【実施例】
【0081】
実施例1:CM集団およびEM集団は、Rh123を迅速に流出し、CD161
hiおよびIL−18Rα
hiであるサブセットを含有する。
PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離し、RPMI 1640/10%ウシ血清アルブミン(本明細書で流出用緩衝液として知られている)中で洗浄し、氷冷流出用緩衝液中、1×10
6/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。PBMCを氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、ビンブラスチンの存在または非存在下で予め温めた流出用緩衝液中で37℃、30分間再懸濁し、この30分後に、PBMCを、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で一度洗浄し、氷上でCD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD3、CD8α、CD95、CD62L、CD161およびIL−18Rαに対する抗体で20分間標識した。氷冷FACS緩衝液中で洗浄後、サンプルをBD FacsARIAフローサイトメーター上で分析した。
【0082】
CMおよびEMのサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD3
+/CD8
+/CD95
+の集団中、それぞれCD62L
+またはCD62L
−事象として同定した。Rh123蛍光は、適切な補正および488nmでのレーザー励起後の530/30発光フィルタにより同定した。Rh123流出事象は、ビンブラスチンの流出遮断の存在下での培養後に同定された平均蛍光強度よりも低い蛍光を有するものとして定義された。
【0083】
多くのリンパ球は、Rh123を流出させる能力を有しているが;CM CD8
+Tリンパ球およびEM CD8
+Tリンパ球の小型サブセットだけが、30分間にわたってRh123を迅速に流出させる能力を有していることを、
図1の結果が立証している。流出は、MDR−1およびMRP−1用の非蛍光基質であるビンブラスチンにより遮断され、これはRh 123流出の特異性を示す。Rh 123を迅速に流出させるCM細胞およびEM細胞は、高レベルのIL−18αおよびCD 161を発現する。
【0084】
実施例2:CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、TcRαβ
+およびTcRγδである。Vα24に対する制限はない。それらは、主としてCD45RA
int/neg、CD45RO
int/hi、CD95
+、CD8α
+、CD8β
+/neg、CD25
neg、CD27
+、CD56
pos/neg、CD57
neg、CD28
hi、CD122
+、CD127
hi、PD−1
neg、CD103
neg、NKG2D
int/lo、パーフォリン
lo/int、グランザイムA
int、グランザイムB
neg、Ki67
neg、bcl−xL
hiおよびbc1−2
hiである。
【0085】
PBMCは、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離し、PBS中に再懸濁した。表面標識は、氷上で20分間示したCD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD3、CD8α、CD95、CD62L、CD161に対する抗体および他の抗体を用いて実施した。冷PBS中で洗浄後、表面標識サンプルをBD LSR−2フローサイトメーター上で分析した。細胞内染色サンプルをBD Cytofix中で固定してから、BD Perm/洗浄用緩衝液中で洗浄し、透過化処理し、標識し、次いで上記のとおり分析した。
【0086】
CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD3
+/CD8
+集団およびCD95
+集団中、それぞれCD62L
+/CD161
hi事象またはCD62L
−/CD161
hi事象として同定した。
【0087】
図2a〜c)の結果は、CD8
+TcRαβ
+T細胞のCMhiサブセットおよびEMhiサブセットのユニークな表現型を示している。この表現型は、記憶集団と合致し、Zhangら(Nat Med, 2005)により記載されたマウス記憶幹細胞と類似している。この表現型は、NK細胞および不変NKT細胞など、他の特性化されたリンパ球系集団に関して予想されたものとは異なる。CMhiおよびEMhiは同様の表現型を有するが、CD62Lの発現により免疫表現的に区別することができる。明瞭にするために、EMhiの表現型だけが、
図2a)およびb)に示されている。
図2c)では、試験された全てのドナーからのCMloおよびEMloと比較して、CMhiおよびEMhiにおいてbcl−2およびbcl−xlのより高い発現ならびにKi67のより低い発現を例示するために示している。
【0088】
実施例3:CMhiおよびEMhiは、非対称的に分裂するCD8
+T細胞の遠位極または分極CD8
+T細胞の尾肢からの誘導を示唆する表面表現型を有する。
PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離し、流出用緩衝液中で洗浄し、氷冷流出用緩衝液中、1×10
6/mlで5μg/mlのローダミン123と共に再懸濁した。PBMCを氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中で37℃、30分間再懸濁し、この30分後に、PBMCを、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で一度洗浄し、氷上でCD3、CD4、CD8、CD45RA、CD45RO、CD62L、CD16に対する抗体およびCD11a、CD43、CD44、CD46、CD148またはCD162のいずれかに対する抗体で20分間標識した。氷冷FACS緩衝液中で洗浄後、サンプルをBD
