特許第6665114号(P6665114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665114
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】無菌充填装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/06 20060101AFI20200302BHJP
   B65B 39/00 20060101ALI20200302BHJP
   B65D 35/02 20060101ALI20200302BHJP
【FI】
   B65B3/06
   B65B39/00 B
   B65D35/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-567371(P2016-567371)
(86)(22)【出願日】2015年5月11日
(65)【公表番号】特表2017-520481(P2017-520481A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015060394
(87)【国際公開番号】WO2015169972
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】1454174
(32)【優先日】2014年5月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506260401
【氏名又は名称】ピエール ファーブル デルモ−コスメティック
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】コーメリー バートランド
(72)【発明者】
【氏名】セラ ローレント
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−069915(JP,A)
【文献】 国際公開第96/006009(WO,A1)
【文献】 特開2012−051629(JP,A)
【文献】 特開2002−046704(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0175776(US,A1)
【文献】 特開平03−237980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00−3/36
B65B 39/00−39/14
B65D 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌バルク(大量)の材料であって、ダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)またはガレニック(galenic:生薬)製剤を容器(110)に包装するための装置であり、その構成は:
a.無菌の外枠(エンクロージャ)(101)と、その無菌外枠(エンクロージャ)内に
b.バルク(大量)の製剤を収容するホッパー(200)であって、軸方向に円筒状のリザーバ部(201)と、円筒部(201)に接続された注入部(202)とからなり;
c.充填ゾーンとして知られているゾーンにおいて、容器を充填するためにホッパー(200)の下に容器(110)を移送するための移送装置(115)と;
d.充填ゾーンの周りの保護流として知られている空気の流れを生成するのに適しており、超濾過空気(ウルトラフィルター空気)を外枠(エンクロージャ)(101)の天井から床まで吹き付ける装置(150);
e.円筒部分(201)は、天井からの空気流から充填ゾーンを隠しておらず、非対称の円錐形型からなる注入部(202)の軸線(205)は、注入口(206)がリザーバの外壁までシフト(変位・移動)しており、リザーバ部(201)の軸線(210)と一致していない
ことを特徴とする無菌充填装置。
【請求項2】
さらに、その構成は、
f.移送装置(115)を清掃する空気流を生成するのに適した搬出手段(250)からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の無菌充填装置。
【請求項3】
容器(110)は、一端が閉じられた可撓性チューブであって、
g.可撓性チューブを移送装置上に配置し、注入口の下にチューブ(110)の開放端を保持する手段(415)と;
h.チューブの開口端を密閉するための地点(140)は、移送装置によって充填ゾーン後に設けられ、その密閉地点は保護流の下となる
ことを特徴とする請求項1に記載の無菌充填装置。
【請求項4】
チューブ(110)は、熱可塑性材料で作られており、チューブの開口端部を溶接(440)することによって圧接される
ことを特徴とする請求項3に記載の無菌充填装置。
【請求項5】
