(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取付け対象部位に固定可能な縦向き姿勢の取付け板部と、被取付け物を受け止め支持する横向き姿勢の支持板部と、前記取付け板部の幅方向両側縁部及び前記支持板部の幅方向両側縁部に連続する一対の側板部と、が金属板材で一体形成され、前記取付け板部と前記支持板部と前記両側板部とから支持具本体が構成されている被取付け物用支持具であって、
前記支持板部又は前記取付け板部は、一方の前記側板部に折り曲げ形成された折曲板片と他方の前記側板部に折り曲げ形成された折曲板片とを重合配置して構成され、重合配置された前記両折曲板片の幅方向での離間移動を阻止する離間阻止部が設けられ、前記取付け対象部位側及び前記被取付け物側に開口し、且つ、前記支持具本体における前記取付け板部の取付け面及び前記支持板部の支持面を除く残余部位を覆うカバーが、前記支持具本体に対して脱着自在に装着され、前記カバーの内面には、前記両側板部の開口側端縁に対して着脱自在な装着ガイド溝が形成され、前記装着ガイド溝とこれに嵌合する前記両側板部とをもって前記離間阻止部が構成されている被取付け物用支持具。
前記カバーは、前記取付け対象部位側に開口する状態で前記取付け板部に装着される第1カバー部と、前記被取付け物側に開口する状態で前記支持板部に装着される第2カバー部とを一体形成して構成され、前記第1カバー部の内面と前記第2カバー部の内面とにわたって前記装着ガイド溝が形成されている請求項1記載の被取付け物用支持具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示す棚受け金具では、金属板材を直角に折り曲げ形成して構成された支持具本体と、支持具本体の取付け板部と支持板部とに亘って架設された金属板材製のブレースとから構成されているため、ブレースが板厚方向に変形すると、棚荷重に対する支持力が急激に低下する不都合がある。
しかも、棚受け金具の部品として支持具本体以外にブレース、抜止め部材が必要で、且つ、これら複数の部品の組付けに多くの手間を要するため、取付け作業の煩雑化とコストの高騰化を招来する不都合もある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、支持強度の向上を図りながら取付け作業の容易化とコストの低廉化を達成することのできる被取付け物用支持具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
取付け対象部位に固定可能な縦向き姿勢の取付け板部と、被取付け物を受け止め支持する横向き姿勢の支持板部と、前記取付け板部の幅方向両側縁部及び前記支持板部の幅方向両側縁部に連続する一対の側板部と、が金属板材で一体形成されている被取付け物用支持具であって、
前記支持板部又は前記取付け板部は、一方の前記側板部に折り曲げ形成された折曲板片と他方の前記側板部に折り曲げ形成された折曲板片とを重合配置して構成され、重合配置された前記両折曲板片の幅方向での離間移動を阻止する離間阻止部が設けられて
いる。
【0008】
上記構成によれば、取付け板部と支持板部以外に、取付け板部の幅方向両側縁部及び支持板部の幅方向両側縁部に連続する一対の側板部が金属板材で一体形成されているため、この一体形成された支持具本体の剛性を高めることができる。しかも、支持板部又は取付け板部は、一方の側板部に折り曲げ形成された折曲板片と他方の側板部に折り曲げ形成された折曲板片とを重合配置して構成されるため、支持板部又は取付け板部の剛性を高めることができる。
それ故に、上述のように支持具本体の支持強度の向上を図りながらも、支持具本体としては一部品として取り扱うことができるので、取付け作業の容易化とコストの低廉化を達成することができる。
さらに、重合配置された両折曲板片の幅方向での離間移動を阻止する離間阻止部が設けられているので、長期に亘って高い支持強度を維持することができる。
【0009】
前記離間阻止部は、前記被取付け物又は前記取付け対象部位に対して重合配置された前記両折曲板片を貫通状態で共締め固定する締結具から構成されて
