(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明が適用される管理装置が搭載されたショベルの側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端に、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にバケット6が取り付けられている。ブーム4,アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。キャビン10には運転席が設けられており、運転者は運転席に着座しながらショベルを操作する。
【0012】
図2は、
図1に示すショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。
図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細実線でそれぞれ示されている。
【0013】
ショベルの駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、及びコントローラ30で構成される。
【0014】
エンジン11は、ショベルの駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するエンジンである。エンジン11の出力軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。
【0015】
メインポンプ14は、高圧油圧ライン16を介して圧油をコントロールバルブ17に供給する油圧ポンプであり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種油圧制御機器に圧油を供給するための油圧ポンプであり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0016】
コントロールバルブ17は、油圧ショベルにおける油圧システムを制御する油圧制御バルブである。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(右用)、走行用油圧モータ1B(左用)、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの一又は複数のものに対し、メインポンプ14から供給された圧油を選択的に供給する。なお、以下の説明では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(右用)、走行用油圧モータ1B(左用)、及び旋回用油圧モータ2Aを集合的に「油圧アクチュエータ」と称する。
【0017】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置であり、パイロットライン25を介して、パイロットポンプ15から供給された圧油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される圧油の圧力は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応するレバー又はペダル26A〜26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力とされる。
【0018】
コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作速度を制御するための制御装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30のCPUは、ショベルの動作や機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMに展開しながらプログラムを実行することで、それぞれに対応する処理を実行させる。
【0019】
以上のような構成のショベルにおいて、ショベルの運転状態を管理するために管理装置がショベルに設けられる。管理装置は複数のセンサからの検出値を検出情報として一時的に記憶しておき、必要なときに検出情報を表示装置に送信して表示させる。
【0020】
表示装置は、例えばタッチパネルよりなる入力表示装置であり、運転席の近傍で運転者が見やすい位置に配置される。本実施形態では、入力表示装置として携帯型情報機器(一般に「携帯端末」と称される。)を用いる。より具体的には、携帯端末としての多機能型携帯情報端末であるいわゆるスマートフォン、タブレット端末等を入力表示装置として運転席の近傍に配置する。管理装置は、ショベルの運転状況や制御情報を多機能型携帯情報端末の表示部に表示させることで、運転者に情報を提供することができる。また、運転者は多機能型携帯情報端末の入力機能を利用して情報や指令をショベルの制御装置や管理装置に入力することができる。
【0021】
近年、多機能型携帯情報端末は広く普及しており、ショベルの運転者のほとんどは、多機能型携帯情報端末を所有している。そこで、運転席の近傍の所定の位置に多機能型携帯情報端末を取り付けるためのホルダ等の取り付け部を設けておくことで、ショベルの運転者はショベルの運転を開始する際に、個人所有の多機能型携帯情報端末を取り付け部に設置することで、個人所有の多機能型携帯情報端末をショベルの入力表示装置として用いることができる。このようにショベルの入力表示装置として用いる携帯機器は、個人所有の多機能型携帯情報端末に限られず、ショベル用として事業者が予め準備した携帯機器であってもよい。
【0022】
ショベルのキャビン10内の運転席の近傍に多機能型携帯情報端末の取り付け部を設けておくことで、多機能型携帯情報端末を取り付け部に取り付けるだけで、多機能型携帯情報端末をショベルの表示装置として使用することができる。
【0023】
