(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記作業用衣服は、医療業従事者用、看護業従事者用、介護業従事者用、エステ業従事者用、清掃業従事者用、飲食業従事者用、小売業従事者用、理容師業従事者用、又は美容師業従事者用である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の作業用衣服。
【発明を実施するための形態】
【0009】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]丈方向及び水平方向を有し、本体部を備える作業用衣服であって、前記本体部の外側の表面に開口部を有し、イヤホン及びマイクロフォンの少なくとも一方のコードとアンテナとを有する携帯用通信機器を収納するためのポケットと、前記本体部に位置し、前記コードを前記作業用衣服の外側から内側に挿通するための挿通孔と、前記挿通孔と前記水平方向に隣り合い、前記アンテナを保持するためのアンテナ保持部材と、を備える、作業用衣服。
【0010】
この作業用衣服では、コードを挿通孔に挿通することでコードが作業用衣服の本体部の外側に露出しないようにでき、かつ、アンテナをアンテナ保持部材で保持することでアンテナが作業用衣服の本体部から外側に突出しないようにできる。更に、アンテナをアンテナ保持部材で保持することで、作業者の姿勢や動作によって携帯用通信機器がポケットから落下することを抑制できる。そして、挿通孔とアンテナ保持部材とが互いに隣り合っているため、携帯用通信機器の装着作業、すなわち、コードの挿通及びアンテナの保持を容易に行うことができる。そのため、コードやアンテナが周囲の物に引っ掛かることや、携帯用通信機器が落下すること等の事象の発生を抑制でき、作業者が安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0011】
[態様2]前記本体部に位置し、前記コードが前記挿通孔を挿通可能なように前記挿通孔を覆うカバー部材を更に備える、態様1に記載の作業用衣服。
この作業用衣服では、挿通孔がカバー部材で覆われているので、挿通孔から異物等が作業用衣服の内側へ侵入するおそれを抑制することができる。更に、挿通孔がカバー部材で覆われているので、作業用衣服が肌又は下着の上に着用されたとしても、挿通孔から作業用衣服の内側の肌や下着を見え難くすることができる。それにより、作業用衣服の作業者を保護する機能を維持しつつ、かつ、作業者が肌や下着の露出に対して余計な気を遣わずに、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0012】
[態様3]前記アンテナ保持部材と前記カバー部材とは一体に形成されている、態様2に記載の作業用衣服。
この作業用衣服では、アンテナ保持部材とカバー部材とが一体に形成されているので、両部材を狭い範囲にまとめて配置することができる。すなわち、両部材を簡易な構造で形成することができ、容易に設置することができる。それにより、両部材の構造及び設置の信頼性をより高めることができ、作業者がより安全・安心して作業をすることができる。
【0013】
[態様4]前記アンテナ保持部材は、前記本体部に固定された基部と、前記アンテナを保持する保持部と、を備え、前記基部は、第1結合部を含み、前記保持部は、前記水平方向において一端部を前記基部の一端部に連結され、他端部に前記第1結合部に脱着可能な第2結合部を含み、前記第1結合部と前記第2結合部とが互いに結合することで、前記アンテナを挿通するためのループ部を構成可能であり、前記カバー部材は、前記水平方向において一端部を前記基部の他端部に連結され、他端部を前記本体部に固定されており、前記一端部と前記他端部の間の中央部において、前記挿通孔から離間されつつ、前記挿通孔を覆っている、態様3に記載の作業用衣服。
この作業用衣服では、アンテナ保持部が基部及び保持部とから構成されるループ部であるため、第1結合部と第2結合部との着脱により、アンテナを容易に保持させることができる。それにより、アンテナの保持の作業効率を高めることができ、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。また、ループ部を構成するアンテナ保持部材とカバー部材とが水平方向に連続的に連なる構成を有しているので、アンテナ保持部材及びカバー部材を一体的に連続的に形成することができ、製造性に優れている。
【0014】
