特許第6665023号(P6665023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665023
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】躯体の変位推定モニタリングシステム。
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/04 20060101AFI20200302BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20200302BHJP
   E02D 27/48 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   E02D17/04 Z
   E04G21/14ESW
   E02D27/48
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-95378(P2016-95378)
(22)【出願日】2016年5月11日
(65)【公開番号】特開2017-203293(P2017-203293A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594119128
【氏名又は名称】株式会社アーク情報システム
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貢一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康弘
(72)【発明者】
【氏名】内藤 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】市川 享祐
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−151633(JP,A)
【文献】 特開2008−297870(JP,A)
【文献】 特開2014−001590(JP,A)
【文献】 特開2013−053490(JP,A)
【文献】 特開2005−002675(JP,A)
【文献】 特開2000−027185(JP,A)
【文献】 特開2013−170955(JP,A)
【文献】 特開2015−200530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/04
E02D 27/48
E04G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体の代表点の位置を測定する計測手段と、この計測手段による計測結果に基づいて上記躯体の上記代表点以外の点における変位を推定する演算手段とを備えてなり、
上記演算手段は、上記測定時の上記躯体の解析モデルにおける上記代表点の位置と、上記計測結果の位置との誤差を小さくさせる積載荷重を上記解析モデルに作用させて上記代表点の位置を算出する逆解析を、漸次当該積載荷重を変化させつつ繰り返し実施して、当該誤差が許容値以下となった時の上記積載荷重が作用する上記解析モデルに基づいて、上記代表点以外の点における上記変位を推定することを特徴とする躯体の変位推定モニタリングシステム。
【請求項2】
上記計測手段は、上記代表点の加速度を検出する加速度計を備え、
かつ上記演算手段は、予め設定した反復回数または演算時間を経過後に上記誤差が上記許容値以下に収束しない場合に、上記測定時の上記躯体の解析モデルにおける固有周期を算出するとともに、上記加速度計の計測結果から上記測定時における固有周期を算出し、これら算出結果の第2の誤差を小さくさせる剛性を設定して上記解析モデルの固有周期を算出する逆解析を、漸次当該剛性を変化させつつ繰り返し実施して、当該第2の誤差が許容値以下となった時の上記剛性に基づいて、上記代表点以外の点における上記変位を推定することを特徴とする請求項1に記載の躯体の変位推定モニタリングシステム。
【請求項3】
上記解析モデルとして、上記躯体の設計時に作成したものから上記施工段階において未施工の部材を除去したもの、または新に部材を追加したものを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の躯体の変位推定モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工段階や外乱が生じた後における躯体の変位を推定するためのモニタリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場の施工においては、安全確保や工期短縮とともに、施工精度の管理も重要な要請事項となっている。このため、従来から、施工の進捗に伴う複数段階において、また地震や台風などの外的要因が生じた場合には一時的に、躯体の位置(レベル)を計測し、施工や躯体の健全性を確認することにより、施工品質の確保、作業の安全性の確保および次工程への開始判断を行っている。
【0003】
この際に、施工した躯体の全ての位置を測量することが最も好ましいものの、計測やデータ処理に多大の手間と時間を要し、かつ費用も嵩むために現実的ではない。そこで、一般的には、図7に示すように代表点Pのレベルを測量し、測量していない位置Pのレベルを線形補間によって割り出している。
