(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガス及び電力を含むエネルギーの複数の供給元に関する供給元情報、並びに、ガス及び電力を含むエネルギーの複数の単価に関する単価情報が記憶される記憶部をさらに備え、
前記分析部は、
前記エネルギーの流れの実測値に基づく前記熱源装置の負荷状況、前記供給元情報及び前記単価情報に基づいて、前記複数の供給元のうちどの供給元との契約が経済的に優位であるか動的に判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のコージェネレーション運転評価装置。
ガス及び電力を含むエネルギーの複数の供給元に関する供給元情報、並びに、ガス及び電力を含むエネルギーの複数の単価に関する単価情報が記憶される記憶ステップをさらに有し、
前記分析ステップでは、
前記分析部が、前記エネルギーの流れの実測値に基づく前記熱源装置の負荷状況、前記供給元情報及び前記単価情報に基づいて、前記複数の供給元のうちどの供給元との契約が経済的に優位であるか動的に判断する
ことを特徴とする請求項5に記載のコージェネレーション運転評価方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面について、本発明の一実施の形態について詳述する。
【0013】
(1)本実施の形態によるエネルギー需給システム
図1は、コージェネレーションシステム101を含むエネルギー需給システムの構成例を示す図である。
【0014】
(1−1)エネルギー需給システムの概要
このエネルギー需給システムは、電気事業者としての電力会社11A〜11C、託送網14及び送電網13並びにガス会社11X及びガス会社11Y、パイプライン11P1,12P2及びガスタンク12G、並びに、コージェネレーションシステム101を備えている。なお、本実施の形態では、「コージェネレーション」を短く省略して「CG」或いは「コージェネ」とも呼んでいる。
【0015】
電力会社11A〜11Cにおいてそれぞれ発電された電力は、託送網14及び送電網13を経由して、CGシステム101に供給される。一方、ガス会社11X,11Yがパイプライン11P1,12P2を経由して供給するガスは、一旦ガスタンク12Gに溜められた後、CGシステム101に供給される。
【0016】
CGシステム101には、例えば気象条件や負荷状況が影響するばかりでなく、DRにより負荷が変動する。ここでDRとは、デマンドレスポンスの略語であり、卸市場価格の高騰時又は系統信頼性の低下時において、電気料金の変更又は報酬の支払いにより、需要家が電力の使用を一時的に抑制するよう電力消費パターンを変化させることを意味する。米国などの電力取引市場では、発電所で発電された電力のみならず、デマンドレスポンスによって送出されるネガワットと呼ばれる電力も取り引きされている。
【0017】
(1−2)コージェネレーション運転評価装置を含むCGシステム
図2は、
図1に示すCGシステム101の構成例を示すブロック図である。CGシステム101は、コージェネレーション運転評価装置100及びこれに装着可能なエネルギー需給装置102を備えている。
【0018】
まず、エネルギー需給装置102は、エネルギー供給側の一例として、コージェネレーション装置1及び電力制御装置2を備えている一方、エネルギー需要側である熱源装置一例として、電力使用装置5、真空温水器3、給湯装置6、冷温水発生器4及び空調装置7を備えている。なお、本実施形態では、「コージェネレーション装置」という用語を短縮して「コージェネ」とも呼ぶこともある。
【0019】
エネルギー供給側においてコージェネレーション装置1は、コージェネレーション部の一例であり、供給されたガスから電力を発電して熱源装置に対する電力の供給を制御する一方、供給されたガスから熱を発生させて熱源装置に対する熱の供給を制御する。具体的には、コージェネレーション装置1は、後述するように分析・制御装置110の制御に沿って、購入したガス(図示の「買ガス」に相当)に基づいて、発電して電力制御装置2に発電電力を供給したり(図示の「発電電力」に相当)、熱を発生させてその熱を給湯装置6及び冷温水発生器4に供給する(図示の「熱(温水)」に相当)。即ち、このコージェネレーション装置1は、ガスから電力を発生するため、稼働されると、電力制御装置2のために購入する電力を減らすことができるようになる。
