特許第6664377号(P6664377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6664377
(24)【登録日】2020年2月20日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】装飾用ガラスパネル
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/36 20060101AFI20200302BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20200302BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20200302BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20200302BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20200302BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   C03C17/36
   C23C14/06 N
   C03C27/12 K
   B32B7/023
   B32B15/04 Z
   B32B17/06
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-504045(P2017-504045)
(86)(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公表番号】特表2017-526604(P2017-526604A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】EP2015066140
(87)【国際公開番号】WO2016012325
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年7月2日
(31)【優先権主張番号】14178596.4
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】デュモン, ジャック
(72)【発明者】
【氏名】デポー, ジャン−ミシェル
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−538774(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0177899(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/104438(WO,A1)
【文献】 特開平09−183634(JP,A)
【文献】 特表2007−512218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00− 43/00
C03C 15/00− 23/00
C23C 14/00− 14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光吸収機能層および透明誘電体被覆を含み、前記光吸収機能層が誘電体被覆の間に挟まれる多層スタックを有するガラス質材料でできた基材を含む不透明の装飾用ガラスパネルであって、前記光吸収機能層が、2888nmの間で構成される幾何学的厚さ、少なくとも1.8の減衰係数k、および少なくとも91の前記減衰係数kとナノメートルの単位での前記層厚さとの積を有することと、前記多層スタックが、さらに、1〜50nmの間で構成される厚さを有し、1を超える屈折率nおよび少なくとも0.5の減衰係数kを有する少なくとも1つの減衰層を含むことと、光学的厚さが30〜160nmの間で構成され屈折率nが1.5を超える透明誘電体被覆が、空気と接触しない場合に、前記光吸収機能層とは反対側で前記減衰層に隣接して配置されることと、前記減衰係数kが350〜750nmに及ぶ波長の可視範囲における値であることを特徴とする装飾用ガラスパネル。
【請求項2】
前記光吸収機能層が金属特性の層であることを特徴とする請求項1に記載の装飾用パネル。
【請求項3】
前記減衰層が金属特性の層であることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【請求項4】
前記減衰層が、透明誘電体被覆によって前記光吸収機能層から分離されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【請求項5】
前記減衰層の幾何学的厚さが30nm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【請求項6】
