(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1移行領域は、前記回転軸の軸線方向に関し前記第1支持面の全域を含み、前記第2移行領域は、前記回転軸の軸線方向に関し前記第2支持面の全域を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の軸受体。
【背景技術】
【0002】
回転軸を軸線回り回転可能に摺接支持する軸受体は種々の分野で広く利用されている。
例えば、プリンタやファクシミリ等の画像形成装置におけるシート搬送構造においても前記軸受体が利用されている。
【0003】
図10に、従来の軸受体200の斜視図を示す。
図11に、前記従来の軸受体200を用いたシート搬送構造300の模式平面図を示す。
さらに、
図12及び
図13に、それぞれ、
図11におけるXII-XII線及びXIII-XIII線に沿った断面図を示す。
【0004】
図11〜
図13に示すように、前記シート搬送構造300は、第1回転軸110と、前記第1回転軸110の軸線方向両側において前記第1回転軸を支持する一対の軸受体200、200と、前記第1回転軸110に対して平行で且つ互いに対して近接する方向へ相対的に押圧された第2回転軸120とを備えており、前記第1及び第2回転軸110、120をそれぞれ駆動軸及び従動軸として作用させることで、両回転軸110、120の間でシート105を狭持搬送する。
【0005】
前記第2回転軸120は、軸線回りに回転される軸本体121と、軸線方向に関し前記一対の軸受体200、200の間において、搬送されるシート105を前記第1回転軸110との間で挟圧し得るように前記軸本体121に相対回転可能に支持された加圧ローラ125とを有している。
【0006】
図11〜
図13に示すようなシート搬送構造300においては、前記第1回転軸110のうち、前記一対の軸受体200、200の間に位置する中央部分に、前記第2回転軸120から下方向きの荷重が付加されることになり、前記第1回転軸110の中央部分が前記軸受体200との接触点を支点として下方に撓むことになる。
【0007】
ここで、従来の軸受体200は、
図10に示すように、前記第1回転軸110の軸線方向中央側を向く平面状の内端面211と、前記第1回転軸110の軸線方向外方側を向く平面状の外端面213と、前記内端面211及び前記外端面213の上端部同士を連結する上面215と、前記内端面211及び前記外端面213の下端部同士を連結し、設置面を形成する下面217と、前記内端面211、前記外端面213、前記上面215及び前記下面217の幅方向一方側の端部を連結する第1側面219と、前記内端面211、前記外端面213、前記上面215及び前記下面217の幅方向他方側の端部を連結する第2側面221とを有している。
【0008】
そして、前記上面215には、前記第1回転軸110の軸線を通る仮想中央垂直面VP(
図13参照)が通過する位置を最下点とし、前記最下点から幅方向一方側へ行くに従って上方に位置するように傾斜された平面状の第1支持面231と、前記仮想中央垂直面VPを基準にして前記第1支持面231と対称配置され、前記第1支持面231と共働してV字状の軸受溝を形成する平面状の第2支持面232とが設けられており、前記第1回転軸110は、前記第1及び第2支持面231、232によって、幅方向移動不能且つ軸線回り回転可能に摺接支持される。
【0009】
前記軸受体200は下記不都合を有している。
図10に示すように、前記従来の軸受体200においては、前記第1及び第2支持面231、232は平面方向が前記第1回転軸110の軸線方向に平行とされており、略垂直に沿った平面状の前記内端面211に対して略直角で交差している。
【0010】
従って、前記第1回転軸110のうち前記一対の軸受体200、200の間に位置する中央部分に下方を向く荷重が付加されて当該中央部分が下方へ撓むと、前記第1回転軸110が、前記第1支持面231及び前記内端面211の間の略直角の境界エッジ、並びに、前記第2支持面232及び前記内端面211の間の略直角の境界エッジに点接触することになり、前記第1回転軸110の外表面が損傷する虞がある。
【0011】
この点は、特に、前記第1回転軸110が外表面に塗装膜を有する場合に問題となる。