【0020】
エネルギー供給側において電力制御装置2は、コージェネレーション装置1から供給された発電電力及び購入した電気(図示の「買電力」に相当)の少なくとも一方に基づいて、供給された電気及びガスの少なくとも一方から熱量を発生する熱源装置の一例としての電力使用装置5、給湯装置6及び空調装置7に電力を供給する(図示の「電力」に相当)。
【0021】
一方、エネルギー需要側において電力負荷としての電力使用装置5は、例えば照明装置のような電力を消費する装置の総称であり、上述した熱源装置に対する電力の供給を制御する。真空温水器3は、例えばボイラーであり、電力制御装置2から供給される電力及び購入したガス(図示の「買ガス」に相当)の少なくとも一方に基づいて熱を発生させて温水を生成し、熱負荷としての給湯装置6に供給する。この給湯装置6の一例としては温水トイレを挙げることができる。給湯装置6は、この他にもコージェネレーション装置1から温水のような熱が供給されうる。
【0022】
冷温水発生器4は、電力制御装置2から供給される電力、購入したガス(図示の「買ガス」に相当)、及び、コージェネレーション装置1によって供給される温水などの熱に基づいて、冷温水のような熱を空調装置7に供給する。この空調装置7の一例としてはクーラー(エアーコンディショナー)を挙げることができる。
【0023】
一方、コージェネレーション運転評価装置100は、計測装置108、入力装置109、分析・制御装置110及び表示器111を備えている。入力装置109は、操作者の意思に応じた操作内容を入力するためのマウス、キーボード及びタッチパネルのうちの少なくとも1つである。分析・制御装置110及び表示器111の詳細については後述する。
【0024】
計測装置108は、計測部の一例であり、ガス、電力及び熱を含むエネルギーの流れを計測する。この計測装置108は、購入して電力制御装置2に供給される電力の電力量、購入してコージェネレーション装置1に供給されるガスの調達量、購入して真空温水器3に供給されるガスの調達量、及び、購入して冷温水発生器4に供給されるガスの調達量に関する各計測データが入力され、これらを各々独立して計測している。
【0025】
また、この計測装置108は、コージェネレーション装置1が電力制御装置2に供給する発電電力の電力量、コージェネレーション装置1が給湯装置6に直接供給する熱量、コージェネレーション装置1が冷温水発生器4に供給する熱量に関する各計測データが入力され、これらを各々独立して計測している。
【0026】
さらに計測装置108は、真空温水器3が給湯装置6に供給する温水などの熱の熱量、及び、冷温水発生器4が空調装置7の一例に供給する冷温水などの熱の熱量に関する各計測データが入力され、これらを独立して計測している。
【0027】
(1−3)計測装置
図3は、コージェネレーション運転評価装置100の計測装置108の構成例を示すブロック図である。計測装置108は、計測データ受取部110A、計測データテーブル110B、単価情報受取部110C、単価情報テーブル110D、CG運転条件テーブル110E、表示制御部110F、入力データ受取部110G、分析シミュレーション部110H及び制御部110Iを備えている。
【0028】
計測データ受取部110Aは、上述のように計測装置108によって計測された計測データを受け取り、その計測態様を判別できる形態、例えば計測対象コードを用いて計測データを時系列に計測データテーブル110Bに蓄積する。
【0029】
単価情報受取部110Cは、単価情報入力部の一例であり、供給元に設けられた供給元サーバ(図示せず)から配信される電力単価やガス単価に関する単価情報を取り込み、それらの供給元を例えば供給元コードを用いて識別可能な態様で時系列に、記憶部の一例としての単価情報テーブル110Dに蓄積していく。
【0030】
