(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6664369
(24)【登録日】2020年2月20日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】LEDパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/10 20100101AFI20200302BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20200302BHJP
【FI】
H01L33/10
H01L33/60
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-233690(P2017-233690)
(22)【出願日】2017年12月5日
(62)【分割の表示】特願2017-184078(P2017-184078)の分割
【原出願日】2017年9月25日
(65)【公開番号】特開2019-9408(P2019-9408A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2017年12月5日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0080881
(32)【優先日】2017年6月27日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514121240
【氏名又は名称】ルーメンス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ, テギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム, デウォン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,エリム
【審査官】
竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−153634(JP,A)
【文献】
特開2016−001750(JP,A)
【文献】
実開昭50−157161(JP,U)
【文献】
国際公開第2016/079505(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップを準備し、前記LEDチップをマウント基板に実装することによってLEDパネルを製造する方法において、前記LEDチップの製造のために、一面及び反対面を含むサファイア基板を準備し、前記サファイア基板の一面に格子状パターンを形成し、前記格子状パターンに反射物質を充填し、反射領域を取り囲む反射面を含む複数の集光部を形成し、前記複数の集光部を覆うように、前記サファイア基板の一面にn型半導体層、活性層及びp型半導体層を含むエピタキシャル層を形成し、前記エピタキシャル層をエッチングすることによって前記n型半導体層の表面を含むn型領域上に少なくとも活性層及びp型半導体層を含む複数の発光セルを形成し、前記複数の発光セルのそれぞれは前記複数の集光部のそれぞれに対応することを特徴とするLEDパネルの製造方法。
【請求項2】
前記複数の集光部のそれぞれは、対応する発光セルの垂直領域の周囲に沿って形成された反射面を含むことを特徴とする、請求項1に記載のLEDパネルの製造方法。
【請求項3】
前記複数の発光セルを形成した後、前記複数の発光セルのそれぞれのp型半導体層に第1電極パッドを形成し、前記複数の発光セルを取り囲むn型領域の縁部付近のn型半導体層上に第2電極パッドを形成することを特徴とする、請求項1に記載のLEDパネルの製造方法。
【請求項4】
前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドを形成した後、反射性材料からなるパッシベーション層を前記複数の発光セルの各側面を覆うように形成することを特徴とする、請求項3に記載のLEDパネルの製造方法。
【請求項5】
前記格子状パターンはv型断面を含むことを特徴とする、請求項1に記載のLEDパネルの製造方法。
【請求項6】
前記エピタキシャル層の形成前又は形成後に、前記サファイア基板の厚さを減少させることを特徴とする、請求項1に記載のLEDパネルの製造方法。
【請求項7】
前記サファイア基板の反対面に前記複数の発光セルに対応する複数のカラーセルを形成することを特徴とする、請求項1に記載のLEDパネルの製造方法。
【請求項8】
前記複数のカラーセルを形成するために、前記サファイア基板の反対面に複数のセルホールを含む格子状光シールドを形成し、前記複数のセルホールに波長変換型光透過材料又は波長非変換型光透過材料を充填することを特徴とする、請求項7に記載のLEDパネルの製造方法。
【請求項9】
前記格子状光シールドは、ブラックインク又はブラック樹脂で形成されることを特徴とする、請求項8に記載のLEDパネルの製造方法。
【請求項10】