即ち、前記第1回転軸110のうちシート105に接する部位には、搬送性能の向上を図る為に、セラミック等のフィラーを含んだ塗装膜が設けられるが、仕様又は要望に応じて、フィラーを含んだ前記塗装膜の下地として、前記軸受体200によって支持される部位を含む前記第1回転軸110の全域に防錆用塗装膜が設けられる場合がある。
【0012】
このように、前記第1回転軸110のうち前記軸受体200によって支持される部位に防錆用塗装膜が設けられている場合には、前記第1回転軸110と前記従来の軸受体200との点接触によって前記防錆用塗装膜の剥離が生じ、前記第1回転軸110の耐久性が損なわれることになる。
【0013】
また、他の構成の軸受体として、支持すべき回転軸の外周形状に沿った円弧状軸受溝を有する軸受体も提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
【0014】
前記特許文献1に記載の軸受体は、前記回転軸の軸線方向中央側を向く平面状の内端面と、前記回転軸の軸線方向外方側を向く平面状の外端面と、前記内端面及び前記外端面の上端部同士を連結する上面と、前記内端面及び前記外端面の下端部同士を連結する下面と、前記内端面及び前記外端面の幅方向一方側の端部同士を連結する第1側面と、前記内端面及び前記外端面の幅方向他方側の端部同士を連結する第2側面とを有している。
【0015】
前記軸受体には、前記上面及び前記内端面に開く軸受溝が設けられている。
前記軸受溝は、前記回転軸の軸線方向に沿って視た形状が当該回転軸の外周円形状の一部に沿った円弧状とされている。
【0016】
前記軸受体においても、前記円弧状軸受溝の内周面と前記内端面とが略直角で交差しており、従って、前記回転軸の軸線方向中央部分に下方を向く荷重が付加されると、
図10に示す前記軸受体200と同様の不都合が生じる。
【0017】
また、前記特許文献1の記載の軸受体において前記回転軸を安定して支持する為には、前記軸受溝の円弧形状の曲率半径を前記回転軸の半径に厳密に一致させる必要があり、前記軸受体の製造コストを低減し難いという問題もある。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施の形態1
以下、本発明に係る軸受体の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係る軸受体1Aの斜視図を示す。
また、
図2に、前記軸受体1Aを備えた、プリンタ等の画像形成装置におけるシート搬送構造100の模式平面図を示す。
さらに、
図3及び
図4に、それぞれ、
図2におけるIII-III線及びIV-IV線に沿った模式断面図を示す。
【0030】
まず、前記シート搬送構造100について説明する。
前記シート搬送構造100は、送紙ローラとして作用する第1回転軸110と、前記第1回転軸110と共働して紙等のシート105を挟圧搬送するように前記第1回転軸110に対して平行で且つ近接する方向に相対的に押圧された第2回転軸120とを備えており、前記第1及び第2回転軸110、120がそれぞれ駆動軸及び従動軸として作用する。
【0031】
前記シート搬送構造100は、さらに、前記第1回転軸110の軸線方向一方側及び他方側をそれぞれ幅方向移動不能且つ軸線回り回転可能に摺接支持する一対の前記軸受体1A、1Aを備えている。
【0032】
前記第2回転軸120は、軸線回りに回転される軸本体121と、軸線方向に関し前記一対の軸受体1A、1Aの間において、搬送されるシート105を前記第1回転軸110との間で挟圧し得るように前記軸本体121に相対回転可能に支持された加圧ローラ125とを有している。
【0033】
図2〜
図4に示す前記シート搬送構造100においては、前記第1回転軸110のうち、前記一対の軸受体1A、1Aの間に位置する中央部分に、前記第2回転軸120から下方への荷重が付加されることになり、前記第1回転軸110の中央部分が前記軸受体1Aとの接触点を支点として下方に撓むことになる。
【0034】
この点に関し、本実施の形態に係る前記軸受体1Aは、支持すべき回転軸(
図2〜