CG運転条件テーブル110Eは、記憶部の一例であり、コージェネレーション装置1の稼働を開始させるべき状態であることを表すCG運転条件を管理するためのテーブルである。CG運転条件の成立は、例えば、電力であるかガスであるかというエネルギー種別に関する種別条件、そのエネルギーの供給元(会社)に関する供給元情報を表す供給元条件、単価情報に関する単価条件、そのエネルギーの調達量に関する調達量条件、及び、調達の時期を表す時期情報に関する時期条件などの組み合わせを用いて判定される。
【0031】
分析シミュレーション部110Hは、分析部の一例であり、上述したエネルギーの流れの実測値に基づいて上記熱源装置の負荷状況を判定するとともに、この負荷状況及び上記単価情報に応じて、コージェネレーション装置1の稼働を停止すべきか否か又は稼働態様を改善すべきか否かについて、後述するように動的に評価する。
【0032】
入力データ受取部110Gは、図示しないマウスやキーボードの入力データを受け取って一旦バッファに格納し、分析シミュレーション部110Hに引き渡す。このような入力データとしては、後述する
図6のポインタ441による入力内容、例えばCG運転条件設定部420の選択内容を挙げることができる。
【0033】
表示制御部110Fは、表示部の一例としての表示器111に、詳細は後述するようにコージェネレーション装置1がなされるべき所望の制御態様を、詳細は後述するように客観的な指標を動的に示唆しつつ表示させる。本実施の形態では、このような客観的な指標として、例えば損益分岐線を表示するものとする。
【0034】
制御部110Iは、表示制御部110Fの制御によって、上述したように、キャラROM4150d間的な指標を動的に示唆しつつ、コージェネレーション装置1がなされるべき所望の制御態様を表示する。
【0035】
コージェネレーション運転評価装置100を含むCGシステム101は以上のような構成であり、次にコージェネレーション運転評価装置100によるコージェネレーション運転被評価装置102の評価方法を含む制御例についてフローチャートを用いつつ説明する。
【0036】
(2)評価・制御処理
図4は、評価・制御処理の手順の一例を示すフローチャートであり、
図5は、
図4に示す評価処理の一例を示すフローチャートである。
図4の評価・制御処理は、主として分析・制御装置110が実施する手順の概要を示している。
図5の評価処理も分析・制御装置110によって実行される。本実施形態においては、コージェネレーション運転評価装置100によるコージェネレーション運転被評価装置102の評価方法に特徴付けられている。
【0037】
分析・制御装置110は、まず、評価処理S100を実行し、次にCG制御システムへの指令処理S200を実行した後に、エネルギー効率を考慮した場合に最適な状態であるか否かを確認する(S300)。
【0038】
図4に示す評価処理S100では、分析・制御装置110が、コージェネレーション装置1の稼働状態を表示する一方、上述した熱源装置の負荷状態に応じて、コージェネレーション装置1の出力を継続或いは低下させるべきか又はその作動を停止させるべきか否かを判定するための客観的な指標として、例えば損益分岐線を表示させ、コージェネレーション装置1の好ましい稼働状態を評価可能にする。ここでいう「損益分岐線」とは、エネルギー効率の観点から、電力制御装置2への電力を購入する代わりにコージェネレーション装置1の稼働を開始させた方が良いかどうかが分かれる分岐点の集合でなる線を表している。
【0039】
CG制御システムへの指令処理S200では、分析・制御装置110が、上記評価結果に基づき、制御態様を変更すべきか否かを判定し、変更すべき場合は制御態様を変更するようコージェネレーション運転被評価装置102に制御指令を出力する一方、変更すべきでない場合はコージェネレーション運転被評価装置102に対して制御態様の変更を行わない。このCG制御システムへの指令処理S200の詳細については後述する。
【0040】
分析・制御装置110は、例えば操作者の操作により再評価が必要とされる場合には上記評価処理ST100を実行する一方、再評価が必要とされない場合にはこの評価・制御処理を終了する。
【0041】
図5に示すステップS101では、計測データ受付処理が実行される。この計測データ受付処理では、分析・制御装置110が、上述したように計測データを受け取ったことを契機として、計測元情報に関連付けて時系列で計測データテーブル110Bに格納させている。
【0042】
