源100は底壁111、対向上壁112、2つの対向側壁113,114(図
3A参照)及び2つの対向端壁115,116を有する。これらの壁はチャンバを画定し得る。他の実施形態では、チャンバは複数の区画に分離してもよい。「上」、「底」、「側」及び「端」という語を使用するが、それらはイオン源が所定の向きに配置されることを意味しない。それらは説明の便宜上使用されている。
【0014】
上壁112はイオンを抽出する開口130を有する。開口130の外部に一以上の電極
がある(図示せず)。これらの電極は正イオンをイオン源100内から開口130を経て
ワークピース(図示せず)に向け引き出すように電気的にバイアスされる。
【0015】
陰極140は一つの端壁115に配置し得る。典型的には、フィラメント(図示せず)
はチャンバ120の残部から分離するために陰極140の背後に配置される。フィラメン
トは給電され、フィラメントから熱イオン電子を発生する。これらの電子は陰極140を
叩き、陰極から電子を発生させチャンバ120内に放出させる。陰極140は電子をチャ
ンバ120の方へ反発させるために負にバイアスし得る。
【0016】
リペラ150を対向端壁116に配置し得る。リペラ150も、放出された電子をチャ
ンバ120の中心の方へ反発させて戻すために負にバイアスし得る。このようにして、放
出された電子が両端壁115,116で反発され、各電子がガス分子と衝突しイオンを形
成する確率を最大にする。
【0017】
上述したように、イオン源100の温度はイオン源100の寿命並びに選択したガスの
イオン化に影響を与え得る。
図1Aはアクチュエータ180と連動する2つの可動熱シー
ルド170,175を備える装置100を示す。第1の可動熱シールド170は陰極14
0を有する端壁115に近接して配置される。第2の可動熱シールド175はリペラ15
0を有する端壁116に近接して配置される。
【0018】
本明細書に記載する実施形態のすべてにおいて、これらの可動熱シールド170,17
5は低い熱伝導率を有する高耐熱材料を用いて製造し得る。例えば、可動熱シールド17
0,175はタングステン、モリブデン、ニッケル、タンタル、その合金、又は同種の材
料で製造し得る。代わりに、プロセスを高めるために電子放出材料と熱伝導性材料の積層
を用いてもよい。これらの材料は単独で用いても、効率を向上させるために基板にマウン
トしてもよい。これらの材料は単一のシート又は複数の層の形にしてもよい。タングステ
ン、チタン及びステンレススチール等の材料をアセンブリとして使用しても、基板に固着
してもよい。他の構成も可能であること勿論である。熱シールドは任意の高温高反射性材
料からなり、熱をイオン源100の方へ反射して戻すために使用することができる。加え
て、これらの材料は必要に応じ積層にしても、基板に固着してもよい。
【0019】
図1Aは可動熱シールド170,175が両方とも第1の位置にある装置100を示し、この場合には
可動熱シールドは第1の量の熱をイオン源100の方へ反射して戻すように配置されている。この配置は、可動熱シールド170,175がそれぞれの端壁115,116の大部分又は全体と近接もしくはオーバラップするときに起こり得る。
図1Aはそれぞれの端壁115,116の全体を覆う又はオーバラップする可動熱シールド170,175を示すが、他の実施形態も可能である。例えば、可動熱シールド170,175は第1の位置においてそれぞれの端壁115,116の一部分のみを覆う又はオーバラップすることができる。この第1の位置はイオン源100の最大所望温度を達成するために選択することができる。
【0020】
反射される熱の量は可動熱シールド170,175とそれぞれの端壁115,116と
の間のオーバラップの量に基づく。これは端壁115,116と可動熱シールド170,
175との間の距離にも基づき得る。端壁とその対応する可動熱シールドとの間の間隙が
小さいほど、反射される熱の量が大きくなる。更に、端壁115,116と可動熱シール
ド170,175の成す角度が小さいほど、反射され得る熱の量が大きくなる。言い方を
