(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記銅イオンに配位可能なヘテロ原子を有する化合物が1−アルキルイミダゾール化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
前記式(2)で表されるハロピリジン化合物に前記式(3)で表されるアラルキルアルコール化合物を反応させた後、得られた反応液をアンモニア水溶液及び/又はエチレンジアミン水溶液で洗浄する請求項1〜4のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
前記式(2)で表されるハロピリジン化合物に前記式(3)で表されるアラルキルアルコール化合物を反応させる際、さらに相間移動触媒を使用する請求項1〜5のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
前記式(1)で表されるアミノハロピリジン化合物が2−アミノ−5−ハロピリジン化合物である請求項1〜8のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
請求項10において、前記式(4)で表されるアラルキルオキシピリジン化合物を、酸と反応させる際に、さらに水を共存させる請求項10に記載のアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
請求項10において、前記式(5)で表されるアミノアラルキルオキシピリジニウム塩を接触水素化させた後、得られた反応液に水を添加する請求項10に記載のアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
前記酸が塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸である請求項10〜14のいずれかに記載のアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来製法では、2,5−ジメチルピロール環を脱保護する際の反応剤として、爆発性を有するヒドロキシルアミンを使用するため、安全性に問題があった。また、2−アミノ−5−メトキシピリジンの脱メチル化反応の収率が44%と低収率であり、収率の点においても満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らがアミノハロピリジン化合物を出発原料とし、アミノヒドロキシピリジニウム塩及びアミノヒドロキシピリジン化合物を製造する方法について鋭意検討したところ、鍵中間体として、下記式(4)で表されるアラルキルオキシピリジン化合物を経由することで、収率よく、かつ、爆発性を有するヒドロキシルアミンを用いずに、アミノヒドロキシピリジニウム塩及びアミノヒドロキシピリジン化合物を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明は、以下の[1]〜[18]を提供するものである。
[1]式(1):
【0007】
【化1】
(式中、Xはハロゲン原子を示す。)
で表されるアミノハロピリジン化合物のアミノ基を保護して式(2):
【0008】
【化2】
(式中、PGはt−ブトキシカルボニル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基又はジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル基であり、nは1又は2の整数である。)
で表されるハロピリジン化合物を得、前記ハロピリジン化合物をさらに、銅化合物、アルカリ金属化合物及び配位子の存在下、式(3):
【0009】
【化3】
(式中、R
1は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基、R
2は水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。)
で表されるアラルキルアルコール化合物と反応させる、式(4):
【0010】
【化4】
(式中、PG、R
1、R
2及びnは前記と同じ。)
で表されるアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[2]前記銅化合物がハロゲン化銅である[1]に記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[3]前記アルカリ金属化合物がカリウムを含む化合物である[1]又は[2]に記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[4]前記配位子が1−アルキルイミダゾール化合物である[1]〜[3]のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[5]前記式(2)で表されるハロピリジン化合物に前記式(3)で表されるアラルキルアルコール化合物を反応させた後、得られた反応液をアンモニア水溶液及び/又はエチレンジアミン水溶液で洗浄する[1]〜[4]のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[6]前記式(2)で表されるハロピリジン化合物に前記式(3)で表されるアラルキルアルコール化合物を反応させる際、さらに相間移動触媒を使用する[1]〜[5]のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[7]Xが臭素原子又はヨウ素原子である[1]〜[6]のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[8]PGがトリフェニルメチル基である[1]〜[7]のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[9]前記式(1)で表されるアミノハロピリジン化合物が2−アミノ−5−ハロピリジン化合物である[1]〜[8]のいずれかに記載のアラルキルオキシピリジン化合物の製造方法。
[10]前記式(4)で表されるアラルキルオキシピリジン化合物を、酸と反応させて式(5):
【0011】
【化5】
(式中、R
1及びR
2は前記と同じ、Aは酸を示す。)
で表されるアミノアラルキルオキシピリジニウム塩を得、前記アミノアラルキルオキシピリジニウム塩をさらに、水素化触媒存在下、接触水素化させる、式(6):
【0012】
【化6】
(式中、Aは前記と同じ。)
で表されるアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
[11]前記式(4)で表されるアラルキルオキシピリジン化合物を、水素化触媒存在下、接触水素化させて式(7):
【0013】
【化7】
(式中、PG及びnは前記と同じ。)
で表されるヒドロキシピリジン化合物を得、前記ヒドロキシピリジン化合物をさらに、酸と反応させる、前記式(6)で表されるアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
[12]前記式(4)で表されるアラルキルオキシピリジン化合物を、酸及び水素化触媒存在下、接触水素化させる前記式(6)で表されるアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
[13][10]において、前記式(4)で表されるアラルキルオキシピリジン化合物を、酸と反応させる際に、さらに水を共存させる[10]に記載のアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
[14][10]において、前記式(5)で表されるアミノアラルキルオキシピリジニウム塩を接触水素化させた後、得られた反応液に水を添加する[10]に記載のアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
[15]前記酸が塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸である[10]〜[14]のいずれかに記載のアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
[16]前記水素化触媒がPd/Cである[10]〜[15]のいずれかに記載のアミノヒドロキシピリジニウム塩の製造方法。
[17]前記式(6)で表されるアミノヒドロキシピリジニウム塩を塩基で中和することを特徴とする式(8):
【0014】
【化8】
で表されるアミノヒドロキシピリジン化合物の製造方法。
[18]前記式(5)で表されるアミノアラルキルオキシピリジニウム塩を塩基で中和して、式(9):
【0015】
【化9】
(R
1及びR
2は前記と同じ。)