図3は多機能型携帯情報端末の取り付け部が設けられたキャビンの内部を示す側面図である。
図4は多機能型携帯情報端末の取り付け部が設けられたキャビンの平面図である。
【0024】
多機能型携帯情報端末40を取り付けるための取り付け部50は、設置台52と、設置台52に支持された搭載部54とを含む。設置台52は、運転席60が設けられたキャビン10のフレーム10aに取り付けられて固定される。搭載部54は、バネや柔らかなゴムなどの弾性体を含む制振機構56を介して設置台に支持されており、キャビン10の振動や衝撃が設置台52を介して搭載部54に直接伝わらないようになっている。すなわち、搭載部54は制振機構56を介して設置台52に支持されており、搭載部54に固定された多機能型携帯情報端末40に伝わるキャビン10の振動や衝撃が抑制されている。
【0025】
なお、一般的に、運転席60に着座した運転者からみて右側にブーム4が配置されており、運転者はブーム4の先端に取り付けられたアーム5やバケット6を視認しながらショベルを運転することが多い。キャビン10の前方右側のフレーム10aは運転者の視界の妨げとなる部分であるが、本実施形態では、この部分を利用して多機能型携帯情報端末40の取り付け部50を設けている。これにより、もともと視界の妨げとなっていた部分に多機能型携帯情報端末40が配置されるので、多機能型携帯情報端末40自体が運転者の視界を妨げることは無い。フレーム10aの幅にもよるが、多機能型携帯情報端末40全体がフレーム10aの幅に入るように、多機能型携帯情報端末40を縦にして搭載部54に固定して配置することが好ましい。
【0026】
なお、本実施形態では、表示装置として携帯端末(多機能型携帯情報端末40)を用いているが、LCDタッチパネル等の表示装置を予めショベルに設置しておいてもよい。
【0027】
図5はショベルのコントローラ30(制御装置)と多機能型携帯情報端末40との接続を示すブロック図である。本実施形態では、
図5に示すように、取り付け部50は、スイッチパネル51を含む。スイッチパネル51は、各種ハードウェアスイッチを含むパネルであり、搭載部54に取り付けられる。本実施形態では、スイッチパネル51は、ハードウェアボタンとしてのライトスイッチ51a、ワイパースイッチ51b、及びウインドウォッシャスイッチ51cを含む。ライトスイッチ51aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り換えるためのスイッチである。ワイパースイッチ51bは、ワイパーの作動・停止を切り換えるためのスイッチである。また、ウインドウォッシャスイッチ51cは、ウインドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
【0028】
多機能型携帯情報端末40が取り付け部50の搭載部54に取り付けられると、接続部58を介して多機能型携帯情報端末40はショベルのコントローラ30に接続される。より具体的には、搭載部54に設けられたマイクロUSBコネクタのプラグが、多機能型携帯情報端末側のマイクロUSBコネクタのレセプタクル(ソケット)に挿入接続され、多機能型携帯情報端末40とコントローラ30との間でデータ通信が可能となる。本実施形態ではマイクロUSBコネクタが接続部58を構成する。
【0029】
マイクロUSBコネクタは、データ通信のための接続と共に、電源供給を可能とするコネクタである。コントローラ30はショベルに備えられている蓄電池70(例えば、24Vバッテリ)から電力が供給されて駆動される。コントローラ30は、蓄電池70からの電力を、接続部58を介して、多機能型携帯情報端末40に供給することができるので、多機能型携帯情報端末40はそれ自体の電池を消費することなく、ショベルの蓄電池70から供給される電力で作動することができる。したがって、ショベルでの作業時間が長くても、多機能型携帯情報端末40の電池残量を気にすることなく、ショベルの作業時間中は常に多機能型携帯情報端末40を使用することができる。また、接続部58の形態としては、マイクロUSBコネクタのような配線同士を接触させる接触式のものに限定されず、非接触式のものでもよい。
【0030】
なお、蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30以外のショベルの電装品72にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0031】
エンジン11は、エンジン制御装置(ECU)74により制御されている。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、冷却水温(物理量)、エンジン噴射圧(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信されている。したがって、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに多機能型携帯情報端末40に送信することができる。
【0032】
コントローラ30には以下のように各種のデータが供給され、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
【0033】
まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板角度を示すデータがコントローラ30に供給される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送られる。これらのデータ(物理量を示すデータ)は検出情報として一時記憶部30aに格納される。メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクには、油温センサ14cが設けられており、タンク内の作動油の温度を表すデータが、油温センサ14cからコントローラ30に供給される。