図4においては前記第1回転軸110)のうち当該軸受体1Aより軸線方向中央側に位置する中央部分に下方への荷重が付加される場合であっても、前記回転軸(前記第1回転軸110)が損傷することを有効に防止乃至は低減しつつ前記回転軸を軸線回り回転可能に摺接支持し得るように、下記構成を備えている。
【0035】
即ち、
図1〜
図4に示すように、前記軸受体1Aは、前記回転軸110の軸線方向一方側である第1側(本実施の形態においては軸線方向中央側)を向く第1端面11と、前記回転軸110の軸線方向他方側である第2側(本実施の形態においては軸線方向外方側)を向く第2端面13と、前記回転軸110の軸線方向に関し前記第1端面11及び前記第2端面13の間に位置し、前記回転軸を支持する第1及び第2支持面31、32とを有している。
【0036】
なお、本実施の形態に係る前記軸受体1Aは、さらに、前記内端面11及び前記外端面13の上端部同士を連結する上面15と、前記内端面11及び前記外端面13の下端部同士を連結し、設置面を形成する下面17と、前記内端面11、前記外端面13、前記上面15及び前記下面17の幅方向一方側の端部を連結する第1側面19と、前記内端面11、前記外端面13、前記上面15及び前記下面17の幅方向他方側の端部を連結する第2側面21とを有しており、前記第1及び第2支持面31、32は前記上面15に設けられている。
【0037】
詳しくは、前記第1及び第2支持面31、32は、前記回転軸110の軸線を通って略垂直に延びる仮想中央垂直面VP(
図2及び
図4参照)を基準にして互いに対して対称となるように前記仮想中央垂直面VPより前記回転軸110の幅方向一方側及び他方側にそれぞれ配置されている。
【0038】
図1及び
図4に示すように、前記第1及び第2支持面31、32は、前記仮想中央垂直面VPの側から前記回転軸110の幅方向外方側へ行くに従って上方に位置する傾斜状とされており、これにより、両者の間に配置された前記回転軸110を幅方向移動不能且つ軸線回り回転可能に摺接支持し得るようになっている。
【0039】
なお、本実施の形態においては、
図1等に示すように、前記上面15は、前記第1及び第2支持面31、32に加えて、前記第1支持面31の上端から前記回転軸110の幅方向一方側外方へ略水平に延びる第1水平面33と、前記第2支持面32の上端から前記回転軸110の幅方向他方側外方へ略水平に延びる第2水平面34とを有している。
【0040】
ここで、
図1等に示すように、本実施の形態に係る前記軸受体1Aにおいては、前記第1支持面31から第1移行領域35を介して前記第1端面11へ移行されており、前記第1移行領域35は、前記回転軸110の軸線方向に関し第2側から第1側(本実施の形態においては軸線方向外方側から中央側)へ行くに従って法線の向きが前記回転軸110の軸線に対して直交する方向から平行な方向へ変化するように、斜め上方に凸状の湾曲形状とされている。
【0041】
そして、前記第2支持面32から第2移行領域36を介して前記第1端面11へ移行されており、前記第2移行領域36は、前記仮想中央垂直面VPを基準にして前記第1移行領域31と対称な形状、即ち、前記回転軸110の軸線方向に関し第2側から第1側(本実施の形態においては軸線方向外方側から中央側)へ行くに従って法線の向きが前記回転軸110の軸線に対して直交する方向から平行な方向へ変化するように、斜め上方に凸状の湾曲形状とされている。
【0042】
なお、
図1においては、従来の軸受体200(下記
図10参照)における平面状の第1支持面231、平面状の第2支持面232及び平面状の第1端面211を破線で示している。
【0043】
前記第1移行領域35は、例えば、平面状の第1支持面231、第2支持面232及び第1端面211を有する従来の軸受体200に対して、前記第1支持面231及び前記第1端面211の間の仮想エッジ231aを中心として前記第1支持面231の側及び前記第1端面211の側へ跨がる領域を上方に凸状の湾曲形状となるように削り取ることで形成され得る。
【0044】
同様に、前記第2移行領域36は、前記従来の軸受体200に対して、前記第2支持面232及び前記第1端面211の間の仮想エッジ232aを中心として前記第2支持面232の側及び前記第1端面231の側へ跨がる領域を上方に凸状の湾曲形状となるように削り取ることで形成され得る。
【0045】
