特許第6665141号(P6665141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センターの特許一覧

特許6665141CD161hiおよび/またはIL18Rahiであり、迅速な薬剤流出能力を有するCD8+T細胞の同定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6665141
(24)【登録日】2020年2月21日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】CD161hiおよび/またはIL18Rahiであり、迅速な薬剤流出能力を有するCD8+T細胞の同定
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20200302BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200302BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20200302BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20200302BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20200302BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20200302BHJP
【FI】
   C12N5/0783ZNA
   A61P35/00
   A61P37/04
   A61K35/17 Z
   A61K48/00
   !C12N15/12
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-178253(P2017-178253)
(22)【出願日】2017年9月15日
(62)【分割の表示】特願2014-17760(P2014-17760)の分割
【原出願日】2009年1月28日
(65)【公開番号】特開2017-213007(P2017-213007A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2017年9月15日
(31)【優先権主張番号】61/024,241
(32)【優先日】2008年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506139369
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン ジェイ. タートル
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー アール. リデル
【審査官】 小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】 J. Immunol.,2006年 1月 1日,Vol.176, No.1,p.211-216
【文献】 Annu. Rev. Immunol.,2007年,Vol.25,p.243-265
【文献】 J. Interferon Cytokine Res.,2004年 5月,Vol.24, No.5,p.291-296
【文献】 Cytometry,1995年11月 1日,Vol.21, No.3,p.284-293
【文献】 Curr. Biol.,2002年 5月 5日,Vol.12, No.5,p.R174-R176
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00− 7/08
PubMed
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養子免疫療法に使用するための組成物であって、該組成物は、CD161およびIL−18Rαの高表面発現を有するヒト長命記憶CD8T細胞の集団を含み、該長命記憶CD8CD161hiIL−18RαhiT細胞が、(i)該組成物中の全CD8T細胞の少なくとも30%であり、(ii)IL−7、IL−15または両方に応答して増殖することのできるCD95hi記憶細胞を含み、かつ、(ii)操作された免疫受容体を含む細胞の集団を含み、該操作された免疫受容体が、腫瘍関連抗原に特異的であるか、または、抗原特異的T細胞受容体である、組成物。
【請求項2】
前記長命記憶CD8CD161hiIL−18RαhiT細胞の集団が、IL−18Rαの低表面発現を有するCD8T細胞集団と比較して、高レベルのMDR−1 mRNAを発現する、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記長命記憶CD8CD161hiIL−18RαhiT細胞の集団が、IL−18Rαの低表面発現を有するCD8T細胞集団と比較して、CD43、CD44、CD46、CD148およびCD162の増加した発現を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記長命記憶CD8CD161hiIL−18RαhiT細胞の集団が、IL−18Rαの低表面発現を有するCD8T細胞集団と比較して、CD122の陽性表面発現を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記長命記憶CD8CD161hiIL−18RαhiT細胞の集団が、IL−18Rαの低表面発現を有するCD8T細胞集団と比較して、CD25、CD57、PD−1、CD103およびCD69の低発現を有するかまたは発現を欠く、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記長命記憶CD8CD161hiIL−18RαhiT細胞の集団が、CD62L,CD45RAint/neg,CD45ROint/hiエフェクター記憶細胞を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記長命記憶CD8CD161hiIL−18RαhiT細胞の集団が、CD62L,CD45RAint/neg,CD45ROint/hi中央記憶細胞を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記長命記憶CD8CD161hiIL−18RαhiT細胞が、CD45RAint/neg、CD45ROint/hi、CD127、CD28、CD25int/neg、bcl−2hi、パーフォリンint、グランザイムAint、グランザイムBint/negおよびNKG2Dint/negである、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
薬学的に許容できる担体中の、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
癌、感染症、または医原性免疫不全もしくは先天性免疫不全から選択される疾患の治療に使用するための、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記疾患が癌である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記癌が、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、胃癌、口腔咽頭部癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝癌、腎臓癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、肺癌、甲状腺癌、脳の癌、造血系癌、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病および慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、皮膚癌、基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫から選択される、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NIHの助成番号AI053193号およびCA114536号における政府援助によって行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、推定上の長命なローダミン123流出性の中央記憶(CM)CD8T細胞およびエフェクター記憶(EM)CD8T細胞を同定するためのCD161および/またはIL−18Rαの高発現の利用に関する。本発明は、癌および感染性疾患、遺伝子送達、消失標的化免疫療法およびそれに有用な組成物のための養子T細胞免疫療法における適用を有し得る。
【背景技術】
【0003】
感染症および癌を特異的に認識し、制御し排除する能力は、ヒトの免疫の特徴の一つである。免疫系は、1)マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞および好中球によって媒介される応答を有し、比較的少数の病原体関連分子パターンを認識する非特異的な「生得的」免疫系、および2)数百万の異なるペプチド抗原を認識する可能性を有する高特異的なCD4T細胞およびCD8T細胞に媒介される「適応」免疫系に分けることができる。
【0004】
適応免疫系のCD8T細胞による特異的抗原の認識は、多種多様なT細胞受容体(TcR)によって媒介される。単一のTcRを担持するT細胞は、適切なMHC分子によって提示される特異的なペプチド抗原を認識することができ、その結果、提示されたペプチド抗原に特異的な「適応」免疫応答をもたらす。「外来」抗原に対するCD8T細胞の「適応」免疫応答はウィルス感染において十分に特性化されているが、変異または非変異の「自己」抗原に特異的なCD8T細胞が、癌および自己免疫疾患などの他の病態に見ることができる(1〜7)。
【0005】
急性ウィルス感染において、ウィルス由来の抗原は、ウィルス抗原を認識することができ、ヒトでは、CD45RAおよびCD62Lの細胞表面発現およびCD95発現の非存在を特徴とするTcRを発現するナイーブT細胞に対し、抗原提示細胞(APC)によって処理されて提示される。次いで、活性化した抗原特異的なナイーブT細胞は急速に増殖し、エフェクターT細胞集団へと分化する。引き続き、大多数のエフェクターT細胞は死滅するが、そのごく一部は生き残って記憶T細胞となる(8、9)。ウィルスに再攻撃(re−challenge)されると、生き残っている記憶T細胞集団は急速に増殖してエフェクター集団へと分化し、急速に感染を含有し、宿主を防御する能力を有する。抗原特異的CD8T細胞の記憶は、抗原再攻撃がない場合でも75年間まで持続する、すなわち実質的に、宿主の生涯にわたってその抗原に対する免疫を与えると記載されている(10)。
【0006】
生き残っている記憶T細胞集団は、異種性が高く、ヒトでは、中央記憶(CM)、エフェクター記憶(EM)およびエフェクター記憶RA(EMRA)と称される3つの主要なサブセットを含む。これらのサブセット、ならびにそれらのサブ集団は、表現型、個体発生、ホーミング、増殖能力およびサイトカイン分泌が異なっており、免疫記憶の維持に異なる役割を有すると考えられる(11〜13)。記憶サブセットの分布は、APCおよび抗原の性質、抗原密度およびサイトカインの存在、共刺激分子および炎症伝達物質などの初回免疫の条件の違いによって影響を受ける可能性がある(8)。CD8T細胞記憶が一たん確立されると、それは抗原が存在しなくても持続し得る(14、15)。記憶CD8T細胞集団は、ホメオスタティック(定常状態)増殖を行い、異なるサブセットが、インビボで異なるターンオーバー速度を有するようである(16)。インターロイキン−(IL−)15は、ホメオスタティック増殖にとって必須の伝達物質であり、IL−7は確立された記憶応答の残存にとって重要である(17〜22)。ウィルス感染に対する急性エフェクター応答および安定な記憶応答への移行についての理解が進んでいるにも関わらず、CD8記憶が確立されて維持される機序はまだ解明されていない。
【0007】
自己再生するそしてエフェクターへと分化する能力を有する「幹細胞」様T細胞の集団が免疫学的記憶の維持を提供し得ると仮定されている(23)。移植片対宿主病(GVHD)のマウスモデルにおいて、推定上の記憶幹細胞が最近確認された(24)。GVHDに罹っているマウスからの第二次移行後、有糸分裂後のCD8/CD44lo/CD62Lhi/Sca−lhi記憶細胞のみがGVHDを開始させ、記憶(CMおよびEM)サブセットおよびエフェクターサブセットを生じさせ、増殖可能性を保持することができた。マウスでの別の研究では、ナイーブT細胞と抗原との最初の出会いの後に、幹細胞の特徴的な自己再生機序である非対称な細胞分裂が実証された(25)。最初の分裂後、免疫学的シナプスに「遠位」および「近位」の子孫がそれぞれ、記憶表現型とエフェクター表現型に関してプログラムされた。これらの研究は、抗原特異的なCD8T細胞記憶が、幹細胞の特性(複数)と自己再生する能力を有する長命な集団によって維持し得ることを示唆している。現在までに、ヒトにおける候補集団は確認されていない。
