(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、投薬指導の際に、過去の薬理ワードを抽出し管理するのみであるため、適切な指導内容を得ることはできないという課題がある。また、単に過去の薬理ワードを参考にするだけであるため、適切な投薬指導を支援するまでには至らないという課題がある。
【0006】
本発明は、薬剤師による投薬指導に用いられる指導支援情報を、適切かつ効率的に生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る投薬指導支援装置は、薬剤師による投薬指導を支援する投薬指導支援装置において、
前記投薬指導を示す投薬指導データを蓄積した指導履歴情報から、抽出比率に応じた数の投薬指導データを評価対象情報として抽出する抽出部と、
前記評価対象情報に含まれる投薬指導データにより示される投薬指導が適切か否かを評価した評価結果と、前記評価結果の根拠となる評価キーワードとを受け付け、前記評価結果が適切の場合に、当該投薬指導データと前記評価キーワードを対応付けて採用キーワード情報に設定する評価用情報設定部と、
前記採用キーワード情報に基づいて、前記指導履歴情報のうち前記評価対象情報に含まれる投薬指導データ以外の投薬指導データが適切か否かを判定する指導判定部とを備えた。
【0008】
前記投薬指導支援装置は、
前記指導判定部により適切と判定された投薬指導データを用いて、前記投薬指導の支援に用いる指導支援情報を生成する指導支援生成部を備えた。
【0009】
前記指導判定部は、
前記指導判定部により適切と判定された投薬指導データを評価判定データとして、前記評価判定データに含まれる指導内容を評価判定キーワードに分割し、前記採用キーワード情報から前記評価判定データに対応する評価キーワードを抽出し、前記評価判定キーワードのうちの前記評価キーワードの数を計数し、前記採用キーワード情報に含まれる前記評価キーワードの全数に対する前記評価キーワードの数の割合を算出する。
【0010】
前記指導判定部は、
前記割合が閾値以上の場合に、前記評価判定データが適切であると判定する。
【0011】
前記評価用情報設定部は、
前記評価結果が不適切の場合に、各投薬指導データに含まれる属性と、前記評価キーワードの組み合わせとを不採用組合せ情報に設定し、
前記指導判定部は、
前記不採用組合せ情報から前記評価判定データに含まれる属性に対応する評価キーワードの組み合わせを抽出し、前記割合が閾値以上であり、かつ、前記評価判定キーワードの中に前記評価キーワードの組み合わせが存在しない場合に、前記評価判定データが適切であると判定する。
【0012】
前記指導支援情報は、
前記評価判定データに対応する前記割合を含む。
【0013】
前記評価用情報設定部は、
前記評価対象情報に含まれる投薬指導データの詳細を表す投薬指導詳細画面を表示し、前記投薬指導詳細画面を介して、前記投薬指導データに対する前記評価結果と前記評価キーワードとを受け付ける。
【0014】
前記抽出部は、
前記指導履歴情報から、前記抽出比率に応じてランダムに投薬指導データを抽出する。
【0015】
前記指導支援生成部は、
投薬指導の属性を指導属性として受け付け、前記指導属性を用いて前記指導支援情報を絞り込み、前記指導属性を含む投薬指導データの一覧を表示する。
【0016】
前記指導支援生成部は、
前記指導属性を含む投薬指導データの一覧を前記割合の大きい順に表示する。
【0017】
前記指導支援生成部は、
投薬指導の属性を指導属性として受け付け、前記指導属性を用いて、予め投薬指導の属性と指導文とが対応付けられた指導文テンプレートを絞り込み、前記指導属性に対応する指導文の一覧を表示する。
【0018】
本発明に係る投薬指導支援方法は、薬剤師による投薬指導を支援する投薬指導支援装置の投薬指導支援方法において、
抽出部が、前記投薬指導を示す投薬指導データを蓄積した指導履歴情報から、抽出比率に応じた数の投薬指導データを評価対象情報として抽出し、
評価用情報設定部が、前記評価対象情報に含まれる投薬指導データにより示される投薬指導が適切か否かを評価した評価結果と、前記評価結果の根拠となる評価キーワードとを受け付け、前記評価結果が適切の場合に、当該投薬指導データと前記評価キーワードを対応付けて採用キーワード情報に設定し、
指導判定部が、前記採用キーワード情報に基づいて、前記指導履歴情報のうち前記評価対象情報に含まれる投薬指導データ以外の投薬指導データが適切か否かを判定する。
【0019】
本発明に係る投薬指導支援プログラムは、薬剤師による投薬指導を支援する投薬指導支援装置の投薬指導支援プログラムにおいて、
前記投薬指導を示す投薬指導データを蓄積した指導履歴情報から、抽出比率に応じた数の投薬指導データを評価対象情報として抽出する抽出処理と、
前記評価対象情報に含まれる投薬指導データにより示される投薬指導が適切か否かを評価した評価結果と、前記評価結果の根拠となる評価キーワードとを受け付け、前記評価結果が適切の場合に、当該投薬指導データと前記評価キーワードを対応付けて採用キーワード情報に設定する評価用情報設定処理と、