斯かる構成を備えた前記軸受体1Aによれば、前記第1回転軸110の中央部分に下方への荷重が付加されて前記中央部分が下方へ撓んだとしても、前記第1回転軸110が前記軸受体1Aのエッジ部分に接触して前記第1回転軸110の外表面が損傷することを有効に防止乃至は低減することができる。
【0046】
本実施の形態においては、
図1等に示すように、前記第1移行領域35は前記第1支持面31の軸線方向全域を含み、前記第2移行領域36は前記第2支持面32の軸線方向全域を含んでいるが、これに代えて、前記第1及び第2移行領域35、36がそれぞれ前記第1及び第2支持面31、32の軸線方向一部のみを含むように構成することも可能である。
【0047】
図5に、本実施の形態の第1変形例に係る軸受体1Bの斜視図を示す。
なお、
図5中、前記本実施の形態におけると同一部位には同一符号を付している。
【0048】
図5に示すように、前記第1変形例1Bにおいては、前記第1及び第2支持面31、32は、それぞれ、前記外端面13から前記回転軸110の軸線方向に関し第2側から第1側(本変形例においては軸線方向外方側から中央側)へ前記回転軸110の軸線方向に対し平行に延びて前記軸受体1Bの厚み内において終焉する第1及び第2平面領域31a、32aを有している。
【0049】
そして、前記第1及び第2移行領域35、36はそれぞれ前記第1及び第2平面領域31a、32aの軸線方向第2側(本実施の形態においては軸線方向中央側)から開始している。
斯かる構成の前記第1変形例1Bにおいても本実施の形態1Aと同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施の形態に係る軸受体1Aは、
図1及び
図4等に示すように、前記仮想中央垂直面VPが通過する位置を最下点とし、前記最下点から幅方向一方側へ行くに従って上方に位置する第1傾斜面41と、前記最下点から幅方向他方側へ行くに従って上方に位置し、前記第1傾斜面41と共働してV溝を形成する第2傾斜面42とを有しており、前記第1及び第2傾斜面41、42の幅方向全域がそれぞれ前記第1及び第2支持面31、32を形成している。
【0051】
そして、本実施の形態においては、
図1等に示すように、前記第1移行領域35は、前記回転軸110の幅方向に関し前記第1支持面31の全域に亘って設けられており、前記第2移行領域36は、前記回転軸110の幅方向に関し前記第2支持面32の全域に亘って設けられている。
【0052】
これに代えて、
図6に示す第2変形に係る軸受体1Cにおけるように、前記第1傾斜面41とされている前記第1支持面31の最下点から最上点までの間の一部の領域にのみ前記第1移行領域35が設けられ、前記第2傾斜面42とされている前記第2支持面32の最下点から最上点までの間の一部の領域にのみ前記第2移行領域36が設けられるように変形することも可能である。
斯かる構成の前記第2変形例1Cにおいても本実施の形態1Aと同様の効果を得ることができる。
【0053】
さらに、本実施の形態に係る軸受体1Aは、
図1及び
図4等に示すように、前記第1及び第2支持面31、32を一体的に有しているが、これに代えて、
図7に示す第3変形例に係る軸受体1Dにおけるように、前記第1支持面31を有する部材と前記第2支持面32を有する部材とを別体とすることも可能である。
【0054】
即ち、前記第3変形例に係る軸受体1Dは、前記第1支持面31を有する第1分割軸受体5と、前記第2支持面32を有し、前記第1分割軸受体5とは別体とされた第2分割軸受体6とを有しており、前記第1及び第2分割軸受体5、6がそれぞれ個別に設置される。
斯かる構成の前記第3変形例1Dにおいても本実施の形態1Aと同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、当然ながら、前記第1及び第2変形例に係る軸受体1B、1Cにおいても、前記第1支持面31を有する部材と前記第2支持面32を有する部材とを別体形成することも可能である。
【0056】
さらに、本実施の形態及び前記第1〜第3変形例に係る軸受体1A〜1Dは上方が開放された載置台形状とされているが、これに代えて、
図8に示す第4変形例に係る軸受体1Eにおけるように、支持すべき回転軸を囲繞するように構成することも可能である。
【0057】