【0034】
また、操作レバー26A〜26Cを操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、油圧センサ15a、15bで検出され、検出したパイロット圧を示すデータがコントローラ30に送られる。このデータ(操作入力量を示すデータ)も検出情報として一時記憶部30aに格納される。
【0035】
また、本実施形態では、
図5に示すように、ショベルは、キャビン10内にエンジン回転数調整ダイヤル75を備える。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジンの回転数を調整するためのダイヤルであり、本実施形態ではエンジン回転数を4段階で切り換えできるようにする。また、エンジン回転数調整ダイヤル75からは、エンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に常時送信されている。また、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数を切り換えできるようにする。なお、
図5は、エンジン回転数調整ダイヤル75でHモードが選択された状態を示す。
【0036】
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される作業モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される作業モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される作業モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、エンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される作業モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、調整ダイヤル75で設定された作業モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
【0037】
また、運転者が多機能型携帯情報端末40の音声入力機能を使用したいときに操作するスイッチ42が、例えば、操作レバー26Aに設けられる。スイッチ42を運転者が操作すると、信号がコントローラ30に送られる。コントローラ30はこの信号に基づいて多機能型携帯情報端末40に制御信号を送り、多機能型携帯情報端末40の音声入力機能をONとする。
【0038】
このように、運転者は操縦レバーから手を離さずにスイッチ42を容易に操作することができ、多機能型携帯情報端末40の音声入力機能を利用して、指令をショベルの制御装置に入力することができる。
【0039】
音声入力用のマイクロフォンとしては、多機能型携帯情報端末40の本体に組み込まれているマイクロフォン40aを利用することができる。すなわち、運転者は、操縦レバーに設けられたスイッチ42を操作した後、多機能型携帯情報端末40に向かって所望の指令を表す音声を発声すれば、マイクロフォン40aから音声信号が多機能型携帯情報端末40の音声認識部40bに入力される。多機能型携帯情報端末40の音声認識部40bは、マイクロフォン40aから入力された音声信号に音声認識処理を施し、入力された音声信号に相当する指令を判定する。音声認識部40bが判定した指令は、多機能型携帯情報端末40の表示入力装置40c(例えば、タッチパネル)に表示されるとともに、接続部58を介してショベルのコントローラ30に送られる。このように、運転者の意図した指令が多機能型携帯情報端末40の音声認識機能を介してショベルに入力される。なお、多機能型携帯情報端末40に外付けマイクロフォン44を接続し、外付けマイクロフォン44を運転者が音声を入力しやすい位置に配置しておいてもよい。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、多機能型携帯情報端末40をショベルの表示装置として利用し、管理装置からの検出情報を表示することができる。
【0041】
以上のような構成のショベルにおいて、コントローラ30の制御部30bは上述の各種データを含む検出情報に基づいて、ショベルに異常が発生したか否かを判定する。そして、コントローラ30の制御部30bが、異常が発生したと判定すると、制御部30bは、判定した時刻より前の時刻t1から異常が発生したと判定した時刻t2までに一時記憶部30aに蓄積していた検出情報を、異常情報として異常情報記憶部30cに転送させる。
【0042】
以上のような構成で、コントローラ30の一時記憶部30a、異常情報記憶部30c及び制御部30bにより、本実施形態による管理装置が構成される。一時記憶部30aはコントローラ30のメモリであり、異常情報記憶部30cもコントローラ30の中のメモリである。一時記憶部30aと異常情報記憶部30cのために一つのメモリを分割して用いてもよい。また、制御部30bはCPU等の演算装置がプログラムを実行することにより実現される。
【0043】
一時記憶部30aに蓄積されていた異常情報が異常情報記憶部30cに格納されると、その後、制御部30bからの指令により、異常情報記憶部30cに格納された異常情報は、表示装置としての多機能型携帯情報端末40に送られる。そして、異常情報は、多機能型携帯情報端末40の表示部40cに予め決められたパターンで表示される。
【0044】