いる。
【0010】
上記構成によれば、重合配置された両折曲板片を貫通して被取付け物又は取付け対象部位に共締め固定する締結具により、両折曲板片の幅方向での離間移動を阻止することができる。それゆえに、両折曲板片を被取付け物又は取付け対象部位に共締め固定するための締結具を利用して離間阻止部を簡単、容易に構成することができる。
【0011】
本発明による第1の特徴構成は、取付け対象部位に固定可能な縦向き姿勢の取付け板部と、被取付け物を受け止め支持する横向き姿勢の支持板部と、前記取付け板部の幅方向両側縁部及び前記支持板部の幅方向両側縁部に連続する一対の側板部と、が金属板材で一体形成
され、前記取付け板部と前記支持板部と前記両側板部とから支持具本体が構成されている被取付け物用支持具であって、
前記支持板部又は前記取付け板部は、一方の前記側板部に折り曲げ形成された折曲板片と他方の前記側板部に折り曲げ形成された折曲板片とを重合配置して構成され、重合配置された前記両折曲板片の幅方向での離間移動を阻止する離間阻止部が設けられ、
前記取付け対象部位側及び前記被取付け物側に開口し、且つ、前記支持具本体における前記取付け板部の取付け面及び前記支持板部の支持面を除く残余部位を覆うカバー
が、前記支持具本体に対して脱着自在に装着され、
前記カバーの内面には、前記両側板部の開口側端縁に対して着脱自在な装着ガイド溝が形成され、前記装着ガイド溝とこれに嵌合する前記両側板部とをもって前記離間阻止部が構成されている点にある。
【0012】
上記構成によれば、支持具本体の取付け板部及び支持板部には、取付け対象部位及び被取付け物に対する取付けネジ等の取付け部材や折り曲げ形状等が現れるが、支持具本体に対してカバーを装着することにより、支持具本体のうち、取付け板部の取付け面及び支持板部の支持面を除く残余部位を体裁良く覆い隠すことができる。
しかも、カバーの装着部をもって離間阻止部が構成されているので、カバーを利用して離間阻止部を簡単、容易に構成することができる。
【0013】
前記カバーは、前記取付け対象部位側に開口する状態で前記取付け板部に装着される第1カバー部と、前記被取付け物側に開口する状態で前記支持板部に装着される第2カバー部とを一体形成して構成され、前記カバーの内面には、前記支持具本体の両側板部に対して着脱自在な装着ガイド溝が形成されて
いる。
【0014】
上記構成によれば、カバーの第1カバー部及び第2カバー部が取付け対象部位側及び被取付け物側に開口するため、カバーを支持具本体の取付け板部の長手方向や支持板部の長手方向、或いは、それらと交差する斜め方向から自由に装着操作することができる。これにより、支持具本体の取付け板部及び支持板部に対してカバーを容易に装着することができる。しかも、カバーの内面に形成された装着ガイド溝に対して、支持具本体の両側板部が所定装着位置で嵌り込むことにより、装着ガイド溝に嵌まり込む両側板部を介して重合配置された両折曲板片の幅方向での離間移動を阻止することができる。
【0015】
前記支持具本体と前記カバーとの相対向する一端側部位には、前記カバーを所定装着位置で係合保持する係合部が設けられ、前記支持具本体と前記カバーとの相対向する他端側部位には、前記係合部で係合保持されている前記カバーをネジ止め固定するネジ止め部が設けられて
いる。
【0016】
上記構成によれば、支持具本体の所定装着位置に装着されたカバーを、一端側部位に設けた係合部において所定装着姿勢に仮保持することができるので、他端側部位に設けられたネジ止め部でのネジ止め固定操作を容易に行うことができる。
本発明による第2の特徴構成は、前記カバーは、前記取付け対象部位側に開口する状態で前記取付け板部に装着される第1カバー部と、前記被取付け物側に開口する状態で前記支持板部に装着される第2カバー部とを一体形成して構成され、前記第1カバー部の内面と前記第2カバー部の内面とにわたって前記装着ガイド溝が形成されている点にある。