で表されるアミノアラルキルオキシピリジン化合物を得、前記アミノアラルキルオキシピリジン化合物を、さらに水素化触媒存在下、接触水素化させる前記式(8)で表されるアミノヒドロキシピリジン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、爆発性を有するヒドロキシルアミンを用いずに、かつ、収率よくアミノヒドロキシピリジニウム塩及びアミノヒドロキシピリジン化合物を製造できる。したがって、本発明は工業上非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
式(6)で表されるアミノヒドロキシピリジニウム塩及び式(8)で表されるアミノヒドロキシピリジン化合物は、式(4)で示されるアラルキルオキシピリジン化合物を中間体とする以下の反応式1に示される製造ルートにより製造される。なお、当該反応式中、X、PG、R
1、R
2、A及びnは前記と同じである。
【0021】
まず、式(4)で示されるアラルキルオキシピリジン化合物(以下、アラルキルオキシピリジン化合物(4)という。)の製造方法について説明する。アラルキルオキシピリジン化合物(4)は、式(1)で示されるアミノハロピリジン化合物(以下、アミノハロピリジン化合物(1)という。)のアミノ基を保護して、式(2)で示されるハロピリジン化合物(以下、ハロピリジン化合物(2)という。)を得(以下、アミノ基保護反応という。)、前記ハロピリジン化合物(2)をさらに銅化合物、アルカリ金属化合物及び配位子の存在下、式(3)で示されるアラルキルアルコール化合物(以下、アラルキルアルコール化合物(3)という。)と反応させる(以下、アラルキルオキシ化反応という)ことで得られる。
【0022】
まず、アミノ基保護反応について説明する。
【0023】
式(1)中、Xはハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは臭素原子又はヨウ素原子、特に好ましくは臭素原子である。
【0024】
アミノハロピリジン化合物(1)としては、2−アミノ−3−ハロピリジン化合物、2−アミノ−4−ハロピリジン化合物、2−アミノ−5−ハロピリジン化合物、2−アミノ−6−ハロピリジン化合物、3−アミノ−2−ハロピリジン化合物、3−アミノ−4−ハロピリジン化合物、3−アミノ−5−ハロピリジン化合物、3−アミノ−6−ハロピリジン化合物、4−アミノ−2−ハロピリジン化合物、4−アミノ−3−ハロピリジン化合物が挙げられ、好ましくは2−アミノ−5−ハロピリジン化合物である。
【0025】
アミノハロピリジン化合物(1)の具体例としては、2−アミノ−3−クロロピリジン、2−アミノ−3−ブロモピリジン、2−アミノ−3−ヨードピリジン、2−アミノ−4−クロロピリジン、2−アミノ−4−ブロモピリジン、2−アミノ−4−ヨードピリジン、2−アミノ−5−クロロピリジン、2−アミノ−5−ブロモピリジン、2−アミノ−5−ヨードピリジン、2−アミノ−6−クロロピリジン、2−アミノ−6−ブロモピリジン、2−アミノ−6−ヨードピリジン、2−アミノ−6−クロロピリジン、2−アミノ−6−ブロモピリジン、2−アミノ−6−ヨードピリジン、3−アミノ−2−クロロピリジン、3−アミノ−2−ブロモピリジン、3−アミノ−2−ヨードピリジン、3−アミノ−4−クロロピリジン、3−アミノ−4−ブロモピリジン、3−アミノ−4−ヨードピリジン3−アミノ−5−クロロピリジン、3−アミノ−5−ブロモピリジン、3−アミノ−5−ヨードピリジン、3−アミノ−6−クロロピリジン、3−アミノ−6−ブロモピリジン、3−アミノ−6−ヨードピリジン、4−アミノ−2−クロロピリジン、4−アミノ−2−ブロモピリジン、4−アミノ−2−ヨードピリジン、4−アミノ−3−クロロピリジン、4−アミノ−3−ブロモピリジン、4−アミノ−3−ヨードピリジンが挙げられ、好ましくは2−アミノ−5−クロロピリジン、2−アミノ−5−ブロモピリジン、2−アミノ−5−ヨードピリジンであり、特に好ましくは、2−アミノ−5−ブロモピリジン、2−アミノ−5−ヨードピリジンである。
【0026】
式(2)中、Xは前記と同じであり、PGはt−ブトキシカルボニル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル基であり、好ましくはジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基又はジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル基、特に好ましくはトリフェニルメチル基である。nは1又は2の整数である。
【0027】
これら保護基の導入は文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(プロテクティング グループス イン オーガニック ケミストリー 第5版、ジョン ワイリー アンド ソンズ社、2014年(Protecting Groups in Organic Chemistry Fifth Edition(John Wiley & Sons,Inc. 2014))。
【0028】
例えば、アミノ基の保護基をトリフェニルメチル基やt−ブトキシカルボニル基とする場合、トリフェニルメチルクロリド、トリフェニルメチルブロミド等のトリフェニルメチル化剤と、アミノハロピリジン化合物(1)をトリエチルアミンやジメチルアミノピリジン等の塩基化合物存在下、適当な溶媒中で反応させることで製造できる。
【0029】
ハロピリジン化合物(2)の具体例としては、2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−クロロピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−クロロピリジン、2−(ジフェニルメチル)アミノ−5−クロロピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−クロロピリジン、2−(ジフェニルメチレンアミノ)−5−クロロピリジン、2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−(ジフェニルメチル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−(ジフェニルメチレンアミノ)−5−ブロモピリジン、2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ヨードピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ヨードピリジン、2−(ジフェニルメチル)アミノ−5−ヨードピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ヨードピリジン、2−(ジフェニルメチレンアミノ)−5−ヨードピリジン等が挙げられ、好ましくは2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−クロロピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−クロロピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−クロロピリジン、2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ヨードピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ヨードピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ヨードピリジンであり、より好ましくは2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−クロロピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ヨードピリジン、特に好ましくは2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ブロモピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ヨードピリジンである。
【0030】
次に、アラルキルオキシ化反応について説明する。
【0031】
式(3)中、R
1は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であり、好ましくは水素原子である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。R
2は水素原子又はアルキル基であり、好ましくは水素原子である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0032】
