【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、再生医療実現拠点ネットワークプログラム技術開発個別課題委託研究、産業技術力強化法第19条の規定の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
本発明の第1の実施態様によれば、
光を発する発光部(例えば、後述する発光部130など)と、前記発光部から発せられた光が照射される容器(例えば、後述する容器300など)の内側を撮像する撮像部(例えば、後述するCCDカメラ150など)とを有する発光撮像手段(例えば、後述する発光撮像装置120など)と、
光を反射させる反射体であって前記容器を挟んで前記発光撮像手段と互いに向かい合って配置される反射体(例えば、後述する反射体200など)と、を備え、
前記容器は、前記容器に収容された被収容媒体(例えば、後述する培養液など)を囲う囲繞壁であって前記発光部から発せられた光が通過可能な囲繞壁(例えば、後述する容器300の円筒形状の側面304など)を有し、
前記発光部から発せられた光は、前記囲繞壁を通過して前記反射体に向かい(例えば、後述する光Aなど)、前記反射体によって反射された後、前記被収容媒体を照明する(例えば、後述する光Bなど)。
【0012】
撮像光学装置は、発光撮像手段と反射体とを備える。
【0013】
発光撮像手段は、発光部と撮像部との双方を有する。発光部は、所定の波長で所定の強度の光を発する。発光部から発せられた光は容器に照射されて容器を照明する。撮像部は、照明された容器の内部を撮像する。
【0014】
発光部と撮像部とが発光撮像手段として容器の同じ側に位置するので、発光部を設置する空間と撮像部を設置する空間とを、別個にかつ互いに異なる位置に確保する必要がなくなる。したがって、複数の容器を設置する場合でも、隣り合う容器の間に隙間が生じないように発光撮像手段を設けることができる。このように、省スペース化を図って空間を有効に活用して、複数の容器を隙間なく密に配置することで大量に細胞や微生物等を培養できる。
【0015】
発光撮像手段は、発光部及び撮像部が一体に形成されているものが好ましい。特に、発光部及び撮像部が同心状に配置されているものが好ましい。例えば、撮像部を中心にして、撮像部の周囲に発光部が配置されたものがより好ましい。発光撮像手段を所定の方向に向けて配置することで、発光部は所定の方向に向けて光を発し、撮像部は所定の方向からの光を受光することができる。
【0016】
反射体は光を反射させる。反射体は、容器を挟んで発光撮像手段と互いに向かい合って配置される。容器は、反射体と発光撮像手段との間に位置し、反射体と発光撮像手段とによって挟まれる。
【0017】
容器は囲繞壁を有する。囲繞壁は、容器に収容された被収容媒体を囲う。囲繞壁は、発光部から発せられた光が通過可能に形成されている。発光部から発せられた光は、囲繞壁を通過できるので、容器に収容された被収容媒体は、発光部から発せられた光によって照明される。
【0018】
発光部から発せられた光は、まず、囲繞壁を通過して反射体に向かう。その後、反射体によって反射され、被収容媒体を照明する。反射体によって反射された光は、被収容媒体を照明する。
【0019】
このように、被収容媒体は、発光部から発せられた光だけでなく、反射体によって反射された光も照明されるので、被収容媒体をバックグラウンドとして機能させて明るく撮像することができる。
【0020】
発光撮像手段によって光を照射して撮像するので、人が介在せずに細胞や微生物等を培養できる環境を維持して、細胞や微生物等の培養状態を観察することが可能となる。さらに、被収容媒体をバックグラウンドとして機能させて明るく撮像するので、高速で撮像でき、例えば速いシャッタースピードでも撮像でき、容器内で移動している細胞や微生物等を明瞭に撮像できる。
【0021】
この撮像光学装置は、液体等の媒体に存在する細胞や微生物等(以下、単に「細胞等」という。)の移動可能な物体の撮像に有効に用いられ、特に、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)や体性幹細胞等の幹細胞の胚様体(embryoid body)や細胞凝集塊等を撮像するのに好適に用いられる。
【0022】
本発明の第2の実施態様は、本発明の第1の実施態様において、
前記反射体が、前記囲繞壁に沿って配置されていることである。
【0023】
反射体が、囲繞壁に沿って配置されているので、囲繞壁から射出された光を的確に反射体に向かわせることができるとともに、反射体によって反射された光を的確に囲繞壁に戻すことができ、発光部から発せられた光を無駄にすることなく効率よく反射体で反射させ、反射光によって被収容媒体を照明することができる。
【0024】
さらに、隣り合う容器と干渉しないように反射体を配置でき、多くの容器を配置することで大量の細胞等を培養できる。
【0025】
本発明の第3の実施態様は、本発明の第1の実施態様において、
前記囲繞壁の屈折率が空気の屈折率よりも大きいことである。
【0026】
囲繞壁の屈折率が空気の屈折率よりも大きいので、発光部から発せられた光を囲繞壁によっても反射させることができる。発光部から発せられた光が囲繞壁の外側(容器の外側)に漏れる量を減らし、囲繞壁によって反射された光を被収容媒体に戻すことで、被収容媒体をさらに明るく照明し、被収容媒体を明るいバックグラウンドとして機能させることができる。