【0008】
長命の記憶CD8T細胞または記憶幹細胞の表現型を同定することにより、感染症、癌および自己免疫疾患の研究および療法に関しての深い示唆が与えられるであろう。幹細胞の挙動および長期生存に合致する特徴を有する、ヒトにおける記憶CD8T細胞集団を同定するために、本発明者らは、多パラメーターフローサイトメトリーを用いた。造血幹細胞および癌幹細胞の特徴は、化学療法剤および蛍光色素を流出させる能力である(26〜30)。本発明者らは、CMおよびEMのCD8T細胞のサブ集団が、蛍光色素および化学療法剤を速やかに流出させる能力を有していることも見出し、これらの細胞は、骨髄抑制性が激しい化学療法後に見られるCD8T細胞記憶の化学療法抵抗性に関与し得ると仮定した。インビトロ試験では、速やかにローダミン123(Rh123)を流出させる能力を有するCMとEMのサブセット(高流出能力に関して、それぞれ、CMhiおよびEMhiと称される)が、細胞毒性の化学療法に応答したアポトーシスに対して、非流出性対応物よりも抵抗性であること、および、化学療法抵抗性が、ATP結合カセット共輸送体流出チャネルのブロックによって減少することが実証された。
【0009】
遺伝子発現プロファイリング試験により、CMhiおよびEMhiのCD8T細胞は、類似しているが異なるサブセットを含むことが示されている。またそれらは、ユニークで、他の記憶CD8T細胞集団またはナイーブCD8T細胞集団とは異なる遺伝子発現プロファイルを有する。さらなる試験により、Rh123流出記憶集団の免疫表現型は、先に記載したマウスにおける「記憶幹細胞」およびマウスのナイーブCD8T細胞の非対称分裂後の「遠位極由来記憶細胞」に類似していることが示された。CMhi集団およびEMhi集団は、ポリクローナルTcRのレパートリを発現するCD8T細胞を有し、CMV、EMVおよびインフルエンザ抗原に特異的なCD8T細胞を、これらサブセット内で同定することができる。
【0010】
CMhiおよびEMhiのCD8T細胞は、OKT3によるポリクローナル刺激に対して無反応性であり、非流出CD8T細胞に比較して、増殖およびサイトカイン分泌の減少を示す。それらはまた、イオノマイシン刺激に応答して、低い細胞内カルシウムフラックスも示す。増殖およびサイトカイン分泌の減少は、共刺激および炎症性サイトカインにより、部分的に回復し得る。多くの炎症性サイトカインの分泌減少に関わらず、CMhiおよびEMhiは、他の記憶CD8T細胞のサブセットとは対照的に、PMA−イノマイシン刺激に応答してIL−17を分泌した。
【0011】
CMhiおよびEMhiが無反応性であることにより、それらは、静止状態に留まり、多くの炎症性病態を除く全ての抗原刺激に応答した分化を避けることができる。CMhiが高いH−チミジンの取込み、ならびにホメオスタティックサイトカイン、IL−7およびIL−15に応答したCFSE希薄化を示すことが見られたため、これらの化学療法抵抗性細胞は、IL−7およびIL−15のレベルが上昇した際、骨髄抑制性化学療法後のリンパ球最低の間に増殖でき、記憶CD8T細胞区分を再生成する可能性があることが示唆される。
【0012】
CMhiおよびEMhiは、臍帯血にはきわめて少数が見られる。それらは成人初期に多数見られ、年齢が進むにつれて減少する。生涯の初期の抗原曝露後に生じ、成人期の炎症性抗原刺激の反復によって徐々に枯渇する集団は、推定上の記憶幹細胞に合致すると考えられる。これはまた、高齢対象においてワクチン効果の減少が認められていることにも合致すると考えられる。
【0013】
CMhiおよびEMhiの同定は、Rh123流出アッセイを用いて、インビトロで容易に達成することができるが、機能試験または臨床グレードの単離におけるRh123の使用には問題がある。したがって、ヒト血液サンプル中、細胞のこのサブセットを識別し得る細胞表面マーカーを探索するために、本発明者らは多パラメーターフローサイトメトリーを用いた。CD161および/またはIL−18Rαの高発現により、CMhiおよびEMhiが多量にあるサブセットが同定され、細胞のインビトロ培養またはRh123毒性へ細胞を曝露させることなく、これらの細胞の同定および単離が促進されることを本発明者らは見出した。
【0014】
記憶CD8T細胞が、感染症、癌および自己免疫疾患の予防、制御および療法においてある役割を果たしていることを示唆している広範な証拠がある(1〜7)。第IV期黒色腫におけるCD8T細胞養子移入の臨床試験により、51%までのCR/PRがもたらされており、移入された腫瘍特異的T細胞の存続が有効性にとって決定的であることが実証された(31、32)。CMV特異的養子移入試験における所見もまた、存続の必要性を実証しており、腫瘍および感染症に対する、養子T細胞移入による制御および予防の成功にとって、長命の記憶応答の確立が必須であり得るという仮説を強く裏付けている(33)。臨床的に明白な癌を排除し、潜在癌における健康的平衡状態の確立における存続性の記憶CD8T細胞の重要な役割を実証しているマウスにおける研究により、これらの試験は補完されている(4)。
【0015】
記憶CD8T細胞のかく乱が疾患過程において重要であるという証拠はあるものの、抗原特異的な免疫記憶を特異的に切断、増強、または移入するための試みは限定的な成功をおさめているに過ぎない。CD8の系またはクローンの移入後の臨床的応答は以前示されているが、インビボでのそれらの予測できない存続に関して散発的であった(32)。非ヒト霊長類における最近の試験では、双方の集団とも移入前のエフェクター表現型が共通であるという事実にも関わらず、CM由来のCD8クローンは注入後一年まで存続でき、他方、EM由来のクローンは、アポトーシスによって急速に死滅することが示されている(34)。このことは、エフェクターCD8T細胞は、それらの元の細胞に由来する内因的なプログラムを保持している可能性が考えられ、これが抗原刺激およびクローン増殖後のインビボ生存を決定することを示唆している。移入された記憶CD8T細胞がインビボで存続するには、クローンまたは系を適切にプログラムされたサブセットから生成させなければならないことが示唆される。CMhiおよびEMhiは、長期存続がプログラムされていることを示唆する特徴を持つサブセットである。
【0016】
存続が適切にプログラムされている記憶CD8T細胞サブセットの同定によって、特異的抗原に対するCD8T細胞媒介免疫の移入が促進されるであろう。存続および長命生存がプログラムされているCD8T細胞はまた、治療的遺伝子の送達媒体としても有用であると考えられる。養子移入後の治療的免疫の維持または遺伝子送達の維持のための長期生存にかなう以外に、CMhiおよびEMhiの長命記憶細胞は、毒素結合CD161モノクローナル抗体および/またはIL−18Rαモノクローナル抗体の使用を介し、抗原特異的記憶応答の消失による免疫抑制に関する標的として作用し得る。この療法形体は、自己免疫疾患および移植片対宿主病においてある役割を有し得る。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ヒトにおける長命記憶細胞の同定は、現在までできていない。CMおよび/またはEMのCD8T細胞区画におけるヒトRh123流出長命記憶細胞を同定するために、CD161および/またはIL−18Rαの高発現が使用できることを本発明者らは実証する。これらの集団は、養子免疫療法、遺伝子送達のためのT細胞源として、または自己免疫疾患もしくは他の免疫病理学的状態の消失を目的とした標的として有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、CD161および/またはIL−18Rαの表面高発現および蛍光色素Rh123を速やかに流出する能力を有する生きた推定上の長命抗原特異的記憶CD8T細胞サブセット(CMhiおよびEMhi)を同定および単離する方法を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
CD161および/またはIL−18Rαの高発現を有する単離されたヒトCD8Tリンパ球。
(項目2)
前記リンパ球が、RPMI 1640/10%BSA中、37℃で30分未満の培養でRh123を能動的に流出させる項目1に記載のTリンパ球(「迅速流出性Tリンパ球および/またはIL−18RαhiTリンパ球」)。
(項目3)
前記リンパ球が、CD45RAint/neg、CD45ROint/hi、CD95、CD127、CD28、CD25、bcl−2hi、パーフォリンint、グランザイム Aint、ならびにグランザイムBint/negおよびNKG2Dint/negである、項目1〜2に記載の迅速流出性Tリンパ球。
(項目4)
前記リンパ球が、0.03〜0.3μMのダウノルビシンで培養後の非流出性Tリンパ球よりもアポトーシスに対してより抵抗性であり、このような抵抗性が、流出阻害剤PK11195により消滅する、項目1〜3に記載の迅速流出性Tリンパ球。
(項目5)
前記リンパ球が、250〜1000ng/mlのプレート結合OKT3による刺激に応答して、その非流出性対応物であるTリンパ球よりも低い増殖を示す、項目1〜4に記載の迅速流出性Tリンパ球。
(項目6)
前記リンパ球が、CD62L中央記憶T細胞である、項目1〜5に記載の迅速流出性Tリンパ球。
(項目7)
前記リンパ球が、その非流出性対応物であるTリンパ球と比較して、0.5〜2.0ng/mlのIL−7による4日間の培養に応答してH−チミジンの高い取り込みを示す、項目1〜6に記載の迅速流出性Tリンパ球。
(項目8)
前記リンパ球が、CD62Lエフェクター記憶T細胞である、項目1〜5に記載の迅速流出性Tリンパ球。
(項目9)
養子免疫療法または遺伝子療法に使用するための、項目1〜8に記載の細胞。
(項目10)
薬学的に許容できる担体中に項目1〜8に記載の細胞を含む組成物。
(項目11)
養子免疫療法または遺伝子療法の実施を目的とする薬剤を調製するための、項目1〜8に記載の細胞の使用。
(項目12)
項目1〜8に記載の前記細胞を、治療的有効量で治療を必要とするヒト対象に投与する工程を含む、前記治療を必要とするヒト対象を治療する方法。
(項目13)
前記細胞が、自家、同種、または同系の細胞である、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記療法が、養子免疫療法である、項目12〜13に記載の方法。
(項目15)
前記対象が、癌、感染症、または医原性免疫不全もしくは先天性免疫不全のうちの少なくとも1つに罹患している、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記療法が遺伝子療法である、項目9〜13に記載の方法。
(項目17)
前記対象が、先天性遺伝子障害、癌、感染症、または医原性免疫不全もしくは先天性免疫不全のうちの1つに罹患している、項目16に記載の方法。
(項目18)
治療を必要とするヒト対象における迅速流出性Tリンパ球および/またはCD161hiTリンパ球および/またはIL−18RαhiTリンパ球を治療的有効量により消失させる工程を含む、前記治療を必要とするヒト対象を治療する方法。
(項目19)
前記消失させる工程を、インビボまたはインビトロで実施する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記対象が、自己免疫疾患、移植片対宿主病または移植片の拒絶のうちの少なくとも1つに罹患しているか、またはその危険性がある、項目19に記載の方法。
(項目21)
患者の直接治療により、インビボで前記消失させる工程を実施する、項目20に記載の方法。
(項目22)
細胞産物または体外循環からの細胞の枯渇により、エキソビボで前記消失させる工程を実施する、項目20に記載の方法。
(項目23)
移植前に移植片から前記細胞を消失させることにより、前記消失させる工程を実施する、項目20に記載の方法。
(項目24)
毒性基または放射性同位元素に結合しているか、または結合していない抗IL−18Rαモノクローナル抗体または抗IL−18Rαポリクローナル抗体により、流出ポンプの阻害をともなうリンパ球毒性薬物治療により、またはそれらの組合せにより、前記消失させる工程を実施する項目21〜23に記載の方法。
(項目25)
(a)中央記憶CD8T細胞およびエフェクター記憶CD8T細胞の同定を可能にする蛍光色素結合抗体の組合せ;
(b)CD161および/またはIL−18Rαならびに適切なイソタイプ対照に対する蛍光色素結合抗体;
(c)Rh123およびRh123流出の陰性対照アンタゴニスト;
(d)適切なアッセイ培地;
(e)取扱説明書および包装、
