(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケース内に、開口部を有するフレームと、前記開口部内に配置された振動板と、前記開口部内で前記振動板を支持する振動支持シートと、前記振動板を駆動する駆動機構とが収納されている発音装置において、
前記振動支持シートは、前記開口部を覆う振動板支持部と、前記振動板支持部の周縁部から曲げられて前記開口部における前記フレームの板厚方向に形成された内端面に対面する周辺固定部とを有し、前記振動板は、前記振動板支持部に固定されており、
前記周辺固定部と前記内端面との対面部に接着剤層が介在しているとともに、前記接着剤層の上端部であって、前記フレームの前記開口部における前記内端面の上縁部である開口縁部と、前記振動板支持部の周縁部との境界部に、接着剤溜まりが形成されていることを特徴とする発音装置。
前記振動支持シートには、前記振動板が接着されている接着領域を囲む隆起変形部が形成されており、前記接着剤溜まりは、前記隆起変形部から離れた位置に設けられている請求項1記載の発音装置。
前記振動支持シートには、前記開口部の開口縁部との前記境界部において、前記振動板支持部から前記フレームの板厚中心に向けて窪む周囲窪み部が形成されており、前記周囲窪み部内に前記接着剤溜まりが形成されている請求項1または2記載の発音装置。
前記フレームの前記開口部の前記開口縁部に、前記フレームの板厚中心に向けて窪むフレーム側窪み部が形成されており、前記フレーム側窪み部に、前記接着剤溜まりが形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の発音装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発音装置(電気音響変換器)は、その
図4に拡大して示されているように、ダイアフラムの周囲にコルゲーションが形成され、コルゲーションから下に延びるフィルムの周囲部分が枠部材の開口部に接着されている。その結果、コルゲーションは枠部材の開口部からさらに周囲に膨らんだ形状となっている。
【0007】
この発音装置は、コルゲーションの剛性が低いほどダイアフラムが振動しやすくなるが、特許文献1の構造では、コルゲーションが枠部材の開口部の内端面を覆うように形成されているため、フィルムの周囲部分と開口部の内端面とを接着している接着剤がコルゲーションに付着しやすく、接着剤によってコルゲーションの剛性が高くなりやすい。そのため、コルゲーションから下に延びるフィルムの周囲部分と、枠部材の開口部の内端面との間に十分な量の接着剤を介在させるのが難しくなり、枠部材にフィルムを十分な強度で固定するのが難しくなる。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、フレームの開口部内に振動支持シートを十分な強度で接着でき、しかも振動体の振動性能も高く維持することができる発音装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ケース内に、開口部を有するフレームと、前記開口部内に配置された振動板と、前記開口部内で前記振動板を支持する振動支持シートと、前記振動板を駆動する駆動機構とが収納されている発音装置において、
前記振動支持シートは、前記開口部を覆う振動板支持部と、前記振動板支持部の周縁部から曲げられて前記開口部の内端面に対面する周辺固定部とを有し、前記振動板は、前記振動板支持部に固定されており、
前記周辺固定部と前記内端面との対面部に接着剤層が介在しているとともに、前記フレームの前記開口部の開口縁部と前記振動板支持部との境界部に、接着剤溜まりが形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の発音装置は、前記振動支持シートには、前記振動板が接着されている接着領域を囲む隆起変形部が形成されており、前記接着剤溜まりは、前記隆起変形部から離れた位置に設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明の発音装置は、前記振動支持シートには、前記開口部の開口縁部との前記境界部において、前記振動板支持部から前記フレームの板厚中心に向けて窪む周囲窪み部が形成されており、前記周囲窪み部内に前記接着剤溜まりが形成されているものとして構成できる。
【0012】