可撓性チューブの最初に閉じた端部は、前記チューブに含まれる製剤の逆行による雑菌混入を回避するのに適したキャップ(蓋)(211)となる
ことを特徴とする請求項3に記載の無菌充填装置。
【請求項6】
移送装置に可撓性チューブを保持するための手段は、可撓性チューブ(110)が挿入されるセルラーコレクタ(415)からなる
ことを特徴とする請求項3に記載の無菌充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無菌充填のための方法および装置に関する。
【0002】
本発明は、特に限定するものではないが、ダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)またはガレン製品(galenic products)に関するものであり、特に無菌化粧品の包装に適するものである。
【0003】
より詳細には、本発明に係る装置および方法は、このリスト以外では消尽(包括)的であり、(網羅できないが、限定するものでなく)、無菌で大容量生産されたものを、アンプル、バイアル、シリンジまたはチューブなどの無菌の個々容器へ封入する工業用の自動包装手段に利用される。包装される製品は、一般に600Cps〜45,000Cps(6〜45Pa.s)の範囲の粘度を有する液体、ゲル状またはクリーム状の形態のものである。「無菌包装」の用語は、無菌の容器に無菌製品を充填することを意味し、この方法により包装された製品は、包装後に殺菌しなくても、ある程度の無菌状態を実現(維持)する。
【背景技術】
【0004】
本発明の一つの実施例のバックグラウンドとして、本発明は、文献WO 2013 007755に記載されているような装置および方法を用いて大容量生産された無菌のダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)を包装するために使用される。
【0005】
先行技術では、生物静止製剤(biostatic formulations)を含まない無菌のダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)は、容器が開封された後の製品に雑菌が混入する悪化のリスクを制限するために、小容量の容器に包装封入される;
従って、容器の開封後は、製品を大至急に使用しなければならない。
開封後の保存可能期間が短いことによる少量の1回容量の包装封入は、これらの製品の商業的な展開の可能性を制限することになっている。無菌状態での、このような1回容量の包装封入は、容器を密栓封止する高性能の装置の併設が出来ず、また1回容量の包装封入に限定されており、一般に、Blow−Fill−Seal(成形同時充填)技術として知られている方法が使用されて施行されている。
【0006】
従来技術のこれらの製造方法は、容器の製造と、無菌製品の製造との結合(連動融合)という欠点に見舞われる。例えば、製品を保管することは、同時に容器を保管することを意味し、また、逆も同様となる。
容器と製品は同じ速度で生産されなければならず、製品が、異なるようなパッケージで販売される場合は、生産のフローの管理がかなり複雑となる。
【0007】
文献FR2 873 358に記載されているような、容器を密閉して封止するシステムの使用は、製品へ雑菌が混入する悪化(逆行)のリスクを排除することを可能にし、数百ミリリットルのチューブのような、より商業(実用)的なパッケージのためへの道を開くものである。しかし、無菌でない調製品(製剤)に適した包装システムについては、このような容器を見つけることが可能だか、文献WO 2013 007755に記載されているような滅菌方法に代替して製造フローの取扱に適合できる化粧品またはガレン製品(galenic products)の分野における滅菌包装ラインは現存していない。従来技術の別の実施形態では、特に製品へのイオン化放射(電離放射線)を含む容器にあっては、製品は包装後に滅菌されている。その実施形態は、このリスト以外では消尽(包括)的であり、(網羅できないが、限定するものでなくて、イオン化放射(電離放射線)に供される製品の厚さ、および、容器の装飾に使用されるインクを、決定するための、容器の種類、特に容器の材料、容器の形状についての選択が制限される。
【0008】
従来技術によれば、無菌でない包装に応用され、大容量の調製剤(調整品)はホッパーに入れられ、移送装置が容器を(に)充填するために容器を該ホッパーの下に移動する。本文全体を通して、用語「ホッパー」は、注入(注出)部として知られている部分を含む容器を指し、円錐または逆さピラミッドのような形状であり、注出口に向けて、容器の内容物を直接注ぎ込む注ぎ口として働き、前記容器は、円筒形、断面円形、長方形または他の任意の形状のものである。
【0009】
従来技術によれば、無菌食品製品のパッケージに適用されるについては、ホッパーから容器に充填する際に、大容量の調整剤(調整品)を、雑菌の混入から保護するために、空気のウルトラフィルターフロ(超濾過流)が、充填ゾーンの周囲に吹き付けられる。この空気の流れは、粒子が容器に注がれた製剤(製品)に到達するのを防止することになる。