のうちの少なくとも2つの組合せを含む、項目1〜8に記載の迅速流出性Tリンパ球の同定または単離のためのキット。
【0019】
CMhiおよびEMhiの細胞を、他の組織における幹細胞集団との共通の特徴と合致するインビボでの長期生存および化学療法抵抗性に関してプログラムすることを本発明者らは提案する。CD161および/またはIL−18Rαの表面高発現などの識別される表現型の同定によって、これらのT細胞サブセットの単離およびインビトロ操作が可能になるであろう。長命T細胞を単離し、自家、同種または同系の設定に養子として移入させる能力により、存続性の抗原特異的免疫性の移入が可能になり得る。このことは、限定はしないが、癌または感染症の予防、制御または除去などの適用範囲において重要であり得る。あるいは、CMhiおよびEMhiの集団の標的化消失により、自己免疫疾患または移植片対宿主病の強力な免疫抑制および治療をもたらし得る。本発明を用いて、ワクチンまたは免疫抑制剤などの免疫調節療法候補が、インビトロアッセイにおいてハイスループットでスクリーニングされてよい。本発明はまた、治療遺伝子用のインビボ送達媒体として用いることもできる。
【0020】
言い換えると、本発明の第1の態様は、CD161および/またはIL−18Rαの高発現を有するヒトCD8Tリンパ球(例えば、37℃でRPMI 1640/10%BSA培地中、30分未満に能動的にRh123を流出させるリンパ球(「迅速流出および/またはCD161hiおよび/またはIL−18RαhiTリンパ球」))である。これらのリンパ球は、単離された、濃縮されたおよび/または精製された形体で提供できる。
【0021】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、TcRαβ、TcRγδ-、CD8α
i/int、CD8βhi/int/neg、CD45RAint/neg、CD45ROint/hi、CD95int/hi、CD25int/neg、CD27、CD28、CD57、CD127、CD103、PD−1neg、bcl−2hi、bcl−xLhi、パーフォリンint、グランザイムAint、グランザイムBint/negおよびNKG2Dintである。
【0022】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、MDR−1 mRNAの高発現を有する。
【0023】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、蛍光化学療法剤、ダウノルビシンを活発に流出させる能力を有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、0.03〜0.3μMのダウノルビシンと共に培養した後のアポトーシスに抵抗性であり、このような抵抗性は、流出阻害剤PK11195により抑えられる。
【0025】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、250〜1000ng/mlのプレート結合OKT3による刺激に応答しての増殖が無いか、または、非流出対応物であるTリンパ球よりも低いことが実証されている。増殖の低下は、プレート結合抗CD28抗体による共刺激および/または限定はしないが、IL−7、IL−12、IL−15、IL−18およびIL−23またはそれらの組合せなどのサイトカインの添加により、部分的に回復させることができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、それらの非流出対応物に比較して、抗CD28抗体またはサイトカインと組み合わせたPMA/イオノマイシンまたはOKT3による刺激に応答してのIFN−γ、IL−2、IL−4、IL−5、IL−8、IL−10およびMIP−1αの分泌を減少させる。
【0027】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、イオノマイシンによる刺激後、低いが不均一のカルシウムフラックスを有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、CD62L中央記憶T細胞である。
【0029】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、0.5〜2.0ng/mlのIL−7との4日間の培養に応答して、その非流出対応物Tリンパ球に比較して、高いH−チミジン取込み、および0.5〜2.0ng/mlのIL−7との8〜11日間の培養に応答して、CFSEのより高い希薄化を実証している。
【0030】
いくつかの実施形態において、リンパ球は、CD62Lエフェクター記憶T細胞である。
【0031】
本発明のさらなる態様は、養子免疫療法もしくは遺伝子療法における使用のための、または養子免疫療法用もしくは遺伝子療法用の薬剤の調製に使用するための、本明細書に記載したリンパ球である。
【0032】
本発明のさらなる態様は、薬学的に許容できる担体中、本明細書に記載したリンパ球を含むか、それらから構成されるか、または本質的にそれらから構成される組成物である。
【0033】
本発明のさらなる態様は、治療的有効量における本明細書に記載したリンパ球を、治療を必要としているヒト対象に投与することを含む、前記対象を治療する方法である。これらのリンパ球は、自家、同種または同系の細胞であり得る。この方法は、免疫療法または養子免疫療法のために実施でき;この方法は、対象が、癌、感染症、または医原性もしくは先天性の免疫不全症のうちの少なくとも1つに罹患している場合に実施でき;この方法は、遺伝子療法のために実施でき;この方法は、対象が、先天性遺伝子障害、癌、感染症、または医原性もしくは先天性の免疫不全症の1つに罹患している場合に実施できる。養子免疫療法における本発明の使用の一典型例は、同種または異種の造血幹細胞移植(HSCT)の設定での処置であると考えられる。厳しい免疫抑制の設定において、同種および自家のHSCT患者は日和見感染症に罹る危険性が大きい。レシピエントに免疫記憶を移入して命を脅かす可能性のある感染症に対して彼らを防御するために、本発明を使用できる。CMhiおよびEMhiの細胞を、移植ドナー(同種HSCTの場合)または患者(自己由来HSCTの場合)から単離し、感染関連の抗原に対する特異性に関して選択または操作し、増殖させるか、または増殖させず、移植後の設定で患者に戻すことができる。これらのサブセットは、移植後リンパ球減少環境下で分化して、または分化せずに増殖し、免疫記憶を再構成すると考えられる。感染症に特異的なCMhiおよびEMhiの選択により、移植片対宿主病を引き起こさない免疫の再構成が可能になるであろう。
【0034】
本発明のさらなる態様は、治療的有効量により、治療を必要としているヒト対象における迅速流出および/またはCD161Tリンパ球および/またはIL−18RαhiTリンパ球を消失させることを含む、治療を必要としているヒト対象を治療する方法である。この消失させる工程はインビボまたはインビトロで実施することができる。いくつかの実施形態において、対象は、自己免疫疾患、移植片対宿主病または移植片拒絶のうちの少なくとも1つに罹患しているか、またはその危険性がある。いくつかの実施形態において消失させる工程は、患者の直接治療によりインビボで実施され;いくつかの実施形態において消失させる工程は、細胞産物または体外循環からの細胞の枯渇によりエクスビボで実施され;いくつかの実施形態において消失させる工程は、移植前に移植片から前記細胞を消失させることにより実施される。いくつかの実施形態において消失させる工程は、毒性基または放射性同位元素に結合した、または結合していない抗CD161モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体および/または抗IL−18Rαモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を投与すること、流出ポンプの阻害によるリンパ球毒性剤の処置、またはそれらの組合せにより実施される。
【0035】
本発明のさらなる態様は、以下の任意の組合せにおける少なくとも2つ、3つまたは4つの組合せを含む、本明細書に記載した迅速流出性Tリンパ球の同定または単離のためのキットである:(a)中央記憶CD8T細胞およびエフェクター記憶CD8T細胞の同定を可能にする蛍光色素結合抗体の組合せ;(b)CD161および/またはIL−18Rαに対する蛍光色素結合抗体および適切なアイソタイプ対照;(c)Rh123およびRh123流出の陰性対照アンタゴニスト;(d)適切なアッセイ培地;(e)使用説明書および包装。
【0036】
本発明の先述の、および他の目的ならびに態様は、本明細書における図面および下記の明細書において、より詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】実施例1に記載されているとおり、CMおよびEMの集団が、迅速にRh123を流出しCD161hiおよびIL−18Rahiであるサブセットを含有することを示す。
図2a】CMhiおよびEMhiのサブセットがTcRαβおよびTcRγδであることを示し、Vα24に対する抑制がないことを示し、実施例2に記載されているとおり、CD45RAint/neg、CD45ROint/hi、CD95、CD8α、CD8β+/neg、CD27、CD28、CD122、パーフォリンint/lo、グランザイムAint/lo、グランザイムBneg、Ki67neg、bcl−xLint/hiおよびbcl−2int/hiが優勢であることを示す。
図2b】CMhiおよびEMhiのサブセットがTcRαβおよびTcRγδであることを示し、Vα24に対する抑制がないことを示し、実施例2に記載されているとおり、CD45RAint/neg、CD45ROint/hi、CD95、CD8α、CD8β+/neg、CD27、CD28、CD122、パーフォリンint/lo、グランザイムAint/lo、グランザイムBneg、Ki67neg、bcl−xLint/hiおよびbcl−2int/hiが優勢であることを示す。
図2c】CMhiおよびEMhiのサブセットがTcRαβおよびTcRγδであることを示し、Vα24に対する抑制がないことを示し、実施例2に記載されているとおり、CD45RAint/neg、CD45ROint/hi、CD95、CD8α、CD8β+/neg、CD27、CD28、CD122、パーフォリンint/lo、グランザイムAint/lo、グランザイムBneg、Ki67neg、bcl−xLint/hiおよびbcl−2int/hiが優勢であることを示す。
図3】実施例3に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、非対称分裂ナイーブCD8T細胞の遠位極に由来する可能性を示唆する表面表現型を有することを示す。
図4】実施例4に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、それらの非流出対応物よりも高レベルのMDR−1 mRNAを発現し、蛍光化学療法剤、ダウノルビシンを活発に流出することを示す。
図5】実施例5に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、インビトロでダウノルビシンに誘導されたアポトーシスに対して抵抗性であることを示す。
図6a】実施例6に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、ホメオスタティックサイトカインのIL−7およびIL−15に応答して分裂し、添加サイトカインの非存在下で、培養後に高生存率を有することを示す。
図6b】実施例6に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、ホメオスタティックサイトカインのIL−7およびIL−15に応答して分裂し、添加サイトカインの非存在下で、培養後に高生存率を有することを示す。
図6c】実施例6に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、ホメオスタティックサイトカインのIL−7およびIL−15に応答して分裂し、添加サイトカインの非存在下で、培養後に高生存率を有することを示す。
図6d】実施例6に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、ホメオスタティックサイトカインのIL−7およびIL−15に応答して分裂し、添加サイトカインの非存在下で、培養後に高生存率を有することを示す。
図7】実施例7に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、OKT3によるポリクローナルTcR刺激に応答してのH−チミジンの取込みが、それらの非流出性対応物に比較して減少したことを示し、H−チミジンの取込みが、図に示したように、共刺激後に増加することを示す。
