(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665008
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20200302BHJP
E06B 9/56 20060101ALI20200302BHJP
E06B 9/54 20060101ALN20200302BHJP
E06B 9/60 20060101ALN20200302BHJP
【FI】
E06B9/58 A
E06B9/58 Z
E06B9/56 Z
!E06B9/54
!E06B9/60
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-67745(P2016-67745)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-179842(P2017-179842A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107930
【氏名又は名称】セイキ販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】戸田 宏次
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
【審査官】
渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−127390(JP,A)
【文献】
特開2008−25332(JP,A)
【文献】
特開2017−166138(JP,A)
【文献】
特開2016−223227(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0092454(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/56−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン装置の周枠が、少なくとも一対の側枠とそれらの上端間に配設される上枠とを備え、上記側枠の一方が、スクリーンの一端を巻き取る巻取軸を収容してなる巻取りボックスを備えたものとして構成され、上記側枠の他方が、上記スクリーンの他端に取り付けた可動框がスクリーンの展張時に当接する受け枠として構成され、
巻取軸に巻かれる上記スクリーンの両側縁に沿って多数の係合子が取り付けられ、スクリーンの上端側の該係合子を上記上枠内のガイドレールに係合させると共に、スクリーンの下端側の係合子を上記一対の側枠の下端間に配設されるガイドレールに摺動自在に係合させて、上記スクリーンの両側縁をガイドさせるスクリーン装置において、
上記上枠内のレール支持枠における受け枠側の先端部に、先端が受け枠に設けたラッチ受けに係脱自在に嵌入するラッチが伸縮自在に設けられ、
上記一対の側枠の下端間に配設されるガイドレールは、上枠内のレール支持枠に設けたラッチの伸縮に応じて長さ調整できる調整機構を有するものとし、
上記上枠が、該上枠内のレール支持枠の先端部に設けたラッチの伸縮に応じて上枠の全長を調整できる調整機構を備えている、
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
上記上枠内のガイドレールが、スクリーンの上枠側端縁に沿って取り付けた係合子を摺動自在に係合させてガイドするところの、摺動溝口縁にスリットを備えたインナーレールによって構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
上記レール支持枠の先端部に設けた伸縮自在のラッチが、レール支持枠内のバネにより伸長方向に付勢したものとして構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン装置。
【請求項4】
スクリーンの下端をガイドする上記ガイドレールが、多数のガイド駒を上に凹に湾曲可能に連結してなるスクリーンガイドによって構成され、
該スクリーンガイドの各ガイド駒は、その上面に、上記スクリーンの下端の係合子を係合させるスリットを、一連のスリット列を形成するように配列させて設けることにより、該係合子をスリット列に沿って摺動自在に係合させ得るものとし、
該スクリーンガイドは、その一端を、上記巻取りボックスのスクリーン導出口の下端に対して、導出するスクリーンの下端の係合子が上記ガイド駒のスリットに係合する位置に取り付け、その他端を、可動框内に設けたガイド収容筒に、可動框の移動に伴ってその下端から屈曲して内部に導出入されるように挿通し、その導出長さをスクリーン張設範囲に対応させている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーン装置。