【0027】
本発明の第4の実施態様は、本発明の第1の実施態様において、
前記囲繞壁は、
前記被収容媒体と前記囲繞壁との界面をなす内側壁面(例えば、後述する内周面202など)と、
前記容器の外側の空気と前記囲繞壁との界面をなす外側壁面(例えば、後述する外周面204など)と、を有し、
前記外側壁面は、前記被収容媒体から入射した光を反射して前記被収容媒体に戻すことである。
【0028】
囲繞壁は、内側壁面と外側壁面とを有する。内側壁面は、被収容媒体と囲繞壁との界面をなす。外側壁面は、容器の外側の空気と囲繞壁との界面をなす。外側壁面は、被収容媒体から入射した光を反射して被収容媒体に戻す。囲繞壁の外側壁面によって反射された光を被収容媒体側に戻すことで、被収容媒体をさらに明るく照明することができる。
【0029】
本発明の第5の実施態様は、本発明の第1の実施態様において、
前記反射体は、反射面に凹凸が形成されていることである。
【0030】
反射体の反射面には凹凸が形成されているので、反射面で拡散反射が生ずる。拡散反射を生じさせることで、指向性の高い照明を用いた場合でも、入射角を臨界角よりも大きくして全反射する光を多く生成できる。全反射を繰り返す光を多く被収容媒体に通過させることで、バックグラウンドとなる被収容媒体をより明るく照明できるとともに、被写体(細胞)を照明する機会を増やすことでコントラストをさらに高くすることできる。なお、臨界角は、容器の外側に存在する空気の屈折率(約1)と容器の屈折率(約1.5〜1.6)の比で決まる。
【0031】
本発明の第6の実施態様によれば、
発光部(例えば、後述する発光部130など)及び撮像部(例えば、後述するCCDカメラ150など)は、被収容媒体(例えば、後述する培養液など)が収容される容器(例えば、後述する容器300など)を挟んで反射体(例えば、後述する反射体200など)と向かい合って配置され、
前記発光部から発せられた光(例えば、後述する光Aなど)と、前記発光部から発せられ前記容器を通過した後に前記反射体によって反射させて前記容器に戻される光(例えば、後述する光Bなど)と、によって前記容器に収容された前記被収容媒体を照明する照明工程と、
前記容器の内側を撮像部によって撮像する撮像工程と、を含む。
【0032】
発光部と撮像部とが容器の同じ側に位置するので、発光部を設置する空間と撮像部を設置する空間とを、別個にかつ互いに異なる位置に確保する必要がなくなる。したがって、複数の容器を設置する場合でも、隣り合う容器の間に隙間が生じないように発光部及び撮像部を設けることができる。このように、省スペース化を図って空間を有効に活用して、複数の容器を隙間なく密に配置することで大量に細胞等を培養できる。
【0033】
被収容媒体は、発光部から発せられた光だけでなく、反射体によって反射された光も照明されるので、被収容媒体をバックグラウンドとして機能させて明るく撮像することができる。
【0034】
発光部からの光を照射し撮像部により撮像するので、人が介在せずに細胞等を培養できる環境を維持して、細胞等の培養状態を観察することが可能となる。さらに、被収容媒体をバックグラウンドとして機能させて明るく撮像するので、高速で撮像でき、例えば速いシャッタースピードでも撮像でき、容器内で移動している細胞等を明瞭に撮像できる。
【0035】
より具体的には、以下の実施態様がある。なお、以下では、撮像する細胞等については「細胞」として説明し、被収容媒体については「培養液」として説明する。
【0036】
本発明の他の実施態様は、
樹脂製又はガラス製などからなる透明な培養容器(例えば、後述する容器300など)に密着させ又は近接させたエリアカメラ(例えば、後述するCCDカメラ150など)と、
培養容器を透過観察する焦点距離を有するレンズ(例えば、後述する対物レンズ156など)と、
を備えるエリアセンサカメラ(例えば、後述する撮像光学装置100など)である。
【0037】
さらに、導光用ファイバ(例えば、後述する光ファイバ132など)をエリアカメラ(例えば、後述するCCDカメラ150など)のレンズ(例えば、後述する対物レンズ156など)の外周部に配置する。導光用ファイバは、培養容器を照明するための照明光を導き、射出面(例えば、後述する出射面136など)から照明光を射出して照明装置として機能する。照明装置とエリアカメラとを一体化することで全体的に小型化し、対物レンズ156の外周部の空間を有効に活用することができる。
【0038】
また、光源装置(例えば、後述する共通光源400など)に導光用ファイバ(例えば、後述する光ファイバ132など)を接続して、光源装置から発せられた光を導光用ファイバを介して培養容器に導き培養容器の内側を照明する。導光用ファイバ(例えば、後述する光ファイバ132など)を用いることで、培養容器から離隔した位置に高輝度な光源装置を設置できる。培養容器から離隔した位置に光源装置を設置するので、光源装置から発せられる熱を培養容器に伝わりにくくし、熱による培養環境への影響を防ぐことができる。
【0039】
さらに、導光用ファイバとして多分岐ファイバを用いた場合には、単一の光源装置から発せられた光を分岐させて複数台の培養容器に供給することで培養容器の各々を照明できる。光源装置の数を減らすことができるので、省スペース化及び省エネルギー化を図ることができる。
