【実施例1】
【0016】
図1は液晶表示装置の平面図であり、
図2は液晶表示装置の断面図である。
図1において、上側にはカバーガラス300が配置されている。カバーガラス300は液晶表示パネルにおけるTFT基板100よりも大きく形成されているが、これは例であり、カバーガラス300は液晶表示パネルと同じ大きさの場合もあるし、液晶表示パネルより小さい場合もある。
【0017】
図1において、カバーガラスの周辺には、透明である表示領域302を囲むように印刷によって黒枠301が形成されている。この黒枠301は、カバーガラス300の対向基板200側に形成されている。黒枠301の幅は、液晶表示パネルにおいてメインフレキシブル配線基板120やドライバIC110等が配置された端子部側で大きくなっている。
【0018】
図2は
図1のA−A断面図である。
図2において、TFT基板100と対向基板200はシール材によって接着し、TFT基板100と対向基板200の間に液晶が挟持されている。TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100が1枚になっている部分は、端子部であり、液晶表示パネルを駆動するためのドライバIC110が配置し、また、外部から電源や信号を供給するためのメインフレキシブル配線基板120が接続している。対向基板200はタッチパネルの機能を有していおり、タッチパネルへの信号の入出力のためにタッチパネル用フレキシブル配線基板130が対向基板200に接続している。
【0019】
TFT基板100の下側には、下偏光板101が貼り付けられ、対向基板200の上側には上偏光板201が貼り付けられている。TFT基板100、対向基板200、下偏光板101、上偏光板201で液晶表示パネル構成している。上偏光板201の上には、樹脂350によってカバーガラス300が貼り付けられている。液晶表示パネルを機械的に保護するためである。
【0020】
図2において、カバーガラス300の厚さは、0.5mm以上、1.5mm程度以下である。また、TFT基板100および対向基板200の厚さは、0.2mmから0.7mm程度であり、上偏光板201および下偏光板101の厚さは、0.13mm程度である。上偏光板201とカバーガラス300を接着している紫外線硬化樹脂350の厚さは、30μm程度から170μm程度である。
【0021】
紫外線硬化樹脂350は当初は粘度の高い液体でもよいし、フィルムでも良い。樹脂フィルムとしては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)が使用され、当初液体の樹脂としては、例えば、OCR(Optical Clear Resin)が使用される。なお、以後の説明では、紫外線硬化樹脂350は、硬化前は液体であるとして説明するが、発明の内容は、紫外線硬化樹脂350が当初はシートである場合にも同様に適用することができる。
【0022】
図3は、
図1あるいは
図2に示すような液晶表示装置を製造する場合における紫外線硬化樹脂350の硬化工程での問題点を示す断面図である。
図3は、端子部側における断面図である。
図3において、紫外線硬化樹脂350を硬化させるための紫外線UVはカバーガラス300の主面側から照射される。紫外線はメタルハライドランプを光源として用い、波長は200nmから450nmで、紫外線硬化樹脂350の硬化に使用される波長、例えば365nmの波長を含む紫外線を発光する光源である。液晶表示パネルは、製造装置の載置台に載置されている。なお、表示パネルの背面にバックライトが配置し、表示装置はバックライトを介して製造装置の載置台に載置される場合もある。
【0023】
図3において、黒枠301が存在しない透明な表示領域では、紫外線UVが照射されるので、紫外線硬化樹脂350は硬化する。しかし、黒枠301が形成された部分では、紫外線UVが透過しないので、紫外線硬化樹脂350は硬化しない。この部分を
図3では、未硬化樹脂351で示している。