【請求項5】
上記多数のガイド駒を連結したスクリーンガイドにおけるガイド収容筒内への挿入端に連結したワイヤーを、上記ガイド収容筒の上端から前記ラッチの先端側に導き、バネの付勢力で伸長位置にあるラッチにその先端を連結して、可動框を平行移動させると共に、上記スクリーンガイドの長さ調整機構として機能させる、
ことを特徴とする請求項4に記載のスクリーン装置。
【請求項6】
上記巻取りボックスが、それを建物開口部に取り付ける取付部材に対して分離可能に取り付けられ、
上記上枠内において上記ガイドレールを支持するレール支持枠が、巻取軸へのスクリーンの巻取りにより可動框が巻取りボックスに当接した状態において、該可動框に沿う方向に折曲して垂下可能になるように、上記巻取りボックスの上部に折曲可能に連結され、
それにより、上記周枠の一部を構成する巻取りボックス、それに当接する可動框、それらに沿う方向に折曲した上枠内のレール支持枠、並びにそれらと一体化されている部材を含むスクリーン組立体を、上記取付部材に対して着脱可能に形成している、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスクリーン装置。
【請求項7】
上記上枠の長さ調整機構により全長を調整された上枠を、スクリーン装置の設置空間の高さに応じて上下にスライド調整可能に形成している、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のスクリーン装置。
【請求項8】
スクリーン装置の周枠が、少なくとも一対の側枠とそれらの上端間に配設される上枠とを備え、上記一対の側枠が、それぞれ、スクリーンの一端を巻き取る巻取軸を収容してなる巻取りボックスを備えたものとして構成され、
上記両巻取軸に巻かれる各スクリーンの両側縁に沿って多数の係合子が取り付けられ、上記上枠の中間位置よりも一方の側枠側における上枠内に設けたガイドレールに、該一方の側枠側のスクリーンの上端側の係合子を摺動自在に係合させると共に、上記中間位置よりも他方の側枠側における上枠内に設けたガイドレールに、該他方の側枠側のスクリーンの上端側の係合子を摺動自在に係合させ、更に、両スクリーンの下端側の係合子についても、上記一方及び他方の側枠側の各下端側に配設されるガイドレールに係合させて、上記両スクリーンの上下側端をガイドさせるようにした両引きのスクリーン装置において、
上記上枠における上記中間位置の両側のレール支持枠の該中間位置側の先端部にそれぞれラッチが伸縮自在に設けられ、上記上枠内の中間位置に、両ガイドレール側に向けて両レール支持枠のラッチを係脱自在に嵌入させる一対のラッチ受けが配設されたラッチ受け支持部材が設けられ、
上記一対の側枠の下端とそれらの間の中間位置との間に配設されるガイドレールは、上枠内のレール支持枠に設けたラッチの伸縮に応じて長さ調整できる調整機構を有するものとし、
上記上枠が、該上枠内のレール支持枠の先端部に設けたラッチの伸縮に応じて上枠の全長を調整できる調整機構を備えている、
ことを特徴とする両引きのスクリーン装置。
【請求項9】
上記一対の巻取りボックスが、それを建物開口部に取り付ける取付部材に対して分離可能に取り付けられ、
上記上枠内において一対のガイドレールをそれぞれ支持するレール支持枠が、巻取軸へのスクリーンの巻取りにより可動框が巻取りボックスに当接した状態において、該可動框に沿う方向に折曲して垂下可能になるように、上記巻取りボックスの上部にそれぞれ折曲可能に連結され、
それにより、上記周枠の一部を構成する巻取りボックス、それに当接する可動框、それらに沿う方向に折曲した上枠内のレール支持枠、並びにそれらと一体化されている部材を含むスクリーン組立体を、上記取付部材に対して着脱可能に形成している、
ことを特徴とする請求項8に記載のスクリーン装置。
【請求項10】
上記上枠の長さ調整機構により全長を調整された上枠に対し、上記ラッチ受け支持部材を上下位置調整可能に設け、該上枠を、スクリーン装置の設置空間の高さに応じて上下に調整可能に形成している、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンを巻取軸への巻取りによって収納可能にしたスクリーン装置の周枠の外形寸法を、それを設置する建物開口部等の設置空間の大きさに応じて調整可能にした当該スクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アコーディオンタイプのスクリーンを用いたスクリーン装置では、例えば、特許文献1に開示されているように、建物開口部のスクリーン設置枠に対し、該スクリーン5及び可動框6を、それらにワイヤーを挿通することにより構成される平行移動機構と共にユニット化したスクリーンユニット3として、簡易に着脱やスクリーン装置の周枠の寸法調整を可能にしたものが知られている。