【0040】
さらに、導光用ファイバの射出面(例えば、後述する出射面136など)から射出された照明光は、培養容器の内側を射出角(約70度)の範囲内で広がりつつ進行する。射出面から射出された照明光の一部は、培養容器の内側に存在する被写体(例えば、細胞など)に照射される。被写体に照射されなかった残りの照明光は、培養容器を挟んでエリアカメラ(例えば、後述するCCDカメラ150など)と向かい合う培養容器の反対側に到達する。
【0041】
さらにまた、光を反射させるための反射板(金属、ミラー、フィルム等からなる)を、培養容器を挟んでエリアカメラと向かい合う培養容器の反対側に設置する。反射板は、培養容器の形状に則して形成されている。また、反射効果を有する酸化マグネシュウムや硫酸バリュウム等を、培養容器を挟んでエリアカメラと向かい合う培養容器の反対側の外周面に塗布してもよい。反射板などで照明光を反射させることで照明光を培養容器に戻すことができる。なお、細胞等の培養環境に影響を及ぼさない限り、培養容器の内周面に反射媒体を設置したり塗布したりしてもよい。
【0042】
また、培養容器に戻される照明光の反射角が、培養容器(円筒形)の形状によって臨界角以上となる場合には、照明光は、培養容器内で複数回に亘って散乱反射し、照明光を培養容器内に閉じ込められる。照明光を複数回に亘って散乱反射させることで、培養液を複数箇所で照明し、細胞の輪郭やバックグラウンド(培養液と細胞とのコントラスト化)の効果を高め、高速に浮遊移動している細胞を高速でシャッターを切って撮像できる。高速でシャッターを切って撮像できるので、高速に移動する細胞を静止画像として画像を取得することができる。
【0043】
さらに、高速でシャッターを切って撮像することで、連続撮影も容易になり撮像焦点深度内での撮像回数を多くすることで、大容量の培養容器に収容されている多量の細胞を観察する機会を多くすることができる。
【0044】
<<<撮像光学装置100>>>
図1は、撮像光学装置100の構成を示す斜視図である。
図2は、撮像光学装置100の構成を示す平面図である。
図1及び
図2に示すように、撮像光学装置100は、筐体110と発光撮像装置120と反射体200とを有する。なお、
図2では、筐体110と発光撮像装置120と反射体200との関係を明確にするために、これらを離隔して示した。また、
図2では、容器300を想像線で示すとともに、撹拌翼310を省略して示した(
図5参照)。
【0045】
図5は、撮像光学装置100を容器300に取り付けた状態を示す斜視図である。容器300は、円形の底面302と円筒形状の側面304(囲繞壁)とを有する。後述するように、円筒形状の側面304で、光が入射したり反射したり出射したりする。このように、本実施の形態では、円筒形状の側面304のように湾曲する面における光の入射、反射、屈折を利用する。容器300の側面304は、光を透過させかつ反射させることができる材料によって構成されていればよく、透明な材料や半透明な材料で構成することができる。
【0046】
容器300には、IiPS細胞などの各種の細胞等を含む培養液が収容されている。容器300には撹拌翼310が回転可能に設けられている。撹拌翼310は、スターラ(図示せず)によって回転駆動される。撹拌翼310を回転駆動することで容器300に収容された培養液が攪拌される。例えば、撹拌翼310を40〜60rpm(回転毎分)で回転することができる。撹拌翼310によって培養液が攪拌されている限り、細胞等は、培養液の流れに従って常に浮遊して移動する。
【0047】
<<筐体110>>
図1に示すように、筐体110は、略円筒状の形状を有する円筒帯部112を有する。円筒帯部112は、円筒内周面114と円筒外周面116とを有する。筐体110は容器300の側面304を巻回するように容器300に着脱可能に取り付けられる(
図5参照)。
【0048】
筐体110を側面304に巻回することで、筐体110を容器300に密着させて取り付けることができ、振動や衝撃が生じた場合でも、筐体110を容器300に安定的に保持でき、筐体110と容器300との相対的な位置を一定に保つことで、細胞等を発光撮像装置120で明瞭に撮像することができる。
【0049】
円筒帯部112は、ゴムやバネなどの弾性体によって長手方向(周方向)に沿って伸縮できる構造を有し、筐体110を容器300に密着させて取り付けることができる。また、ねじやボルトなどの固定部材を用いて筐体110を容器300に締め付けるように密着させて取り付けることもできる。
【0050】
<<発光撮像装置120(発光撮像手段)>>
筐体110の円筒帯部112には、発光撮像装置120が取り付けられる。円筒帯部112には、保持部118(
図2参照)が設けられている。発光撮像装置120は、ボルトやねじなどの係止部材(図示せず)によって保持部118を介して円筒帯部112に固定される。
【0051】
発光撮像装置120は、光ファイバ132によって構成される発光部130と、CCDカメラ150とを有する。CCDカメラ150は、エリアカメラとして機能する。
【0052】
図3Aは、発光撮像装置120の概略を示す斜視図であり、
図3Bは、発光撮像装置120の発光部130とCCDカメラ150とを示す正面図である。
【0053】