図8】実施例8に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、それらの非流出性対応物に比較して、異なるサイトカイン分泌プロファイルを有することを示す。
図9】実施例9に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiが、イオノマイシンに応答してのカルシウムフラックスを、それらの非流出性対応物に比較して減少させることを示す。
図10】実施例10に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiのサブセットが、分子スペクトルの型分類により、ポリクローナルTcRレパートリーを含むことを示す。
図11】実施例11に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiのサブセット内で、ウィルス抗原四量体陽性細胞を同定することができ、選別したCMhiおよびEMhiのサブセットから、CMV、EBV、およびインフルエンザに特異的なCTL応答を生じさせることができることを示す。
図12】実施例12に記載されているとおり、主成分プロットにより示されるように、CMhiおよびEMhiのサブセットはユニークで異なる遺伝子発現プロファイルを有することを示す。
図13a】実施例13に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiは、臍帯血中には稀であり、成人初期に最高であり、年齢が進むと共に頻度の低下が見られることを示す。
図13b】実施例13に記載されているとおり、CMhiおよびEMhiは、臍帯血中には稀であり、成人初期に最高であり、年齢が進むと共に頻度の低下が見られることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明を、下記でより詳細に説明する。本明細書に引用される米国特許文献の全ての開示物は、参照として、本明細書にそれらの全体が援用されている。
【0039】
1.定義
本明細書に用いられている「T細胞」または「Tリンパ球」はヒトからのものである。いくつかの実施形態において、T細胞は自家(ドナーと(単数または複数の)レシピエントが同一個体)であり;いくつかの実施形態において、T細胞は同種(ドナーと(単数または複数の)レシピエントが遺伝的に異なる個体)であり;いくつかの実施形態において、T細胞は同系(ドナーとレシピエントが遺伝的に同一であって異なる個体)である。
【0040】
本明細書に用いられる「細胞毒性Tリンパ球(CTL)」とは、その表面にCD8を発現するTリンパ球(すなわち、CD8T細胞)のことである。
【0041】
本明細書に用いられる「中央記憶」T細胞(または「CM」)とは、以前、抗原に曝露されたCTL(「記憶CTL」)のことであり、CD62L、CD45RAint/neg/CD45ROint/hiおよびCD95int/hiがある。
【0042】
本明細書に用いられる「エフェクター記憶」T細胞(または「EM」)とは、以前、抗原に曝露されたCTL(「記憶CTL」)のことであり、CD62L、CD45RAint/neg/CD45ROint/hiおよびCD95int/hiがある。
【0043】
「迅速流出性Tリンパ球」は、CD8T細胞のCMおよびEMの集団(それぞれ、CMhiおよびEMhi)内に見られ、以下の特徴のいくつかまたは全てが確認されている:(a)37℃の温度で、30分間にわたって、培養物中に色素Rh123を活発に迅速に流出させる;(b)CD161の高表面発現(CD161hi)および/またはIL−18Rαの高表面発現(IL−18Rαhi)。このような細胞は、限定はしないが、一般的に以下の特徴を含む:(a)CD127およびCD28の高表面発現;(b)常にではないが、一般に、遠位極複合体または有糸分裂CD8T細胞の尾肢(uropod)由来が示唆されるマーカーの発現(非流出サブセットよりも高い、CD43、CD44、CD46、CD148およびCD162の表面発現;非流出サブセットよりも低い、CD8、CD11aおよびCD50の表面発現);(c)CD3/TcRαβ/TcRγδ;(d)CD25、CD57、PD−1、CD103およびCD69の低い表面発現または表面発現無し;(e)非流出サブセットよりも低いNKG2D表面発現;(f)CD45ROの中等度/高発現、CD45RAの中等度/陰性表面発現およびCD95の発現;(g)常にではないが、一般に、非流出対応物よりも高いbcl−2発現およびbcl−xL発現;(h)グランザイムBの陰性発現、グランザイムAの中等度発現およびパーフォリンの低/中等度発現;(i)CD8αの通常発現または低発現およびCD8βの通常発現、低発現または発現無し;(j)非流出対応物よりも高いMDR−1 mRNA発現;(k)健常個体において、非流出対応物よりも低いKi67発現パーセンテージ。場合によっては、いくつかの実施形態において、迅速流出Tリンパ球は、CD122の陽性表面発現を特徴とする。CD62Lの発現は変動性であり、これによってCMまたはEMのサブセットにおけるこれらの細胞の存在が確定されることにも注意されたい。このような細胞はまた一般に、限定はしないが、以下の機能的特徴を含む:(a)プレート結合OKT3による刺激に応答しての増殖が、非流出サブセットに比較して低く、これは、抗CD−28抗体またはサイトカインによる共刺激の後に増加し得る;(b)四量体結合および選別サブセットのインビトロ増殖後に抗原特異的CD8T細胞を同定する能力によって立証されるウィルス特異的クローンを含有する;(c)化学療法剤の存在または非存在下でのインビトロ培養の間のアポトーシスに対する抵抗性;(d)抗CD28抗体またはサイトカインと組み合わせたPMA/イオノマイシンまたはOKT3による刺激に応答してのIFN−γ、IL−2、IL−4、IL−5、IL−8、IL−10およびMIP−1αの分泌が、非流出性対応物に比較して減少する;(e)蛍光化学療法剤、ダウノルビシンを活発に流出する能力;(f)イオノマイシンによる刺激後の低いが不均一なカルシウムフラックス;(g)CMhi細胞は一般に、非流出性対応物に比較して、IL−7に応答してのトリチウム標識チミジン(H−チミジン)の取込みが増加し、CFSEの希薄化が増加する。
【0044】
本明細書に用いられる「流出ブロッカー」としては、限定はしないが、PK11195、シクロスポリンA、PSC833、ベラパミルが挙げられる。
【0045】
本明細書に用いられる「流出剤」としては、限定はしないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、メソトレキサート、ミトキサントロン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、デキサメタゾンならびに誘導体、エトポシドおよびタキサン類が挙げられる。
【0046】
本明細書に用いられる「抗原」とは、免疫系によって認識できるタンパク質またはペプチドのことである。
【0047】
本明細書に用いられる「抗原特異的」とは、MHC分子の文脈で提示されたペプチド断片の養子免疫系による高特異的認識の性質を指す。
【0048】
本明細書に用いられる「抗体」とは、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEおよびそれらの全てのアイソタイプなど、免疫グロブリンの全てのタイプを指す。これらの免疫グロブリンのうちで、IgMおよびIgGが特に好ましい。抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよく、また、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、またはヒトなど、任意の種が出所源であってもよく、また、キメラ抗体でもよい。例えば、M.Walkerら、Molec.Immunol.26、403−11 (1989)を参照されたい。抗体は、米国特許第4,474,893号明細書、またはCabillyら、米国特許第4,816,567号明細書に開示された方法に従って作製された組換えモノクローナル抗体でもよい。抗体は、SegAlら、米国特許第4,676,980号明細書に開示された方法に従って作製された特定の抗体によって化学的に構築されてもよい。
【0049】
本明細書に用いられる「自己免疫疾患」は、限定はしないが、全身性紅斑性狼瘡、橋本病、関節リウマチ、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、悪性貧血、アジソン病、強皮症、グッドパスチャー症候群、クローン病、自己免疫性溶血性貧血、不妊症、重症筋無力症、多発性硬化症、バセドウ病、血栓性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少性紫斑病、インスリン依存性糖尿病、アレルギー、喘息、アトピー性疾患、動脈硬化症、心筋炎、心筋症、腎炎、および低形成貧血などの任意の自己免疫疾患であり得る。例えば、米国特許第7,279,160号明細書を参照されたい。
【0050】
本明細書に用いられる「癌」としては、限定はしないが、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、胃癌、口腔咽頭部癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝癌、腎臓癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、肺癌、甲状腺癌、脳の癌、造血系癌(限定はしないが、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、急性リンパ腫および慢性リンパ腫および骨髄性白血病など)および皮膚癌(限定はしないが、基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫など)の任意の病理学的変形物が挙げられる。
【0051】
本明細書に用いられる「ドナー」とは、迅速流出性Tリンパ球または他の細胞産物がそこから得られる個体のことである。
【0052】
本明細書に用いられる「レシピエント」とは、迅速流出性Tリンパ球または他の処置を受ける個体のことである。
【0053】
混合物中の細胞型の量の記述に本明細書中に用いられる「濃縮化」とは、細胞の混合物を、物理的な処理または工程前の同じ混合物と比較して、「濃縮化」型の数の増加をもたらす物理的な処理または工程に供することである。数が少ない細胞型に関して、これらの細胞を、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、または50倍またはそれ以上に富化させることができ、しかも「濃縮化」集団(例えば、濃縮化細胞が、その調製物中の総細胞の少なくとも1、5、10、20または30パーセント、またはそれ以上であり、調製物中の総細胞の40または50パーセントまで、またはそれ以上である)において細胞の総数(例えば、T細胞の総数)は比較的少ないままであってよい。他の実施形態において、「濃縮化」細胞を、調製物中の総細胞の少なくとも40、50、60、70または80パーセント、またはそれ以上、調製の際に総細胞の90、95、または99パーセントまたはそれ以上になる点まで濃縮化させることができる。
【0054】
本明細書に用いられる「毒性剤」とは、限定はしないが、放射性同位元素、治療剤、および毒素または細胞毒素が挙げられる。例えば、米国特許第6,274,118号明細書を参照されたい。
【0055】
本明細書に用いられる「放射性同位元素」としては、限定はしないが、227Ac、211At、131Ba、77Br、109Cd、51Cr、67Cu、165Dy、155Eu、153Gd、198Au、166Ho、113mIn、115mIn、123I、125I、131I、1891r、191Ir、192Ir、194Ir、52Fe、55Fe、59Fe、177Lu、109Pd、32P、226Ra、186Re、188Re、153Sm、46Sc、47Sc、72Se、75Se、105Ag、89Sr、35S、177Ta、117mSn、121Sn、166Yb、169Yb、90Y、212Bi、119Sb、197Hg、97Ru、100Pd、101mRh、および212Pbが挙げられる。
【0056】
本明細書に用いられる「治療剤」としては、限定はしないが、アドリアマイシン、クロロラムブシル、ダウノルビシン、ロイコボリン、フォリン酸、メトトレキサート、マイトマイシンC、ネオカルジノスタチン、メルファラン、ビンブラスチン、マイトシン(Mitocyn)、メクロレタミン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、イダルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、シスプラチン、カンヌスチン、シクロフォスファミド、ブレオマイシン、ビンクリスチンおよびシタラビンが挙げられる。
【0057】