前記減衰層の前記減衰係数kと、前記屈折率nと、nmの単位で表される幾何学的厚さとの積が、35を超えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【請求項7】
前記光吸収機能層とは反対側で前記減衰層に隣接して配置される前記誘電体被覆の前記光学的厚さが50〜140nmの間で構成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【請求項8】
前記光吸収機能層の前記幾何学的厚さが25〜70nmの間で構成され、前記減衰層の幾何学的厚さが1〜15nmの間で構成され、前記光吸収機能層とは反対側で前記減衰層に隣接して配置される前記誘電体被覆の前記光学的厚さが40〜160nmの間で構成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【請求項9】
前記光吸収機能層および/または前記減衰層がNi、Cr、Zr、またはNiCrを主成分とする合金から形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【請求項10】
前記光吸収機能層および/または前記減衰層が、NiCr、NiCrW、NbZr、およびCrZrの群からの合金を主成分とすることを特徴とする請求項に記載の装飾用パネル。
【請求項11】
少なくとも、全体的にスタックに関して外側である前記透明誘電体被覆が、窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素を主成分とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【請求項12】
1〜50nmの間で構成される厚さを有し、1を超える屈折率および少なくとも0.5の減衰係数kを有する第2の減衰層と、光学的厚さが30〜160nmの間で構成され、空気と接触しない場合は屈折率nが1.5を超える追加の透明誘電体被覆とが、第1の減衰層に対して前記光吸収機能層の反対側に加えられ、それによってこの追加の透明誘電体被覆が、前記光吸収機能層に関して前記第2の減衰層の反対側に存在することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装飾用パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明の分野は、不透明であり、または光透過率が非常に低く、装飾用被覆を有するガラス質材料でできた基材を含む装飾用ガラスパネルの分野である。
【背景技術】
【0002】
これらの装飾用パネルは、種々の用途を有する。これらはたとえば、均一な「オールガラス」の外観を有するカーテンウォールの2つの階のビジョンガラス(vision−glazing)領域の間の壁部分を隠すために、建物のカーテンウォール中のスパンドレル(外装)として使用される。これらは室内の家具および建物内部の装飾にも使用される。これらは表示用、または家庭用品中にも使用することができる。これらは自動車用途で、一般にストリップの形態で、たとえば加熱されたフロントガラスまたは加熱されたリアガラスなどの加熱されたグレージングユニット中の接着接合部および/または集電装置および電気的接続部を美的な理由で隠すため、または太陽光制御ルーフグレージングユニット中の電気的接続部および/または接着接合部を隠すためにも使用される。
【0003】
この種類の装飾用パネルは、一般に、オーブンで焼き付けられた装飾用ほうろう被覆を有するガラス質材料でできた板から形成される。完成品上のほうろう層は、比較的粗い表面を有し、その厚さは比較的大きくなり得る。これは、ある種の用途、特に薄層、たとえば薄い伝導性層、および場合により薄い伝導加熱層をほうろうの上に堆積する必要がある場合、特に薄い伝導性層がほうろう被覆を超えて存在する必要がある場合に欠点となる。
【0004】
さらに、これらのほうろう層は、工場の後堆積で、場合により配置された薄層のスタックを有するガラス質材料の板の上に焼き付けを行う必要がある。この焼き付けは、ほうろうの乾燥および安定化の第1のステップと、パネルを発送する前に工場で行われる場合には、高温熱処理が行われる硬化の第2のステップとの2つのステップで行うことができる。被覆されたガラス質材料の板は、多くの場合、高温で機械的に強化する熱処理が行われる。これによって、被覆された基材の後の切断に関して問題が生じる場合がある。特に、それによって大きい被覆されたストック基材から所望の断片を切断することが困難、またはさらには不可能となる。さらに、断片が破壊されると、新しい断片を工場で製造する必要があり、大きな板のストックから切断することができない。
【0005】
さらに、ほうろうの形成には、ほうろう引きの精密な追加の作業と、引き続くほうろうの焼き付けが必要であり、これによって、パネルの老化に関して特に不都合となる細孔が形成されることがある。
【0006】
ほうろうの存在によって、種々の目的のグレージング基材上に堆積される単層または多層のスタックなどのパネルの別の構成要素との適合性および/または化学反応の問題が生じることもある。ほうろうは装飾用パネルの色相にも影響を与え、所望の色相を得ることがより困難になる。