前記マウント基板に対する前記LEDチップの実装は、前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドのそれぞれが前記マウント基板の第1電極及び第2電極と連結されるように、ボンディング材料を用いたフリップチップボンディングで行われることを特徴とする、請求項3に記載のLEDパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDパネルに係り、より詳細には、サファイア基板上に形成された複数のカラーセルを含み、各LEDチップから出た光を対応するカラーセルに集めるように構成されたLEDパネルに関する。
本発明は、マイクロLEDディスプレイ装置に適している。本明細書において、カラーセルという用語は、発光セルから出た光を波長変換するか、又は、波長変換することなくそのまま透過し、発光セルから出た光の色を定めるセルを意味する。
【背景技術】
【0002】
それぞれが数μm乃至数十μmのサイズを有する複数の発光セルをマトリックス状に配列したマイクロLEDチップをマウント基板であるアクティブマトリックス基板上に実装することによってマイクロLEDパネルを製作し、これを用いてマイクロLEDディスプレイ装置を具現する技術が提案されたことがある。既存のワイヤボンディングを用いる方法においては、数μm乃至数十μmのサイズを有する複数の発光セルが個別的に制御されるように各LEDチップをアクティブマトリックス基板に連結することが難しかった。しかし、フリップチップボンディング技術は、数μm乃至数十μmのサイズを有する複数の発光セルが個別的に制御されるようにマイクロLEDチップをアクティブマトリックス基板に実装するのに非常に有利である。一方、このようなマイクロLEDチップにおいて、複数の発光セルは、サファイア基板上に成長したGaN系列のエピタキシャル層をエッチングすることによって形成されるので、同一の波長の光を発するしかなく、その結果、RGBフルカラーマイクロLEDディスプレイ装置への適用が難しかった。これに対する解決策として、サファイア基板の下部に複数の発光セルを配列し、サファイア基板の上部に複数の発光セルに対応するように波長変換材料を含む複数のカラーセルを形成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016−523450号公報
【0004】
しかし、この場合は、発光セルから出て上側に向かう光が対応するカラーセルに到逹する前にサファイア基板により分散されるので、光効率が低下するだけでなく、所望しない光の混合又は所望しない光間の干渉が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、サファイア基板の底面に複数の発光セルが配列されたLEDチップと、各発光セルから出た光を波長変換するか、又は、波長変換することなくそのまま透過するように、サファイア基板上に形成された複数のカラーセルとを含み、各LEDチップから出た光を対応するカラーセルに効果的に集めるように構成されたLEDパネル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
LEDチップを準備し、前記LEDチップをマウント基板に実装することによってLEDパネルを製造する方法において、前記LEDチップの製造のために、一面及び反対面を含むサファイア基板を準備し、前記サファイア基板の一面に格子状パターンを形成し、前記格子状パターンに反射物質を充填し、反射領域を取り囲む反射面を含む複数の集光部を形成し、前記複数の集光部を覆うように、前記サファイア基板の一面にn型半導体層、活性層及びp型半導体層を含むエピタキシャル層を形成し、前記エピタキシャル層をエッチングすることによって前記n型半導体層の表面を含むn型領域上に少なくとも活性層及びp型半導体層を含む複数の発光セルを形成し、前記複数の発光セルのそれぞれは前記複数の集光部のそれぞれに対応することを特徴とする。
【0007】
前記複数の集光部のそれぞれは、対応する発光セルの垂直領域の周囲に沿って形成された反射面を含むことを特徴とする。
【0008】
前記複数の発光セルを形成した後、前記複数の発光セルのそれぞれのp型半導体層に第1電極パッドを形成し、前記複数の発光セルを取り囲むn型領域の縁部付近のn型半導体層上に第2電極パッドを形成することを特徴とする。
【0009】
前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドを形成した後、反射性材料からなるパッシベーション層を前記複数の発光セルの各側面を覆うように形成することを特徴とする。
【0010】
前記格子状パターンはv型断面を含むことを特徴とする。
【0011】
前記エピタキシャル層の形成前又は形成後に、前記サファイア基板の厚さを減少させることを特徴とする。
【0012】
前記サファイア基板の反対面に前記複数の発光セルに対応する複数のカラーセルを形成することを特徴とする。
【0013】
前記複数のカラーセルを形成するために、前記サファイア基板の反対面に複数のセルホールを含む格子状光シールドを形成し、前記複数のセルホールに波長変換型光透過材料又は波長非変換型光透過材料を充填することを特徴とする。
【0014】
前記格子状光シールドは、ブラックインク又はブラック樹脂で形成されることを特徴とする。
【0015】