【0010】
文献WO 2012 171958は、食品用の無菌包装システムについて記述している。この設備では、ホッパーから離れたところにある充填ゾーンは、天井から地面への層流によって保護された無菌の外枠(エンクロージャ)の中に配置されている。従来技術によるこれらの産業システムは、大容量生産に適し、本質的に食品用に設計されており、また、同じ材料を連続的に取り扱うものであり、ガレニック(galenic:生薬)やダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)の分野で使用される場合の、充填時における大容量生産の保護に必要とされる性能レベルを達成することができない。実際に、無菌ガレニック(galenic:生薬)または化粧品の分野において、無菌の要件は、食品よりもはるかに高い。
【0011】
医療機器に関するEN556規格および欧州薬局方によれば、製品は、滅菌プロセスが15分間で値F0に達した時に、無菌になることが知られているが、それすなわち、121℃で15分間、曝されるのと同等ということになる。防腐剤(保存料)を含まない無菌化粧品において、必要とされる無菌率は、製品中の微生物の増殖可能性の10−6以下に相当する。ジェオバシラス・ステアロサーモフィラスによって胞子形成された菌に対する殺菌レベルは、加熱殺菌処理によりF0値は22分間で達成する。比較すると、牛乳などの食品の超高温殺菌は、F0値で約3分間に対応(相当)する。
【0012】
その無菌レベルは、最終包装まで維持されなければならない。また、従来技術の装置による食品の充填ゾーン内の保護空気流中に発生する乱流は、ダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)の分野における応用では、大容量生産の雑菌混入の可能性の不容認レベルまでの引き上げに十分である。環境が清潔で無菌に保たれていても、産業システムにおける取扱量(ボリューム)の観点から、充填時に容器内に、又は、調製中に、粒子が混入される危険性が常にある。逆説的ではあるが、保護空気流は、乱流による前記大容量製品への雑菌混入の主な原因となる。さらに、ダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)製品の分野の製造では、物理的特性に高度な変動性がある場合は、特にその粘度および個々の包装量によって、バッチ(一括)処理による構成となっている。従って、同じラインにおいてバッチ処理で、製品を迅速に変更することのできる技能が欠かせないことになる。
【0013】
文献EP 2 179 925に記載されている無菌包装のための従来技術の解決法では、ホッパーが充填ゾーンから離れている。この従来技術の解決法では、ホッパーと充填ゾーンの間に、ある長さのパイプが必要となる。しかし、これらの全てのパイプは、バッチ処理による変更毎に、すなわち包装される製品の種類の変更毎に、完全に洗浄される必要がある。この場合の洗浄は、包装される製品がクリーム状またはバーム(香油)状の粘性のあるダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)製品である場合には、特に困難となる。さらに、これらのパイプの全長において、封入されている微量の製品の中に微生物が発生(develop)できる領域を形成していることになる。

【特許文献1】WO 2013 007755
【特許文献2】FR 2 873 358
【特許文献3】WO 2012 171958
【特許文献4】EP 2 179 925
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、従来技術の欠点を改善することを目的としており、従って、無菌バルク(大量)の材料、特にダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)またはガレニック(galenic:生薬)製剤を容器に包装するための装置であり、その構成は:
a.無菌の外枠(エンクロージャ・筐体)と、その無菌外枠(エンクロージャ)の中にある、
b.バルク(大量)の製品(製剤)を収容するホッパーであって、軸方向に円筒状のリザーバ部と、円筒部に接続された注入(注出)部とからなり;
c.充填ゾーンとして知られているゾーンにおいて、容器を充填するためにホッパーの下に容器を移送するための移送装置と;
d.充填ゾーンの周りの保護流として知られている空気の流れを生成するのに適しており、超濾過空気(ウルトラフィルター空気)を外枠(エンクロージャ)の天井から床まで吹き付ける装置と;
e.非対称の円錐形型からなる注入(注出)部の軸線は、注入(注出)口がリザーバの外壁に向かってシフト(変位・移動)しており、リザーバ部の軸線と一致していない。
【0015】