【0007】
従来技術の解決策
ほうろうの存在を回避するための解決策が見出されている。特許出願の国際公開第2012/013787 A2号パンフレットには、グレージング基材上に陰極スパッタリングによって形成された層のスタックが設けられたスパンドレルが記載されている。この文献には、ほうろう層を全く使用せずに建物のビジョンガラス領域と視覚的に適合するほぼ不透明のスパンドレルが開示されている。
【0008】
しかし、別の美的効果が得られる装飾用パネルに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的
本発明の目的の1つは、新規で快適な美的外観を有する装飾用パネルを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、工業的な製造が容易であり、ほうろう引きステップを必要としない装飾用パネルを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、光学的性質を大きく変化させることなく熱処理を行うことができる耐性のある装飾用パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の概要
本発明は、少なくとも1つの光吸収機能層および透明誘電体被覆を含み、光吸収機能層が誘電体被覆の間に挟まれる多層スタックを有するガラス質材料でできた基材を含むほぼ不透明の装飾用ガラスパネルであって、光吸収機能層が、15〜140nmの間で構成される幾何学的厚さ、少なくとも1.8の減衰係数k、および少なくとも91の減衰係数kとナノメートルの単位での厚さとの積を有することと、多層スタックが、さらに、1〜50nmの間で構成される厚さを有し、1を超える屈折率nおよび少なくとも0.5の減衰係数kを有する少なくとも1つの減衰層を含むことと、光学的厚さが30〜160nmの間で構成され屈折率nが1.5を超える透明誘電体被覆が、空気と接触しない場合に、光吸収機能層とは反対側で減衰層に隣接して配置されることとを特徴とする装飾用ガラスパネルに関する。
【0013】
この比較的限定された厚さ範囲の選択を有するこの特徴の組合せによって、それぞれの厚さを適切に選択することで、特に魅力的で驚くべき新規な美的外観を容易に得ることが可能なことが分かった。特に、これによって、減衰層側から観測した場合に、たとえば5%までの低い値に到達しうる非常に低い光反射率を有し、黒い色相をさらに有するパネルを容易に得ることが可能である。これによって魅力的な装飾効果が得られる。
【0014】
これは完全に予想外のことであるが、その理由は、従来技術のパネル、特に前述の特許出願の国際公開第2012/013787 A2号パンフレットに開示されるパネルは、すべてが約15〜25%の非常に高い外部光反射率を有するからである。特に、パネルの不透明性を確実にする金属層、特に比較的厚い金属層は、光を強く鏡面的に反射する「ミラー」効果が得られる傾向にある。本発明は、この従来の状況とは完全に反対であり、反対の効果、すなわち黒色吸収体の効果が得られ、これによって新規で特に快適な美的効果が得られる。
【0015】
本明細書の説明では、他に明記されるのでなければ、光透過率Tおよび光反射率Rは、光源D65、2°を用いて測定される。CIE色座標L、a、およびbは、光源D65、10°を用いて測定される。測定値が得られる角度は8°である。
【0016】
「ほぼ不透明のパネル」または「非常に低い光透過率を有するパネル」は、本明細書の説明では、パネルを透過する光透過率が最大4%、好ましくは最大2%、有利には最大1%、さらに好ましくは最大0.3%であることを意味する。不透明度は、多層スタックによって求められ、すなわち上記値は、多層スタックで被覆された厚さ4mmの通常の透明ソーダ石灰ガラス板から形成された基材を用いて求められる。
【0017】
「透明誘電体被覆」は、最大0.2の減衰係数kを有する誘電体被覆を意味する。
【0018】
「減衰層」は、本発明の状況では、可視スペクトルの一部を吸収し、全可視波長領域(380〜780nm)でスペクトル減衰係数k(λ)がゼロより大きい材料に本質的にある層を意味する。350nm〜750nmに及ぶ波長の可視範囲におけるこの材料の平均減衰係数kは、少なくとも0.5であり、好ましくは1.0を超え、有利には2を超え、好ましくは3を超える。代表的な好ましい値の範囲は2〜4の間、有利には3〜4の間で構成される。たとえば0.5〜0.7の小さい減衰係数kを有する減衰層が適切となりうるが、減衰係数がこのように小さい場合は、屈折率が2.6を超え、材料の低い固有吸収を補償するために、減衰係数がより大きい場合よりも層の厚さも大きくなることが好ましい。実際、以下に示されるように、これらの3つのパラメータの製品が十分となるはずである。
【0019】
