(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原水を浄化した浄水を流出する浄水流出部と、原水を浄化することなく外部へ直流状で流出する原水流出部と、原水を浄化することなくシャワー状で流出するシャワー流出部材を備えたシャワー部と、原水の供給をうけ、当該原水を前記浄水流出部と前記原水流出部と前記シャワー部との何れかに供給する切替部と、を備えた浄水器用の液体流出装置において、
前記シャワー流出部材は複数の吐出孔を備え、
前記シャワー部は、
前記シャワー流出部材の流出方向に沿う軸心を備えた環状空間であって、前記環状空間の軸心方向における一方側端面が前記シャワー流出部材と連接する円環形状の第一空間と、前記軸心方向における前記第一空間の他方側端面に連接する第二空間と、を備え、
前記切替部から、前記第一空間の接線方向に向けた状態で、前記第二空間に連通する原水の供給路を備え、
前記切替部と前記供給路とが、前記軸心に直交する方向に並んで設けられている浄水器用の液体流出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような構成の液体流出装置は、切替部と、供給路と、分散板と、シャワー流出部材を備えた空間と、シャワー流出部材と、が順次積層して配置されるため、シャワーの流出方向において厚みが必要になる。したがって、シャワーの流出方向においてコンパクトな浄水器用の液体流出装置が望まれていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、均質な流出状態を損なうことなく、シャワーの流出方向に対してコンパクトな液体流出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための浄水器用の液体流出装置の特徴構成は、
原水を浄化した浄水を流出する浄水流出部と、原水を浄化することなく外部へ直流状で流出する原水流出部と、原水を浄化することなくシャワー状で流出するシャワー流出部材を備えたシャワー部と、原水の供給をうけ、当該原水を前記浄水流出部と前記原水流出部と前記シャワー部との何れかに供給する切替部と、を備えた浄水器用の液体流出装置において、
前記シャワー流出部材は複数の吐出孔を備え、
前記シャワー部は、
前記シャワー流出部材の流出方向に沿う軸心を備えた環状空間であって、前記環状空間の軸心方向
における一方側端面が前記シャワー流出部材と連接する
円環形状の第一空間と、
前記軸心方向における前記第一空間の
他方側端面に連接する第二空間と、を備え、
前記切替部から、前記第一空間の接線方向に向けた状態で、前記第二空間に連通する原水の供給路を備え、
前記切替部と前記供給路とが、前記軸心に直交する方向に並んで設けられている点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、供給路を切替部から第一空間の接線方向に向けた状態で設けることで、切替部とシャワー部と供給路とをおよそ同一平面上に配置して、液体流出装置を構成することができる。
このように構成する場合に、供給路を第一空間に直接連通して設けると、第一空間において供給路の近傍と、それ以外の部分において、流体の圧力や流速にばらつきが出て、シャワー部のシャワー流出部材からの流出状態が不均一になるおそれがある。
しかし、第二空間に供給路を連通し、さらに供給路を第一空間に対して接線方向に設けることで、供給路から流入した流体を、シャワー流出部材から離れた第二空間の位置から、接線方向の流速を保った状態で、第一空間に供給することができるため、シャワー部からの流出の均質さを損なうことは無い。
したがって、切替部とシャワー部と供給路とをおよそ同一平面上に配置して、シャワー流出部材の流出方向に沿う軸心方向に対する厚みを低減して、均質な流出状態を損なうことなく、コンパクトな液体流出装置を提供することができる。
なお、シャワー流出部材の流出方向とは、シャワー状で流出する原水の流出方向を平均した方向を言う。
【0010】
更に、上記実施形態によれば、上述の通り、流体は、接線方向の流速を保った状態で、第二空間から第一空間に供給される。したがって流水は、第一空間から旋回流れを維持した状態で、吐出孔に供給される。
したがって、流水は吐出孔の向きに対して交差する流れのベクトルを維持した状態で、吐出孔に供給される。
この場合、吐出孔から流出する原水は、旋回流れの運動エネルギーを維持した状態で吐出孔からシャワー流として流出することができる。