前記マウント基板に対する前記LEDチップの実装は、前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドのそれぞれが前記マウント基板の第1電極及び第2電極と連結されるように、ボンディング材料を用いたフリップチップボンディングで行われることを特徴とする。
【0016】
LEDチップ、及び前記LEDチップが実装されるマウント基板を含むLEDパネルであって、前記LEDチップは、一面に格子状パターンが形成されたサファイア基板、前記格子状パターンに形成された反射面を含む複数の集光部、及び前記複数の集光部を覆うように前記サファイア基板上に形成されたエピタキシャル層から形成され、n型半導体層の表面を含むn型領域上に活性層及びp型半導体層を含む複数の発光セル、を含み、前記複数の発光セルのそれぞれは、前記複数の集光部のそれぞれに対応することを特徴とする。
【0017】
前記複数の集光部のそれぞれは、前記反射面が前記発光セルのそれぞれの垂直領域の周囲に沿って形成されたことを特徴とする。
【0018】
前記複数の発光セルのそれぞれのp型半導体層に第1電極パッドが形成され、前記複数の発光セルを取り囲む前記n型領域の縁部付近に第2電極パッドが形成されたことを特徴とする。
【0019】
前記複数の発光セルの各側面を覆うように形成されたパッシベーション層をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
前記格子状パターンはv型断面を含むことを特徴とする。
【0021】
前記サファイア基板の反対面に前記複数の発光セルに対応する複数のカラーセルをさらに含むことを特徴とする。
【0022】
前記複数のカラーセルは、前記サファイア基板の反対面に複数のセルホールを含む格子状光シールドと、前記複数のセルホールに充填される光透過材料をさらに含み、前記光透過材料は波長変換型光透過材料を含むことを特徴とする。
【0023】
前記複数のカラーセルは、互いに隣り合うように配置された状態でグループ化されている第1カラーセル、第2カラーセル及び第3カラーセルを含み、前記第1カラーセル、前記第2カラーセル及び前記第3カラーセルのうち少なくとも二つ以上のカラーセルは、対応する発光セルから出た光を波長変換することによって他の色の光として出力することを特徴とする。
【0024】
前記複数の集光部のそれぞれは、対応する前記発光セルから出た光を対応するカラーセルに集めるレンズ形状部を含み、前記レンズ形状部は、前記サファイア基板の底面に形成されたパターン上で成長される窒化ガリウム系エピ層の一部を含むことを特徴とする。
【0025】
前記レンズ形状部は、前記サファイア基板の底面に窒化ガリウム系エピタキシャル層が形成される前に前記パターンに予め充填された低屈折率材料をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るLEDパネルにおいては、サファイア基板の底面に、複数のカラーセルと複数の発光セルとに対応する複数の集光部を設け、各LEDチップから出た光を対応するカラーセルに効果的に集めることができる。特に、本発明は、サファイア基板において隣り合う発光セル間の光の混合や干渉を最小化できる。また、サファイア基板内において光が広がったり吸収されたりする現象を最小化し、光抽出効率を高めるのにも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施例に係るLEDパネルを示した断面図である。
【
図2】集光部の多様な例を説明するための図である。
【
図3】本発明の第2実施例に係るLEDパネルを示した断面図である。
【
図4】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図5】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図6】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図7】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図8】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図9】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図10】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図11】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図12】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【
図13】本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下においては、添付の各図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。添付の各図面及び各実施例は、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に理解できるように簡略化して例示したものであるので、各図面及び各実施例が本発明の範囲を限定すると解釈してはならない。
【0029】