次にステップS102では、単価設定処理が実行される。この単価設定処理では、単価情報受取部110Cが、上述したようにガスや電気の供給元の供給元サーバー(図示せず)から単価情報を受け取ったことを契機として、供給元情報に関連付けて時系列で電気やガスの単価情報を単価情報テーブル110Dに格納させている。
【0043】
次にステップS103では、コスト算出処理が実行される。このコスト算出処理では、分析シミュレーション部110Hが、経済性評価EEとして次のような計算式(1)及び計算式(2)によりコストを算出する。
EE=(発電量×買電単価)+(熱利用量をガス量に変換した変換ガス量×ガス単価)−(コージェネガス使用量×ガス単価) ・・・ (1)
総合エネルギー負荷率〔%〕=(熱量+電力量)÷ガス量 ・・・ (2)
【0044】
次にステップS104では、表示制御処理が実行される。この表示制御処理では、表示制御部110Fが分析シミュレーション部110Hの評価結果に基づいて、
図6に例示するような評価画面400を表示させる。この評価画面400は、評価結果表示領域410、CG運転条件設定部420、負荷操作部430及びCG運転出力操作部440を有し、既述の入力装置109によってポインタ441によって操作が可能となっている。
【0045】
CG運転条件設定部420は、ポインタ441によって所望のCG運転条件の設定が可能となっている。CG運転条件としては、例えば、エネルギー種別(種別条件)、そのエネルギーの供給会社(供給元条件)、単価情報(単価条件)、そのエネルギーの調達量(調達量条件)及び時期情報(時期条件)を含んでいる。
【0046】
CG運転条件設定部420は、これらのうち後述する
図7(A)及び
図7(B)のように例示する選択方法により、各条件の組み合わせをCG運転条件とすることができる。なお、図示の例では、エネルギー種別に関してはポインタ441によって「電気」が選択されたことを示している。これに応じて、後述する
図7(A)などでは、「電気」に関連する条件を設定可能な画面を表している。
【0047】
分析シミュレーション部110Hは、このように各条件が組み合わされたCG運転条件に基づいて、既述のコスト計算処理を実施し、次のように評価結果表示領域410に表示させるべき評価結果を導き出す。
【0048】
評価結果表示領域410は、既述の表示制御部110Fによって、CG運転条件設定部420において設定したCG運転条件に基づく評価結果が表示される領域である。この評価結果表示領域410の具体的な表示例については後述する。
【0049】
負荷操作部430は、既述の熱源装置側の負荷を模擬的に(換言すれば仮想的に)操作するための操作部である。負荷操作部430は、。負荷操作部430は、表示上固定されたスライドバー430Aに沿って負荷スライダ430Bをスライドさせることができるようになっている。負荷スライダ430Bは、最下部の最小値(図示の「MIN」に相当)から最上部の最大値(図示の「MAX」に相当)にまで移動されることにより、既述の熱源装置側の負荷を仮想的に変更することができる。
【0050】
CG運転出力操作部440は、コージェネレーション装置1の稼働状態を模擬的に(換言すれば仮想的に)操作するための操作部である。CG運転出力操作部440は、表示上固定されたスライドバー440Aに沿って出力スライダ440Bをスライドさせることができるようになっている。CG運転出力操作部440は、最左部の最小値(図示の「MIN」に相当)から最右部の最大値(図示の「MAX」に相当)にまで模擬的に(仮想的に)出力を変更することができる。
【0051】
(3)CG運転条件の設定画面
図7(A)及び
図7(B)は、それぞれCG運転条件設定部420においてCG運転条件を選択する様子の一例を示す画面例である。本実施の形態では、CG運転条件として、例えばエネルギー種別、供給会社、単価情報、調達量及び時期が用意されている。
【0052】
図7(A)では、供給会社を選択する態様の一例を示す画面例である。この供給会社選択画面では、例えば、
図1に示したA電力会社11A、B電力会社11B及びC電力会社11Cに各々対応する3つの選択項目がリスト上に表示され、ポインタ441によって所望の電力会社が選択できるようになっている。分析シミュレーション部110Hは、上述したコスト計算処理を実行するに際し、このように選択した電力会社を供給会社として演算処理を行う。