変えれば、最大熱反射は端壁の平面とその対応する可動熱シールドの平面が互いに平行で
あるときに生じる。しかしながら、これらの構成要素が正確に平行である必要はない。実
際には、端壁と対応する可動熱シールドとが若干の角度を成してもよい。しかしながら、
角度が大きくなるほどチャンバの方へ反射されて戻る熱量が小さくなり得る。
【0021】
第1の位置では、可動熱シールド170,175の位置に起因して、第1の量の熱がイ
オン源100の方へ反射されて戻され、チャンバ120は第1の動作温度にされる。いく
つかの実施形態では、この第1の動作温度は最大所望温度にし得る。
【0022】
図1Bは両可動熱シールドが第2の位置にある装置10を示す。この第2の位置は第1
の量より少ない第2の量の熱をイオン源100の方へ反射するために選択される。この第
2の位置では、第1の位置の場合よりオーバラップが少ない。いくつかの実施形態では、
端壁115,116と可動熱シールド170,175が殆ど又は全くオーバラップしない
。これは反射される熱を減少する。この第2の位置では、チャンバ120の温度を最小所
望温度にし得る。言い換えれば、第1の位置では可動熱シールド170,175はそれぞ
れの端壁115,116の一部分とオーバラップするが、第2の位置では可動熱シールド
170,175はそれぞれの端壁115,116のより小さい部分とオーバラップする。
【0023】
いくつかの実施形態では、可動熱シールド170,175を第1の位置と第2の位置と
の間で移動させるためにアクチュエータ180を使用する。このアクチュエータ180は
任意の通常のモータ、例えばステップモータ、サーボモータ、又は固定のストローク又は
複数のストロークを有する空気圧シリンダーとし得る。シリンダーの場合には、第1の位
置及び第2の位置はストロークの終点に決めてよい。
【0024】
直線運動を使用する実施形態のいずれにおいても、可動熱シールドは一組のレール又はブッシュと連携し、
可動熱シールドが所望の通路に沿って移動できるようにする。例えば、
図1A−1Dにおいて、
可動熱シールドが所望の通路に沿って摺動するように一組のレール又はブッシュを各可動熱シールド170,175の両側に配置することができる。
【0025】
従って、この移動は複数の方法で達成することができる。例えば、この移動は空気圧式
、歯車式又はステップモータ式とし得る。よって、アクチュエータ180は可動熱シール
ド170,175を所望の通路に沿って平行移動し得る任意の装置とし得る。
【0026】
加えて、この移動は案内しなくても、レール又はブッシュで案内してもよい。いくつか
の実施形態では、アクチュエータ180を使用しないで、可動熱シールド170,175
を手動で移動するようにしてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、各可動熱シールドに対して正確に2つの位置があり、それら
の位置は
図1A−Bに示されている。いくつかの実施形態では、2つの可動熱シールド1
70,175は一致して移動される。加うるに、他の実施形態では、第1の可動熱シール
ド170と第2の可動熱シールド175は、それらを異なる位置にし得るように、独立に
移動可能にしてもよい。
【0028】
例えば、
図1Cは、第1の可動熱シールド170が第1の位置にあるが第2の可動熱シ
ールド175が第2の位置にある装置10の配置を示す。この配置では、チャンバ120
の温度は
図1Aの配置で達成される温度と
図1Bの配置で達成される温度の間の温度にな
る。また、別の配置では、第1の可動熱シールド170を第2の位置にし、第2の可動熱
シールド175を第1の位置にすることができる。従って、2つの独立に制御され且つそ
れぞれ正確に2つの動作位置を有する可動熱シールドを用いることによって、4つの異な
る配置を生成することができる。
【0029】
別の実施形態では、可動熱シールド170,175の各々を第1の位置と第2の位置の
間に位置する少なくとも一つの中間位置に移動させることができる。
図1Dは、可動熱シ