【0003】
しかしながら、スクリーンを巻取軸への巻取りによって収納可能にした横引きスクリーン装置においては、巻取軸を収容した巻取りボックスの存在や、巻取軸に巻かれるスクリーンの両側縁に沿って取り付けた多数の係合子を、上枠内のガイドレールや一対の側枠の下端間に配設されるガイドレールに摺動自在に係合させてガイドする機構を備えることから、それらによって構成されるスクリーン組立体は、上記アコーディオンタイプのスクリーン装置と同様な構成で簡易にスクリーン装置の周枠に着脱したり、スクリーン装置の周枠の外形寸法を、それを設置する建物開口部等の設置空間の大きさに応じて調整可能にすることには多大の困難性がある。そのため、巻取り式の横引きスクリーン装置においては、建物開口部等の設置空間にスクリーン装置を設置するに当たって、スクリーン装置の周枠の外周と建物開口部との間に若干の隙間が生じるときには、その隙間を何らかの部材で隠蔽することも必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−127390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、スクリーンを巻取りによって収納するタイプの横引きスクリーン装置において、スクリーン装置の周枠の外形寸法を設置空間の大きさに応じて調整可能にしたスクリーン装置を提供することにある。
また、本発明の他の技術的課題は、上記スクリーン装置の周枠の外形寸法を設置空間の大きさに応じて調整するための構成の一部を利用して、スクリーン装置の周枠内に組み付けるスクリーン組立体を簡易に該スクリーン装置の周枠に対して着脱可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によれば、スクリーン装置の周枠が、少なくとも一対の側枠とそれらの上端間に配設される上枠とを備え、上記側枠の一方が、スクリーンの一端を巻き取る巻取軸を収容してなる巻取りボックスを備えたものとして構成され、上記側枠の他方が、上記スクリーンの他端に取り付けた可動框がスクリーンの展張時に当接する受け枠として構成され、巻取軸に巻かれる上記スクリーンの両側縁に沿って多数の係合子が取り付けられ、スクリーンの上端側の該係合子を上記上枠内のガイドレールに係合させると共に、スクリーンの下端側の係合子を上記一対の側枠の下端間に配設されるガイドレールに摺動自在に係合させて、上記スクリーンの両側縁をガイドさせるスクリーン装置において、上記上枠内のレール支持枠における受け枠側の先端部に、先端が受け枠に設けたラッチ受けに係脱自在に嵌入するラッチが伸縮自在に設けられ、上記一対の側枠の下端間に配設されるガイドレールは、上枠内のレール支持枠に設けたラッチの伸縮に応じて長さ調整できる調整機構を有するものとし、上記上枠が、該上枠内のレール支持枠の先端部に設けたラッチの伸縮に応じて上枠の全長を調整できる調整機構を備えていることを特徴とするスクリーン装置が提供される。
【0007】
上記構成を備えた本発明のスクリーン装置によれば、以下に詳述するところから明らかなように、スクリーンを巻取軸への巻取りによって収納するタイプの横引きスクリーン装置において、ラッチの最大伸長範囲内においてスクリーン装置の周枠の大きさを調整することができ、スクリーン装置の周枠と該スクリーン装置の設置空間である建物開口部等との間に隙間が生じるのを抑制することができる。また、上記スクリーン装置の周枠の外形寸法を設置空間の大きさに応じて調整する構成の一部を利用して、スクリーン装置の周枠内に組み付けるスクリーン組立体を、簡易に該スクリーン装置の周枠に対して着脱することが可能になる。
【0008】
本発明に係る上記スクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記上枠内のガイドレールが、スクリーンの上枠側端縁に沿って取り付けた係合子を摺動自在に係合させてガイドするところの、摺動溝口縁にスリットを備えたインナーレールによって構成される。
また、上記レール支持枠の先端部に設けた伸縮自在のラッチが、レール支持枠内のバネにより伸長方向に付勢したものとして構成される。
【0009】