他に示されていなければ、本明細書の説明に示される減衰係数kおよび屈折率nの値は、350nm〜750nmの範囲の波長λの全可視スペクトルにわたって3nmの規則的な間隔で求めた値から計算される算術平均である。
【0020】
好ましくは、減衰層は、以下の関係(値k、n、およびeの積)を満たすような材料から形成され、以下の関係を満たすような厚さを有し:
k×n×e>35、有利には>40,および好ましくは>60、
式中、kは前述の定義のような平均減衰係数であり、nは前述の定義のような平均屈折率であり、eはnmの単位で表される層の幾何学的厚さである。
【0021】
光吸収機能層は、減衰係数kの値に関する条件に適合するのであれば、たとえばTiN、CrN、もしくは別の吸収性窒化物等の窒化物、または炭素もしくは炭素含有材料であってよい。好ましくは、光吸収機能層は金属特性の層である。
【0022】
「金属特性」は、金属を定義するものと一般に容認される性質を有する材料から形成された層を意味する。この金属層は、その基本的な金属特性を失わないのであれば、わずかに窒化、酸化、または炭素化されていてもよい。
【0023】
スタックの各構成層(機能層、減衰層、および誘電体層)は、製品の物理化学的性質(耐久性、高温熱処理に対する抵抗性、強化プロセス後の光学的安定性、製造、生産の容易さなど)が改善可能となる一連の層で構成することができる。
【0024】
光吸収機能層および減衰層は、低圧陰極スパッタリング、好ましくは低圧マグネトロン陰極スパッタリングによって堆積される。いずれか一方または両方は、たとえば耐薬品性または耐熱性を改善するために、場合により異なる材料の複数の層から形成されてよい。次に、考慮される減衰係数および屈折率は、材料の加重平均となる。たとえば、単なる例として、構造Cr/Ti/Crを使用することが可能であり、ここで特にCrはTiを酸化から保護する。減衰層または機能層と誘電体被覆との間の界面において、および場合により各界面において、界面におけるより良好な適合性を保証するため、および/または必要な場合に金属層を保護するため、および/または望ましくない不純物(Na、O、HO、N、Cなど)の拡散に対する障壁を形成するために、薄い障壁層を挿入することも可能である。たとえば、金属とSiとの間の界面に、Cr、Nb、Hf、Ta、またはNiCrOxの5〜10nmの薄層を挿入することができる。
【0025】
好ましくは、光吸収機能層の減衰係数kとnmの単位での厚さとの積(k×e)は、少なくとも110、有利には200、好ましくは少なくとも220である。このようにして、良好な不透明度のパネルがより容易に得られる。
【0026】
好ましくは、光吸収機能層の減衰係数kは少なくとも2.5である。これによって、制限された層厚さで効果的な不透明化がより容易になる。
【0027】
光吸収機能層は、たとえばチタン、クロム、ジルコニウム、モリブデン、銀、アルミニウム、ニッケル、銅、ニオブ、タンタル、パラジウム、イットリウム、タングステン、ハフニウム、バナジウム、またはそれらの合金、ならびにCoCr、NiCr、ZrCr、NiCrW、NbCr、またはステンレス鋼から形成することができる。前述したように、これらの層は、それらの金属特性を損なわないのであれば、わずかに窒化、酸化、または加炭などをすることができる。
【0028】
減衰層は、たとえばチタン、ニオブ、クロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、パラジウム、イットリウム、タングステン、ハフニウム、バナジウム、もしくはそれらの合金から、または光吸収性窒化物もしくは酸窒化物、たとえばTiN、TaN、CrN、もしくはZrN、または光吸収性酸化物、たとえばステンレス鋼酸化物もしくは酸化鉄、から形成することができる。好ましくは、減衰層は金属特性の層である。この特徴によって、厚さの小さい減衰層を用いて、可視スペクトルの全体にわたって、光吸収機能層によって反射された光の有効な減衰を得ることが可能となる。
【0029】
光吸収機能層の主要な機能は、パネルを不透明化するために比較的薄い厚さが可能となることである、それによって低コストで工業的製造が可能となる。
【0030】
好ましくは、光吸収機能層の幾何学的厚さは、最大88nm、好ましくは最大80nmである。
【0031】
好ましくは、光吸収機能層は、25〜88nmの間で構成され、有利には25〜80nmの間で構成され、優先的には25〜75nmの間で構成される幾何学的厚さを有する。
【0032】
好ましくは、光吸収機能層の幾何学的厚さは、28nm以上、有利には31nm以上、好ましくは35nm以上である。光吸収機能層の28〜70nmの間の範囲の厚さによって、非常に低い光透過率を有し、すなわち不透明またはほぼ不透明のパネルを得やすくなり、同時にその製造コストが制限される。好ましくは、光吸収機能層の幾何学的厚さは31〜70nmの間で構成され、有利には35〜60nmの間で構成される。
【0033】