【0004】
また、施工段階によっては、図8(a)に示すように、計測したい位置Pが工事の都合によって設置した足場や防護ネット等の陰に隠れて計測することが出来ない場合がある。このような場合には、上記位置Pの近傍を代表点Pとして計測を行い、同様に測量できない上記位置Pのレベルを線形補間によって割り出している。
【0005】
しかしながら、上記従来の代表点Pにおける変位測量によっては、測量しなかった躯体の他の位置P、P等における変位を、もっぱら線形補間によって推定しているために、正確な変位を把握することが難しく、この結果施工精度管理が疎かになって、後工程でやり直しが生じる事例が発生していた。
【0006】
また、計測からデータ処理に経て解析や分析を行い、これに基づいて施工者および設計者が施工品質や安全性を確認したうえで次工程への開始判断を行うのに、数日といった長い時間とを要するため、施工待ち等の無駄時間が生じてしまうという問題点もあった。
【0007】
なお、山止め工事等の地盤掘削時における構造物の変状を確認するためのモニタリング技術としては、例えば下記特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−151633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、施工段階や外乱が生じた後等の躯体の各点における変位を、容易かつ短時間のうちに高い精度で推定することが可能になる躯体の変位推定モニタリングシステムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、躯体の代表点の位置を測定する計測手段と、この計測手段による計測結果に基づいて上記躯体の上記代表点以外の点における変位を推定する演算手段とを備えてなり、上記演算手段は、上記測定時の上記躯体の解析モデルにおける上記代表点の位置と、上記計測結果の位置との誤差を小さくさせる積載荷重を上記解析モデルに作用させて上記代表点の位置を算出する逆解析を、漸次当該積載荷重を変化させつつ繰り返し実施して、当該誤差が許容値以下となった時の上記積載荷重が作用する上記解析モデルに基づいて、上記代表点以外の点における上記変位を推定することを特徴とするものである。
【0011】
ここで、上記解析モデルとしては、FEMモデルやDEMモデル等の一般的な構造解析で用いられている解析モデルを使用することが好ましい。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記計測手段は、上記代表点の加速度を検出する加速度計を備え、かつ上記演算手段は、予め設定した反復回数または演算時間を経過後に上記誤差が上記許容値以下に収束しない場合に、上記測定時の上記躯体の解析モデルにおける固有周期を算出するとともに、上記加速度計の計測結果から上記測定時における固有周期を算出し、これら算出結果の第2の誤差を小さくさせる剛性を設定して上記解析モデルの固有周期を算出する逆解析を、漸次当該剛性を変化させつつ繰り返し実施して、当該第2の誤差が許容値以下となった時の上記剛性に基づいて、上記代表点以外の点における上記変位を推定することを特徴とするものである。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記解析モデルとして、上記躯体の設計時に作成したものから上記施工段階において未施工の部材を除去したもの、または新に部材を追加したものを用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜3のいずれかに記載の発明においては、想定される荷重に対する変位量を解析することによって得られた躯体の解析モデルを用いて、上記代表点の位置の計測結果を既知量とし、当該計測結果と上記解析モデルにおける代表点の位置との誤差が漸次小さくなるように、積載荷重を変化させつつ上記解析モデルに作用させて代表点の位置を算出する逆解析を繰り返し実施して、上記誤差が許容値以下となった時の積載荷重が作用する上記解析モデルに基づいて、上記代表点以外の点における変位を推定しているために、容易かつ短時間うちに上記躯体の任意の点における変位を高い精度で推定することができる。
【0015】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、上記載荷荷重による逆解析を繰り返し行って、予め設定した反復回数または演算時間を経過後においても、依然として上記誤差が許容値以下に収束しない場合に、躯体の解析モデルにおける固有周期と躯体に取り付けた加速度計の計測結果から算出された固有周期との間の第2の誤差が小さくなるように、剛性を変化させつつ上記解析モデルの固有周期を算出する逆解析繰り返し実施して、当該第2の誤差が許容値以下となった時の剛性に基づいて上記代表点以外の点における変位を推定することにより、載荷荷重による繰り返しの逆解析によって収束しない演算を継続実施する場合と比較して、より短時間かつ高い精度で躯体の任意の点における変位を推定することが可能になる。