<CCDカメラ150(撮像部)>
CCDカメラ150は、光学系部152と電気系部160とからなる。光学系部152は、略円筒状の形状を有し、主に対物レンズ156やフィルタ(図示せず)などの各種の光学素子を有する。光学系部152は開口部154を有し、開口部154には撮像対象によって反射された光が入射する。開口部154に入射した光は、対物レンズ156などの各種の光学素子によって光路が調整される。CCDカメラ150として、モノクロのエリアカメラなどを用いることができる。
【0054】
電気系部160は、略直方体状の形状を有し、CCDイメージセンサ部(図示せず)や信号処理回路部(図示せず)などを有する。光学系部152で光路が調整された光は、CCDイメージセンサ部に入射して像が形成される。電気系部160は、CCDイメージセンサ部で形成された像を電気信号に変換し、ディジタル化などの各種の信号処理を施して撮像信号として出力する。
【0055】
<発光部130(発光部)>
発光部130は、複数の光ファイバ132によって構成される。複数の光ファイバ132の各々は、入射面134と出射面136とを有する。
図2に示すように、複数の光ファイバ132の全ての入射面134が、共通光源400に接続されている。共通光源400は、LED(発光ダイオード)などの発光体からなる。共通光源400から発せられた光は、複数の光ファイバ132の各々に分岐されて伝播し出射面136(
図3A及び
図3B)から出射される。このように、単一の共通光源400を用いて複数の光ファイバ132から光を出射することができる。
【0056】
複数の光ファイバ132によって、共通光源400から発せられた光を伝播させるので、共通光源400を容器300から離隔した位置に配置できる。このため、共通光源400から発せられる熱が容器300に収容されている培養液や細胞に伝わることを防止でき、共通光源400から発せられる熱の影響を少なくして培養環境を一定に保つことができる。
【0057】
図3Aに示すように、複数の光ファイバ132の各々の端部は、発光部130の光学系部152の外周面に長手方向に沿って配置されている。また、
図3Bに示すように、複数の光ファイバ132の各々の出射面136が、光学系部152の開口部154の外周面に周回するように等間隔に配置される。
【0058】
複数の光ファイバ132の外側には、略円筒状の保持体170が取り付けられる(
図3B参照)。複数の光ファイバ132は、光学系部152の外周面と保持体170の内周面との間で保持される。すなわち、複数の光ファイバ132が光学系部152を覆うように配置され、保持体170が光学系部152と複数の光ファイバ132とを覆うように被せられる。複数の光ファイバ132を保持体170によって保持することで、出射面136から出射される光の方向を一定に保つことができる。
【0059】
図6に示すように、CCDカメラ150は、光学系部152の開口部154(対物レンズ156)と、複数の光ファイバ132の各々の出射面136とが、容器300の側面304に向かうように取り付けられる。例えば、CCDカメラ150は、光学系部152の軸方向が筐体110に対して略直角になるように取り付けられる。
【0060】
<<反射体200>>
図4は、反射体200の構成を示す斜視図である。反射体200は、細長い形状を有し、長手方向に沿って湾曲する形状、例えば、略半円筒状の形状を有する。
図1及び
図5に示すように、反射体200の高さ(短手方向)は、筐体110の高さ(幅)と同じであるか、又は筐体110の高さ(幅)よりも短い。反射体200は、内周面202(内側壁面)と外周面204(外側壁面)とを有する。
【0061】
図1及び
図2に示すように、反射体200は、円筒帯部112に沿って設けられる。具体的には、反射体200の外周面204が、円筒帯部112の円筒内周面114に密着するように取り付けられる。例えば、接着剤などを用いて反射体200を円筒帯部112に固着できる。円筒帯部112の円筒内周面114に反射体200が取り付けられ、筐体110を容器300に取り付けた場合には、反射体200の内周面202を容器300の側面304に密接して取り付けることができる。
【0062】
反射体200は、所定の金属、例えば、アルミや銅などの薄板によって形成される。金属は、反射率の高いものであればよい。金属の薄板を湾曲して反射体200を形成することで、反射体200を円筒帯部112に沿うように設けることができる。金属の薄板で反射体200を形成することで、反射体200の内周面202で光を反射させることができる。
【0063】
さらに、反射体200の内周面202には、微細な凹凸が形成されている。凹凸によって、反射体200の内周面202に入射した光を単に反射させるだけでなく、拡散反射(散乱させつつ反射)させることができる。凹凸の形状や大きさなど、例えば、表面粗さを適宜に変えることで拡散反射の広がりなどの傾向や度合いを決定できる。
【0064】
また、反射体200を金属の薄板で形成するだけでなく、プラスチックなどの可撓性を有する材料によって反射体200の基材を形成してもよい。この場合には、塗布や蒸着やスパッタなどによって反射体200の内周面202に金属薄膜などを成膜することで、金属の薄板と同様に光を反射させることができる。反射率の高い材料を用いて成膜すればよい。例えば、反射効果を奏する酸化マグネシュウムや硫酸バリュウム等を用いることができる。