前記採用キーワード情報に基づいて、前記指導履歴情報のうち前記評価対象情報に含まれる投薬指導データ以外の投薬指導データが適切か否かを判定する指導判定処理と
をコンピュータである投薬指導支援装置に実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る投薬指導支援装置では、抽出部は、抽出比率に基づいて、投薬指導の履歴が蓄積された指導履歴情報の一部の投薬指導データを評価対象情報として抽出する。評価用情報設定部が、各投薬指導データに対する評価結果とその評価結果の根拠となった評価キーワードとを受け付ける。そして、評価用情報設定部が、評価結果が適切の場合に、その投薬指導データと評価キーワードを対応付けて採用キーワード情報に設定する。指導判定部は、採用キーワード情報に基づいて、指導履歴情報のうちの評価対象情報に含まれる投薬指導データ以外の投薬指導データが適切か否かを自動的に判定する。よって、本発明に係る投薬指導支援装置によれば、薬剤師による投薬指導に用いられる指導支援情報を生成するための適切な投薬指導データを、適切かつ効率的に判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0023】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を用いて、本実施の形態に係る投薬指導支援装置100の構成例について説明する。
投薬指導支援装置100は、薬局等において薬剤師が用いるレセプトコンピュータといった店舗端末装置に搭載されている。あるいは、投薬指導支援装置100は、店舗端末装置とネットワークを介して通信する構成でもよい。
薬剤師は、薬局に来局した患者に対しヒアリングを行い、処方薬の服薬といった事項に関する指導を行う。このような指導は、投薬指導、あるいは服薬指導と呼ばれる。本実施の形態に係る投薬指導支援装置100は、薬剤師による投薬指導を支援するものである。
本実施の形態では、まず、薬剤師による投薬指導を支援するための指導支援情報157が生成される。そして、薬剤師は、指導支援情報157を用いながら投薬指導および指導履歴情報151の作成を行う。以下の説明において、薬剤師の指導役である管理薬剤師といった有識者を管理者という。
【0024】
投薬指導支援装置100は、コンピュータである。投薬指導支援装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0025】
投薬指導支援装置100は、機能要素として、抽出部110と評価用情報設定部120と指導判定部130と指導支援生成部140と記憶部150を備える。記憶部150には、指導履歴情報151と抽出比率152と評価対象情報153と採用キーワード情報154と不採用キーワード情報155と閾値156と指導支援情報157が記憶される。
【0026】
抽出部110と評価用情報設定部120と指導判定部130と指導支援生成部140の機能は、ソフトウェアにより実現される。
記憶部150は、メモリ921に備えられる。
【0027】
プロセッサ910は、投薬指導支援プログラムを実行する装置である。投薬指導支援プログラムは、抽出部110と評価用情報設定部120と指導判定部130と指導支援生成部140の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0028】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0029】
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0030】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
評価用情報設定部120は、出力インタフェース940を介して、投薬指導詳細画面121をディスプレイといった出力機器に表示する。また、評価用情報設定部120は、タッチパネルでもあるディスプレイを介して、投薬指導データに対する評価結果と評価キーワードとを受け付ける。投薬指導データに対する評価結果と評価キーワードとは、管理者によりタッチパネルといった入力機器を介して入力される。
【0031】
通信装置950は、ネットワークを介して他の装置と通信する。通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、有線または無線で、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0032】