すなわち、それぞれの吐出孔から流出する流体の吐出方向を、吐出孔の向きから一定程度同一方向にシフトして流出させる状態になり、その結果、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流を形成することができる。
したがって、シャワーの流出方向に沿う軸心方向に対する厚みを低減しつつ、均質な流出状態を損なうことなく、旋回して拡散するシャワー流を形成できる、コンパクトな液体流出装置を提供することができる。
【0011】
本発明の浄水器用の液体流出装置の更なる特徴構成は、
前記第二空間は、前記第一空間と同心の環状空間として設けられ、前記第一空間の内径
よりも大きな内径の内周部を備える点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、第一空間のシャワー流出部材とは他端側、すなわち第二空間で液体が、強制渦として速い流速を維持した状態で均質な旋回流を形成した後に、液体を均質に第一空間に供給することができる。したがって、シャワー部から均質に液体を吐出させることができる。
【0013】
本発明の浄水器用の液体流出装置の更なる特徴構成は、
前記供給路は、前記第二空間の前記軸心方向
で前記第一空間から離間した位置に連通する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、供給路と第二空間とが連通して流速が早い状態にある連通部を、第一空間から遠ざけることができる。その結果、供給路と第二空間との連通部を、シャワー流出部材から遠ざけることができる。したがって、供給路から供給された液体が、第二空間で安定した旋回流を形成した後に、第二空間から第一空間に旋回流を維持した状態で供給することができる。したがって、シャワー流出部材から安定して液体を吐出させることができる。
【0015】
本発明の浄水器用の液体流出装置の更なる特徴構成は、
前記吐出孔は、円形の開孔を備え、前記第一空間と同心の円板面上に同一方向に向けて配列される点にある。
【0016】
上記実施形態によれば、吐出孔を円板上に配列することで、第一空間の軸心方向における厚みを低減して、コンパクトな液体流出装置を提供することができる。また、流水は円形の吐出孔の向きに対して交差する流れのベクトルを維持した状態で、円形の吐出孔に供給される。そして、円形の吐出孔に供給された流水は、円形の吐出孔の壁面にまず衝突することになる。
この場合、円形の吐出孔から流出する原水は、旋回流れの運動エネルギーを維持した状態で、旋回流れの流れ方向とおよそ反転した方向で、円形の吐出孔からシャワー流として流出することができる。
すなわち、それぞれの吐出孔から流出する流体の吐出方向を、円形の吐出孔の向きから一定程度同一方向に、均質にシフトして流出させる状態になり、その結果、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流を形成することができる。
したがって、シャワーの流出方向に沿う軸心方向に対する厚みを低減しつつ、旋回して良好に拡散するシャワー流を形成できる、コンパクトな液体流出装置を提供することができる。
【0017】
本発明の浄水器用の液体流出装置の更なる特徴構成は、
前記吐出孔は、前記内周部よりも小径の外径の前記円板面上に配列される点にある。
【0018】
上記実施形態によれば、第一空間の外周部から均等に吐出孔に流体を供給して、シャワー部から均質に液体を吐出させることができる。
【0019】
本発明の浄水器用の液体流出装置の更なる特徴構成は、
前記第一空間の内周部が、前記浄水流出部または前記原水流出部の外周部である点にある。
【0020】
上記実施形態によれば、第一空間の内周部と、浄水流出部ないし原水流出部の外周部とを供給して、コンパクトな浄水器用の液体流出装置を提供することができる。
【0021】
本発明の浄水器用の液体流出装置の更なる特徴構成は、
前記浄水流出部が、前記第一空間の軸心部に位置する点にある。
もしくは、前記原水流出部が、前記第一空間の軸心部に位置する点にある。
【0022】
上記実施形態によれば、浄水流出部または原水流出部を第一空間の軸心部に位置するように設けることで、コンパクトな浄水器用の液体流出装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では本発明に係る浄水器用の液体流出装置100について、その一例を、図を用いて説明する。
本実施形態においては、