【0065】
さらにまた、可撓性を有するフィルム状の材料を基材にして反射体200を形成してもよい。フィルム状であるので変形しやすく反射体200の内周面と容器300の側面304との密着性を高め、反射体200による反射光を容器300に的確に戻すことができる。
【0066】
さらに、金属薄膜の成膜よりも事前に基材の表面に凹凸を形成することで拡散反射させることもできる。
【0067】
上述した例では、反射体200は、略半円筒状の形状を有する場合を示したが、この形状に限られず、発光撮像装置120に必要な光を通過する箇所以外に反射体を設けることができる。また、反射体200を容器300と別体に構成したが、容器300の一部が反射体200となるように構成してもよい。さらに、反射体200を構成する材料は、金属だけでなく、光を反射できるものであればよく、反射率の高い樹脂シート等にしてもよい。
【0068】
<<容器300の培養液の照明>>
図6は、発光撮像装置120から発せられた光の光路を示す概念図である。
図6では、光路を明確に示すために筐体110及び撹拌翼310を省略して示した。容器300はプラスチック製であり、容器300の内側には培養液が収容されている。容器300の外側には空気が存在する。
図6では、主に、共通光源400から発せられた光と、反射体200によって反射される光とを考える。
【0069】
共通光源400から発せられて光ファイバ132を進んだ光は、光ファイバ132の出射面136から出射される。出射面136から出射された光Aは、配光角(射出角)θDで広がりつつ進行する。例えば、配光角θDは約70度である。
【0070】
出射面136から出射された光Aは、容器300の側面304を通過して、容器300に収容されている培養液に進入して、培養液を照明する(矢印Aの光)。その後、培養液を通過した光Aは、側面304を通過して反射体200に到達する。反射体200に到達した光は、反射体200によって反射される。反射体200によって反射された光Bは、側面304を通過して培養液に進入する。培養液に進入した光は、培養液を照明する(矢印Bの光)。
【0071】
このように、共通光源400から発せられた光Aが培養液を通過するだけでなく、反射体200で反射された光Bも培養液を通過する。このように、反射体200で反射された光Bも培養液を通過させることで、複数回に亘って光を培養液に進入させて培養液を明るく照明できる。
【0072】
<<発光撮像装置120による撮像>>
<細胞の撮像>
発光撮像装置120の光学系部152には、対物レンズ156が設けられている。例えば、対物レンズ156としてテレセントリックレンズを用いることができる。対物レンズ156の倍率を適宜に定めることにより、撮像焦点深度内の領域を撮像領域M(
図6参照)として決定できる。CCDカメラ150は、対物レンズ156によって撮像領域Mに位置する細胞に焦点を合わせて細胞を明瞭に撮像する。
【0073】
撮像領域Mを、撹拌翼310と発光撮像装置120との間の位置であり、撹拌翼310よりも発光撮像装置120に近い位置にすることができる。より好ましくは、撮像領域Mを、撹拌翼310と発光撮像装置120との中央よりも発光撮像装置120に近い位置にすることができる。具体的には、撮像領域Mの位置を容器300の側面304から1mm程度に撹拌翼310に向かった位置にすることができる。
【0074】
撮像領域Mの位置を撹拌翼310と焦点が合わない位置にすることで、撹拌翼310が撮像されにくくして細胞を明瞭に撮像することができる。撮像領域Mの位置は、撹拌翼310が撮像されにくく細胞を明瞭に撮像できる位置であればよく、発光撮像装置120の位置や対物レンズ156の倍率を適宜に定めて決定することができる。
【0075】
なお、
図5では、筐体110と発光撮像装置120と反射体200との構成を、容器300に取り付けた状態で明確に示すために、撹拌翼310を発光撮像装置120よりも上方に偏移させて示した。しかしながら、撹拌翼310が、
図5の位置よりも下方に位置し、発光撮像装置120の撮像領域Mの前方に位置するように構成した場合でも、上述したように、撮像領域Mの位置は撹拌翼310と焦点が合わない位置であり、撹拌翼310は撮像されにくく、撮像領域Mに位置する細胞等を明瞭に撮像することができる。
【0076】
<培養液の撮像>
容器300には細胞を含んだ培養液が収容されている。上述したように、培養液は、出射面136から出射された光Aと、反射体200で反射された光Bとによって照明される。CCDカメラ150は、光A及び光Bによって照明された培養液をバックグラウンドとして撮像する。すなわち、撮像領域M以外の大半の培養液には対物レンズ156の焦点は合わないが、培養液を照明した光は対物レンズ156を介してCCDカメラ150に入射し、明るく照明された培養液はバックグラウンドとして機能する。
【0077】
<細胞及び培養液の撮像>
CCDカメラ150は、対物レンズ156によって、撮像領域Mに位置する細胞に焦点を合わせ、細胞を撮像する。さらに、CCDカメラ150には、培養液を照明した光が対物レンズ156を介して入射する。このように、CCDカメラ150は、培養液を照明した光をバックグラウンドとして機能させ、対象物である細胞と対比させて撮像することができる。培養液を通過する光の量を増やすことで培養液を明るく照明してバックグラウンドとして機能させ、焦点の合った細胞とのコントラストを高くして、対象物である細胞を明瞭に撮像することができる。