FacsARIAフローサイトメトリー上で分析した。CMサブセットおよびEMサブセットは、CD4
−/CD16
−/CD3
+/CD8
+/CD45RA
int/neg/CD45RO
+集団中、それぞれCD62L
+事象またはCD62L
−事象として同定した。実施例1に記載したように迅速流出の確立を実施した。
【0089】
図3において、CMhiは、分裂CD8
+T細胞の「記憶」遠位極または分極CD8
+T細胞の尾肢からの誘導と一致する表現型を有することを示している。CMhiの表現型は、EMhiの表現型と同様であり−明瞭にするために、CM CD8
+T細胞上に導かれたFACSプロファイルだけを示している。CMhiおよびCMlo集団のMFlを赤で示している。適切な共刺激分子および/または接着分子の存在下でTcRシグナル伝達後、免疫シナプスが、APCとT細胞との間で形成する。CD8およびCD11a(他の細胞表面タンパク質の中で)は、能動的に免疫シナプスに局在化し(「近位マーカー」)、CD43、CD44、CD46、CD148およびCD162は、シナプスから除外され、遠位極複合体(「遠位マーカー」)を形成する。遠位極複合体である尾肢と同様の構造もまた、ケモカインによるいくつかのT細胞の刺激に対して形成され、細胞表面マーカーの同様の発現パターンを有する。これらの表面分子が、第一の細胞分裂までかまたは細胞分裂を越えて、免疫シナプスまたは尾肢の内または外に局在化したままであるかどうかは知られていないが;CMhiおよびEMhiの表現型は可変性ではあるが、分裂記憶細胞または尾肢の遠位極から誘導される細胞集団と合致し得ると考えられる。
【0090】
実施例4:CMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物よりも高レベルのMDR−1mRNAを発現し、蛍光化学療法薬であるダウノルビシンを能動的に流出する。
図4a)において、CMhiおよびEMhiならびにそれらの非流出性IL−18Rα
lo/negの対応物(CMloおよびEM1o)を、CD8
+T細胞の陰性免疫磁気選択を用いて非CD8
+T細胞に対するビオチン化抗体により単離し、次いで蛍光色素結合ストレプトアビジンで表面標識して非CD8
+T細胞、CD95、CD62LおよびIL−18Rαを同定し、BD FacsAR1Aフローソーター上で選別した。CM CD8
+T細胞およびEM CD8
+T細胞を、それぞれストレプトアビジン
−/CD95
+/CD62L
+またはストレプトアビジン
−/CD95
+/CD62L
−として規定した。CMhiおよびEMhiは、IL−18Rαの高発現により確定した。単離されたCMhi、CMlo、EMhiおよびEMloサブセットにおけるmdr1の発現は、以下のプライマーおよびプローブを用いて定量的ポリメラーゼ連鎖反応により判定した:MDR1順方向−GGA AGC CAA TGC CTA TGA CTT TA;MDR1逆方向−GAA CCA CTG CTT CGC TTT CTG;MDR1プローブ−6FAM−TGA AAC TGC CTC ATA AAT TTG ACA CCC TGG−TAMRA。示された結果を、GAPDH発現に対して正規化する。3名の正常ドナーからの平均値/SEを示す。
【0091】
図4b)において、PBMCを、流出用緩衝液中1×10
6/mlで再懸濁し、これに、2.5μMで蛍光化学療法薬であるダウノルビシンを37℃で20分間装填してから、3回洗浄し、25μMのビンブラスチンの存在または非存在下で37℃、1時間流出させた。次にPBMCを、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で一度洗浄し、氷上でCD16、CD3、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161またはIL−18Rαに対する抗体で20分間標識した。氷冷FACS緩衝液中で洗浄後、サンプルをBD LSR−2フローサイトメーター上で分析した。
【0092】
CMhiおよびEMhiは、MDR−1、Rh123およびダウノルビシンの特異的かつ能動的な流出に関係するATP結合カセット(ABC)共輸送体に対するmRNAを高レベルで発現することを、データは示している。CMhiおよびEMhi(IL−18RαまたはCD161の高発現により確定)が、化学療法薬を能動的かつ特異的に流出させる能力は、MDR−1タンパク質に対する競合アンタゴニストであるビンブラスチンの存在下での流出阻止により示される。阻止はまた、2つの他のMDR−1チャネルブロッカーであるPK11195およびシクロスポリンAにより達成された(データは示していない)。
【0093】
実施例5:CMhiおよびEMhiは、インビトロでのダウノルビシン誘導アポトーシスに対して抵抗性である。
CMhiおよびEMhiならびにそれらの非流出IL−18Rα
lo/neg対応物(CMloおよびEM1o)は、CD8
+T細胞の陰性免疫磁気選択を用いて非CD8
+T細胞に対するビオチン化抗体により単離し、次いで蛍光色素結合ストレプトアビジンで表面標識して非CD8
+T細胞、CD95、CD62LおよびIL−18Rαを同定し、BD FacsAR1Aフローソーター上で選別した。CM CD8
+T細胞およびEM CD8
+T細胞は、それぞれストレプトアビジン
−/CD95
+/CD62L
+またはストレプトアビジン
−/CD95
+/CD62L