本発明による第3の特徴構成は、前記カバーの両側壁部の内面には、前記支持具本体に対して前記カバーが前後方向から所定装着位置に装着されたとき、前記両側板部の前端側突出部の上面に上下方向から係合可能な係合片が突出形成されている点にある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
図1〜
図3は、被取付け物用支持具の一例で、取付け対象部位の一例である壁面1に被取付け物の一例である棚材(棚板)2を水平姿勢で取付ける棚材支持具Aを示す。この棚材支持具Aの構成の説明にあたっては、
図1の矢印Xで示す支持板部11の長手方向を前後方向とし、同図の矢印Zで示す支持板部11の幅方向を左右方向とし、同図の矢印Yで示す取付け板部10の長手方向を上下方向とする。
図3の紙面の右側を前方側とし、同紙面の左側を後方側とする。
【0019】
棚材支持具Aは、
図1〜
図3に示すように、壁面1に対する取付け面10a及び棚材2に対する支持面11aを備えた金属板材製の支持具本体A1と、当該支持具本体A1のうち、取付け面10a及び支持面11aを除く残余部位を外装状態で覆う樹脂製の化粧用のカバーA2とから構成されている。
【0020】
支持具本体A1には、
図1〜
図3に示すように、壁面1に第1ビス20等で固定される縦向き姿勢の取付け板部10と、棚材2を受け止め支持する横向き姿勢の支持板部11と、取付け板部10における左右方向(幅方向)Zの両側縁部及び支持板部11における左右方向(幅方向)Zの両側縁部に連続する一対の側板部12,13が備えられている。この取付け板部10と支持板部11と両側板部12,13は、
図2、
図4、
図6に示すように、一枚の金属板材の折り曲げ加工で一体形成されている。これにより、支持具本体A1の剛性を高めることができる。
【0021】
折り曲げ加工された取付け板部10と支持板部11と両側板部12,13は、
図4に示すように、前方側及び下方側に向かって開口する横断面形状が略「コ」の字状に構成されている。また、
図3に示すように、取付け板部10と支持板部11とは直角に構成されている。両側板部12,13の開口側端縁12a,13aは、左右方向Z視において直角に屈曲する屈曲部位が最も幅広となるアーチ状に形成されている。
【0022】
支持板部11は、
図2〜
図4、
図6に示すように、一方の側板部12の上側辺に水平姿勢で左側(内側)に折り曲げ形成された折曲板片14と、他方の側板部13の上側辺に水平姿勢で右側(内側)に折り曲げ形成された折曲板片15とを上下方向Yに重合配置して構成されている。一方の側板部12の折曲板片14は、その先端が他方の側板部13の内面に近接する状態で重合部位の下方側に配置されている。他方の側板部13の折曲板片15は、その先端が一方の側板部12の外面相当位置又はその近傍に位置する状態で重合部位の上方側、換言すれば、一方の折曲板片14の上面側に配置されている。
上述のように、支持板部11は、一方の側板部12の折曲板片14と他方の側板部13の折曲板片15とを重合配置して構成されているため、支持板部11の剛性を高めることができる。
【0023】
図1〜
図4、
図6に示すように、重合配置された両折曲板片14,15における前後方向(支持板部11の長手方向)Xの複数部位(当該実施形態では前後方向Xの2箇所)には、両折曲板片14,15を貫通状態で棚材2に共締め固定する第2締結具の一例である第2ビス25を挿通するための第2ビス挿通孔23,24が貫通形成されている。この両折曲板片14,15の各第2ビス挿通孔23,24に挿通された第2ビス25を棚材2に捻じ込み固定することにより、第2ビス25で両折曲板片14,15の左右方向Zでの離間移動が阻止される。そのため、上記の第2ビス挿通孔23,24と第2ビス25とをもって、重合配置された両折曲板片14,15の左右方向Zでの離間移動を阻止する離間阻止部26が構成されている。
【0024】
上述のように、重合配置された両折曲板片14,15の左右方向Zでの離間移動を阻止する離間阻止部26が設けられているので、長期に亘って支持具本体A1の高い支持強度を維持することができる。特に、本実施形態においては、両折曲板片14,15を棚材2に共締め固定するための第2締結具である第2ビス25を利用して離間阻止部26を簡単、容易に構成することができる。