【0078】
なお、反射体200を設けていない場合には、培養液を一旦通過した後、反射体200によって光が培養液に戻されることはない。このため、培養液を通過する光を増やすことができず、バックグラウンドを明るくできず、細胞とのコントラストを高くできず、細胞を明瞭に撮像することが困難になる。
【0079】
撮像光学装置100は、共通光源400から発せられた光Aのみで培養液を照明するのではなく、反射体200によって反射させた光Bも培養液を照明するので、明るいバックグラウンドとして培養液を機能させることができる。
【0080】
発光撮像装置120は、容器300を挟んで反射体200と向かい合うように配置されている。発光撮像装置120は、発光部130とCCDカメラ150とが一体に形成されている。発光撮像装置120を容器300に設置すれば、発光部130とCCDカメラ150との双方を容器300に同時に設置することができる。発光部130とCCDカメラ150とを一体にしたことで、発光部130を設置する空間とCCDカメラ150を設置する空間とを別個にかつ互いに異なる位置に確保する必要がなくなる。したがって、互いに隣り合う撮像光学装置100を密に配置して、省スペース化を図ることで空間を有効に活用することができる。
【0081】
<<撹拌翼310の回転の影響>>
培養液は、撹拌翼310の回転により攪拌されている。培養液が攪拌されることで、成長過程の細胞は、容器300内を常に移動する。撮像領域Mの位置は撹拌翼310と焦点が合わない位置であり、撹拌翼310は撮像されにくい。したがって、移動中の細胞のうち、撮像領域Mに位置した細胞のみを明瞭に撮像できる。撹拌翼310を回転させて培養液を攪拌させている状態でも、撮像光学装置100によって細胞を撮像することができる。このため、培養工程を中断したり細胞を採取したりすることなく培養過程の細胞を撮像できる。
【0082】
培養液の攪拌により細胞は容器300内を常に移動しており、細胞の移動速度に応じてシャッター速度を決定する。上述したように、共通光源400から発せられた光Aと、反射体200で反射された光Bとによって、容器300に収容されている培養液を明るく照明する。このため、シャッター速度を速くした場合であっても、明瞭に細胞を撮像することができる。
【0083】
また、共通光源400の出力自体を小さくした場合であっても光Aと光Bとによって十分に培養液を照明できる。共通光源400の出力を小さくすることで、共通光源400から発せられる熱の影響を少なくして培養環境を一定に保つことができる。
【0084】
このように、容器300内の細胞の移動速度(例えば、撹拌翼310の回転速度)に応じてシャッター速度を決定するとともに、決定したシャッター速度に対応させて共通光源400の強度を最適化できる。このようにして、最適な強度の照明で細胞を撮像して、細胞を明瞭に撮像することができる。
【0085】
<<反射体200の凹凸による拡散反射>>
上述したように、反射体200の内周面202には、微細な凹凸が形成されており、拡散反射が生ずる。拡散反射が生ずることによって内周面202から徐々に拡散する光B1〜B4(
図6参照)が生じ、光B1〜B4は、培養液を広い範囲に亘って照明する。培養液を広い範囲で照明することでバックグラウンドとしての培養液の明るさを場所によることなく均一に近づけることができる。
【0086】
反射体200の内周面202に凹凸が形成されているので、凹凸によって拡散反射が生ずる。拡散反射を生じさせることで、指向性の高い照明を用いた場合でも、容器300の側面304の界面S1で全反射する光を多く生成できる。入射角が臨界角よりも大きい光を界面S1に入射させることで界面S1で全反射を生じさせることができる。
【0087】
例えば、
図12に示すように、光X1が反射体200の内周面202に入射する。内周面202に凹凸が形成されており、凹凸の傾きは内周面202の場所によって異なる。このため、光X1が入射した位置の凹凸の傾きによっては、内周面202に凹凸が形成されていない場合(光X2’)よりも傾いた方向に反射する(光X2)。さらに、光X2が進み反射体200の内周面202によって反射されて培養液に戻ったときに(光X3)、入射角θIが臨界角よりも大きく容器300の界面S1に入射する場合が生ずる。この場合には、全反射(θR=θI)が生ずる(光X4)。臨界角は、容器300の外側に存在する空気の屈折率(約1)と容器300の屈折率(約1.5〜1.6)の比で決まる。
【0088】
このように、反射体200の内周面202に凹凸を形成することで、界面S1で全反射する光を多く生成できる。全反射を繰り返す光を培養液に通過させることで、バックグラウンドとなる培養液をより明るく照明できるとともに、細胞を照明する機会を増やすことでコントラストをさらに高くすることできる。
【0089】
<<容器300における界面>>
図7A及び
図7Bは、光が容器300の側面304から界面S1に入射する場合を示す図である。
図7A及び
図7Bでは、容器300はプラスチック製であり、容器300の内側には培養液が収容されている。容器300の外側には空気が存在する。空気と容器300の側面304との界面を界面S1と称し、容器300の側面304と培養液との界面を界面S2と称する。