また、管理装置に指令を送ることで、いつでも異常情報を多機能型携帯情報端末40(表示装置)に送信して表示させることができる。例えば、異常が発生した後にメンテナンス作業者がショベルの故障診断や修理を行なうときに、そのメンテナンス作業者が、異常情報を表示するように管理装置に対して指令を入力することで、異常情報が多機能型携帯情報端末40に表示される。メンテナンス作業者は、表示装置としての多機能型携帯情報端末40に表示された異常情報を確認することができる。そして、後述のように、メンテナンス作業者は、多機能型携帯情報端末40(表示装置)に表示された異常情報を見ることで、異常の原因を特定することができる。
【0045】
あるいは、ショベルの管理装置は、多機能型携帯情報端末40のデータ通信機能を利用して、異常情報を遠隔のサービスセンタに設置されているセンタ管理装置90に無線送信させることができる。センタ管理装置90の表示装置に異常情報を表示することで、遠隔にいるメンテナンス作業者が、異常の原因を判定又は推定することができる。したがって、メンテナンス作業者がショベルの修理に行く前に、異常の原因を推定することで、修理に必要な道具や部品を予め準備しておくことができる。これにより、ショベルの設置場所に実際に出向いてから修理道具をサービスセンタにとりに戻ったり、部品を発注したりする必要がなくなり、修理に要する時間を短縮することができる。この場合、センタ管理装置90が本願発明のショベルの管理装置として機能する。
【0046】
あるいは、異常情報を受け取ったサービスセンタは、センタ管理装置90から通信網を介して、ショベルのメンテナンス作業者の多機能型携帯情報端末94に異常情報を転送することとしてもよい。この場合、多機能型携帯情報端末94は、本願発明のショベルの管理装置又はその一部として機能し、コントローラ30の一時記憶部30a、制御部30b、異常情報記憶部30cに対応する一時記憶部94x、制御部94y、異常情報記憶部94zの一部又は全部を備えていてもよい。この場合、多機能型携帯情報端末94に備えられた制御部94yは、異常情報記憶部94zに記憶された検出情報を表示部94cに表示させる。
【0047】
なお、通信装置として携帯端末(多機能型携帯情報端末40)を用いない場合には、ショベル自体に無線送信装置を設けておき、制御部30bは、この無線送信装置を用いて異常情報を遠隔のサービスセンタに送付することとしてもよい。
【0048】
次に、多機能型携帯情報端末40等の表示装置に表示する異常情報及びその表示方法について以下に具体的な例を挙げて説明する。
【0049】
表示装置に表示する異常情報は、所定の時間内に管理装置の一時記憶部30aに蓄積されたデータ(物理量を表すデータ及び操作入力量を表すデータ)である。物理量あるいは操作入力量は一定の時間毎に検出され(サンプリングされ)、物理量あるいは操作入力量を表すデータは、それが検出された時刻の情報とともに一時記憶部30aに蓄積される。例えば、一時記憶部30aを所定の記憶容量を有するメモリとしておき、一定の量のデータを蓄積したら、その後は、最も前の時刻に検出されたデータを消去し、その代わりに最新の時刻で検出されたデータを蓄積する。このようにすることで、一時記憶部30aには常に、データを検出した最新の時刻(あるいは現在の時刻)より所定時間前の時刻から最新の時刻までの間に検出されたデータが蓄積されることとなる。したがって、ある時刻t1において、一時記憶部30aに蓄積されている全てのデータを異常情報記憶部30cに転送して格納すれば、異常情報記憶部30cには当該時刻t1より所定時間前の時刻t2から時刻t1までの間のデータが格納されることとなる。
【0050】
ここで、時刻t2から時刻t1までの時間間隔(所定時間)は、予め設定された時間間隔であり、例えば30秒から5分程度に設定することが好ましい。
【0051】
時刻t2から時刻t1までの時間間隔は、一時記憶部30aの記憶容量に依存する。一時記憶部30aの記憶容量が十分大きければ、データとともに格納される時刻情報を用いて、時刻t2として任意の時刻を選定し、時刻t2から時刻t1までの間のデータを一時記憶部30aから抽出して異常情報記憶部30cに格納してもよい。
【0052】
ここで、時刻t1は、制御部30bが、各センサから入力される物理量や操作入力量に基づいて異常が発生したと判定した時刻である。異常発生を判定した時刻t1以降も入力されてくるデータを一時記憶部30aに蓄積しておくことで、時刻t2から時刻t1を過ぎて時刻t3までのデータを異常情報記憶部30cに転送して格納することとしてもよい。
【0053】
ここで、時刻t1から時刻t3までの時間間隔は、予め設定された時間間隔であり、例えば10秒から1分程度に設定することが好ましい。
【0054】
上述のように、異常情報記憶部30cに格納された異常情報としてのデータは、多機能型携帯情報端末40や表示装置あるいは、遠隔のサービスセンタのセンタ管理装置90に送信され、所定のパターンで表示される。
【0055】
次に、異常情報の表示方法について説明する。ここでは、多機能型携帯情報端末94に異常情報が送られて表示された場合について説明する。なお、以下の説明は、多機能型携帯情報端末40に異常情報が送られた場合にも同様に適用される。
【0056】
図6は異常情報が表示された多機能型携帯情報端末94の表示部94cを示す図である。
図6に示す例では、異常情報は、1)操作入力量として油圧センサ15a、15bで検出したパイロット圧(レバー入力)と、2)吐出圧力センサ14bで検出した油圧(物理量)であるポンプ圧と、3)ECU74から送られてくるエンジンの燃料噴射圧(物理量)と、4)ECU74から送られてくるエンジン水温(物理量)と、5)油温センサ14cで検出した作動油の温度(物理量)を含んでおり、これらデータが時刻を横軸にとったタイムチャートとして縦に並べて表示される。
【0057】
図6に示す例では、タイムチャートの左端(最も前の時刻)が時刻t2に相当し、異常が発生したと判定された時刻t1が、下側に黒三角印が設けられた垂直線に相当する。タイムチャートの下側の余白部分には、異常が発生したと判定された日時として異常発生日時が、年・月・日・時・分・秒の数値で示されている。