−として確定した。CMhiおよびEMhiは、IL−18Rαの高発現により確定した。流出性および非流出性のCMサブセットおよびEMサブセットを、ダウノルビシン(ABC−B1共輸送体、MDR−1により流出させたアントラサイクリン化学療法剤)の存在または不在下、末梢神経ベンゾジアゼピン受容体アンタゴニストのPK11195によるMDR−1遮断を用いてまたは用いずに44時間培養した。培養物を採取し、冷PBSで2回洗浄し、アネキシンVおよびDAPIで染色してから分析した。
【0094】
図5における結果により、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、薬理学的濃度(0.1μM)でダウノルビシンでの培養により誘導されたアポトーシスに抵抗性であることを示している。化学療法抵抗性は、PK11195によるMDR−1の阻害が細胞死の増加をもたらす流出ポンプにより媒介される。PK11195単独による培養は、生存率を損なわない。
【0095】
実施例6:CMhiおよびEMhiは、ホメオスタティックサイトカインであるIL−7およびIL−15に応答して分裂し、補足サイトカインの不在下での培養後に高生存率を有する。
図6a〜c)において、PBMCは、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8
+T細胞を、CD8マイクロビーズ(Miltenyi)を用いて陽性選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10
6/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8
+T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中で37℃、30分間再懸濁した。ビンブラスチンを対照サンプルに加えて流出の存在を確立した。次にCD8
+T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TcRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+集団中のCD62L
+/Rh123
lo/CD161
hi事象またはCD62L
−/Rh123
lo/CD161
hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+/CD95
+集団中のCD62L
+/Rh123
hi/CD161
int/neg事象またはCD62L
−/Rh123
hi/CD161
int/neg事象としてそれぞれ同定した。ゲーティング方法を
図6a)に示す。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離し、IL−7に応答する増殖は、
3H−チミジンの取込みまたはCFSE希釈アッセイにより判定した。IL−15に応答する増殖は、CFSE希釈アッセイにより判定した。
3H−チミジンの増殖アッセイは、IL−7で補足されたCTL培地中で5日間培養し、次いで
3H−チミジンで一晩パルスしてから、採取し、カウントすることにより実施した。CFSE希釈アッセイは、細胞にCFSEを装填し、10日間培養してから生存率をDAPIで標識し、BD LSR2フローサイトメーター上で分析することにより実施した。
【0096】
図6d)において、誘導療法の最下点(11日目から22日目)でリンパ球が減少していない健常ドナー(n=8)またはリンパ球減少の急性骨髄性白血病患者(n=6)からのPBMCを、実施例2に記載されたとおり、記憶サブセット上のKi67発現に関して分析した。リンパ球が減少していない健常ドナーとリンパ球減少の患者との間のCD8
+T細胞サブセットのKi67発現パーセントの倍率変化を示している。
【0097】
この結果は、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットが、細胞周期に入り、IL−7(
図6b)およびIL−15(
図6c)の刺激に応答する分裂を行う能力を有することを示している。CMhiおよびEMhiはまた、リンパ球が減少した化学療法患者におけるCMloおよびEMloよりも細胞周期に、より有効に動員され(
図6d)、リンパ球減少を誘導するIL−7およびIL−15媒介増殖に対する感受性が高いことが示唆される。さらに、補足サイトカインの不在下での培養において、CMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物よりも高い生存度を維持する(
図6b)。IL−7およびIL−15は、記憶T細胞の長命記憶および生存の維持にとって重要であり、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、IL−7およびIL−15によるシグナル伝達に感受性である。
【0098】
実施例7:CMhiおよびEMhiは、OKT3によるポリクローナルTcR刺激に応答してそれらの非流出性対応物と比較し、
3H−チミジン取り込みの減少を示し、
図7に示されるように共刺激後に回復させることができる。
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおり単離した。PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8
+T細胞を、CD8常磁性ビーズを用いて陽性に選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10
6/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8
+T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中でビンブラスチンを用いてまたは用いずに37℃、30分間再懸濁した。30分後に、CD8