好ましくは、減衰層の幾何学的厚さは、40nm以下、有利には30nm以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは16nm以下である。2〜12nmの間、有利には3〜10nmの間で構成される厚さを有する減衰層は、比較的薄い全スタック厚さで、基材側の低光反射率の実現を促進するための特に非常に適切な方法である。
【0034】
好ましくは、多層スタックの全体の厚さは、最大400nm、有利には最大300nm、好ましくは最大250nmである。
【0035】
本発明によると、減衰層は、少なくとも1つ透明の誘電体被覆によって光吸収機能層から分離される。
【0036】
光吸収機能層とは反対側で減衰層に隣接して配置される透明誘電体被覆が、ガラス質材料でできた基材上に直接堆積される場合、すなわちスタックが、たとえば位置2にあることが意図され、したがってパネルが基材側から見られる場合、この被覆の屈折率は1.5を超える必要がある。この誘電体被覆が、たとえば積層グレージングユニット中のようにPVBと接触することが意図される場合も同じことが言える。対照的に、この誘電体被覆が大気と接触することが意図される場合、たとえばスタックが位置1に配置され、したがってパネルがスタック側から見られる場合、この誘電体被覆は1.5またはそれをわずかに下回る屈折率を有することができる。好ましくは、光吸収機能層とは反対側で減衰層に隣接して配置される透明誘電体被覆は、1.9を超え、有利には2以上の屈折率nを有する。これらの実施形態は、たとえば以下の表Aに示されるようなものであってよい。
【0037】
好ましくは、光吸収機能層とは反対側で減衰層に隣接して配置される透明の誘電体被覆の光学的厚さは、50〜140nmの間、有利には60〜130nmの間、好ましくは70〜120nmの間で構成される。これらの厚さ範囲によって、特に、2〜12nmの間、有利には3〜10nmの厚さの減衰層と組み合わせた場合に、減衰層側から観測して非常に低い光反射率が得やすくなる。特に、6%以下、さらには5%以下の光反射率を容易に得ることができる。たとえば基材側で検査して低反射率である場合に関して、通常の透明ガラス板から形成される基材の光反射率が約4%である場合、これは、好ましくは「ミラー」効果が得られやすい薄い金属層によって不透明性が得られるにもかかわらず、光反射率が多層スタックによってほとんど増加しないことを意味する。光学的厚さは、対象の材料の幾何学的厚さに屈折率nを掛けることで求められることを思い出されたい。
【0038】
好ましくは、減衰層は、45nm以下、好ましくは20nm以下だけ異なる同様の光学的厚さを有する2つの透明誘電体被覆で挟まれ、それらと接触する。これによって、低反射率が得やすくなる。
【0039】
好ましくは、光吸収機能層の幾何学的厚さは25〜80nmの間、有利には35〜80nm、好ましくは25〜70nmの間で構成され、減衰層の幾何学的厚さは1〜15nmの間で構成され、光吸収機能層とは反対側で減衰層に隣接して配置される誘電体被覆の光学的厚さは、40〜160nmの間で構成される。この特徴の組合せによって、中性色相を有する非常に低い基材側の光反射率を得るために好都合となる。
【0040】
好ましくは、光吸収機能層および/または上記減衰層は、Ni、Cr、NiCr、またはZrを主成分とする合金から形成される。有利には、これら2つの層が上記合金を主成分とする。これらの金属を主成分とする合金から、大きく構造を変化させることなく高温熱処理に耐えることが可能な光吸収機能層および/または減衰層が形成される。
【0041】
好ましくは、光吸収機能層および/または上記減衰層は、NiCr、NiCrW、NbZr、およびCrZrの群からの合金を主成分とし、および有利には、両方の上記層がこの群からの合金を主成分とする。したがって、誘電体被覆を適切に選択することによって、光学的性質を大きく変化させることなく高温熱処理に耐えることが可能なパネルを容易に得ることが可能となる。これらの合金は、快適な美的効果を得るためにも好都合である。好ましくは、光吸収性金属層はNiCrWからできており、このNiCrW合金は40〜60重量%のNiCr(ニッケル/クロムの比率はそれぞれ80/20である)および60〜40重量%のタングステンを含有する。
【0042】
一般に、それぞれの誘電体被覆は、一部の例として挙げられるTiO、Si、SiO、Al(O)N、Al、SnO、ZnAlO、ZnSnO、ITO、混合TiおよびZr、またはNb酸化物などの当技術分野において従来使用される透明誘電体層を含むことができる。当然ながら、それぞれの誘電体被覆は、異なる材料の複数の誘電体層をさらに含むことができ、それらの層の一部は、機械的および/または化学的保護などの特殊な特定の機能の付与、または堆積速度の増加、または結晶成長の紡糸を意図することができる。ガラスに由来するアルカリ金属イオンの移動への対処が意図された誘電体層、たとえばSiO層または混合チタンジルコニウム酸化物から形成される最終保護層を特に挙げることができる。誘電体被覆の光学的厚さは、その構成誘電体層のそれぞれの光学的厚さの合計となる。