ールド170,175が第1の位置(
図1A)と第2の位置(
図1B)の間の中間位置に
配置されている配置を示す。この配置では、チャンバ120は
図1Aで達成される温度と
図1Bで達成される温度の中間温度を達成することができる。いくつかの実施形態では少
なくとも一つのこのような中間位置が存在する。他の実施形態では、複数の中間位置が存
在し、チャンバ120の温度をより細かく制御することができる。例えば、ステップモー
タを用いて、可動熱シールド170,175を第1の位置と第2の位置の間の任意の位置
に移動させることができる。これらの中間位置において、可動熱シールド170,175
はそれぞれの端壁115,116の一部分とオーバラップし、その部分は第1の位置でオ
ーバラップされる部分より小さいが第2の位置でオーバラップされる部分より大きい。
【0030】
図1A−1Dはそれぞれの端壁115,116に近接して配置された2つの可動熱シー
ルド170,175を用いる装置10を示すが、他の実施形態も可能である。例えば、い
くつかの実施形態では、一つの可動熱シールドのみが端壁115,116の一つに近接し
て配置される。一実施形態では、リペラ150の配置される端壁116は対向端壁115
より低い温度になり得るので、可動熱シールド175がこの端壁116の近くに配置され
る。別の実施形態では、可動熱シールド170が陰極140の位置する端壁115の近く
に配置される。
【0031】
更に、
図1A−1Dは、各端壁とその対応する可動熱シールドとのオーバラップ量を変
化させることによってイオン源100の温度を制御する装置10を示す。この制御は可動
熱シールドを端壁115,116の平面に平行又はほぼ平行な方向に移動させることによ
って達成される。
図1A−1Dに示す配置では、可動熱シールド170,175は垂直方
向に移動される。
【0032】
しかしながら、イオン源の方へ反射されて戻る熱の量を制御するために他の機構を使用
することもできる。例えば、
図2A−2Cに示す別の実施形態では、装置20は端壁とそ
の対応する熱シールドとの間の距離が変化される。言い換えれば、オーバラップ量を変化
させるために装置20の可動熱シールド170,175を(
図1A−1Dに示すように)
垂直方向に移動させる代わりに横方向に移動させる。言い換えれば、可動熱シールド17
0,175は端壁115,116の平面に直角の方向に移動される。
【0033】
端壁115,116と対応する可動熱シールド170,175との間の距離が
図2Aに
示す第1の位置にあるとき、第1の量の熱がイオン源の方へ反射されて戻される。これに
対し、端壁115,116と対応する可動熱シールド170,175との間の距離が
図2
Bに示す第2の位置にあるとき、第1の量より少ない第2の量の熱がイオン源の方へ反射
されて戻される。上述したように、いくつかの実施形態では、
図2Cに示すように第1の
位置と第2の位置の間の中間位置がある。
【0034】
従って、装置20では、可動熱シールド170,175とそれぞれの端壁115,11
6とのオーバラップ量を制御する代わりにそれらの間の距離間隔が制御される。
【0035】
いくつかの実施形態では、可動熱シールド170,175は、それらを異なる位置にし得るように独立に制御可能にし得る。例えば、一方の
可動熱シールドを第1の位置にするとともに、他方の
可動熱シールドを第2の位置にすることができる。別の実施形態では、上述したように、一つの
可動熱シールドのみを存在させてもよい。更に別の実施形態では、
可動熱シールドを縦方向及び横方向の両方向に移動可能にしてもよい。
【0036】
上述したように、
図2A−2Cは2つの熱シールド170,175を示すが、一つの熱
シールドのみを使用する他の実施形態もある。
【0037】
図1A−1D及び
図2A−2Cは可動熱シールド170,175がそれぞれの端壁11
5,116に近接して配置されている装置20を示すが、他の実施形態も可能である。例
えば、
図3A−3Dは可動熱シールド200,205がそれぞれの側壁113,114に