【0053】
一方、
図7(B)では、エネルギー単価(単価情報)を選択する態様の一例を示す画面例である。この単価情報選択画面では、例えば、
図1に示したXガス会社11X及びYガス会社11Yに各々対応する2の選択項目がリスト上に表示され、ポインタ441によって所望のガス会社が選択できるようになっている。分析シミュレーション部110Hは、上述したコスト計算処理を実行するに際し、このように選択した単価情報を元に、エネルギー単価を設定して演算処理を行う。
【0054】
(4)評価結果の表示例
(4−1)経済性の第1の評価例
図8は、
図6に示す評価画面400の評価結果表示領域410に表された経済性の第1の評価例を示す図である。この経済性評価では、横軸の総合エネルギー負荷率〔%〕は既述の計算式(2)に基づいて計算された値を表している一方、縦軸の経済性評価〔円〕は既述の計算式(1)に基づいて計算された値を表している。
【0055】
停止判定基準線410Aは、総合エネルギー負荷率に関わらず経済性評価が0〔円〕である点群を結んで構成された線である。この停止判定基準線410Aよりも上側であると、経済性評価がプラスであると云え、
図2に示すコージェネレーション装置1の稼働をそのまま継続し、電力制御装置2とともに熱源装置を稼働させるべきことを表している。一方、
図8に示す停止判定基準線410Aよりも下側であると、経済性評価がマイナスであると云え、
図2に示すコージェネレーション装置1の稼働を停止し、電力制御装置2によって熱源装置を可動させるべきことを表している。
【0056】
図8の損益分岐線410Bはガス単価が60円である場合の損益分岐線を表し、損益分岐線410Cはガス単価が70円である場合の損益分岐線を表し、損益分岐線410Dはガス単価が80円である場合の損益分岐線を表している。
【0057】
既述の単価情報に基づいてガス単価が60円である損益分岐線410Bは、総合エネルギー負荷率が20〜25%となるとコージェネレーション装置1を停止すべきことが分かる。既述の単価情報に基づいてガス単価が70円である損益分岐線410Cは、総合エネルギー負荷率が40%程度でコージェネレーション装置1を停止すべきことが分かる。一方、既述の単価情報に基づいてガス単価が80円である損益分岐線410Dは、総合エネルギー負荷率が55%程度でコージェネレーション装置1を停止すべきことが分かる。
【0058】
図8に示す経済性の評価結果によれば、ガス単価が70円となると総合エネルギー負荷率50%(状態410S1に相当)ではコージェネレーション装置1をそのまま稼働すべきと判定される。ガス単価が80円となると(状態410S2に相当)総合エネルギー負荷率に関わらずコージェネレーション装置1を停止すべきと判定されることになる。一方、ガス単価が60円となると(状態410S3に相当)コージェネレーション装置1の稼働を開始すべきと判定されることになる。
【0059】
(4−2)経済性の第2の評価例
図9は、
図6に示す評価画面400の評価結果表示領域410に表された経済性の第2の評価例を示す図である。この第2の経済性評価では、横軸の総合エネルギー負荷率〔%〕は次の計算式(3)に基づいて計算された値を表している一方、縦軸の経済性評価〔円〕は既述の計算式(4)に基づいて計算された値を表している。
【0060】
既述のように
図5に示すコスト計算処理(S103)では、分析シミュレーション部110Hが、経済性評価EEとして次のような計算式(3)〜計算式(6)によりコストを計算する。
【0061】
ガス電力単価比=ガス単価/電力単価 ・・・(3)
コージェネ停止判定指標=発電効率/(1−熱利用効率)=発電効率/(1−熱回収効率×利用率) ・・・(4)
発電効率=発電量/ガス使用量 ・・・(5)
熱利用効率=利用熱量/ガス使用量 ・・・(6)
【0062】
図9に示す経済性の第2の評価例において、停止判定基準線410Aは、ガス電力単価比に応じてコージェネレーション装置1を停止すべきかどうかを判定するための基準線を表している。この停止判定基準線410Aよりも上側であると、経済性評価がプラスであると云え、