アラルキルアルコール化合物(3)としては、具体的には、ベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、ジフェニルアルコール等が挙げられ、好ましくはベンジルアルコールである。アラルキルアルコール化合物(3)の使用量は、通常、ハロピリジン化合物(2)1モルに対し、通常1モル以上、好ましくは1〜15モルであり、より好ましくは1〜12モルである。
【0033】
アラルキルオキシ化反応で使用される銅化合物としては、例えば、ハロゲン化銅、酸化銅、硝酸銅、酢酸銅等が挙げられ、好ましくは1価又は2価のハロゲン化銅であり、特に好ましくは1価のハロゲン化銅である。これらの銅化合物は水和物を使用してもよい。具体的には、CuI、CuBr、CuCl、CuCl
2・2H
2O、Cu
2O、(CH
3COO)
2Cu・H
2O等が挙げられ、好ましくはCuIである。銅化合物の使用量としては、ハロピリジン化合物(2)1モルに対し、通常、0.01モル以上、好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
【0034】
アラルキルオキシ化反応で使用されるアルカリ金属化合物としては、Li
2CO
3、Li
3PO
4、K
2CO
3、K
3PO
4、Na
2CO
3、Na
3PO
4、Cs
2CO
3等が挙げられ、好ましくはK
2CO
3、K
3PO
4等のカリウムを含む化合物であり、特に好ましくはK
2CO
3である。アルカリ金属化合物の使用量としては、ハロピリジン化合物(2)1モルに対し、通常、0.5モル以上、好ましくは0.8〜5モル、特に好ましくは1〜4モルである。
【0035】
アラルキルオキシ化反応で使用される配位子としては、銅イオンに配位可能なヘテロ原子を有する化合物が用いられ、好ましくは窒素原子を2つ以上有する有機化合物であり、特に好ましくは1−アルキルイミダゾール化合物である。配位子としては、具体的には、1,10−フェナントロリン、3,4,7,8−テトラメチル−1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール等が挙げられ、好ましくは1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾールであり、特に好ましくは1−メチルイミダゾールである。配位子の使用量としては、ハロピリジン化合物(2)1モルに対し、通常0.1モル以上であり、好ましくは0.1〜5モルである。
【0036】
アラルキルオキシ化反応では、溶媒として、前記アラルキルアルコール化合物(3)や前記配位子を反応溶媒として使用してもよい。また、別途溶媒を使用してもよい。別途溶媒を使用する場合の溶媒としては、ハロピリジン化合物(2)を溶解することができる溶媒で、溶媒は反応に影響がなければ特に限定されない。具体的には、トルエン、キシレン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては、通常50重量部以下であり、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0037】
アラルキルオキシ化反応では、さらに、必要に応じてテトラブチルアンモニウムブロミド等のテトラアルキルアンモニウム塩やクラウンエーテルといった相間移動触媒を使用することができる。相間移動触媒を使用することで、ハロピリジン化合物(2)のハロゲンが水素に置換された副生成物の生成が抑制され、また、アラルキルオキシ化反応が促進される。
【0038】
アラルキルオキシ化反応の反応温度は、通常、20℃以上であり、好ましくは80〜150℃である。
【0039】
反応終了後、得られた反応液からアラルキルオキシピリジン化合物(4)を取り出す方法としては、例えば、アラルキルオキシピリジン化合物(4)が結晶の場合は、水を添加し、有機溶媒により抽出した後に、晶析する方法が挙げられる。アラルキルオキシピリジン化合物(4)がオイルの場合は、有機溶媒により抽出した後に、蒸留する方法、シリカゲル等の吸着剤を接触させて精製する方法が挙げられる。
【0040】
また、得られた反応液は、銅に配位可能な化合物の水溶液で洗浄することが好ましい。銅に配位可能な化合物の水溶液としては、アンモニア水溶液やエチレンジアミン水溶液等が挙げられ、好ましくは、アンモニア水溶液である。反応液を銅に配位可能な化合物の水溶液で洗浄することで、反応液内に残存している銅イオンを、より効率的に除去できる。銅イオンが多量に残存していると、後述の接触水素化反応の際に、触媒毒となり、反応が十分に進行しないことがある。
【0041】
式(4)中、PG、R
1、R
2及びnは前記と同じである。アラルキルオキシピリジン化合物(4)としては、具体的には、2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−(ジフェニルメチル)アミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−(ジフェニルメチレンアミノ)−5−ベンジルオキシピリジン等が挙げられ、好ましくは2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ベンジルオキシピリジンであり、特に好ましくは2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ベンジルオキシピリジンである。
【0042】
式(6)で表されるアミノヒドロキシピリジニウム塩(以下、アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)という。)は以下の3つの方法により製造できる。
【0043】
方法1:前記アラルキルオキシピリジン化合物(4)を、酸と反応させて式(5)に表されるアミノアラルキルオキシピリジニウム塩(以下、アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)という。)を得(以下、本反応を脱保護反応1という。)、前記アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)をさらに、水素化触媒存在下、接触水素化させる(以下、本反応を接触水素化反応1という。)方法。
【0044】
方法2:前記アラルキルオキシピリジン化合物(4)を、水素化触媒存在下、接触水素化させて式(7)で表されるヒドロキシピリジン化合物(以下、ヒドロキシピリジン化合物(7)という。)を得(以下、本反応を接触水素化反応2という。)、前記ヒドロキシピリジン化合物(7)をさらに、酸と反応させる(以下、本反応を脱保護反応2という。)方法。
【0045】
方法3:前記アラルキルオキシピリジン化合物(4)を、酸及び水素化触媒存在下、接触水素化させる(以下、本反応を接触水素化反応3という。)方法。
【0047】
式(5)中、R
1及びR
2は前記と同じであり、Aは酸である。酸としては、無機の酸、有機の酸のいずれでもよいが、好ましくはブレンステッド酸である。具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸が使用され、好ましくは塩酸又は酢酸であり、特に好ましくは酢酸である。
【0048】
アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)としては、具体的には、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジン塩酸塩、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジン臭化水素酸塩、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジン硫酸塩、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジン硝酸塩、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジンリン酸塩、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジントリフルオロ酢酸塩、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジンメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジン酢酸塩等が挙げられ、好ましくは2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジン酢酸塩である。
【0049】