図1に示すように、原水を浄化した浄水を流出する浄水流出口1Aを備えた浄水流出部1と、原水を浄化することなく外部へ直流状で流出する原水流出部3と、原水を浄化することなくシャワー状で流出するシャワー流出部材2Aを備えたシャワー部2と、原水の供給をうけ、原水を浄水流出部1と原水流出部3とシャワー部2との何れかに供給する切替部CSとを備えた浄水器用の液体流出装置100であって、液体流出装置100が水道の蛇口Jに取り付けて、蛇口Jから供給される原水を流出させる場合を例として説明する。
【0025】
図1は、液体流出装置100の側面図を示す。以下では、浄水器の側面図における横方向を「幅方向W」とし、縦方向を「高さ方向H」とし、紙面奥行き方向を「奥行き方向D」とする。本実施形態においては、幅方向Wおよび奥行き方向Dは水平方向と一致し、高さ方向Hが鉛直方向と一致するように浄水器は配置されるものとする。
【0026】
この液体流出装置100は、
図1、2、6〜11に示すように、シャワー部2にシャワー流出部材2Aの流出方向に沿う軸心Pを備えた環状空間であって、環状空間の軸心Pの軸心方向の一方がシャワー流出部材2Aと連接する第一空間R1と、第一空間R1の他方と連接する第二空間R2と、切替部CSから、第一空間R1の接線方向に向けた状態で、第二空間R2に連通する供給路4と、を備えている。
本例では、軸心Pの軸心方向とシャワー流出部材2Aの流出方向は同じ方向である。
【0027】
シャワー部2は、供給された原水をシャワー状に流出させる部材である。
シャワー部2には、シャワー流出部材2Aと、第一空間R1と、第二空間R2と、ケーシング2Cとが含まれる。
ここで、ケーシング2Cは、シャワー部2の外周部分を形成する部材である。本例では、ケーシング2Cは、内部に第一空間R1と、第二空間R2とを含み、シャワー流出部材2Aを保持し、後述する浄化部70を載置する形態に形成されている。
【0028】
第一空間R1は、シャワー流出部材2Aに原水を供給する空間である。
この第一空間R1は一方の端部である端面にシャワー流出部材2Aを備えている。このシャワー流出部材2Aは、たとえばおよそ下向きにシャワーを流出するよう設けられている。なお、本実施形態では、シャワー流出部材2Aの流出方向が高さ方向Hの方向と一致する場合を示している。
第一空間R1は、シャワー流出部材2Aの流出方向に沿い、この流出方向におよそ平行な軸心Pを備えた環状空間として設けられている。
この環状空間との概念には、円環状、円筒状の空間が含まれる。
【0029】
第一空間R1は、
図4、6〜10に示すように、ケーシング2Cの内部空間に、軸心Pに沿った略円筒状空間として設けられている。そして本実施形態では、第一空間R1の円筒内に、軸心Pを中心軸とする浄水流出部1が配置されている。つまり、浄水流出部1は、第一空間R1の軸心部に位置して配置されている。
この第一空間R1の外周部はケーシング2Cで区画された円形に構成されている。
この第一空間R1の内周部は浄水流出部1の外周域に円形に構成されている。そして、本例では、第一空間R1の内周部と浄水流出部1の外周部とは壁面1Cとして共有されている。
つまり、第一空間R1の内部は、液体が軸心Pの周りを回転運動する旋回流れFを形成可能に構成されている。つまり、第一空間R1は、環状の空間として設けられている。
【0030】
第一空間R1について補足する。
第一空間R1は、本実施形態では、ケーシング2Cの内壁と、シャワー流出部材2Aと、浄水流出部1で区画された空間内に存在する空間である。
第一空間R1は、
図9に示すように、ケーシング2Cの内壁と、シャワー流出部材2Aと、シャワー流出部材2Aに対向する最もシャワー流出部材2Aに近い位置の壁面である浄水流出部1の壁面1Bを含む仮想面L1とで区画された空間である。
【0031】
第二空間R2は、
図4、6〜10に示すように、供給路4から供給される原水を一旦受け入れて、さらに第一空間R1に原水を供給する空間である。
第二空間R2は、本実施形態では第一空間R1に対して、シャワー流出部材2Aと別の端部である端面に隣接して、その全隣接部を連通状態で設けられている。
第二空間R2は、供給路4から供給される原水が滞留したり、第二空間R2内で渦流を発生するような空間形状でなければよく、その空間形状としては環状空間が含まれる。