+T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TcRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+集団中のCD62L
+/Rh123
lo/CD161
hi事象またはCD62L
−/Rh123
lo/CD161
hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRgd
−/Va24
−/CD8
+/CD95
+集団中のCD62L
+/Rh123
hi/CD161
int/neg事象またはCD62L
−/Rh123
hi/CD161
int/neg事象としてそれぞれ同定した。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離し、指定された条件で200μl CTL中、1ウェル当り10,000〜30.000個の細胞で96ウェルプレート内で培養した。OKT3を1ウェル当り100μlのPBS中1000ng/mlで4℃、6時間インキュベートすることによりプレート結合させ、次いで200μlの冷PBSで2回洗浄してから、選別されたサブセットを平板培養した。抗CD28(5μg/mlで)を、上記のとおりOKT3と共にプレート結合させた。サイトカイン濃度は以下のとおりであった:IL−7、2ng/ml;IL−12、10ng/ml;IL−15、1ng/ml;IL−18、80ng/ml;IL−23、10ng/ml。サイトカイン共刺激の不在下、サイトカインでの培養は最少増殖をもたらした。IL−12単独によるかまたはOKT3/IL−12によるCMhiサブセットの増殖に関するデータは入手できない。
【0099】
実施例8:CMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物と比較して、異なるサイトカイン分泌プロファイルを有する。
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおり単離した。PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8
+T細胞を、CD8常磁性ビーズを用いて陽性に選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10
6/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8
+T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中でビンブラスチンを用いてまたは用いずに37℃、30分間再懸濁した。30分後に、CD8
+T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+集団中のCD62L
+/Rh123
lo/CD161
hi事象またはCD62L
−/Rh123
lo/CD161
hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Va24
−/CD8
+/CD95
+集団中のCD62L
+/Rh123
hi/CD161
int/neg事象またはCD62L
−/Rh123
hi/CD161
int/neg事象としてそれぞれ同定した。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離し、200μl CTL培地中、1ウェル当り60,000個の細胞で平板培養した。ポリクローナル刺激は、単離サブセットをPMA(5ng/ml)/イオノマイシン(1μg/ml)またはプレート結合OKT3/抗CD28(実施例7に記載されたとおり調製した)と共に20時間培養することにより実施した。Luminex Cytokine Arrayアッセイを用いて培養物上澄液中でサイトカイン分泌を検出した。
【0100】
これらの実験により、ポリクローナル刺激に応答したCMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物よりも、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IFN−γおよびMIP−1αの分泌が少なく、IL−17の分泌が多いことを示している。
【0101】
実施例9:CMhiおよびEMhiは、それらの非流出性対応物と比較して、イオノマイシンに応答してカルシウム流出を減少させた。
PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により室温で分離し、Indo−lAM(Sigma)10μMおよびプロベニシド4mMで補足されたCTL培地中、l×10
7/m1で37℃、30分間インキュベートした。PBMCをCTL培地中、25℃で1回洗浄した。表面標識は、CTL培地中、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD62LおよびCD161に対する抗体により室温で10分間実施した。CTL培地中室温で洗浄後、表面標識サンプルを37℃に4分間温めた後、UV、紫色、青色、緑色および赤色レーザーを備えたBD LSR−2フローサイトメーター上で高速捕捉した。30秒の捕捉後、サンプルを吸引ポートから取り出し、イオノマイシンを5μg/mlの最終濃度に加え、サンプルを戻し、捕捉を20,000事象/秒で継続した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+/CD95
+集団中のCD62L
+/CD161
hi事象またはCD62L
−/CD161
hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+/CD95
+集団中のCD62L
+/CD161
int/neg事象またはCD62L
−/CD161