本発明に係る上記スクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、スクリーンの下端をガイドする上記ガイドレールが、多数のガイド駒を上に凹に湾曲可能に連結してなるスクリーンガイドによって構成され、該スクリーンガイドの各ガイド駒は、その上面に、上記スクリーンの下端の係合子を係合させるスリットを、一連のスリット列を形成するように配列させて設けることにより、該係合子をスリット列に沿って摺動自在に係合させ得るものとし、該スクリーンガイドは、その一端を、上記巻取りボックスのスクリーン導出口の下端に対して、導出するスクリーンの下端の係合子が上記ガイド駒のスリットに係合する位置に取り付け、その他端を、可動框内に設けたガイド収容筒に、可動框の移動に伴ってその下端から屈曲して内部に導出入されるように挿通し、その導出長さをスクリーン張設範囲に対応させたものとして構成される。
【0010】
本発明に係る上記スクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記多数のガイド駒を連結したスクリーンガイドにおけるガイド収容筒内への挿入端に連結したワイヤーを、上記ガイド収容筒の上端から前記ラッチの先端側に導き、バネの付勢力で伸長位置にあるラッチにその先端を連結して、可動框を平行移動させると共に、上記スクリーンガイドの長さ調整機構として機能させるものとして構成することができる。
【0011】
本発明に係るスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記巻取りボックスが、それを建物開口部に取り付ける取付部材に対して分離可能に取り付けられ、上記上枠内において上記ガイドレールを支持するレール支持枠が、巻取軸へのスクリーンの巻取りにより可動框が巻取りボックスに当接した状態において、該可動框に沿う方向に折曲して垂下可能になるように、上記巻取りボックスの上部に折曲可能に連結され、それにより、上記周枠の一部を構成する巻取りボックス、それに当接する可動框、それらに沿う方向に折曲した上枠内のレール支持枠、並びにそれらと一体化されている部材を含むスクリーン組立体を、上記取付部材に対して着脱可能に形成される。
【0012】
本発明に係るスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記上枠の長さ調整機構により全長を調整された上枠を、スクリーン装置の設置空間の高さに応じて上下にスライド調整可能に形成される。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明によれば、スクリーン装置の周枠が、少なくとも一対の側枠とそれらの上端間に配設される上枠とを備え、上記一対の側枠が、それぞれ、スクリーンの一端を巻き取る巻取軸を収容してなる巻取りボックスを備えたものとして構成され、上記両巻取軸に巻かれる各スクリーンの両側縁に沿って多数の係合子が取り付けられ、上記上枠の中間位置よりも一方の側枠側における上枠内に設けたガイドレールに、該一方の側枠側のスクリーンの上端側の係合子を摺動自在に係合させると共に、上記中間位置よりも他方の側枠側における上枠内に設けたガイドレールに、該他方の側枠側のスクリーンの上端側の係合子を摺動自在に係合させ、更に、両スクリーンの下端側の係合子についても、上記一方及び他方の側枠側の各下端側に配設されるガイドレールに係合させて、上記両スクリーンの上下側端をガイドさせるようにした両引きのスクリーン装置において、上記上枠における上記中間位置の両側のガイドレールの該中間位置側の先端部にそれぞれラッチが伸縮自在に設けられ、上記上枠内の中間位置に、両ガイドレール側に向けて両レール支持枠のラッチを係脱自在に嵌入させる一対のラッチ受けが配設されたラッチ受け支持部材が設けられ、上記一対の側枠の下端とそれらの間の中間位置との間に配設されるガイドレールは、上枠内のレール支持枠に設けたラッチの伸縮に応じて長さ調整できる調整機構を有するものとし、上記上枠が、該上枠内のレール支持枠の先端部に設けたラッチの伸縮に応じて上枠の全長を調整できる調整機構を備えていることを特徴とする両引きのスクリーン装置が提供される。
【0014】
本発明に係る上記スクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記一対の巻取りボックスが、それを建物開口部に取り付ける取付部材に対して分離可能に取り付けられ、上記上枠内において一対のガイドレールをそれぞれ支持するレール支持枠が、巻取軸へのスクリーンの巻取りにより可動框が巻取りボックスに当接した状態において、該可動框に沿う方向に折曲して垂下可能になるように、上記巻取りボックスの上部にそれぞれ折曲可能に連結され、それにより、上記周枠の一部を構成する巻取りボックス、それに当接する可動框、それらに沿う方向に折曲した上枠内のレール支持枠、並びにそれらと一体化されている部材を含むスクリーン組立体が、上記取付部材に対して着脱可能に形成される。
【0015】