[態様5]前記第1結合部及び前記第2結合部はスナップである、態様4に記載の作業用衣服。
この作業用衣服では、第1結合部及び第2結合部がスナップであるため、着用者が、スナップに手を添え、スナップを容易に取り外し、取り付けすることができ、アンテナを容易に保持させることができる。それにより、アンテナの保持の作業効率をより高めることができ、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0015】
[態様6]前記本体部は、前身頃と後身頃とを含み、前記ポケットは、前記後身頃に配置されている、態様1乃至5のいずれか一項に記載の作業用衣服。
この作業用衣服では、携帯用通信機器を収納するポケットが後身頃に配置されているので、ポケットが携帯用通信機器を収納して膨らんだとしても、作業の邪魔になることを抑制できる。それにより、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0016】
[態様7]前記本体部は上衣を含み、前記上衣は、前身頃と後身頃とを含み、前記ポケットは、前記前身頃の胸部分に配置されている、態様1乃至5のいずれか一項に記載の作業用衣服。
この作業用衣服では、携帯用通信機器を収納するポケットが前身頃の胸部分に配置されているので、ポケットが携帯用通信機器を収納して膨らんでも、作業の邪魔になることを抑制できる。それにより、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0017】
[態様8]前記本体部における前記丈方向の上側かつ前記水平方向の両側に、袖部を更に備え、前記ポケットは、前記本体部における前記袖部の前記丈方向の下方に配置されている、態様1乃至5のいずれか一項に記載の作業用衣服。
この作業用衣服では、携帯用通信機器を収納するポケットが袖部の下方に配置されているので、ポケットが携帯用通信機器を収納して膨らんだとしても、作業の邪魔になることを抑制できる。それにより、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0018】
[態様9]前記作業用衣服は、医療業従事者用、看護業従事者用、介護業従事者用、エステ業従事者用、清掃業従事者用、飲食業従事者用、小売業従事者用、理容師業従事者用、又は美容師業従事者用である、態様1乃至8のいずれか一項に記載の作業用衣服。
この作業用衣服は、特定の作業用であることから、それらの作業対象生物及び/又は作業対象物に、ポケット内の携帯用通信機器のアンテナやコードを接触し難くすることができる。それにより、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0019】
以下、実施形態に係る作業用衣服について看護業従事者用衣服を例に説明する。ただし本発明の作業用衣服の種類及び用途はその例に限定されるものではなく、本発明の主題の範囲を逸脱しない限り、他の作業用衣服に対しても適用可能である。
【0020】
図1〜
図4は実施形態に係る作業用衣服1(看護業従事者用衣服)の構成例を示す図である。
図1は作業用衣服1の着用状態の態様を右後方から見た図である。
図2は作業用衣服1の着用状態の態様を正面から見た図である。
図3は作業用衣服1を示す背面図である。
図4は作業用衣服1のポケット11、挿通孔13及びアンテナ保持部材12の構成例を示す図である。ただし、本実施形態の作業用衣服1は、互いに直交する丈方向Lおよび水平方向Hを有する。丈方向Lは、作業用衣服1を着用者が着用したときの、着用者の丈の方向を意味し、鉛直方向と同義である。水平方向Hは、丈方向Lと直交する方向である。作業用衣服1では、着用者の頭部に向かう向き及び側をそれぞれ丈方向Lの上方及び上側とし、着用者の足部に向かう向き及び側をそれぞれ丈方向Lの下方及び下側とする。また、着用者から見て右へ向かう向き及び側をそれぞれ水平方向Hの右方及び右側とし、着用者から見て左へ向かう向き及び側をそれぞれ水平方向Hの左方及び左側とする。また、作業用衣服1では、着用者の身体に近い側を内側とし、着用者の身体に遠い側を外側とする。また、前面及び腹(腹側)、並びに、背面及び背(背側)は、着用者を基準とする。
【0021】
作業用衣服1は、衣服として着用者の身体を包む本体部2を備え、本実施形態では袖部5を更に備える。袖部5は、本体部2における丈方向Lの上側かつ水平方向Hの両側にそれぞれ連結されている。本実施形態では、作業用衣服1は、着用者の身体の上部(上半身)に着る上衣Uであるが、身体の下部(下半身)に着る下衣Dと上衣Uとが一体の衣服であってもよい。したがって、作業用衣服1は少なくとも上衣Uを含んでいる。