【0043】
その屈折率が1.5であるため、ちょうど1つの減衰層の下のガラス質材料でできた基材上にただ1つの透明誘電体皮膜が堆積される場合、上記被覆、または光吸収機能層の反対側で減衰層に隣接して配置される被覆がSiOでできていることは推奨されない(後者の被覆の空気との接触が意図される場合を除く);しかし、透明誘電体被覆が別の場所に配置される場合は、SiOが適切となることがある。
【0044】
スタックの最後に存在し、したがって基材から最も離れている外部誘電体被覆は、本質的には、多層スタックの種々の外部の物理的および/または化学的攻撃からの保護、および特に必要な場合の高温熱処理中のスタックの保護が意図された被覆である。しかし、減衰層がスタックの最後の外部誘電体被覆の隣に位置する場合、上記外部誘電体被覆は、減衰層とともに、低光反射率を得るための干渉機能も有する。
【0045】
誘電体層は、一般に低圧マグネトロン陰極スパッタリングによって堆積されるが、周知のPECVD(プラズマ化学気相成長)技術によって堆積することができる。それぞれの誘電体被覆は、異なる組成の複数の誘電体層から形成することができる。
【0046】
好ましくは、少なくとも、全体的にスタックに関して外側である透明誘電体被覆、すなわち基材上に堆積される第1の透明誘電体被覆およびスタックの最後の透明誘電体被覆、好ましくはスタックのすべての透明誘電体被覆は、窒化ケイ素または窒化アルミニウムを主成分とし、有利には主として窒化ケイ素でできており、すなわち90%を超え、実際には95%、さらには98%が窒化ケイ素でできている。しかし、このことは、以下に議論するように、たとえば、基材上のアルカリ金属イオンに対する障壁として機能する薄層、またはたとえば混合TiおよびZr酸化物でできた薄い最終保護層の存在の可能性を排除するものではない。窒化ケイ素は、反応性窒素およびアルゴン雰囲気中、マグネトロン陰極スパッタリングによって、アルミニウムまたはホウ素が場合によりドープされたシリコンターゲットから従来方法で得ることができる。シリコンターゲットは、陰極スパッタリングを行うために必要な導電性を得るためにドープされ、たとえば最大10重量%、たとえば2重量%〜4重量%の間のアルミニウムまたはホウ素がドープされる。完成スタック中の窒化ケイ素層は、それらの厚さの一部にわたってわずかに酸化させることができる。これらの窒化ケイ素層は、ケイ素が理論化学量論よりも多くてよい。窒化ケイ素および窒化アルミニウムは、金属層をあらゆる外部の攻撃から効果的に保護し、特に高温熱処理中、たとえば約600〜670℃で6〜10分間続く処理中に金属層を保護し、このような処理は、グレージング基材を機械的に強化するために使用される熱強化プロセスなどのプロセスに必要である。
【0047】
光吸収機能層および減衰層は異なる材料でできていてよい。好ましくは、上記層の両方が同一の組成である。
【0048】
好ましくは、1〜50nmの間で構成される厚さを有し、1を超える屈折率n、および少なくとも0.5の減衰係数kを有する第2の減衰層(有利には金属特性を有する)と、光学的厚さが30〜160nmの間で構成され、空気と接触しない場合は屈折率nが1.5を超える追加の透明誘電体被覆とが、第1の減衰層に対して光吸収機能層の反対側に加えられ、それによってこの追加の透明誘電体被覆は、光吸収機能層に関して第2の減衰層の反対側に存在する。この配列によって、パネルを両側から観察する場合、すなわち基材側または多層スタック側のいずれから観察しても、快適な美的外観を得ることができる。材料および厚さ範囲に関して、この第2の減衰層を例外とすることなく、第1の減衰層に対する優先も適用される。この実施形態は、たとえば表Bに示されるようなものであってよい。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
本発明は、少なくとも1つの光吸収機能層および1つの減衰層を含み、これらの層に透明誘電体被覆が隣接する多層スタックを有するガラス質材料でできた基材を含むガラスパネルであって、2%以下、好ましくは1%以下の光透過率と、減衰層側から観測して6.5%以下、好ましくは6%以下、有利には5.5%以下の光反射率と、同じ側から観測される反射における中性色相とを有することを特徴とするガラスパネルをも含む。
【0052】
本発明によるガラスパネルは、非常に快適で新規な美的外観を有する。
【0053】
好ましくは、減衰層側の光反射は5%以下、有利には4.5%以下である。
【0054】
光吸収機能層および減衰層は、低圧陰極スパッタリング、好ましくは低圧マグネトロン陰極スパッタリングによって堆積される。誘電体層は、一般に低圧マグネトロン陰極スパッタリングによって堆積されるが、周知のPECVD(プラズマ化学気相成長)技術によって堆積することもできる。それぞれの誘電体被覆は、異なる組成の複数の誘電体層から形成することができる。
【0055】