【0016】
また、従来FEM等を用いた躯体の解析モデルは、設計段階において構築した構造解析や動的解析および地震応答解析に用いているが、施工開始後においては一般的に用いられていない。そこで、請求項3に記載の発明にように、本発明の上記解析モデルとして、上記躯体の設計時に作成したものから上記施工段階において未施工の部材を除去した解析モデルを用いれば、その資産を有効に活用することができる。
【0017】
また、施工段階における設計変更に伴って部材断面の変更や部材の追加があった場合にも、上記躯体の設計時に作成した解析モデルを用いれば、その資産を有効に活用することが可能になる。
【0018】
このように、請求項1〜3のいずれかに記載の発明によれば、施工段階や外乱が生じた後等の躯体の各点における変位を、容易かつ短時間のうちに高い精度で推定することができるとともに、さらに過去に建設されて耐用年数を向かえようとする構造物に対して適用することにより、早期補修や新たな計画にも応用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態において変位推定の対象となる躯体の完成時の形状を示す模式図である。
図2図1の躯体の施工段階における形状を示す模式図である。
図3】(a)は図2の躯体の代表点の計測結果を示す模式図であり、(b)は上記計測結果に基づく解析結果を示す模式図である。
図4】(a)は図1の躯体の代表点の計測結果を示す模式図であり、(b)は上記計測結果に基づく解析結果を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態における演算手段の作用を示すフロー図である。
図6図5のフロー図のB以降の作用を示すフロー図である。
図7】従来の変位推定方法を説明するための模式図である。
図8】従来の他の変位推定方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1図6に基づいて、本発明に係る躯体の変位推定モニタリングシステムの一実施形態について説明する。
本実施形態のモニタリングシステムは、完成時に図1に示す構造を有する躯体1を建築するに際し、部材2、3、4が未だ構築されていない図2に示す施工段階の躯体1´の各点の変位を推定するために用いられるものである。
【0021】
このモニタリングシステムは、代表点Pの変位(レベル)を測定するレベル計(計測手段)および加速度を測定するする加速度計(計測手段)と、このレベル計や加速度計からの計測結果に基づいて躯体1´の代表点(計測位置)P以外の点における変位を推定するパーソナルコンピュータ(PC、演算手段)と、このPCの演算結果を表示するモニタとから概略構成されている。
【0022】
このPCは、全体を統括制御するCPUに、入出力制御部を介して実行プログラムを読み込んで演算処理するRAM、上記実行プログラムおよび図1に示した躯体1のFEM(有限要素法)による解析モデルを格納した記憶装置、キーボードやマウス等の入力装置および上記モニタが接続されたものである。
【0023】
ここで、図5および図6に示すフロー図に基づいて、上記実行プログラムの処理機能を実際の変位推定を行う際の操作と共に説明すると、先ず上記入力装置によって、記憶装置に格納されている解析モデルを表示させ、当該解析モデルから図1に示した部材2、3、4を取り除くことにより、躯体1´の解析モデルを作成させる。
【0024】
次いで、この解析モデルによって静解析を実施して、代表点Pにおける位置(変位量)を算出させる。他方、レベル計からの計測結果に基づいて、図3(a)に示す実際の代表点Pの位置(変位量)を入力する。そして、上記実行プログラムによって、上記解析モデルにおける代表点Pの位置と計測結果の位置との誤差を小さくさせる積載荷重を解析モデルに作用させて代表点の位置を算出する逆解析を、漸次積載荷重を変化させつつ繰り返し実施させる。
【0025】
そして、この誤差が許容値err1以下となった時の上記積載荷重が作用する解析モデルに基づいて、図3(b)に示すように、測定していない任意の位置Pにおける変位を推定する。
【0026】
これをより具体的に説明すると、先ず、測定した代表点Pの変位(既知変位ベクトル)をX(既知の節点自由度)、測定していない位置における変位(未知変位ベクトル)をX(未知の節点自由度)と定義する。
そして、力と変形の関係を静的な釣合条件により導くと下式(1)のようになる。
【0027】
【数1】
【0028】
上記解析から算出される測定対象の既知変位ベクトルXは、式(1)の第1項によりXで展開し、これを同式の第2項に代入すると、下式(2)のようになる。
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】
【0031】
そして、本実行プログラムにおける基本的な手法は、既知変位ベクトルXと解析から算出される測定対象の既知変位ベクトルXとの誤差ベクトルEを求め、これを2乗とした評価関数Jを最小にすることで、未知量Xを算出するものである。なお、誤差ベクトルEは、下式(4)で表すことができる。
【0032】
【数4】
【0033】
一方、評価関数Jは、誤差関数(離散L2ノルム)から下式(5)のように定義される(Nは、誤差ベクトルの成分数(既知ベクトルの成分数)である)。