【0022】
本実施形態において、本体部2は、前身頃3と後身頃4とに区画されており、したがって前身頃3と後身頃4とを含んでいる。前身頃3及び後身頃4は、それぞれ本体部2における着用者の身体の前面(腹側)及び後面(背側)を覆う部分である。本体部2や袖部5の形状は特に制限はなく、公知の形状を用いることができる。
【0023】
本実施形態では、本体部2は、襟部6と前合わせ部7とを更に備えている。襟部6は、前身頃3及び後身頃4における丈方向Lの上端部かつ水平方向Hの中央部に配置されている。ただし、襟部6の構成は特に制限はなく、公知の構成を用いることができる。あるいは、本体部2は襟部6を有さなくてもよい。前合わせ部7は、前身頃3の襟部6における水平方向Hの中央部から丈方向Lの下方の胸部までの範囲に配置されており、開閉可能なファスナーで形成されている。ただし、前合わせ部7の構成は特に制限はなく、前身頃3の丈方向Lの下端まで達するなど公知の配置を用いることができ、開閉可能な他の係止部材、例えばボタン及びボタンホール、スナップなど公知の部材を用いることができる。あるいは、本体部2は前合わせ部7を有さなくてもよい。
【0024】
作業用衣服1は本体部2にポケット11を備えている。ポケット11は、本体部2の外側の表面に開口部11aを有しており、携帯用通信機器50を収納するためのポケットである。本実施形態では、ポケット11は、後身頃4における丈方向Lの下側(丈方向Lの寸法を3等分したとき下方の1/3の領域)かつ水平方向Hの右側(水平方向Hの寸法を3等分したとき右方の1/3の領域)の部分、すなわち右下側の角部又は腰部に配置されている。ポケット11は、作業用衣服1の外側から見て略矩形の形状を有する切り込み型のポケットであり、前身頃3に形成された切り込み31aを覆う口布部材31と、物品を収納する袋布部材32と、を備える。口布部材31は、前身頃3と共に開口部11aを構成する。ポケット11の構成は、携帯用通信機器50を収納できれば特に制限されず、例えば丈方向Lの下側の角が丸い矩形の形状でもよく、貼り付け型のポケットでもよい。
【0025】
なお、携帯用通信機器50は、イヤホン(ヘッドホンを含む)55及びマイクロフォン56のコード52とアンテナ51とを有し、外部の通信機器と無線で通信を行うための携帯用の通信機器である。携帯用通信機器50としては、コード52とアンテナ51とを有する通信機であれば特に制限はなく、インカム(インターコミュニケーション)用の携帯用の無線機器が挙げられる。イヤホン55及びマイクロフォン56は、携帯用通信機器50とコード(ケーブル)52で接続していれば特に制限はなく、例えば、ヘッドホンとマイクロフォンとを一体化したヘッドセットが挙げられる。携帯用通信機器50(コード52及びアンテナ51を除く)の大きさは、例えば高さ80〜100mm×幅50〜60mm×奥行20〜40mmが挙げられる。アンテナ51の長さ及び直径は、例えば60〜120mm及び1mm〜10mmが挙げられる。
【0026】
本実施形態では、ポケット11の収納領域の大きさとしては、携帯用通信機器50を収納できれば特に制限はないが、例えば矩形の形状の場合、丈方向Lの寸法100〜120mm×水平方向Hの寸法90〜120mmが挙げられる。
【0027】
なお、本実施形態では、前身頃3における丈方向Lの上側かつ水平方向Hの右側の部分、右側の胸部に配置された胸ポケット9を更に備えている。胸ポケット9は、切り替え利用のポケットであるが、貼り付け型のポケットであってもよい。胸ポケット9は、種々の物品を収納する収納用ポケットとして機能するほか、コード52をクリップ53で仮留めするための仮留め部としても機能している。ただし、コード52をクリップ53で仮留めするための仮留め部としては、襟部6を用いてもよい。
【0028】