【0025】
図1〜
図3、
図6に示すように、前記支持具本体A1の取付け板部10における上下方向Yの複数部位(当該実施形態では3箇所)には、当該取付け板部10を壁面1に固定する第1締結具の一例である第1ビス20を挿通するための第1ビス挿通孔21が貫通形成されている。
【0026】
カバーA2は、
図1〜
図3、
図5に示すように、壁面1側に開口する水平断面形状が略「コ」の字状の第1カバー部50と、棚材2側に開口する垂直断面形状が略「コ」の字状の第2カバー部51とを、左右方向Z視において略横向き「L」字状に一体形成して構成されている。第1カバー部50は、取付け板部10とそれの左右方向Zの両側縁部に連続する両側板部12,13の縦向き側板部分に対して装着される。第2カバー部51は、支持板部11とそれの左右方向Zの両側縁部に連続する両側板部12,13の横向き側板部分に対して装着される。
第1カバー部50の開口端面50aと第2カバー部51の開口端面51aとが直角に交差し、その直角に交差する角部53の開口幅寸法W1は、
図2、
図5に示すように、第1カバー部50の開口端面50aの下端部における開口幅寸法W2及び第2カバー部51の開口端面51aの前端部における開口幅寸法W3よりも大に構成されている。
【0027】
また、
図2、
図5に示すように、第1カバー部50の底壁部50Aの内面と第2カバー部51の底壁部51Aの内面との亘る部位には、支持具本体A1にカバーA2が装着されたとき、支持具本体A1の両側板部12,13の内面に対して接触する又は近接する一対の突条55が形成されている。一対の突条55とこれに左右方向Zで近接する第1カバー部50の両側壁部50Bの内面及び第2カバー部51の両側壁部51Bの内面との間には、支持具本体A1の両側板部12,13に対して前後方向(支持板部11の長手方向)X又は上下方向(取付け板部10の長手方向)Yから着脱自在に摺動状態で装着案内する装着ガイド溝56が形成されている。
【0028】
カバーA2の両装着ガイド溝56に支持具本体A1の両側板部12,13の開口側端部が嵌合した状態では、支持具本体A1の両側板部12,13の外面に、第1カバー部50の両側壁部50Bの内面及び第2カバー部51の両側壁部51Bの内面が接触又は近接する状態で位置する。この第1カバー部50の両側壁部50Bの内面及び第2カバー部51の両側壁部51Bの内面により、支持具本体A1の両側板部12,13を介して両折曲板片14,15の左右方向Zでの離間移動が阻止される。そのため、カバーA2の装着部を構成する装着ガイド溝56をもって、重合配置された両折曲板片14,15の幅方向での離間移動を阻止する離間阻止部26が構成されている。
【0029】
そして、上述のように、カバーA2の第1カバー部50及び第2カバー部51が壁面1側及び棚材2側に開口するため、支持具本体A1の取付け板部10と支持板部11と両側板部12,13に対してカバーA2を容易に装着することができる。しかも、カバーA2の第2カバー部51における底壁部51Aの内面の角部53側部位を、壁面1に固定されている支持具本体A1の両側板部12,13における前端側外面に当て付け、その状態でカバーA2を前後方向(支持板部11の長手方向)Xから所定装着位置に押し込むことにより、カバーA2の装着が終了する。これと同時に、カバーA2の装着ガイド溝56に嵌まり込む支持具本体A1の両側板部12,13を介して重合配置された両折曲板片14,15の左右方向Zでの離間移動が阻止される。
【0030】
装着状態にある支持具本体A1とカバーA2との相対向する前端側部位(一端側部位)には、カバーA2を所定装着位置で係合保持する係合部60が設けられている。さらに、装着状態にある支持具本体A1とカバーA2との相対向する下端側部位(他端側部位)には、係合部60で係合保持されている支持具本体A1とカバーA2とをネジ止め固定するネジ止め部70が設けられている。
【0031】
係合部60を構成するに、
図1〜
図3、
図5、