本明細書に用いられる「毒素」または「細胞毒素」としては、限定はしないが、ジフテリア毒素、リシン毒素、モネンシン、ベルカリンA、アブリン、サポリン、ビンカアルカロイド、トリコテセン、およびシュードモナスエキソトキシンA、およびポークウィードウィルス蛋白が挙げられる。例えば、米国特許第6,630,576号明細書を参照されたい。
【0058】
本明細書に用いられる「薬学的に許容できる」とは、化合物または組成物が、疾患の重症度および治療の必要性に鑑みて過度の有害な副作用なしで本明細書で記載された治療を達成させるために対象に対する投与に好適であることを意味する。
【0059】
II.同定
Rh123流出性CM集団およびEM集団の同定。任意の組織からのPBMCまたはTリンパ球を、既知の技法に従って採取することができ、これには、RPMI1640/10%BSA(流出用緩衝液)中、5〜10μg/mlでRh123(または代替の同様に流出される蛍光染料)が30分間氷上で装填され、3回洗浄し、流出用緩衝液中37℃で30分間培養した。ビンブラスチン(Rh123流出の競合アンタゴニスト)の存在下で培養した対照サンプルを用いてRh123の能動的流出を確立し、ゲートすることができる。次にPBMCの表面を、蛍光色素結合抗体(例えば、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95およびCD62Lに対する)により標識することができ、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析によりRh123lo流出性のCM集団またはEM集団の同定が可能になる。
【0060】
CD161hiおよび/またはIL−18RαhiのCM集団およびEM集団の同定。インビトロ培養においてRh123を迅速に流出させる能力に関する代理マーカーとして、CM集団およびEM集団におけるCD161および/またはIL−18Rαの高発現を利用することができる。Tリンパ球は、任意の組織から既知の技法に従って採取することができ、CD161および/またはIL−18Rαに対する蛍光色素結合抗体、および他のマーカー(例えば、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95およびCD62Lに対する)により標識することができ、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析により、CD161hiおよび/またはIL−18Rαhi流出性のCM集団(CMhi)またはEM(EMhi)集団の同定が可能になる。
【0061】
III.単離
Rh123−流出性のCM集団およびEM集団の単離。任意の組織からのPBMCまたはTリンパ球を、既知の技法に従って採取することができ、例えば、フローサイトメトリー、免疫磁気分離および/またはアフィニティー結合におけるなど、抗体に対するアフィニティー結合などの既知の技法により濃縮化または枯渇させることができる。例えば、陽性免疫磁気分離によりCD8CTLを単離することができる。陽性選択されたCD8T細胞フラクションには、流出用緩衝液中、5〜10μg/mlでRh123(または代替の同様に流出される蛍光染料)が30分間氷上で装填され、これを3回洗浄し、流出用緩衝液中37℃で30分間培養することができる。ビンブラスチン(Rh123流出の競合アンタゴニスト)の存在下で培養した対照サンプルを用いてRh123の能動的流出を確立し、ゲートすることができる。次にPBMCを、抗体(例えば、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95およびCD62Lに対する)により標識することができ、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析により、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8α/CD95/CD62L/Rh123lo流出性のCMhi集団またはCD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8α/CD95/CD62L/Rh123lo流出性のEMhi集団の同定および単離が可能になる。
【0062】
CD161hiおよび/またはIL−18RαhiのCM集団およびEM集団の単離。インビトロ培養においてRh123を迅速に流出させる能力に関する代理マーカーとして、CM集団およびEM集団におけるCD161および/またはIL−18Rαの高発現を利用することができる。任意の組織からのTリンパ球を、既知の技法に従って採取することができ、例えば、フローサイトメトリー、免疫磁気分離および/またはアフィニティー結合におけるなど、抗体に対するアフィニティー結合などの既知の技法により濃縮化または枯渇させることができる。例えば、陽性免疫磁気分離によりCD8CTLを単離することができる。陽性に選択されたCD8T細胞フラクションを、抗体(例えば、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161および/またはIL−18Rαに対する)により標識することができ、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析により、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8α/CD95/CD62L/CD161hi流出性CMhi集団またはCD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8α/CD95/CD62L/IL−18Rαhi流出性CMhi集団またはCD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8α/CD95/CD62L/CD161hi流出性EMhi集団あるいはCD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8α/CD95/CD62L/IL−18Rαhi流出性EMhi集団の同定および単離が可能になる。
【0063】
IV.キット類
本発明の方法(特に細胞集団を同定するステップまたは単離するステップ)の全てまたは一部を実施するのに有用なキット類は、種々の形態のいずれかを取ることができる。一般にキット類は、この操作に必要な抗体または抗体結合体を含むと考えられる。これらの細胞の単離は、多段階工程である。所望の製品(純粋なCD8CMhi細胞、純粋なCD8EMhi細胞または濃縮化されたCD8CMhi細胞およびEMhi細胞)およびCMhiならびにEMhi(Rh123流出性および/またはCD161hi および/またはIL−18Rαhi)の同定方法に応じてキットの多数の組合せが可能である。このキットは、Rh123流出性集団または非流出性集団の同定および分析用、Rh123流出性集団または非流出性集団の非臨床グレードまたは臨床グレードの単離用に使用することができる。このキットは、任意の好適な容器に包装でき、任意に本明細書に記載された方法の全てまたは一部を実施するための取扱説明書を含むことができる。それ故、キットは、限定はしないが、以下のステップの任意の組合せに必要な任意の構成要素を含むであろう:
i)記憶CD8T細胞の最初の同定、濃縮化および/または単離(陽性または陰性免疫磁気選択または細胞選別)
ii)免疫磁気分離後の混入細胞(例えば、非CD8T細胞に対する抗体、ストレプトアビジン−蛍光色素結合体、ヤギ抗マウス蛍光色素結合体)の除去
iii)CMおよびEMのサブセットの同定、濃縮および/または単離(例えば、蛍色素結合CD95およびCD62L)
iv)流出性(Rh123/流出用緩衝液/流出ブロッキング剤)またはCD161hi集団および/またはIL−18Rαhi集団の同定、濃縮および/または単離。
【0064】
V.治療用の組成物と方法
CMhi細胞およびEMhi細胞は、自家設定、同種設定または同系設定に使用することができる。CMhi集団およびEMhi集団は、限定はしないが、以下の適応のために使用するかまたは標的にすることができる:
a)癌、感染症または免疫不全における抗原特異的免疫性の移入用
b)自己免疫疾患、移植片対宿主病または移植片拒絶における免疫性の消失標的化用
c)治療遺伝子送達用。
【0065】
VI.抗原特異的免疫性の移入
いくつかの実施形態において、本発明のリンパ球を用いて個体に免疫性を付与することができる。「免疫性」とは、リンパ球応答が向けられる病原体による感染に対するかまたは腫瘍に対する応答に関連する1つ以上の因子の増加を意味する。
【0066】
本発明により治療を受けることのできる対象はヒトである。対象は、男性であっても女性であってもよく、乳児、小児、青年、成人、および老人など、任意の好適な年令であってもよい。
【0067】
治療を受けることができる対象としては、限定はしないが、造血癌、結腸癌、肺癌、肝癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、皮膚癌(黒色腫を含む)、骨癌、および脳の癌などを含む癌罹患対象が挙げられる。いくつかの実施形態において、知られている腫瘍関連抗原としては、限定はしないが、黒色腫、乳癌、扁平上皮癌、結腸癌、白血病、骨髄腫および前立腺癌が挙げられる(これらの実施形態において、T細胞受容体遺伝子を導入することによって記憶T細胞を単離または操作することができる)。他の実施形態において、操作された免疫受容体を発現する遺伝子修飾T細胞により腫瘍関連抗原を標的にすることができる。例としては、限定はしないが、B細胞リンパ腫、乳癌、前立腺癌、および白血病が挙げられる。
【0068】
治療を受けることができる対象としてはまた、限定はしないが、ウィルス、細菌および原生動物の感染症などの感染症に罹患しているか、またはその発症の危険性のある対象が挙げられる。
【0069】
治療を受けることができる対象としては、限定はしないが、ウィルス性感染症罹患の移植患者など、免疫不全患者が挙げられる。このようなウィルス性感染症としては、限定はしないが、サイトメガロウィルス(CMV)感染症、エプスタイン−バーウィルス(EBV)感染症、アデノウィルス感染症、インフルエンザ感染症またはパラインフルエンザ感染症、水痘、ヒトヘルペスウィルスタイプ6(HHV6)感染症またはHHV7感染症、呼吸器合胞体ウィルス(RSV)感染症またはBKポリオーマウィルス感染症が挙げられる。
【0070】
上記のとおり調製された細胞を、当該開示(例えば、Gruenbergらに対する米国特許出願公開第2003/0170238号明細書を参照;Rosenbergに対する米国特許第4,690,915号明細書もまた参照;Riddellに対する米国特許第6,040,177号明細書もまた参照)に基づいて当業者に明らかである既知の技法またはその変法に従って養子免疫療法に関する方法および組成物に利用することができる。
【0071】
自家レシピエント、同種レシピエントまたは同系レシピエントの治療にCMhiおよびEMhiを使用することができ、インビボ刺激の存在または不在下で採取でき、インビトロ操作してまたはそれ無しで投与できるか、または投与後のインビボ刺激でまたはそれ無しで投与できる。
【0072】
CMhiおよび/またはEMhiの採取前のインビボ刺激としては、限定はしないが、薬物、ワクチンまたはサイトカインの使用を挙げることができる。インビトロ操作としては、限定はしないが、培養または他の方法、サブセットの濃縮、抗原特異的濃殖、増殖、フィーダー細胞(例えば、照射LCLまたはPBMC)処理、サイトカイン処理、抗体処理、小型分子処理または抗原特異的TcR遺伝子または他の治療遺伝子、自殺遺伝子および/またはノックダウン遺伝子による形質導入の任意の組合せを挙げることができる。インビボ刺激としては、限定はしないが、市販のワクチンまたは研究用細胞試薬または非細胞試薬によるワクチン接種、サイトカイン投与または薬物投与を挙げることができる。
【0073】
CMhi細胞またはEMhi細胞を、単離および濃縮して、またはそれらをせずに注入することができる。濃縮または単離の使用と方法は、製品の要件を反映する。いくつかの実施形態において、ドナーまたは培養培地から先ず細胞を採取することによりそれらを製剤化し、次いで洗浄し、投与に好適な媒質および容器の系(「薬学的に許容できる」担体)中で治療的有効量に細胞を濃縮する。好適な注入媒質は、生理食塩水、Normosol R(Abbot)、Plasma−Lyte A(Baxter)、水中5%デキストロースまたはリンゲル乳酸塩などの任意の等張性媒質製剤であり得る。注入媒質には、ヒト血清アルブミン、ヒト血清または他の栄養物が補給され得る。
【0074】