作業用衣服1は、本体部2に挿通孔13を更に備えている。挿通孔13は、本体部2に位置し、コード52を作業用衣服1の外側から内側に挿通するための孔である。本実施形態では、挿通孔13は、後身頃4におけるポケット11の開口部11aの近傍に配置されている。ただし、本実施形態では、「近傍」の範囲は、丈方向Lにおける下端及び上端と、水平方向Hにおける右端及び左端と、で囲まれる所定の範囲をいう。その丈方向Lにおける下端は、開口部11aの位置である。その丈方向Lにおける上端は、開口部11aの位置を基準に、開口部11aの上側に向かってポケット11の丈方向Lの寸法の距離だけ離れた位置である。その水平方向Hにおける右端は、開口部11aの右端の位置を基準に、開口部11aの右側に向かってポケット11の水平方向Hの寸法の距離だけ離れた位置である。その水平方向Hにおける左端は、開口部11aの左端の位置を基準に、開口部11aの左側に向かってポケット11の水平方向Hの寸法の距離だけ離れた位置である。好ましくは、「近傍」は、上端が丈方向Lでの基準からの距離が上記の1/2の位置、右端及び左端が水平方向Hでの基準からの距離が上記の1/2の位置である。より好ましくは、「近傍」は、上端が丈方向Lでの基準からの距離が上記の1/4の位置、右端及び左端が水平方向Hでの開口部11aの右端及び左端の位置である。
【0029】
本実施形態では、挿通孔13の孔の形状はスリット状の形状を有する。ただし、挿通孔13の孔の形状は、コード52(図示されない携帯用通信機器50への接続端子を含む)が挿通可能であれば特に制限はなく、例えば薄型の矩形状や扁平の楕円状やH型のスリットの開口でもよい。挿通孔13の孔の大きさとしては、コード52が挿通可能であれば特に制限はなく、例えばスリット状の開口の場合、10mm〜30mmが挙げられる。
【0030】
本実施形態では、作業用衣服1は本体部2にカバー部材14を更に備えている。カバー部材14は、本体部2に位置し、コード52が挿通孔13を挿通可能なように挿通孔13を覆う部材である。本実施形態では、カバー部材14は、後身頃4におけるポケット11の開口部11aの近傍であって、その少なくとも一部が挿通孔13の上を、挿通孔13から離間しつつ覆うように配置されている。そのとき、カバー部材14の丈方向Lの上側の端部、水平方向Hの左側の端部(一端部)及び右側の端部(他端部)は、いずれも本体部2に接合されている(例示:縫い合わされている)。カバー部材14の丈方向Lの下側の端部、並びに、丈方向L及び水平方向Hの中央部(挿通孔13が対向する領域)は本体部2に接合されず、離間している。本実施形態では「近傍」の範囲は上記のとおりである。
【0031】
本実施形態では、カバー部材14の形状は、挿通孔13を適切に覆うことができれば特に制限はなく、例えば水平方向Hに長い帯状や矩形状の形状が挙げられる。カバー部材14の大きさとしては、挿通孔13を適切に覆うことができれば特に制限はなく、例えば挿通孔13スリット状の開口の場合、例えば丈方向Lの幅10〜30mm×水平方向Hの幅30〜70mm(矩形)が挙げられる。
【0032】
作業用衣服1の本体部2は、アンテナ保持部材12を備えている。アンテナ保持部材12は、本体部2に位置し、挿通孔13と水平方向Hに隣り合い、アンテナ51を保持するための部材である。本実施形態では、アンテナ保持部材12は、後身頃4におけるポケット11の開口部11aの近傍、かつ、挿通孔13の水平方向Hの左側に隣り合うように配置されている。ただし本実施形態では「近傍」の範囲は上記のとおりである。「水平方向Hに隣り合う」範囲は、水平方向Hについては、アンテナ保持部材12における挿通孔13側の端縁と、挿通孔13におけるアンテナ保持部材12側の端縁との距離が、水平方向Hにおけるアンテナ保持部材12(好ましくは基部21(後述))の寸法の1/2より小さく、1/20より大きい範囲をいう。丈方向Lについては、アンテナ保持部材12における丈方向Lの上側の端縁と、挿通孔13における丈方向Lの上側の端縁との距離が、丈方向Lにおけるアンテナ保持部材12(好ましくは基部21)の寸法より小さく、1/10より大きい範囲をいう。好ましくは、アンテナ保持部材12の丈方向Lの中心と、挿通孔13の丈方向Lの中心とが水平方向Hに同じ位置である。なお、アンテナ保持部材12は、本実施形態と逆に挿通孔13の水平方向Hの右側又は両側に配置されてもよい。
【0033】
図4に示すように、本実施形態では、アンテナ保持部材12は、本体部2に固定された基部21と、アンテナを保持する保持部22と、を備えている。ここでは、基部21は、本体部2に縫い合わされており、かつ、本体部2に接合された第1結合部23を含んでいる。保持部22は、本体部2に接合されておらず(縫い合わされておらず)、水平方向Hにおいて、一端部を基部21の一端部に連結され、他端部に、第1結合部23に脱着可能な第2結合部24を含んでいる。すなわち、基部21と保持部22とが連結され一体化されて一つの部材を形成し、その一つの部材の水平方向Hの右側の端部において第1結合部23が本体部2に結合され、左側の端部において第2結合部24が自由に移動可能な状態にある。そとのき、基部21の第1結合部23と保持部22の第2結合部24とが互いに結合することで、基部21及び保持部22が、アンテナ51を挿通するためのループ部25を構成することができる。ただし、第1結合部23が本体部2に固定されていれば、基部21は本体部2に縫い合わされていなくてもよい。