また、本発明に係るスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記上枠の長さ調整機構により全長を調整された上枠に対し、上記ラッチ受け支持部材を上下位置調整可能に設け、該上枠を、スクリーン装置の設置空間の高さに応じて上下に調整可能に形成される。
【発明の効果】
【0016】
以上に詳述した本発明のスクリーン装置によれば、スクリーンを巻取りによって収納するタイプの横引きスクリーン装置において、スクリーン装置の周枠の外形寸法を設置空間の大きさに応じて調整可能にしたスクリーン装置を提供することができ、また、上記スクリーン装置の周枠の外形寸法を設置空間の大きさに応じて調整するための構成の一部を利用して、スクリーン装置の周枠内に組み付けるスクリーン組立体を簡易に該スクリーン装置の周枠に対して着脱可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るスクリーン装置の第1実施例の構成の要部を縦断して示す正面図である。
【
図2】上記第1実施例の一部を断面によって示す側面図である。
【
図4】スクリーンの下部をガイドするガイドレールの構成を示す要部拡大斜視図である。
【
図5】上記第1実施例におけるラッチとラッチ受けの係合関係を示す一部破断背面図である。
【
図6】上記ラッチの具体的構成を示す上枠内のレール支持枠先端の要部拡大平面図図である。
【
図7】上記ラッチの伸縮の態様を示す動作説明図である。
【
図8】上記第1実施例におけるラッチのラッチ受けに対する係合を外した状態の正面図である。
【
図9】上記第1実施例におけるラッチを外したスクリーン組立体をスクリーン装置の周枠から取り外す態様について説明するための正面図である。
【
図10】本発明に係るスクリーン装置の第2実施例の構成の要部を縦断して示す正面図である。
【
図12】上記第2実施例における上枠の中間位置に設けるラッチ受け支持部材の斜視図である。
【
図13】上記ラッチ受け支持部材が、上枠の中間位置においてラッチ受けが
図12と同じ中間高さに保持されている状態を示すスクリーン装置の要部拡大正面図である。
【
図14】上記ラッチ受け支持部材において、ラッチ受けが上端位置に保持されている状態を示す正面図である。
【
図15】
図14の状態におけるスクリーン装置の要部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜
図9は、本発明に係るスクリーン装置の第1実施例であるところの、スクリーン10を巻取りボックス6内の巻取軸6aへ巻取ることにより収納するタイプの、横引きでしかも片引きのスクリーン装置の構成例を示し、特に、該横引きの巻取り式のスクリーン装置において、該スクリーン装置の周枠1の外形寸法を、建物開口部等のスクリーン装置の設置空間の大きさに応じて調整可能にし、また、そのための構成を利用して、スクリーン装置の周枠1内に組み付けられる後述のスクリーン組立体14(
図9参照)を簡易に該周枠1に対して着脱可能にした構成を示している。
【0019】
上記スクリーン装置の構成について具体的に説明すると、まず、
図1に示すように、上記スクリーン装置の周枠1は、少なくとも、一対の側枠3,4と、それらの上端間に配設される上枠5とを備えている。上記側枠の一方である側枠3は、周枠内に張設すべきスクリーン10の一端を巻取りバネ6bの付勢力で巻き取る巻取軸6aを収容した巻取りボックス6と、それを建物開口部等に取り付ける取付部材7とを、
図9に示すような掛け金具7aとラッチ7bとで分離可能に取り付けたものである。また、他方側の側枠4は、可動框8によるスクリーン10の展張時に、巻取軸6aに巻いたスクリーン10の他端に取り付けている該可動框8が当接保持される受け枠として構成されている。
【0020】
一方、巻取軸6aに巻かれる上記スクリーン10には、
図1、
図2及び
図4からわかるように、その両側縁に沿って多数の係合子10a,10bが取り付けられ、該スクリーン10の上端縁側の該係合子10aは上記上枠5内のガイドレール11に係合させている。上枠5内において多数の係合子10aを摺動自在に係合させるガイドレール11としては、
図1及び
図2に示すように、上記係合子10aを摺動溝11aの口縁のスリット11bに摺動自在に係合させてガイドできるようにした摺動性のよい合成樹脂製のインナーレールを用い、上記上枠5内においては、それをレール支持枠12によって支持させている。
【0021】
また、上記レール支持枠12は、巻取軸6aへのスクリーン10の巻取りにより可動框8が巻取りボックス6に当接した
図5に示す状態において、