また、本発明の発音装置は、前記フレームの前記開口部の前記開口縁部に、前記フレームの板厚中心に向けて窪むフレーム側窪み部が形成されており、前記フレーム側窪み部に、前記接着剤溜まりが形成されているものとして構成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発音装置は、振動板を支持している振動支持シートの周辺固定部が、フレームの開口部の内端面に接着されているとともに、フレームの開口部の開口縁部と、振動支持シートの振動板支持部との境界部に、接着剤溜まりが形成されている。そのため、フレームの開口部内で振動支持シートを高い接着強度を固定することができる。
【0014】
また、接着剤溜まりを、振動支持シートに形成された隆起変形部から外側に離れた位置に形成することで、隆起変形部の剛性が接着剤の影響を受けにくくなり、振動支持シートに支持されている振動板の振動特性が接着剤の影響を受けにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1と
図2に示すように、本発明の実施の形態の発音装置1は、ケース2を有している。ケース2は第1ケース3と第2ケース4とから構成されている。第1ケース3は下ケースで、第2ケース4は上ケースであり、共に非磁性金属板または磁性金属板からプレス加工されて形成されている。
【0017】
図2に示すように、第1ケース3は、底部3aと、4側面を囲む側壁部3bと、側壁部3bの上端の開口端部3cを有している。第2ケース4は天井部4aと、4側面を囲む側壁部4bと、側壁部の下端の開口端部4cを有している。第1ケース3の内部空間は、第2ケース4の内部空間よりも広く、第2ケース4は第1ケース3の蓋体として機能している。
【0018】
図3と
図6に示すように、第1ケース3の開口端部3cと第2ケース4の開口端部4cとの間にフレーム5が挟まれている。
図2に示すように、フレーム5は、Z方向の厚さ寸法が均一な非磁性材料または磁性材料の金属板材で形成されている。フレーム5は、第1ケース3に向く下面5aと第2ケース4に向く上面5bを有している。フレーム5の中央部に、開口部6が上下に貫通して形成されている。開口部6は矩形状の穴である。開口部6の周縁には、下面5aおよび上面5bと垂直な内端面6aが形成されている。内端面6aは振動体取付け面である。また、フレーム5の上面5bと開口部6の内端面6aとの境界部分が開口縁部6bである。
【0019】
フレーム5の下面5aの一部が駆動機構取付け面となる。フレーム5の外周部分は、第1ケース3と第2ケース4との間に挟み込まれる被挟持部7である。
【0020】
図3と
図4と
図6および
図7に示すように、フレーム5の開口部6に振動体10が取り付けられている。振動体10は、振動板11と振動支持シート12とで構成されている。振動板11はアルミニウムやSUS304などの薄い金属材料で形成されている。振動支持シート12は振動板11よりも撓み変形しやすいものであり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)やナイロンあるいはポリウレタンなどの樹脂シート(樹脂フィルム)で形成されている。
【0021】
振動板11は矩形状であり長方形である。振動板11の面積は、フレーム5の開口部6の開口面積よりも小さい。
図2と
図6および
図7に示すように、振動板11にY方向に延びる複数の補強リブ11aが形成されている。補強リブ11aは、第2ケース4に向けて隆起するように形成されている。
【0022】
振動支持シート12の面積は振動板11よりも大きい。
図2と
図7に示すように、振動支持シート12は、X−Y平面に平行な矩形状の面である振動板支持部13と、振動板支持部13の周囲の全周から下向きに曲げ変形された周辺固定部14とを有している。
図3と
図4および
図6に示すように、周辺固定部14は、フレーム5に形成された開口部6の内端面6aに対面して接着される。この接着作業の際、振動支持シート12の周辺固定部14が金型などで内端面6aに押し付けられることで、振動板支持部13の周縁部に周辺固定部14が下向きに曲げて形成されることになる。
【0023】
振動支持シート12の振動板支持部13は、その中央部分が振動板接着領域であり、振動板11は、下側から振動板支持部13の振動板接着領域に接着固定される。そのため、振動支持シート12における振動板支持部13の振動板接着領域には、振動板11の補強リブ11aに倣うリブ13aが形成される。
【0024】
図2と
図7および
