特許第6664543号(P6664543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6664543
(24)【登録日】2020年2月20日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】自動車の内室を清掃する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/64 20060101AFI20200302BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20200302BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20200302BHJP
【FI】
   B60S1/64
   B60R11/04
   G06T7/00 300E
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-508826(P2019-508826)
(86)(22)【出願日】2017年6月28日
(65)【公表番号】特表2019-527650(P2019-527650A)
(43)【公表日】2019年10月3日
(86)【国際出願番号】EP2017065983
(87)【国際公開番号】WO2018033283
(87)【国際公開日】20180222
【審査請求日】2019年2月15日
(31)【優先権主張番号】102016215525.3
(32)【優先日】2016年8月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ビェアン シュトラースダート
(72)【発明者】
【氏名】ズィルヴァン ホロヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】タン−ビン トー
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第10021905(DE,A1)
【文献】 特開2012−91686(JP,A)
【文献】 特開2009−12635(JP,A)
【文献】 特開2013−247938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 1/00−25/12
B60S 1/00
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(2)の内室(1)を清掃する方法であって、
−前記内室(1)の少なくとも1つのフロア領域を、少なくとも1つのカメラ装置(8)を用いて検出するステップと、
−前記フロア領域の汚れ度合いを、前記カメラ装置(8)によって検出された画像の評価によって特定するステップと、
−特定された汚れ度合いが所定の第1の限界値を上回った場合に、少なくとも前記フロア領域を清掃するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記汚れ度合いは、実施された清掃の後で新たに特定され、前記第1の限界値又はより低い第2の限界値と比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記清掃後に検出された前記汚れ度合いが前記第1又は第2の限界値を上回った場合に、前記清掃が新たに実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記汚れ度合いが前記第1及び/又は第2の限界値を上回った場合に、前記汚れ度合い及び/又は実施された前記清掃に関する通知が中央装置に送信される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記汚れ度合いは、前記カメラ装置(8)の現在検出された画像と基準画像との比較によって特定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記清掃の実施のために、少なくとも前記フロア領域が吸引され、前記フロア領域に圧縮空気及び/又は圧縮液体が供給され、前記フロア領域が払拭され及び/又はブラッシングされる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
自動車(2)の内室(1)を清掃する装置であって、
少なくとも1つの駆動制御可能な清掃装置(6)と、
前記自動車(2)の前記内室(1)の少なくとも1つのフロア領域を検出する少なくとも1つのカメラ装置(8)と、
特に請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている制御機器(7)と、