好ましくは、光吸収機能層および減衰層は、Ni、Cr、Zr、またはWを主成分とする合金から形成され、有利にはNiCr、NiCrW、およびCrZrの群からの合金を主成分とする。
【0056】
好ましくは、誘電体被覆は、窒化ケイ素または窒化アルミニウムを主成分とし、有利には実質的に窒化ケイ素でできており、すなわち90%を超え、または実際には95%、さらには98%が窒化ケイ素でできている。
【0057】
好ましくは、減衰層側の反射で観測されるaおよびb色座標は、どちらも絶対値が4未満、好ましくは3以下、有利には1未満、さらには0.5未満である。この特徴によって、反射における中性の外観が保証され、非常に低い反射率と組み合わせると、特に美しい黒色の外観が得られる。
【0058】
好ましくは、パネルの少なくとも一方の側から観測される光反射率は5.2%以下、有利には5%以下である。したがってこのパネルは、少なくとも一方の側で快適な美的外観も有する。好ましくは、パネルの両側から観測される光反射率が5.2%以下、有利には5%以下である。
【0059】
本発明は、接着性熱可塑性プラスチックによって別のガラス板が取り付けられた前述のような多層スタックを有するガラス板を含む積層パネルをも含む。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の好ましい実施形態の説明
これより、単なる例示として以下の代表的な実施形態を用いて本発明を説明する。
【0061】
比較例C1〜C4:
以下の表I中、本発明によらない最初の4つの例は、ただ1つの金属層と、2つの透明誘電体被覆、またはちょうど1つの透明誘電体被覆(たとえばC3の場合)のいずれかとを含んだ。対応する光学的性質を表Iに示している。%の単位の光透過率(T)および%の単位の光反射率(R)は、CIE標準光源D65、2°を用いて測定した。CIEのL、a、b色座標は、光源D65、10°を用いて測定した。光反射率RLGおよびLRG、aRG、bRG色座標は、基材側からの反射で観測した。
【0062】
表に示される多層スタックは、マグネトロン中の低圧マグネトロン陰極スパッタリングによって、厚さ4mmの通常の透明ソーダ石灰ガラス板上に堆積した。光吸収性NiCrW金属層は、50重量%のNiCr(ニッケル/クロムの比率がそれぞれ80/20である)および50重量%のタングステンで構成されるNiCrW合金の金属ターゲットを用いて中性アルゴン雰囲気中で堆積した。Si窒化物誘電体層は、4%のアルミニウムをドープした金属シリコンターゲットを用いて、反応性アルゴンおよび窒素雰囲気中で堆積した。Siの名称は、その材料が完全に化学量論的であることを意味するものではなく、窒素がわずかに化学量論を下回っていたり、わずかに酸化されていたりしてよい。他の窒化物についても同様である。酸化物(SiO、TiO)についても同様であり、これらも場合により酸素がわずかに化学量論を下回っていたり、わずかに窒化されていたりしてよい。
【0063】
表中、ガラス基材上に堆積された順序で左から右に層が示されている。記載の厚さは、nmの単位での幾何学的厚さである。
【0064】
【表3】
【0065】
例C1およびC2は、意図する用途には高すぎる光透過率を有し、したがって不適当であった。例C1は、当然ながら、低光反射率で中性色相を得ることができる。しかし、光透過率が高すぎることを除いても、耐久性製品を得るためには第2の誘電体被覆も薄すぎた。得られる機械的および化学的保護は不十分であった。
【0066】
例C3およびC4は、意図する用途に適した非常に低い光透過率を有したが、光反射率が高すぎ、したがって不適当であった。
【0067】
本発明による実施例1〜24および比較例C5〜C8:
以下の表II中、本発明による実施例は、表Iの比較例と同じ方式に合わせられる。2つの比較例C5〜C8が示されている。層は、同じ条件下で、同じ技術、すなわちマグネトロン中の低圧マグネトロン陰極スパッタリングを用いて堆積した。NiCrW層の組成は、比較例と同じであった。Al、Cu、Cr、およびTiの金属層も、中性アルゴン雰囲気中、対応する材料でできた金属ターゲットを用いて堆積した。TiN、CrN、TaN、およびZrNの窒化物層は、対応する材料の金属ターゲットを用いて、反応性アルゴンおよび窒素雰囲気中で堆積した。TiO酸化物層は、セラミックTiOxターゲットを用いて反応性アルゴンおよび酸素雰囲気中で堆積した。SiO層は、4%のアルミニウムをドープしたシリコンターゲットを用いて酸化性反応性アルゴンおよび酸素雰囲気中で堆積した。SiON層は、わずかに酸素を含有する反応性アルゴンおよび窒素雰囲気中で堆積した。AZO層は、セラミックのアルミニウムドープ亜鉛酸化物ターゲットを用いて中性雰囲気中で堆積した。これらの多層スタックも厚さ4mmの通常の透明ソーダ石灰ガラス板上に堆積した。
【0068】
350nm〜750nmに及ぶ可視スペクトル全体にわたって前述のように計算した平均の減衰係数kおよび屈折率nを以下の表IIIに示す。
【0069】