図6に示すように、支持具本体A1の両折曲板片14,15の前端14a,15aは、両側板部12,13の前端12b,13bよりも短く形成されている。この両折曲板片14,15の前端14a,15aよりも前方側に突出する両側板部12,13の前端側突出部は、前後方向Xに沿う一対の係合受け片61に構成されている。
他方、カバーA2の第2カバー部51の両側壁部51Bの内面には、支持具本体A1に対してカバーA2が前後方向Xから所定装着位置に押し込み操作されたとき、両側板部12,13の係合受け片61に対して上下方向から係合可能な一対の係合片62が水平方向に突出形成されている。
【0032】
そして、壁面1に固定された支持具本体A1に対してカバーA2が前後方向Xから所定装着位置に装着操作されたとき、
図1、
図3に示すように、支持具本体A1の両係合受け片61の上面61aに対して、カバーA2の両係合片62の下面62aが前方側から摺接又は近接状態で係合する。この係合状態では、第1カバー部50の両側壁部50Bの開口端面50aが壁面1に当接し、且つ、開口端面50aの上端が、支持具本体A1の両係合受け片61の上面61aとカバーA2の両係合片62の下面62aとの係合位置よりも上方に位置する。この状態では、係合部60の係合位置を支点とするカバーA2の下方への回動が阻止されるため、カバーA2は落下せずに所定の装着姿勢に仮止め支持される。
【0033】
ネジ止め部70を構成するに、
図1〜
図3、
図5、
図6に示すように、支持具本体A1の取付け板部10の下端部には、両側板部12,13と同じ側に直角に突出する取付け片71が折り曲げ形成されている。この取付け片71には、上下方向Yに貫通するネジ孔71aが形成されている。他方、カバーA2の第1カバー部50の下端壁部50Cには、取付け片71のネジ孔71aに下方側から螺合されるネジ部材72のネジ挿通孔73が形成されている。
第2カバー部51の両係合片62が支持具本体A1の両係合受け片61に係合した仮止め支持状態では、支持具本体A1の取付け片71のネジ孔71aと第1カバー部50の下端壁部50Cのネジ挿通孔73とが上下方向で同芯状に合致した状態にあり、ネジ挿通孔73に下方から挿通されたネジ部材72をネジ孔71aに螺合操作することにより、支持具本体A1に対してカバーA2が所定の装着姿勢で固定される。
【0034】
図6は、上述の如く構成された支持具本体A1の展開図である。図中のP1で示す破線は、取付け板部10と一方の側板部12との間の折り曲げ線である。P2で示す破線は、取付け板部10と他方の側板部13との間の折り曲げ線である。P3で示す破線は、一方の側板部12と一方の折曲板片14との間の折り曲げ線である。P4で示す破線は、他方の側板部13と他方の折曲板片15との間の折り曲げ線である。P5で示す破線は、取付け板部10とネジ止め部70の取付け片71との間の折り曲げ線である。
【0035】
〔第2実施形態〕
図7、
図8は棚材支持具Aの支持具本体A1の別実施形態を示す。支持具本体A1の取付け板部10は、一方の側板部12の後側辺に鉛直姿勢で直角に折り曲げ形成された折曲板片16と、他方の側板部13の後側辺に鉛直姿勢で直角に折り曲げ形成された折曲板片17とを、前後方向Xで重合配置して構成されている。一方の側板部12の折曲板片16は、その先端が他方の側板部13の内面に近接する状態で重合部位の前方側(内方側)に配置されている。他方の側板部13の折曲板片17は、その先端が一方の側板部12の外面相当位置又はその近傍に位置する状態で重合部位の後方側(外方側)に配置されている。
上述のように、取付け板部10は、一方の側板部12の折曲板片16と他方の側板部13の折曲板片17とを重合配置して構成されるため、取付け板部10の剛性を高めることができる。
【0036】
図7、
図8に示すように、重合配置された両折曲板片16,17における取付け板部10の上下方向Y複数部位(当該実施形態では上下方向Yの3箇所)に、両折曲板片16,17を貫通状態で壁面1に共締め固定する第1締結具の一例である第1ビス20を挿通するための第2ビス挿通孔27,28が貫通形成されている。この両折曲板片16,17の各第2ビス挿通孔27,28に挿通された第1ビス20(