式(6)中、Aは前記と同じである。アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)としては、具体的には、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウム塩酸塩、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウム臭化水素酸塩、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウム硫酸塩、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウム硝酸塩、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウムリン酸塩、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウムトリフルオロ酢酸塩、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウムメタンスルホン酸塩、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウムp−トルエンスルホン酸塩2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウム酢酸塩等が挙げられ、好ましくは2−アミノ−5−ヒドロキシピリジニウム酢酸塩である。
【0050】
脱保護反応1において、酸は、アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)のAで示される酸を反応に使用すればよい。すなわち、使用する酸は無機の酸、有機の酸のいずれでもよく、ブレンステッド酸が好適に使用される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸が使用され、好ましくは塩酸又は酢酸が使用され、特に好ましくは酢酸が使用される。酸の使用量としては、通常、アラルキルオキシピリジン化合物(4)1モルに対して1モル以上、好ましくは1〜10モルである。
【0051】
脱保護反応1において、使用する酸を溶媒としてもよいし、別途溶媒を使用してもよい。酸を溶媒とする場合、酢酸が好適に使用される。別途溶媒を使用する場合、溶媒は反応に影響がなければ特に限定されないが、通常、有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、トルエン、メタノール、テトラヒドロフラン等が挙げられ、好ましくはトルエンである。溶媒の使用量としては、通常50重量部以下であり、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0052】
脱保護反応1において、さらに反応液に水を共存させることで反応を促進させることが出来る。水を共存させる場合、酸を水溶液として用いてもよい。水を共存させる場合の水の使用量としては、アラルキルオキシピリジン化合物(4)1モルに対して、通常、1モル以上、好ましくは1〜20モル、特に好ましくは1〜10モルである。
【0053】
脱保護反応1の反応温度は、通常10℃以上であり、好ましくは40〜100℃である。
【0054】
脱保護反応1終了後、アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)を取り出す方法としては、例えば、反応液に水及び有機溶媒を添加し、副生成物を有機層側に抽出して、アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)が溶解している水層を濃縮する方法、また、反応液に析出したアミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)を濾過する方法等が挙げられる。効率の観点から、得られた反応液からアミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)を単離せずに、そのまま接触水素化反応1に使用することが好ましい。また、得られた反応液を、後述の式(9)で表されるアミノアラルキルオキシピリジン化合物の製造工程である反応5aに使用することもできる。
【0055】
接触水素化反応1において、水素化触媒としては、例えば、Pd、Pt、Rh、Niからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含む触媒が挙げられる。具体的には、Pd/C、Pt/C、Rh/C等が挙げられ、好ましくはPd/Cである。水素化触媒の使用量としては通常、アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)に対して、乾燥重量で1重量%以上、好ましくは5〜50重量%である。また、脱保護反応1と接触水素化反応1を連続して行う場合、脱保護反応1を行う際に、あらかじめ、上記の水素化触媒を反応容器内に入れておいてもよい。
【0056】
接触水素化反応1の反応温度としては通常150℃以下であり、好ましくは20〜50℃である。接触水素化反応1の水素圧力は通常、絶対圧で10MPa以下であり、好ましくは0.1〜5MPaである。接触水素化が進行するにつれて水素が消費されるため、反応器内に水素を導入して上記水素圧力を保つとともに、上記反応温度で反応を行う。
【0057】
接触水素化反応1において、必要に応じて溶媒を用いてもよい。溶媒としては、反応に影響を与えないものであれば特に制限されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール溶媒や、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン等が挙げられ、好ましくはメタノールである。これらは、2種類以上混合して用いてもよい。脱保護反応1の終了後、反応液からアミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)を取り出さずに連続して接触水素化反応1を連続して行った場合、脱保護反応1で使用した溶媒をそのまま溶媒として用いてもよい。溶媒の使用量としては、通常50重量部以下であり、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0058】
接触水素化反応1終了後、得られた反応液からアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を取り出す方法としては、例えば、得られた反応液から触媒を濾別し、濾液を濃縮し、そこへ、トルエン、メチル−t−ブチルエーテルなどの有機溶媒を入れ、冷却することでアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を析出させた後、析出した結晶を濾過する方法が挙げられる。また、析出した結晶を濾過後、さらに炭化水素溶媒等によって洗浄することで純度を向上させることが出来る。
【0059】
脱保護反応1の終了後、反応液からアミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)を取り出さずに連続して接触水素化反応1を行った場合、接触水素化反応1終了後、得られた反応液に水を添加してから濾過を行うことが好ましい。式(4)においてPGで示される基がジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基又はジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル基であるアラルキルオキシピリジン化合物(4)を反応に用いた場合、脱保護反応1で生じるジフェニルアルコール、トリフェニルメチルアルコール、p−メトキシフェニルジフェニルメチルアルコール、又はジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチルアルコールを水の添加により析出させ、濾過することで効率的に除去することが出来る。
【0061】
式(7)中、PG及びnは前記と同じである。ヒドロキシピリジン化合物(7)としては、具体的には、2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ヒドロキシピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ヒドロキシピリジン、2−(ジフェニルメチル)アミノ−5−ヒドロキシピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ヒドロキシピリジン、2−(ジフェニルメチレンアミノ)−5−ヒドロキシピリジン等が挙げられ、好ましくは2−(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ヒドロキシピリジン、2−ジ(t−ブトキシカルボニル)アミノ−5−ヒドロキシピリジン、2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ヒドロキシピリジンであり、特に好ましくは2−(トリフェニルメチル)アミノ−5−ヒドロキシピリジンである。