【0034】
【数5】
【0035】
また、式(2)を式(4)に代入すると、下式(6)のようになる。
【0036】
【数6】
【0037】
そして、式(5)の評価関数Jをゼロにするには、誤差ベクトルEの全成分をゼロにする必要がある。しかしながら、未知パラメータの数が方程式の数より多いため、一意的に決定できない。そのため、式(5)のパラメータの組み合わせの内、誤差を最小にするための探索を反復法により求める。
【0038】
本実施形態においては、上記反復法による探索方法として、最急降下法を用いた。すなわち、探索修正未知ベクトルをU、探索方向ベクトルを∇、ステップサイズをθとし、漸化式を下式(7)のように定義した。
【0039】
【数7】
【0040】
【数8】
【0041】
Jが負の場合は、評価関数Jが小さくなる方向である。このベクトルの方向に未知ベクトルUを修正すれば、評価関数Jが最小になる未知ベクトルUが定まる。
ここで、式(6)のパラメータの内、FEMにより施工ステップ時の剛性マトリックスが組立てられる。しかし荷重ベクトルは未知量となる。したがって式(6)、(7)を使って整理すると、下式(9)、(10)のようになる。
【0042】
【数9】
【0043】
そして、∇FuJ、∇FkJを計算することによりF、Fを繰り返し計算して、代表点Pの変形の誤差が、予め設定した許容誤差値err1以下になった時の上記積載荷重が作用する解析モデルに基づいて、式(1)により測定していない位置における変位ベクトルXを推定する。
【0044】
なお、本実施形態においては、予め設定した許容誤差値err1以下になった場合として、下式の条件を満たした時とした。
【0045】
【数10】
【0046】
一方、本実施形態の実行プログラムにおいては、式(10)で示したF、Fを予め設定した反復回数または演算時間繰り返して計算しても、代表点Pの変形の誤差が予め設定した許容誤差値err1以下にならなかった場合には、図6に示す躯体1´の固有値解析に移行する。
【0047】
この固有値解析においては、先ず図2に示した躯体1´の解析モデルにより、上記反復回数または演算時間経過時の載荷荷重を用いて固有周期Tを算出する。次いで、躯体1´に設置した加速度計の計測結果Aを入力すると、上記実行プログラムは、固有周期Tを算出するとともに、これら固有周期の誤差(第2の誤差B=T−T)を小さくさせる剛性(EI)を設定して上記解析モデルの固有周期を算出する逆解析を、漸次当該剛性を変化させつつ繰り返し実施する。
【0048】
そして、上記誤差が予め設定した許容値err2以下となった時の上記積載荷重が作用する解析モデルに基づいて、図3(b)に示すように、測定していない任意の位置Pにおける変位を推定する。
【0049】
さらに、図4に示すように、上記躯体1´に対して、部材2、3、4を構築して躯体1を完成させた後に、再び躯体1の変位をモニタリングする場合には、当初記憶装置に格納した設計時の躯体1の解析モデルを用いて、代表点Pにおいて測定された位置(変位量)に基づき、同様の演算操作をすることにより、他の任意の点Pn、Pnにおける変位を推定する。
【0050】
以上詳述したように、上記構成からなる躯体の変位推定モニタリングシステムによれば、想定される荷重に対する変位量を解析することによって得られた躯体の解析モデルを用いて、代表点Pの位置(変位量)の計測結果を既知量とし、当該計測結果と上記解析モデルにおける代表点Pの位置との誤差が漸次小さくなるように、積載荷重を変化させつつ上記解析モデルに作用させて代表点の位置を算出する逆解析を繰り返し実施して、上記誤差が許容値以下となった時の積載荷重が作用する解析モデルに基づいて、上記代表点以外の点における変位を推定しているために、容易かつ短時間うちに図3(b)、図4(b)に見られるように上記躯体1、1´の任意Pn、Pn、Pnの点における変位を高い精度で推定することができる。
【0051】
加えて、上記載荷荷重による逆解析を繰り返し行って、予め設定した反復回数または演算時間を経過後においても、依然として上記誤差が許容値以下に収束しない場合に、躯体1、1´の解析モデルにおける固有周期と躯体に取り付けた加速度計の計測結果から算出された固有周期との間の第2の誤差が小さくなるように、剛性を変化させつつ上記解析モデルの固有周期を算出する逆解析繰り返し実施して、当該第2の誤差が許容値以下となった時の剛性に基づいて上記代表点以外の点における変位を推定することにより、載荷荷重による繰り返しの逆解析によって収束しない演算を継続実施する場合と比較して、より短時間かつ高い精度で躯体の任意の点における変位を推定することが可能になる。
【0052】
さらに、上記解析モデルとして、躯体1の設計時に作成したものから上記施工段階において未施工の部材を除去した解析モデルを用いているために、設計時に作成した解析モデルの資産を有効に活用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、1´ 躯体
P 代表点(計測位置)
Pn、Pn、Pn 計測されない任意の点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8