本例では、第二空間R2は、軸心Pをその軸心とする環状空間として設けられ、本実施形態では浄水流出部1を軸心Pに備えた略円筒状空間として設けられている。この第二空間R2の内径は、第一空間R1の内径よりも大きく構成された内周部を備える。本例では、この内周部は壁面1Cで形成される。なお、第二空間R2の内径、すなわちこの内周部の径としては、第二空間R2のうち、最も小径の内周部の径を第二空間R2の内径として求める。
また、第二空間R2の内部は、液体が軸心Pの周りを回転運動する旋回流れFを形成可能に構成されている。本例では、第二空間R2の内部には、旋回流れFを阻害するような突起や邪魔板などの障害物は積極的には設けない。
【0032】
供給路4は、第二空間R2に原水を供給する供給路である。なお、この供給路4は、切替部CSに連通し、切替部CSから吐出孔2Bまで原水を導くシャワー流路W2に含まれる。
供給路4は、切替部CSから、第一空間R1の接線方向に向けた状態で、さらに第二空間R2の接線方向に向けた状態で、第二空間R2に連通接続されている。
したがって、供給路4から供給される原水は、その流れのエネルギーを維持した状態で第二空間R2に供給されて、第二空間R2の空間で旋回流れFを形成することになる。
この旋回流れFの向きは、供給路4から供給される原水の流れの向きと同じになる。したがって、供給路4の流れ方向と同じ向きの旋回流れFが形成されることになる。
【0033】
第二空間R2について補足する。
第二空間R2は、本実施形態では、ケーシング2Cの内壁と、シャワー流出部材2Aと、浄水流出部1で区画された空間内に存在する空間のうち、第一空間R1以外の空間である。
したがって、本実施形態では、第二空間R2の外径は、第一空間R1の外径とおよそ同一である。
【0034】
切替部CSとシャワー部2と供給路4との関係について補足する。
上述のように、供給路4は、切替部CSから、第一空間R1の接線方向に向けた状態で、さらに第二空間R2の接線方向に向けた状態で、第二空間R2に連通接続されているため、切替部CSとシャワー部2と供給路4とはそれぞれ、
図6に示すようにおよそ同一平面上(図示せず)に配置されることになる。
【0035】
供給路4と、第一空間R1と、第二空間R2との位置関係について補足する。
供給路4の、シャワーの流出方向における下端は、第一空間R1と第二空間R2との境目(本実施形態では壁面1Bが相当する)と同じか、より上流側に位置するよう設けられている。したがって、供給路4は、第二空間R2の軸心方向の側面の他方側に連通している。すなわち第一空間R1とは他端側に設けられている。
【0036】
シャワー流出部材2Aと、第一空間R1と、第二空間R2とについて補足する。
上述のように、原水は第二空間R2で旋回流れFを形成しているから、第二空間R2を流れる原水は、この旋回流れを維持した状態で、第一空間R1に供給されることになる。したがって、原水は、第一空間R1の空間で旋回流れFを形成することになる。
そのため、第一空間R1の原水は、シャワー流出部材2Aに、旋回流れを維持した状態で供給される。なお、上記同様に、この旋回流れFは、供給路4の流れ方向と同じ向きの旋回流れである。
【0037】
シャワー流出部材2Aは、原水をシャワー状の流出させるノズル部材である。
シャワー流出部材2Aは、本実施形態では軸心Pと同じ中心を備えた円板状に形成されている。
【0038】
このシャワー流出部材2Aは、
図2、3、7、9、11に示すように複数の吐出孔2Bを備えたノズル部材として構成されている。
本実施形態では吐出孔2Bは、シャワー流出部材2Aの面状の、第二空間R2の内径よりも小さな外径で、軸心Pを中心とする円板面上に配列されている。つまり、吐出孔2Bは、
図6における、壁面1Cを通過する仮想線L2で囲われる範囲の内側に配列されている。
したがって、第二空間R2から供給された原水は、第一空間R1の外周部から内周側に、旋回しながら供給されて、吐出孔2Bより流出することになる。
なお、吐出孔2Bの配列方法は問わない。例えば円環状、らせん状に配列できる。また、正方格子状や千鳥格子状などに配列できる。
【0039】
吐出孔2Bは、浄水流出部1や原水流出部3よりも十分に小さな開孔断面の小さな開孔部である。また、本実施形態では、吐出孔2Bは、浄水流出部1や原水流出部3よりも小径の開孔部として設けられている。
【0040】
吐出孔2Bは、本実施形態では、円形の開孔部とされている。
吐出孔2Bはさらに、その開孔方向が軸心Pと平行に設けられた略円筒状の開孔部として設けられている。また、この略円筒状の開孔部は、上流側から流出側に向けて漸次縮径していく円錐形状の要素を含む略円柱形状に形成されている。