図8に示すように、振動支持シート12の振動板支持部13では、振動板11が接着される振動板接着領域を囲むように隆起変形部15が形成されている。隆起変形部15は、振動板支持部13の2つの長辺13b,13bと、振動の自由端側となる1つの短辺13cに沿って連続して形成されている。振動板支持部13には振動板11が接着されていない。
図3と
図8の断面図に示すように、隆起変形部15は上向き(第2ケース4に向く方向)に湾曲して隆起するように形成されている。ただし、隆起変形部15は開口部6の内部に向かうように下向きに湾曲して隆起するように形成されていてもよい。
【0025】
図7と
図8に示すように、振動支持シート12の振動板支持部13では、隆起変形部15よりもさらに外周側に、周囲窪み部16が形成されている。
図7に示すように、周囲窪み部16は、振動板支持部13の2つの長辺13b,13bの全長と、振動の自由端側となるに短辺13cの全長、および振動の支点支持側となる短辺13dの両側部に形成されている。
図8に拡大して示すように、周囲窪み部16の形状は、振動板支持部13の表面から直角に下向きに下がる側面16aと、側面16aから外周方向に直角に曲がる底面16bとを有する角溝である。ただし、周囲窪み部16は、断面形状が凹曲面や傾斜面で構成されていてもよい。
【0026】
振動支持シート12をフレーム5に取り付ける際に、周辺固定部14を、フレーム5に形成された開口部6の内端面6aに対面させ、押し付けて接着するが、このとき加熱した金型などで、振動板支持部13から周辺固定部14が曲げ成形されるとともに、同時に、前記隆起変形部15と周囲窪み部16が成形される。
【0027】
図8に拡大して示すように、振動板支持部13の4つの辺から下向きに曲げられた周辺固定部14は、フレーム5に形成された開口部6の内端面6aに対面し、周辺固定部14と内端面6aとの間に接着剤層18が介在し、周辺固定部14が内端面6aに固定されている。また、接着剤層18を構成する接着剤の一部が周囲窪み部16に移行して接着剤溜まり18aが形成される。
図7に示すように、振動支持シート12の振動板支持部13の長辺13b,13bと短辺13cおよび短辺13dの一部において、フレーム5の開口部6の開口縁部6bと振動板支持部13との境界部に前記接着剤溜まり18aが形成される。
【0028】
接着剤溜まり18aが形成されることで、振動板支持シート12がフレーム5の開口部6に強固に接着固定される。また、振動板支持部13では、周囲窪み部16が、隆起変形部15から外周方向に離れた位置にあるため、接着剤溜まり18aを構成する接着剤が隆起変形部15に及ぶことがなく、隆起変形部15に接着剤が付着するのを防止できる。したがって、隆起変形部15の剛性が接着剤の付着によって高められるのを抑制でき、隆起変形部15の柔軟性を維持できるようになって、振動板11の振動特性を安定させることができる。
【0029】
図2に示すように振動板11は、自由端11bと支点側端部11cを有している。振動板11は、振動支持シート12の主に隆起変形部15の撓みと弾性によって、支点側端部11cを支点として、自由端11bがZ方向へ変位するように振動可能となる。
【0030】
図3と
図4に示すように、フレーム5に駆動機構20が取り付けられている。駆動機構20は、第1ヨーク21と第2ヨーク22とを有している。第1ヨーク21と第2ヨーク22は、Ni−Fe合金や圧延鋼板などの磁性材料で形成されている。
【0031】
図2に示すように、第2ヨーク22はU字形状に曲げられており、底面部22aと、X方向の両側で上向きに折り曲げられた一対の側面部22b,22bとが形成されている。側面部22b,22bの上端部が、平板形状の第1ヨーク21の内面21aに接合され、レーザースポット溶接などで、第1ヨーク21と第2ヨーク22とが固定されている。第1ヨーク21と第2ヨーク22とが固定されると、第2ヨーク22の底面部22aの内面と、第1ヨーク21の内面21aとが平行に対向する。
【0032】
図2と
図3と
図4および
図6に示すように、駆動機構20では、第1ヨーク21の内面21aに第1磁石24が固定され、第2ヨーク22の底面部22aの内面に第2磁石25が固定されている。第1磁石24の着磁面24aと第2磁石25の着磁面25aは、互いに逆の極性となるように着磁されている。第1磁石24の着磁面24aと第2磁石25の着磁面25aとの間には、Z方向に間隔δが設定されている。
【0033】
図2と
図3に示すように、駆動機構20にコイル27が設けられている。コイル27はY方向に延びる巻き軸を中心として被覆導線が周回するように巻かれている。コイル27は、Y方向に向く巻き端部27aが、第1ヨーク21と第2ヨーク22に接着されて固定されている。