【0034】
本実施形態では、アンテナ保持部材12の形状は、ループ部25を適切に構成可能であれば特に制限はなく、例えば水平方向Hに長い紐状や帯状や矩形状の形状が挙げられる。アンテナ保持部材12の大きさとしては、アンテナ51を保持し得るループ部25を適切に構成可能であれば特に制限はなく、例えば矩形状の形状の場合、例えば丈方向Lの幅10〜30mm×水平方向Hの幅30〜80mm(矩形)が挙げられる。
【0035】
本実施形態では、第1結合部23及び第2結合部24は互いに着脱可能であれば特に制限はない。上記着脱可能な第1結合部23及び第2結合部24としては、例えば、スナップ(例示:スナップボタン、スナップリング、アメリカンスナップ)のオス及びメス、面ファスナーのフック部(例示:表面に鉤状、きのこ状、錨状の複数の突起を有する部材)及びループ部(例示:表面に複数のループを有する部材)、ホック(例示:バネホック、ジャンパーホック)のオス及びメス、トグルボタン、バックル、ボタン及びボタンホールの組み合わせ等が挙げられる。これらの材料には、公知の材料を用いることができる。
【0036】
本実施形態では、水平方向Hにおいて、カバー部材14の左側の端部が、アンテナ保持部材12の(基部21の)右側の端部に連結され一体化されて一つの部材を形成している。また、アンテナ保持部材12の基部21及びカバー部材14は、本体部及び本体部2の内側に配置された当て布26に縫い付けられて、接合されている。
【0037】
本実施形態において、本体部2、袖部5、ポケット11に用いられる材料としては、特に制限はなく、公知の材料を用いることができる。また、アンテナ保持部材12及びカバー部材14に用いられる材料としては、特に制限はなく、例えば、ポケット11に用いられる公知の材料を用いることができる。
【0038】
次に
図1〜
図2を参照し、実施形態に係る作業用衣服1の使用方法について説明する。
着用者は、作業用衣服1を着用するとき、携帯用通信機器50をポケット11に収納する。それと共に、着用者は、携帯用通信機器50のコード52に連結しているクリップ53を胸ポケット9に挟みつつ、携帯用通信機器50のコード52を前合わせ部7から作業用衣服1の内側に挿入する。次いで、着用者は、そのコード52を、作業用衣服1の内側かつ着用者の胸部の正面、腹部の正面、及び腹部の側面の領域に通す。そして、着用者は、そのコード52を、作業用衣服1の内側から挿通孔13に通して、作業用衣服1の外側へ取り出し、ポケット11内の携帯用通信機器50に接続する。それと共に、着用者は、アンテナ保持部材12の第2結合部24を第1結合部23から取り外す。そして、着用者は、携帯用通信機器50のアンテナ51を保持部22と基部21とで囲むようにしつつ、第2結合部24を第1結合部23に結合することで、ループ部25を形成して、ループ部25にアンテナ51を保持させる。
【0039】
作業用衣服1では、コード52を挿通孔13に挿通することでコード52が作業用衣服1の本体部2の外側に露出しないようにできると共に、アンテナ51をアンテナ保持部材12で保持することでアンテナ51が作業用衣服1の本体部2から外側に突出しないようにできる。更に、アンテナ51をアンテナ保持部材12で保持することで、作業者(着用者)の姿勢や動作によって携帯用通信機器50がポケット11から落下することを抑制できる。そして、挿通孔13とアンテナ保持部材12とが互いに隣り合っているため、携帯用通信機器50の装着作業、すなわち、コード52の挿通及びアンテナ51の保持を極めて容易に行うことができる。それらにより、コード52やアンテナ51が周囲の物に引っ掛かることや、携帯用通信機器50が落下すること等の事象の発生を抑制でき、作業者が安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0040】