図6に示す例では、異常発生日時は、2012年6月13日の12時5分10秒であり、タイムチャート上で時刻t1(12時5分10秒)の位置に、下側に黒三角印が設けられた垂直線が引かれている。また、異常発生日時の下側には、異常内容を表示する異常内容表示部94d及び診断フローボタン94eが示されている。
図6に示す例では、異常内容表示部94dは、エンジン冷却水の温度が所定値以上になったことを表す「水温高温異常」を表示している。なお、異常内容は、エラーコードで表示されてもよい。また、診断フローボタンは、後述の診断フロー画面を表示させるためのソフトウェアボタンである。
【0058】
図6に示す異常情報の表示では、時刻t2から時刻t1までの間の各データがタイムチャートで示されている。1)のレバー入力(パイロット圧)は、時刻t2から時刻t1までの間で変動しており、運転者が操作レバーを操作していることがわかる。2)のポンプ圧は、レバー入力(パイロット圧)の変化に対応して(すなわち、操作レバーの操作量に対応して)変化しており、ポンプ圧は正常な状態であることがわかる。3)のエンジン燃料噴射圧も同様にレバー入力(パイロット圧)の変化に対応して(すなわち、操作レバーの操作量に対応して)変化しており、エンジン燃料噴射圧も正常な状態であることがわかる。4)のエンジン水温は、時刻t2を過ぎたあたりから徐々に上昇し、時刻t1では異常に高い温度となっていることがわかる。これはエンジンに大きな負荷がかかり、エンジン水温が上昇しているものと推定される。5)の作動油温度は、エンジン水温と同様に、時刻t2を過ぎたあたりから徐々に上昇し、時刻t1では異常に高い温度となっていることがわかる。
【0059】
図6に示す表示例は、エンジン水温が上限値を超えたため、制御部30bが、異常が発生したと判定し、異常情報が表示されたものと推定される。そして、エンジン水温の上昇以外の作動油温度、エンジン燃料噴射圧、及びポンプ圧はレバー入力(パイロット圧)に対応して正常に変化していると推定される。すなわち、
図6に示す異常情報は、エンジン11により駆動されているメインポンプ14が正常に駆動して油圧を発生しているのでエンジン11には適当な負荷がかかっているのに、エンジン水温だけが過度に上昇していることを示している。このような状況となるのは、エンジンの冷却水の冷却能力が低下し、エンジン11を十分に冷却できていないことが考えられる。このような状況を引き起こす原因として、ラジエタ、オイルクーラ等が汚れ、防塵ネットが汚れていることが考えられる。したがって、
図6に示すような異常情報の表示を見た運転者又はメンテナンス作業者は、まず、防塵ネットの汚れを疑って、フィルタの点検を行なう。
【0060】
図7は、
図6に示す異常情報の表示画面において、任意の時刻におけるレバー入力(操作入力量)、ポンプ圧(物理量)、エンジン燃料噴射圧(物理量)、エンジン水温(物理量)、作動油温度(物理量)の値が表示された例を示す図である。
図6に示す表示画面で、任意の時刻をポインタ等で指定すると、その指定された時刻を示す垂直線が現れ、垂直線とタイムチャート上の各グラフとの交点付近に、当該時刻における値が数値で表示される。垂直線の下にポインタPが現れるので、ポインタPを左右にドラッグすることで、垂直線を任意の位置に移動させることができる。これにより、ショベルの運転者又はメンテナンス作業者は、時刻t2から時刻t1までの間の任意の時刻でのレバー入力(操作入力量)、ポンプ圧(物理量)、エンジン燃料噴射圧(物理量)、エンジン水温(物理量)、作動油温度(物理量)の値を直ちに確認することができる。
【0061】
なお、タイムチャートにおける時刻t1以降の点線は、異常情報に時刻t1以降時刻t3までのデータが含まれている場合に示されるものであり、点線を確認することで、異常発生以後の操作入力量及び物理量の値の変化を確認することができる。
【0062】
次に、
図8〜
図11を参照して、診断フローボタン94eがタップ操作された場合の処理(以下、「診断フロー処理」とする。)について説明する。なお、
図8は、診断フロー処理の流れを示すフローチャートであり、多機能型携帯情報端末94は、診断フローボタン94eがタップ操作される度にこの診断フロー処理を実行する。また、
図9〜
図11は、診断フロー画面の例を示す図である。
【0063】
最初に、多機能型携帯情報端末94は、診断用アプリケーションソフトウェア(以下、「診断アプリ」とする。)を起動する(ステップS1)。本実施形態では、多機能型携帯情報端末94は、異常内容に対応するチェック項目が所定の順番で記憶された参照テーブルを参照してそれらチェック項目に関する情報を順番に表示する。
【0064】
図9は、異常内容として「水温高温異常」が検出されている場合に最初に表示される診断フロー画面である。
図9の診断フロー画面は、異常内容表示部95a、チェック項目番号表示部95b、チェック項目位置表示部95c、第1メッセージ表示部95d、第2メッセージ表示部95e、及び画面切換ボタン95fを含む。
【0065】
異常内容表示部95aは、異常内容を表示する領域である。
図9に示す例では、異常内容表示部95aは、エンジン冷却水の温度が所定値以上になったことを表す「水温高温異常」を表示している。
【0066】
チェック項目番号表示部95bは、現在表示しているチェック項目が何番目のチェック項目であるかを表示する領域である。
図9に示す例では、チェック項目番号表示部95bは、最初のチェック項目であることを示す「ステップ1」を表示し、ステップ1の内容が「防塵ネットの状態確認」であることを表示している。
【0067】
チェック項目位置表示部95cは、チェック項目である部品の存在位置を図示す領域であり、例えば、ショベルに搭載される防塵ネットの位置を図解する(