図1を参照すると、本発明の第1実施例に係るLEDパネルは、マトリックス状に配列された複数の発光セル130を含むLEDチップ100と、LEDチップ100がフリップチップボンディング方式により実装されるマウント基板200とを含む。また、前記LEDパネルは、LEDチップ100に備えられた複数の電極パッド140、150と、マウント基板200に形成され、各電極パッド140、150に連結される複数の電極240、250とを含む。
【0030】
LEDチップ100は、透光性を有するサファイア基板131の底面に配列された複数の発光セル130を含み、複数の発光セル130は、マトリックス状に配列されてアレイされる。サファイア基板131と複数の発光セル130との間にはバッファー層(図示せず)が形成される。このとき、サファイア基板131としては、発光セル130から出る光がサファイア基板131の方向に出る過程において分散されて広がることを最小化するために厚さを減少させたものが用いられ、その結果、サファイア基板131は、厚さ減少のために切削された表面を上面又は底面に含むことが好ましい。すなわち、複数の発光セル130は、250μm乃至400μmの厚さを有するサファイア基板131の底面に配置され、後工程を通じて80μm乃至120μmの厚さのサファイア基板131に加工される。ここで、複数の発光セル130の厚さは、5±2μm程度である。
【0031】
サファイア基板131の下部、すなわち、サファイア基板131又は前記バッファー層の底面又はn型半導体層132の底面には、少なくとも活性層133及びp型半導体層134を順次含む発光セル130が形成される。発光セル130はn型半導体層132を含み、この場合、各発光セル130内において、活性層133はn型半導体層132とp型半導体層134との間に介在している。また、前記バッファー層は選択的な部分であり、n型半導体層132と活性層133との間、及び活性層133とp型半導体層134との間には多様な種類の層が形成される。
【0032】
複数の発光セル130は、サファイア基板131に窒化ガリウム系列のバッファー層、n型半導体層132、活性層133及びp型半導体層134を順次成長させた後、エッチングなどの方法により活性層133及びp型半導体層134を選択的に除去し、活性層133及びp型半導体層134により隠されていたn型半導体層132の複数の領域を露出させることによって形成される。これによって、各発光セル130全体の周辺を取り囲む外郭縁部領域にn型半導体層の表面を有するn型領域が形成され、隣り合う各発光セル130間の溝にもn型半導体層の表面を有するn型領域が形成される。前記n型領域は、複数の発光セル130のそれぞれを取り囲むエッチング部Eを含む。
【0033】
また、LEDチップ100は、複数の発光セル130と、n型半導体層132の表面を有するn型領域を覆うように形成された単層又は複層の絶縁性のパッシベーション層160とを含み、パッシベーション層160は、各電極パッド140、150を露出させるように形成された複数のボンディングホールを含む。前記複数のボンディングホールは、各発光セル130のそれぞれのp型の電極パッド140を露出させる複数の第1ボンディングホールと、n型の電極パッド150を露出させる第2ボンディングホールとを含む。特に、パッシベーション層160の一部は、前記ボンディングホールを除いた発光セル130の下部及び発光セル130の側部を取り囲むように反射性材料により形成される。パッシベーション層160は、複数の発光セル130から発光した光をサファイア基板131側の方向に反射させるための反射層(図示せず)を含んでもよい。このような反射層は、導電性物質を使用するか、それとも非導電性物質を使用するかによって、絶縁層−反射層−絶縁層又は反射層−絶縁層に個別的に又は混合して形成が可能である。
【0034】
以下に説明するソルダーバンプなどのボンディング材料は、前記ボンディングホールを埋め込むように形成された導電性反射材料により形成され、パッシベーション層160と共に、発光セル130の活性層133から出る光を上側に反射させて送り出す役割をする。
【0035】
マウント基板200は、LEDチップ100に備えられた複数の発光セル130に相応する複数のCMOSセル(図示せず)と、LEDチップ100の各電極パッドに対応する複数の電極240、250とを含むアクティブマトリックス基板であることが好ましい。また、マウント基板200上にはLEDチップ100の各電極パッドに対応する複数の電極240、250が形成され、各電極パッド140、150のそれぞれと各電極240、250のそれぞれは、ソルダーバンプなどの各ボンディング材料500のそれぞれによって個別的に連結される。各電極パッド140、150のうち第1の電極パッド140は、各発光セル130に対応するように形成され、各発光セル130のp型半導体層134に個別的に連結される個別電極パッドである一方、第2の電極パッド150は、複数の発光セル130を取り囲むn型半導体層132の表面のn型領域に連結され、複数の発光セル130の全てのn型半導体層と連結される共通電極パッドである。
【0036】