ホッパーはできるだけ充填ゾーンに接近して配置されているため、バルク(大量)製品(製剤)と容器との間のパイプの長さは短縮されるようになっている。このホッパーの存在は、充填ゾーンにおける保護層流を乱すことがなく、乱流を回避し、前記空気流によって運ばれる粒子によって充填プロセス中の製品(製剤)に雑菌が混入する(製品汚染の)危険性を排除している。
【0016】
本発明は、以下に説明する実施例において有利に実施することができ、個々にまたは任意の技術的に動作の可能な組み合わせを考えることができる。
【0017】
有利なことに、本発明に係る装置は:
f.移送装置を清掃する空気流を生成するのに適した搬出手段からなる。
【0018】
この手段は、充填ゾーンの周囲の保護層流の形成に利するものであり、製品(製剤)を汚染(雑菌混入)させる可能性のある全ての粒子を充填ゾーンの外に移送(離隔)する搬出手段へと向かわせる。
【0019】
特定の実施例で、本発明に係る実施例の装置は、一端が閉じられた可撓性チューブに充填するのに適しており:
g.可撓性チューブを移送装置上に配置し、注入(注出)口の下にチューブの開放端を保持する手段と;
h.チューブの開口端を密閉するための地点は、移送装置によって充填ゾーン後に設けられ、その密閉地点は保護流の下となる。
【0020】
チューブは充填された直後に、無菌状態で密閉され、チューブ内に注がれた製品(製剤)は、非常に短時間だけ常に空気に触れることになるが、常に、超濾過空気(ウルトラフィルター空気)の保護流の下に置かれる。
【0021】
有利なことに、チューブは熱可塑性材料で作られており、チューブの開口端部を溶接することによって圧接される。
【0022】
本実施形態は、特に、費用対効果が良く、かつ高速であり、チューブの開口端部を完全な密閉状態にしている。
【0023】
有利なことに、可撓性チューブの最初に閉じた端部は、前記チューブに含まれる製品(製剤)の逆行による雑菌混入を回避するのに適したキャップ(蓋)となる。したがって、製品(製剤)は、有利なことに、通常の使用に適合した容器に包装されたことになる。
【0024】
有利なことに、移送装置に可撓性チューブを保持するための手段は、可撓性チューブが挿入されるセルラーコレクタからなる。
【0025】
チューブの各バッチ(一括処理分)は、無菌で供給され、製品を包装するための本発明に係る装置の移送装置に装備されたそのコレクタに搭載(取付)される。
【0026】
また、本発明は、本発明に係る包装装置を用いた、無菌バルク(大量)製品、特にダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)またはガレニック(galenic:生薬)製剤の製造および包装に関する方法であり、また蒸気発生器から成る蒸気注入滅菌のための装置を含み:
i.蒸気注入法を用いる装置によってバルク(大量)製品を滅菌する工程; と、
ii.滅菌されたバルク(大容量)製品を本発明による包装装置のホッパーに移す(工程); と
iii.セルラーコレクタ内に保持された容器を含む無菌なアセンブリ(機器集合)を供給する(工程); と
iv.超濾過層流(ウルトラフィルターラミナーフロー)の下で、前記包装装置のホッパーの下をセルラーコレクタに入れた容器を通過させる工程からなる充填方法を用いて、バルク(大量)製品(製剤)を容器に包装する(工程)
とからなる。
【0027】
このプロセスによれば、包装後に滅菌することなく、滅菌されていない原料から無菌のダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)またはガレニック(galenic:生薬)製剤を製造することが可能であり、更に、パッケージ(チューブ、アンプル)の容積およびタイプ、前記包装が施された材料の両方に関して、原材料および包装の選択に関し大きな柔軟性(許容性)を提供することになる。
【0028】
一つの代替的実施例の方法として、工程(ii)は、蒸気注入装置からホッパーへの直接移送によって実施される。この代替的実施例は、同じ地理的位置におけるジャストインタイム生産に適している。ホッパーはボリューム(量)のバッファー(貯留)として機能する。
【0029】
別の代替的実施例で、本発明に係る方法は、工程(i)と工程(ii)との間に構成される、下記の工程:
v.滅菌されたバルク(大量)材料を密閉された滅菌タンクに貯蔵する工程、工程(ii)は、バルク(大量)製品を前記タンクからホッパーに移送すること
からなる。
【0030】
別の実施例では、1つの場所でバルク(大量)製品(製剤)を滅菌し、別の場所に包装することが可能である。より一般的には、生産管理に柔軟性(許容性)を提供する。
【0031】
特に有利な実施例の一つでは、本発明による方法は、工程(i)の前の構成として、以下の工程:
vi.蒸気注入手段によって生成された前記高温蒸気システムを循環させることによって、システム全体を滅菌する工程
からなる。