図9では図示省略。)。具体的には、チェック項目位置表示部95cは、ショベルの全体像を表すイラスト上に、防塵ネットを表すイラストを、他の部分とは異なる色で表示する。この場合、多機能型携帯情報端末94の操作者は、スワイプ操作、ピンチイン操作、ピンチアウト操作等により、チェック項目位置表示部95cに表示される図をスクロール、縮小表示、拡大表示等させることができる。
【0068】
第1メッセージ表示部95d及び第2メッセージ表示部95eは、表示されているチェック項目に関する情報を表示する領域である。
図9に示す例では、第1メッセージ表示部95dは、防塵ネットに関してメンテナンス作業者が取るべき措置として「汚れの除去(汚れている場合には清掃願います)」を表示している。また、第2メッセージ表示部95eは、防塵ネットの状態を確認した後にメンテナンス作業者が取るべき措置として「次のチェック項目への移行(良好なら次のステップへ)」を表示している。
【0069】
画面切換ボタン95fは、画面を切り換えるためのソフトウェアボタンである。
図9に示す例では、画面切換ボタン95fは、次のチェック項目に関する診断フロー画面を表示するためのボタンであることを表す「次のステップ」をキャプションとして表示している。多機能型携帯情報端末94の操作者は、画面切換ボタン95fをタップ操作することによって診断フロー画面を切り換える。なお、多機能型携帯情報端末94の操作者は、スワイプ操作等の他の操作によって診断フロー画面を切り換えてもよい。
【0070】
ここで再び
図8を参照して診断フロー処理の流れに関する説明を続ける。
【0071】
診断アプリを起動して診断フロー画面を表示した後、多機能型携帯情報端末94は、画面切換操作の有無を継続的に監視する(ステップS2)。本実施形態では、多機能型携帯情報端末94は、画面切換ボタン95fがタップ操作された否か、又は、画面を切り換えるためのスワイプ操作が行われたか否か等を判定する。
【0072】
画面切換操作が行われていないと判定した場合(ステップS2のNO)、多機能型携帯情報端末94は、画面切換操作が行われるまでそのまま待機する。
【0073】
一方、画面切換操作が行われたと判定した場合(ステップS2のYES)、多機能型携帯情報端末94は、全ての診断フロー画面が表示されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0074】
全ての診断フロー画面が未だ表示されていないと判定した場合(ステップS3のNO)、多機能型携帯情報端末94は、次の診断フロー画面を表示した上で(ステップS4)、ステップS2に戻り画面切換操作の有無の監視を継続する。
【0075】
一方、全ての診断フロー画面が既に表示されたと判定した場合(ステップS3のYES)、多機能型携帯情報端末94は、今回の診断フロー処理を終了させる。なお、画面切換ボタン95fは、表示すべき診断フロー画面がこれ以上存在しない場合には、「終了」をキャプションとして表示してもよい。また、多機能型携帯情報端末94は、この終了ボタンがタップ操作された場合に、診断フロー画面を多機能型携帯情報端末94の初期画面(図示せず。)に切り換えてもよい。
【0076】
図10は、
図9の画面切換ボタン95fがタップ操作された場合に表示される診断フロー画面である。
図10の診断フロー画面は、異常内容「水温高温異常」に関する2番目のチェック項目であることを示す「ステップ2」をチェック項目番号表示部95bに表示している。また、ステップ2の内容が「ラジエタ・オイルクーラの状態確認」であることを表示している。また、チェック項目位置表示部95cは、ショベルの全体像を表すイラスト上に、ラジエタ・オイルクーラを表すイラストを、他の部分とは異なる色で表示している(
図10では図示省略。)。
【0077】
また、
図11は、
図10の画面切換ボタン95fがタップ操作された場合に表示される診断フロー画面である。
図11の診断フロー画面は、異常内容「水温高温異常」に関する3番目のチェック項目であることを示す「ステップ3」をチェック項目番号表示部95bに表示している。また、ステップ3の内容が「サーモスタットの状態確認」であることを表示している。また、チェック項目位置表示部95cは、ショベルの全体像を表すイラスト上に、サーモスタットを表すイラストを、他の部分とは異なる色で表示している(
図11では図示省略。)。また、第1メッセージ表示部95dは、サーモスタットに関してメンテナンス作業者が取るべき措置として「作動不良の場合の交換(作動不良の場合には交換願います)」を表示している。
【0078】
このようにして、多機能型携帯情報端末94は、現在の異常内容に関して取るべき措置をその操作者に分かり易く提示することができる。
【0079】
次に、
図12を参照して、多機能型携帯情報端末94の操作者が、診断フロー処理を実行することなく、ショベルの異常内容の原因を推定できる場合について説明する。なお、
図12は、異常情報が表示された多機能型携帯端末94の表示部94cを示す図であり、
図6に対応する。
図12に示す例では、時刻12:04を過ぎたあたりでエンジン水温が上下に振動し始め、エンジン水温が不安定になっている。これは、サーモスタットの取り付けに緩みが生じたことが原因として推定される。そのため、多機能型携帯情報端末94の操作者(メンテナンス作業者)は、
図12に示す表示を見た際に、まずサーモスタットの故障を考えてメンテナンス作業(修理等)を行なうことができる。
【0080】
同様に、
図13は、異常情報が表示された多機能型携帯情報端末94の表示部94cを示す図であり、
図6に示す例とは異なる異常が発生した場合の表示例である。
図13に示す例では、時刻t1より少し前にレバー入力が立ち上がったのにも係わらず、その他のポンプ圧、エンジン燃料噴射圧、エンジン水温、及び作動油温に変化は無い。このような状況となる原因の一つとして、メインポンプ14の異常が考えられる。例えば、メインポンプ14を駆動しても空回りして油圧を発生できないと、ポンプ圧は上昇せず、エンジンの負荷も上昇しないので、エンジン燃料噴射圧及びエンジン水温も上昇しない。また、油圧が発生しないので作動油温度も上昇しない。