int/neg事象としてそれぞれ同定した。相対的細胞内カルシウム濃度は、UVバイオレット(405nm)検出器:UVブルー(505nm)検出器におけるIndo−1AM蛍光の比率として測定され、適切にゲートされたサブセットについての平均比率対時間(秒数)としてプロットする。
【0102】
この実験により、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、それらの非流出性対応物と比較して、カルシウムイオノフォア、イオノマイシンに応答してカルシウムを流動させる異なる能力を有することを実証する。カルシウムフラックスは、抗原特異的TcR連結部から下流の近位シグナル伝達事象である。
【0103】
実施例10:実施例10に記載されているように、CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、分子スペクトルタイピングによればポリクローナルTcRレパートリーを含む。
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおり単離した。PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8
+T細胞を、CD8常磁性ビーズを用いて陽性選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10
6/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8
+T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中でビンブラスチンを用いてまたは用いずに37℃、30分間再懸濁した。30分後に、CD8
+T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+集団中のCD62L
+/Rh123
lo/CD161
hi事象またはCD62L
−/Rh123
lo/CD161
hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Va24
−/CD8
+/CD95
+集団中のCD62L
+/Rh123
hi/CD161
int/neg事象またはCD62L
−/Rh123
hi/CD161
int/neg事象としてそれぞれ同定した。未処置CD8
+T細胞は、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+/CD95
−/CD62L
+事象として同定した。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離した。
【0104】
TcR Vβ断片の多重RT−PCRおよび Genescan分析により、単離サブセットおよび未処置CD8
+T細胞に対して分子Vβスペクトルタイピングを実施した。
【0105】
これらの実験は、流出性CMhiサブセットおよび流出性EMhiサブセットにおけるポリクローナルTcR Vβの用法を示し、CMhiサブセットおよびEMhiサブセット内のCD8
+T細胞は、広範囲の抗原に特異的な可能性がある種々のTcRを発現することを実証している。
【0106】
実施例11:実施例11に記載されているように、ウィルス抗原のテトラマー陽性細胞を、CMhiサブセットならびにEMhiサブセット内で同定することができ、CMV−特異的CTL応答、EBV−特異的CTL応答ならびにインフルエンザ−特異的CTL応答を、選別されたCMhiサブセットおよびEMhiサブセットから生じさせることができる。
PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離し、PBS中に再懸濁した。表面標識は、CD4、CD16、TCRγδ、CD8α、CD95、CD62L、CD161およびAPC標識HLA−A
*0201;NLVペプチドテトラマーに対する抗体により実施して、CMVのpp65抗原からのNLVペプチドに特異的なCD8
+T細胞の同定を可能にした。冷PBS中で洗浄後、表面標識サンプルを、BD LSR−2フローサイトメーター上で分析した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/CD8
+/CD95
+集団中CD62L
+/CD161
hi事象またはCD62L
−/CD161
hi事象としてそれぞれ同定した。データは
図11a)に示している。
【0107】
エキソビボでCMhiサブセットおよびEMhiサブセットにまれに見られたテトラマー陽性事象が、ウィルス性抗原特異的CTLであったことを立証するために、自家活性化ペプチドパルス化単球由来のDC(MoDC)との培養により単離CMhiサブセットおよび単離EMhiサブセットから、抗原特異的CTLをインビトロで増殖させた。CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおりに単離した。MoDCは、CD14特異的常磁性ビーズを用いて単離されたCD14
+単球と、GM−CSF(800U/ml)およびIL−4(1000U/ml)とで5日間培養することにより生じさせた。成熟MoDCは、さらにGM−CSF(800U/ml)/IL−4(1000U/ml)およびIL−1β(2ng/ml)、IL−6(1000U/m1)、PGE
2(1000ng/ml)およびTNFα(10ng/m1)との培養7日目に生じさせた。活性化MoDCは、それぞれCMV、EBVまたはインフルエンザに由来するHLA−A
*0201−制限NLVPMVATV、GLCTLVAMLまたはGILGFVFTLペプチドの1μg/m1と室温で2時間RPMI1640(Gibco)中でパルス化した。MoDCをRPMI1640中で3回洗浄し、使用前に照射した(3500cGy)。
【0108】