近接して配置されている装置30を示す。いくつかの実施形態では、側壁113,114
は端壁115,116より大きい表面積を有し得る。従って、これらの実施形態では可動
熱シールドの効果がより顕著になり得る。
【0038】
図3Aは、可動熱シールド200,205が第1の位置にあり、第1の量の熱がイオン
源100の方へ反射されて戻される装置30を示す。
図3Bは、可動熱シールド200,
205が第2の位置にあり、第1の量より少ない第2の量の熱がイオン源100の方へ反
射されて戻される装置30を示す。可動熱シールド200,205はそれぞれの側壁11
3,114とオーバラップし、第1の位置におけるオーバラップの量の方が第2の位置に
おけるオーバラップの量より大きい。
図1A−1D及び
図2A−2Cの実施形態と同様に
、アクチュエータ180を用いて可動熱シールド200,205を第1の位置と第2の位
置の間で移動させることができる。上述したように、可動熱シールド200,205の移
動はそれぞれの側壁113,114の平面に平行もしくはほぼ平行にし得る。
【0039】
図3Cに示すように、いくつかの実施形態では、可動熱シールド200,205は独立
に制御可能であるため、第1の可動熱シールド200を第1の位置にするとともに、第2
の可動熱シールド205を第2の位置にすることができる。代わりに、第2の可動熱シー
ルド205を第1の位置にするとともに、第1の可動熱シールド200を第2の位置にす
ることができる。
【0040】
図3Dは、可動熱シールド200,205が第1の位置と第2の位置の間に位置する中
間位置にある装置30を示す。上述したように、いくつかの実施形態では、少なくとも一
つのこのような中間位置がある。他の実施形態では、複数の中間位置があり、チャンバ1
20の温度をより細かく制御し得る。
【0041】
図に示されていないが、可動熱シールド200,205は、
図2A−2Cに示す機構と
同様に、横方向に(又は側壁113,114の平面に対して直角方向に)移動させてもよ
い。
【0042】
図に示されていないが、装置30のいくつかの実施形態では一つの熱シールドのみを使
用してもよい。
【0043】
加えて、
図1A−1D及び
図3A−3Dの実施形態に示す装置は組み合わせて、
可動熱シールドを端壁115,116及び側壁113,114に近接して設けてもよい。一実施形態では、これらの可動熱シールド170,175,200,205はすべて独立に移動可能にし得る。別の実施形態では、これらの
可動熱シールドは対として移動可能にし、可動熱シールド170,175が一致して移動されるとともに可動熱シールド200,205が一致して移動されるようにすることができる。一代替実施形態では、これらの
可動熱シールドは端壁及び側壁の平面に平行な方向(すなわち、
図1A−1D及び3A−3Dに示すように垂直方向)に移動可能にし得る。別の実施形態では、これらの
可動熱シールドは端壁及び側壁の平面に直角の方向(すなわち、
図2A−2Cに示すように横方向)に移動可能にし得る。
【0044】
更に、
可動熱シールドは、必要に応じ底壁111に近接して配置してもよい。上記の任意の
可動熱シールドと同様に、この
可動熱シールドも底壁111の平面に平行に、又はその平面に直角に移動可能にしてよい。
【0045】
図1A−1D、
図2A−2C及び
図3A−3Dの実施形態に示す装置はすべてが直線通路に沿って移動する
可動熱シールドを示している。しかしながら、他の実施形態も可能である。例えば、
図4A−4Dは可動熱シールド300,305が回転可能に枢支されている装置40を示す。
図4Aにおいて、装置40はその可動熱シールド300,305が第1の位置にあり、この位置では第1の量の熱がイオン源100の方へ反射されて戻される。一実施形態では、可動熱シールド300,305は側壁113,114に平行であるが、他の角度にすることもできる。更に、
図4A−4Dは可動熱シールド300,305が側壁113,114に近接して配置されている装置40を示すが、これらの
可動熱シールドは端壁115,116に近接して配置してもよい。別の実施形態では、