図2に示すコージェネレーション装置1の稼働をそのまま継続し、電力制御装置2とともに熱源装置を稼働させるべきことを表している。一方、
図9に示す停止判定基準線410Aよりも下側であると、経済性評価がマイナスであると云え、
図2に示すコージェネレーション装置1の稼働を停止し、電力制御装置2によって熱源装置を可動させるべきことを表している。
【0063】
図9に示す経済性の評価結果によれば、ガス単価が低く電力単価が高い状態410S11では、コージェネレーション装置1をそのまま稼働すべきと判定される。この状態410S11から状態410S12のようにCG運転条件としてのガス電力単価比を変更すると、コージェネレーション装置1を停止すべきと判定されることになる。さらに、この状態410S12から状態410S13のようにCG運転条件としてのガス電力単価比を変更すると、停止判定基準線410Aを超え、コージェネレーション装置1の稼働を開始すべきと判定されることになる。
【0064】
(5)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態によるコージェネレーション運転評価装置及び運転評価方法並びにコージェネレーション装置運転制御システムによれば、表示器111には、コージェネレーション装置1の現在の制御態様と併せて、逐次動的に客観的な指標としてが表示されるため、操作者は、動的に表示される客観的な指標を考慮しつつ、コージェネレーション装置1の制御態様を今後どのようにすればエネルギーの利用について効率的なものとなるかに関して検討できるばかりでなく、コージェネレーション装置1の模擬制御を行うことができる。このようにすると、複数種類供給されるエネルギーのうちから需用者の視点で効率的なエネルギーを選択しうるよう客観的な指標が提供されるため、需用者は、供給元の視点ではなく需用者本人の視点で、今後コージェネレーション装置1の稼働態様をどのようにすべきかについて客観的かつ正確に判断することができるようになる。
【0065】
また本実施の形態では、上述のように、ガス及び電力を含むエネルギーの複数の供給元に関する供給元情報を管理する記憶部の一例としてのCG運転条件テーブル110Eが設けられている一方、ガス及び電力を含むエネルギーの複数の単価に関する単価情報が記憶される記憶部の一例として単価情報テーブル110Dが設けられている。分析シミュレーション部110H(分析部)は、単なる予測ではなくエネルギーの流れの実測値に基づく熱源装置の負荷状況、供給元情報及び単価情報に基づいて、複数の供給元のうちどの供給元との契約が経済的に優位であるか動的に判断するようになる。
【0066】
このようにすると、燃料の単価が逐一変動する場合でも、分析・制御装置110が、コージェネレーション装置1の稼働を開始、維持及び停止すべきことを客観的な指標を用いて正確に評価することができるようになるため、システム全体としてエネルギー効率を高めることができる。
【0067】
(6)変型例
また上述した実施形態では、分析部の一例としての分析シミュレーション部110Hは、例えば外部から入力された(装置に関する)初期投資実績情報及びランニングコスト実績情報に基づいて(
図2参照)、コージェネレーション装置1がなされるべき制御態様を判定するとともに、表示制御部110Fが、表示部の一例としての表示器111に、その判定結果に基づいてコージェネレーション装置1がなされるべき制御態様を動的に表示させるようにしても良い。
【0068】
このようにすると、分析シミュレーション部110Hが、初期投資実績情報及びランニングコスト実績情報を加味してより正確に、コージェネレーション装置1の稼働を開始、維持或いは停止する判断が付き易くなるため、よりエネルギー効率が高くすることができる。
【0069】
(7)その他の実施形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を
図1のように構成された電力取引システム1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他の種々の構成を有するコージェネレーション運転評価装置及び運転評価方法並びにコージェネレーション装置運転制御システムに広く適用することができる。