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloサブセットを、IL−2(10U/ml)、IL7(1ng/ml)および1L−15(100pg/m1)で補足した200mlのCTL培地中、T:DC比が4:1で、照射、活性化、ペプチドパルス化MoDCと共に96ウェルプレート中で平板培養した。サイトカインおよび半分の培地交換は、4日目と7日目に実施し、CD8による分析、DAPIおよびテトラマーの染色は、10日目に実施した。データは
図11b)に示している。
【0109】
この実験により、希少なウィルス特異的テトラマー陽性CD8
+T細胞は、迅速流出性CMhi集団およびEMhi集団内でエキソビボで同定できること、および希少なウィルス抗原特異的CD8
+T細胞は、単離された流出性CMhiサブセットおよび流出性EMhiサブセットのインビトロ刺激後に同定できることが立証されている。流出性CMhiおよび流出性EMhiが、OKT3による刺激(実施例7)に対して抵抗性であるという事実にもかかわらず、増殖は、サイトカインと培養することにより回復させることができる。実施例11において活性化MoDCおよびサイトカイン補足の使用により、インビトロで流出性サブセットから抗原特異的CTLの増殖が可能になる。
【0110】
実施例12:CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、ユニークかつ異なる遺伝子発現プロファイルを有する。
CMhi、CM1o、EMhiおよびEMloを、実施例6に記載されたとおり単離した。PBMCを、新鮮な末梢血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8
+T細胞を、CD8特異的常磁性ビーズを用いて陽性選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10
6/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8
+T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中でビンブラスチンを用いてまたは用いずに37℃、30分間再懸濁した。30分後に、CD8
+T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+集団中のCD62L
+/Rh123
lo/CD161
hi事象またはCD62L
−/Rh123
lo/CD161
hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+/CD95
+集団中のCD62L
+/Rh123
hi/CD161
int/neg事象またはCD62L
−/Rh123
hi/CD161
int/neg事象としてそれぞれ同定した。BD FacsARIAフローソーターを用いてサブセットを単離した。
【0111】
cRNAは、単離サブセットから生じさせ、遺伝子発現アレイ試験は、Illumina HumanWG−6発現ビードチップアレイを用いて実施した。非流出性CD8
+T細胞サブセットに関連したCMhiおよびEMhiの遺伝子発現関係を説明するために主成分プロット上にデータを表示する。このデータにより、迅速流出性(CMhiおよびEMhi)サブセットは、未処置または非流出性記憶(CMloおよびEMlo)CD8
+T細胞のものとは別個の遺伝子発現プロファイルをもつことを示している。さらに、CMhiクラスターおよびEMhiクラスターの分離により、同様の表現型にもかかわらず、CD62L
+(CMhi)およびCD62L
−(CM1o)流出性CD8
+T細胞は、異なる遺伝子発現プロファイルを有することが示唆される。
【0112】
実施例13:CMhiおよびEMhiは、臍帯血では希少であり、成人初期にピークに達し、年令が進むとともに頻度の減少が見られる。
PBMCを、新鮮な末梢血または臍帯血から密度勾配遠心分離により分離した。CD8
+T細胞を、CD8マイクロビーズ(Miltenyi)を用いて陽性選択し、氷冷流出用緩衝液中、1×10
6/mlで10μg/mlのRh123と共に再懸濁した。CD8
+T細胞を、氷上で30分間インキュベートしてから、氷冷流出用緩衝液中で3回洗浄し、予め温めた流出用緩衝液中で37℃、30分間再懸濁した。ビンブラスチンを対照サンプルに加えて流出の存在を確立した。次にCD8
+T細胞を、氷冷PBS/0.2%BSA(FACS緩衝液)中で1回洗浄し、CD4、CD16、TCRγδ、Vα24、CD8α、CD95、CD62LおよびCD161に対する蛍光色素結合抗体で標識した。CMhiサブセットおよびEMhiサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+集団中のCD62L
+/Rh123
lo/CD161
hi事象またはCD62L
−/Rh123
lo/CD161
hi事象としてそれぞれ同定した。CMloサブセットおよびEMloサブセットは、CD4
−/CD16
−/TcRγδ
−/Vα24
−/CD8
+/CD95
+集団中のCD62L
+/Rh123
hi/CD161
int/neg事象またはCD62L
−/Rh123
hi/CD161
int/neg事象としてそれぞれ同定した。ゲーティング方法を
図6a)に示す。BD FacsARIAフローサイトメーターを用いてサンプルをアッセイした。CMhi表現型細胞およびEMhi表現型細胞の頻度を、成人末梢血と比較した臍帯血にみられるCD8
+T細胞のパーセンテージとして
図13a)に示している。親のCMおよびEM区画における流出性細胞(上部)および非流出性細胞(下部)のパーセンテージを
図13b)に示している。各点は、単一の健常ドナーを表す。
【0113】
上述のものは、本発明の例示であって、それらの限定として解釈してはならない。本発明は、以下の特許請求の範囲により定義され、本特許請求の範囲の均等物もそれらに含まれる。