図8に示すように、該可動框8に沿う方向に折曲して垂下可能になるように、上記巻取りボックス6の上部に折曲可能に連結されている。それにより、上記周枠の一部を構成する巻取りボックス6、それに当接する可動框8、それらに沿う方向に折曲した上枠5内のレール支持枠12、並びにそれらと一体化されているところの、下記下部のガイドレール13を構成する部材を含むスクリーン組立体14を、前記取付部材7から離脱可能な独立の構成要素としている。
【0022】
更に、上記上枠5内のガイドレール11を支持するレール支持枠12の受け枠(側枠4)側の先端部に、先端が受け枠に設けたラッチ受け18に係脱自在に嵌入するラッチ17が伸縮自在に設けられている。該ラッチ17は、任意の伸縮位置でネジ等により固定可能にしておくこともできるが、
図6に示すように、レール支持枠12内のバネ19により伸長方向に付勢したものとし、引き金20の操作により該バネ19の付勢力に抗してラッチ17を引き戻し、ラッチ受け18から離脱可能に形成している。
【0023】
図7の(a)は上記ラッチ17を伸長できる最大限の長さでラッチ受け18に嵌入させた状態を、同図(b)は該ラッチ17を最小限の長さでラッチ受け18に嵌入させた状態を示している。両図におけるラッチ17の突出量の差に相当する長さの範囲内において、建物開口部の横幅よりも小さいスクリーン装置の周枠1の横幅を若干大きく調整し、スクリーン装置をその建物開口部に適合させることができる。なお、ラッチ受け18の下方の側枠内面4aを硬質の滑り面にしておけば、上記レール支持枠12を
図8の状態から水平位置に戻すだけで、バネ19の作用によりラッチ17をラッチ受け18に係合させることができる。
【0024】
上記スクリーン装置の周枠1は、必ずしも上記上枠5に対向する下枠を必要としないものであるが、スクリーン10の下端側の係合子10bを上記一対の側枠3,4の下端間に配設するガイドレールに摺動自在に係合させることが望まれ、しかしながら、下枠を躓かない高さにしてバリアフリー化を図ることも望まれるため、ここでは、側枠3,4の下端間に配設するガイドレール13として、スクリーン10の張設時にのみ下枠の設置部位に導出され、該スクリーン10の巻取り時には可動框8内に収納されるバリアフリータイプのガイドレール(スクリーンガイド)13を用い、スクリーン10の下端縁の係合子10bを摺動自在にガイドさせるようにしている。
【0025】
その構成について具体的に説明すると、該ガイドレール13を構成するスクリーンガイドは、
図1及び
図4に示すように、多数のガイド駒15をそれらの上部に挿通した可撓性のワイヤー16で上に凹に湾曲可能に連結することによって構成したもので、該ガイドレール13の各ガイド駒15の上面中央には、上記スクリーン10の下端の係合子10bを係合させるスリット15aを、一連のスリット列を形成するように配列させて設けることにより、該係合子10bをスリット列に沿って摺動自在に係合させ得るものとして構成している。
【0026】
そして、該ガイドレール13を構成するスクリーンガイドは、その一端を
図3における上記巻取りボックス6のスクリーン導出口6cの下端に対して、導出するスクリーン10の下端の係合子10bが上記ガイド駒15のスリット15aに係合する位置に合わせて取り付けると共に、他端を
図3及び
図4の可動框8内に設けたガイド収容筒8aに、該可動框8の移動に伴ってその下端から屈曲して内部に導出入されるように挿通している。
上記ガイド駒15の連結により構成したスクリーンガイド及び可動框8の下端を本来の走行路に沿って安定的に移動させるため、周枠1の下枠を設置する位置には、該スクリーンガイドを案内する走行ガイド13aを設けているが、この走行ガイドは、上記バリアフリーの障害になるような高さを持つものではない。
【0027】
また、スクリーン10の開閉操作に際して可動框8を平行移動させるため、
図1に示すように、上記多数のガイド駒15を連結したスクリーンガイドにおけるガイド収容筒8a内への挿入端に平行移動用ワイヤー21を連結し、該ワイヤー21の先端を上記ガイド収容筒8aの上端から前記ラッチ17の先端側に導き、バネ19の付勢力で伸長位置にあるラッチ17に連結して、ガイド収容筒8a内に沿うスクリーンガイドの移動を円滑にしている。この平行移動用ワイヤー21を用いて可動框8を平行移動させる構成は、上枠5内のレール支持枠12に設けたラッチ17の伸縮に応じて、上記スクリーンガイド13の長さ調整をする調整機構としても機能するものである。
【0028】