投薬指導支援プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、投薬指導支援プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、投薬指導支援プログラムを実行する。投薬指導支援プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている投薬指導支援プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、投薬指導支援プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0033】
投薬指導支援装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、投薬指導支援プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、投薬指導支援プログラムを実行する装置である。
【0034】
投薬指導支援プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0035】
抽出部110と評価用情報設定部120と指導判定部130と指導支援生成部140の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。投薬指導支援プログラムは、抽出処理と評価用情報設定処理と指導判定処理と指導支援生成処理を、コンピュータに実行させる。また、投薬指導支援方法は、投薬指導支援装置100が投薬指導支援プログラムを実行することにより行われる方法である。
投薬指導支援プログラムは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。また、投薬指導支援プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0036】
***動作の説明***
次に、
図2を用いて、本実施の形態に係る投薬指導支援装置100の動作である投薬指導支援処理S100について説明する。
【0037】
ステップS101において、抽出部110は、指導履歴情報151から、抽出比率152に応じた数の投薬指導データを評価対象情報153として抽出する。抽出部110は、指導履歴情報151から、抽出比率152に応じてランダムに投薬指導データを抽出する。
【0038】
図3は、本実施の形態に係る指導履歴情報151と、指導履歴情報151から抽出された評価対象情報153の例を示す図である。
指導履歴情報151は、投薬指導を表す投薬指導データ51を蓄積した情報である。投薬指導データ51は、薬剤師が投薬指導をする度に、その投薬指導の内容を記録する履歴データである。指導履歴情報151は、薬歴情報ともいう。投薬指導データ51は、薬歴ともいう。投薬指導データ51は、投薬指導の属性511と指導内容512とを含む。投薬指導の属性511と指導内容512については、後で詳しく説明する。
【0039】
抽出比率152は、予め管理者等により定められる。
図3に示すように、抽出比率が10%の場合、抽出部110は、指導履歴情報151から、指導履歴情報151に蓄積された投薬指導データ51の数の10%の数の投薬指導データ51をランダムに抽出し、評価対象情報153とする。
なお、抽出比率は、10%あるいは15%といった割合でもよいし、20個あるいは30個といった個数でもよい。また、評価対象情報153は、抽出部110により自動的に抽出されてもよいし、管理者が指導履歴情報151から手作業でピックアップしてもよい。
【0040】
ステップS102において、評価用情報設定部120は、評価対象情報153に含まれる投薬指導データ51により示される投薬指導が適切か否かを評価した評価結果211と、評価結果の根拠となる評価キーワード212とを受け付ける。評価用情報設定部120は、評価対象情報153に含まれる投薬指導データ51の詳細を表す投薬指導詳細画面121を表示する。そして、評価用情報設定部120は、投薬指導詳細画面121を介して、投薬指導データ51に対する評価結果211と評価キーワード212とを受け付ける。
具体的には、管理者は、投薬指導詳細画面121を介して、投薬指導データ51に対する評価結果211と評価キーワード212とを入力する。評価用情報設定部120は、管理者により、投薬指導詳細画面121を介して入力された評価結果211と評価キーワード212とを受け付ける。
【0041】
図4は、本実施の形態に係る投薬指導詳細画面121の例を示す図である。
評価用情報設定部120は、管理者により評価対象情報153の1行、すなわち1つの投薬指導データ51が選択されると、選択された投薬指導データ51の詳細を投薬指導詳細画面121として表示する。
投薬指導詳細画面121には、投薬指導データ51の属性511と、指導内容512とが含まれる。属性511には、薬剤師、指導実施日、および患者属性情報が含まれる。患者属性情報には、年齢、性別、患者特記、併用薬、および処方薬が表示される。指導内容512には、投薬指導の内容が表示される。
【0042】
投薬指導詳細画面121が表示されると、管理者により、投薬指導詳細画面121に表示された投薬指導が適切か不適切かの評価結果211が投薬指導詳細画面121に設定される。