を備えている装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置を備えている自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、自律的に走行する自動車又は自律的に走行可能な自動車として構成された自動車の内室を清掃する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術からは、既に、自動車の内室を清掃する多くの方法及び装置が公知である。そのため、例えば、独国特許出願公開第10021905号明細書(DE10021905A1)には、吸引ブロワ、可動式吸引管路及び当該管路に接続された吸引ヘッドを含む固定的に設置された吸引ユニットを備えている、自動車内室を清掃する装置が開示されている。吸引ユニットは、車両フロア領域に配置されており、吸引ヘッドは、吸引管路によって車両フロアとほぼ平行に案内されている。ここでは、吸引過程は、車両運転者が車両を降りた後で、時間に依存して車両運転者の介入なしに自動的に実施することもできる。この場合、吸引過程は、例えば、運転者がドアをロックし、座席認識システムが車両シートの占有状態を排除した場合に引き起こされる。このことが確定した後で、所定の期間の経過後に清掃過程が実施される。既知の方法によれば、このようにして、自動車又は車両フロアの自動清掃過程が実施される。このことは、自動車を降りた場合、ひいては、車両フロアの汚れが全く発生していないか又はわずかしか発生していない場合であっても、常に清掃が行われるという結果を招いてしまう。このことは、清掃装置の摩耗のみならず車両フロアの摩耗も増加させ、さらにエネルギー消費量の増加も引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10021905号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が基礎とする課題は、清掃の実施に必要なコンポーネントの摩耗を低減し、かつ、車両内室、特に車両フロアの経済的な清掃を保証する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が基礎とする課題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。このことは、低コストかつ低摩耗の方法によって、自動車、特に自律的に走行可能/運転可能な自動車の内室の清掃が、実際に必要なときにのみ実施されるという利点を有する。本発明によれば、このことは、以下のことによって達成される。最初に、内室の少なくとも1つのフロア領域が、特に自動車内で固定的に例えばルーフ内張に設置されている少なくとも1つのカメラ装置を用いて検出される。続いて、検出されたフロア領域の汚れ度合いが、カメラ装置によって検出されたフロア領域の画像の評価によって特定される。この汚れ度合いは、所定の限界値と比較される。特定された汚れ度合いが所定の限界値を上回った場合に、少なくとも検出されたフロア領域の清掃が実施される。このことは、車両フロア又は検出されたフロア領域が全く汚れていないか又はわずかしか汚れていなかった場合に、車両フロアの清掃が行われないという結果をもたらす。これにより、不要な清掃過程が回避され、摩耗及びエネルギー消費全体が低減する。それにより、特に自動車の電動化の増加に伴い、自動車の電気エネルギー蓄積器の負担も軽減される。
【0006】
本発明の好ましい発展形態によれば、汚れ度合いは、実施された清掃の後で新たに特定され、所定の第1の限界値又はより低い第2の限界値と比較され、この場合、汚れ度合いが第1又は第2の限界値を上回った場合に、清掃が新たに実施されることが想定されている。したがって、ここでは、実施された清掃の後で、これが清掃の成功について検査されることが想定されている。車両フロア又はフロア領域の一回の清掃が十分ではなかった場合には、これは自動的にもう一回実施される。これにより、汚れがよりひどい場合であっても、車両内室又は車両フロアが確実に清掃され、それによって、次の車両運転者又は車両乗員が引き続き十分にきれいな車両フロア又は車両内室を見出すことが確実に保証される。この方法は、様々な人が車両運転者又は同乗者として出現し得る、自律的に運転可能/走行可能又は自律的に走行する自動車において実施される場合には特に利点となる。特に、自身の自律的に走行する又は走行可能な自動車をリース又はレンタルする(例えば、いわゆるカーシェアリングにおいて)車両サービスに所属する自動車においては、次の借り手は、常に清掃された内室を見出すので、この方法は、益々利点となる。
【0007】
さらに好ましくは、汚れ度合いが第1及び/又は第2の限界値を上回った場合には、汚れ度合い及び/又は実施された清掃に関する通知が中央装置に送信されることが想定されている。これにより、特に、自動車の所有者、又は、この種の自動車を複数所有するフリート所有者若しくはプロバイダが、汚れ度合い及び/又は実施された清掃に関して情報提供される。特に、清掃が不成功に終わり、検出された汚れ度合いは清掃が実施されたにもかかわらず第1及び/又は第2の限界値を下回らない場合には、センターは、これに関して通知を送信し、それによって、自動車は、例えば営業から外され、別個の清掃に供給され得る。
【0008】