本発明の一実施例において、LEDチップ100は、サファイア基板131の上面にマトリックス状に配列されて形成された複数のカラーセル170を含む。複数のカラーセル170は、複数の発光セル130に対応するように設けられる。より具体的に、複数のカラーセル170のそれぞれは、複数の発光セル130のそれぞれの垂直上部領域に位置し、複数の発光セル130から出た同一の色の光、最も好ましくは、青色光を、特定色の光に変換して上側に送り出す。複数の発光セル130がいずれも青色光を発する場合、複数のカラーセル170は、青色光を赤色光に波長変換する赤色カラーセル、青色光を緑色光に変換する緑色カラーセル、及び青色光を青色光として送り出す青色カラーセルを含む。また、この場合、赤色カラーセル、緑色カラーセル及び青色カラーセルは、互いに近くに及びグループ的に配置され、ディスプレイ装置の特定ピクセルを定義する。
【0037】
また、LEDチップ100は、下側には複数の発光セル130に対応するように、そして、上側には複数のカラーセル170に対応するように、サファイア基板131の底面に形成された複数の集光部180を含む。複数の集光部180のそれぞれは、対応する発光セル130から出た光を対応するカラーセル170に集める役割をする。
【0038】
一例として、グループ化されている3つの発光セルのうち一つの発光セル130から出た青色光は、その発光セル130に対応する集光部180によって隣り合う3つのカラーセル170のうちの赤色カラーセルに集められ、その赤色カラーセルによって青色光から赤色光に波長変換されて外部に放出される。また、互いに隣り合う3つの発光セルのうちの他の発光セル130から出た青色光は、その発光セル130に対応する集光部180によって隣り合う3つのカラーセル170のうちの緑色カラーセルに集められ、その緑色カラーセルによって青色光から緑色光に波長変換されて外部に放出される。また、互いに隣り合う3つの発光セルのうちの残りの発光セル130から出た青色光は、その発光セル130に対応する集光部180によって隣り合う3つのカラーセル170のうちの青色カラーセルに集められ、青色光として外部に放出される。
【0039】
本実施例において、複数の集光部180のそれぞれは、レンズ構造によるフォーカシング又は集光方式により光を対応するカラーセル170に集めるように構成される。このために、複数の集光部180のそれぞれはレンズ形状部184を含む。レンズ形状部184は、発光セルを構成する窒化ガリウム系エピタキシャル層自体であってもよく、スネルの法則に従って、そして、レンズ形状部184の形状と協力して、光をカラーセル170にうまく集める低屈折率材料、より好ましくは、サファイアの屈折率より小さい屈折率を有する低屈折率材料により形成される。前者の場合は、サファイア基板131の複数のレンズ形状部184を含むパターンを形成した後、そのサファイア基板131の底面にエピタキシャル層を形成することによって具現される。一方、後者の場合は、サファイア基板131の複数のレンズ形状部184を含むパターンを形成した後、その複数のレンズ形状部184に低屈折率の光透過材料を充填し、その後、その上にエピタキシャル層を形成することによって具現される。レンズ形状部184は、サファイア基板131の底面に半球状ドーム型、楕円状V型、逆V型、台形又は逆台形などの溝の断面を含むパターンによって形成される。
【0040】
一方、LEDチップ100は、上述した複数のカラーセル170の側面を覆うように形成された光シールド層190をさらに含む。光シールド層190は、例えば、ブラックインク又はブラック樹脂などの光吸収性材料により形成され、隣り合う各カラーセル170間における光の混合や光の干渉を防止する役割をする。光シールド層190は、マトリックス状に配列されて形成された複数のセルホールを含む。前記各セルホールは、サファイア基板131の上面と面するように形成され、前記各セルホールのそれぞれにカラーセル170が充填される。
【0041】
さらに、LEDチップ100とマウント基板200との間には絶縁性アンダーフィル材料400が充填されて形成される。
【0042】
上述した本発明の第1実施例及び後述する本発明の第2実施例と異なる形態の集光部が考慮可能であり、
図2は、集光部の多様な例を説明するための図である。
【0043】
図2(a)は、サファイア基板131からサファイア基板131の厚さ方向に沿って漸次狭くなる収斂型反射面185を有する集光部180の例を示すもので、
図2の(b)は、集光部180が光を自体的に集めるレンズ形状部184、及びレンズ形状部184の周辺に形成された拡張型反射面182を含む例を示すもので、
図2の(c)は、集光部180が光を自体的に集めるレンズ形状部184、及びレンズ形状部184の周辺に形成された収斂型反射面185を含む例を示すものである。このとき、収斂型反射面185及び拡張型反射面182は、対応する発光セル130の周辺を取り囲むエッチング部Eの垂直上部に位置する。ここで、エッチング部Eは、上記においても簡略に言及したように、少なくとも該当の発光セルが形成されるように該当の発光セル周辺のエピタキシャル層がエッチングにより除去された部分を意味する。
【0044】
以下、
図3を参照して、本発明の第2実施例に係るLEDパネルを説明する。
【0045】