図7Aは、界面S1での入射角θIが臨界角よりも小さい場合の例を示す概略図である。
図7Bは、界面S1での入射角θIが臨界角よりも大きい場合の例を示す概略図である。
【0090】
空気の屈折率<培養液の屈折率<プラスチックの屈折率である。例えば、空気の屈折率は約1であり、培養液の屈折率は約1.4であり、プラスチックの屈折率は約1.5である。
【0091】
図7Aでは、入射角θIが臨界角よりも小さい。このため、入射光Iは、界面S1で反射光Rと屈折光Fとに分離する。反射光Rは、界面S1で反射して容器300の側面304に戻り、界面S2を通過した後に、培養液に戻り培養液を照明する。一方、屈折光Fは、界面S1から空気に射出する。
【0092】
図7Bでは、入射角θIは臨界角よりも大きく、全反射が起こる。すなわち、入射光Iは、界面S1で全て反射して反射光Rとなり、界面S1から空気に射出する光は存在しない。界面S1で反射した反射光Rは容器300の側面304に戻り、界面S2を通過した後に、培養液に戻り培養液を照明する。
【0093】
上述した例では、容器300はプラスチックなどの樹脂製である場合を示したが、他の種類の樹脂でもガラス製でもよい。また、容器300の屈折率は、1.5〜1.6にすることができる。
【0094】
上述した例では、空気の屈折率は約1で、培養液の屈折率は約1.4で、プラスチックの屈折率は約1.5であり、主に、界面S1での入射、反射、屈折を考察した。培養液の屈折率や容器300の屈折率の大きさによっては、界面S2で反射して培養液に戻る光が増える場合がある。界面S2で反射した光が培養液に戻ることで培養液を照明する。
【0095】
<<反射光の連続的な形成>>
図8は、発光撮像装置120から発せられた光の光路を示す概念図である。
図6と同様の構成には、同じ符号を付した。
図8でも、
図6と同様に、光路を明確に示すために筐体110及び撹拌翼310を省略して示した。容器300はプラスチック製であり、容器300の内側には培養液が収容されている。容器300の外側には空気が存在する。
図8では、反射の状態を明確に示すために、側面304から離隔した位置に光路を記載した。
【0096】
空気と容器300の側面304との界面は界面S1であり、容器300の側面304と培養液との界面は界面S2である。空気の屈折率<培養液の屈折率<容器300(プラスチック)の屈折率である。
図8では、共通光源400から発せられた光と、界面S1で反射される光(
図7参照)とを考える。
【0097】
図7で説明したように、側面304から界面S1に光が入射したときに、入射角が臨界角よりも小さい場合には、入射光の一部が反射されて反射光となる。また、側面304から界面S1に光が入射したときに、入射角が臨界角よりも大きい場合には、全反射が生じ、入射光の全てが反射光となる。いずれの場合も強度に差はあるが反射光が生ずる。以下では、界面S1で反射して培養液に戻る光について着目する。
【0098】
図6と同様に、共通光源400から発せられた光は、光ファイバ132を進み、光ファイバ132の出射面136から出射される(点P1)。出射面136から出射された光Aは、反射体200に到達する(矢印Aの光)。反射体200に到達した光は、反射体200によって反射される(点P2)。反射体200によって反射された光Bは、側面304を通過して培養液に進入する(矢印Bの光)。
【0099】
上述したように、反射体200の内周面202には、微細な凹凸が形成されており、内周面202の凹凸によって拡散する光B1〜B4(
図8参照)が生ずる。以下では、光B1〜B4のうちの光B1について説明する。光B1は、培養液に進入して培養液を照明する。
【0100】
培養液を通過した光B1は、空気と容器300の側面304との界面S1(位置P3)に到達する。
図7で説明したように、界面S1では、容器300側に反射する反射光Rが生ずる。培養液側に反射した反射光R(光C)は、培養液を通過して培養液を照明する。
【0101】
培養液を通過した光Cは、空気と容器300の側面304との界面S1(位置P4)に到達する。位置P4の界面S1でも、容器300側に反射する反射光Rが生ずる。培養液側に反射した反射光R(光D)は、培養液を通過して培養液を照明する。
【0102】
このように、発光部130から発せられた光は、培養液を通過した後に反射体200に到達する。反射体200に到達した光は、反射体200で反射されて培養液に戻る。培養液に戻った光は、界面S1での反射を次々に繰り返して(位置P3→P4→・・・)、B1→C→D→・・・のように、培養液を次々に通過する。培養液を通過する光を増やすことで、バックグラウンドとして培養液をさらに明るく照明できる。このため、バックグラウンドと細胞との明暗の差をさらに大きくして、細胞をより明瞭に撮像することができる。
【0103】
なお、
図7で説明したように、界面S2から入射した光も反射をした後に最終的に培養液に進入することができる。このような光によっても培養液を通過する光を増やすことができる。
【0104】
<<筐体910>>
図1及び
図5に示した筐体110は、底面を有さず帯状の形状を有する。
図1に示すように、この筐体110は、いわゆるバンド状やベルト状の形状を有する。
【0105】