注入される細胞量は可変性であり、濃縮またはインビトロ増殖が非存在下での<10個の抗原特異的細胞から濃縮およびインビトロ増殖後の1012個超の細胞までの範囲であり得る(例えば、Riddellらに対する米国特許第6,040,177号明細書、17欄を参照)。細胞を、単回注入またはある時間の範囲にわたる複数注入により投与できる。しかしながら、異なる個体では応答性の変化が予想されることから、注入される細胞型および量、投与経路、注入回数および複数注入が投与される時間範囲は、環境、身体検査および検査室検査により示され(dictate)、担当医により決定される。
【0075】
養子免疫療法における本発明の使用の代表的な例は、同種または自家の造血幹細胞移植(HSCT)の環境における治療と考えられる。厳しい免疫抑制の環境において、同種および自家のHSCT患者は、日和見感染症に罹る危険性が大きい。本発明を用いて、生命を脅かす可能性のある感染症に対して患者を防御するために免疫記憶をレシピエントに移入させることができる。CMhi細胞およびEMhi細胞を、移植ドナー(同種HSCTの場合)または患者(自家HSCTの場合)から単離し、感染症関連抗原に対する特異性に関して選択または操作し、増殖または増殖せずに、移植環境の後に患者に戻すことができる。このサブセットは、移植後のリンパ球減少環境下で分化または分化せずに増殖して、免疫記憶を再構成すると考えられる。感染症に特異的なCMhiおよびEMhiの選択により、移植片対宿主病を引き起こすことなく免疫の再構成が可能になるであろう。
【0076】
VII.消失標的化(Targeted ablation)
本発明のさらなる態様は、自己免疫疾患または移植片対宿主病に対する治療としてヒト対象における能動的流出性CMhi細胞および/またはEMhi細胞を選択的に枯渇させることによりヒト対象における長命な記憶CD8T細胞を消失させる方法である。疾患の治療に有効な量でCD161および/またはIL−18Rαに選択的に結合する抗体を対象に投与するか、または細胞毒性剤と組み合わせた薬物流出の阻害剤を投与することなど、任意の好適な技法により、この選択的枯渇を実施することができる。
【0077】
抗体(任意のイソタイプのモノクローナルまたはポリクローナルのいずれか)、または抗体を含有する医薬組成物を、複数の種々の担体中で製剤化することもできるし、または限定はしないが、当技術分野に知られている放射性同位元素、リシンまたはジフテリア毒素など、多数の可能な毒素に結合させることができる。抗体を、限定はしないが、静脈内、腹腔内または槽内などの種々の経路により投与することができよう。本発明の治療的抗体は、好適なスケジュールで疾患の治療に有効な量で投与されるが、当技術分野に知られているように、これらは、具体的な疾患、製剤、投与経路、および対象の状態により幾らか変わり得る。
【0078】
CMhiおよびEMhiは、細胞毒性剤流出の阻害剤と組み合わせて細胞毒性剤の投与により消失させることができる。インビトロ試験により、CMhiおよびEMhiは、化学療法誘導アポトーシスから防御され、この防御は、ABC共輸送体(薬物流出ポンプ)阻害の存在下で失われることが示されている。CMhiおよびEMhiからの細胞毒性剤流出の防止を用いて、インビボでこれらの細胞集団を減少または消失させることができる。細胞毒性剤および薬物流出阻害剤を、当技術分野に知られている承認プロトコルまたは新規プロトコルで投与することができる。
【0079】
VIII.治療用遺伝子送達
いくつかの実施形態において、本発明のリンパ球を用いて治療用遺伝子を個体に送達することができる。治療用遺伝子としては、限定はしないが、遺伝子コード化共刺激分子(例えば、CD80)または阻害分子(PD−L1)、サイトカイン(例えば、IL−7)、アポトーシス誘導シグナルまたは先天性欠損または異常遺伝子(例えば、重症の血友病におけるVIII因子遺伝子)が挙げられるであろう。抗原特異的TcRをコードする遺伝子をトランスフェクトしたT細胞の送達は、「抗原特異的免疫性の移入」で上述されている。
【0080】
治療用遺伝子送達のための単離、インビトロ操作、製剤化および投与は、「抗原特異的免疫性の移入」で上述されているように、同様の考慮事項を包含する。単離T細胞に対する遺伝子送達は、インビトロで実施される可能性が高いと考えられるが、インビボで長命記憶細胞を標的にする方法を含むことができる。遺伝子送達のための組換え感染性ウィルス粒子の利用は、本発明のTリンパ球の形質導入に対する好ましいアプローチである。この方法で用いられているウィルスベクターとしては、シミアンウィルス40、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス(AAV)、レトロウィルスおよびレンチウィルスに由来するウィルスベクターならびにそれらの修飾物が挙げられる。このように遺伝子移入および発現方法は多数あるが、本質的には、哺乳動物細胞において遺伝子物質を導入し、発現させるために機能する。他にもあるが、特に、リン酸カルシウムトランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、および組換えアデノウィルス、アデノ関連ウィルスおよびレトロウィルスによる感染などの上記技法のいくつかを用いて、造血細胞またはリンパ球系細胞に形質導入した。主要なTリンパ球は、電気穿孔、レトロウィルス感染およびレンチウィルス感染により首尾よく形質導入された。
【実施例】
【0081】
実施例1:CM集団およびEM集団は、Rh123を迅速に流出し、CD161hiおよびIL−18Rαhiであるサブセットを含有する。
PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離し、RPMI 1640/10%ウシ血清アルブミン(本明細書で流出用緩衝液として知られている)中で洗浄し、氷冷流出用緩衝液中、1×10/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。PBMCを氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、ビンブラスチンの存在または非存在下で予め温めた流出用緩衝液中で37℃、30分間再懸濁し、この30分後に、PBMCを、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で一度洗浄し、氷上でCD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD3、CD8α、CD95、CD62L、CD161およびIL−18Rαに対する抗体で20分間標識した。氷冷FACS緩衝液中で洗浄後、サンプルをBD FacsARIAフローサイトメーター上で分析した。
【0082】
CMおよびEMのサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD3/CD8/CD95の集団中、それぞれCD62LまたはCD62L事象として同定した。Rh123蛍光は、適切な補正および488nmでのレーザー励起後の530/30発光フィルタにより同定した。Rh123流出事象は、ビンブラスチンの流出遮断の存在下での培養後に同定された平均蛍光強度よりも低い蛍光を有するものとして定義された。
【0083】
多くのリンパ球は、Rh123を流出させる能力を有しているが;CM CD8Tリンパ球およびEM CD8Tリンパ球の小型サブセットだけが、30分間にわたってRh123を迅速に流出させる能力を有していることを、図1の結果が立証している。流出は、MDR−1およびMRP−1用の非蛍光基質であるビンブラスチンにより遮断され、これはRh 123流出の特異性を示す。Rh 123を迅速に流出させるCM細胞およびEM細胞は、高レベルのIL−18αおよびCD 161を発現する。
【0084】
実施例2:CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、TcRαβおよびTcRγδである。Vα24に対する制限はない。それらは、主としてCD45RAint/neg、CD45ROint/hi、CD95、CD8α、CD8β+/neg、CD25neg、CD27、CD56pos/neg、CD57neg、CD28hi、CD122、CD127hi、PD−1neg、CD103neg、NKG2Dint/lo、パーフォリンlo/int、グランザイムAint、グランザイムBneg、Ki67neg、bcl−xLhiおよびbc1−2hiである。
【0085】
PBMCは、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離し、PBS中に再懸濁した。表面標識は、氷上で20分間示したCD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD3、CD8α、CD95、CD62L、CD161に対する抗体および他の抗体を用いて実施した。冷PBS中で洗浄後、表面標識サンプルをBD LSR−2フローサイトメーター上で分析した。細胞内染色サンプルをBD Cytofix中で固定してから、BD Perm/洗浄用緩衝液中で洗浄し、透過化処理し、標識し、次いで上記のとおり分析した。
【0086】
CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD3/CD8集団およびCD95集団中、それぞれCD62L/CD161hi事象またはCD62L/CD161hi事象として同定した。
【0087】
図2a〜c)の結果は、CD8TcRαβT細胞のCMhiサブセットおよびEMhiサブセットのユニークな表現型を示している。この表現型は、記憶集団と合致し、Zhangら(Nat Med, 2005)により記載されたマウス記憶幹細胞と類似している。この表現型は、NK細胞および不変NKT細胞など、他の特性化されたリンパ球系集団に関して予想されたものとは異なる。CMhiおよびEMhiは同様の表現型を有するが、CD62Lの発現により免疫表現的に区別することができる。明瞭にするために、EMhiの表現型だけが、図2a)およびb)に示されている。図2c)では、試験された全てのドナーからのCMloおよびEMloと比較して、CMhiおよびEMhiにおいてbcl−2およびbcl−xlのより高い発現ならびにKi67のより低い発現を例示するために示している。
【0088】
実施例3:CMhiおよびEMhiは、非対称的に分裂するCD8T細胞の遠位極または分極CD8T細胞の尾肢からの誘導を示唆する表面表現型を有する。
PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離し、流出用緩衝液中で洗浄し、氷冷流出用緩衝液中、1×10/mlで5μg/mlのローダミン123と共に再懸濁した。PBMCを氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中で37℃、30分間再懸濁し、この30分後に、PBMCを、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で一度洗浄し、氷上でCD3、CD4、CD8、CD45RA、CD45RO、CD62L、CD16に対する抗体およびCD11a、CD43、CD44、CD46、CD148またはCD162のいずれかに対する抗体で20分間標識した。氷冷FACS緩衝液中で洗浄後、サンプルをBD
FacsARIAフローサイトメトリー上で分析した。CMサブセットおよびEMサブセットは、CD4/CD16/CD3/CD8/CD45RAint/neg/CD45RO集団中、それぞれCD62L事象またはCD62L事象として同定した。実施例1に記載したように迅速流出の確立を実施した。
【0089】
図3において、CMhiは、分裂CD8T細胞の「記憶」遠位極または分極CD8T細胞の尾肢からの誘導と一致する表現型を有することを示している。CMhiの表現型は、EMhiの表現型と同様であり−明瞭にするために、CM CD8T細胞上に導かれたFACSプロファイルだけを示している。CMhiおよびCMlo集団のMFlを赤で示している。適切な共刺激分子および/または接着分子の存在下でTcRシグナル伝達後、免疫シナプスが、APCとT細胞との間で形成する。CD8およびCD11a(他の細胞表面タンパク質の中で)は、能動的に免疫シナプスに局在化し(「近位マーカー」)、CD43、CD44、CD46、CD148およびCD162は、シナプスから除外され、遠位極複合体(「遠位マーカー」)を形成する。遠位極複合体である尾肢と同様の構造もまた、ケモカインによるいくつかのT細胞の刺激に対して形成され、細胞表面マーカーの同様の発現パターンを有する。これらの表面分子が、第一の細胞分裂までかまたは細胞分裂を越えて、免疫シナプスまたは尾肢の内または外に局在化したままであるかどうかは知られていないが;CMhiおよびEMhiの表現型は可変性ではあるが、分裂記憶細胞または尾肢の遠位極から誘導される細胞集団と合致し得ると考えられる。
【0090】
実施例4:CMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物よりも高レベルのMDR−1mRNAを発現し、蛍光化学療法薬であるダウノルビシンを能動的に流出する。