【0062】
接触水素化反応2において、水素化触媒としては、例えば、Pd、Pt、Rh、Niからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含む触媒が挙げられる。具体的には、Pd/C、Pt/C、Rh/C等が挙げられ、好ましくはPd/Cである。水素化触媒の使用量としては通常、アラルキルオキシピリジン化合物(4)対して、乾燥重量で1重量%以上、好ましくは5〜50重量%である。
【0063】
接触水素化反応2の反応温度は通常150℃以下であり、好ましくは20〜50℃である。接触水素化反応2の水素圧力は通常、絶対圧で10MPa以下であり、好ましくは0.1〜5MPaである。接触水素化が進行するにつれて水素が消費されるため、反応器内に水素を導入して上記水素圧力を保つとともに、上記反応温度で反応を行う。
【0064】
接触水素化反応2において、必要に応じて溶媒を使用することもできる。溶媒としては、反応に影響を与えないものであれば特に制限されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール溶媒や、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン等が挙げられ、好ましくはメタノールである。これらは、2種類以上混合して用いてもよい。
【0065】
接触水素化反応2終了後、得られた反応液からヒドロキシピリジン化合物(7)を取り出す方法としては、例えば、得られた反応液から触媒を濾別し、濾液を濃縮する方法が挙げられる。また、析出した結晶を濾過後、さらに炭化水素溶媒によって洗浄することで純度を向上させることが出来る。また、接触水素化反応2の終了後、得られた反応液からヒドロキシピリジン化合物(7)を取り出さずに、連続して脱保護反応2を行ってもよい。
【0066】
脱保護反応2において、酸は、アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)のAで示される酸を反応に使用すればよく、すなわち、使用する酸は無機の酸、有機の酸のいずれでもよく、ブレンステッド酸が好適に使用される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸が使用され、好ましくは塩酸又は酢酸が使用され、特に好ましくは酢酸が使用される。酸の使用量としては、通常、ヒドロキシピリジン化合物(7)1モルに対して1モル以上、好ましくは1〜10モルである。
【0067】
脱保護反応2において、使用する酸を溶媒としてもよいし、別途溶媒を使用してもよい。酸を溶媒とする場合、酢酸が好適に使用される。別途溶媒を使用する場合、溶媒は反応に影響がなければ特に限定されないが、通常、有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、トルエン、メタノール、テトラヒドロフラン等が挙げられ、好ましくはトルエンである。溶媒の使用量としては、通常50重量部以下であり、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0068】
脱保護反応2において、さらに水を共存させることで反応を促進させることが出来る。水を共存させる場合、酸を水溶液として用いてもよい。水を共存させる場合の水の使用量としては、ヒドロキシピリジン化合物(7)1モルに対して、通常、1モル以上、好ましくは1〜20モル、特に好ましくは1〜10モルである。
【0069】
脱保護反応2の反応温度は、通常10℃以上であり、好ましくは40〜100℃である。
【0070】
脱保護反応2終了後、アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を取り出す方法としては、例えば、得られた反応液に析出したアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を濾過する方法が挙げられる。接触水素化反応2の終了後、得られた反応液からヒドロキシピリジン化合物(7)を取り出さずに連続して脱保護反応2を行った場合、得られた反応液から触媒を濾別し、その濾液を濃縮し、そこへ、トルエン、メチル−t−ブチルエーテルなどの有機溶媒を入れ、冷却することでアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を析出させた後、析出した結晶を濾過する方法が挙げられる。また、反応終了後の反応液に水を添加して濾過することが好ましい。式(7)においてPGで示される基がジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基又はジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル基であるヒドロキシピリジン化合物(7)を反応に用いた場合、脱保護反応2で生じるジフェニルアルコール、トリフェニルメチルアルコール、p−メトキシフェニルジフェニルメチルアルコール、又はジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチルアルコールを水の添加により析出させ、濾過することで効率的に除去することが出来る。
【0072】
接触水素化反応3において、酸は、アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)のAで示される酸を反応に使用すればよく、すなわち、使用する酸は無機の酸、有機の酸のいずれでもよく、ブレンステッド酸が好適に使用される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及び酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸が使用され、好ましくは塩酸又は酢酸が使用され、特に好ましくは酢酸が使用される。酸の使用量としては、通常、アラルキルオキシピリジン化合物(4)1モルに対して1モル以上、好ましくは1〜10モルである。
【0073】
接触水素化反応3において、水素化触媒としては、例えば、Pd、Pt、Rh、Niからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含む触媒が挙げられる。具体的には、Pd/C、Pt/C、Rh/C等が挙げられ、好ましくはPd/Cである。水素化触媒の使用量としては通常、アラルキルオキシピリジン化合物(4)対して、乾燥重量で1重量%以上、好ましくは5〜50重量%である。
【0074】
接触水素化反応3の反応温度は通常150℃以下であり、好ましくは20〜50℃である。接触水素化反応3の水素圧力は通常、絶対圧で10MPa以下であり、好ましくは0.1〜5MPaである。接触水素化が進行するにつれて水素が消費されるため、反応器内に水素を導入して上記水素圧力を保つとともに、上記反応温度で反応を行う。
【0075】
接触水素化反応3において、使用する酸を溶媒としてもよいが、別途溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒は反応に影響がなければ特に限定されないが、通常、水又は有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール溶媒や、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン等が挙げられ、好ましくはトルエンである。これらは2種以上混合してもよい。溶媒の使用量としてはヒドロキシピリジン化合物(7)に対して、通常50重量部以下であり、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0076】
接触水素化反応3において、さらに水を共存させることで反応を促進させることが出来る。水を共存させる場合の水の使用量としては、ヒドロキシピリジン化合物(7)1モルに対して、通常、0.1モル以上、好ましくは1〜20モル、特に好ましくは1〜10モルである。
【0077】
接触水素化反応3終了後、得られた反応液からアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を取り出す方法としては、例えば、得られた反応液から触媒を濾別し、濾液を濃縮し、そこへ、トルエン、メチル−t−ブチルエーテルなどの有機溶媒を入れ、冷却することでアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を析出させた後、析出した結晶を濾過する方法が挙げられる。析出した結晶を濾過後、さらに炭化水素溶媒によって洗浄することで純度を向上させることが出来る。また、得られた反応液に水を添加してから濾過を行うことが好ましい。水を添加することで、式(4)においてPGで示される基がジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基又はジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル基であるアラルキルオキシピリジン化合物(4)を反応に用いた場合、接触水素化反応3で生じるジフェニルアルコール、トリフェニルメチルアルコール、p−メトキシフェニルジフェニルメチルアルコール、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチルアルコールを水の添加により析出させ、濾過することで効率的に除去することが出来る。