これに対して、
図10及び
図11に示すように、底面を有する筐体910を用いてもよい。
図10及び
図11では、
図1及び
図5と共通する構成に対して同様の符号を付して示した。
【0106】
筐体910は、円板状の底面部920と底面部920の外周に沿って設けられた円筒状の側面部912とを有し、上端面が開放された形状を有する。底面部920に容器300を載置できるので、筐体910に容器300を容易に取り付けることができ、安定的に容器300を保持することができる。筐体910の底面部920に容器300の底面302が載せられて容器300は筐体910に載置される。
【0107】
側面部912は、円筒帯部112と同様に、円筒内周面114と円筒外周面116とを有する。筐体110と同様に、側面部912に発光撮像装置120が取り付けられている。
【0108】
筐体910は、上端面が開放されているので、容器300の着脱を容易にすることができ、作業の効率を高めることができる。
【0109】
反射体200は、側面部912に沿って設けられる。具体的には、反射体200の外周面204が、側面部912の円筒内周面114に密着するように取り付けられる。例えば、接着剤などを用いて反射体200を側面部912に固着できる。側面部912に反射体200を設けることで、筐体910を用いた場合も
図6と同様に、共通光源400から発せられた光Aと、反射体200で反射された光Bとを培養液に進入させて、培養液の全体を明るく照明できる。
【0110】
また、筐体910を用いた場合も
図8と同様に、培養液を次々に通過する光を増やすことができ、バックグラウンドと細胞との明暗の差をさらに大きくして、細胞をより明瞭に撮像することができる。
【0111】
なお、
図11も
図5と同様に、筐体910と発光撮像装置120と反射体200との構成を、容器300に取り付けた状態で明確に示すために、撹拌翼310を発光撮像装置120よりも上方に偏移させて示した。しかしながら、撹拌翼310が、
図11の位置よりも下方に位置し、発光撮像装置120の撮像領域Mの前方に位置するように構成した場合でも、撮像領域Mの位置は撹拌翼310と焦点が合わない位置であり、撹拌翼310は撮像されにくく、撮像領域Mに位置する細胞等を明瞭に撮像することができる。
【0112】
<<他の容器の例>>
図9A〜
図9Dは、他の容器の例を示す平面図である。
図9A〜
図9Dでは、容器の形状を明確に示すために撹拌翼310を省略して示した。
【0113】
上述した容器300の側面304は円筒形状を有し、側面304の全体が湾曲した形状を有する。この場合には、側面304の形状に応じた半円筒状の反射体200を側面304に用いて、光を側面304に戻すことができる。本実施の形態の容器は、側面が円筒形状であるものに限られず、培養液を囲繞したり周回したりする形状を有すればよい。このような形状にすることで側面の内側面で光を次々に反射させて容器の内側を照明することができる。
【0114】
図9Aに示す容器500の側面は、平坦部504aと湾曲部504bとを有する。
図9Bに示す容器600の側面は、平坦部604aと屈曲部604bとを有する。
図9Cに示す容器700の側面は、湾曲部704aと屈曲部704bとを有する。
図9Dに示す容器800の側面は、平坦部804aと屈曲部804bと湾曲部804cとを有する。
【0115】
このように、容器300、500、600、700、800の側面は、平坦部や湾曲部や屈曲部によって形成され、収容された培養液を周回するように囲むものであればよい。
【0116】
<<その他>>
上述した例では、CCDカメラ150としてモノクロエリアカメラを用いる場合を示したが、カラー対応のエリアカメラを用いてもよい。培養過程で細胞の成長に従って培養液が変色したり濁ったりするような場合も想定される。このような場合に、カラー対応のエリアカメラを用いることで、細胞等の変化だけでなく、培養液の変化も撮像して培養過程を的確に判断することができる。
【0117】
また、再生医療の分野では、細胞等を安定して大量に培養することが急務となっている。特に、医療に適用できるまでの時間を短くし、費用を抑え、高速にかつ大量に安定して細胞を培養することが求められている。このため、容量の大きい培養容器内で細胞を人手によることなく培養すること必要である。
【0118】
また、培養液内の細胞の濃度は低く、細胞を採取する手法の場合には、攪拌を停止させて沈殿状態にすることで、採取できる細胞の数を増やす。場合によっては、培養装置から培養容器を取り外し採取する必要もある。このため、培養環境とは異なる環境で細胞を観察せざるを得ない。さらに、このように採取した細胞は、他の細胞への影響を考慮すると元の培養液に戻すことができず、観察した後は細胞を廃棄せざるを得ない。
【0119】
さらにまた、細胞の培養には無菌の環境が必要である。人間が培養設備に出入り可能にするためには、無菌の環境の維持費も必要になる。したがって、大容量の細胞を培養する上で、培養装置を自動化し、遠隔(クリーンルームの外)で細胞状態を観察することで、無菌状態を維持する必要がある。
【0120】
このように、再生医療の分野では、大容量の細胞培養装置で培養されている細胞を遠隔で非侵襲的に高速かつ連続的に観察できる観察装置が要望されており、本実施の形態の撮像光学装置は、このような細胞等の観察にも好適である。