【0032】
従って、製造に使用される装置によって生成された蒸気は、別個の装置を追加することなくシステム全体を滅菌するために使用することができる。従って、装置は、ラン(操作)の急な変更に適応させられる。
【0033】
本発明に係る方法は、有利なことに、逆行による雑菌混入を防止するキャップを装備した、50ml〜400mlの容量のあるチューブ形態の容器で実施される。
【0034】
本実施例による本発明に係る方法は、有利なことに、以下の工程を含む:
viii.充填された後にチューブを溶接線で密閉する工程。
したがって、チューブは、殺菌包装ゾーンを出る前に密閉される。
【0035】
有利のことに、工程(viii)後にチューブに入っているバルク(大量)製品(製剤)は、非常に滅菌されており、合成物の中での微生物の発生の可能性は、10−6以下である。このように、チューブに入っている製品は保存に適している。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明を以下の好ましい実施例により、以下図1図5を参照しながら説明するが、これに限定されるものではない:
図1図1で示す先行技術は、例えば食品の包装に適合させた滅菌包装装置の例示的な実施形態の概略図であり;
図2図2は、本発明に係る無菌のバルク(大容量)製品を包装するための装置の例示的な実施形態の概略図であり;
図3図3は、無菌のダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)の製造および包装システムの例示的な実施形態の概略図であり;
図4図4は、本発明に係る無菌のダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)の調整物の容器の例示的な実施形態であり、図4Aは、容器が充填される前で、セルラーコレクタに保持される前の正面断面図であり、図4Bは、充填および圧接(crimping)した後の正面図であり;
図5図5は、本発明に係る無菌バルク(大容量)製品を包装するための方法の論理ダイアグラムである。
【0037】
図1に示す従来技術の例示的な実施形態は、特に容器(110)に食品を充填する場合の適用例で、バルク(大容量)製品はホッパー(100)に収容されている。製品は、ホッパー(100)の注出(入)口(106)に接続された充填ノズルを介して、ホッパー(100)から容器(110)に注入される。
【0038】
容器(110)は、移送装置(115)によってローディング(搬入)ステーション(120)からアンローディング(搬出)ステーション(130)へ移動される。機械全体は、エアロックを介して外枠(エンクロージャ)(101)内に配置される。容器(110)が充填された後、アンローディング(搬出)ステーション(130)に送られる前に、密閉装置(140)によって密閉される。充填プロセス中に粒子による雑菌混入がないことを確実にするために、吹き込み装置(150)は、天井から装置の床まで達するウルトラフィルター(超濾過)された空気流を生成する。その空気流(151)の大部分は外枠(エンクロージャ)の容積の層流となるが、しかしながら、ホッパー(100)の存在することにより、その空気流の中に、特に充填ゾーンに乱流(152)を作り出す。この乱流は、粒子による容器の雑菌混入を引き起こす可能性がある。バルク(大容量)製品が食品である場合、機械自体の外枠(エンクロージャ)がきれいで滅菌されているので、乱流によって発生する雑菌混入のリスクは許容範囲である。
【0039】
防腐剤を含まない化粧品の製品では、必要とされる無菌率(無菌率が要求され)はこのような雑菌混入のリスクを容認しない。
【0040】
図2に示す従来技術の欠点を改善した本発明に係る装置では、リザーバ(貯留部)として知られている部分(201)を備えた特殊ホッパ(200)が使用されており、円筒形からなり、注入(注出)部として知られている部分(202)が軸方向に沿って設けられ、円筒部分(201)に接続され、非対称の円錐形に形成されている。注入(注出)部(202)の形状を定義する円錐の頂点に位置する軸(205)は、円筒部分(201)の軸(210)に対して片寄った(offset)位値にある。このように、ホッパーの注入(注出)口(206)は、注入(注出)部(202)の円錐型の頂点の軸(205)と実質的に一列に並んでおり、前記ホッパー(200)のリザーバ(貯留部)(201)の外壁の側に片寄って(offset)いる。この構成は、容器の充填ゾーンにおける層流の保持を可能としており、これにより、充填中の粒子による製品への雑菌混入の危険がかなり制限されることになる。実際上も、この構成では、リザーバ(貯留部)として知られている円筒部分(201)は、天井からの空気流から充填ゾーンを隠してはいない。本発明に係る装置で、例示的な実施例では、搬出装置(250)が移送装置(115)の下に配置される構成となっている。搬出装置は、空気流によって前記移送装置を清掃し、本発明に係る装置の機器構成においては、充填ゾーンの周囲に層流を生成することを促進している。この例示的な実施例では、容器(110)は、充填のための開口(開放)した端部を有するチューブであり、他端は、該チューブが消費者によって使用されるときに、チューブに入っている製品の逆行による雑菌混入を防止するのに適した特別なキャップ(211)によって閉じられている。チューブ(110)の外枠(エンクロージャ)は、熱可塑性材料でできており、容器の密閉は、開放端部を溶接することによって行われる。