さらに好ましくは、汚れ度合いは、カメラ装置の現在検出された画像と基準画像との比較によって特定されることが想定されている。これにより、画像評価ごとに、車両フロア又は少なくとも検出されたフロア領域の現在の汚れ度合いの特に簡単な判断又は算出が可能であり、これは安価にかつ短時間で実施することができる。基準画像として、この場合、好ましくは、自動車を最初に使用する前に撮影されたカメラ装置の画像が使用される。カメラ装置は、2次元又は3次元のカメラ画像を撮影するように構成されてもよい。3次元画像が検出される場合には、ここでは、その他に好ましくは、フロア領域上で検出された物体の体積を特定し、検出された体積に依存して、実施すべき清掃手段に関して決定することが想定される。それにより、例えば、より大きな体積の場合には、湿式清掃を実施し、それに対して、より小さな体積の場合には、乾式清掃、特に吸引過程を実施するので十分であることを決定することができる。
【0009】
本発明の好ましい発展形態によれば、清掃の実施のために、フロアが、吸引、払拭、ブラッシングされ、及び/又は、フロアに圧縮空気若しくは圧縮液体が加えられることが想定されている。これにより、車両フロア、特にフロア領域の低摩耗でかつ信頼性の高い清掃が保証されている。特に、清掃の種別は、検出された汚れ度合い及び/又は検出された汚れの種類に依存して実施され、それによって、改善された清掃結果が達成され得る。
【0010】
請求項7の特徴を有する本発明に係る装置は、特に、所定の使用において請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている制御機器によって特徴付けられている。これによって、既に前述した利点が生じる。特に、この装置は、フロア領域を検出するカメラ装置、及び、汚れ度合いを特定する評価装置を有している。その他に、この装置は、好ましくは汚れ度合い及び/又は実施された清掃に関する前述した通知を必要に応じて中央装置に送信し得る送信装置を有している。さらなる利点及び好ましい特徴並びに特徴の組み合わせは、特に、前述及び後述の説明並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【0011】
請求項1の特徴を有する本発明に係る自動車は、本発明に係る装置によって特徴付けられる。これにより、既に前述した利点が生じる。さらなる利点及び好ましい特徴並びに特徴の組合せは、特に、前述及び後述の説明並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【0012】
以下においては、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施例による自動車を簡略化した斜視図。
図2】第2の実施例による自動車を簡略化した斜視図。
図3】第3の実施例による自動車を簡略化した斜視図。
図4】第4の実施例による自動車を簡略化した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、簡略化した斜視図においてここでは概略的にしか示されていない自動車2の内室1を示す。この内室1は、複数の車両シート4が配置されている車両フロア3を有している。本実施例によれば、後部シート列5の2つの車両シート4のみが示されている。もちろん、車両フロア3にはさらに別の車両シート4及び/又はシート列5が配置されてもよい。
【0015】
さらにフロア3には、制御機器7によって動作させられる清掃装置6が配置されている。この制御機器7は、その他に、自動車2のルーフ内張9に配置され、車両フロア3に面しているカメラ装置8に接続されており、それによって、当該カメラ装置8は、車両フロア3の少なくとも1つのフロア領域を画像技術により検出する。
【0016】
本実施例によれば、清掃装置6は、車両フロア3の幅にわたって延在し、矢印11によって示されているように、その長手軸周りで回転可能に支承されているブラシを有する。その他にこのブラシは、車両2の基準走行方向に又は車両2の基準走行方向とは反対方向に、すなわち、結局のところ双方向矢印12により示されているように、車両フロア3の長手延在方向に並進移動可能である。このブラシは、ハウジング13内に配置されており、このハウジング13は、ブラシ10を次のように被覆している。すなわち、当該ブラシが、一方では車両フロア3に接触し、他方では上方に向けて当該ハウジング13によって覆われるように、被覆している。それにより、当該ブラシによって巻き上げられた埃又は汚れが車両内室1には、撒き散らされない。清掃装置6は、自身がシート列5の下方に完全にシフト可能であるように構成されており、そのため、清掃装置6は、使用されていないときには現出しない。
【0017】
制御機器7は、カメラ装置8を用いて車両フロア3の汚れ度合いを監視する。この目的のために、カメラ装置8によって現在検出されたフロア領域又は車両フロア3の画像が、特に基準画像と比較されることによって評価される。この基準画像は、例えば、汚れがまだ発生していなかった時に、自動車の運転開始前に撮影されたものである。
【0018】