【0078】
式(8)で表されるアミノヒドロキシピリジン化合物(以下、アミノヒドロキシピリジン化合物(8)という。)は以下の2つの方法により製造できる。
【0079】
方法4:アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を塩基で中和する方法
【0080】
方法5:前記方法1の中間体であるアミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)を塩基で中和して(以下、反応5aという。)、式(9)で表されるアミノアラルキルオキシピリジン化合物(以下、アミノアラルキルオキシピリジン化合物(9)という。)を得、前記アミノアラルキルオキシピリジン化合物(9)を、さらに水素化触媒存在下、水素と反応させる(以下、反応5bという。)方法。
【0081】
アミノヒドロキシピリジン化合物(8)としては、具体的には、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2−アミノ−4−ヒドロキシピリジン2−アミノ−5−ヒドロキシピリジン等が挙げられ、好ましくは2−アミノ−5−ヒドロキシピリジンである。
【0083】
塩基としては、アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を中和出来れば特に限定されず、無機の塩基であっても有機の塩基であってもよいが、精製上の観点から無機の塩基が好適に使用される。塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、ナトリウムメトキシド等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシドである。塩基は固体で使用しても、水等の溶媒に溶解している溶液として使用してもよい。塩基の使用量としては、アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)1モルに対して、通常1モルである。塩基が少ないと中和が不十分となり、塩基を過剰に使用すると、アミノヒドロキシピリジン化合物(8)のヒドロキシル基の脱プロトン化が起こるため、好ましくない。
【0084】
溶媒としては、通常、水又はアルコール溶媒が使用できる。好ましくは水、メタノール、エタノールである。溶媒の使用量としては、溶媒の使用量としてはアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)に対して、通常50重量部以下であり、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0085】
反応温度としては、通常、0℃以上であり、好ましくは10〜40℃である。
【0086】
反応終了後、アミノヒドロキシピリジン化合物(8)を取り出す方法としては、例えば、反応液を有機溶媒で抽出した後に濃縮する方法、反応液に析出した無機塩を濾別し、その濾液を濃縮する方法等が挙げられる。
【0088】
式(9)中、R
1及びR
2は前記と同じである。アミノアラルキルオキシピリジン化合物(9)としては、具体的には、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジン等が挙げられ、好ましくは、2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジンである。
【0089】
反応5aで使用するアミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)としては、前述の脱保護反応1終了に単離したものを用いても、脱保護反応1の反応液をそのまま使用してもよく、効率上の観点から、脱保護反応1の反応液をそのまま使用することが好ましい。
【0090】
反応5aで使用する塩基としては、アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)の酸を中和出来れば特に限定されないが、無機塩基が好適に使用され、アルカリ金属原子を含む塩基がより好適に使用される。塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、ナトリウムメトキシド等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシドである。塩基は固体で使用しても、水等の溶媒に溶解している溶液として使用してもよい。塩基の使用量としては、アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)が中和できれば特に限定されない。反応5aにおいて、脱保護反応1の反応液をそのまま原料として用いた場合、脱保護反応1の反応液中に過剰の酸が存在する場合がある。その場合は、脱保護反応1の反応液中に過剰の酸についても中和できる量の塩基を使用すればよい。
【0091】
反応5aで使用する溶媒としては、水が使用される、溶媒の使用量としては、通常、アミノアラルキルオキシピリジニウム塩(5)に対して50重量部以下、好ましくは1〜20重量部である。
【0092】
反応5a終了後、アミノアラルキルオキシピリジン化合物(9)を取り出す方法としては、例えば、得られた反応液にトルエンなどの有機溶媒を添加して抽出し、有機層を濃縮する方法が挙げられる。
【0093】
反応5bで使用する水素化触媒としては、例えば、Pd、Pt、Rh、Niからなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含む触媒が挙げられる。具体的には、Pd/C、Pt/C、Rh/C等が挙げられ、好ましくはPd/Cである。水素化触媒の使用量としては通常、アミノアラルキルオキシピリジン化合物(9)対して、乾燥重量で1重量%以上、好ましくは5〜50重量%である。
【0094】
反応5bの反応温度としては通常150℃以下であり、好ましくは20〜50℃である。反応5bの水素圧力は通常、絶対圧で10MPa以下であり、好ましくは0.1〜5MPaである。接触水素化が進行するにつれて水素が消費されるため、反応器内に水素を導入して上記水素圧力を保つとともに、上記反応温度で反応を行う。
【0095】
反応5bにおいて、別途溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒は反応に影響がなければ特に限定されないが、通常、有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール溶媒や、酢酸エチル、トルエン等が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノールである。これらは2種以上混合してもよい。溶媒の使用量としてはアミノアラルキルオキシピリジン化合物(9)に対して、通常50重量部以下であり、好ましくは0.5〜20重量部である。
【0096】
反応5b終了後、得られた反応液からアミノヒドロキシピリジン化合物(8)を取り出す方法としては、例えば、得られた反応液から触媒を濾別し、得られた濾液を濃縮する方法が挙げられる。
【0097】
また、得られた反応液に酸を加えて、アミノヒドロキシピリジニウム塩(6)として取り出すこともできる。この場合、トルエン、メチル−t−ブチルエーテルなどの有機溶媒を入れ、冷却することでアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を析出させ、濾過することで反応液からアミノヒドロキシピリジニウム塩(6)を取り出せばよい。
【実施例】
【0098】
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。以下の実施例中、水素核磁気共鳴(以下、
1H NMRと略記)スペクトル測定及び高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記)分析は以下の条件で行った。
(1)
1H NMRスペクトル測定:
・装置:日本電子株式会社製 核磁気共鳴装置「AL−400」
・溶媒:CDCl
3、THF−d
8又はDMSO−d
6
・測定周波数:400MHz
(2)HPLC分析:
・装置:株式会社島津製作所製 液体クロマトグラフ「LC−20AD」
・カラム:SUMIPAX ODS Z−CLUE(長さ50mm、内径3.0
mm、粒子径2.0μm)
・移動相:
A:0.1%酢酸水溶液
B:LC用アセトニトリル=60:40
(グラジエント)
0min. A:B=50:50
0.5min. A:B=50:50
5.0min. A:B=5:95
10min. A:B=5:95
10.01min. A:B=50:50
・検出器:UV254nm
・カラム温度:40℃
・流速:1.0ml/分
・分析時間:13分
・測定方法:面積百分率法
【0099】
実施例1−1
2−アミノ−5−ブロモピリジン(622.0g、3.595モル)、トルエン(3740g)、トリフェニルクロロメタン(1050g、3.766モル)を混合し、トリエチルアミン(398.0g、3.933モル)を25℃で滴下した後、80℃に昇温し7時間反応した。反応終了後、80℃でトルエン(1240g)、イオン交換水(933g)、48%水酸化ナトリウム水溶液(89.8g、1.08モル)を添加し、有機層を分液操作によって分離し、有機層をイオン交換水(1860g)で2回洗浄した。有機層を2.96kgまで濃縮し、80℃でn−ヘプタン(3730g)を滴下し、20℃まで冷却した。析出した結晶を濾過し、n−ヘプタン(971g)で得られた結晶を洗浄した後、乾燥することにより2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン(1398g、3.366モル)を得た(収率94%)。
【0100】
以下に、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジンの
1H NMRスペクトルデータを示す。
【0101】
1H NMR(CDCl
3) δ(ppm):8.06(d,1H,J=2.4 Hz),7.33−7.16(m,15H),7.10(dd,1H,J=2.4,8.8 Hz),6.15(s,1H),5.74(dd,1H,J=0.4,9.2 Hz)
【0102】
実施例1−2
2−アミノ−5−ヨードピリジン(6.60g、30.0ミリモル)、ジクロロメタン(318g)、トリフェニルクロロメタン(9.20g、33.0ミリモル)を混合し、トリエチルアミン(3.34g、33.0ミリモル)を25℃で滴下した後、25℃で24時間反応した。反応終了後、イオン交換水(194g)を添加し、有機層を分液操作によって分離し、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(100g)で2回洗浄した。有機層を濃縮して14.0gの残渣を得た後、残渣にトルエン(45.8g)を添加し、60℃で溶解させ、メタノール(109g)を滴下して、20℃まで冷却した。析出した結晶を濾過し、n−ヘプタン(971g)で結晶を洗浄した後、乾燥することにより2−トリフェニルメチルアミノ−5−ヨードピリジン(10.96g、23.7ミリモル)を得た(収率79%)。
【0103】
以下に、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ヨードピリジンの
1H NMRスペクトルデータを示す。
【0104】
1H NMR(CDCl
3) δ(ppm):8.17(d,1H,J=2.0 Hz),7.32−7.22(m,16H),6.18(s,1H),5.67(d,1H,J=8.8 Hz)
【0105】
実施例2−1
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン(30.0g、72.2ミリモル)、炭酸カリウム(30.0g、217ミリモル)、よう化銅(2.75g、14.4ミリモル)、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.00g、9.31ミリモル)、ベンジルアルコール(48.1g、447ミリモル)、1−メチルイミダゾール(11.9g、145ミリモル)を混合し、窒素雰囲気下120℃で48時間反応を行った。反応後、反応液をHPLC分析したところ、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン及び2−トリフェニルメチルアミノピリジンのピーク面積比(3成分比)はそれぞれ97.0%、0.9%、2.1%であった。反応液にトルエン(57.9g)、イオン交換水(28.9g)、28%アンモニア水(57.9g)を加え無機物を溶解した。有機層を分液操作によって分離し、トルエン(28.6g)を加え、7%アンモニア水(114g)で4回洗浄した。有機層を60.7gまで濃縮し、50℃でメタノール(84.6g)を添加し、種晶を添加してイオン交換水(83.9g)を滴下した後、25℃まで冷却した。析出した結晶を濾過し、メタノール(112.1g)で結晶を洗浄し、乾燥することで2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン(24.2g、54.7ミリモル)を得た(収率76%)。得られた2−アミノ−5−ヒドロキシピリジン酢酸塩を誘導結合プラズマ発光分光分析(以下、ICPと略記)により銅原子の定量分析をしたところ、銅含有量は0.03重量%であった。
【0106】
以下に、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジンの
1H NMRスペクトルデータを示す。
【0107】
1H NMR(CDCl
3) δ(ppm):7.83(d,1H,J=3.2 Hz),7.37−7.19(m,20H),6.76(dd,1H,J=3.2,9.2 Hz),5.87(s,1H),5.81(d,1H,J=9.2 Hz),4.90(s,2H)
【0108】
実施例2−2
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン(31.6g、76.0ミリモル)、炭酸カリウム(31.5g、228ミリモル)、よう化銅(2.89g、15.2ミリモル)、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.16g、9.8ミリモル)、ベンジルアルコール(49.3g、456ミリモル)、1−メチルイミダゾール(12.5g、152ミリモル)を混合し、窒素雰囲気下120℃で70時間反応を行った。反応後、反応液をHPLC分析したところ、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン及び2−トリフェニルメチルアミノピリジンのピーク面積比(3成分比)はそれぞれ96.0%、1.3%、2.7%であった。反応液にイオン交換水(63g)を加えて50℃で撹拌し、分液により水層を除去した。有機層を濾過しトルエン(62g)を加え、3.2%の酢酸水溶液(97g)で2回洗浄した後、イオン交換水(94g)で洗浄した。得られた有機層を濃縮して残渣62gを得た。そこへメタノール(94.5g)を滴下し、結晶を析出させ、0℃に冷却して結晶を濾過した。得られた結晶を冷メタノールで洗浄し、洗浄後の結晶を乾燥して、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン(21.5g、48.6ミリモル)を得た(収率64%)。得られた2−アミノ−5−ヒドロキシピリジンをICPで分析したところ、銅含有量は1.0重量%であった。
【0109】
実施例2−3
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン(0.207g、0.50ミリモル)、炭酸セシウム(0.231g、0.70ミリモル)、よう化銅(9.5mg、0.050ミリモル)、ベンジルアルコール(0.541g、5.0ミリモル)、1,10−フェナントロリン無水物(19mg、0.10ミリモル)を混合し、窒素雰囲気下140℃で9時間反応を行った。反応後、反応液をHPLC分析したところ、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン及び2−トリフェニルメチルアミノピリジンのピーク面積比(3成分比)はそれぞれ95.6%、3.8%、0.5%であった。
【0110】
実施例2−4
炭酸セシウムを炭酸カリウム(0.097g、0.70ミリモル)に、反応時間を18時間とした以外は実施例2−3と同様に行った。反応後、反応液をHPLC分析したところ、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン及び2−トリフェニルメチルアミノピリジンのピーク面積比(3成分比)はそれぞれ83.3%、9.7%、7.0%であった。
【0111】
実施例2−5