【0041】
この例示的な実施例では、前記チューブは50ml〜450mlの容量を有するが、これらの値に限定されるものではない。この例では、バルク(大容量)製品は、600Cps〜45,000Cpsの範囲の粘度を有する乳濁液体のダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)からなる。
【0042】
図3は、本発明に係る方法の例示的な実施例であり、ダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品))またはガレン製剤(galenic preparation)(300)は、UHTまたは「超高温」工程を用いて加熱滅菌される。そのために、この例示的な実施例では、予熱工程(310)の間、前記調整物(製剤)は適度な温度まで加熱され、特に、意図する滅菌処理に適合するような粘度を与えている。この例示的な実施例では、滅菌工程(320)は蒸気注入によって実施される。この方法によれば、予め加熱された調整物(製剤)は、一定温度の清浄な水蒸気を含む外枠(エンクロージャ)(321)の中にジェットの状態で導入される。調製物(製剤)は、調製物(製剤)の流れと蒸気との間の大きな交換表面と、前記流れの蒸気の凝縮のために、瞬時に加熱される。前記調製物(製剤)は、真空下で調製物(製剤)が、加熱工程(321)によって凝縮された水の気化で非常に急速な冷却を受けることになる真空チャンバ(323)に注入する前に、滅菌レベルの必要性に応じて非常に短時間その温度で保持部(322)に保持される。次に、調製物(製剤)は、攪拌され、包装するに好ましい温度、例えば30℃〜40℃の範囲の温度になるまで徐々に冷却される(330)。この例示的な実施例では、調製物(製剤)は、密閉されたバッファ(緩衝)タンク(340)に貯留される。本発明に係る方法の例示的な実施例では、前記バッファ(緩衝)タンク(340)は、パイプ(345)によって本発明に係る包装装置のホッパー(200)に接続されている。滅菌条件である予熱の温度およびその達成速度について、蒸気注入滅菌の温度と時間、および、滅菌後の冷却の速度は、調整物(製剤)を構成するエマルジョン(乳濁液)がプロセス(生成)中に壊れないようにするために、すなわち、その調整物(製剤)がそのエマルジョン特性を失わず、その知覚(感覚)的特性を保持するように選択される。このように、蒸気注入プロセスによって滅菌された調製物(製剤)は、他の処理なしで滅菌バルク(大容量)製品の状態で包装装置に移送される。バルク(大容量)製品は、該バルク(大容量)製品が空気と接触しないように、無菌パイプ(345)を介してホッパー(200)に移送され、これにより充填前の雑菌混入の危険性を排除する。
【0043】
有利なことに、本発明に係る方法のこの実施形態では、蒸気注入滅菌装置(320)の蒸気発生器は、製造工程および包装回路(工程)の全体にわたり蒸気を循環させることにより、該回路(工程)から完全に製品がなくなった時(排出された時)に、特に、パイプ機構、加熱冷却装置、バッファタンク(340)およびホッパー(200)について、システム全体を滅菌するために使用される。一方、滅菌調製物(製剤)は、密閉されたバッファ(貯留)タンク(340)に貯留され、滅菌地点から離れたところの包装地点に搬送たれる。
【0044】
図4Aにおいては、包装工程の前に、滅菌された空のチューブ(110)は、例えばセルラーポリプロピレンプレートで作ることができるセルラーコレクタ(415)に入れられる。逆行による雑菌混入を防止する特殊キャップ(211)は、前記チューブ(110)の端部に設置される。全体を滅菌して袋に入れる。限定する例ではないが、チューブ(110)の外枠(エンクロージャ)(410)は、単層のポリエチレン製である。
別の実施形態では、チューブの外枠(エンクロージャ)は、多層で形成されており、酸素を通さない(酸素不透過性)ポリマー層からなる。また別の実施形態では、チューブ(110)の外枠(エンクロージャ)(410)は金属製からなる。実際に、本発明に係る方法および装置は、包装後の滅菌を必要としないので、チューブ材料の選択の幅は非常に広くなる。
【0045】
図4Bにおいて、充填されたチューブは、他のいかなる滅菌工程も受けず、また、チューブがプリントされた後には空のチューブがセルラーコレクタに装着される。有利になるように、チューブ(110)とコレクタ(415)には、充填後のチューブを閉じる溶接ライン(440)に対して、チューブのプリント部(420)が正確に指示されるようにするためのマーク(図示せず)が形成される。