このように上流側よりも流出側(出口側)をやや縮径することで、原水が流出する場合に吐出孔2Bに適度な圧力損失を与えて、原水の流出量が大きい場合にも、原水の流出量が小さい場合にも、原水がシャワー流出部材2Aの面にたれる現象を抑制し、幅広い流量範囲でシャワー状態で原水を流出可能となる。
【0041】
吐出孔2Bと第一空間R1との関係を補足する。
上述の通り、第一空間R1からは、
図11に示すように、吐出孔2Bを備えるシャワー流出部材2Aに対し、原水は旋回流れを維持した状態で、供給される。したがって、原水は吐出孔2Bの軸心方向に対して直交して交差する流れのベクトルを大きく維持した状態で、吐出孔2Bに供給される。
したがって、吐出孔2Bから流出する原水は、旋回流れFの方向の流れの運動エネルギーを維持した状態で吐出孔2Bからシャワー流として流出する。すなわち、
図11に示すように、旋回流れFの旋回方向の流れベクトルを、吐出孔2Bの内壁で反射して転換し、旋回流れFの方向の流れベクトルとはおよそ逆向きのベクトルを維持した状態で吐出孔2Bから軸心Pに対して角度αのシャワー流として流出する。
【0042】
したがって、本実施形態では、各々の吐出孔2Bから流出する流体の吐出方向を、吐出孔2Bの向きから一定程度同一方向にシフトして流出させる状態になる。具体的には、各々の吐出孔2Bから第一空間R1内の旋回流れFの方向とは逆向きに、原水が流出することになる。
つまり、シャワー流出部材2Aは、第一空間R1内の旋回流れFの方向とは逆方向の旋回流で流出する旋回シャワー状にシャワーを形成するのである。このシャワー流は、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流となる。
【0043】
切替部CSは、
図5、7に示すように、原水の流れを、浄水流出部1と、シャワー流路W2と、原水流路W3とに任意に切り替える部材である。したがって、切替部CSの切り替えにより、浄水流出部1と、シャワー流出部材2Aと、原水流出部3と、を切り替えて使用することができる。
【0044】
吐出孔2Bについて補足する。
吐出孔2Bの開孔径(直径)は、通常用いられる範囲で構成することができる。しかし、吐出孔2Bの開孔径はおよそ200μmから1000μm程度とすることが好ましい。大きすぎると、シャワー流出部材2Aで片流れを起こしたり、きれいなシャワー流を形成できなくなったりするため好ましくない。また、大きすぎると、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流を得られない場合がある。吐出孔2Bの開孔径を上記範囲とすることで、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流を得ることができる。
【0045】
吐出孔2Bは、その上流側の開孔径を、流出側(出口側)の開孔径の1.1倍〜1.5倍程度とすることが好ましい。しかし、上流側の開孔径を、流出側(出口側)に対して大きくしすぎると、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流を得られない場合がある。開孔径の比率を上記範囲とすることで、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流を得ることができる。
【0046】
吐出孔2Bの長さは、およそ200μmから1000μm程度とすることが好ましい。ただし、長すぎると、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流を得られない場合がある。吐出孔2Bの長さを上記範囲とすることで、広がりのある広角な、やわらかな手当たり感のあるシャワー流を得ることができる。
【0047】
切替部CSは、その上流側が流入口62に連通し、下流側が流入口62に連通している。
切替部CSには、弁室61と、弁体65と、弾性付勢手段68とが含まれる。
切替部CSは、
図3〜7に示すように、弁室61に1つの流入口62と複数の流出口63が設けられ、複数の流出口63のそれぞれに、弁室61内に位置して流出口63を開閉自在な弁体65とが設けられる。
図1および
図4に示すように、流入口62は、原水(水道水)が流入する開口であって、弁室61の上部に設けられる。水栓取付リング41を介して、流入口62は水道水の蛇口Jに接続される。
【0048】