【0034】
図2と
図3および
図4に示すように、駆動機構20にアーマチュア32が設けられている。アーマチュア32は厚さが均一な磁性材料の板材で形成されており、例えば、Ni−Fe合金で形成されている。アーマチュア32はプレス加工されて、可動部32aと基部32bと曲げ部32cを有するU字形状に形成されている。
図2に示すように、アーマチュア32の可動部32aの自由端側に向く先部32dはX方向の幅寸法が小さくなっており、先部32dに連結穴32eが上下に貫通して形成されている。
【0035】
図3と
図4および
図5に示すように、アーマチュア32の基部32bは、第1ヨーク21の上向きの外面21bに固定されている。アーマチュア32の可動部32aは、コイル27の巻き空間27cの内部に挿入され、さらに第1磁石24と第2磁石25との間隔δ内に挿入されている。アーマチュア32の先部32dは、前記間隔δよりも図示左側に飛び出している。
【0036】
図3と
図4に示すように、第1ヨーク21の上向きの外面21bがフレーム5の下面5aに接合されて固定されている。
図5と
図6に示すように、第1ヨーク21は、フレーム5の開口部5cをX方向へ横断するように設置され、第1ヨーク21のX方向の両端部が、フレーム5の下面5aに接合されて、第1ヨーク21とフレーム5とがレーザースポット溶接で固定されている。第1ヨーク21とフレーム5とが固定されることにより、駆動機構20は、フレーム5の下面5aを基準として組み付けられる。
【0037】
図5に示すように、アーマチュア32の基部32bは、フレーム5の開口部5cの開口面積よりも小さい。したがって、第1ヨーク21の外面21bが、フレーム5の下面5aに固定されると、
図6に示すように、前記外面21bに固定されているアーマチュア32の基部32bが、フレーム5の開口部5cの内部に入り込む。基部32bのZ方向の厚さ寸法は、フレーム5のZ方向の厚さ寸法よりも小さくなっており、同じく開口部5c内に位置する振動板11と、アーマチュア32の基部32bとの間に、振動板11がZ方向に振動できるようにZ方向の隙間が空けられている。
【0038】
図3に示すように、振動板11の自由端11bと、アーマチュア32の先部32dは伝達体33で連結されている。伝達体33は金属または合成樹脂で形成された針状部材であり、例えばSUS202のピン材で形成されている。伝達体33の上端33aは振動板11に形成された取付け穴11eに挿入されて、振動板11と伝達体33とが接着剤または半田付けで固定されている。伝達体33の下端部33bは、アーマチュア32の先部32dに形成された連結穴32eに挿入されて、伝達体33と先部32dとがレーザースポット溶接あるいは接着剤または半田付けで固定されている。伝達体33はフレーム5の開口部5c内を上下に横断しており、伝達体33の一部が開口部5cの内部に位置している。
【0039】
図3と
図6に示すように、フレーム5の外周の被挟持部7が、第1ケース3の開口端部3cと第2ケース4の開口端部4cとの間に挟まれて固定される。第1ケース3および第2ケース4と被挟持部7はレーサースポット溶接で固定されて、
図1に示す発音装置1が完成する。
【0040】
第1ケース3と第2ケース4との間にフレーム5が挟まれて固定されると、振動板11と振動支持シート12とによって、ケース2の内部の空間が上下に区分される。振動板11および振動支持シート12よりも上側であって第2ケース4の内部の空間が発音側空間であり、発音側空間は、第2ケース4の側壁部4bに形成された発音口4dから外部空間に通じている。
【0041】
図3に示すように、ケース2の外側には、前記発音口4dに通じる発音ノズル41が固定されている。
図2と
図3に示すように、第1ケース3の底部には吸排気口3dが形成されており、振動板11および振動支持シート12よりも下側であって第1ケース3の内部空間が、吸排気口3dによって外気に通じている。
図2に示すように、第1ケース3の側壁部3bには一対の配線穴3eが開口しており、
図3に示すように、コイル27を構成する導線の一対の端末部27bがそれぞれ配線穴3eから外部に引き出されている。ケースの側壁部3bの外部には基板42が固定され、端末部27bが基板42に形成された小穴内を通過している。この小穴が塞がれることで、配線穴3eが外側から閉鎖される。
【0043】