図13に示す異常情報はこのような状況(異常内容が「油圧回路異常」となる状況)を示している。メンテナンス作業者は、
図13に示す表示を見た際に、まずメインポンプ14の故障を考えてメンテナンス作業(修理等)を行なうことができる。
【0081】
同様に、
図14は、異常情報が表示された多機能型携帯情報端末94の表示部94cを示す図であり、
図6及び
図13に示す例とは異なる異常が発生した場合の表示例である。
図14に示す例は、時刻t2の直後にレバー入力が立ち上がった後でそのレバー入力が消失したにもかかわらず、本来ならば消失すべきポンプ圧が消失せず、メインポンプ14によるポンプ吸収馬力が所定値以上のままであることを示している。このような状況となる原因の一つとして、省エネルギ回路としてのネガティブコントロール(以下、「ネガコン」とする。)の異常が考えられる。例えば、ネガコンが故障すると、メインポンプ14は高流量の作動油を吐出し続けるので、作動油温度及びエンジン水温は継続的に上昇する。
図14に示す異常情報はこのような状況(異常内容が「油温高温異常」となる状況)を示している。メンテナンス作業者は、
図14に示す表示を見た際に、まずネガコンの故障を考えてメンテナンス作業(修理等)を行なうことができる。
【0082】
なお、上述の実施形態では、操作入力量として、レバー操作により供給されるパイロット圧を用いたが、操作レバーが電気式の場合は、操作装置から出力されるレバー操作量を示す電気信号を操作入力量として用いることができる。また、物理量として、
図6等に示す検出値以外にも、例えばメインポンプ14のポンプ吐出量(あるいは、比例弁電流)や、ECU74から送られてくるエンジン回転数、エンジン負荷率、エンジンブースト圧等の検出値を用いることもできる。
【0083】
次に、
図15〜
図17を参照して、ショベルの異常が検出されたときに多機能型携帯情報端末40で実行される処理(以下、「ショベル異常時処理」とする。)について説明する。なお、
図15は、ショベル異常時処理の流れを示すフローチャートである。また、
図16及び
図17は、管理装置90との通信を介して取得する各種情報を表示する画面(以下、「通信リンク画面」とする。)の例である。また、多機能型携帯情報端末40は、コントローラ30からの通知に基づいてショベルの異常を検出した場合に、このショベル異常時処理を実行する。
【0084】
最初に、多機能型携帯情報端末40は、通信リンク画面を表示する(ステップS21)。本実施形態では、通信リンク画面は、
図16に示すように、代理店情報表示部41n、送信ボタン41p、通話ボタン41qを含む。代理店情報表示部41nは、ショベル販売会社の代理店等、ショベル異常時の連絡先に関する情報を表示する領域である。送信ボタン41p及び通話ボタン41qは、表示入力装置40c上に表示されるソフトウェアボタンである。送信ボタン41pがタップ操作された場合、多機能型携帯情報端末40は、コントローラ30内の所定領域に記憶されたデータを管理装置90に送信する。通話ボタン41qがタップ操作された場合、多機能型携帯情報端末40は、表示入力装置40c上で選択された状態にある連絡先に電話を掛ける。
【0085】
その後、多機能型携帯情報端末40は、自身の位置情報を管理装置90に対して送信する(ステップS22)。本実施形態では、多機能型携帯情報端末40は、GPS機能を用いて取得した位置情報を管理装置90に対して送信する。管理装置90は、多機能型携帯情報端末40から受信した位置情報に基づいて多機能型携帯情報端末40の現在位置から所定距離範囲内に存在する代理店等に関する情報を検索して代理店情報を生成する。そして、管理装置90は、生成した代理店情報を多機能型携帯情報端末40に対して送信する。
【0086】
その後、多機能型携帯情報端末40は、管理装置90から代理店情報を受信し(ステップS23)、受信した代理店情報を通信リンク画面の代理店情報表示部41nに表示する(ステップS24)。
図16は、3つの代理店が最寄りの代理店として検索された状態を示す。
【0087】
その後、多機能型携帯情報端末40は、特定の代理店が選択されたか否かを判定する(ステップS25)。本実施形態では、多機能型携帯情報端末40は、代理店情報表示部41nにおける3つの代理店のそれぞれに対応する領域の何れかが運転者によってタップ操作されたか否かを判定する。
【0088】
特定の代理店が未だ選択されていないと判定した場合(ステップS25のNO)、多機能型携帯情報端末40は、特定の代理店が選択されるまでそのまま待機する。
【0089】
特定の代理店が選択されたと判定した場合(ステップS25のYES)、多機能型携帯情報端末40は、選択された代理店、及びその選択された代理店の詳細情報を表示入力装置40c上に表示する(ステップS26)。本実施形態では、多機能型携帯情報端末40は、選択された特定の代理店を表示する被選択代理店表示部41rと、その選択された特定の代理店のより詳細な情報を表示する詳細情報表示部41sとを含む通信リンク画面を表示する。
図17は、特定の代理店が選択され、その選択された代理店のより詳細な情報が表示された状態を示す。
【0090】
その後、多機能型携帯情報端末40は、送信ボタン41pがタップ操作されたか否かを判定する(ステップS27)。
【0091】
そして、送信ボタン41pがタップ操作されていないと判定した場合(ステップS27のNO)、多機能型携帯情報端末40は、タップ操作されるまでそのまま待機する。
【0092】
一方、送信ボタン41pがタップ操作されたと判定した場合(ステップS27のYES)、多機能型携帯情報端末40は、コントローラ30に対してデータ転送指令を送信する(ステップS28)。本実施形態では、データ転送指令を受信したコントローラ30は、一時記憶部30a、異常情報記憶部等の所定領域に記憶されたデータを多機能型携帯情報端末40に送信する。