なお、上記上枠5に対向するバリアフリー化した下枠を必要とせず、一般的な下枠を設ける場合には、当該下枠として本発明に係るスクリーン装置の上枠に設けているようなガイドレール11を、前記上枠5に設けたものに対して対称状をなすように設ければよい。この場合には、スクリーン装置の周枠1の外形寸法を、それを設置する建物開口部等の設置空間の大きさに応じて調整可能にするため、スクリーン10の下端側の係合子10bを上記一対の側枠3,4の下端間に配設するガイドレール13(インナーレール)に摺動自在に係合させ、上記一対の側枠3,4の下端間に配設されるガイドレール13は、上枠内のレール支持枠12に設けたラッチ17と同様に、その伸縮により長さ調整できるものとする必要がある。
【0029】
そして、前述のように、上記巻取りボックス6が、それを建物開口部等に取り付ける取付部材7に対して、掛け金具7aと該取付部材7に上下にスライドするラッチ7bとにより分離可能に取り付けられているため、該巻取りボックス6に当接する可動框8、それらに沿う方向に折曲した上枠5内のガイドレール11を含むレール支持枠12、並びにそれらと一体化されている上記ガイドレール13のような部材を含むところのスクリーン組立体14を、上記スクリーン装置の周枠1内において独立した構成要素とすることができるので、それをスクリーン装置の周枠1に対して容易に着脱することが可能になり、スクリーン装置の組み立てやメンテナンスを容易に行うことができる。
【0030】
また、上記上枠5内のガイドレール11を支持するレール支持枠12の受け枠側の先端部に伸縮自在のラッチ17を設けているため、該ラッチ17の伸縮に応じて上枠5の長さを伸縮させる必要があり、そのため、上枠5の側枠3及び4側の端部5aを本体部に対してスライドにより伸縮可能に形成した長さの調整機構を備えているが、スクリーン装置の設置空間の高さに応じて周枠1の上下方向寸法も調整可能にする必要があり、そのため、上枠5の全長を上記長さの調整した上で、側枠3,4とは分離された上枠5を昇降させて、その高さを調整可能に形成している。
【0031】
なお、上記上枠5自体の長さや、側枠3,4上における上枠5の高さを上記調整機構で調整した場合に、それらの側枠や上枠をその調整状態に固定するネジ等の固定金具を適宜設けることができるが、図示の実施例においては、スクリーン装置を設置する建物開口部にそれらの側枠や上枠を取付ネジ23で固定することにより、周枠1に所要の形態を保持させるように形成している。
【0032】
図10〜
図15は、本発明に係るスクリーン装置の第2実施例である両引きスクリーン装置の構成を示している。
この両引きスクリーン装置は、基本的には、上記第1実施例のスクリーン装置の一対における受け枠を省略して、それらのスクリーン装置の可動框38を中央で召し合わせる構成を備えるものであって、両引きスクリーン装置の周枠31としては、少なくとも、一対の側枠33,34と、それらの上端間に配設される上枠35とを備えるものである。
【0033】
図10における上記一対の側枠33,34は、
図11からわかるように、上枠35の中間位置の両側に張設する各スクリーン10の一端を巻取りバネの付勢力で巻き取る巻取軸36aを収容してなる巻取りボックス36を備え、いずれの巻取りボックス36も、前記第1実施例のスクリーン装置と同様に、建物開口部に取り付ける取付部材7に対して分離可能に取り付けたものとして構成している。
また、上記上枠35は、後述するラッチ受け支持部材48を設ける中間位置で2分しているが、単一のものであっても差し支えない。なお、上記中間位置とは対設するスクリーン装置が2分される位置ではあるが、左右のスクリーン長を等分する位置であるとは限らない。
【0034】
上記両巻取軸36aに巻かれる各スクリーン10は、
図1及び
図4の第1実施例の場合と同様に、その上下の両側縁に沿って多数の係合子10a,10bが取り付けられ、上記上枠35の中間位置よりも一方の側枠33側の上枠35A内に設けたガイドレール41A(
図1及び
図2のガイドレール11参照)に、該一方の側枠33側のスクリーン10の上端側の係合子10aを摺動自在に係合させ、また、上記中間位置よりも他方の側枠34側の上枠35B内に設けたガイドレール41Bに、該他方の側枠34側のスクリーン10の上端側の係合子10aを摺動自在に係合させている。更に、両スクリーン10の下端側の係合子10bについても、上記一対の側枠33,34の各下端側間に配設されるガイドレール43A,43B(スクリーンガイド)に係合させて、両スクリーン10の上下側端をガイドさせている。
【0035】
上記一対の側枠33,34の各下端側に配設されるガイドレール43A,43Bは、第1実施例について
図1及び
図4を参照して説明したところのバリアフリータイプのガイドレール(スクリーンガイド)13と構成及び作用が変わるところはなく、また、該ガイドレール13に付帯するところの可動框8を平行移動させる機構等も変わるところがないので、ここでは、
図10及び
図11のガイドレール43A,43Bに関連する部分に、
図1及び