本実施形態では、好ましい態様として、作業用衣服1は、本体部2に位置し、コード52が挿通孔13を挿通可能なように挿通孔13を覆うカバー部材14を更に備えている。そのため、挿通孔13から異物等が作業用衣服の内側へ侵入するおそれを抑制することができる。更に、挿通孔13がカバー部材14で覆われているので、作業用衣服1が肌又は下着の上に着用されたとしても、挿通孔13から作業用衣服1の内側の肌や下着を見え難くすることができる。それにより、作業用衣服1の作業者(着用者)を保護する機能を維持しつつ、かつ、作業者が肌や下着の露出に対して余計な気を遣う必要がない。よって作業用衣服1により作業者(着用者)がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0041】
本実施形態では、好ましい態様として、アンテナ保持部材12とカバー部材14とは一体に形成されている。そのため、両部材を狭い範囲にまとめて配置することができる。すなわち、両部材を簡易な構造で形成することができ、容易に設置することができる。それにより、両部材の構造及び設置の信頼性をより高めることができ、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。ただし、アンテナ保持部材12とカバー部材14とは別体であってもよい。
【0042】
本実施形態では、好ましい態様として、アンテナ保持部材12は、第1結合部23と第2結合部24とを互いに結合することで、基部21と保持部22とにより、アンテナ51を挿通するためのループ部25を構成可能である。そして、カバー部材14は、アンテナ保持部材12に連結され、挿通孔13から離間されつつ、挿通孔13を覆っている。このように、作業用衣服1では、アンテナ保持部材12が基部21及び保持部22とから構成されるループ部25であるため、第1結合部23と第2結合部24との着脱により、アンテナ51をループ部25で容易に保持させることができる。それにより、アンテナ51の保持の作業効率を高めることができ、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。また、ループ部25を構成するアンテナ保持部材12とカバー部材14とが水平方向Hに連続的に連なる構成を有しているので、アンテナ保持部材12及びカバー部材14を一体的に連続的に形成することができ、製造性に優れている。
【0043】
本実施形態では、好ましい態様として、第1結合部23及び前記第2結合部24はスナップである。そのため、着用者が、スナップに手を添え、スナップを容易に取り外し、取り付けすることができ、すなわち、ループ部25を容易に開閉することができ、アンテナ51を容易に保持させることができる。それにより、アンテナ51の保持の作業効率をより高めることができ、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0044】
本実施形態では、好ましい態様として、本体部2は、前身頃3と後身頃4とを含んでおり、ポケット11は、後身頃4に配置されている。すなわち、作業用衣服1では、携帯用通信機器50を収納するポケット11が後身頃4に配置されているので、ポケット11が携帯用通信機器50を収納して膨らんだとしても、作業者(着用者)が身体の前方で行う作業の邪魔になることを抑制できる。それにより、作業者(着用者)がより安全・安心して作業をすることが可能となる。特に、ポケット11が、後身頃4における丈方向Lの下方(丈方向Lの寸法を3等分したとき下方の1/3の領域)、かつ、水平方向Hの右後ろ又は左後(水平方向Hの寸法を3等分したとき右側又は左側の1/3の領域)に配置されることがより好ましい。携帯用通信機器50の収納、アンテナ51のループ部25での保持、及び、コード52の挿通孔13への挿通などをより容易に行うことができると共に、作業中も作業の妨げによりなり難くすることができる。中でも、右利きの着用者が多いことを考慮して、水平方向Hの右後に配置されることが更により好ましい。
【0045】
また、実施形態に係る作業用衣服1の使用方法は、上記
図1〜
図2の態様に限定されるものではない。以下、実施形態に係る作業用衣服1の別の使用方法について説明する。
図5〜
図6は作業用衣服1の着用状態の別の態様を示す図であり、
図5は別の態様を右後方から見た図であり、
図6は別の態様を正面から見た図である。この別の態様では、携帯用通信機器50のコード52を通す領域が、上記
図1〜
図2の態様と相違する。
【0046】
以下、
図5〜