図3、5、7に示すように、流出口63は、本実施形態において3つ備えられる。具体的には、原水を浄化部70に通流させて浄水として吐出するための浄水弁部63A、原水を外部へ直流状で吐出するための原水弁部63B、および原水をシャワー状にして吐出するためのシャワー弁部63Cの3つを備え、流入口62はこれらの流出口63それぞれに連通接続される。
【0049】
浄水弁部63A、原水弁部63B、シャワー弁部63Cについて補足する。
浄水弁部63Aの流出口63は、浄化部70を経て浄水流出部1に連通する浄水流路W1に原水を供給可能に接続されている。
原水弁部63Bの流出口63は、原水流出部3に連通する原水流路W3に原水を供給可能に接続されている。
シャワー弁部63Cの流出口63は、シャワー流出部材2Aに連通するシャワー流路W2に原水を供給可能に接続されている。
【0050】
図3に示す押さえ部材46は、流入口62の下方に設けられ、弁室61内に3つの小弁室を形成し、各小弁室に弾性付勢手段68と弁体65とが備えられる。押さえ部材46は上部に貫通孔を備え、流入口62から流入した原水を弁室61内に通流可能に構成される。
【0051】
弁体65は、流入口62と流出口63とを連通状態と非連通状態とに切り替える弁部材である。
弁体65は、流入口62から流入した流体が通流不能なように流出口63を閉めた状態(閉状態)と、流体が通流可能なように流出口63を開いた状態(開状態)と、を切替自在に構成される。
弁体65は、各流出口63と対となるように設けられる。弁体65は、弾性付勢手段68であるスプリングによって、通常時、流出口63を閉じる(ノーマルクローズとなる)ように流出口63側に押圧され付勢されている。
【0052】
弁体65は、本実施形態では、
図3、5、7に示すように、弁体65として、ボール状部材が用いられる。このボール状部材は、例えばステンレスなどの金属材料、フッ素樹脂などの樹脂材料、シリコンゴムなどのゴム状材料を用いることができる。
【0053】
各流出口63に連なる原水側流路69内のそれぞれには、弁体65を押圧して、流出口63を開状態とする弁体押圧位置と、弁体65を押圧せずに流出口63を閉状態とする弁体非押圧位置とに移動自在に保持された押し部材10が設けられている。
【0054】
押し部材10としては、具体的には、直線状に形成された原水側流路69内に流路方向に沿って移動自在に保持された棒状のプッシュロッドが用いられる。
押し部材10も、弁体65と同様に、各流出口63と対になるように設けられる。すなわち、本実施形態においては、各流出口63に、弁体65および押し部材10が1つずつ設けられる。
【0055】
切替部CSの切り替えは、本実施形態では
図4、6に示すように移動操作手段51を操作することで行える。
この移動操作手段51には、回転表示手段52、把持部53、小窓54が含まれる。
移動操作手段51は、利用者が軸部材11に連結された把持部53を用いることで軸部材11を回動操作可能に構成される。
【0056】
移動操作手段51による切替部CSの切り替えに係る構造および動作について補足する。
切替部CSには、弾性付勢手段68による弾性付勢力に抗して複数の弁体65のうち1つの弁体65が対応する原水側流路69を開状態とし、他の(2つの)弁体65が対応する原水側流路69が閉状態となるように、各弁体65を移動させるためのカム部11Aを各弁体65のそれぞれに対応して備えた軸部材11からなる移動操作手段51が備えられる。
移動操作手段51は、具体的には、軸部材11の軸心11a周りでの回転角度によって、カム部11Aが複数の押し部材10のうちのいずれかに択一的に当接し、カム部11Aに当接した押し部材10が弁体押圧位置に移動することで弁体65を開状態とするように構成される。より詳しくは、カム部11Aは、軸部材11の軸心11a周りに、それぞれ位相が異なるように設けられる。
なお、軸部材11は、
図3に示すように、固定支持部材48を介してケーシング66の下面に回転自在に支持される。軸部材11は、軸心11aが水平方向となるように設けられる。
【0057】
軸部材11と、押し部材10と、弁体65と、弾性付勢手段68との関係を補足する。
図6に示すように、軸部材11と、押し部材10と、弁体65と、弾性付勢手段68とは、およそ同一平面上に配列されている。
したがって、シャワー部2と、第二空間R2と、供給路4と、軸部材11と、押し部材10と、弁体65と、弾性付勢手段68とは、およそ同一平面上に配列されているのである。
このように配列することで、液体流出装置100を、切替部CSや移動操作手段51を含めて、シャワーの流出方向に対してコンパクトにすることができる。
【0058】