図3参照)を壁面1に捻じ込み固定することにより、第1ビス20で両折曲板片16,17の左右方向Zでの離間移動が阻止される。そのため、上記の第2ビス挿通孔27,28と第1ビス20とをもって、重合配置された両折曲板片16,15の左右方向Zでの離間移動を阻止する離間阻止部26が構成されている。
【0037】
上述のように、重合配置された両折曲板片16,17の幅方向での離間移動を阻止する離間阻止部26が設けられているので、長期に亘って支持具本体A1の高い支持強度を維持することができる。特に、本実施形態においては、両折曲板片16,17を壁面1に共締め固定するための第1締結具である第1ビス20を利用して離間阻止部26を簡単、容易に構成することができる。
【0038】
この第2実施形態においても、装着状態にある支持具本体A1とカバーA2(第1実施形態と同一のため、
図1、
図2、
図4参照)との相対向する前端側部位(一端側部位)には、カバーA2を所定装着位置で係合保持する係合部60が設けられている。さらに、装着状態にある支持具本体A1とカバーA2との相対向する下端側部位(他端側部位)には、係合部60で係合保持されている支持具本体A1とカバーA2とをネジ止め固定するネジ止め部70が設けられている。
【0039】
係合部60を構成するに、
図7、
図8に示すように、支持具本体A1の支持板部11の前端11bは、両側板部12,13の前端12b,13bよりも短く形成されている。この支持板部11の前端11bよりも前方側に突出する両側板部12,13の前端側突出部は、前後方向沿う一対の係合受け片61に構成されている。
他方、カバーA2の第2カバー部51の両側壁部51Bの内面には、支持具本体A1に対してカバーA2が前後方向Xから所定装着位置に押し込み操作されたとき、両側板部12,13の係合受け片61に対して上下方向から係合可能な一対の係合片62(
図2、
図5参照)が水平方向に突出形成されている。
【0040】
そして、壁面1に固定された支持具本体A1に対してカバーA2が前後方向Xから所定装着位置に装着操作されたとき、
図3を参酌して説明すると、支持具本体A1の両係合受け片61の上面61aに対して、カバーA2の両係合片62の下面62aが前方側から摺接又は近接状態で係合する。この係合状態では、第1カバー部50の両側壁部50Bの開口端面50aが壁面1に当接し、且つ、開口端面50aの上端が、支持具本体A1の両係合受け片61の上面61aとカバーA2の両係合片62の下面62aとの係合位置よりも上方に位置する。この状態では、係合部60の係合位置を支点とするカバーA2の下方への回動が阻止されるため、カバーA2は落下せずに所定の装着姿勢に仮止め支持される。
【0041】
ネジ止め部70を構成するに、
図7、
図8に示すように、支持具本体A1の取付け板部10を構成する両折曲板片16,17のうち、外側に位置する折曲板片17の下端部には、両側板部12,13と同じ側に直角に突出する取付け片71が折り曲げ形成されている。この取付け片71には、上下方向Yに貫通するネジ孔71aが形成されている。他方、カバーA2の第1カバー部50の下端壁部50Cには、取付け片71のネジ孔71aに下方側から螺合されるネジ部材72のネジ挿通孔73(
図2、
図5参照)が形成されている。
第2カバー部51の両係合片62が支持具本体A1の両係合受け片61に係合した仮止め支持状態では、支持具本体A1の取付け片71のネジ孔71aと第1カバー部50の下端壁部50Cのネジ挿通孔73とが上下方向Yで同芯状に合致した状態にあり、ネジ挿通孔73に下方から挿通されたネジ部材72をネジ孔71aに螺合操作することにより、支持具本体A1に対してカバーA2が所定の装着姿勢で固定される。
【0042】
また、支持板部11の前後方向の複数部位(当該実施形態では前後方向Xの2箇所)には、棚材2に固定する第2締結具の一例である第2ビス25(
図3参照)を挿通するための第2ビス挿通孔29が貫通形成されている。
【0043】