図6を参照して、実施形態に係る作業用衣服1の別の使用方法について説明する。着用者は、作業用衣服1を着用するとき、携帯用通信機器50をポケット11に収納する。それと共に、着用者は、携帯用通信機器50のクリップ53を襟部6に挟みつつ、携帯用通信機器50のコード52を襟部6から作業用衣服1の内側に挿入する。次いで、着用者は、そのコード52を、作業用衣服1の内側かつ着用者の背中の正面の領域に通す。そして、着用者は、そのコード52を、作業用衣服1の内側から挿通孔13に通して、作業用衣服1の外側へ取り出し、ポケット11内の携帯用通信機器50に接続する。それと共に、着用者は、アンテナ保持部材12の第2結合部24を第1結合部23から取り外す。そして、着用者は、携帯用通信機器50のアンテナ51を保持部22と基部21とで囲むようにしつつ、第2結合部24を第1結合部23に結合することで、ループ部25を形成して、ループ部25にアンテナ51を保持させる。この場合にも、上記
図1〜
図2の態様と同様の効果を奏することができる。
【0047】
また、実施形態に係る作業用衣服1におけるポケット11、アンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14)の位置は、上記
図1〜
図3の態様に限定されるものではない。以下、実施形態に係る作業用衣服1におけるポケット11、アンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14)の別の位置について説明する。
図7は、実施形態に係る作業用衣服1の他の構成例を示す図であり、本体部2(上衣U)の正面図又は側面図である。
【0048】
図7(a)に示す他の構成例では、ポケット11は、前身頃3の左側の胸部分に配置されている。すなわち、ポケット11は、本体部2(前身頃3)における丈方向Lの上側かつ水平方向Hの左側の部分に配置されている。それに伴い、
図3に示す構成例と同様に、ポケット11の丈方向Lの上方近傍に、すなわち、前身頃3の左側の胸部分にアンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14)が配置されている。そのため、ポケット11が携帯用通信機器50を収納して膨らんだとしても、作業者(着用者)が身体の前方における胸部よりも下方で行う作業の邪魔になることを抑制できる。それにより、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0049】
図7(b)に示す他の構成例では、ポケット11は、前身頃3の右側の胸部分に配置されている。すなわちポケット11は、本体部2(前身頃3)における丈方向Lの上側かつ水平方向Hの右側の部分に配置されている。それに伴い、
図3に示す構成例と同様に、ポケット11の丈方向Lの上方近傍に、すなわち前身頃3の右側の胸部分にアンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14)が配置されている。この場合にも、
図7(a)の場合と同様に、そのため、ポケット11が携帯用通信機器50を収納して膨らんだとしても、作業者(着用者)が身体の前方における胸部よりも下方で行う作業の邪魔になることを抑制できる。それにより、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0050】
図7(c)に示す他の構成例では、ポケット11は、本体部2における袖部5の丈方向Lの下方に配置されている。すなわち、ポケット11は、袖部5の丈方向Lの下側に、前身頃3と後身頃4とに跨るように配置されている。それに伴い、
図3に示す構成例と同様に、ポケット11の丈方向Lの上方近傍に、すなわち、袖部5の丈方向Lの下方にアンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14)が配置されている。この図の例では、右脇の下側に設けられているが、左脇の下側に設けられていてもよい。この場合にも、
図7(a)の場合と同様に、ポケット11が携帯用通信機器50を収納して膨らんだとしても、作業者(着用者)が身体の前方で行う作業の邪魔になることを抑制できる。それにより、作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。
【0051】
なお、ポケット11(及びそれに対応するアンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14))は、
図7(b)、(c)に示すように、丈方向L(鉛直方向)に対してやや傾いて本体部2に配置されていてもよい。傾きの大きさとしては、収納された携帯用通信機器50が脱落し難い観点から、例えば丈方向Lに対して±30°が挙げられる。