図4a)において、CMhiおよびEMhiならびにそれらの非流出性IL−18Rαlo/negの対応物(CMloおよびEM1o)を、CD8T細胞の陰性免疫磁気選択を用いて非CD8T細胞に対するビオチン化抗体により単離し、次いで蛍光色素結合ストレプトアビジンで表面標識して非CD8T細胞、CD95、CD62LおよびIL−18Rαを同定し、BD FacsAR1Aフローソーター上で選別した。CM CD8T細胞およびEM CD8T細胞を、それぞれストレプトアビジン/CD95/CD62Lまたはストレプトアビジン/CD95/CD62Lとして規定した。CMhiおよびEMhiは、IL−18Rαの高発現により確定した。単離されたCMhi、CMlo、EMhiおよびEMloサブセットにおけるmdr1の発現は、以下のプライマーおよびプローブを用いて定量的ポリメラーゼ連鎖反応により判定した:MDR1順方向−GGA AGC CAA TGC CTA TGA CTT TA;MDR1逆方向−GAA CCA CTG CTT CGC TTT CTG;MDR1プローブ−6FAM−TGA AAC TGC CTC ATA AAT TTG ACA CCC TGG−TAMRA。示された結果を、GAPDH発現に対して正規化する。3名の正常ドナーからの平均値/SEを示す。
【0091】
図4b)において、PBMCを、流出用緩衝液中1×10/mlで再懸濁し、これに、2.5μMで蛍光化学療法薬であるダウノルビシンを37℃で20分間装填してから、3回洗浄し、25μMのビンブラスチンの存在または非存在下で37℃、1時間流出させた。次にPBMCを、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で一度洗浄し、氷上でCD16、CD3、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161またはIL−18Rαに対する抗体で20分間標識した。氷冷FACS緩衝液中で洗浄後、サンプルをBD LSR−2フローサイトメーター上で分析した。
【0092】
CMhiおよびEMhiは、MDR−1、Rh123およびダウノルビシンの特異的かつ能動的な流出に関係するATP結合カセット(ABC)共輸送体に対するmRNAを高レベルで発現することを、データは示している。CMhiおよびEMhi(IL−18RαまたはCD161の高発現により確定)が、化学療法薬を能動的かつ特異的に流出させる能力は、MDR−1タンパク質に対する競合アンタゴニストであるビンブラスチンの存在下での流出阻止により示される。阻止はまた、2つの他のMDR−1チャネルブロッカーであるPK11195およびシクロスポリンAにより達成された(データは示していない)。
【0093】
実施例5:CMhiおよびEMhiは、インビトロでのダウノルビシン誘導アポトーシスに対して抵抗性である。
CMhiおよびEMhiならびにそれらの非流出IL−18Rαlo/neg対応物(CMloおよびEM1o)は、CD8T細胞の陰性免疫磁気選択を用いて非CD8T細胞に対するビオチン化抗体により単離し、次いで蛍光色素結合ストレプトアビジンで表面標識して非CD8T細胞、CD95、CD62LおよびIL−18Rαを同定し、BD FacsAR1Aフローソーター上で選別した。CM CD8T細胞およびEM CD8T細胞は、それぞれストレプトアビジン/CD95/CD62Lまたはストレプトアビジン/CD95/CD62Lとして確定した。CMhiおよびEMhiは、IL−18Rαの高発現により確定した。流出性および非流出性のCMサブセットおよびEMサブセットを、ダウノルビシン(ABC−B1共輸送体、MDR−1により流出させたアントラサイクリン化学療法剤)の存在または不在下、末梢神経ベンゾジアゼピン受容体アンタゴニストのPK11195によるMDR−1遮断を用いてまたは用いずに44時間培養した。培養物を採取し、冷PBSで2回洗浄し、アネキシンVおよびDAPIで染色してから分析した。
【0094】
図5における結果により、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、薬理学的濃度(0.1μM)でダウノルビシンでの培養により誘導されたアポトーシスに抵抗性であることを示している。化学療法抵抗性は、PK11195によるMDR−1の阻害が細胞死の増加をもたらす流出ポンプにより媒介される。PK11195単独による培養は、生存率を損なわない。
【0095】
実施例6:CMhiおよびEMhiは、ホメオスタティックサイトカインであるIL−7およびIL−15に応答して分裂し、補足サイトカインの不在下での培養後に高生存率を有する。
図6a〜c)において、PBMCは、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8T細胞を、CD8マイクロビーズ(Miltenyi)を用いて陽性選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中で37℃、30分間再懸濁した。ビンブラスチンを対照サンプルに加えて流出の存在を確立した。次にCD8T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TcRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8集団中のCD62L/Rh123lo/CD161hi事象またはCD62L/Rh123lo/CD161hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8/CD95集団中のCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象またはCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象としてそれぞれ同定した。ゲーティング方法を図6a)に示す。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離し、IL−7に応答する増殖は、H−チミジンの取込みまたはCFSE希釈アッセイにより判定した。IL−15に応答する増殖は、CFSE希釈アッセイにより判定した。H−チミジンの増殖アッセイは、IL−7で補足されたCTL培地中で5日間培養し、次いでH−チミジンで一晩パルスしてから、採取し、カウントすることにより実施した。CFSE希釈アッセイは、細胞にCFSEを装填し、10日間培養してから生存率をDAPIで標識し、BD LSR2フローサイトメーター上で分析することにより実施した。
【0096】
図6d)において、誘導療法の最下点(11日目から22日目)でリンパ球が減少していない健常ドナー(n=8)またはリンパ球減少の急性骨髄性白血病患者(n=6)からのPBMCを、実施例2に記載されたとおり、記憶サブセット上のKi67発現に関して分析した。リンパ球が減少していない健常ドナーとリンパ球減少の患者との間のCD8T細胞サブセットのKi67発現パーセントの倍率変化を示している。
【0097】
この結果は、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットが、細胞周期に入り、IL−7(図6b)およびIL−15(図6c)の刺激に応答する分裂を行う能力を有することを示している。CMhiおよびEMhiはまた、リンパ球が減少した化学療法患者におけるCMloおよびEMloよりも細胞周期に、より有効に動員され(図6d)、リンパ球減少を誘導するIL−7およびIL−15媒介増殖に対する感受性が高いことが示唆される。さらに、補足サイトカインの不在下での培養において、CMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物よりも高い生存度を維持する(図6b)。IL−7およびIL−15は、記憶T細胞の長命記憶および生存の維持にとって重要であり、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、IL−7およびIL−15によるシグナル伝達に感受性である。
【0098】
実施例7:CMhiおよびEMhiは、OKT3によるポリクローナルTcR刺激に応答してそれらの非流出性対応物と比較し、H−チミジン取り込みの減少を示し、図7に示されるように共刺激後に回復させることができる。
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおり単離した。PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8T細胞を、CD8常磁性ビーズを用いて陽性に選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中でビンブラスチンを用いてまたは用いずに37℃、30分間再懸濁した。30分後に、CD8T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TcRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8集団中のCD62L/Rh123lo/CD161hi事象またはCD62L/Rh123lo/CD161hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4/CD16/TcRgd/Va24/CD8/CD95集団中のCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象またはCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象としてそれぞれ同定した。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離し、指定された条件で200μl CTL中、1ウェル当り10,000〜30.000個の細胞で96ウェルプレート内で培養した。OKT3を1ウェル当り100μlのPBS中1000ng/mlで4℃、6時間インキュベートすることによりプレート結合させ、次いで200μlの冷PBSで2回洗浄してから、選別されたサブセットを平板培養した。抗CD28(5μg/mlで)を、上記のとおりOKT3と共にプレート結合させた。サイトカイン濃度は以下のとおりであった:IL−7、2ng/ml;IL−12、10ng/ml;IL−15、1ng/ml;IL−18、80ng/ml;IL−23、10ng/ml。サイトカイン共刺激の不在下、サイトカインでの培養は最少増殖をもたらした。IL−12単独によるかまたはOKT3/IL−12によるCMhiサブセットの増殖に関するデータは入手できない。
【0099】
実施例8:CMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物と比較して、異なるサイトカイン分泌プロファイルを有する。
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおり単離した。PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8T細胞を、CD8常磁性ビーズを用いて陽性に選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中でビンブラスチンを用いてまたは用いずに37℃、30分間再懸濁した。30分後に、CD8T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8集団中のCD62L/Rh123lo/CD161hi事象またはCD62L/Rh123lo/CD161hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Va24/CD8/CD95集団中のCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象またはCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象としてそれぞれ同定した。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離し、200μl CTL培地中、1ウェル当り60,000個の細胞で平板培養した。ポリクローナル刺激は、単離サブセットをPMA(5ng/ml)/イオノマイシン(1μg/ml)またはプレート結合OKT3/抗CD28(実施例7に記載されたとおり調製した)と共に20時間培養することにより実施した。Luminex Cytokine Arrayアッセイを用いて培養物上澄液中でサイトカイン分泌を検出した。
【0100】
これらの実験により、ポリクローナル刺激に応答したCMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物よりも、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IFN−γおよびMIP−1αの分泌が少なく、IL−17の分泌が多いことを示している。