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン(0.415g、1.0ミリモル)、炭酸カリウム(0.41g、3.0ミリモル)、よう化銅(38mg、0.20ミリモル)、ベンジルアルコール(1.08g、10ミリモル)、1,10−フェナントロリン・一水和物(40mg、0.20ミリモル)を混合し、窒素雰囲気下120℃で22時間反応を行った。反応後、反応液をHPLC分析したところ、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン及び2−トリフェニルメチルアミノピリジンのピーク面積比(3成分比)はそれぞれ97.2%、2.0%、0.8%であった。
【0112】
実施例2−6
実施例2−5において、1,10−フェナントロリン・一水和物を1−メチルイミダゾール(0.164g、2.0ミリモル)に、反応時間を18時間とした以外は実施例2−5と同様に行った。反応後、反応液をHPLC分析したところ、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン及び2−トリフェニルメチルアミノピリジンのピーク面積比(3成分比)はそれぞれ92.6%、5.8%、1.6%であった。
【0113】
実施例2−7
実施例2−6において、1−メチルイミダゾールを1−ブチルイミダゾール(0.248g、2.0ミリモル)とした以外は実施例2−6と同様に行った。反応後、反応液をHPLC分析したところ、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ブロモピリジン及び2−トリフェニルメチルアミノピリジンのピーク面積比(3成分比)はそれぞれ92.0%、6.5%、1.5%であった。
【0114】
実施例2−8
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ヨードピリジン(2.72g、5.88ミリモル)、炭酸セシウム(2.69g、8.3ミリモル)、よう化銅(0.11g、0.59ミリモル)、ベンジルアルコール(1.27g、11.7ミリモル)、1,10−フェナントロリン無水物(0.21g、1.16ミリモル)、トルエン5.1gを混合し、窒素雰囲気下110℃で21時間反応を行った。反応後、反応液をHPLC分析したところ、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ヨードピリジン及び2−トリフェニルメチルアミノピリジンのピーク面積比(3成分比)はそれぞれ84.8%、9.2%、6.0%であった。得られた反応液にトルエン(2.6g)を添加し、固体を濾過した後、濾液を濃縮して、残渣3.4gを得た。残渣にトルエン(3.4g)を添加し、50℃でトルエンに溶解させ、25℃に冷却した後、メタノール(15.9g)を添加し、0℃に冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を濾過して、結晶をメタノール(11.8g)で洗浄し、乾燥することで2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン(1.94g、4.38ミリモル)を得た(収率74%)。
【0115】
実施例3−1
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン(30.0g、67.8ミリモル、銅含有量:0.03%)、酢酸(150g)、イオン交換水(12.4g)、5%Pd/C(3.32g、含水率55%)をオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下70℃に昇温し1時間反応を行った。反応液を25℃まで冷却した後、水素を0.2MPa(絶対圧)で導入しながら、3時間反応を行った。反応終了後、イオン交換水(105g)を添加して、固体を濾過し、濾残をイオン交換水(30.1g)で洗浄した。濾洗液を濃縮し、そこへトルエンを追加して共沸脱水を行った後、濃縮残渣(38.7g)を60℃に昇温し、トルエン(147g)を滴下した後20℃まで冷却した。析出した結晶を濾過し、トルエン(15.8g)で洗浄した後、窒素気流下で乾燥し2−アミノ−5−ヒドロキシピリジン酢酸塩(8.47g、49.8ミリモル)を得た(収率75%)。
【0116】
以下に、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジン酢酸塩の
1H NMRスペクトルデータを示す。
【0117】
1H NMR(DMSO−d
6) δ(ppm):7.50(d,1H,J=2.8 Hz),6.91(dd,1H,J=2.4,8.4 Hz),6.34(d,1H,J=8.8 Hz),5.22(brs,2H),1.91(s,3H)
【0118】
実施例3−2
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン(2.00g、4.52ミリモル、銅含有量:0.03%)、テトラヒドロフラン(3.0g)、5%Pd/C(0.22g、含水率55%)をオートクレーブに仕込み、水素雰囲気下(1気圧)25℃で4.5時間反応を行った。反応終了後、イオン交換水(105g)を添加して、Pd/Cを濾過し、濾残をテトラヒドロフラン(2.0g)で洗浄した。得られた濾洗液を濃縮し、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ヒドロキシピリジン(1.55g、4.40ミリモル)を得た(収率97%)。
【0119】
以下に、2−トリフェニルメチルアミノ−5−ヒドロキシピリジンの
1H NMRスペクトルデータを示す。
【0120】
1H NMR(THF−d
8)δ(ppm):7.52(s,1H),7.50(d,1H,J=2.8 Hz),7.37−7.34(m,6H),7.22−7.11(m,9H),6.54(dd,1H,J=3.2,8.8 Hz),6.01(s,1H),5.87(d,1H,J=8.8 Hz)
【0121】
得られた2−トリフェニルメチルアミノ−5−ヒドロキシピリジン(0.25g、0.709ミリモル)、酢酸(1.26g)、イオン交換水(0.15g)をオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下70℃に昇温し1時間反応を行った。25℃まで冷却しイオン交換水(2.05g)を加えて撹拌し、析出した固体を濾過し、濾残をイオン交換水で洗浄した。得られた濾洗液を濃縮して2−アミノ−5−ヒドロキシピリジン酢酸塩(0.11g、0.646ミリモル)を得た(収率91%)。
【0122】
実施例3−3
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン(0.92g、2.08ミリモル、銅含有量:0.03%)、酢酸(4.6g)、5%Pd/C(0.21g、含水率55%)を仕込み、水素雰囲気下(1気圧)25℃で18.5時間反応を行った。反応終了後、固体を濾過し、濾残を酢酸(19.6g)で洗浄した。濾洗液を濃縮し、得られた濃縮残渣(0.71g)に酢酸(1.35g)を加えて撹拌し、メチル−t−ブチルエーテル(5.6g)を滴下して結晶を析出させた。析出した結晶を濾過して、メチル−t−ブチルエーテル(1.4g)で洗浄した。洗浄後の結晶を乾燥して、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジン酢酸塩(0.22g、1.29ミリモル)を得た(収率62%)。
【0123】
実施例4
2−トリフェニルメチルアミノ−5−ベンジルオキシピリジン(108.4g、0.25モル、銅含有量:0.03%)、酢酸(147.1g、2.45モル)を仕込み、窒素雰囲気下70℃に昇温した。そこへイオン交換水(44.1g)を滴下し、1時間反応を行った。反応終了後、25℃まで冷却し、イオン交換水(208g)を加えて攪拌した。得られた反応液に析出した固体を濾過して、濾残をイオン交換水で洗浄した。濾洗液にトルエン(217g)を加え、48%水酸化ナトリウム水溶液(197.9g)、酢酸(0.5g)を加えて水層のpHを8.8に調整した後、有機層と水層を分液した。有機層をイオン交換水(218g)で洗浄した後、濃縮して2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジンのトルエン溶液(331g)を得た(2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジン47.2g、0.236モル)。
【0124】
得られた2−アミノ−5−ベンジルオキシピリジンのトルエン溶液(331g)、エタノール(217g)及び10%Pd/C(2.28g、含水率53%)をオートクレーブに仕込み、水素雰囲気下0.2MPa(絶対圧)で導入しながら25℃で4時間反応を行った。反応終了後、Pd/Cを濾過し、濾残をエタノール(76g)で洗浄した。得られた濾洗液を減圧乾燥して、2−アミノ−5−ヒドロキシピリジン(25.6g、0.23モル)を得た(収率92%)。