図4では、管理者は、投薬指導詳細画面121に表示されている投薬指導データ51を適切と評価し、評価結果211に「適切」を設定している。管理者は、投薬指導詳細画面121に表示されている投薬指導データ51を不適切と評価すると、評価結果211に「不適切」を設定する。そして、管理者は、その評価に至った要因を表す評価キーワードをマーキングする。
【0043】
図5は、本実施の形態に係る投薬指導詳細画面121において評価結果211が適切の場合の評価キーワード212のマーキングの例を示す図である。
管理者は、指導内容512から、評価に至った要因を表す評価キーワード212をマーキングする。また、管理者は、属性511の患者属性情報から患者の属性を表すキーワードをマーキングしてもよい。具体的には、管理者は、属性511の患者属性情報として処方薬をマーキングする。あるいは、評価用情報設定部120が、自動的に、属性511の患者属性情報から処方薬を取得してもよい。
図5では、指導内容512から「A錠」、「頭痛」、および「疑義」が評価キーワード212として選択されている。また、属性511の患者属性情報から処方薬「A錠」が選択されている。
【0044】
図6は、本実施の形態に係る投薬指導詳細画面121において評価結果211が不適切の場合の評価キーワード212のマーキングの例を示す図である。
図6では、指導内容512から「A錠」、「LDLが下がらない」、および「服用させた」が評価キーワード212として選択されている。また、属性511の患者属性情報から処方薬「A錠」が選択されている。
【0045】
ステップS103において、評価用情報設定部120は、評価結果211が適切の場合に、当該投薬指導データ51と評価キーワード212を対応付けて採用キーワード情報154に設定する。具体的には、評価用情報設定部120は、評価結果211が適切の場合に、当該投薬指導データ51に含まれる属性511と評価キーワード212とを採用キーワード情報154に設定する。また、評価用情報設定部120は、評価結果211が不適切の場合に、当該投薬指導データ51に含まれる属性511と評価キーワード212とを不採用キーワード情報155に設定する。
ステップS102およびS103の処理は、評価対象情報153について、繰り返し実行される。
【0046】
図7は、本実施の形態に係る採用キーワード情報154と不採用キーワード情報155の例を示す図である。
図7では、評価用情報設定部120は、評価結果211が適切の場合の投薬指導データ51について、評価キーワード212ごとに1行ずつ、属性511と評価キーワード212を採用キーワード情報154に設定する。属性511は、属性分類および属性内容の欄に設定される。評価キーワード212は、キーワードの欄に1つずつ設定される。同様に、評価用情報設定部120は、評価結果211が不適切の場合の投薬指導データ51について、評価キーワード212ごとに1行ずつ、属性511と評価キーワード212を不採用キーワード情報155に設定する。
【0047】
ステップS104において、指導判定部130は、採用キーワード情報154に基づいて、指導履歴情報151のうち評価対象情報153に含まれる投薬指導データ以外の投薬指導データを評価判定データとして、評価判定データが適切か否かを判定する。具体的には、指導履歴情報151のうちの10%が評価対象情報153として抽出された場合、残りの90%の指導履歴情報151に含まれる各投薬指導データが、評価判定データとなる。そして、指導判定部130は、残りの90%の指導履歴情報151に含まれる評価判定データについて、採用キーワード情報154を用いて、適切か否かを自動的に判定する。
【0048】
図8を用いて、本実施の形態に係る指導判定部130の動作である指導判定処理について説明する。
ステップS41において、指導判定部130は、評価判定データに含まれる指導内容を評価判定キーワード531に分割する。具体的には、以下の通りである。
【0049】
図9は、本実施の形態に係る指導判定処理の具体例を示す図である。
図9の指導判定処理では、
図7の採用キーワード情報154が用いられるものとする。
図9では、評価判定データ53の指導内容は、「A錠を服用後、頭痛を発症したため、医師への受信を喚起した。」である。指導判定部130は、この指導内容を単語単位でキーワードに分割し、評価判定キーワード531とする。ここでは、評価判定キーワード531は、「A錠」、「発症した」、「服用」、「医師」、「頭痛」、「受診」、および「喚起した」となる。
ここで、評価判定キーワード531の抽出は、既存技術の形態素解析技術等を用いて実行される。
【0050】
ステップS42において、指導判定部130は、採用キーワード情報154から評価判定データ53に含まれる属性に対応する評価キーワードを抽出する。具体的には、指導判定部130は、評価判定データ53に含まれる属性である処方薬「A錠」を用いて、採用キーワード情報154を検索する。指導判定部130は、処方薬「A錠」に対応する採用キーワード情報154の評価キーワードをすべて抽出する。
図9では、