即ち、前記第4変形例に係る軸受体1Eは、支持すべき回転軸が挿通される中空のリング状とされており、前記回転軸の軸線方向一方側である第1側(本変形例においては軸線方向中央側)を向く環状の第1端面51と、前記回転軸の軸線方向他方側である第1側(軸線方向外方側)を向く環状の第2端面53と、前記第1端面51及び前記第2端面53の径方向外端部同士を連結する外周面55と、前記第1端面51及び前記第2端面53の径方向内端部同士を連結する内周面57とを有しており、前記内周面57に前記第1及び第2支持面31、32が設けられている。
斯かる構成の前記第4変形例1Eにおいても本実施の形態1Aと同様の効果を得ることができる。
【0058】
ここで、本実施の形態に係る軸受体1Aの一例(実施例)を用いたシート搬送構造100に対して行った検証実験について説明する。
【0059】
検証実験は以下の条件で行った。
前記第1回転軸110として、長さ300mm、外径10mmの鋼鉄製の回転軸であって、外表面にエポキシフェノール系塗料によって形成された厚み5μmの塗膜が設けられた回転軸を用意し、前記第1回転軸110の軸線方向両端部を、
図1に示す形状を有する、POM樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)で形成された厚さ8mmの軸受体1A、1Aで2点支持させた。
【0060】
前記第2回転軸120として、鋼鉄製の軸本体121にウレタン樹脂製の5つの加圧ローラ125が支持された回転軸を用意し、
図2〜
図4に示すように、前記第1及び第2回転軸110、120によってA4サイズの普通紙が縦送り姿勢で挟圧搬送されるように、前記第2回転軸120を前記第1回転軸110に向けて加圧状態で配置させた。
【0061】
前記第2回転軸120の前記第1回転軸110に対する加圧の程度は、加圧ローラ1個当たり0.6kg重で、全体として3kg重の荷重が掛かるものとした。
この状態で、前記第1回転軸110をモーターによって回転させた。
前記モーターの回転速度は500rpmとした。
【0062】
A4サイズの普通紙を縦送り姿勢で10万枚搬送するに相当する回転数だけ前記第1回転軸110を回転させた後に前記第1回転軸110の外傷面を撮影した。
その撮影画像の展開図を
図9に示す。
【0063】
比較例として、
図10に示す従来の軸受体200を備えたシート搬送構造300についても同様の実験を行った。
【0064】
図10に示すように、前記従来の軸受体200は、支持すべき回転軸の軸線方向一方側(中央側)を向く平面状の第1端面(内端面)211と、前記回転軸の軸線方向他方側(外方側)を向く平面状の第2外端面213と、前記第1端面211及び前記第2端面213の上端部同士を連結する上面215と、前記第1端面211及び前記第2端面213の下端部同士を連結し、設置面を形成する下面217と、前記第1端面211、前記第2端面213、前記上面215及び前記下面217の幅方向一方側の端部を連結する第1側面219と、前記第1端面211、前記第2端面213、前記上面215及び前記下面217の幅方向他方側の端部を連結する第2側面221とを有しており、前記上面215に、前記回転軸の軸線を通る仮想中央垂直面と交差する位置が最下点となるV字溝を形成するように、前記仮想中央垂直面から前記回転軸の幅方向一方側及び他方側へ行くに従って上方に位置する平面状の第1及び第2支持面231、232が設けられている。
【0065】
図11に、
図10に示す従来の軸受体200を用いたシート搬送構造300の模式平面図を示す。
また、
図12及び
図13に、それぞれ、
図11におけるXII-XII線及びXIII-XIII線に沿った模式断面図を示す。
なお、
図11〜
図13中において、
図2〜
図4におけると同一部材には同一符号を付している。
【0066】
従来の軸受体200を用いたシート搬送構造300に対して、前記シート搬送構造100に対する検証実験と同一加圧条件及び同一回転速度で実験を行った。
A4サイズの普通紙を縦送り姿勢で3万枚搬送するに相当する回転数だけ前記第1回転軸110を回転させた後に前記第1回転軸110の外傷面を撮影した。
その撮影画像の展開図を
図14に示す。
【0067】