【0024】
図4はこれを対策する手段を示す断面図である。
図4において、紫外線UVは液晶表示装置の側面から照射される。
図4に示すように、紫外線硬化樹脂350と紫外線UVの間に障害物が無ければ紫外線UVは紫外線硬化樹脂350に照射され、紫外線硬化樹脂350を硬化することができる。
【0025】
しかし、特に端子部側においては、
図5に示すように、タッチパネル用フレキシブル配線基板130等によって、紫外線UVが遮られると、その部分の紫外線硬化樹脂350が硬化しなくなり、未硬化樹脂351として残る。
図5では、タッチパネル用フレキシブル配線基板130が紫外線UVを遮っているが、メインフレキシブル配線基板120が遮ることもある。
【0026】
図6は、黒枠301の下の紫外線硬化樹脂350を硬化させるための他の手段を示す断面図である。
図6において、紫外線UVをカバーガラス300の主面に対して小さい角度、例えば、2°で入射させて、紫外線UVを黒枠301の下に入り込ませようとするものである。しかし、この方法は、カバーガラス300の屈折率のために、カバーガラスと空気の界面において、紫外線UVが屈折し、小さな角度で紫外線硬化樹脂350に紫外線UVを入射させることができない。なお、本明細書における屈折率は、特に断らない限り、紫外線硬化樹脂350を硬化させるための波長365nmの紫外線に対する屈折率を言う。
【0027】
図6において、例えば、紫外線硬化樹脂350をカバーガラス300に対して2°で入射させても、カバーガラス300を出射するときは48°になってしまう。その結果、紫外線UVは、黒枠301の端部からわずかな距離d1しか紫外線硬化樹脂内に入射しない。
【0028】
図6において、空気の屈折率を1.0、カバーガラスの屈折率を1.52、紫外線硬化樹脂の屈折率を1.49とし、紫外線硬化樹脂の厚さを0.1mmとした場合、紫外線UVをカバーガラス300に対して2°で入射させても、距離d1は0.09mmにすぎない。したがって、黒枠301の下の紫外線硬化樹脂350は大部分が未硬化のまま残ってしまう。
【0029】
図7は本発明を示す断面図である。
図7において、ガラス等で形成された導光ブロック10が取り付け樹脂20を介してカバーガラス300の上に配置している。そして、紫外線硬化樹脂350を硬化する紫外線UVは導光ブロック10の側面から入射させる。
【0030】
図7において、紫外線UVは導光ブロック10の側面から入射させるために、小さな角度、例えば10°で入射させる。この紫外線UVは、導光ブロック10と空気の屈折率の差によって、カバーガラス300、あるいは紫外線硬化樹脂350に対してより小さな角度、例えば、6.8°で入射することになる。つまり、
図6の場合とは逆に、導光ブロック10の存在によって、紫外線UVの紫外線硬化樹脂350への入射角を紫外線UVのカバーガラス300への入射角よりも小さな角度とすることができる。
【0031】
図7において、導光ブロック10の屈折率をカバーガラス300と同じ屈折率1.52、取り付け樹脂20の屈折率もカバーガラスと同じ1.52、紫外線硬化樹脂350の屈折率を1.49とし、紫外線硬化樹脂350の厚さを0.1mmとした場合、紫外線UVをカバーガラス300に対して10°で入射させると、紫外線UVが紫外線硬化樹脂350内に到達する距離d2は0.84mmとなり、
図6の場合に比べて大幅に大きくなる。すなわち、未硬化の領域は大幅に少なくなる。
【0032】
さらに、紫外線UVが紫外線硬化樹脂350に対して小さな角度で入射することによって、紫外線硬化樹脂350と上偏光板201との界面において反射する光量も大きくなる。
図7において反射光は点線で示している。この反射光によって、紫外線硬化樹脂350が硬化されるために、紫外線硬化樹脂350を殆ど全域で硬化させることができる。
【0033】
本発明では、各部品の屈折率が重要なファクターになる。
図8はこの関係を示す断面図である。