可動熱シールドは必要に応じこれらの4つの壁のすべてに近接して配置してもよい。
【0046】
図4Bは、可動熱シールド300,305が第2の位置にある装置40を示し、この位
置では第1の量より少ない量の熱がイオン源100の方へ反射されて戻される。これは、
側壁113,114と対応する可動熱シールド300,305との成す角度を大きくする
ことによって達成される。
図4Bは約45°の角度を示すが、他の角度も可能である。第
2の位置の角度は所望の最低温度を達成するように選択し得る。
【0047】
言い換えれば、第1の位置では、可動熱シールド300,305はそれぞれの側壁11
3,114と第1の角度を成す。第2の位置では、可動熱シールド300,305はそれ
ぞれの側壁113,114と第1の角度より大きい第2の角度を成す。
【0048】
この回転運動は可動熱シールド300,305と連動するアクチュエータ180を用い
て達成される。可動熱シールド300,305の各々はそれぞれの枢支点に回転可能に枢
支し得る。これは車軸、ヒンジ又は他のピボット機構で構成し得る。角度が大きくなると
、より多量の熱がチャンバ120に到達しない方向に反射される。従って、角度の増大は
チャンバ120の方へ反射して戻す熱量を減少し、温度の低下をもたらす。
【0049】
上述したように、装置40の可動熱シールド300,305は独立に移動可能にしても
よい。
図4Cでは、第1の可動熱シールド300が第1の位置に位置するが、第2の可動
熱シールド305は第2の位置に位置する。代わりに、第1の可動熱シールド300は第
2の位置に位置するが、第2の可動熱シールド305は第1の位置に位置するようにして
もよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、可動熱シールド300,305は、
図4Dに示すように、第
1の位置と第2の位置の間の中間位置に移動可能にしてもよい。上述したように、いくつ
かの実施形態では、複数の中間位置があり、チャンバ120の温度をより細かく制御し得
る。中間位置では、可動熱シールド300,305とそれぞれの側壁113,114との
成す角度は第1の角度と第2の角度の間になる。
【0051】
図に示されていないが、装置40の実施形態には一つの熱シールドのみを用いるものも
ある。
【0052】
本明細書に記載した実施形態は、イオン源を複数の異なる温度で動作させるのが望まし
い場合に有益である。可動熱シールドを移動させることによって、イオン源100を複数
の温度で動作させることができる。加えて、可動熱シールドの使用は、比較的低い温度か
ら比較的高い温度への転移に要する時間を他の場合より大幅に短くすることができる。更
に、これはイオン源の変更なしに実施可能である。
【0053】
加えて、上記の実施形態は陰極とリペラを有するイオン源を示すが、本開示はこの実施
形態に限定されない。イオンがチャンバ内で生成される場合には他のタイプのイオン源も
本装置とともに用いてよい。例えば、いくつかの実施形態では、イオン源内でイオンを生
成するためにRFエネルギーを用いてもよい。この実施形態においても可動熱シールドを
一以上の壁に近接して配置してもよい。
【0054】
本発明は本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない
。実際に、本明細書に記載された実施形態に加えて、本発明の他の様々な実施形態および
変更例が前述の記載および添付図面から当業者には明らかであろう。したがって、このよ
うな他の実施形態および変更例は、本発明の範囲内に含まれることを意図している。さら
に、本発明は、特定の目的のための、特定の環境における、特定の実施形態の文脈で本明
細書に記載されているが、その有用性は特定の実施形態に限定されるものでなく、本発明
は多くの目的のために多くの環境で有益に実装し得ることは当業者に認識されよう。従っ
て、以下に記載する特許請求の範囲は、本明細書に記載された本発明の全範囲及び精神に
鑑みて解釈されるべきものである。