本実施例において、LEDチップ100は、下側には複数の発光セル130に対応するように、そして、上側には複数のカラーセル170に対応するように、サファイア基板131の底面に形成された複数の集光部180を含む。上述した実施例と同様に、複数の集光部180のそれぞれは、対応する発光セル130から出た光を対応するカラーセル170に集める役割をする。
【0046】
本実施例において、複数の集光部180は、サファイア基板131の底面にV型、逆V型、台形、逆台形、半球状、ドーム型楕円状などの溝の断面を含むパターンを形成した後、そのパターンに反射物質rを充填することによって形成される。複数の集光部180のそれぞれは、対応する発光セル130の垂直上部領域の周囲に沿って形成された反射面を含む。本実施例において、反射面がサファイア基板131の底面からサファイア基板131の厚さ方向に沿って漸次拡張する拡張型反射面182であるか、代案的に、サファイア基板131の底面からサファイア基板131の厚さ方向に沿って漸次収斂する収斂型反射面185であってもよい。収斂型反射面185及び拡張型反射面182は、該当の発光セル130の周辺を取り囲んでいるエッチング部Eの垂直上部に位置する。
【0047】
本発明の第2実施例に係るLEDパネルにおいて、集光部の具体的な構成を除いた残りの構成は、上述した第1実施例の構成にそのまま従い、よって、集光部以外の構成に対する説明は省略する。
【0048】
以下においては、
図4乃至
図13を参照して、本発明の第2実施例に係るLEDパネルの製造方法を説明する。
【0049】
まず、
図4、
図5及び
図6を順次参照すると、上面及び底面のうち一面を切削し、厚さが減少したサファイア基板131が準備され、サファイア基板131のv型断面の溝を有する格子状パターンpが形成され、このパターンpに反射物質rが充填され、複数の反射領域を取り囲む拡張型反射面182を含む複数の集光部180が形成される。図面においては、発光セルの形成前にサファイア基板131の厚さを減少させることを示しているが、エピタキシャル層の形成後又は発光セルの形成後にサファイア基板131を減少させる工程を行えることに留意する。
【0050】
次に、
図7及び
図8を参照すると、複数の集光部180を覆うようにサファイア基板131の底面にn型半導体層132、活性層133及びp型半導体層134を含むエピタキシャル層が形成された後、エピタキシャル層をエッチングすることによって、n型半導体層132の表面を含むn型領域上に少なくとも活性層133及びp型半導体層134を含む複数の発光セル130が形成される。このとき、複数の発光セル130のそれぞれは複数の集光部180に対応するように形成される。上述したように、複数の集光部180のそれぞれは、対応する発光セル130の垂直上部領域の周囲に沿って形成された拡張型反射面182を含む。
【0051】
次に、
図9及び
図10を参照すると、複数の発光セル130のそれぞれのp型半導体層134に個別電極パッドである第1の電極パッド140が形成され、複数の発光セル130を取り囲む縁部のn型領域のn型半導体層132上に共通電極パッドである第2の電極パッド150が形成される。次に、反射性材料により形成されることが好ましいパッシベーション層160が、複数の発光セル130の各側面及び底面の一部を覆うように形成される。
【0052】
次に、
図11及び
図12を参照すると、サファイア基板131の上面に複数のセルホール192を含む格子状の光シールド層190をブラックインク又はブラック樹脂により形成した後、複数のセルホール192に波長変換型光透過材料及び/又は波長非変換型光透過材料を充填することによって複数のカラーセル170を形成する。複数のカラーセル170は、複数の発光セル130に対応するように形成される。複数のカラーセル170のそれぞれの位置は、対応する発光セル130の垂直上部領域と定められる。
【0053】
次に、
図13を参照すると、LEDチップ100の第1の電極パッド140及び第2の電極パッド150のそれぞれがマウント基板200の第1の電極240及び第2の電極250と連結されるように、ソルダーバンプなどのボンディング材料500を用いてLEDチップ100をマウント基板200にフリップチップボンディングにより実装する。
【0054】
以上説明した第2実施例に係るLEDパネルの製造方法及び説明していない第1実施例に係るLEDパネルの製造方法は、集光部を反射面により形成するのか、それともレンズ構造により形成するのかにおいてのみ差があるので、重複を避けるために別途の説明は省略する。
【0055】
以上詳細に説明したLEDパネルは、マトリックス状に配列された複数の発光セル130を含んだ状態によりLEDディスプレイ装置に適用される。代案的に、一つ以上の発光セル130を含む単位に上述したLEDパネルが切断又は単一化され、個別LED素子又は個別LEDパッケージとしても利用可能であることに留意する。
【符号の説明】
【0056】
100 LEDチップ
130 発光セル
131 サファイア基板
132 n型半導体層
133 活性層
134 p型半導体層
140、150 電極パッド
160 パッシベーション層
170 カラーセル
180 集光部
182 拡張型反射面
184 レンズ形状部
185 収斂型反射面
190 光シールド層
192 セルホール
200 マウント基板
240、250 電極
400 絶縁性アンダーフィル材料
500 ボンディング材料