%の単位の光透過率(T)および%の単位の光反射率(R)は、CIE標準光源D65、2°を用いて測定した。CIEのL、a、およびb色座標は、光源D65、10°を用いて測定した。光反射率RLGおよびLRG、aRG、bRG色座標は、基材側からの反射で観測した。光反射率RLCおよびLRC、aRC、bRC色座標は、多層スタック側からの反射で観測した。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
実施例17を除けば、減衰層は常に表の第3列中にあり、光吸収機能層は常に表の第5列中にある。実施例17では、これら2つの層が入れ替わっており:減衰層は第5列中にあり、光吸収機能層は第3列中にある。
【0074】
本発明による実施例では、まさに非常に低い光透過率が得られ、パネルはほぼ不透明であり、基材側から観測される光反射率も非常に低かったことに留意されたい。特に、ガラス板の外面からの光の反射率が約4%であったことを考慮すると、これは、多層スタックの光反射率が最大2%、実際にはほとんどの実施例で1%未満であることを意味する。さらに、基材側の反射における色相は比較的中性であり、非常に美しい吸収性の黒色の外観がパネルに付与される。
【0075】
実施例1の変形形態で、表の第5列の光吸収機能層の厚さを、50nmの代わりに40nmおよび65nmに変更すると、それによって、それぞれ1%および0.2%の光透過率(T)が得られ、他のすべての性質は同じままであった。
【0076】
比較例C5およびC7では、それぞれアルミニウムおよび銅でできている減衰層は、屈折率が1未満(すなわち0.9)であった。基材側の光反射率が10%を超え、これは不十分であることが分かる。さらに、色相は中性ではなく、許容できない赤色の外観を有した。
【0077】
比較例C6では、屈折率が1.5を超える誘電体被覆が基材と減衰層との間に存在しなかった。基材側の光反射率が高く、aの値も大きいことが分かる。これは、得られる美的外観が不適当となるため不十分であった。
【0078】
比較例C8では、減衰層を、減衰係数kがわずか0.2であり、したがって0.5未満であるAZOから作製した。光吸収機能層と減衰層との間の誘電体中間層の厚さが増加したにもかかわらず、基材側の光反射率は6.5%を超えた。したがって、低光反射率は得られなかった。実際、AZOは、非常に低い吸収性を有するにもかかわらず、透明性が高すぎて、減衰層に適切な材料とはならず、むしろ、それ自体を他の透明誘電体層のように使用できる透明誘電体層を形成する。
【0079】
対照的に、0.5を超えるが、比較的小さい(1.1)減衰係数kを有するZrNによって減衰層を用いると、わずか5.3の基材側の光反射率が得られたことが分かる。
【0080】
これらの例で使用したものなどの種々の材料の減衰係数および屈折率を以下の表に示している。
【0081】
【表7】
【0082】
実施例17では、光吸収機能層および減衰層の基材に対するそれぞれの位置を反対にした。この実施例から分かるように、スタック側の光反射率は非常に低く、黒色の外観の中性色相を有した。実施例17によるこのパネルは、実施例1〜16のような基材側ではなく、スタック側から見ることを意図した。このスタックは、たとえば、P1(観察者から開始して位置1)、または積層パネル中もしくは中央空間を有する二重パネル中に配置される場合はP3に配置されることが意図される。
【0083】
本発明による実施例25:
実施例25は、両側から観察可能となること、したがって基材側または多層スタック側のいずれからも観察可能となることが意図された装飾用パネルに関するものであった。この場合、第1の減衰層に対して光吸収機能層の反対側に第2の減衰層が配置される。スタックの構造を表IVに示す。
【0084】
【表8】
【0085】
光吸収機能層は第5列中であり、減衰層は第3および第7列中である。
【0086】
得られた光学的性質を表Vに示す。
【0087】
【表9】
【0088】
本発明による実施例25では、スタック側および基材側の両方で非常に低い光反射率および中性色相が得られたことが分かる。
【0089】
言うまでもなく、本発明は、本明細書の説明に言及される実施例に限定されるものではない。
【0090】
本発明による実施例26および27:
表VIに示されるように、実施例26では、誘電体被覆はSnOとNiCrの減衰層とから作製し、実施例27では、誘電体被覆はZnSnOとNiCrの減衰層とから作製した。
【0091】
【表10】
【0092】
以下の表VIIから分かるように、本発明による実施例26および27によって、まさに非常に低い光透過率も得られ、パネルはほぼ不透明であり、基材側から観測した光反射率も非常に低かった。特に、ガラス板の外面からの光の反射率が約4%であることを考慮すると、これは、多層スタックの光反射率が1%未満であったことを意味する。さらに、基材側の反射での色相は比較的中性であり、非常に美しく吸収性の黒色の外観がパネルに付与された。
【0093】
【表11】