【0046】
図5における本発明に係る方法においては、容器の中に防腐剤を含まない無菌のダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)またはガレニック(galenic:生薬)製品を約2000Kg/時の生産速度で製造する工業的製造モードを達成できるようにしており、この容器は、直接小売することができ、全ての必要な情報と適切な特有のサインで構成されている。前記方法は、特に蒸気注入滅菌方法を用いた滅菌バルク製品の製造工程(510)と、同時に、特にセルラーコレクタの袋詰めである滅菌アセンブリとして知られているコレクタに滅菌容器を供給する工程(520)とからなるものである。
【0047】
このように、従来技術の方法での、1回分を包装するためのBlow−Fill−Seal型、または、容器内の製品(製剤)の滅菌とは異なり、本発明に係る方法は、2つの製造フローを分離することを可能としており、ジャストインタイムでの製造の利点を維持しながら、より大量の製造(生産)への適応性を提供するものである。容器を準備するための工程(525)において、コレクタは、そのバッグから取り出され、本発明に係る包装装置のテーブル上に完全に清潔な環境で配置される。同時に、バルク(大量)製品を供給するための工程(515)において、事前の工程(510)で製造された滅菌バルク(大量)製品が、本発明に係る充填装置のホッパーに導入される。本発明に係る別の方法では、このようにホッパーに導入されたバルク(大量)製品は、滅菌装置から直接供給されるか、またはホッパー(自体)が滅菌タンクから供給される。容器およびバルク(大量)製品は包装装置に移され、容器は充填工程(530)の中で充填され、かつ密封される。
【0048】
一例として、本発明に係る方法および装置は、50ml〜400mlの容量の範囲からなるチューブ状の容器に分配して無菌製品の製造を可能にする。該製品は、エマルジョンの形態をとり、容器内に封入された組成物(製剤)は無菌であり、防腐剤を含まないにもかかわらず、概略10−6未満の微生物の増殖可能性を有するとされる。このタイプの製品は皮膚に使用される塗布することが意図されるため、1回分の包装という製造はできないものである。
【0049】
防腐剤を含まない製品とは、フォーミュラ(formula:化学式)の中での細菌(バクテリア)や真菌の増殖を防止するための化合物を含まない製品のことであり、具体的にはパラオキシ安息香酸塩またはパラベン、トリクロサン、臭化セトリモニウム、メチルイソチアゾリノン、ホルムアルデヒド、フェノキシエタノールまたは硫酸塩清浄剤が知られているが、このリスト以外では消尽的で(網羅できず)限定されない。
【0050】
したがって、本発明に係る滅菌方法と包装方法との組合せを使用することは、容易な使用と応用の可能な包装による、防腐剤を含まない滅菌製品の提案することを可能にしている。
【0051】
これは、逆行による雑菌混入を防止するキャップを備えたチューブが、製品(製剤)の一塗り分を取り皮膚に使用することを可能にし、製品(製剤)を無駄にすることなく、同時に無菌状態を保ちつつ、適用面の全体をカバーするのに必要なだけ何度もその操作を繰り返すことができる。
【0052】
例示的な実施例では、本発明に係る方法および装置は、防腐剤を含まない滅菌クリームを製造および包装するために実施されるもので、その構成は:
−2%〜5%のセテアリルグルコシド;
−0.1%〜0.5%のカルボマー;
−5%〜12%のグリセリン;
−2%〜10%のカプリル酸カプリン酸トリグリセリド;
−5%〜10%の液体パラフィン;
−100%までの分の水
からなる。
【0053】
この例示的な実施例では、製品は50ml〜400mlの製品(製剤)を収容したチューブに包装され、逆行による雑菌混入を防止するキャップによって密閉されている。
【0054】
従って、本発明に係る方法および装置は、製品(製剤)の滅菌および包装を可能とするが、それ自体の粘性、固体の存在、ワックス化合物の存在により、膜を通過させることによっては滅菌することができず、また、容器は、容器内での滅菌に役立たせることができない。
【0055】
上述の説明および例示的な実施例は、本発明による目的の達成を示しており、特に製造工程の全体にわたり、高い生産速度で、F0値が15分を超える高滅菌コンプライアンスの、無菌のダーマコスメチック(dermocosmetic:皮膚用化粧品)またはガレニック(galenic:生薬)調製物を製造するための柔軟性のあるジャストインタイムな工業生産プロセスを可能にしている。これは、前記製品(製剤)が容易かつ経済的に応用できる、大容積の容器に入った、防腐剤を含まない無菌製品を提案することを可能にしている。
図1
図2
図3
図4
図5