図7の採用キーワード情報154から「A錠」、「頭痛」、「疑義」、「医師」、および「受診」が抽出されている。
【0051】
ステップS43において、指導判定部130は、評価判定キーワード531のうちの評価キーワードの数を計数し、全評価キーワードの数に対する評価キーワードの数の割合Rを算出する。
図9の例では、評価判定キーワード531の数が5であり、そのうち評価キーワードの数が4であるため、割合R=4÷5=80%となる。
【0052】
ステップS44において、指導判定部130は、割合Rが閾値156以上の場合に、評価判定データ53が適切であると判定する。指導判定部130は、割合Rが閾値156より小さい場合は、評価判定データ53が不適切であると判定する。具体的には、閾値156が55%の場合、指導判定部130は、割合57%の評価判定データ53を適切であると判定する。一方、指導判定部130は、割合48%の評価判定データ53は不適切であると判定する。
以上で、指導判定処理の動作の説明を終わる。
【0053】
図2に戻り説明を続ける。
ステップS105において、指導支援生成部140は、指導判定部130により適切と判定された投薬指導データである評価判定データ53を用いて、投薬指導の支援に用いる指導支援情報157を生成する。指導支援情報157には、評価判定データ53に対応する割合Rが含まれていてもよい。
【0054】
図10は、本実施の形態に係る指導支援情報157の例を示す図である。
指導支援生成部140は、指導判定部130により適切と判定された評価判定データ53を指導支援情報157に蓄積する。指導支援情報157には、適切と判定された評価判定データ53の情報が設定される。具体的には、指導支援情報157には、属性511として、年齢、性別、患者特記、併用薬、および処方薬が設定される。また、指導支援情報157には、指導内容512として、適切と判定された評価判定データ53の指導内容が設定される。このとき、指導判定部130は、適切と判定された評価判定データ53の割合Rを指導支援情報157に設定してもよい。
このように、指導判定部130がステップS104において評価判定データ53を判定し、指導支援生成部140がステップS105において適切と判定された評価判定データ53を指導支援情報157に蓄積していく。
【0055】
次に、
図11を用いて、本実施の形態に係る指導支援情報157を用いた投薬指導の運用例について説明する。
薬剤師は、ディスプレイに表示された投薬指導データ51を作成するための投薬指導用画面(薬歴作成用画面ともいう)を用いて、患者に対する投薬指導を開始する。
ステップS51において、指導支援生成部140は、投薬指導の属性を指導属性として受け付ける。投薬指導の属性とは、投薬指導を行う患者、具体的には、薬局に来局した患者の属性である。指導支援生成部140は、投薬指導用画面を介して、薬剤師から指導属性を受け付ける。あるいは、指導支援生成部140は、投薬指導用画面とは別に、投薬指導を支援するための支援用画面を表示し、支援用画面を介して、薬剤師から指導属性を受け付けてもよい。
【0056】
ステップS52において、指導支援生成部140は、指導属性を用いて指導支援情報157を絞り込み、指導属性を含む投薬指導データの一覧を表示する。このとき、指導支援生成部140は、評価キーワードの割合Rの大きい順に、投薬指導データの一覧を表示してもよい。指導内容の適正度は評価キーワードの割合Rが大きいほど高いと考えられる。よって、評価キーワードの割合Rの大きい順に投薬指導データの一覧を表示することにより、薬剤師は、適正度の高い投薬指導データから参考にすることができる。
【0057】
投薬指導データの一覧の指導内容は、投薬指導を行う患者の属性に適した指導内容である。薬剤師は、投薬指導データの一覧の指導内容を参考に、患者に対して投薬指導を実施する。
なお、指導支援情報157は、具体的には、1週間ごと、毎月、あるいは2か月毎のように定期的に更新される。あるいは、指導履歴情報151の投薬指導データが所定の数を超えた場合に、指導支援情報157が更新されるとしてもよい。
【0058】
***他の構成***
<変形例1>
図12を用いて、本実施の形態の変形例に係る指導支援情報157を用いた投薬指導の運用例について説明する。
本実施の形態では、指導履歴情報151に蓄積された投薬指導データ51の過去の実績をもとに、投薬指導に用いる指導支援情報157をお手本として作成した。よって、指導履歴情報151に蓄積された投薬指導データ51の適正度が上がれば上がるほど、指導支援情報157の適正度も上がることになる。そこで、薬剤師が、投薬指導の指導文の例文が蓄積された指導文テンプレートを用いて、投薬指導データ51を作成してもよい。
【0059】
ステップS51とステップS52は、
図11と同様である。