【0101】
実施例9:CMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物と比較して、イオノマイシンに応答してカルシウム流出を減少させた。
PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により室温で分離し、Indo−lAM(Sigma)10μMおよびプロベニシド4mMで補足されたCTL培地中、l×10/m1で37℃、30分間インキュベートした。PBMCをCTL培地中、25℃で1回洗浄した。表面標識は、CTL培地中、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD62LおよびCD161に対する抗体により室温で10分間実施した。CTL培地中室温で洗浄後、表面標識サンプルを37℃に4分間温めた後、UV、紫色、青色、緑色および赤色レーザーを備えたBD LSR−2フローサイトメーター上で高速捕捉した。30秒の捕捉後、サンプルを吸引ポートから取り出し、イオノマイシンを5μg/mlの最終濃度に加え、サンプルを戻し、捕捉を20,000事象/秒で継続した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8/CD95集団中のCD62L/CD161hi事象またはCD62L/CD161hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8/CD95集団中のCD62L/CD161int/neg事象またはCD62L/CD161int/neg事象としてそれぞれ同定した。相対的細胞内カルシウム濃度は、UVバイオレット(405nm)検出器:UVブルー(505nm)検出器におけるIndo−1AM蛍光の比率として測定され、適切にゲートされたサブセットについての平均比率対時間(秒数)としてプロットする。
【0102】
この実験により、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、それらの非流出性対応物と比較して、カルシウムイオノフォア、イオノマイシンに応答してカルシウムを流動させる異なる能力を有することを実証する。カルシウムフラックスは、抗原特異的TcR連結部から下流の近位シグナル伝達事象である。
【0103】
実施例10:実施例10に記載されているように、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、分子スペクトルタイピングによればポリクローナルTcRレパートリーを含む。
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおり単離した。PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8T細胞を、CD8常磁性ビーズを用いて陽性選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中でビンブラスチンを用いてまたは用いずに37℃、30分間再懸濁した。30分後に、CD8T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8集団中のCD62L/Rh123lo/CD161hi事象またはCD62L/Rh123lo/CD161hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Va24/CD8/CD95集団中のCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象またはCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象としてそれぞれ同定した。未処置CD8T細胞は、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8/CD95/CD62L事象として同定した。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離した。
【0104】
TcR Vβ断片の多重RT−PCRおよび Genescan分析により、単離サブセットおよび未処置CD8T細胞に対して分子Vβスペクトルタイピングを実施した。
【0105】
これらの実験は、流出性CMhiサブセットおよび流出性EMhiサブセットにおけるポリクローナルTcR Vβの用法を示し、CMhiサブセットおよびEMhiサブセット内のCD8T細胞は、広範囲の抗原に特異的な可能性がある種々のTcRを発現することを実証している。
【0106】
実施例11:実施例11に記載されているように、ウィルス抗原のテトラマー陽性細胞を、CMhiサブセットならびにEMhiサブセット内で同定することができ、CMV−特異的CTL応答、EBV−特異的CTL応答ならびにインフルエンザ−特異的CTL応答を、選別されたCMhiサブセットおよびEMhiサブセットから生じさせることができる。
PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離し、PBS中に再懸濁した。表面標識は、CD4、CD16、TCRγδ、CD8α、CD95、CD62L、CD161およびAPC標識HLA−A0201;NLVペプチドテトラマーに対する抗体により実施して、CMVのpp65抗原からのNLVペプチドに特異的なCD8T細胞の同定を可能にした。冷PBS中で洗浄後、表面標識サンプルを、BD LSR−2フローサイトメーター上で分析した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/CD8/CD95集団中CD62L/CD161hi事象またはCD62L/CD161hi事象としてそれぞれ同定した。データは図11a)に示している。
【0107】
エキソビボでCMhiサブセットおよびEMhiサブセットにまれに見られたテトラマー陽性事象が、ウィルス性抗原特異的CTLであったことを立証するために、自家活性化ペプチドパルス化単球由来のDC(MoDC)との培養により単離CMhiサブセットおよび単離EMhiサブセットから、抗原特異的CTLをインビトロで増殖させた。CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおりに単離した。MoDCは、CD14特異的常磁性ビーズを用いて単離されたCD14単球と、GM−CSF(800U/ml)およびIL−4(1000U/ml)とで5日間培養することにより生じさせた。成熟MoDCは、さらにGM−CSF(800U/ml)/IL−4(1000U/ml)およびIL−1β(2ng/ml)、IL−6(1000U/m1)、PGE(1000ng/ml)およびTNFα(10ng/m1)との培養7日目に生じさせた。活性化MoDCは、それぞれCMV、EBVまたはインフルエンザに由来するHLA−A0201−制限NLVPMVATV、GLCTLVAMLまたはGILGFVFTLペプチドの1μg/m1と室温で2時間RPMI1640(Gibco)中でパルス化した。MoDCをRPMI1640中で3回洗浄し、使用前に照射した(3500cGy)。
【0108】
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloサブセットを、IL−2(10U/ml)、IL7(1ng/ml)および1L−15(100pg/m1)で補足した200mlのCTL培地中、T:DC比が4:1で、照射、活性化、ペプチドパルス化MoDCと共に96ウェルプレート中で平板培養した。サイトカインおよび半分の培地交換は、4日目と7日目に実施し、CD8による分析、DAPIおよびテトラマーの染色は、10日目に実施した。データは図11b)に示している。
【0109】
この実験により、希少なウィルス特異的テトラマー陽性CD8T細胞は、迅速流出性CMhi集団およびEMhi集団内でエキソビボで同定できること、および希少なウィルス抗原特異的CD8T細胞は、単離された流出性CMhiサブセットおよび流出性EMhiサブセットのインビトロ刺激後に同定できることが立証されている。流出性CMhiおよび流出性EMhiが、OKT3による刺激(実施例7)に対して抵抗性であるという事実にもかかわらず、増殖は、サイトカインと培養することにより回復させることができる。実施例11において活性化MoDCおよびサイトカイン補足の使用により、インビトロで流出性サブセットから抗原特異的CTLの増殖が可能になる。
【0110】
実施例12:CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、ユニークかつ異なる遺伝子発現プロファイルを有する。
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおり単離した。PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8T細胞を、CD8特異的常磁性ビーズを用いて陽性選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中でビンブラスチンを用いてまたは用いずに37℃、30分間再懸濁した。30分後に、CD8T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8集団中のCD62L/Rh123lo/CD161hi事象またはCD62L/Rh123lo/CD161hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8/CD95集団中のCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象またはCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象としてそれぞれ同定した。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離した。
【0111】
cRNAは、単離サブセットから生じさせ、遺伝子発現アレイ試験は、Illumina HumanWG−6発現ビードチップアレイを用いて実施した。非流出性CD8T細胞サブセットに関連したCMhiおよびEMhiの遺伝子発現関係を説明するために主成分プロット上にデータを表示する。このデータにより、迅速流出性(CMhiおよびEMhi)サブセットは、未処置または非流出性記憶(CMloおよびEMlo)CD8T細胞のものとは別個の遺伝子発現プロファイルをもつことを示している。さらに、CMhiクラスターおよびEMhiクラスターの分離により、同様の表現型にもかかわらず、CD62L(CMhi)およびCD62L(CM1o)流出性CD8T細胞は、異なる遺伝子発現プロファイルを有することが示唆される。
【0112】
実施例13:CMhiおよびEMhiは、臍帯血では希少であり、成人初期にピークに達し、年令が進むとともに頻度の減少が見られる。
PBMCを、新鮮な末梢血または臍帯血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8T細胞を、CD8マイクロビーズ(Miltenyi)を用いて陽性選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中で37℃、30分間再懸濁した。ビンブラスチンを対照サンプルに加えて流出の存在を確立した。次にCD8T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8集団中のCD62L/Rh123lo/CD161hi事象またはCD62L/Rh123lo/CD161hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4/CD16/TcRγδ/Vα24/CD8/CD95集団中のCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象またはCD62L/Rh123hi/CD161int/neg事象としてそれぞれ同定した。ゲーティング方法を図6a)に示す。BD FacsARIAフローサイトメーターを用いてサンプルをアッセイした。CMhi表現型細胞およびEMhi表現型細胞の頻度を、成人末梢血と比較した臍帯血にみられるCD8T細胞のパーセンテージとして図13a)に示している。親のCMおよびEM区画における流出性細胞(上部)および非流出性細胞(下部)のパーセンテージを図13b)に示している。各点は、単一の健常ドナーを表す。
【0113】
上述のものは、本発明の例示であって、それらの限定として解釈してはならない。本発明は、以下の特許請求の範囲により定義され、本特許請求の範囲の均等物もそれらに含まれる。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]