図8において、導光ブロック10の屈折率はn1、取り付け樹脂20の屈折率はn2、カバーガラス300の屈折率はn3、紫外線硬化樹脂350の屈折率はn4、上偏光板201の屈折率はn5である。
図8において、紫外線UVが導光ブロック10の側面に対して入射する角度をθ1、導光ブロック10側における出射角をθ2とすると、n1=sinθ1/sinθ2である。n1は空気の屈折率よりも大きいので、必ず、θ2はθ1よりも小さくなる。すなわち、紫外線硬化樹脂350内においては、紫外線UVがより奥まで到達することになる。なお、本明細書におけるθ1、θ2等の角度は、紫外線UVの光軸の角度を示す。
【0034】
図8において、界面での反射を抑え、より多くの紫外線UVを紫外線硬化樹脂350に到達させるためには、屈折率n1、n2、n3、n4はできるだけ同じであることが望ましい。実際の値としては、屈折率n1、n2、n3、n4の差は0.01以内であることが望ましい。
【0035】
一方、紫外線硬化樹脂350と上偏光板201との間では、紫外線UVを上偏光板201の表面で反射させることができれば紫外線UVをより奥まで到達させることができる。したがって、n4とn5はかならずしも一致する必要はなく、紫外線硬化樹脂350の屈折率n4が上偏光板201の屈折率n5より大きいほうが紫外線UVをより大きく反射するので有利である。
【0036】
しかし、上偏光板201、紫外線硬化樹脂350、カバーガラス300の屈折率は、製品の特性上から、決められる場合が多い。したがって、本発明における屈折率の調整は、導光ブロック10の屈折率n1および取り付け樹脂20の屈折率n2に限られる場合も多い。
【0037】
このような場合、導光ブロック10の屈折率n1および取り付け樹脂の屈折率n2は、カバーガラス300の屈折率n3と0.01以内で一致することが望ましい。また、導光ブロック10の側面から入射した紫外線は、カバーガラス300の主面に対して十分小さな角度で入射させることができるので、導光ブロック10と取り付け樹脂20の界面、あるいは、取り付け樹脂20とカバーガラス300の界面で全反射しないような条件とすることが望ましい。
【0038】
全反射を生じさせないためには、導光ブロック10の屈折率n1と取り付け樹脂20の屈折率n2の関係が、n2≧n1であることが望ましい。あるいは、取り付け樹脂20の屈折率n2とカバーガラス300の屈折率n3の関係が、n3≧n2であることが望ましい。
【0039】
図9は、導光ブロック10と液晶表示パネルの位置関係を示す平面図である。
図10において、導光ブロック10をカバーガラス300の上に黒枠301と一部オーバーラップして配置している。導光ブロック10は、液晶表示パネルの端子部側に配置されている。導光ブロック10の幅bは、カバーガラス300の幅と同じである。なお、紫外線UVをカバーガラス300の長辺側の横方向から
図4に示すように照射可能であれば、導光ブロック10の幅bはカバーガラスの幅よりも小さくとも良い。導光ブロック10の奥行aは、20±10mmである。奥行aが小さすぎると、導光ブロック10を通過する光が紫外線硬化樹脂350に到達しなくなり、長すぎると導光ブロック10における紫外線の吸収が問題となるからである。
【0040】
図10は
図9のB−B断面図である。
図10において、導光ブロック10の高さt1は1.4mm程度から15mm程度である。導光ブロック10が薄すぎると、導光ブロック10の側面から紫外線UVを十分に入射させることができなくなる。また、導光ブロック10が薄すぎると、ハンドリングをしにくくなる。さらに、導光ブロック10が厚すぎても、ハンドリングがしにくくなる。導光ブロック10の材料は、ガラスが最も適している。しかし、屈折率を調整可能であり、かつ、紫外線吸収が小さければ、透明プラスチックを使用してもよい。
【0041】