【0052】
また、実施形態に係る作業用衣服1におけるポケット11の形状は、上記
図1〜
図3及び
図7の形状に制限されるものではない。以下、実施形態に係る作業用衣服1におけるポケット11の別の形状について説明する。
図8は、実施形態に係る作業用衣服1の更に他の構成例を示す図であり、本体部2(上衣U)の正面図又は側面図である。
【0053】
図8(a)に示す他の構成例では、ポケット11’は、貼り付け型(外付け型)のポケットである。すなわち、ポケット11’用の布を前身頃3の上に縫い付けている。この場合、ポケット11’の構造が比較的簡単であり、製造が容易である。また、
図8(b)に示す更に他の構成例では、ポケット11”は、貼り付け型(外付け型)のポケットであり、かつ、本体部2の表面から外側に所定の厚さで突出するように形成されている。すなわち、ポケット11”用の部分的に突出した布を前身頃3の上に縫い付けている。この場合、ポケット11”の構造が比較的簡単であり、製造が容易であるほか、厚さのある携帯用通信機器50を安定的に保持することができる。
【0054】
また、ポケット11(、11’、11”)、アンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14)の上記態様では、アンテナ保持部材12及びカバー部材14の少なくとも一方が、ポケット11(、11’、11”)の開口部11aの上端縁と略平行に配置されている。ただし、本実施形態はこの例に限定されず、ポケット11(、11’、11”)、アンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14)の他の態様では、アンテナ保持部材12及びカバー部材14の少なくとも一方が、ポケット11(、11’、11”)の開口部11aの上端縁と略平行に配置されていなくてもよい。
【0055】
また、別の実施形態では、アンテナ保持部材12及び挿通孔13(カバー部材14)の少なくとも一方は、ポケット11(、11’、11”)内、すなわちポケット11(、11’、11”)の開口部11aよりも丈方向Lの下方に形成されていてもよい。また、別の実施形態では、アンテナ保持部材12と挿通孔13(カバー部材14)とは、丈方向Lに互いにずれていてもよい。また、別の実施形態では、作業用衣服1は、ポケット11(、11’、11”)、アンテナ保持部材12、挿通孔13(カバー部材14)を一セットとして、二セット以上備えていてもよい。
【0056】
本実施形態における作業用衣服1としては、携帯用通信機器を携行して作業を行うための衣服であれば特に制限されず、例えば他人に何らかのサービスを提供するサービス業従事者用の作業用衣服が挙げられる。そのサービス業従事者用の作業用衣服としては、例えば、医療業従事者用、看護業従事者用、介護業従事者用、エステ業従事者用、清掃業従事者用、飲食業従事者用、小売業従事者用、理容師業従事者用、又は美容師業従事者用の作業用衣服が挙げられる。あるいは、例えば、イベント従事者用や警備従事者用の作業用衣服が挙げられる。このような作業用衣服では、それらの作業対象生物及び/又は作業対象物に、ポケット内の携帯用通信機器のアンテナやコードを接触し難くすることができる。それにより作業者がより安全・安心して作業をすることが可能となる。本実施形態の作業用衣服は、医療業従事者用、看護業従事者用又は介護業従事者用であることが好ましい。患者や被介護者に対して種々の看護や介護の作業を行うと共に、緊急事態が生じた場合にはその緊急事態に対応しつつ携帯用通信機器で迅速に連絡を行う必要があるためである。
【0057】
本発明の作業用衣服1は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。
【課題】イヤホンなどのコードとアンテナを有する携帯用通信機器を用いるとき、コードやアンテナが周囲の物に引っ掛かることや、携帯用通信機器が落下すること等の事象の発生を抑制して、安全・安心に作業することが可能な作業用衣服を提供する。
【解決手段】作業用衣服1は、本体部2を備える。その作業用衣服は、本体部の外側の表面に開口部11aを有し、イヤホンなどのコードとアンテナとを有する携帯用通信機器を収納するためのポケット11と、本体部に位置し、コードを作業用衣服の外側から内側に挿通するための挿通孔13と、挿通孔と水平方向に隣り合い、アンテナを保持するためのアンテナ保持部材12と、を備える。