図14に示すように、比較例においては、A4サイズの普通紙を縦送り姿勢で3万枚搬送するに相当する回転数だけ前記第1回転軸110を回転させた後に前記第1回転軸110の外表面をチェックすると、前記第1回転軸110の外表面上の塗膜に亀裂が生じていた。
【0068】
これに対し、
図9に示すように、実施例においては、A4サイズの普通紙を縦送り姿勢で10万枚搬送するに相当する回転数だけ前記回転軸110を回転させた後に前記第1回転軸110の外表面をチェックすると、前記第1回転軸110の外表面上の塗膜に亀裂は生じていなかった。
【0069】
実施の形態2
以下、本発明に係る軸受体の他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図15に、本実施の形態に係る軸受体2Aの斜視図を示す。
また、
図16に、前記軸受体2Aを備えた、プリンタ等の画像形成装置におけるシート搬送構造102の模式平面図を示す。
さらに、
図17に、
図16におけるXVII-XVII線に沿った模式断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0070】
前記実施の形態1に係る軸受体1Aにおいては、前記第1及び第2端面11、13のうちの一方の端面(第1端面11)の側にのみ移行領域(前記第1及び第2移行領域35、36)が設けられている。
【0071】
これに対し、本実施の形態に係る軸受体2Aにおいては、
図15に示すように、支持すべき回転軸(前記第1回転軸110)の軸線方向に沿った当該軸受体2Aの厚み方向両側に移行領域が設けられている。
【0072】
即ち、前記軸受体2Aは、前記第1支持面31が第1端面側第1移行領域35を介して前記第1端面11に移行し、前記第2支持面32が前記仮想中央垂直面VP(
図16参照)を基準にして前記第1端面側第1移行領域35と対称とされた第1端面側第2移行領域36を介して前記第1端面11に移行している点は、前記実施の形態1に係る軸受体1Aと共通している。
【0073】
これに加えて、前記軸受体2Aは、
図15に示すように、前記第1支持面31が第2端面側第1移行領域37を介して前記第2端面13に移行し、前記第2支持面32が前記仮想中央垂直面VP(
図16参照)を基準にして前記第2端面側第1移行領域37と対称とされた第2端面側第2移行領域38を介して前記第2端面13に移行するように構成されている。
【0074】
前記第1端面側第1移行領域35及び前記第1端面側第2移行領域36は、前記第1回転軸110の軸線方向一方側へ行くに従って法線の向きが前記第1回転軸110の軸線に対して直交する方向から平行な方向へ変化するように斜め上方に凸状の湾曲形状とされており、他方、前記第2端面側第1移行領域37及び前記第2端面側第2移行領域38は、前記第1回転軸110の軸線方向他方側へ行くに従って法線の向きが前記第1回転軸110の軸線に対して直交する方向から平行な方向へ変化するように斜め上方に凸状の湾曲形状とされている。
【0075】
斯かる構成を備えた前記軸受体2Aによれば、支持すべき回転軸(前記第1回転軸110)を3点以上で支持する場合において、前記第1回転軸110の軸線方向中央部分を支持するように配置された場合であっても、前記第1回転軸110の外表面が損傷することを有効に防止乃至は低減しつつ、前記第1回転軸110を軸線回り回転自在に支持することができる。
【0076】
例えば、支持すべき回転軸(前記第1回転軸110)が長尺の場合や前記第1回転軸110が弱剛性の場合、さらには、前記第1回転軸110を高精度に支持する必要がある場合等には、
図16及び
図17に示すように、前記第1回転軸110の軸線方向両側を支持する一対の第1及び第2端部軸受部材115、116に加えて、前記第1回転軸110の軸線方向中央を支持する一又は複数の中央軸受部材117が必要となる。
【0077】
このような場合、前記第1回転軸110に前記第2回転軸120(
図17参照)から下方への荷重が付加されると、前記第1回転軸110のうち前記第1端部軸受部材115及び前記中央軸受部材117の間に位置する第1中途部分111が、前記第1端部軸受部材115及び前記中央軸受部材117との接触点を支点として下方に撓むことになる。
【0078】
同様に、前記第1回転軸110のうち前記中央軸受部材117及び前記第2端部軸受部材116の間に位置する第2中途部分112が、前記中央軸受部材117及び前記第2端部軸受部材116との接触点を支点として下方に撓むことになる。