導光ブロック10とカバーガラス300との間に介在している取り付け樹脂20は屈折率を合わせることができれば、どのような樹脂でもよい。樹脂は液体であっても表面張力によって、導光ブロック10とカバーガラス300との間に介在させることができる。取り付け樹脂20の厚さは10μm乃至30μm程度あれば十分である。取り付け樹脂20は表面張力によって維持できる範囲の量であれば、問題ない。取り付け樹脂20は紫外線を照射後、除去されるので、容易にふき取れる材料がよい。例えばパラフィン油等を使用することができる。
【0042】
なお、取り付け樹脂20としては、紫外線硬化樹脂であるOCAを用いることも出来る。OCAは紫外線を照射することによって硬化してしまうが、カバーガラスの表面はフッ素コーティングをしてあるので、OCAは硬化後も容易に剥離するために、取り付け樹脂20を剥離する工程が容易になる。そして、導光ブロック10にもフッ素コーティングしておけば、導光ブロック10からの取り付け樹脂20の除去も容易である。
【0043】
一方、取り付け樹脂20は、シート状の樹脂であってもよい。この場合、シート状の樹脂は、カバーガラス300に貼り付け、導光ブロック10を介して紫外線UVを照射した後、容易に剥離できるものがよい。そして、複数回にわたって使用できるものがよい。
【0044】
取り付け樹脂20が液体の場合であれ、シート状の場合であれ、重要な点は、導光ブロック10を取り付け樹脂20を介してカバーガラス300の上に配置したときに、導光ブロック10とカバーガラス300との間に気泡が発生しにくい材料であることが重要である。気泡が発生すると、その部分において紫外線UVが大きく屈折して、紫外線UVが紫外線硬化樹脂350の奥にまで到達しない場合があるからである。
【実施例4】
【0053】
本実施例は、本発明を有機EL表示装置に適用した場合の例である。
図15は、本発明を実施している状態を示す有機EL表示装置の断面図である。有機EL表示パネルは、有機EL素子等が形成された素子基板500を封止樹脂を介して封止基板600で覆った構成である。素子基板500は、封止基板600よりも大きく形成され、素子基板500が1枚になった部分にドライバIC110、が取り付けられ、また、有機EL表示パネルに電源や信号を供給するためのメインフレキシブル配線基板120等が接続している。
【0054】
封止基板600は、タッチパネルを兼ねており、封止基板600にはタッチパネル用フレキシブル配線基板130が接続している。封止基板600の上には、反射防止のための偏光板601が取り付けられている。但し、有機EL表示装置によっては、反射防止のための偏光板は存在しない場合もある。
【0055】
図15において、封止基板600の上には、有機EL表示パネルを保護するためのカバーガラス300が紫外線硬化樹脂350を介して接着している。カバーガラス300の周辺には、黒枠301が形成されている点も
図1および
図2に示す液晶表示装置の場合と同様である。
【0056】
すなわち、有機EL表示装置の場合も、カバーガラス300の黒枠301の下の紫外線硬化樹脂350が硬化しないという問題が生ずる。この問題を解決するために、
図15に示すように、カバーガラス300の上に取り付け樹脂20を介して導光ブロック10を配置し、導光ブロック10の側面から紫外線UVを照射することによって、黒枠301の下側にも紫外線UVを照射できるようにすることができる。
【0057】
つまり、実施例1乃至3で説明した本発明の内容をそのまま、有機EL表示装置に対しても適用することができる。これによって有機EL表示装置においても、黒枠の下側における紫外線硬化樹脂が硬化しないという問題点を解決することができる。
【0058】
なお、以上の実施例では、導光ブロックをカバーガラスの上で、表示パネルの端子側に配置して紫外線を照射するとしている。しかし、TFT基板あるいは対向基板が薄くなったりすると、基板に撓みが生じて、
図4に示すような、横方向からの紫外線の照射が難しくなる場合がある。このような場合には、端子部側の辺に限らず、カバーガラスの他の辺に導光ブロックを配置することによって、紫外線硬化樹脂の均一な硬化を可能とすることができる。