図4のガイドレール13の各部に付した符号を付して、それらの説明を省略する。
【0036】
上枠35の中間位置の両側の上記上枠35A,35B内においては、第1実施例と同様のガイドレール41A,41Bをレール支持枠42A,42Bにより支持させているが、該レール支持枠42A,42Bの中間位置側の先端部に、第1実施例と同様のラッチ47A,47Bがそれぞれ伸縮自在に設けられている。該ラッチ47A,47Bは、
図6に示す第1実施例と同様に、レール支持枠内のバネ19により伸長方向に付勢したものとするのが望ましく、また、
図10等に示している引き金50により、
図7等に示した引き金20と同じ操作で、該バネ19の付勢力に抗して該ラッチ47A,47Bをラッチ受け支持部材48に設けた後述のラッチ受け49から離脱可能に形成することが望ましい。
【0037】
また、上記レール支持枠42は、巻取軸36aへのスクリーン10の巻取りにより可動框38が巻取りボックス36に当接した状態(第1実施例の
図5の状態)において、
図8を参照して説明した第1実施例と同様に、該可動框38に沿う方向に折曲して垂下可能になるように、上記巻取りボックス36の上部に折曲可能に連結されている。そのため、上記周枠の一部を構成する巻取りボックス36、それに当接する可動框38、それらに沿う方向に折曲した上枠内のレール支持枠42Aまたは42B、並びにそれらと一体化されているところの、下部のガイドレール43Aまたは43Bを構成する部材を含む両スクリーン組立体44を、前記取付部材37から離脱可能な独立の構成要素とし、第1実施例と同様に、それをスクリーン装置の周枠31に対して容易に着脱することが可能になる。
【0038】
図12や
図14からわかるように、上記上枠35Aと上枠35Bとの間に連結したラッチ受け支持部材48には、該両レール支持枠42A,42Bの先端のラッチ47A,47Bを係脱自在に嵌入させるラッチ受け49が、両側のレール支持枠42A,42B側からのラッチ47A,47Bの先端の嵌入を受け入れる角孔状の受け部49aを有するものとして構成されている。
【0039】
即ち、上記ラッチ47A,47Bは、
図6の平面図において明瞭に示しているように、平面視で左右の一半を欠落させた形態を有するものとし、本発明の第2実施例のようにスクリーン装置を両引きとする場合には、対向するラッチ47A,47Bの欠落側を対面させてラッチ受け49に嵌入させるように両ラッチ47A,47Bの位置決めを行うと、両ラッチ47A,47Bのラッチ受け49を、両ラッチが嵌入できる単一の角孔状に形成することが可能になり、それだけ構成を簡単化することができる。但し、ラッチ47A,47B及びラッチ受け49を必ずしもこのような構成とする必要はなく、第1実施例のラッチとラッチ受けの一対を併設したものとすることもできる。
【0040】
上述した伸縮可能なラッチ47A,47Bを備えたレール支持枠42A及び42Bは、
図7を参照して先に説明した第1実施例の場合と同様に、ラッチを伸長できる最大限の長さでラッチ受けに嵌入させた状態である
図7(a)と、ラッチを最小限の長さでラッチ受けに嵌入させた
図7(b)との間の長さ範囲内で、建物開口部の横幅よりも小さいスクリーン装置の周枠1の横幅を調整し、スクリーン装置をその建物開口部に適合させることができるものである。
【0041】
また、上記上枠35内のガイドレール41A,41Bを支持するレール支持枠42A,42Bの受け枠側の先端部に伸縮自在のラッチ47A,47Bを設けているため、該ラッチ47A,47Bの伸縮に応じて上枠35の長さを伸縮させる必要があり、そのため、上枠35の側枠33側及び34側の上枠の端部35Cを本体部に対してスライドにより伸縮可能に形成した長さの調整機構を備えている。
【0042】
これに対し、スクリーン装置の設置空間の高さに応じて周枠31の上下方向寸法も調整可能にする必要があるが、上枠5の全長を上記長さの調整をした上で、側枠33,34とは分離された上枠35を昇降させようとすると、一対のレール支持枠42A,42Bは側枠33,34の上端に回転可能に連結していて昇降できないのに対し、ラッチ受け49を上枠35と一体化しているラッチ受け支持部材48に固定しておくことはできず、そのため、ラッチ受け支持部材48対向内側面に一対の縦方向ガイド48aを設けて、その縦方向ガイドに沿って昇降可能にガイドされるラッチ受け49を任意高さに調整してネジその他の固定具で固定可能に形成している。
【符号の説明】
【0043】
1 周枠
3,4 側枠
5 上枠
6 巻取りボックス
6a 巻取軸
7 取付部材
8 可動框
10 スクリーン
10a,10b 係合子
11,13 ガイドレール
12 レール支持枠
14 スクリーン組立体
17 ラッチ
18 ラッチ受け