ボイス電流がコイル27に与えられると、コイル27で誘導された磁界と、第1磁石24の着磁面24aと第2磁石25の着磁面25aとの間に生成される磁界とで、アーマチュア32の可動部32aにZ方向への振動力が与えられる。この振動は伝達体33を介して振動板11に伝達される。振動支持シート12で支持されている振動板11は、支点側端部11cを支点として自由端11bがZ方向へ振れて振動し、振動板11に振動が伝達されて、第2ケース4の内部の発音空間に音圧が生成され、この音圧が発音口4dから外部へ出力される。
【0044】
この発音装置1は、振動体10を構成する振動支持シート12の周囲固定部14が、フレーム5の開口部の内端面6aに接着剤層18を介して固定されている。そのため、第1ケース3および第2ケース4と、フレーム5の被挟持部7とのレーサースポット溶接部に接着剤が付着することがなく、レーサースポット溶接部の溶接欠陥が生じるのを防止できる。
【0045】
また、
図8に示すように、フレーム5の開口部6の開口縁部6bと、振動板支持部13との境界部に接着剤溜まり18aが形成されているため、振動支持シート12をフレーム5の開口部6内に強固に固定することができる。しかも、接着剤溜まり18aは振動支持シート12の隆起変形部15から離れた位置にあるため、隆起変形部15に接着剤が付着しにくくなり、隆起変形部15の剛性が接着剤の付着により高くなるのを防止することができる。
【0046】
よって、振動支持シート12の隆起変形部15の変形に基づいて、振動板11を軽い負荷で振動させることが可能である。
【0047】
図9以下は、本発明におけるフレーム5と振動支持シート12との接合構造の変形例を示している。
【0048】
図8に示す実施の形態では、振動支持シート12の振動板支持部13が、フレーム5の上面5bとほぼ同一面に位置しており、接着剤溜まり18aは、フレーム5の上面5bよりも下側に形成されている。
【0049】
図9に示す変形例では、振動支持シート12の周囲窪み部16の底面16bが、フレーム5の上面5bよりも下側に位置しているが、振動板支持部13は上面5bよりも上方に位置している。
図10に示す変形例では、振動板支持部13と周囲窪み部16の底面16bの双方がフレーム5の上面5bよりも上方に位置している。
【0050】
図9と
図10に示す変形例は、接着剤溜まり18aがフレーム5の上面5bよりも上方に位置しているが、周囲窪み部16の側面16aが接着剤を堰き止めているため、接着剤が隆起変形部15に付着するのを防止できる。
図9と
図10では、接着剤溜まり18aの接着剤がフレーム5の上面5bにやや流れ出ているが、その量が多いと、第1ケース3と第2ケース4およびフレーム5のレーザ溶接部に及ぶ確率が高くなる。これを避けるためには、
図9に示すように、周囲窪み部16の底面16bが、フレーム5の上面5bよりも下側に位置することが好ましく、さらには、
図8に示すように、振動支持シート12の振動板支持部13が、フレーム5の上面5bと同一面かあるいはそれよりも下に位置していることが好ましい。
【0051】
図11に示す変形例では、振動支持シート12に周囲窪み部が形成されておらず、振動板支持部13が、フレーム5の上面5bよりも下側に位置している。フレーム5の上面5bと振動板支持部13の上面との間に段差部116が形成されており、この段差部116に接着剤溜まり18bが設けられている。なお、接着剤溜まり18bの接着剤が隆起変形部15に流れないように、接着剤を塗布して接着剤溜まり18bを形成する工程で、振動板支持部13の上にストッパSTが設置される。
【0052】
図12と
図13に示す変形例では、振動支持シート12に周囲窪み部16が形成されておらず、フレーム5の開口部6の内端面6aの上縁部にフレーム側窪み部216,316が形成されている。
図12に示すフレーム側窪み部216は、側面216aと底面216bを有する角溝であり。
図13に示すフレーム側窪み部316は傾斜面である。
【0053】
図12と
図13に示す変形例でも、振動支持シート12の振動板支持部13と、フレーム5の開口部6の開口縁部との間に、接着剤溜まり18c,18dを形成することができる。
【0054】
なお、振動支持シート12の振動板支持部13に周囲窪み部16を形成するとともに、フレーム5にフレーム側窪み部216,316を形成し、周囲窪み部とフレーム側窪み部との対向部に接着剤溜まりが形成されていてもよい。
【0055】
本出願は2017年1月13日に出願した日本国特許出願第2017−003912号に基づくものであり、その全内容は参照することによりここに組み込まれる。