また、これらシャワー部2と、第二空間R2と、供給路4と、軸部材11と、押し部材10と、弁体65と、弾性付勢手段68とは、軸部材11の幅方向Wの一方側にそれぞれ順に、軸部材11、押し部材10、弁体65、弾性付勢手段68、供給路4、第二空間R2、シャワー部2の順序で配置される。
このように配列することで、液体流出装置100を、切替部CSや移動操作手段51を含めて、シャワーの流出方向に対してコンパクトにすることができる。
【0059】
複数の押し部材10は、高さ方向Hにおいて同じ位置に、水平方向において互いに平行となるように、並列配置される。移動操作手段51の軸部材11は、各押し部材10の軸心に対して水平面上において直交するように、各押し部材10から離れた位置に配置されている。
【0060】
回転表示手段52は、切替部CSの原水の流れが、浄水流出部1と、シャワー流路W2と、原水流路W3とのいずれを使用する状態に設定されているかを表示する表示部である。
回転表示手段52は、本実施形態では、筒状に形成され、軸部材11の回動に応じて回転し、移動操作手段51により弁体65が開状態となった流出口63を示す流出口情報iを表示するよう構成されている。
回転表示手段52は、より具体的には、
図3、4に示すように中空で、一部異径の円錐台状に形成された表示部21を備える。
【0061】
表示部21の外周面には、流出口情報iとして「浄水」、「原水」、および「シャワー」の文字が表示される。
「浄水」、「原水」、および「シャワー」のそれぞれは、流入口62から流入した原水が浄水弁部63Aから流出して浄水流出部1を使用する状態、原水弁部63Bから流出して原水流路W3を使用する状態、およびシャワー弁部63Cから流出してシャワー流路W2を使用する状態のそれぞれを示す。
なお、これらの文字は、表示部21に刻印、または文字を印刷したシールが貼られること等により利用者が視認可能な形態で表示される。
【0062】
本実施形態においては、
図4に示すように、回転表示手段52を収納するケーシング66の高さ方向Hの上面に小窓54が設けられ、当該小窓54を介して、利用者が高さ方向H上方から、回転表示手段52を覗き見ることで、回転表示手段52の表示部21に表示された流出口情報iを視認可能に構成される。小窓54はプラスチックなどの透明部材からなる板状部材で、回転表示手段52の表示部21の鉛直方向上端Tと平行となるように設けられる。小窓54を介して視認可能な流出口情報iは、利用者の把持部53の操作による軸部材11の回動に応じて、表示部21が回転することで切り替わる。
【0063】
切替部CSは、幅方向Wの一方向に設けられた把持部53を用いて軸部材11を回動操作すると、回転表示手段52が軸部材11の軸心11aに対して直交する軸を中心として回転するように構成される。すなわち、軸部材11の回転方向と、回転表示手段52の回転方向とが異なるように構成される。
幅方向Wでレバー31と軸部材11との間には中空部32が形成される。回転表示手段52は、把持部53の中空部32に配置される。
【0064】
浄化部70は、原水を浄化する部材である。本実施形態では、原水を浄化する濾過カートリッジを内蔵した円筒状の部材で、切替部CSの幅方向Wの一方側に配置される。浄化部70は、ケーシング2Cに載置され、ケーシング66の側面から挿脱可能に構成された浄化部着脱部材47を介して、弁室61と連通する浄水流路W1と通流可能に接続される。浄化部着脱部材47を備えることで、浄化部70を弁室61から容易に取り外すことができ、浄化部70や切替部CSのメンテナンスが行い易くなっている。
【0065】
〔別実施形態〕
本発明は、前述した実施形態に限定されるわけでなく、その他種々の変更が可能である。変更の例として、以下に本発明の別実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0066】
(1)上述の実施形態では、浄水流出部1が、第一空間R1の軸心部に位置するよう配置した場合を示したが本願発明はこの構成に限られない。浄水流出部1の代わりに、原水流出部3を配置して備えてもよい。
【0067】
(2)上述の実施形態では、第二空間R2の外径は、第一空間R1の外径とおよそ同一とした例を示したが本願発明はこの構成に限られない。第二空間R2の外径を、第一空間R1の外径よりも大きくしてもよい。
このように構成すると、第二空間R2でより均質化された状態で、第一空間R1に原水を供給できるため、シャワー部2から均質に液体を吐出させることができる。