【0079】
この際、本実施の形態に係る前記軸受体2Aを前記中央軸受部材117として用いると、前記第1中途部分111の下方への撓みに起因する前記第1回転軸110の損傷を前記第1端面側第1及び第2移行領域35、36によって有効に防止乃至は低減し、且つ、前記第2中途部分112の下方への撓みに起因する前記第1回転軸110の損傷を前記第2端面側第1及び第2移行領域37、38によって有効に防止乃至は低減しつつ、前記第1回転軸1110を支持することができる。
【0080】
また、厚み方向両側に移行領域(前記第1端面側第1及び第2移行領域35、36並びに前記第2端面側第1及び第2移行領域37、38)が設けられている前記軸受体2Aによれば、
図16及び
図17に示すように、当該軸受体2Aを、支持すべき回転軸(前記第1回転軸110)の軸線方向両側を支持する前記一対の第1及び第2端部軸受部材115、116、並びに、前記第1回転軸110の軸線方向中央を支持する前記中央軸受部材117の全てに用いることができる。
従って、前記シート搬送構造102の組立に際し前記軸受体2Aの取付間違いが生じず、作業性の向上を図ることができる。
【0081】
なお、
図16及び
図17に示す前記シート搬送構造102においては、前述の通り、前記中央軸受部材117に加えて前記第1及び第2端部軸受部材115、116にも前記軸受体2Aを用いているが、前記第1及び第2端部軸受部材115、116には前記実施の形態1に係る軸受体1Aを用いることも可能である。
この場合には、前記軸受体1Aは、前記第1及び第2移行領域35、36が設けられた側の前記第1端面11が、前記第1回転軸110の軸線方向中央側を向くように配置される。
【0082】
前記第1端面側第1移行領域35は、例えば、平面状の第1支持面231、第2支持面232及び第1端面211を有する従来の軸受体200(
図10参照)に対して、前記第1支持面231及び前記第1端面211の間の仮想エッジ231a(
図15参照)を中心として前記第1支持面231の側及び前記第1端面211の側へ跨がる領域を上方に凸状の湾曲形状となるように削り取ることで形成され得る。
【0083】
また、前記第1端面側第2移行領域36は、前記従来の軸受体200(
図10参照)に対して、前記第2支持面232及び前記第1端面211の間の仮想エッジ232a(
図15参照)を中心として前記第2支持面232の側及び前記第1端面231の側へ跨がる領域を上方に凸状の湾曲形状となるように削り取ることで形成され得る。
【0084】
同様に、前記第2端面側第1移行領域37は、前記従来の軸受体200(
図10参照)に対して、前記第1支持面231及び前記第2端面213の間の仮想エッジ231b(
図15参照)を中心として前記第1支持面231の側及び前記第2端面213の側へ跨がる領域を上方に凸状の湾曲形状となるように削り取ることで形成され得る。
【0085】
また、前記第2端面側第2移行領域38は、前記従来の軸受体200(
図10参照)に対して、前記第2支持面232及び前記第2端面213の間の仮想エッジ232b(
図15参照)を中心として前記第2支持面232の側及び前記第2端面213の側へ跨がる領域を上方に凸状の湾曲形状となるように削り取ることで形成され得る。
【0086】
好ましくは、前記第1端面側第1移行領域35及び前記第1端面側第2移行領域36は、前記第1回転軸110の軸線方向に沿った前記軸受体2Aの厚み方向中央において前記第1回転軸110の軸線に直交する仮想横断面TP(
図16及び
図17参照)を基準にして前記第2端面側第1移行領域37及び前記第2端面側第2移行領域38に対称とされている
【0087】
本実施の形態に係る軸受体2Aにも、前記実施の形態1におけると同様の変形を行うことができる。
図18〜
図20に、それぞれ、本実施の形態の第1〜第3変形例に係る軸受体2B〜2Dの斜視図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1及び2におけると同一部位には同一符号を付している。
前記第1〜第3変形例2B〜2Dは、それぞれ、前記実施の形態1の第2〜第4変形例1C〜1Eに対応している。