さらに、ステップS53において、指導支援生成部140は、投薬指導の属性を指導属性として受け付け、指導属性を用いて、予め投薬指導の属性と指導文とが対応付けられた指導文テンプレートを絞り込む。そして、指導支援生成部140は、指導属性に対応する指導文の一覧を表示する。具体的には、指導支援生成部140は、「処方薬」「患者属性情報」といった情報から、データベースメーカーが作成した指導文テンプレートとの紐付けを行い、画面上に表示する。薬剤師は、必要に応じて、表示された指導文テンプレートを使用し、服薬指導を行う。薬剤師は、指導文テンプレートを使用する際、使用した指導文をコピーして、投薬指導データ51に記録する。また、指導文テンプレートの使用状況、すなわちどの文言を流用したかを、指導文操作実績として記憶部150に記憶してもよい。
【0060】
<変形例2>
図8に示した指導判定部130の処理のうち、ステップS43において算出する割合Rについて別の算出方法が考えられる。指導判定部130は、評価判定キーワード531のうちの評価キーワードの数を計数し、評価判定キーワード531の数に対する評価キーワードの数の割合Rを算出する。その場合は、評価判定キーワード531の数が7であり、そのうち評価キーワードの数が4であるため、割合R=4÷7=約57%となる。
この方法によると、評価判定データ53の投薬指導の文章の中で、採用キーワード情報154が含まれる割合Rが高い投薬指導が適切と判定されることになり、より短い文章で適切と考えられる投薬指導が指導支援情報157に登録される。
一方、
図8に示したステップS43の判定方法によると、全評価キーワードに対する充足率で割合Rを算出するため、評価キーワードを含む文章以外に他の投薬指導も含む、お手本を参照できることになる。
【0061】
<変形例3>
図2で示したステップS105において、指導支援情報157を生成するとき、評価対象情報153のうち、管理者が適切と判断した評価対象情報153を指導支援情報157に含めるように構成してもよい。その場合、指導支援情報157に登録される、お手本が多くなり、より適切な投薬指導を行うことができる効果が期待できる。
【0062】
<変形例4>
図2で示したステップS103において、不採用キーワードを抽出しているが、本実施の形態では不採用キーワードは用いていないので、不採用キーワードに関する処理は省略してもよい。
不採用キーワードに関する処理については、実施の形態2で説明する。
【0063】
<変形例5>
本実施の形態では、投薬指導支援装置100における抽出部110と評価用情報設定部120と指導判定部130と指導支援生成部140の機能がソフトウェアで実現される。しかし、変形例として、抽出部110と評価用情報設定部120と指導判定部130と指導支援生成部140の機能がハードウェアで実現されてもよい。
【0064】
すなわち、
図1において、プロセッサ910を処理回路に置き換えてもよい。
処理回路は、抽出部110と評価用情報設定部120と指導判定部130と指導支援生成部140の機能を実現する専用の電子回路である。処理回路は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated
Circuitの略語である。FPGAは、Field−Programmable Gate Arrayの略語である。
【0065】
別の変形例として、抽出部110と評価用情報設定部120と指導判定部130と指導支援生成部140の一部の機能が専用のハードウェアで実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0066】
プロセッサ910と、メモリ921と、処理回路とを、総称して「プロセッシングサーキットリ」という。つまり、の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0067】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る投薬指導支援装置100によれば、過去の薬歴の一部の投薬指導データから適切な評価キーワードを抽出し、抽出した適切な評価キーワードを用いて残りの投薬指導データの適否を自動的に判定することができる。そして、適切とされた投薬指導データを用いて指導支援情報を作成することができる。よって、本実施の形態に係る投薬指導支援装置100によれば、適切な指導支援情報を効率的に生成することができる。
【0068】
本実施の形態に係る投薬指導支援装置100によれば、指導支援生成部は、評価キーワードの割合Rの大きい順に投薬指導データの一覧を表示する。指導内容の適正度は評価キーワードの割合Rが大きいほど高いと考えられ、評価キーワードの割合Rの大きい順に投薬指導データの一覧を表示することにより、薬剤師は、適正度の高い投薬指導データから参考にすることができる。
【0069】
本実施の形態に係る投薬指導支援装置100によれば、指導属性で絞り込んだ投薬指導データの一覧とともに、指導文テンプレートも参考にすることができる。また、指導文テンプレートの指導文を投薬指導データに記録することができる。よって、投薬指導データ51の適正度が向上し、指導支援情報157の適正度も向上させることができる。
【0070】
実施の形態2.