【0093】
その後、多機能型携帯情報端末40は、コントローラ30から送信されるデータを受信し(ステップS29)、その受信したデータを管理装置90に転送する(ステップS30)。
【0094】
なお、多機能型携帯情報端末40は、通話ボタン41qがタップ操作された場合には、選択された状態にある代理店の電話番号に電話を掛けるようにする。
【0095】
このように、多機能型携帯情報端末40は、ショベルで異常が検出された場合に自動的に通信リンク画面を表示し、代理店への連絡等の措置を運転者が容易に実行できるようにする。
【0096】
次に、
図18を参照して、ショベル異常時処理の際に表示入力装置40c上に表示される通信リンク画面の別の例について説明する。
図18の通信リンク画面は、送信ボタン41p、通話ボタン41q、詳細情報表示部41s、及び地図表示部41tを含む。
【0097】
本実施形態では、多機能型携帯情報端末40は、管理装置90から代理点情報を受信し、且つ、特定の代理店が選択された後にこの通信リンク画面を表示入力装置40c上に表示する。なお、多機能型携帯情報端末40は、特定の代理店が選択される前にこの通信リンク画面を表示してもよい。
【0098】
地図表示部41tは、地図情報を表示する部分であり、ショベル(多機能型携帯情報端末40)の現在位置を表す現在位置アイコン41uと、検索された或いは選択された代理店の位置を表す代理店位置アイコン41vとを含む。
【0099】
運転者は、多機能型携帯情報端末40において、スワイプ操作、ピンチイン操作、ピンチアウト操作等を利用しながら地図表示部41tの地図情報のスクロール、縮小表示、拡大表示等を実行できる。
【0100】
このようにして、多機能型携帯情報端末40は、ショベルで異常が検出された場合に地図情報を表示し、ショベルと代理店の位置関係を運転者が容易に認識できるようにする。また、多機能型携帯情報端末40は、ショベルに取り付けられる専用の通信用コントローラ(無線送信装置)を不要とし、ショベルのコストダウンを図ることができる。また、多機能型携帯情報端末40に備えられた振動計測機能は、ショベルを構成する部品の故障分析に用いることができる。さらに、多機能型携帯情報端末40に備えられた方位判定機能は、ショベルの向きを地図表示部41t上に表示する際に用いることができる。
【0101】
上述の実施形態では、ショベルに管理装置を設けているが、
図19に示すような構成のハイブリッド型ショベルに管理装置を設けることとしてもよい。以下、ハイブリッド型ショベルの構成について説明する。
図19において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細実線でそれぞれ示されている。
【0102】
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、変速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続されている。変速機13の出力軸には、油圧ポンプとしてメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。
【0103】
コントロールバルブ17は、ハイブリッド式ショベルにおける油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。
【0104】
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電器としてのキャパシタを含む蓄電系120が接続される。蓄電系120には、インバータ20を介して電動作業要素としての旋回用電動機21が接続されている。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回変速機24が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。旋回用電動機21と、インバータ20と、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、旋回変速機24とで負荷駆動系が構成される。
【0105】
操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26Cを含む。レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。
【0106】
コントローラ30は、ハイブリッド式ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
【0107】
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるために操作装置26を操作した場合の操作量を表す信号に相当する。
【0108】
コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、蓄電系120の昇降圧コンバータを駆動制御することにより蓄電系120の蓄電部であるキャパシタの充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタの充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータの昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタの充放電制御を行う。
【0109】
また、本願は、2012年7月19日に出願した日本国特許出願2012−160910号に基づく優先権を主張するものでありその日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。