図8は、上述の如く構成された支持具本体A1の展開図である。図中のP6で示す破線は、支持板部11と一方の側板部12との間の折り曲げ線である。P7で示す破線は、支持板部11と他方の側板部13との間の折り曲げ線である。P8で示す破線は、一方の側板部12と一方の折曲板片16との間の折り曲げ線である。P9で示す破線は、他方の側板部13と他方の折曲板片17との間の折り曲げ線である。P10で示す破線は、他方の折曲板片17とネジ止め部70の取付け片71との間の折り曲げ線である。
【0044】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0045】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、第1カバー部50の底壁部50Aの内面と第2カバー部51の底壁部51Aの内面とに亘る部位に一対の突条55を形成して、両突条55とこれに左右方向(幅方向)Zで近接する第1カバー部50の両側壁部50Bの内面及び第2カバー部51の両側壁部51Bの内面との間に、支持具本体A1の両側板部12,13に対する装着ガイド溝56を形成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両突条55の各々を、カバー長手方向(前後方向X及び上下方向Y)に間隔をあけて配置される複数の突起から構成して、装着ガイド溝56をカバー長手方向で断続形成してもよい。また、両装着ガイド溝56を、幅方向で近接配置された2組の二条の突条から構成してもよい。
【0046】
(2)上述の第1実施形態では、支持板部11を構成するにあたって、一方の側板部12に折り曲げ形成された折曲板片14と他方の側板部13に折り曲げ形成された折曲板片15とを前後方向Zで略同じ長さに形成し、両折曲板片14,15の全体を重合配置した。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、重合部位の下方側に位置する一方の折曲板片14を、重合部位の上方側に位置する他方の折曲板片15よりも短く形成する、又は、前後方向Xで断続形成し、両折曲板片14,15を前後方向Xの一部において重合配置するように構成してもよい。
【0047】
(3)上述の第2実施形態では、取付け板部10を構成するにあたって、一方の側板部12に折り曲げ形成された折曲板片16と他方の側板部13に折り曲げ形成された折曲板片17とを上下方向Yで略同じ長さに形成し、両折曲板片16,17の全体を重合配置した。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、重合部位の前方側に位置する一方の折曲板片16を、重合部位の後方側に位置する他方の折曲板片17よりも短く形成する、又は、上下方向Yで断続形成し、両折曲板片16,17を上下方向Yの一部において重合配置するように構成してもよい。
【0048】
(4)上述の各実施形態では、取付け対象部位として壁面1を例に挙げて説明したが、棚柱であってもよい。この場合、支持具本体A1の取付け板部10をボルト・ナット等で棚柱に締結してもよいが、棚柱に多数の係合孔が形成されている場合には、この棚柱の係合孔に選択的に係合可能な係合部材を支持具本体A1の取付け板部10に設けて実施してもよい。
また、取付け対象部位としては、上述以外の家具や建物等であってもよい。
【0049】
(5)上述の各実施形態では、被取付け物として棚材(棚板)2を例に挙げて説明したが、被取付け物としてはケーブルや配管等であってもよい。
【0050】
(6)上述の各実施形態では、棚材支持具Aを、壁面1に対する取付け面10a及び棚材2に対する支持面11aを備えた金属板材製の支持具本体A1と、当該支持具本体A1のうち、取付け面10a及び支持面11aを除く残余部位を外装状態で覆う樹脂製の化粧用のカバーA2とから構成したが、支持具本体A1の単体で構成してもよい。
【0051】
(7)上述の実施形態では、壁面1に固定された支持具本体A1に対してカバーA2が前後方向Xから所定装着位置に装着操作されたとき、カバーA2を所定装着位置で係合保持する係合部60を設けたが、この構成に限定されるものではない。例えば、壁面1に固定された支持具本体A1に対してカバーA2が上下方向Yから所定装着位置に装着操作されたとき、カバーA2を所定装着位置で係合保持する係合部60を設けてもよい。