汚れ度合いの決定のために、現在の画像は基準画像と比較される。これにより、例えば変色や輪郭などの違いが現在の画像内で識別され、汚れとして特定され得る。また、例えば、フロア領域の変色具合も総合的に特定される。これは、例えば粉塵堆積物などの増加を示す。結果が太陽放射や射影によって偽装されることを回避するために、好ましくは、カメラ装置8に、検出すべきフロア領域を照明するための少なくとも1つの、本実施例においては、複数の照明手段14が割り当てられており、画像の検出のために動作させられる。
【0019】
現在の画像と基準画像との比較の際に、汚れ度合いが所定の第1の限界値を上回っていることが検出されると、清掃装置6は、車両フロア3の清掃を実施するために駆動制御される。この目的のために、ブラシ10は、矢印11に従って回転運動に置き換えられ、さらに、双方向矢印12に従って車両フロア3上を移動し、それによって、当該車両フロア3は、ブラシ10によって少なくとも一回清掃される。代替的に、ブラシ10は、固定的に構成され、双方向矢印12に従ってのみ車両フロア3上を移動し得るものであってもよい。
【0020】
続いて、フロア領域の画像がカメラ装置8によって新たに検出され、基準画像と比較される。そこから特定された汚れ度合いがまたさらに第1の限界値又は当該第1の限界値よりも低い第2の限界値を上回った場合には、清掃装置6は、車両フロア3を清掃するために新たに駆動制御される。清掃が成功し、汚れ度合いが第1又は第2の限界値の下方にあるときに初めて、車両フロア3が十分にきれいに/清掃されていることについて識別される。
【0021】
汚れ度合いの決定の際に、車両フロア3の清掃にもかかわらず、汚れがなくなっていないこと又は十分少なくなっていないことが識別されると、制御機器7は、送信装置15を用いて、好ましくは自動車2の識別子と共に清掃の失敗又は不十分な清掃に関する通知を、例えば、自動車若しくは自動車フリートの所有者又はプロバイダの中央装置に送信する。それにより、中央装置は、所定の自動車が清掃の実施にもかかわらず増加した汚れ度合いを有していることについて情報提供する。したがって、この自動車は、例えばフリートから外され、別個の清掃に供給され得る。
【0022】
また、それぞれ実施された清掃の後で、対応する通知を、送信装置15を用いてセンターに送信することも考えられ、それによって、これは、例えば清掃装置6の使用状態及び摩耗に関して情報提供される。この目的のために、送信装置15は、特に移動無線送信機として構成されている。
【0023】
図2は、自動車2の第2の実施例を示し、この場合、図1から既知の要素には同じ参照符号が付されている。以下においては、実質的な相違点について説明がなされる。
【0024】
先の実施例とは異なり、ここでは、清掃装置6は、ブラシ10の代わりに、高圧下で、すなわち、圧縮液体として車両フロア3にもたらされる液体を用いて車両フロア3を湿式洗浄する高圧洗浄機16を有することが想定されており、それによって、より強力な汚れも剥離することができる。
【0025】
図3は、自動車2の第3の実施例を示し、この場合、ここでも先の実施例から既知の要素には同じ参照符号が付されている。それについては先の説明が参照される。以下においては、実質的な相違点について説明がなされる。
【0026】
第3の実施例は、これらの組合せを表しているという点において、先の実施例とは異なっている。この目的のために、清掃装置6は、シフト可能なブラシ10も高圧洗浄機16も有している。これらのブラシ10及び高圧洗浄機16は、基本的には前記で説明したように構成されており、それに応じてそれぞれ1つの固有のハウジング13を有している。清掃の実施のために、最初に高圧洗浄機16が車両フロア3上を移動し、続いてブラシ10は、例えば、柔軟にほぐされたがまだ除去されずに残存している汚れを車両フロア3から除去するために、後から走行する。
【0027】
清掃を支援するために、ここでは、任意選択的に、車両フロア3内に、車両フロア3の側縁部から車両フロア3上に払拭液体、特に洗浄剤を噴霧する1つ以上のスプレーノズル17が配置されていることが想定されている。これらのスプレーノズル17は、既に例えば図1による実施例において、ブラシ10の効果を向上させるために設けられていてもよい。それに応じて、図1中には、これらのスプレーノズルのうちの1つが例示的に示されている。
【0028】
高圧洗浄機16のスプレーノズルは、好ましくは汚れを車両フロア3から剥離するために、処理方向に対して直線的に又は垂直に配置されている。車両フロア3の側縁部にスプレーノズル17を配置する、すなわち、固定的に配置する代わりに、1つ以上のスプレーノズル17を、ブラシ10又は高圧洗浄機16の各ハウジング13に配置することも可能である。ハウジング13は、高圧洗浄機16において、特にスプラッシュガードとして用いられ、このスプラッシュガードは、例えば車両シート4が例えば洗浄剤によって汚れること又は濡れることを防止する。
【0029】
高圧洗浄機16は、これまで液状の洗浄剤、例えば水を高圧で車両フロア3に散布する高圧洗浄機として説明されてきたのに対して、この高圧洗浄機16を、圧縮空気を用いて車両フロア3を汚れから洗浄する圧縮空気洗浄機として構成することも考えられる。
【0030】