本実施の形態では、主に、実施の形態1と異なる点について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0071】
図13は、本実施の形態に係る投薬指導支援装置100aの構成例である。
本実施の形態では、実施の形態1の構成に加え、記憶部150に不採用組合せ情報158を備える。
【0072】
図14を用いて、本実施の形態に係る投薬指導支援装置100aの動作である投薬指導支援処理S100aについて説明する。
ステップS101、S102,S105は、実施の形態1と同様である。
ステップS103aにおいて、評価用情報設定部120は、評価結果211が不適切の場合に、各投薬指導データに含まれる属性511と、評価キーワード212の組み合わせとを不採用組合せ情報158に設定する。
【0073】
図15は、本実施の形態に係る不採用組合せ情報158の構成例を示す図である。
評価用情報設定部120は、不採用キーワード情報155に基づいて、不採用組合せ情報158を生成する。不採用組合せ情報158は、属性511と、評価キーワードの組み合わせ513とが対応付けられている。
【0074】
図16は、本実施の形態に係る指導判定部130の動作である指導判定処理のフロー図である。ステップS41、S43は、実施の形態1と同様である。
また、
図17は、本実施の形態に係る指導判定処理の具体例を示す図である。
【0075】
ステップ42aにおいて、指導判定部130は、採用キーワード情報154から評価判定データ53に含まれる属性に対応する評価キーワードを抽出する。また、指導判定部130は、不採用組合せ情報158から評価判定データに含まれる属性に対応する評価キーワードの組み合わせ513を抽出する。
具体的には、指導判定部130は、評価判定データ53に含まれる属性である処方薬「A錠」を用いて、
図7の採用キーワード情報154から「A錠」、「頭痛」、「疑義」、「医師」、および「受診」を抽出する。また、指導判定部130は、評価判定データ53に含まれる属性である処方薬「A錠」を用いて、
図15の不採用組合せ情報158から評価キーワードの組み合わせ513を抽出する。
図15の不採用組合せ情報158から、「A錠」と「LDLが下がらない」、「頭痛」と「服用させた」、および「LDLが下がらない」と「服用させた」が抽出される。
【0076】
ステップS44aにおいて、指導判定部130は、割合Rが閾値156以上であり、かつ、評価判定キーワード531の中に評価キーワードの組み合わせ513が存在しない場合に、評価判定データ53が適切であると判定する。
図17の例では、閾値156が55%とすると、割合80%が閾値156以上であり、かつ、評価判定キーワード531の中に評価キーワードの組み合わせ513と一致する組み合わせが存在しないので、評価判定データ53が適切であると判定される。
【0077】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る投薬指導支援装置100aによれば、採用される評価キーワードの割合だけでなく、不採用の評価キーワードの組み合わせも考慮して、評価判定データの適否を判定できる。よって、本実施の形態に係る投薬指導支援装置100aによれば、指導評価部による指導評価処理の適正度をさらに向上させることができる。
【0078】
以上の実施の形態1から2では、投薬指導支援装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、投薬指導支援装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。投薬指導支援装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、投薬指導支援装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1から2のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、これら実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1から2では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0079】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明の範囲、本発明の適用物の範囲、および本発明の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
【解決手段】抽出部110が、投薬指導データを蓄積した指導履歴情報151から、抽出比率に応じた数の投薬指導データを評価対象情報153として抽出する。評価用情報設定部120が、評価対象情報153に含まれる投薬指導データにより示される投薬指導が適切か否かを評価した評価結果と、評価結果の根拠となる評価キーワードとを受け付ける。評価用情報設定部120が、評価結果が適切の場合に、当該投薬指導データと評価キーワードを対応付けて採用キーワード情報154に設定する。指導判定部130は、採用キーワード情報154に基づいて、指導履歴情報151のうちの残りの評価判定データが適切か否かを判定する。