好ましくは高圧洗浄機16及び/又はブラシ10のハウジング13は、長手側にワイパーリップ18を有し、このワイパーリップ18は、剥離した汚れを清掃装置6と共に移動させる。
【0031】
図1及び図2の実施例においては、車両フロア3にダートトラップ19が配置されており、このダートトラップ19に対して清掃装置6若しくはブラシ10及び/又は高圧洗浄機16を移動させることができる。ダートトラップ19は、車両フロア3内のスリットに対応付けられている、車両フロア3から突出する泥よけを有しており、それによって、清掃装置6からダートトラップ19の方向に運ばれたごみがスリットを通って落下する。車両フロア3の下方には、例えば、自動的に又は手動で空にすることができるごみ用の捕集容器が設けられている。
【0032】
図4は、自動車2のさらなる実施例を示しており、この場合、先の図面から既知の要素には同じ参照符号が付されている。以下においては、実質的な相違点について説明がなされる。
【0033】
図4に示されている第4の実施例によれば、清掃装置6が調整可能なスラットフロア20の形態において構成されていることが想定されている。このスラットフロア20は、車両フロア3を形成しており、これは、複数のスラット21から形成されており、これらはそれぞれ自身の長手軸周りで旋回可能に支承されており、そのため、それらは使用位置では連続的なフロア面を形成し、清掃位置ではこれらのスラット21間に自由空間が生じるように設置されている。これらのスラット21の設置により、その上にあるごみが自由空間の方向に運ばれ、それによって自動的にかつ容易に車両フロア3から除去される。ここでも車両フロア3の下方に特に捕集容器が配置されており、この捕集容器は、次いで合目的的にスラットフロア20の全幅及び全長にわたって延在し、自動的に又は手動で空にすることができる。
【0034】
ここでは、図示されていないさらなる実施例によれば、清掃ロボットを車両内室1に設けることも考えられる。この清掃ロボットは、例えば車両内室1の充電ステーションに配置されており、汚れを除去するために自動的に積載フロア3にわたって移動する。その際、清掃ロボットの誘導は、カメラ装置8によって行うことができる。このカメラ装置8は、清掃ロボットを所期のように車両フロア3上の汚れまで誘導することができる。合目的的に、充電ステーションは、車両シート4のうちの1つの下方に配置されており、それによって、掃除ロボットは、使用されていないとき又は充電中は隠蔽される。
【0035】
さらに、捕集容器は、車両フロア3の下方において、その内容物が自動的に大型タンク内に、又は、マンホールカバー上で、又は、走行路上に降ろせるように構成されていることが考えられる。
【0036】
清掃装置6は、合目的的に液状の洗浄剤の貯蔵用タンクを有する。好ましくはこのタンクは、自動的に洗浄液体で充填することができる。例えば、このタンクは、自動車2のウオッシャータンクに接続され、それによって、必要に応じてウオッシャー液で充填することができる。カメラ装置8は、好ましくは、車両フロア3又はフロア領域の二次元的検出を可能にするために、1つのカメラのみを有する。代替的に、車両フロア3の3次元的検出及び/又は車両フロア3の複数の領域の別個の検出を可能にするために、カメラ装置8は複数のカメラを有することも考えられる。各カメラは、可視領域又は近赤外線領域の画像を検出するように構成されてもよい。それにより、照明手段14は、例えば赤外線照射器として構成されてもよく、その結果、車両フロア3の照明は、ユーザにとって認識されないままで済む。
【0037】
カメラ装置8を用いれば、自動車2の乗員の撮影を行うことも可能であり、これは、例えば紛失された/忘れられたスーツケース又は対象物の所有者を識別するために、危険な状況の前に警告するために、又は、どの人物によって特別な汚れがもたらされたかを証明するためになどの様々な目的のために使用することができる。
【0038】
自動車2が、ここでは特に、自律的に走行する又は走行可能な車両として構成されている場合、顧客が常に清掃された車両内室1を見出すことが保証されるという利点を有する。サービス/レンタルステーションは、通常は、自動車2の現在の使用場所から遠く離隔しているので、自動車2を外部の清掃場所に誘導するのに長い走行時間が生じる。この時間中、自動車2の提供者は、これを例えば自律的に走行するタクシーとして使用する場合、収入を得ることはできない。同時に顧客は、特に清掃すべき面積が広く、それに比べて使用時間が比較的少ない場合には、自動車2自体を使用後に清掃することは、通常は望まない。説明された自動車2の好ましい実施態様によれば、自動車2を外部の清掃場所に移動させる必要なしに車両フロア3を自動的に清掃し得ることが達成される。これにより、自動車2の清掃及び使用効率が向上する。
【符号の説明】
【0039】
1 内室
2 自動車
3 車両フロア
4 車両シート
5 シート列
6 清掃装置
7 制御機器
8 カメラ装置
9 ルーフ内張
10 ブラシ
11 矢印
12 双方向矢印
13 ハウジング
14 照明手段
15 送信装置
16 高圧洗浄機
17 スプレーノズル
18 ワイパーリップ
19 ダートトラップ
20 スラットフロア
21 スラット
図1
図2
図3
図4